JPH0720095A - 超音波振動計測による試料評価装置 - Google Patents

超音波振動計測による試料評価装置

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JPH0720095A
JPH0720095A JP5161445A JP16144593A JPH0720095A JP H0720095 A JPH0720095 A JP H0720095A JP 5161445 A JP5161445 A JP 5161445A JP 16144593 A JP16144593 A JP 16144593A JP H0720095 A JPH0720095 A JP H0720095A
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勉 森本
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敏志 柳井
Hiroyuki Takamatsu
弘行 高松
Akio Arai
明男 新井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料を非接触でしかも正確に評価し得る超音
波振動計測による試料評価装置。 【構成】 この超音波振動計測による試料評価装置A1
は,パルスレーザ光を材料1に照射することにより,材
料1に誘起された超音波振動のパルスを少なくとも2つ
計測し,これらのパルス間のレベル変化に基づいて材料
評価する際に,材料1に照射されたパルスレーザ光がレ
ンズ3により材料1の厚みに対応したスポット径となる
ように構成されている。更に,上記パルスから低周波遮
断フィルタ部6bにより材料の厚みに対応する周波数以
下の成分を取り除く場合もある。上記構成により,試料
を非接触でしかも正確に評価することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,超音波振動計測による
試料評価装置に係り,詳しくは試料に誘起された超音波
振動を計測することにより該試料を評価する超音波振動
計測による試料評価装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属材料において,強度等の材質を決定
する要因の1つとして結晶粒径が挙げられる。この結晶
粒径の測定を非破壊で行う方法の1つとして,超音波振
動を用いた方法がある(日本学術振興会製鋼第19委員
会編「超音波探傷法」P27−80,日刊工業新聞社発
行)。この方法は超音波の結晶粒子による散乱(レーリ
散乱)に基づく減衰を利用した方法である。レーリ散乱
の生ずる周波数領域(レーリ領域)では,超音波エネル
ギの材料中の伝搬に伴う減衰が結晶粒径dに依存する。
ここで,レーリ領域は概略0.03<d/λ<0.3で
表される領域である。但し,λは材料中の超音波の波長
である。超音波が材料中を距離xだけ伝搬した時の超音
波の音圧p(エネルギの平方根に比例)は,次式で与え
られる。 p=p0 -ax …(1) ここで,p0 はx=0での音圧であり,aは減衰定数と
呼ばれるものである。超音波の周波数がレーリ領域の場
合,減衰定数aは超音波周波数fの関数となっており,
次式で近似される。 a=a0 +a1 f+a4 4 …(2) 上記(2)式中の4次の係数a4 は,結晶粒径dの3乗
に比例する係数であることが知られている。尚,a0
超音波の伝搬に伴う拡散損失を表し,a1 は材料中での
超音波の吸収を表す項にそれぞれ対応する。即ち, a4 =Sd3 …(3) ここでSは散乱定数と呼ばれる材料の弾性率異方性で決
まる定数である。一般に扱われる超音波はパルス状など
の波形であり,その波形中にはある広さの範囲の周波数
成分を含んでいる。上記(1)〜(3)式から,材料中
の超音波の伝播に伴い超音波周波数fが高い成分ほど,
また結晶粒径dが大きいほど超音波の減衰が大きくなる
ことがいえる。
【0003】以下,このような超音波減衰を用いて結晶
粒径dを測定する具体的な装置及び測定結果を図8〜図
10を用いて概略説明する。材料中の超音波減衰を測定
するには,一般に超音波探触子を用いる。超音波の送信
と受信とを別の探触子で行う2探法の場合,図8に示す
ように材料を間に挟んで探触子を上下に取り付ける。但
し,図中材料と探触子との間に入れられる水などの接触
媒体を省略している。送信側の探触子から材料中に送り
