JPH07190055A - ミニアチュアリニアガイド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】振動や衝撃の加わる使用条件下においても安定
した精度が保証される案内レール取付け構造を有するミ
ニアチュアリニアガイド装置を安価に提供する。 【構成】左右両側壁１ｂの内面に負荷ボール転動溝１Ｂ
を有する案内レール１と、これに嵌合されるスライダ本
体３と、その凹部に嵌合され内部に無負荷ボール循環路
を有するサーキュレータ４と、その無負荷ボール循環路
を経て案内レール１の負荷ボール転動溝１Ｂを転動しつ
つ循環する多数のボール６とを備えたミニアチュアリニ
アガイド装置において、案内レール１の底面１ａの一部
を切り開いて幅方向外側に折り曲げ、側面外方に拡開せ
しめてレール取付け部１Ｔを設けた。レール取付け部１
Ｔが案内レール外部にあるためサイズが大きい取付けね
じを使用して締結力を強化できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータ関連機
器，ＯＡ機器，測定用機器，半導体製造設備などの比較
的小型の用途に好適なミニアチュアリニアガイド装置に
係り、特にその案内レール取付け構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のミニアチュアリニアガイド装置と
しては、例えば図４に示されているものがある。このも
のは、薄肉鋼板材を軸方向に長い断面ほぼＵ字形にプレ
ス成形してなる案内レール１に、スライダ２を滑動自在
に組み込んだものである。スライダ２は、薄肉鋼板材を
断面ほぼ逆Ｕ字形にプレス成形してなるスライダ本体３
の凹所に、プラスチック成形部品であって内部にボール
循環路を有するサーキュレータ４と、スライダ本体３及
びサーキュレータ４の両部材の間に介在せしめたプラス
チック製のキャップ５とを嵌めこんで一体に組み立てら
れている。

【０００３】案内レール１の内壁面とこれに対向したス
ライダ２の外壁面とには、それぞれ軸方向に延びる負荷
ボール転動溝１Ｂ，３Ｂが相対するように形成されてい
て、この両負荷ボール転動溝１Ｂ，３Ｂ内およびサーキ
ュレータ４内のボール循環路に多数のボール６が組みこ
まれている。そして、案内レール１内をスライダ２が直
線移動する際は、それらのボール６が転動しつつ無限循
環を繰り返すようになっている。

【０００４】案内レール１の固定は、図５に示すよう
に、レール底面１ａの取付け孔１ｄに小ねじＢ₁ を通
し、それを機台のねじ孔に螺合することにより行われ
る。一方、スライダ２は、スライダ本体上面の取付けね
じ孔３ｅに小ねじを螺合して機械テーブル等の他部材へ
取り付けられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ミニアチュアリニアガ
イド装置は、一般に装着スペースが小さい個所に使用さ
れることから、その装置高さをできるだけ低くすること
が望まれ、図５に示すように案内レール１とスライダ２
の両底面間の間隙αが小さくされている。しかしなが
ら、従来は、レール底面１ａの取付け孔１ｄに通した小
ねじＢ₁ の頭をこの小間隙α内に収納して機台に取り付
けるようにしているため、スライダ２と干渉することな
く使用できる小ねじＢ₁ のサイズが限定されてしまう。
そのため、振動や衝撃力が加わるような使用条件等の場
合に、小ねじＢ₁ のサイズを大きくして締結力の強化を
図ることができないし、また案内レールの取付け時に小
ねじの締付け力により案内レールに変形を生じやすいと
いう未解決の課題があった。

【０００６】ちなみに、対応策として、例えば案内レー
ル１の肉厚を厚くして取付け用小ねじの頭を深い座ぐり
孔内に完全に埋め込むことが考えられるが、その場合は
装置高さの増大，コスト増大などを招いてしまう。ま
た、案内レール１の側面の外部に取付け用の板を溶接す
ることも考えられるが、その場合は取付け部形成の溶接
工程が必要でコスト増大を招くと共に、案内レールの熱
歪による精度劣化等を招くことになる。

