JPH07197296A - 電着塗料中のフッ素樹脂濃度の測定方法 - Google Patents
電着塗料中のフッ素樹脂濃度の測定方法Info
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- JPH07197296A JPH07197296A JP6012122A JP1212294A JPH07197296A JP H07197296 A JPH07197296 A JP H07197296A JP 6012122 A JP6012122 A JP 6012122A JP 1212294 A JP1212294 A JP 1212294A JP H07197296 A JPH07197296 A JP H07197296A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 電着塗料中のフッ素樹脂濃度を簡易な操作に
より高精度に測定できる方法の提供。 【構成】 塩素原子を有するフッ素樹脂とその他の樹脂
とを樹脂分とする電着塗料からなる塗装浴から、該電着
塗料の一部を測定用試料として採取し、これを電着塗装
法により金属試験板上に塗装し、得られる塗膜中の塩素
原子濃度を蛍光X線分析法により測定することを特徴と
する、前記塗装浴における電着塗料中のフッ素樹脂濃度
の測定方法。
より高精度に測定できる方法の提供。 【構成】 塩素原子を有するフッ素樹脂とその他の樹脂
とを樹脂分とする電着塗料からなる塗装浴から、該電着
塗料の一部を測定用試料として採取し、これを電着塗装
法により金属試験板上に塗装し、得られる塗膜中の塩素
原子濃度を蛍光X線分析法により測定することを特徴と
する、前記塗装浴における電着塗料中のフッ素樹脂濃度
の測定方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩素原子を有するフッ
素樹脂およびその他の樹脂からなる電着塗料中のフッ素
樹脂濃度の測定方法、ならびに該測定方法で得られた測
定値に基づき電着塗料における樹脂分の比率を経時的に
制御しつつ電着塗装を行う塗装体の製造方法に関するも
のである。本発明によれば、上記電着塗料を用いる電着
塗装浴におけるフッ素樹脂濃度を正確かつ迅速に知るこ
とができ、該塗装浴の樹脂濃度の適正な管理が可能とな
り、さらにかかる管理された塗装浴を用いる塗装により
品質の一定な塗装体の製造が可能となる。
素樹脂およびその他の樹脂からなる電着塗料中のフッ素
樹脂濃度の測定方法、ならびに該測定方法で得られた測
定値に基づき電着塗料における樹脂分の比率を経時的に
制御しつつ電着塗装を行う塗装体の製造方法に関するも
のである。本発明によれば、上記電着塗料を用いる電着
塗装浴におけるフッ素樹脂濃度を正確かつ迅速に知るこ
とができ、該塗装浴の樹脂濃度の適正な管理が可能とな
り、さらにかかる管理された塗装浴を用いる塗装により
品質の一定な塗装体の製造が可能となる。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】電着塗装においては、
有機溶剤が使用されないか、または有機溶剤を使用する
場合にも、人体に対する毒性の低いアルコール等が塗料
媒体の一部としてしか使用されないため、有機溶剤によ
る作業環境の汚染が少ない。そのため、現在塗装の分野
においては、電着塗装が主流になっており、自動車、家
電および建築材料等に用いられる各種材料がこの塗装法
によって塗装されている。
有機溶剤が使用されないか、または有機溶剤を使用する
場合にも、人体に対する毒性の低いアルコール等が塗料
媒体の一部としてしか使用されないため、有機溶剤によ
る作業環境の汚染が少ない。そのため、現在塗装の分野
においては、電着塗装が主流になっており、自動車、家
電および建築材料等に用いられる各種材料がこの塗装法
によって塗装されている。
【0003】電着塗装に用いられる電着塗料としては、
各種の樹脂が配合されたものが知られているが、その基
