JPH07195706A - インクタンク、インク記録ヘッドカートリッジおよび装置 - Google Patents

インクタンク、インク記録ヘッドカートリッジおよび装置

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JPH07195706A
JPH07195706A JP35023893A JP35023893A JPH07195706A JP H07195706 A JPH07195706 A JP H07195706A JP 35023893 A JP35023893 A JP 35023893A JP 35023893 A JP35023893 A JP 35023893A JP H07195706 A JPH07195706 A JP H07195706A
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Hiroyuki Ishinaga
博之 石永
Jun Kawai
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 負圧発生部材を使用したインク使用効率の高
いインクタンクおよびインクジェットヘッドカートリッ
ジならびにインクジェット記録装置を提供する。 【構成】 記録ヘッドへの供給部2および大気連通部3
を具備するとともにインク吸収体Fを内包する供給部イ
ンク室aと、この供給部インク室aに連通しかつインク
を貯蔵するインク室bとからなるインクタンクであっ
て、前記インク吸収体Fを三次元網状構造を有する多孔
質体でありかつアミノ基を有する化合物とホルムアルデ
ヒドとの縮合生成物をベースとする発泡体で形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は記録ヘッドにインクを供
給して記録媒体に印字記録するインクジェット記録装置
のインクカートリッジに関する。なお、ここで、記録と
は、布、糸、紙、シート材等のインク付与を受けるイン
ク支持体全てへのインク付与等(プリント)を含むもの
で、記録装置は、各種情報処理装置全てあるいはその出
力器としてのプリンタを含むものであり、本発明はこれ
らへの用途が可能なものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置に使用されてい
るインクタンクは、記録時に記録ヘッドから吐出される
インク量に見合ったインクを良好に供給できるととも
に、非記録時においては吐出口からのインクの漏れなど
がないことが要求される。
【0003】また、そのインクタンクが交換型である場
合には、インクタンクの脱着がスムーズでその際のイン
ク漏れなどがなく、確実に記録ヘッドへインクを供給す
ることが要求される。
【0004】従来のインクジェット記録装置用のインク
タンクとしては、まずインク袋にインクを入れたものを
記録ヘッド位置に対して下方に装着し、インク供給チュ
ーブを引き回すことにより記録ヘッドにインクを供給す
る方式のものがある。この方式はタンクと記録ヘッドと
の高さの差によって負の水頭圧を発生させて、インク吐
出口部で安定したインクのメニスカスを維持している。
しかしながら、供給系自体が非常に大きなものとなり装
置の小型化が難しいばかりか、チューブでのインクの蒸
発などにともない回復ポンプでのインクの消費量の増大
を招き、廃インク処理の問題やランニングコストの増大
という問題もあった。
【0005】この他に従来のインクジェット記録装置に
使用されるインクタンクとしては、特開昭63−632
42号公報に開示されているものがある。これは、イン
クタンク内に発泡剤(吸収体)が配置された複数のイン
ク射出オリフィスを備えたインクジェット記録カートリ
ッジであり、記録ヘッドのインク吐出部で安定したイン
クのメニスカスを維持するために、インクタンク内に発
泡剤であるポリウレタンフォームのような吸収体を充填
し、この吸収体の毛細管力によってインクを保持してい
る。この場合、インクタンク内ほぼ全体に吸収体を必要
とし、吸収体が最大保持可能なインク量よりもやや少な
いインクを保持させておくことにより、内部負圧を発生
させているので、記録ヘッドおよびインクタンクに振動
などの機械的衝撃や温度変化などの熱的衝撃が付与され
た場合でも記録ヘッドの吐出部やインクタンクの大気連
通部からのインクの漏れ出しがない。しかしながら、こ
の従来のタンク内全体に吸収体を充填した方式はインク
タンク容積に対する保持可能なインク量(インク保持比
率)が少なく、しかも使用されずに残るインク量が多く
なり使用効率が悪いという問題があった。さらにインク
タンクが記録ヘッドとともにキャリッジ上に搭載し記録
紙に対向して記録走査することを考えると記録装置本体
の小型化やランニングコストの低減化の上で問題となっ
ていた。
【0006】そこでインクの使用効率の高いものが望ま
れておりインクタンク内には吸収体を用いない方式のも
のも提案されている。
【0007】特開昭56−67269号公報および特開
昭59−98857号公報には、インクタンク内にバネ
で付勢したインク袋を用いた方式が開示されている。こ
のバネ袋方式はバネ力を用いてインク供給部での内部負
圧を安定して発生させている点で優れているが、所定の
内部負圧を得るためにバネ形状の制約やインクタンクに
袋を固定する工程がやや複雑になり製造コストが高いこ
と、さらに薄型のインクタンクではインク保持比率が小
さくなるなどの問題がある。
【0008】また、最近ではインクタンク内全体に吸収