込まれた超音波パルスは,材料裏面で一部が透過して受
信側探触子で検出される。その残りは反射して戻るいわ
ゆる多重反射現象が生じるため,受信側探触子では図9
のように第1超音波パルス,第2超音波パルス,…,と
いうような超音波パルス列が測定される。この時各超音
波パルスに含まれているエネルギは,反射の際の損失や
材料中の伝播に伴う減衰によって徐々に小さくなってい
る。第1超音波パルスあるいは第2超音波パルスの部分
だけを取り出し,周波数解析してそれぞれのエネルギ
(パワースペクトラム)を求めると,図10のようにな
る。つまり,第2超音波パルスは第1超音波パルスに比
べ,材料板厚tの2倍分だけ伝搬距離が長いため,上記
(1)式に従ったエネルギの減衰が生ずる。しかもその
様子は周波数の高い成分ほど顕著である。第1超音波パ
ルスのパワースペクトラムとの差(図10ではパワース
ペクトラムの単位はdBを想定しており,実強度では両
者の比を求めることに相当する)として両者間の減衰量
を求めると,図10の右上がりの曲線となる。この曲線
は上記(2)式の減衰定数aに伝搬距離の差2tを乗じ
たものに相当する。これより,単位伝搬距離での上記
(2)式の各係数を最小2乗法などにより求める。そし
て,予め標準サンプルによって求めておいた散乱定数S
と上記求められた係数の内のa4 とから,上記(3)式
を逆算することにより結晶粒径dを求めることができ
る。この方法の場合,第n番目の超音波パルスと第n+
1番目の超音波パルスでの差が得られればよく,最初に
発生する超音波パルスの波形を厳密に知る必要はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
超音波振動計測による試料評価装置では,非破壊測定を
行えるものの接触式であるため品質管理上問題がある。
このため応用例として材料表面にパルスレーザ光を照射
することにより非接触で超音波パルスを発生させる装置
が考えられる。しかし,材料表面にパルスレーザ光を照
射することによって超音波パルスを発生する場合,レー
ザ光のビーム径,照射エネルギ,材料板厚等の条件によ
って発生するパルス波形が変化することが知られている
(日本非破壊検査協会 平成5年度春期大会講演概要集
P71−72)。即ち,パルスレーザ光により生ずる超
音波パルスは単峰のパルスである。その超音波パルスは
パルスレーザ光が照射された材料の領域全体から伝搬を
始める。一般的な金属材料の場合,材料中の音速は殆ど
等方的であると考えて差し支えなく,超音波発生領域中
の各微小領域から球面状に超音波波面が広がっている
(図11参照)。超音波発生領域の直下点で測定した場
合,超音波発生領域中心からの超音波と周辺部からの超
音波とでは,測定点までの到達時間にズレが生ずる。鉄
鋼材料を例に,レーザ照射径と直下方向の伝搬距離を変
えたときの超音波パルスの伝搬時間差を求めると図3の
ようになる。これは超音波発生領域中心と周辺部とのズ
レであるが,実際に観測される超音波パルスは,この中
間の領域からのパルスやそれらの領域の広さなども加味
して決定される波形であり,音源径や伝搬距離によって
いろいろ変化する。このため,測定精度に影響がでる場
合があった。ちなみに,この超音波パルス幅の広がりを
もとに結晶粒径を測定する方法もあるが(特公昭61−
54179号公報),その場合は考えられる全ての音源
径,板厚等に対して標準サンプルによる較正曲線を求め
ておく等の必要がある。しかし,音源径を厳密に求める
ことは困難であり,材料表面が酸化していたり濡れてい
たりすると実質的な音源径が変わってくるおそれもあっ
た。
【0005】更に,パルスレーザ光により超音波パルス
を発生させた場合,観測される波形は単峰のパルス列だ
けが繰り返すというような単純なものではない。図12
は,厚さ2mm,結晶粒径52μmの低炭素鋼板に,ビ
ーム径1.5mm,パルス幅10nsec,エネルギ
0.6JのNd−YAGレーザを照射して発生させた超
音波パルスを,発生直下点でHe−Neレーザを用いた
ホモダイン干渉計により測定した場合の測定結果であ
る。図中,時間軸の0secは,Nd−YAGレーザを
照射した瞬間である。鋼材中の縦波音速はおよそ590
0m/secであるので,超音波は約0.34μsec
で材料表面から裏面に到達する。超音波発生後0.34
μsecで鋭いピークが見られ,その後0.68μse
c毎にピーク列が観測されるが,これが超音波パルスの