【０００７】そこで、本発明は上記従来の問題点に着目
してなされたもので、リニアガイド装置自体の高さを低
く抑えたままで締結力を強化することが簡単にできて、
振動や衝撃の加わる使用条件下においても安定した精度
が保証されると共に、案内レールの固定時に案内レール
の負荷ボール転動溝の形状精度が低下しにくい案内レー
ル取付け構造を有するミニアチュアリニアガイド装置を
安価に提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明は、ほぼＵ字形の断面を有して軸方向に延びると共
に相対する側壁内面に軸方向の負荷ボール転動溝を有す
る案内レールと、ほぼ逆Ｕ字形の断面を有して前記案内
レールの側壁内面間に嵌合されると共にその側壁外面に
前記案内レールの負荷ボール転動溝に対向する負荷ボー
ル転動溝が形成されたスライダ本体と、そのスライダ本
体の凹部に嵌合され内部に軸方向に延びる無負荷ボール
循環路を有するサーキュレータと、そのサーキュレータ
の無負荷ボール循環路を経て前記スライダ本体及び前記
案内レールの負荷ボール転動溝を転動しつつ循環する多
数のボールとを備えたミニアチュアリニアガイド装置に
おいて、前記案内レールの底面の一部を切り開いて幅方
向外側に折り曲げ、側面外方に拡開せしめてレール取付
け部を形成したことを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】本発明のミニアチュアリニアガイド装置は、案
内レールの取付け部がレール側面の外部に設けられてお
り、その取付け部にねじを通して案内レールを機台等に
固定するので、サイズの大きいねじを使用した場合も、
又は案内レールの長さの中間位置に取付けねじを配置し
ても、ねじ頭部とスライダとが干渉することはない。そ
のため、必要に応じてサイズの大きいねじを使用するこ
とにより、あるいは使用本数を増やすことにより、案内
レールの締結力を十分に増強させることができる。

【００１０】さらに、案内レールの取付け部をレール側
面の外部に突出した形で設けたので、従来ならば案内レ
ールの固定時にねじの締付け力によってレールの転動溝
の形状精度が悪くなるような場合にも、突出させた取付
け部のみで歪を吸収するので案内レールの固定時にレー
ル転動溝の形状精度が低下しにくい。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１〜図３は本発明の一実施例で、図１は分解斜
視図、図２は案内レールの正面図、図３は組み立て後の
全体斜視図である。なお、従来と同一または相当部分に
は同一の符号を付してある。

【００１２】図において、スライダ２を案内する案内レ
ール１は鋼板からプレス成形したものであって、底面１
ａとその両側縁を上方に折り曲げて形成された案内面と
なる側壁１ｂ，１ｂとで横断面ほぼＵ字形に形成され、
その各側壁１ｂ、１ｂの内壁面に一本づつ負荷ボール転
動溝１Ｂが軸方向に延長して形成されている。この負荷
ボール転動溝１Ｂ，１Ｂは互いに平行とされ、溝断面形
状はゴシックアーチ状（またはほぼ半円状）である。ま
た、底面１ａには、ミニアチュアリニアガイド装置の使
用に当たって案内レール１を機台など他の部材に取付け
るためのレール取付け部１Ｔ及び精度測定用の孔１ｅが
設けられている。

【００１３】そのレール取付け部１Ｔは、案内レールの
底面１ａの一部を幅一杯（側壁１ｂ，１ｂの下部に及ぶ
ように）に切り開いて、中央部から左右の幅方向へと側
壁１ｂ，１ｂの外側に向けて折り曲げ、レール底面１ａ
とほぼ同レベルになるように外方に拡開させることによ
り形成されている。こうして形成されている左右のレー
ル取付け部１Ｔには、ほぼ半円状の取付け凹部１ｆ（円
形のねじ取付け孔でも良い）が設けられている。レール
取付け部１Ｔの位置は、案内レール１の長さ方向の両端
近傍が良いが、更に必要に応じて案内レール１の長さの
中間位置にも設けて良く、その形成位置は任意に決定で
きる。

【００１４】スライダ２は、薄肉鋼板製で全長Ｌ_S のス
ライダ本体３と合成樹脂製で略同じ長さのサーキュレー
タ４及び合成樹脂製のキャップ５から構成されている。

【００１５】スライダ本体３は、案内レール１の両側壁
１ｂ，１ｂの内幅よりも幾らか幅の狭い外幅を有し、上
板部３ａとその両側縁を下方に折り曲げてなる側壁３
ｂ、３ｂとで横断面ほぼ逆Ｕ字状に形成されて案内レー
ル１の両側壁１ｂ，１ｂ間に配置され、その両側壁３ｂ
の外側面には案内レール１の負荷ボール転動溝１Ｂに対
向する負荷ボール転動溝３Ｂが軸方向に延長して形成さ
れている。この負荷ボール転動溝３Ｂの溝断面形状は案
内レール１と同様なゴシックアーチ状（またはほぼ半円
状）の溝とされている。スライダ本体の上板部３ａには
長手方向端部よりの位置にサーキュレータ４と係合する
ための固着用座グリ孔３ｄが形成され、更にその内側に
はスライダ２が取り付けられるテーブル等の他部材への
取付用ねじ孔３ｅが形成されている。