体を充填せずに、部分的にポリウレタンフォームのよう
な吸収体を充填したタイプのものが提案されている。こ
れは、多孔質部材を充填していない部分を設けることに
より、インク保持比率を向上させたことによりインクの
使用効率を向上している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のイ
ンクカートリッジは、インクの使用効率、インク漏れ、
安定負圧の発生等の観点から必ずしも満足のいくもので
はなかった。
【0010】また、従来、この種インクタンクに収納さ
れる吸収体としては、ウレタン樹脂の発泡体でなるもの
が多い。ここに、かかるウレタン発泡体はその形成時に
空洞部(ポア)を含み込むように膜が形成させてしま
い、多数のポアが互いに隔絶されてそのままでは到底イ
ンク含浸用吸収体としての機能を果たし得なくなるの
で、加熱、洗浄等の除膜処理を施している。
【0011】しかしながら、ウレタン発泡体をインクタ
ンク内の吸収体として用いる場合には、インクタンクの
収容空間に対して圧縮した状態で収納されたり、あるい
はインク導出部接続部材との連通部において適切な負圧
の勾配を設けるためにその部分が圧縮されることもある
が、上記除膜処理によっても膜の完全な除去は極めて困
難であって、実際にはポアにかなりに膜の残滓が付着し
ており、このために圧縮時に隣接するポア間で膜の残滓
が相補しあい、インクの消費に伴って生ずべき吸収体内
でのインクの流れを阻害し、すなわちインクタンク外部
へのインク供給性に支障を来すおそれがある。
【0012】本発明の目的は、負圧発生部材を使用した
インク使用効率の高いインクタンクおよびインクジェッ
トヘッドカートリッジならびにインクジェット記録装置
を提供することにある。
【0013】また、本発明は、物流時やインクジェット
記録装置の使用条件において、記録ヘッドおよびインク
タンクに振動などの機械的衝撃や温度変化などの熱的衝
撃が付与された場合でもインクの漏れ出しのない、より
信頼性の高いインクタンクおよびインクジェットヘッド
カートリッジならびにインクジェット記録装置を実現す
ることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の第1のインクタンクは、記録ヘッドへの供給部およ
び大気連通部を具備するとともにインク吸収体を内包す
る供給部インク室と、この供給部インク室に連通しかつ
インクを貯蔵するひとつないしは複数のインク室とから
なるインクタンクであって、前記インク吸収体が三次元
網状構造を有する多孔質体でありかつアミノ基を有する
化合物とホルムアルデヒドとの縮合生成物をベースとす
る発泡体からなることを特徴とする。
【0015】また、本発明の第2のインクタンクは、前
記第1のインクタンクにおいて、記録ヘッドの供給部を
具備するとともにインク吸収体を内包する供給部インク
室と、この供給部インク室に連通しかつインクを貯蔵す
るひとつないし複数のインク室とからなり、前記供給部
インク室と連通しかつ大気連通部を有するインク室がイ
ンク吸収体を内包しており、該インク吸収体が三次元網
状構造を有する多孔質体でありかつアミノ基を有する化
合物とホルムアルデヒドとの縮合生成物をベースとする
発泡体からなることを特徴とする。
【0016】また、本発明の第3のインクタンクは、前
記第1または第2のインクタンクにおいて、隣接するイ
ンク室との連通部に毛細管部材を設けたことを特徴とす
る。
【0017】また、本発明の第4のインクタンクは、前
記第1,第2または第3のインクタンクにおいて、前記
アミノ基を有する化合物は、メラミン、尿素、カルボン
酸アミド、ジシアンジアミド、グアニジン、スルフリル
アミド、スルホン酸アミド、脂肪族アミン、ベンゾグア
ナミンおよびその誘導体の少なくとも1種類であること
を特徴とする。
【0018】また、本発明の第5のインクタンクは、前
記第1〜第4の何れかにおいて、記録ヘッドとインクタ
ンクとを分離交換可能に構成したことを特徴とする。
【0019】本発明のインクジェットカートリッジは、
前記第1〜第5のインクタンクと、該インクタンクから
インクの供給を受け、該インクを吐出することによって
記録を行う記録ヘッドとを有することを特徴とする。
【0020】また、本発明の第2のインクジェットヘッ
ドカートリッジは、前記第1のインクジェットヘッドカ
ートリッジにおいて、前記記録ヘッドは、インクを吐出
するために利用されるエネルギを発生する吐出エネルギ
発生素子と、該発生素子に対応して設けられた液路と、
該液路に連通するインクを吐出ための吐出口とを備えて
なることを特徴とする。
【0021】また、本発明の第3のインクジェットヘッ
ドカートリッジは、前記第1または第2のインクジェッ
トヘッドカートリッジにおいて、前記インクジェットヘ
ッドは、前記エネルギ発生素子として、前記インクに膜
沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する電気熱変換体を
有することを特徴とする。
【0022】また、本発明のインクジェット記録装置
は、前記第1〜第3の何れかのインクジェットヘッドカ
ートリッジを具えたインクジェット記録装置であって、
前記インクジェットヘッドが記録装置本体に対して着脱
可能であることを特徴とする。
【0023】インク吸収体を充填したインク室とそれに
連通したひとつないしは複数の吸収体を充填していない
インク室とからなるインクタンクにおいて、インク吸収
体として、従来のウレタン発泡体とは全く異なる、三次
元網構造を有する多孔質体でありかつアミノ基を有する