多重反射である。問題はそのパルス列の間のゆっくりと
した変動である。これはパルスレーザによる超音波の発
生に伴い圧縮歪みとせん断歪みの変換が生じ縦波と横波
とが混ざったものと考えられる。今,パルス幅の広がり
を基に結晶粒径を測定しようとする場合,パルスのピー
ク高さをどこからの高さに定めれば良いかを決めるのは
難しい。この低周波変動はパルスレーザビーム径や板厚
で変わることが知られている(上記概要集P71−7
2)。更に,パルスのピーク位置のズレからパルス幅の
広がりを求めて上記結晶粒径測定に対して補正を行おう
とした場合,材料板厚や音速の測定精度が問題となる。
更に,パルスレーザによって超音波パルスを発生させ,
その多重反射波形を用いて超音波減衰を求め,その周波
数依存性から粒径を求めようとした場合,図12に示し
たような低周波変動によるパルス高さのズレを含んだま
ま周波数解析を行うことになる。しかし,この場合多重
反射超音波パルスの持つパワースペクトラムに,低周波
変動に起因するステップ変化のパワースペクトラム分が
畳重してしまう。このステップ分のパワースペクトラム
は上記(3)式で与えられる減衰を示さず,その結果超
音波パルスの減衰がうまく算出できない。また,多重反
射による超音波パルスだけに着目しても,パルスレーザ
ビーム径と伝搬距離とによってパルス幅の広がりが変化
するため,大きな径で短い伝搬距離のパルス(例えば第
1超音波パルスと第2超音波パルス)を用いた場合,ビ
ーム径に起因するパルス幅広がりが第2パルスよりも第
1パルスの方が大きくなる。従って,周波数解析を行う
と減衰が負となってしまい,結晶粒径による正の減衰と
打ち消し合ってしまう。そのため超音波の減衰をもとに
した粒径測定が出来なくなる場合があった。本発明は,
このような従来に技術における課題を解決するために,
超音波振動計測による試料評価装置を改良し,試料を非
接触でしかも正確に評価し得る超音波振動計測による試
料評価装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に
本発明は, 励起光を試料に照射することにより該試料
に誘起された超音波振動のパルスを少なくとも2つ計測
し,上記計測された少なくとも2つのパルス間のレベル
変化に基づいて上記試料を評価する超音波振動計測によ
る試料評価装置において,上記試料に照射された励起光
が該試料の厚みに対応したスポット径となる光学手段を
設けたことを特徴とする超音波振動計測による試料評価
装置として構成されている。更に,励起光を試料に照射
することにより該試料に誘起された超音波振動のパルス
を少なくとも2つ計測し,上記計測された少なくとも2
つのパルス間のレベル変化に基づいて上記試料を評価す
る超音波振動計測による試料評価装置において,上記計
測された少なくとも2つのパルスから上記試料の厚みに
対応する周波数以下の成分を取り除くフィルタリング手
段を設けたことを特徴とする超音波振動計測による試料
評価装置である。更に,上記試料の評価が,上記少なく
とも2つのパルス間の周波数依存特性が表す上記試料の
結晶粒径を演算で求めるものである超音波振動計測によ
る試料評価装置である。
【0007】
【作用】本発明によれば,励起光を試料に照射すること
により,該試料に誘起された超音波振動のパルスが少な
くとも2つ計測され,上記計測された少なくとも2つの
パルス間のレベル変化に基づいて上記試料が評価される
際に,上記試料に照射された励起光が光学手段により該
試料の厚みに対応したスポット径とされる。試料評価に
際して,外乱となる超音波振動のパルス幅の広がりは励
起光のスポット径と試料の厚みとから決まるものである
ため,上記励起光の調節によってパルス幅の広がりを小
さく抑えることができ,試料の評価を非接触でしかも正
確に行うことができる。更に,上記計測された少なくと
も2つのパルスから上記試料の厚みに対応する周波数以
下の成分がフィルタリング手段により取り除かれる。こ
の場合,超音波パルス前後のステップ状変化とうねりと
が低減され,超音波パルス列のみが取り出されるため上
記試料評価をより正確に行うことができる。更に,上記
試料の評価を,上記少なくとも2つのパルス間の周波数
依存特性が表す上記試料の結晶粒径を演算で求めるもの
であるとした場合には,該結晶粒径が正確に求められ
る。その結果,試料を非接触でしかも正確な評価を行う
ことが出来る超音波振動計測による試料評価装置を得る
ことができる。