本構成は、カチオンまたはアニオンの電気性を有する成
膜樹脂とそれを硬化するための架橋用樹脂からなる水性
樹脂分散体である。代表的な電着塗料は、カチオン性ま
たはアニオン性のアクリル樹脂およびメラミン樹脂を主
成分とするものであるが、最近では、フッ素樹脂を配合
した電着塗料、すなわち上記アクリル樹脂、メラミン樹
脂およびフッ素樹脂からなる高耐候性の電着塗料も知ら
れている。
各種の樹脂が配合されたものが知られているが、その基
本構成は、カチオンまたはアニオンの電気性を有する成
膜樹脂とそれを硬化するための架橋用樹脂からなる水性
樹脂分散体である。代表的な電着塗料は、カチオン性ま
たはアニオン性のアクリル樹脂およびメラミン樹脂を主
成分とするものであるが、最近では、フッ素樹脂を配合
した電着塗料、すなわち上記アクリル樹脂、メラミン樹
脂およびフッ素樹脂からなる高耐候性の電着塗料も知ら
れている。
【0004】電着塗装においては、長期に渡り塗装作業
を行うと、塗装浴における仕込み樹脂、例えば前記アク
リル樹脂とメラミン樹脂の割合が経時的に変化するとい
う問題があり、そのために塗装浴中の各樹脂分の濃度を
測定して、塗装浴の各成分の割合が一定に保たれるよう
に調整する必要がある。そして、一般に電着塗装におい
ては、浴中の樹脂濃度のわずかな変動が問題となるため
に、樹脂濃度は高精度に測定することが望ましい。
を行うと、塗装浴における仕込み樹脂、例えば前記アク
リル樹脂とメラミン樹脂の割合が経時的に変化するとい
う問題があり、そのために塗装浴中の各樹脂分の濃度を
測定して、塗装浴の各成分の割合が一定に保たれるよう
に調整する必要がある。そして、一般に電着塗装におい
ては、浴中の樹脂濃度のわずかな変動が問題となるため
に、樹脂濃度は高精度に測定することが望ましい。
【0005】塗装浴中のアクリル樹脂およびメラミン樹
脂の濃度の測定法としては、通常赤外線吸収スペクトル
法が採用でき、アクリル樹脂はエステル結合、またメラ
ミン樹脂はトリアジン環の吸光度を測定することによっ
て、それぞれ比較的簡単にしかも短時間で樹脂濃度を知
ることができる。
脂の濃度の測定法としては、通常赤外線吸収スペクトル
法が採用でき、アクリル樹脂はエステル結合、またメラ
ミン樹脂はトリアジン環の吸光度を測定することによっ
て、それぞれ比較的簡単にしかも短時間で樹脂濃度を知
ることができる。
【0006】しかしながら、前記したフッ素樹脂を含有
する電着塗料におけるフッ素樹脂濃度の分析法に関して
は、操作が簡易でしかも高精度な測定値を短時間で得る
ことができる分析法が知られておらず、やむなく以下に
示すような分析法が採用されていた。すなわち、分析対
象の樹脂組成物を炭酸カリウムによるアルカリ分解また
はピロヒドリシス燃焼法等により化学的に分解させ、生
じるフッ素イオンをイオン選択性電極法で定量するとい
う方法等である。
する電着塗料におけるフッ素樹脂濃度の分析法に関して
は、操作が簡易でしかも高精度な測定値を短時間で得る
ことができる分析法が知られておらず、やむなく以下に
示すような分析法が採用されていた。すなわち、分析対
象の樹脂組成物を炭酸カリウムによるアルカリ分解また
はピロヒドリシス燃焼法等により化学的に分解させ、生
じるフッ素イオンをイオン選択性電極法で定量するとい
う方法等である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、塩
素原子を有するフッ樹樹脂を、その他の樹脂例えばアク
リル樹脂およびメラミン樹脂等の樹脂とともに含有する
電着塗料における樹脂濃度の管理に適した、高精度でか
つ簡易なフッ樹脂の分析法を提供することを課題とし
た。
素原子を有するフッ樹樹脂を、その他の樹脂例えばアク
リル樹脂およびメラミン樹脂等の樹脂とともに含有する
電着塗料における樹脂濃度の管理に適した、高精度でか
つ簡易なフッ樹脂の分析法を提供することを課題とし
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討した結果、塗装浴中の電着塗