化合物とホルムアルデヒドとの縮合体で形成されてなる
発泡体を用いる。
【0024】この吸収体は、発泡剤の回路網の隙間に薄
膜が存在していない全く骨組みだけの回路網で形成され
ている本来的に網状の構造を有するものであるので、除
膜処理を必要としないこと、回路網を構成する繊維が微
細であるためにウレタン発泡体に比べより大量のインク
を充填し得ること、撥水性を呈するウレタン発泡体に対
し浸水性を有するものであるためにインクの初期充填処
理が容易であること、本来的に膜を有さないためにイン
ク消費時にウレタン発泡体のように膜もしくはその残滓
によってインクが取り残されず、したがって効率的にイ
ンクを使いきることができること、等の利点を有してい
る。
【0025】上記三次元網状構造を有する多孔質体であ
りかつアミノ基を有する化合物とホルムアレデヒドとの
縮合体で形成されてなる発泡体を、上記インク吸収体を
充填したインク室とそれに連通したひとつないしは複数
の吸収体を充填していないインク室とからなるインクタ
ンクに用いることで、安定した吐出を維持するとともに
インクの漏れ出しを確実に防止できるインク保持比率の
高いインクジェット用インクカートリッジを実現するこ
とが可能となった。
【0026】なお、本発明で用いる三次元網構造を有す
る多孔質体でありかつアミノ基を有する化合物とホルム
アルデヒドとの縮合体で形成されてなる発泡体として
は、メラミン発泡体を挙げることができる。
【0027】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいてさらに詳細
に説明する。
【0028】〈第1実施例〉図1は第1実施例のインク
タンクの一部を破断して示した模式斜視図であり、図2
(A)は第1実施例の模式断面図である。
【0029】図1および図2に示すように本実施例のイ
ンクタンク1は、インクカートリッジ本体1aの内部を
インク室壁1bで2つのインク室a,bに仕切るととも
に両者を底部で連通させ、一方の供給部インク室aに毛
細管力を調整したインク吸収体Fを充填するとともにイ
ンクジェット記録ヘッドと連結するためのインク供給部
2と大気連通部3を備えた構成となっている。
【0030】大気連通部3およびインク供給部2の位置
は特にこれに限定されるものではなく、図2(B)に示
したような位置関係であっても良い。
【0031】図3は本発明のインクジェット記録装置の
記録ヘッド、インクタンク、キャリッジの結合の状態を
示す断面図である。
【0032】本実施例における記録ヘッド10は電気信
号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための
熱エネルギーを生成する電気熱変換体を用いて記録を行
うサーマルインクジェット方式のものである。
【0033】図3において記録ヘッド10の主たる構成
はすべてヘッドベースプレート11に設けた位置決め用
の突起を位置決め基準としてヘッドベースプレート11
上に接着ないしは圧着して積層配置されて成る。ここ
で、図3の面内上下方向はキャリッジHCのヘッド位置
決め部104と突起とで位置決めされる。更に図3の横
断図の垂直方向は、突起の一部がヘッド位置決め部10
4を覆うように突出し、該突起の切り欠き部(不図示)
とヘッド位置決め部104とで位置決めされる。ヒータ
ボード13はSi基板上に複数の列状に配された電気熱
変換体(吐出ヒータ)と、これに電力を供給するAl等
の電気配線とが成膜技術により形成されてなり、本体装
置からの電気信号を受け取るパッドを端部に配した配線
を有するヘッドフレキシブル基板(以下、「ヘッドPC
B」という。)105に対して、それぞれの配線を対応
させてワイヤボンディングにより接続されている。吐出
ヒータに対応して複数のインク流路を各々区分するため
の隔壁や流路を介して交換インクタンク1からインクを
導入してインク流路に供給する共通液室と複数の吐出口
を形成するオリフィスとをポリサルフォン等で一体成型
した溝天板12をヒータボード13に不図示のバネで押
圧するとともに封止剤を用いて圧着固定および封止して
インク吐出部を形成している。溝天板12に結合封止さ
れた流路15を有する部材は、交換インクタンク1と結
合可能とするために本実施例においてはヘッドPCBお
よびヘッドベースプレート11に設けた穴を通ってヘッ
ドベースプレート11の反対側へ貫通させるとともに、
貫通部でヘッドベースプレート11に接着固定されてい
る。また、流路15のインクタンク1と結合する側の端
部には吐出部へのゴミや不如意の気泡などの流入を防止
するためのフィルタ8が設けてある。交換用インクタン
ク1は係合ガイド5および加圧手段103とにより記録
ヘッド10と結合され、インク供給部2のインク吸収体
Fが流路15の先端に設けたフィルタ8と接することに
より機械的に結合がなされる。結合後、記録装置本体の
記録ヘッド吸引回復ポンプ5015などを用いて、記録
ヘッド10に交換インクタンク1から強制的にインクを
供給充填することでインク結合を行う。
【0034】本実施例では加圧手段による結合時に記録
ヘッド10および交換用インクタンク1が三次元網構造
を有する多孔質体でありかつアミノ基を有する化合物と
ホルムアルデヒドとの縮合体で形成されてなる発泡体を
用いる。結合されるとともに、同一方向で記録ヘッド1
0とキャリッジHCとが機械的および電気的接続がなさ
れることになるのでヘッドPCB105上のパッドとヘ
ッド駆動電極102との位置決めも確実に行われる。
【0035】リングシール9はインク供給部2のガタを