【００１６】サーキュレータ４は、射出成形で形成した
対称形状の二部材４Ａ，４Ｂを左右一体に接合するよう
になっている。図１には接合形状が示されている。セン
ター部の壁面４ｃとその左右両側に立設された壁面４
ｄ，４ｄとの間に軸方向に延びる無負荷ボール循環溝４
ｅ，４ｅを有する断面形状ヨ字形の胴部はスライダ本体
３の両側壁３ｂ間に嵌合される。その胴部の軸方向両端
部には、左右に張り出したつば部４ｇが設けられ、その
つば部４ｇに半円弧状の湾曲溝４ｈが無負荷ボール循環
溝４ｅ，４ｅに連通させて設けられている。そして、無
負荷ボール循環溝４ｅとその両端の半円弧状の湾曲溝４
ｈ，４ｈとで無負荷ボール循環路が構成される。なお、
半円弧状の湾曲溝４ｈの外側円弧面４ｈ₁ に対応させて
内側円弧面４ｈ₂ が壁面４ｄ，４ｄの軸方向の両端部に
形成されて、ボールを滑らかに案内するようになってい
る。湾曲溝４ｈの開放端（案内レール１の負荷ボール転
動溝１Ｂに連通する）である前記つば部４ｇの側端部に
は、その負荷ボール転動溝１Ｂに係合可能にボール掬い
突部４ｉが突設され、作動時のボールの循環が円滑に行
われるようにしている。またサーキュレータ４のつば部
４ｇの上面には円柱状の係合突起４ｊ（二部材４Ａ，４
Ｂにそれぞれ半円柱状に形成されており、一体に接合す
ることにより円柱状になる）が立設されている。

【００１７】キャップ５は、サーキュレータ４の二部材
４Ａ，４Ｂを一体的に接合して保持するもので、軸方向
の両端部にサーキュレータ４のつば部の円柱状の係合突
起４ｊが挿通される貫通孔５ａを有すると共に、左右両
側縁にはスライダ本体３の両側壁３ｂに遊嵌される切欠
部５ｂを備えている。

【００１８】スライダ２の組み立ては次のように行う。
左右一対の二部材４Ａ，４Ｂを突き合わせてなるサーキ
ュレータ４の円柱状の係合突起４ｊをキャップ５の貫通
孔５ａに挿通し、キャップ５をサーキュレータ４の上に
嵌める。次に、その上にスライダ本体３を被せて、固着
用座グリ孔３ｄにサーキュレータ４の係合突起４ｊを更
に挿通させる。

【００１９】その後、スライダ本体３の上面に突き出し
ている係合突起４ｊの頭部を熱圧着して溶着させること
により、スライダ本体３とサーキュレータ４とをキャッ
プ５を介在させて一体的に固定してスライダ２を組み立
てる。これにより、サーキュレータ４の無負荷ボール循
環溝４ｅと湾曲溝４ｈとがキャップ５で蓋されると共に
湾曲溝４ｈの開放端の内側円弧面４ｈ₂ がスライダ本体
３の負荷ボール転動溝３Ｂに滑らかに接続され、無負荷
ボール循環路が形成される。

【００２０】組み立てたスライダ２は案内レール１の凹
部に遊嵌され、上記の無負荷ボール循環路および案内レ
ール１の負荷ボール転動溝１Ｂとこれに対向するスライ
ダ２の負荷ボール転動溝３Ｂとの間に、多数のボール６
が装填される。湾曲溝４ｈの開放端の外側円弧面４ｈ₁
は、サーキュレータ４のつば部４ｇの側端部に突出する
ボール掬い突部４ｉを介して、案内レール１の負荷ボー
ル転動溝１Ｂの溝底部に近接して接続されるから、ボー
ル６の循環が円滑に行われる。

【００２１】次に、上記実施例の動作を説明する。案内
レール１は、その両側壁１ｂ，１ｂの外側に張り出して
いるレール取付け部１Ｔの取付け凹部１ｆに小ねじＢ₁
を通し、図外の機台にねじ止めして固定される。小ねじ
Ｂ₁ が案内レール１の外部に位置するため、必要に応じ
てサイズの大きい小ねじＢ₁ を使用しても、ねじの頭が
スライダ２と干渉することはない。また、レール取付け
部１Ｔを案内レール１の両端近くだけではなく、中間部
にも設けて小ねじＢ₁ の使用本数を増やすことが可能で
ある。このように、本実施例によれば案内レールの取付
けねじのサイズや本数を増すことが容易にでき、その結
果、機台等への案内レール１の締結力を増大させること
ができて、振動や衝撃力が加わる使用条件の下でも案内
レールの固定は確実に行われる。

【００２２】さらに、案内レールの取付け部をレール側
面の外部に突出した形で設けたので、従来ならば案内レ
ールの固定時にねじの締付け力によってレールの転動溝
の形状精度が悪くなるような場合にも、突出させた取付
け部のみで歪を吸収するので案内レールの固定時にレー
ル転動溝の形状精度が低下しにくい。