料を直接対象とすることによっては、課題を解決するに
至らず、電着塗装という特定の方法によって別途形成さ
れた樹脂皮膜を対象とし、かつフッ素樹脂を構成する塩
素原子に着目してその量を蛍光X線分析法により測定す
ることにより、電着塗料中のフッ素樹脂を高精度にかつ
簡易な操作で分析できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
を解決するために鋭意検討した結果、塗装浴中の電着塗
料を直接対象とすることによっては、課題を解決するに
至らず、電着塗装という特定の方法によって別途形成さ
れた樹脂皮膜を対象とし、かつフッ素樹脂を構成する塩
素原子に着目してその量を蛍光X線分析法により測定す
ることにより、電着塗料中のフッ素樹脂を高精度にかつ
簡易な操作で分析できることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0009】すなわち、本発明における第一の発明は、
塩素原子を有するフッ素樹脂とその他の樹脂とを樹脂分
とする電着塗料からなる塗装浴から、該電着塗料の一部
を測定用試料として採取し、これを電着塗装法により金
属試験板上に塗装し、得られる塗膜中の塩素原子濃度を
蛍光X線分析方法により測定することを特徴とする、前
記塗装浴における電着塗料中のフッ素樹脂濃度の測定方
法であり、さらに第二の発明は、上記フッ素樹脂濃度の
測定方法による測定値に基づき、塩素原子を有するフッ
素樹脂とその他の樹脂との比率を経時的に制御しつつ電
着塗装を行うことを特徴とする塗装体の製造方法であ
る。上記第一の発明において、蛍光X線分析法により上
記塗膜中の塩素原子濃度が得られると、比例計算によっ
て該塗膜中のフッ素樹脂濃度を求めることができる。
塩素原子を有するフッ素樹脂とその他の樹脂とを樹脂分
とする電着塗料からなる塗装浴から、該電着塗料の一部
を測定用試料として採取し、これを電着塗装法により金
属試験板上に塗装し、得られる塗膜中の塩素原子濃度を
蛍光X線分析方法により測定することを特徴とする、前
記塗装浴における電着塗料中のフッ素樹脂濃度の測定方
法であり、さらに第二の発明は、上記フッ素樹脂濃度の
測定方法による測定値に基づき、塩素原子を有するフッ
素樹脂とその他の樹脂との比率を経時的に制御しつつ電
着塗装を行うことを特徴とする塗装体の製造方法であ
る。上記第一の発明において、蛍光X線分析法により上
記塗膜中の塩素原子濃度が得られると、比例計算によっ
て該塗膜中のフッ素樹脂濃度を求めることができる。
【0010】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。本発明において分析の対象となる電着塗料について
説明する。本発明における電着塗料は、前記のとおり、
塩素原子を有するフッ素樹脂(以下単にフッ素樹脂とい
う)とその他の樹脂とを樹脂分とするものであり、この
樹脂分は水性媒体中に溶解ないし分散されている。通常
水性媒体としては、水に少量のアルコール等の親水性有
機溶剤が添加された混合溶剤が用いられる。
る。本発明において分析の対象となる電着塗料について
説明する。本発明における電着塗料は、前記のとおり、
塩素原子を有するフッ素樹脂(以下単にフッ素樹脂とい
う)とその他の樹脂とを樹脂分とするものであり、この
樹脂分は水性媒体中に溶解ないし分散されている。通常
水性媒体としては、水に少量のアルコール等の親水性有
機溶剤が添加された混合溶剤が用いられる。
【0011】フッ素樹脂としては、トリフルオロクロロ
エチレン単量体単位を主成分とするアニオン性共重合体
等が挙げられる。該共重合体等には、通常不飽和カルボ
ン酸単量体単位が含まれており、それをアミンで中和し
て得られる水性フッ素樹脂が用いられる。
エチレン単量体単位を主成分とするアニオン性共重合体
等が挙げられる。該共重合体等には、通常不飽和カルボ
ン酸単量体単位が含まれており、それをアミンで中和し