許容できるように交換インクタンク1の外壁との接合部
を広めに取れるように、本実施例ではやや太い弾性体リ
ングで構成している。
【0036】以上説明したように、本実施例では交換イ
ンクタンク1と記録ヘッド10とを十分に結合させた上
で交換インクタンクを付勢することで、キャリッジと記
録ヘッドと位置決めを簡単な構成で確実に行うととも
に、記録ヘッド10と交換インクタンク1とを本体外で
簡単に結合した上でキャリッジHCに装着する様にした
ので交換操作を容易にすることができた。また、本実施
例では、キャリッジ(記録装置本体)と記録ヘッドとの
電気的接続も同時に行うように構成したので、記録ヘッ
ド・交換インクタンクの交換時の操作性も良好である
が、電気的接続を別途コネクタ接続方式などにして、記
録ヘッドの位置決めと交換インクタンクとの結合をより
確実なものとするための構成自由度を高くするのも良
い。
【0037】ここで、本実施例におけるインクジェット
記録装置における記録ヘッドの配置および動作を説明す
るために、斜視図である図4を用いて簡略に本発明の記
録装置一例の動作を説明する。図4で、記録媒体Pをプ
ラテンローラ5000を用いて紙面下方から上方へ案内
し、紙押さえ板5002でキャリッジ移動方向にわたっ
てプラテン5000に対して押圧する。キャリッジHC
は、キャリッジ駆動ピンをそのらせん溝5004にはめ
込んでそれ自身が回転することで駆動源として動作する
リードスクリュー5005とリードスクリューに平行に
配置されたスライダ5003とに支持係合されてプラテ
ンローラ5000上に案内された記録媒体Pの記録面に
沿って左右に往復動する。リードスクリュー5005は
駆動伝達ギア5011,5009を介して駆動モータの
正逆回転に連動して回転駆動制御される。5007,5
008はフォトカプラでキャリッジHCのレバー500
6のこの域での存在を確認してモータ5013の回転方
向切換等を行うためのホームポジション検知手段であ
る。画像記録信号は記録ヘッドを搭載するキャリッジH
Cの移動にタイミングを計って記録ヘッド10に送られ
所定の位置でインク滴を吐出させて記録を行う。501
6は記録ヘッド10の前面をキャップするキャップ部材
5022を支持する部材で、5015はこのキャップ内
を吸引する吸引手段でキャップ内開口5023を介して
記録ヘッドの吸引回復を行う。5017はクリーニング
ブレードで、5019はこのブレードを前後方向に移動
可能にする部材であり、本体支持板5018にこれらは
支持されている。吸引手段、ブレード等は、この形態で
なくとも良く、周知のものが適用可能なことはいうまで
もない。また、5012は、吸引回復動作のタイミング
を決めるためのレバーで、キャリッジと係合するカム5
020の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力
がクラッチ切換等の公知の伝達手段で移動制御される。
これらの回復手段はキャリッジHCがホームポジション
側領域にきたときにリードスクリュー5005の作用に
よってそれらの対応位置で所望の処理が所定のタイミン
グで行える様に構成されている。
【0038】以下に本発明のインクカートリッジをより
詳細に説明する。
【0039】図5のインクの状態は、インク室a,bに
十分にインクが充填された初期状態を示し、図6は初期
状態からインク室aの供給可能なインクおよびインク室
bの1/3程度のインクを消費した状態である。
【0040】インクカートリッジ開封直後の負圧を維持
するためにはインク室bのには容積限度まで充填しても
良いが、インク室aへのインク充填量は吸収体のインク
保持力限度以下で設定することが好ましく、その範囲内
で図5のようにインク室aの大部分にインクの充填が可
能である。ここで言うインク保持力とは吸収部材にイン
クを含浸させた際の部材単独で保持できる能力を言う。
【0041】図6において、圧縮インク吸収体F内のイ
ンクは、記録ヘッドの吐出部からの水頭圧とインク室b
内の減圧と圧縮インク吸収体F内の毛細管力とが釣り合
った高さで維持されている。インク供給部からインク供
給がなされるとインク室aのインク量は減らず、インク
室bのインクが消費される。すなわち、インク室a内の
インク分布は変化せず内圧の平衡を維持したまま、イン
ク室bからインク供給に見合うだけのインクが消費され
るとともにその分の大気がインク室aを介して大気連通
部3から導入される。
【0042】この際、インク室aとインク室bの連通部
ではインクと大気の交換が生じ、インク室aの圧縮イン
ク吸収体Fに形成されたメニスカスのインク室bに近接
した部分から一部破断されて減圧されて、インク室bの
圧力が圧縮インク吸収体Fのメニスカス保持力等と釣り
合うようにインク室bに大気が導入される。すなわち、
インク供給部の内圧は、インク室aの圧縮インク吸収体
Fの毛細管力によって所定の値に維持される。この時、
記録ヘッドの流路15をインク供給部2内に押し込んで
フィルム8を吸収体に圧接させることにより、インク供
給部2付近の吸収体の圧縮率を部分的に高くしてインク
供給部2にインクがより多く分布させるようにし、イン
ク室壁1b際での気液交換が行われ易くしても良い。ま
た、図7に示したように、インク室aにインク室壁1b
と圧縮インク吸収体Fとの間にリブ4などを設けること
により大気連通部3からの空気が通り易くするようにし
ても良い。
【0043】図8は本実施例の交換インクタンク1のイ
ンク供給部2における内圧がインク供給量(消費量)に
応じて変化する様子を示すものである。初期状態ではイ
ンク室aにもある程度のインクが存在しており、圧縮イ