【0008】
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明を具体化し
た実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚以下
の実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明
の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここに,
図1は本発明の一実施例に係る超音波振動計測による試
料評価装置A1の概略構成を示す模式図,図2は一般的
な干渉計の概略構成を示す模式図,図3は超音波伝播特
性を示す説明図,図4は試料評価装置A1による測定結
果を示す図,図5はパワースペクトラムを示す図,図6
は測定粒径と切断法による結晶粒径とを比較した結果を
示す図,図7は本発明の他の実施例に係る超音波振動計
測による試料評価装置A2の概略構成を示す模式図であ
る。図1に示す如く本実施例に係る超音波振動計測によ
る試料評価装置A1は,パルスレーザ光(励起光)を材
料1(試料)に照射することにより,材料に誘起された
超音波振動のパルスを少なくとも2つ計測し,この計測
された少なくとも2つのパルス間のレベル変化に基づい
て材料1を評価する点で従来技術の応用例と同様であ
る。しかし,本実施例では,材料1に照射されたパルス
レーザ光が材料1の厚みに対応したスポット径となる光
学手段を設けた点で上記応用例と異なる。又,上記計測
された少なくとも2つのパルスから材料1の厚みに対応
する周波数以下の成分を取り除くフィルタリング手段を
設けた点でも異なる。以下,この試料評価装置A1をさ
らに具体化しつつその動作について説明する。尚,ここ
では評価対象を材料の結晶粒径としたが,探傷時の欠陥
深さ測定等への応用も考えられる。
【0009】即ち,パルスレーザとしてはQスイッチ動
作ができるNd−YAGレーザを用いる。レーザ発振器
2からのパルスレーザ光は上記光学手段に相当するレン
ズ3によって絞られ,目的とするビーム径となって材料
1の表面に照射される。材料1の表面で発生した超音波
パルスは,材料1中を伝搬し裏面を振動変位させると共
に,材料1中を往復する多重反射を繰り返す。この多重
反射の間に有限ビーム径によるパルス幅広がりと結晶粒
径dに起因する減衰とが生じる。材料1裏面での振動変
位は,CWレーザを用いた振動変位検出器4により検出
される。この検出信号はデジタル波形記憶器5(例えば
デジタルオシロスコープ)によって取り込まれ,信号処
理装置6によって処理される。振動変位検出器4として
は,例えば図2(a)に示されるようなホモダイン干渉
計を利用する。ここでは,CWレーザのHe−Neレー
ザ発振器からなる検出レーザ光は,ビームスプリッタに
よって一方を材料表面,他方を参照用ミラーに2分され
る。材料表面は鏡面仕上げしておき,材料およびミラー
からの反射光を再びビームスプリッタに戻し,重ね合わ
せて光検出器上に照射する。この重ね合わせによってレ
ーザ干渉が生ずるがミラーが固定しているのに対し,材
料表面が超音波による振動変位をしているため両者から
の反射光同士で光路差の変化が生じ,結果として材料表
面の振動変位に応じた干渉光強度変化がおこる。初期設
定としてミラーと材料表面との光路差を波長の整数倍よ
り半波長だけずらしておくと,微小変動に対しては振動
変位に比例した光量変化が生ずるので,この光量変化か
ら振動変位を非接触で測定することができる。次に,信
号処理装置6での処理動作は次に示す通りである。ま
ず,超音波パルス番号決定部6aにてNd−YAGレー
ザのビーム径および材料1の板厚をもとに,予め求めて
おいた伝搬距離と伝搬時間差との関係(図3参照)から
周波数解析に用いる少なくとも2つの超音波パルスの番
号を決める。例えばビーム径2mm,板厚2mmの場
合,第2超音波パルスと第3超音波パルスとを選ぶと,
その両者間でのパルス幅広がりの差は数nsec以下で
ある。パルス幅10nsecのNd−YAGレーザを用
いて超音波を発生した場合,観測される超音波パルス幅
は50〜80nsec程度であり,数nsecの差はあ
まり影響しない。もし第3超音波パルス第4超音波パル
スとを選択したり,レーザビーム径1mm程度に絞って
適用した場合,パルス幅広がりの差は殆ど無視できる値
となる。
【0010】この時検出された振動変位波形は,フィル