て得られる水性フッ素樹脂が用いられる。
【0012】上記フッ素樹脂に併用されるその他の樹脂
の代表的なものは、アクリル樹脂およびメラミン樹脂で
ある。アクリル樹脂としては、たとえばブチルアクリレ
ート、ヒドロキシエチルアクリレートおよびエチレン性
不飽和カルボン酸単量体等が共重合されたアクリル共重
合体をアミンで中和したアニオン性アクリル樹脂、また
は不飽和カルボン酸単量体に代えてアミノ基含有ビニル
単量体をアルキルアクリレート等と共重合させて得られ
るカチオン系アクリル樹脂がある。
の代表的なものは、アクリル樹脂およびメラミン樹脂で
ある。アクリル樹脂としては、たとえばブチルアクリレ
ート、ヒドロキシエチルアクリレートおよびエチレン性
不飽和カルボン酸単量体等が共重合されたアクリル共重
合体をアミンで中和したアニオン性アクリル樹脂、また
は不飽和カルボン酸単量体に代えてアミノ基含有ビニル
単量体をアルキルアクリレート等と共重合させて得られ
るカチオン系アクリル樹脂がある。
【0013】メラミン樹脂としては、アルキルエーテル
化メラミン樹脂等の水溶性メラミン樹脂が挙げられる。
上記樹脂が適宜選択された割合で配合された電着塗料が
本発明の分析対象になる。
化メラミン樹脂等の水溶性メラミン樹脂が挙げられる。
上記樹脂が適宜選択された割合で配合された電着塗料が
本発明の分析対象になる。
【0014】本発明においては、まず分析対象として電
着浴から採取した電着塗料を用いて電着塗装法により金
属試験板上に塗膜を形成する。電着塗装法により金属試
験板上に形成された塗膜は、表面が平滑であり、その結
果本発明においては、高精度な測定値が得られる。分析
用塗膜の成形法としては、刷毛塗り、噴霧塗装、浸漬塗
装あるいはバーコーター塗装等の各種の物理的な塗装方
法があるが、これらの方法で形成された塗膜では、本発
明が目的とする高精度な測定値は得られず、またそのよ
うに形成された塗膜を加熱硬化等の手段により、その表
面を平滑化させてもなお平滑性は不十分であり、この場
合にも高精度な測定値は得られない。また、工業的な電
着塗装における被塗装体は、形状あるいは寸法的に、こ
れを直接蛍光X線分析の対象とすることができないの
で、分析用塗装板を別途作成することが必要である。
着浴から採取した電着塗料を用いて電着塗装法により金
属試験板上に塗膜を形成する。電着塗装法により金属試
験板上に形成された塗膜は、表面が平滑であり、その結
果本発明においては、高精度な測定値が得られる。分析
用塗膜の成形法としては、刷毛塗り、噴霧塗装、浸漬塗
装あるいはバーコーター塗装等の各種の物理的な塗装方
法があるが、これらの方法で形成された塗膜では、本発
明が目的とする高精度な測定値は得られず、またそのよ
うに形成された塗膜を加熱硬化等の手段により、その表
面を平滑化させてもなお平滑性は不十分であり、この場
合にも高精度な測定値は得られない。また、工業的な電
着塗装における被塗装体は、形状あるいは寸法的に、こ
れを直接蛍光X線分析の対象とすることができないの
で、分析用塗装板を別途作成することが必要である。
【0015】電着塗装に使用する金属試験板の材質とし
ては、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅、メッキ鋼板
および真鍮等の各種金属が使用でき、好ましくはアルミ
ニウムである。さらに、蛍光X線分析においてX線の散
乱を防ぐという理由から、300〜400番のサンドペ
ーパーで十分に表面が研磨された金属板が好ましい。板
の寸法や厚みも、蛍光X線分析用試料として許容される
範囲内で特に限定されない。
ては、鉄、アルミニウム、ステンレス、銅、メッキ鋼板
および真鍮等の各種金属が使用でき、好ましくはアルミ
ニウムである。さらに、蛍光X線分析においてX線の散
乱を防ぐという理由から、300〜400番のサンドペ
ーパーで十分に表面が研磨された金属板が好ましい。板
の寸法や厚みも、蛍光X線分析用試料として許容される
範囲内で特に限定されない。