ンク吸収体Fの毛細管力によって内圧が発生している
が、インク供給に伴ってインク室aのインクが少なくな
るに従い圧縮インク吸収体Fの圧縮率分布(細孔分布)
に応じて毛細管力によって発生する内圧が徐々に高くな
る。さらにインクが消費されるとインク室a内のインク
分布は安定化して、インク室bのインクが消費されるよ
うになり、前述のごとくインク室bへ大気が導入される
ことで、以後ほぼ一定の内圧を保持する。インクが更に
消費されてインク室bのインクが全て消費されると再び
インク室aのインクが消費され始め、内圧が変化する。
インク供給部2の内圧が所定の負の値よりも大きくなっ
た時点でインクタンクの交換ないしは記録ヘッドと一体
的な交換が必要となる。
【0044】図9は圧縮吸収体Fのバッファ吸収体とし
ての機能を説明するもので、図6の状態から大気圧の減
圧ないしは気温の上昇などによるインク室b内の空気の
膨張などでインク室bのインクがインク室aの方へ流出
した様子を示している。本実施例ではインク室aに流出
したインクは圧縮吸収体Fで保持されるようにしてい
る。圧縮吸収体Fのインク吸収量とインク室との関係に
ついては、前述の減圧ないしは温度変化時のインクの漏
れを防止するという観点から、インク室bからの最悪条
件下でのインク流出量と、インク室bからのインク供給
時にインク室aに保持させるインク量とを考慮してイン
ク室aの最大インク吸収量を決め、少なくともその分の
圧縮吸収体Fを収納するだけの容積をインク室aに持た
せれば良い。図10に減圧前のインク室bの初期空間体
積と0.7気圧に減圧した場合のインク流出量との関係
を実線グラフに示した。また、大気圧の最大減圧条件を
0.5気圧とした場合は図10の一点鎖線に示した。イ
ンク室bからのインク流出量の最悪条件での見積は、例
えば、大気圧の最大減圧条件を0.7気圧とした場合、
インク室bからのインク流出量が最大となるのはインク
室bの容積VBの30%のインクがインク室bに残余し
ている場合であり、インク室壁下端部より下のインクも
インク室aの圧縮吸収体に吸収されるとすれば、インク
室bに残余している全てのインク(VBの30%)が漏
出すると考えれば良い。大気圧の最悪条件を0.5気圧
とした場合は、インク室bの容積の50%のインクが流
出することになる。すなわち、減圧下で膨張するインク
室bの内の空気は残余インク量が少ないほど大きくなり
大量のインクが押し出されることになるが、インク室b
内のインク量以上に流出することはない。したがって、
0.7気圧を想定した場合は残余インクが30%以下に
なると空気の膨張量よりも残余インク量が小さくなるの
でインク室aへの流出量は減少することになり、インク
室bの容積の30%が(0.5気圧では50%)が最大
漏出インク量となる。上記の現象はインクタンクの温度
変化の場合でも同様であるが、50deg程度の温度上
昇があっても流出量は上記減圧時よりも少ない。
【0045】本実施例に使用したインクの組成は以下に
示したようなものを用いた。
【0046】 組成 染料 4部 グリセリン 7.5部 チオジグリコール 7.5部 尿素 7.5部 純水 73.5部 この種のインクはコピー用紙やボンド紙といったいわゆ
る普通紙に対して文字品位の良好なインクである。一般
的にインクジェット用のインクはη/(γcosθ)の
値が小さいほどインクの紙への浸透を速くすることがで
きるといわれている。ここでηはインクの粘度,γはイ
ンクの表面張力,θはインクと紙の接触角である。一般
的に接触角を小さくし、紙への浸透を速くするとインク
が紙面上で不均一な繊維ファイバーに沿ってにじむこと
になり印字品位が低下する。印字品位を向上させるに
は、ひとつにはインク中の水(高γ,高θ)の比率を多
くすることで良化するが、紙への浸透性は低下する。上
述組成のインクは表面張力が40〜50dyne/cm
とインクとしては高表面張力の部類であり、定着性との
バランスを考慮しながら紙への浸透性を下げ、インクが
紙面上で広がって不均一な繊維ファイバーに沿ってにじ
む(フェザリング)のを防止し、印字品位を向上したも
のである。
【0047】この種のインクを使用し、上述したインク
タンクにインク吸収体としてウレタン発泡体を用いて減
圧試験をする、といくつかのインクタンクはインクが外
に漏れ出すという問題が発生し、タンクにばらつきがあ
ることがわかった。しかし、インク吸収体としてメラミ
ン発泡体を用いることにより、インク漏れが防止され
た。すなわち、検討の結果、インクバッファ室の効果は
その容量だけでなく、タンク内のインク吸収体の親水性
を向上させること、例えば従来のウレタン発泡体より浸
水性の高いメラミン発泡体を用いることによって解決す
ることがわかった。なお、メラミン発泡体は、三次元網
状構造を有する多孔質体でありかつアミノ基を有する化
合物とホルムアルデヒドとの縮合体で形成されてなる発
泡体のひとつである。
【0048】図11〜図13には、インク吸収体として
ウレタン吸収体F′を用い、インク漏れの発生したイン
クタンクの例を示した。
【0049】図11は、インクタンクの初期状態を示
し、図12は初期状態からインク室aの供給可能なイン
クおよびインク室bの1/5程度のインクを消費した状
態である。図13は、図12の状態から大気圧の減圧な
いし気温の上昇などによるインク室bの空気の膨張など
でインク室bのインクがインク室aの方へ押し出された
時を示しており、一部のインクはインク吸収体(ウレタ
ン発泡体)F′の以前インクが浸透していた部分に吸収
されるが、それ以外のインクは吸収体(ウレタン発泡