【００２３】一方、スライダ２は、スライダ本体３の上
板部３ａに形成されている取付け用ねじ孔３ｅを用い
て、図外のテーブルにねじ止めにより取り付けられる。
いま、テーブルを駆動させると、スライダ２は案内レー
ル１に沿って軸方向に移動する。案内レール１の負荷ボ
ール転動溝１Ｂとスライダ本体３の負荷ボール転動溝３
Ｂとの間に挿入されたボール６は、スライダ２の移動に
伴って転動しつつ、スライダ２の移動速度より遅い速度
で負荷ボール転動溝１Ｂ，３Ｂ内をスライダ２と同方向
に移動する。そしてサーキュレータ４の一端のつば部４
ｇに到達するとボール掬い突部４ｉにより掬い上げられ
て湾曲溝４ｈに入り、溝に沿ってＵターンして無負荷ボ
ール循環溝４ｅを通り反対側の湾曲溝４ｈにより逆Ｕタ
ーンされて案内レール１の負荷ボール転動溝１Ｂとスラ
イダ本体３の負荷ボール転動溝３Ｂに戻る循環を繰り返
す。

【００２４】この実施例のミニアチュアリニアガイド装
置によれば、スライダ２の走行時に、たとえテーブルの
振動やテーブル急停止時の衝突の衝撃力等が案内レール
１に伝達されても、先に述べたように案内レールの側面
外部に突設したレール取付け部１Ｔを介して大きな締結
力で固定されている案内レール１に緩みは生じないか
ら、従来は限度があった衝撃力の加わり易い空圧機器仕
様のテーブル等にも適用できて、高い案内精度や停止位
置精度が保証される。しかも、当該レール取付け部１Ｔ
は、案内レール１の底板面１ａの一部を切り開き幅方向
外側に折り曲げて形成することができるから、案内レー
ル１のプレス成形工程において同時に形成可能であり、
工数を増加することなく安価にできるという効果も奏す
る。なお、上記実施例では、シール部材を有しないミニ
アチュアリニアガイド装置について説明したが、シール
部材を設けたものに対しても同様に適用できることはい
うまでもない。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ほぼＵ字形の断面を有して軸方向に延びると共に相対す
る側壁内面に軸方向の負荷ボール転動溝を有する案内レ
ールと、ほぼ逆Ｕ字形の断面を有して前記案内レールの
側壁内面間に嵌合されると共にその側壁外面に前記案内
レールの負荷ボール転動溝に対向する負荷ボール転動溝
が形成されたスライダ本体と、該スライダ本体の凹部に
嵌合され内部に軸方向に延びる無負荷ボール循環路を有
するサーキュレータと、該サーキュレータの無負荷ボー
ル循環路を経て前記スライダ本体及び案内レールの負荷
ボール転動溝を転動しつつ循環する多数のボールとを備
えたミニアチュアリニアガイド装置において、前記案内
レールの底面の一部を切り開いて幅方向外側に折り曲
げ、側面外方に拡開せしめてレール取付け部を形成し
た。そのため、スライダとの干渉を起こさずにレール取
付け用ねじのサイズを大きくしたり本数を増やすことで
容易にレール締結力を増強することが可能となり、その
結果、振動や衝撃が加わる条件下においても長期間にわ
たってスライダの安定した走行が確保できると共に案内
レール固定時に案内レールの負荷ボール転動溝の形状精
度が低下しにくいミニアチュアリニアガイド装置を安価
に提供できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の分解斜視図である。

【図２】図１における案内レールの正面図である。

【図３】図１に示すものの組立後の全体斜視図である。

【図４】従来のミニアチュアリニアガイド装置の全体斜
視図である。

【図５】図４に示すものの正面図である。

【符号の説明】

１ 案内レール １ａ 底面 １ｂ 側壁 １Ｂ 負荷ボール転動溝 １Ｔ レール取付け部 ２ スライダ ３ スライダ本体 ３Ｂ 負荷ボール転動溝 ４ サーキュレータ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ほぼＵ字形の断面を有して軸方向に延び
   ると共に相対する側壁内面に軸方向の負荷ボール転動溝
   を有する案内レールと、ほぼ逆Ｕ字形の断面を有して前
   記案内レールの側壁内面間に嵌合されると共にその側壁
   外面に前記案内レールの負荷ボール転動溝に対向する負
   荷ボール転動溝が形成されたスライダ本体と、該スライ
   ダ本体の凹部に嵌合され内部に軸方向に延びる無負荷ボ
   ール循環路を有するサーキュレータと、該サーキュレー
   タの無負荷ボール循環路を経て前記スライダ本体及び前
   記案内レールの負荷ボール転動溝を転動しつつ循環する
   多数のボールとを備えたミニアチュアリニアガイド装置
   において、 前記案内レールの底面の一部を切り開いて幅方向外側に
   折り曲げ、側面外方に拡開せしめてレール取付け部を形
   成したことを特徴とするミニアチュアリニアガイド装
   置。