【0016】電着塗膜の厚みは5〜40μm が好まし
く、さらに好ましくは20〜30μmである。電着塗膜
の厚みが、5μm 未満であると蛍光X線分析における膜
厚補正の精度が低下し、それに伴い測定値の精度も劣り
易く、一方40μm を越えると、平滑な表面の塗膜が得
られ難い。膜厚は、うず電流式厚さ測定器等の膜厚計で
測定できる(JIS−H−8602参照)。
く、さらに好ましくは20〜30μmである。電着塗膜
の厚みが、5μm 未満であると蛍光X線分析における膜
厚補正の精度が低下し、それに伴い測定値の精度も劣り
易く、一方40μm を越えると、平滑な表面の塗膜が得
られ難い。膜厚は、うず電流式厚さ測定器等の膜厚計で
測定できる(JIS−H−8602参照)。
【0017】電着塗装は、実験室レベルの小型電着槽を
用いて室温下で、電圧70〜250Vで行うのが好まし
く、電着時間としては1〜5分でよい。アニオン系塗料
を電着する場合には、陽極側の金属試験板に塗膜が形成
される。
用いて室温下で、電圧70〜250Vで行うのが好まし
く、電着時間としては1〜5分でよい。アニオン系塗料
を電着する場合には、陽極側の金属試験板に塗膜が形成
される。
【0018】次に、上記方法で作成された塗装金属板を
用いて、塗膜中の塩素原子の量を蛍光X線分析法によっ
て測定する。本発明においてフッ素樹脂の濃度を求める
ために、フッ素原子でなく、塩素原子を蛍光X線分析法
で測定する理由は、フッ素原子から発生するX線は塩素
原子によるX線と比較して波長が長く、試験片表面の微
妙な凹凸の影響を受けて、フッ素原子濃度とX線強度の
間の相関が低下し易いからである。
用いて、塗膜中の塩素原子の量を蛍光X線分析法によっ
て測定する。本発明においてフッ素樹脂の濃度を求める
ために、フッ素原子でなく、塩素原子を蛍光X線分析法
で測定する理由は、フッ素原子から発生するX線は塩素
原子によるX線と比較して波長が長く、試験片表面の微
妙な凹凸の影響を受けて、フッ素原子濃度とX線強度の
間の相関が低下し易いからである。
【0019】蛍光X線分析法による塗膜中の塩素原子濃
度の測定においては、蛍光X線分析法における一般的な
測定条件および操作法が採用できる。一例を示すと、以
下のとおりである。 <蛍光X線分析の測定条件> X線管球:Rh X線管電圧:50kV X線管電流:50mA X線照射面積:30mmφ 測定波長:Cl−Kα 92.87° 分光結晶:Ge 検出器:ガスフロー型比例計数管
度の測定においては、蛍光X線分析法における一般的な
測定条件および操作法が採用できる。一例を示すと、以
下のとおりである。 <蛍光X線分析の測定条件> X線管球:Rh X線管電圧:50kV X線管電流:50mA X線照射面積:30mmφ 測定波長:Cl−Kα 92.87° 分光結晶:Ge 検出器:ガスフロー型比例計数管
【0020】蛍光X線分析法で得られる塩素原子による
X線強度は、試料塗膜に含まれる塩素原子濃度に比例
し、さらに該塗膜中のフッ素樹脂濃度に比例するので、
該X線強度から試料塗膜中のフッ素樹脂濃度が求められ
るが、X線強度を塩素原子濃度またはフッ素樹脂濃度へ
換算するに当たっては、塩素原子濃度が既知の標準試料
におけるX線強度を基準とする。
X線強度は、試料塗膜に含まれる塩素原子濃度に比例
し、さらに該塗膜中のフッ素樹脂濃度に比例するので、
該X線強度から試料塗膜中のフッ素樹脂濃度が求められ
るが、X線強度を塩素原子濃度またはフッ素樹脂濃度へ
換算するに当たっては、塩素原子濃度が既知の標準試料
におけるX線強度を基準とする。
【0021】試料塗膜についての塩素原子のX線強度
と、フッ素樹脂濃度が既知な標準試料から得られた塗膜
についての塩素原子のX線強度を対比させる際には、塗
膜の膜厚の影響が無視できるように、両塗膜の膜厚を同
一にすることが好ましいが、電着塗装法により厳密に同
一の膜厚を得ることは、実際には極めて困難である。し
たがって、蛍光X線分析法において一般的に採用されて