体)F′に吸収されずにタンク壁1aやインク室壁1b
と吸収体(ウレタン発泡体)F′との間隙をつたわって
大気連通部3などからインクが漏れ出してしまった。
【0050】これは、ウレタン発泡体の吸収体F′は、
インクに対して撥水性を示すので、一度インクを吸収し
ていた部分は表面状態が変化して再びある程度のインク
を吸収することができるが、一度もインクを吸収してい
ない部分は撥水性を保持したままなのでインクの吸収性
が悪い。
【0051】一方、図14にインク吸収体としてメラミ
ン発泡体Fを用いた場合の大気減圧時のインクの流れの
様子を示す。
【0052】図に示すようにメラミン発泡体Fは親水性
に優れているので、ウレタン発泡体とは異なり、一度も
インクを吸収していない部分でも速やかにインク室bよ
り流出したインクを吸収する。インクの吸収は図のよう
にインク室aとインク室bの連通部から大気連通部3に
向かって徐々に行われるので、インク室aをインクバッ
ファ室として最大限使うことができる。
【0053】また上述したように、このインクタンクは
最後にインク室aの吸収体に吸収されているインクが使
用されて終了となるが、ウレタン発泡体とメラミン発泡
体とを比較してみるとそのインク残量(使用不可量)に
差異がみられた。これは上述したようにメラミン発泡体
Fは形成時の膜を有さないためにインク消費時にウレタ
ン発泡体のように膜もしくはその残滓によってインクが
取り残されず、したがって効率的にインクを使いきるこ
とができることによる。
【0054】今回実際には、メラミン発泡体は、そのポ
アサイズ100μm〜800μmのものを、インク室壁
1bの面とインク供給系2の配置されている面の間で
1.1倍圧縮されて、インクタンクに収納されている。
【0055】このようにしてメラミン発泡体Fを用いた
インクタンクをインクジェット記録装置に搭載して減圧
試験を行ったところ、全てインク漏れはせず、しかも印
字品位の高いインクジェット記録装置用のインクタンク
が実現できた。
【0056】図15〜図16は本実施例の変形例を示す
図であり、インク室bに連通させてさらに2つのインク
室cおよびdを設けた例を示す。本変形例ではインク室
b,インク室c,インク室dの順でインクが消費され
る。本変形例でインク室を4つに分割しているのは、前
記実施例で説明した減圧環境下および温度変化時のイン
クの漏出を防止することにあり、例えば図16の状態で
インク室bおよびインク室c内の大気が膨張する場合、
インク室bの大気膨張分はインク室aを介して大気連通
部3から解放され、インク室cの大気膨張分はインク室
bおよびインク室aにインクが流出することで解消され
る。すなわち、インク室aにバッファ室としての機能を
持たせており、インク室aの圧縮インク吸収体Fのイン
ク保持容量はひとつのインク室からの漏出分を考慮して
設定すれば良いことになる。
【0057】この場合にも、インク室aの吸収体にメラ
ミン発泡体Fを使用することでバッファ室の効果が最大
に発揮されることはいうまでもない。
【0058】本実施例では、記録ヘッドをひとつ有する
単色記録装置で説明したが、異なる色のインクを吐出可
能な複数の記録ヘッド、例えば、Bk・C・M・Yの4
ヘッドを持つカラーインクジェット記録装置にも適用可
能であり、ひとつの記録ヘッドで複数色のインクを吐出
できる様な記録ヘッドでも適用可能であり、その場合は
交換タンクの結合位置・方向を規制する手段を付加すれ
ば良い。
【0059】また、本実施例ではインクタンクを交換す
る例で説明したが、記録ヘッドと所定量のインクを詰め
たインクタンクとを一体的に形成した、記録ヘッド・イ
ンクタンク一体交換方式に適用することも可能である。
【0060】〈第2実施例〉図17に第2実施例でのイ
ンクタンクの機能説明を行う。交換用インクタンク1は
内面を4つのインク室(a〜d)に仕切るとともに底部
で各々連通させるとともにインク供給部2のインク室a
およびインク室間の連通部とに毛細管力を調整したイン
ク吸収体Fをほぼ隙間なく詰め込むとともに、大気連通
部3を有するインク室dにはインクの漏出を防止するた
めのバッファ吸収体FB を詰め込んだ区分インク室方式
のインクカートリッジの改良型である。
【0061】図17のインクの状態は、インク室a,
b,cに十分に充填された初期状態からインク室cの半
分程度のインクを消費した状態である。さらにインクを
消費するとインク室cのインクがなくなった時点で図1
8に示すようにインク室bのインクが供給され始める。
図18の状態より更にインクが消費され、インク室bの
インクがなくなった時点でインク吸収体Fを詰めてある
インク室aのインク吸収体Fに保持されているインクを
供給し始め、インク室aのインクがほぼなくなった時点
で、交換インクタンクを交換する。図19は第2実施例
のインク供給およびインク内圧の発生原理を説明するも
のである。図19中左側のインク室はインクがほぼ消費
され、インク室間の連通部の作用により大気連通部3と
連通されているため大気圧の状態にある。インク室間連
通部を介してインク供給部2から記録ヘッド側へインク
供給が行われることにより、インク室間連通部の圧縮さ
れて毛細管力が高められているインク吸収体Fを介して
大気圧のインク室に隣接連通しているインク室からイン
クが流出供給する。インクが消費されたインク室はその
分だけ減圧されることになり、インク室間の圧縮された
インク吸収体Fに形成されたメニスカスが一部破断され
て減圧されたインク室の圧力が圧縮されたインク吸収体
のメニスカス保持力と釣り合うように消費中のインク室