タリング手段に相当する低周波遮断フィルタリング部6
bによるデジタルフィルタリング処理によって低周波成
分を除去される。因に,超音波パルス列の間に生ずる低
周波のうねりは,板厚を往復する縦波の周期にほぼ一致
する。板厚2mmの場合,約1.5MHzである。それ
に対して超音波パルスに含まれる周波数成分は,DC〜
100MHz程度である。レーリ領域は数〜100MH
z程度であり,1.5MHz程度以下の成分を除去して
も,粒径測定精度に殆ど影響を与えない。従って遮断周
波数は,板厚2mmの鋼板の場合,1.5MHz以上で
あまり高すぎなければよい。縦波が板厚距離を往復する
周期より2〜3倍高い周波数で十分である。図12は前
述したように,厚さ2mm,結晶粒径52μmの低炭素
鋼板に,ビーム径1.5mm,パルス幅10nsec,
エネルギ0.6JのNd−YAGレーザを照射して発生
した超音波パルスを,発生直下点でHe−Neレーザを
用いたホモダイン干渉計により測定した場合であった
が,これに対して遮断周波数5MHzのディジタルフィ
ルタリング処理をした結果が,図4である。超音波パル
ス列間の低周波振動やパルス前後のステップ上の変位が
低減され,多重反射による超音波パルス列のみがよく保
存されていることがわかる。このパルス列に対して,超
音波パルス弁別部6cにて第2超音波パルスと第3超音
波パルスとの部分のみを切り出し,第n,第n+1超音
波パルス周波数解析部6d,6eによりそれぞれのパワ
ースペクトラムを求めたものが図5である。この両者の
差を超音波パルス減衰量算出部6fにて計算すると,伝
播にともなう減衰が求められ,それを図5中の○印で示
している。図5より右上がりで下に凸の曲線を描いてい
ることがわかるが,これが超音波減衰の周波数の4乗に
比例する特性によるものである。ここで,板厚が2mm
であることに注意する必要がある。そこで,超音波の減
衰量を板厚の2倍で除した後,曲線全体をフィッティン
グする関数を前記(2)式に従って最小自乗法などによ
って推定する。これにより減衰量への板厚や伝播距離の
影響が除去できる。特に単位板厚への正規化の際の誤差
は,板厚測定の相対精度で決まり,従来例の板厚測定絶
対精度の及ぼす影響よりはるかに小さく出来る。又,ど
の周波数範囲をフィッテングするかについては,始めの
低周波遮断周波数やもとの超音波パルスに含まれる強
度,レーリ散乱の生ずる周波数範囲等をもとに決定すれ
ばよい。そして,結晶粒径算出部6gにてフィッティン
グ後の4次の係数a4 を,予め標準サンプルによって求
めた散乱定数Sで除し,3乗根を求めれば結晶粒径dを
求めることができる。この時標準試験片で求めるべきデ
ータ数は,材料の組織別の散乱定数(あるいは4次の係
数a4 そのもの)だけでよく,従来例のように,音源径
(パルスレーザ照射径)や伝播距離毎の標準試験片デー
タは必要ない。
【0011】これらの一連の処理動作を板厚2mmの低
炭素鋼板に行った結果を図6に示す。図6中,横軸がJ
ISで定められた切断法による結晶粒径,縦軸が超音波
減衰によって求めた結晶粒径dである。これより,結晶
粒径dが正確に測定されていることがわかる。以上のよ
うに,試料評価に際して,外乱となる超音波振動のパル
ス幅の広がりは励起光のスポット径と試料の厚みとから
決まるものであるため,光学手段による励起光の調節に
よってパルス幅の広がりを小さく抑えることができ,試
料の評価を非接触でしかも正確に行うことができる。更
に,計測された少なくとも2つのパルスから試料の厚み
に対応する周波数以下の成分をフィルタリング手段によ
り取り除くことにより,超音波パルス前後のステップ状
変化とうねりとが低減され超音波パルス列のみが取り出
されるため試料評価をより正確に行うことができる。試
料評価としては,例えば試料の結晶粒径などを求めるこ
とができる。その結果,試料を非接触でしかも正確な評
価を行うことができる超音波振動計測による試料評価装
置を得ることができる。尚,振動変位検出器4としては
上記実施例のようにホモダイン干渉計(図2(a))を
用いたものだけでなく,図2(b)に示すようなヘテロ
ダイン干渉計を用いたものや,図2(c)に示すような
ファブリペロー干渉計を用いたものでもよい。ヘテロダ
イン干渉計は参照ミラーからの参照光に周波数シフトを
与え,材料からの検出光との光位相変化をもとに超音波
振動を求めるものである。ファブリペロー干渉計を用い
た場合,材料表面を鏡面仕上する必要がなく,粗面とな