いる膜厚の補正を行う必要があるが、本発明において
は、以下に説明する膜厚の補正方法が好ましい。
と、フッ素樹脂濃度が既知な標準試料から得られた塗膜
についての塩素原子のX線強度を対比させる際には、塗
膜の膜厚の影響が無視できるように、両塗膜の膜厚を同
一にすることが好ましいが、電着塗装法により厳密に同
一の膜厚を得ることは、実際には極めて困難である。し
たがって、蛍光X線分析法において一般的に採用されて
いる膜厚の補正を行う必要があるが、本発明において
は、以下に説明する膜厚の補正方法が好ましい。
【0022】すなわち、フッ素樹脂濃度がA重量%と既
知な電着塗料(以下標準試料という)を用い、膜厚の異
なる塗膜を数〜10個程度作成して、膜厚と塩素原子に
よるX線強度の関係式(以下補正式という)を得てお
く。この式からフッ素樹脂濃度がA重量%の電着塗料か
ら形成された塗膜に関して、膜厚に応じたX線強度を知
ることができる。
知な電着塗料(以下標準試料という)を用い、膜厚の異
なる塗膜を数〜10個程度作成して、膜厚と塩素原子に
よるX線強度の関係式(以下補正式という)を得てお
く。この式からフッ素樹脂濃度がA重量%の電着塗料か
ら形成された塗膜に関して、膜厚に応じたX線強度を知
ることができる。
【0023】フッ素樹脂濃度が未知の試料から得られた
塗膜の膜厚がLμm だったとして、それから得られたX
線強度(XX とする)と上記補正式において膜厚がLμ
m に対応する標準試料のX線強度(XS とする)から以
下の計算式によって、未知試料中のフッ素樹脂濃度(C
重量%とする)を求めることができる。 C=A×(XS /XS ) このように、フッ素樹脂濃度がA重量%という1点の標
準試料しか使用しない定量方法は、一点標準絶対検量線
法と称されているものである。
塗膜の膜厚がLμm だったとして、それから得られたX
線強度(XX とする)と上記補正式において膜厚がLμ
m に対応する標準試料のX線強度(XS とする)から以
下の計算式によって、未知試料中のフッ素樹脂濃度(C
重量%とする)を求めることができる。 C=A×(XS /XS ) このように、フッ素樹脂濃度がA重量%という1点の標
準試料しか使用しない定量方法は、一点標準絶対検量線
法と称されているものである。
【0024】上記標準試料におけるフッ素樹脂濃度とし
ては、実際に分析しようとしている未知試料について想
定されるフッ素樹脂濃度と近似な濃度を採用することが
好ましい。また、測定値の信頼性をより一層高めるため
に、蛍光X線分析用の試験片については、複数枚、例え
ば3枚づつ作製し、それらから得られた測定値の平均値
を採用する事が好ましい。
ては、実際に分析しようとしている未知試料について想
定されるフッ素樹脂濃度と近似な濃度を採用することが
好ましい。また、測定値の信頼性をより一層高めるため
に、蛍光X線分析用の試験片については、複数枚、例え
ば3枚づつ作製し、それらから得られた測定値の平均値
を採用する事が好ましい。
【0025】電着塗料中のフッ素樹脂以外の樹脂分例え
ばアクリル樹脂やメラミン樹脂の濃度は、赤外線吸収ス
ペクトル法、窒素原子を対象とする元素分析法またはそ
の他の既知の手段等によって分析することができる。電
着塗料の樹脂分が、例えばフッ素樹脂、アクリル樹脂お
よびメラミン樹脂の3種で構成されている場合には、メ
ラミン樹脂については元素分析法による窒素原子の定量
により、またアクリル樹脂については樹脂分の合計量
(固形分として測定される)からフッ素樹脂とメラミン
樹脂の合計量を差し引くことにより、それぞれの含有量
を求めることができる。
ばアクリル樹脂やメラミン樹脂の濃度は、赤外線吸収ス
ペクトル法、窒素原子を対象とする元素分析法またはそ
の他の既知の手段等によって分析することができる。電
着塗料の樹脂分が、例えばフッ素樹脂、アクリル樹脂お
よびメラミン樹脂の3種で構成されている場合には、メ
ラミン樹脂については元素分析法による窒素原子の定量
により、またアクリル樹脂については樹脂分の合計量