に大気が導入される。すなわち、インク供給部の内圧
は、インク室間の連通部にある圧縮されたインク吸収体
の毛細管力によって所定の値に維持される。図20は第
2実施例の交換インクタンク1のインク供給部2におけ
る内圧がインク供給量(消費量)に応じて変化する様子
を示すものである。バッファ吸収体FB もしくはインク
吸収体の毛細管力によって内圧が発生しているが、イン
ク供給に伴ってインク室dとインク室cとの間の連通部
にある圧縮されたインク吸収体(圧縮部)の毛細管力に
よって内圧が発生するようになり、前述のごとくインク
室cからインクが供給されている間はほぼ一定の内圧を
保持する。インクがさらに消費されるとインク室bのイ
ンクが消費されはじめるが、インク室が切り替わる際に
インク供給部内圧がやや変動する。これはインクを連続
的に供給して内圧測定を行っていることと、インク室c
およびbがともに減圧されている状態が一時的に発生す
ることに関係すると考えられるが、記録ヘッドの記録特
性など機能上は大きな問題とはなっていないことを確認
した。インク室bのインクが安定して消費されるように
なると再び内圧が安定する。インク室bのインクが消費
されると、次にインク室aのインクが供給(消費)され
るようになる。本発明者の検討では図20に示したイン
ク安定供給期間で記録特性になんら問題はなく良好な記
録が行えた。
【0062】図21はバッファ吸収体の機能を説明する
もので、図17の状態から大気圧の減圧ないしは温度上
昇によるインク室c内の空気の膨張などでインク室cの
インクが溢れ出した様子を示している。本実施例ではイ
ンク室dに溢れ出したインクをバッファ吸収体で保持さ
せているが、0.7気圧の場合は最大でもインク室cの
容積の30%のインク量の漏出を考慮してバッファ吸収
体FB のインク吸収容量を決めれば良い。大気圧が減圧
前のレベルに回復(1気圧に戻ったとする)した場合
は、インク室dに漏出してバッファ吸収体FB に保持さ
れていたインクが再びインク室cに戻る。上記の現象は
インクタンクの温度変化の場合でも同様であるが、50
deg程度の温度上昇があっても漏出量は上記減圧時よ
りも少ない。
【0063】この場合も最大漏出インク量を考慮してイ
ンクバッファの設計を行えば良いと考えられるが、減圧
試験をするとバッファ吸収体にウレタン発泡体を用いた
インクタンクはいくつかインクが外に漏れ出すという問
題が発生したが、バッファ吸収体として親水性の高いメ
ラミン発泡体を用いることでインクが漏れ出すというこ
とはなかった。
【0064】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0065】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0066】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0067】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0068】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0069】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0070】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0071】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0072】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、毛細管
力を調整したインク吸収体を内包する供給部インク室と
それに連通しインクを貯蔵するひとつないしは複数のイ
ンク室とからなるインクタンクカートリッジにおいて、
内包する吸収体として、三次元網状構造を有する多孔質
体であってアミノ基を有する化合物とホルムアルデヒド
との縮合生成物をベースとする発泡体を用いることで、
記録時および非記録時においてもインクジェット記録装
置の使用環境の変化にともなうインク漏れがなく、イン
ク使用効率も高く、文字品位も良好なインクカートリッ
ジを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るインクタンクの構成を
示す概略図である。
【図2】本発明の図1のインクタンクの断面図である。
【図3】本発明の一実施例にかかるインクジェットヘッ
ドカートリッジの構成を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例にかかるインクジェット記録
装置の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施例のインクタンクの初期状態を
示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例のインクタンクの使用途中の
状態を示す断面図である。
【図7】本発明のインクタンクの変形例を示す断面図で
ある。
【図8】本発明の一実施例のインクタンクの内圧変化を
示す図である。
【図9】本発明のインクタンクの圧縮吸収体のバッファ
吸収体としての機能を説明する図である。
【図10】本発明のインクタンクの初期空間体積と減圧
した場合のインク流出量との関係を示す図である。
【図11】比較のためのインクタンクのインク漏れ状態
を示す断面図である。
【図12】比較のためのインクタンクのインク漏れ状態