らざる得ない実ラインでの結晶粒径測定でも適用可能で
ある。しかもファブリペロー干渉計そのものが低周波遮
断特性を持っており,後の信号処理を一部省略する事も
可能である。尚,上記実施例では波形の信号処理をデジ
タル処理によって達成しているが,これをハードウエア
によって実行するこも可能である。この場合を図7に示
す。尚,上記実施例では超音波の発生面と検出面とを材
料の反対面に配置しているが,材料の同じ側にしてもよ
い。
【0012】
【発明の効果】本発明に係る超音波振動計測による試料
評価方法は,上記したように構成されている為,また試
料評価に際して,外乱となる超音波振動のパルス幅の広
がりは励起光のスポット径と試料の厚みとから決まるも
のであるため,光学手段による励起光の調節によってパ
ルス幅の広がりを小さく抑えることができ,試料の評価
を非接触でしかも正確に行うことができる。更に,計測
された少なくとも2つのパルスから試料の厚みに対応す
る周波数以下の成分をフィルタリング手段により取り除
くことにより,超音波パルス前後のステップ状変化とう
ねりとが低減され超音波パルス列のみが取り出されるた
め試料評価をより正確に行うことができる。試料評価と
しては,例えば試料の結晶粒径などを求めることができ
る。その結果,試料を非接触でしかも正確な評価を行う
ことができる超音波振動計測による試料評価装置を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る超音波振動計測によ
る試料評価装置A1の概略構成を示す模式図。
【図2】 一般的な干渉計の概略構成を示す模式図。
【図3】 超音波伝播特性を示す説明図。
【図4】 試料評価装置A1による測定結果を示す図。
【図5】 パワースペクトラムを示す図。
【図6】 測定粒径と切断法による結晶粒径とを比較し
た結果を示す図。
【図7】 本発明の他の実施例に係る超音波振動計測に
よる試料評価装置A2の概略構成を示す模式図 。
【図8】 超音波振動計測時の状態を示す説明図。
【図9】 パルス検出状態を示す説明図。
【図10】 パルスの減衰を示す説明図。
【図11】 超音波波面を示す説明図。
【図12】 従来の超音波振動計測による試料評価装置
による測定結果を示す図。
【符号の説明】
A1,A2…超音波振動計測による試料評価装置 1…材料(試料に相当) 2…レーザ発振器 3…レンズ(光学手段に相当) 4…振動変位検出器 5…デジタル波形記憶器 6…信号処理装置 6b…低周波遮断フィルタリング部(フィルタリング手
段に相当)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳井 敏志 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 高松 弘行 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 新井 明男 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起光を試料に照射することにより該試
    料に誘起された超音波振動のパルスを少なくとも2つ計
    測し,上記計測された少なくとも2つのパルス間のレベ
    ル変化に基づいて上記試料を評価する超音波振動計測に
    よる試料評価装置において,上記試料に照射された励起
    光が該試料の厚みに対応したスポット径となる光学手段
    を設けたことを特徴とする超音波振動計測による試料評
    価装置。
  2. 【請求項2】 励起光を試料に照射することにより該試
    料に誘起された超音波振動のパルスを少なくとも2つ計
    測し,上記計測された少なくとも2つのパルス間のレベ
    ル変化に基づいて上記試料を評価する超音波振動計測に
    よる試料評価装置において,上記計測された少なくとも
    2つのパルスから上記試料の厚みに対応する周波数以下
    の成分を取り除くフィルタリング手段を設けたことを特
    徴とする超音波振動計測による試料評価装置。
  3. 【請求項3】 上記試料の評価が,上記少なくとも2つ
    のパルス間の周波数依存特性が表す上記試料の結晶粒径
    を演算で求めるものである請求項1又は2記載の超音波
    振動計測による試料評価装置。
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