(固形分として測定される)からフッ素樹脂とメラミン
樹脂の合計量を差し引くことにより、それぞれの含有量
を求めることができる。
【0026】本発明による分析結果および上記方法によ
るその他の樹脂に関する分析結果から、塗装浴中の電着
塗料の各樹脂の濃度または比率の変化を的確にしかも速
やかに知ることが可能となり、その変化に応じて不足す
る樹脂を適宜補充することによって、塗装浴は適正に管
理される。
るその他の樹脂に関する分析結果から、塗装浴中の電着
塗料の各樹脂の濃度または比率の変化を的確にしかも速
やかに知ることが可能となり、その変化に応じて不足す
る樹脂を適宜補充することによって、塗装浴は適正に管
理される。
【0027】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体
的に説明する。
的に説明する。
【実施例1】(樹脂分の比率が既知な標準試料を用い
て、繰り返し測定精度を評価した。)フッ素樹脂/アク
リル樹脂/メラミン樹脂の比率が重量比で30/30/
40であり、樹脂分濃度が10重量%である水性電着塗
料液を用い、20μmの膜厚を目標にして130Vで3
分間の条件でアルミニウム板(寸法:150mm×70mm
×1mm)上に電着塗装を行った。上記の電着塗装操作を
5回繰り返し、5枚の試験片を得た。得られた塗膜の厚
みを膜厚計で測定した結果、19.3〜20.5μmの範囲
でバラツキがあった。上記試験片の塗膜に蛍光X線分析
法を適用して、塩素原子から発生するX線強度を測定
し、得られたそれぞれの測定値を別途作成しておいた膜
厚の補正式により、膜厚20μmでのX線強度に換算し
た結果は、以下のとおりであった。
て、繰り返し測定精度を評価した。)フッ素樹脂/アク
リル樹脂/メラミン樹脂の比率が重量比で30/30/
40であり、樹脂分濃度が10重量%である水性電着塗
料液を用い、20μmの膜厚を目標にして130Vで3
分間の条件でアルミニウム板(寸法:150mm×70mm
×1mm)上に電着塗装を行った。上記の電着塗装操作を
5回繰り返し、5枚の試験片を得た。得られた塗膜の厚
みを膜厚計で測定した結果、19.3〜20.5μmの範囲
でバラツキがあった。上記試験片の塗膜に蛍光X線分析
法を適用して、塩素原子から発生するX線強度を測定
し、得られたそれぞれの測定値を別途作成しておいた膜
厚の補正式により、膜厚20μmでのX線強度に換算し
た結果は、以下のとおりであった。
【0028】
【表1】 表1より補正後X線強度は、平均値が161.7で変動係
数が0.4%であることが分かる。
数が0.4%であることが分かる。
【0029】
【比較例1】実施例1で使用したものと同一の水性電着
塗料を、塗膜表面がより平滑になるようにイソプロパノ
ールで希釈した後、バーコーターを使用して、実施例1
と同じ寸法のアルミ板上に20μmほどの厚みに塗布し
て、蛍光X線分析法用の試験片を5枚作成した。以下、
実施例1と同様に蛍光X線分析法によるX線強度の測定
および膜厚の補正を行った。上記5枚の補正後X線強度
のバラツキは、変動係数で2.3%であり、実施例1にお
ける変動係数0.4%と比較して随分劣っていた。
塗料を、塗膜表面がより平滑になるようにイソプロパノ
ールで希釈した後、バーコーターを使用して、実施例1
と同じ寸法のアルミ板上に20μmほどの厚みに塗布し
て、蛍光X線分析法用の試験片を5枚作成した。以下、
実施例1と同様に蛍光X線分析法によるX線強度の測定
および膜厚の補正を行った。上記5枚の補正後X線強度
のバラツキは、変動係数で2.3%であり、実施例1にお
ける変動係数0.4%と比較して随分劣っていた。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、塩素原子を有するフッ
素樹脂およびその他の樹脂からなる電着塗料中のフッ素
樹脂濃度を簡単な操作でしかも速やかに高精度に測定で
き、本発明の測定方法は、電着塗装工程における電着浴
中の樹脂濃度の管理分析用に最適である。