を示す断面図である。
【図13】比較のためのインクタンクのインク漏れ状態
を示す断面図である。
【図14】本発明の一実施例のインクタンクの大気減圧
時のインクの流れの状態を示す図である。
【図15】本発明のインクタンクの変形例を示す断面図
である。
【図16】本発明のインクタンクの変形例を示す断面図
である。
【図17】本発明のインクジェットヘッドカートリッジ
の変形例で、初期状態を示す断面図である。
【図18】本発明のインクジェットヘッドカートリッジ
の変形例で、使用途中を示す断面図である。
【図19】図17のインクジェットヘッドカートリッジ
のインク供給およびインク内圧発生の原理を説明する図
である。
【図20】図17のインクジェットヘッドカートリッジ
のインク供給部のインク内圧変化を示す図である。
【図21】本発明のバッファ吸収体の機能を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 インクタンク 1a インクカートリッジ本体 1b インク室壁 2 インク供給部 3 大気連通部 10 記録ヘッド F 圧縮インク吸収体 FB バッファ吸収体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日隈 昌彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 石永 博之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 河合 潤 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 長田 虎近 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録ヘッドへの供給部および大気連通部
    を具備するとともにインク吸収体を内包する供給部イン
    ク室と、この供給部インク室に連通しかつインクを貯蔵
    するひとつないしは複数のインク室とからなるインクタ
    ンクであって、前記インク吸収体が三次元網状構造を有
    する多孔質体でありかつアミノ基を有する化合物とホル
    ムアルデヒドとの縮合生成物をベースとする発泡体から
    なることを特徴とするインクタンク。
  2. 【請求項2】 記録ヘッドの供給部を具備するとともに
    インク吸収体を内包する供給部インク室と、この供給部
    インク室に連通しかつインクを貯蔵するひとつないし複
    数のインク室とからなり、前記供給部インク室と連通し
    かつ大気連通部を有するインク室がインク吸収体を内包
    しており、該インク吸収体が三次元網状構造を有する多
    孔質体でありかつアミノ基を有する化合物とホルムアル
    デヒドとの縮合生成物をベースとする発泡体からなるこ
    とを特徴とするインクタンク。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のインクタンクにおいて、
    隣接するインク室との連通部に毛細管部材を設けたこと
    を特徴とするインクタンク。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載のインクタ
    ンクにおいて、前記アミノ基を有する化合物は、メラミ
    ン、尿素、カルボン酸アミド、ジシアンジアミド、グア
    ニジン、スルフリルアミド、スルホン酸アミド、脂肪族
    アミン、ベンゾグアナミンおよびその誘導体の少なくと
    も1種類であることを特徴とするインクタンク。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載のインクタ
    ンクにおいて、記録ヘッドとインクタンクとを分離交換
    可能に構成したインクタンク。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載のインクタ
    ンクと、該インクタンクからインクの供給を受け、該イ
    ンクを吐出することによって記録を行う記録ヘッドとを
    有することを特徴とするインクジェットヘッドカートリ
    ッジ。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のインクジェットヘッドカ
    ートリッジにおいて、前記記録ヘッドは、インクを吐出
    するために利用されるエネルギを発生する吐出エネルギ
    発生素子と、該発生素子に対応して設けられた液路と、
    該液路に連通するインクを吐出ための吐出口とを備えて
    なることを特徴とするインクジェットヘッドカートリッ
    ジ。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載のインクジェット
    カートリッジにおいて、前記インクジェットヘッドは、
    前記エネルギ発生素子として、前記インクに膜沸騰を生
    じさせる熱エネルギを発生する電気熱変換体を有するこ
    とを特徴とするインクジェットヘッドカートリッジ。
  9. 【請求項9】 請求項6,7または8記載のインクジェ
    ットヘッドカートリッジを具えたインクジェット記録装
    置であって、前記インクジェットヘッドが記録装置本体
    に対して着脱可能であることを特徴とするインクジェッ
    ト記録装置。
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