素樹脂およびその他の樹脂からなる電着塗料中のフッ素
樹脂濃度を簡単な操作でしかも速やかに高精度に測定で
き、本発明の測定方法は、電着塗装工程における電着浴
中の樹脂濃度の管理分析用に最適である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 31/00 Q (72)発明者 竹井 利明 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内
Claims (2)
- 【請求項1】 塩素原子を有するフッ素樹脂とその他の
樹脂とを樹脂分とする電着塗料からなる塗装浴から、該
電着塗料の一部を測定用試料として採取し、これを電着
塗装法により金属試験板上に塗装し、得られる塗膜中の
塩素原子濃度を蛍光X線分析方法により測定することを
特徴とする、前記塗装浴における電着塗料中のフッ素樹
脂濃度の測定方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のフッ素樹脂濃度の測定方
法による測定値に基づき、塩素原子を有するフッ素樹脂
とその他の樹脂との比率を経時的に制御しつつ電着塗装
を行うことを特徴とする塗装体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6012122A JPH07197296A (ja) | 1994-01-07 | 1994-01-07 | 電着塗料中のフッ素樹脂濃度の測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6012122A JPH07197296A (ja) | 1994-01-07 | 1994-01-07 | 電着塗料中のフッ素樹脂濃度の測定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07197296A true JPH07197296A (ja) | 1995-08-01 |
Family
ID=11796746
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6012122A Pending JPH07197296A (ja) | 1994-01-07 | 1994-01-07 | 電着塗料中のフッ素樹脂濃度の測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07197296A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015524930A (ja) * | 2012-08-14 | 2015-08-27 | エレメント シックス テクノロジーズ リミテッド | 電気化学的析出及びx線蛍光分光計 |
CN116678840A (zh) * | 2023-08-03 | 2023-09-01 | 腾强科技(北京)有限责任公司 | 一种水性低温耐腐蚀性涂料成分分析方法 |
-
1994
- 1994-01-07 JP JP6012122A patent/JPH07197296A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015524930A (ja) * | 2012-08-14 | 2015-08-27 | エレメント シックス テクノロジーズ リミテッド | 電気化学的析出及びx線蛍光分光計 |
CN116678840A (zh) * | 2023-08-03 | 2023-09-01 | 腾强科技(北京)有限责任公司 | 一种水性低温耐腐蚀性涂料成分分析方法 |
CN116678840B (zh) * | 2023-08-03 | 2023-10-10 | 腾强科技(北京)有限责任公司 | 一种水性低温耐腐蚀性涂料成分分析方法 |
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