JPH07189886A - 低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポンプハウジングを構成する部材などの部
品点数を減らし、全体の軸芯精度を正確に出すことがで
き、ポンプシャフト９Ｂの振れ回りを防止可能で、その
性能および信頼性にを向上させ、コストの低減も可能な
低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ８０を提供するこ
と。 【構成】 ポンプハウジング（駆動側ハウジング２
Ａ、固定シリンダ８１、カバー４）を少なくとも二体構
造とし、吸入側通路２７に連通可能な吸入バルブ８７、
および吐出側通路２８に連通可能な吐出バルブ８８を単
一のリーフバルブ８２上に形成するとともに、リーフバ
ルブ８２を二体構造のポンプハウジング（固定シリンダ
８１、カバー４）の間に配置したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は低粘性燃料用ラジアルピ
ストンポンプにかかるもので、とくに低粘性の燃料を高
圧圧送するために好適な低粘性燃料用ラジアルピストン
ポンプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、車両等の内燃機関の排出ガス
による公害問題や資源枯渇問題への対策として、燃焼効
率を改善することが要望されている。ガソリンを使用す
る場合には高圧化により噴霧の微粒化を促進することが
効果的である。また、ガソリンに代わってアルコールな
いしこれに類するもの（以下単にアルコールと称す）の
使用が検討されている。このアルコールは寒冷始動性に
劣るため、やはり高圧化による微粒化が必要である。

【０００３】こうした微粒化を実現するためには、通常
の燃料ポンプの吐出圧力３〜４Ｋｇｆ／平方センチメー
トルに代えて、吐出圧力数十Ｋｇｆ／平方センチメート
ルという高圧性能を発揮することができる燃料ポンプが
必要である。この燃料ポンプの一形式として、能力およ
び効率の面からラジアルピストンポンプが考えられる。
たとえば特開昭６０−２１６９８１号などがある。しか
しながら、従来のラジアルピストンポンプは、特開昭６
４ー３６７号によるもののように、油圧ポンプとしてす
なわち高粘性オイル（粘度が３０ｃｓｔ以上）の圧送手
段として使用されるが一般的であった。つまり高粘性の
オイル用として用いる場合には性能的に問題はないが、
アルコールはその粘度が約０．５ｃｓｔ程度と非常に低
粘性である。

【０００４】かかる特性の低粘性燃料を高圧吐出させよ
うとした場合には、ポンプ構造として、シリンダブロッ
クが回転する回転式から、シリンダブロックを固定した
ままピストンのみが往復動する固定シリンダ式に変更し
ただけでは、ポンプ性能を維持することができない。す
なわちたとえば、駆動軸の軸受けに封入したグリースが
低粘性の燃料により洗浄、希釈される問題や、ピストン
とバレルとの間ないしは偏心カムとピストンの先端部と
の間で、かじりや焼き付きが生ずる問題を解消すること
ができない。つまり、従来のラジアルピストンポンプで
は低粘性燃料を円滑に安定して高圧圧送することができ
ないという問題がある。

【０００５】本出願人はこうした諸問題を解決するため
に、すなわちガソリンやアルコールなどで代表される低
粘度の燃料を、軸受け部分を損なわず、またピストン摺
動部にかじりや焼き付きを起こさせることなく、数十Ｋ
ｇｆ／平方センチメートル以上の高圧においてもポンプ
作用を安定的に実行することができる実用的なラジアル
ピストンポンプとして、特開平３ー１７５１５８号によ
る低粘性燃料油用ラジアルピストンポンプを開発した。

【０００６】この低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ
１について図１２ないし図１５にもとづき以下説明す
る。図１２は低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ１の
全体断面図、図１３は分解斜視図、図１４は図１２のＶ
ＩＸーＶＩＸ線断面図であって、低粘性燃料用ラジアル
ピストンポンプ１はハウジング２と、固定シリンダ３
と、カバー４と、吸入側のガスケット５および吸入側の
リーフバルブ６と、吐出側のガスケット７および吐出側
のリーフバルブ８と、ポンプシャフト９とを有する。そ
れぞれのハウジング２、固定シリンダ３、カバー４、吸
入側のガスケット５、吸入側のリーフバルブ６、吐出側
のガスケット７、吐出側のリーフバルブ８は位置決めピ
ン１０により位置決めした状態でスタッドボルト１１に
より一体にこれを固定する。

【０００７】ポンプシャフト９は、こうして一体化され
た内孔部分に回転可能これを挿入するもので、ハウジン
グ２に設けたラジアル軸受け１２、カバー４に設けたス
ラスト軸受け１３およびラジアル軸受け１４によりこれ
を軸受けして、外部のエンジン（図示せず）の駆動によ
り駆動プーリ１５を介して回転駆動する。このポンプシ
ャフト９の固定シリンダ３内に位置する部位には偏心カ
ム１６を形成してある。

【０００８】ハウジング２には、ラジアル軸受け１２の
左右に第１のオイルシール１７および第２のオイルシー
ル１８を設けることによってラジアル軸受け１２の封入
グリースが洗浄性のある低粘性燃料で希釈されることを
防止している。ハウジング２には燃料の吸入ポート部材
１９を取り付け、この吸入ポート部材１９に連通してそ
の内部に、後述するシリンダ穴２３ないしはキャップ状
のピストン２４の数（図１４に図示の例では５個）と同
数の吸入通路２０および放射状の環状室入口２１、なら
びに中央内空部２２を形成する。なお環状室入口２１
は、後述する環状室３３に低粘性燃料を導入し、上記複
数のシリンダ穴２３にこれを供給するとともに潤滑を行
わせるための導入通路である。

【０００９】固定シリンダ３は、複数本（図示の例では
５本）のシリンダ穴２３を等角度間隔に放射状に有し、
このシリンダ穴２３内部に往復動可能にキャップ状のピ
ストン２４を収容している。ピストン２４は、シリンダ
穴２３にねじ込み固定したプラグ２５との間に設けたス
プリング２６によりこれを求心方向に付勢する。ピスト
ン２４の頭部がポンプシャフト９の偏心カム１６に当接
摺動しその作用を受けて往復運動することにより低粘性
燃料の吸入吐出というポンプ作用を行うものである。こ
のピストン２４と偏心カム１６との摺動部を固定シリン
ダ３のほぼ中央部に位置させている。

【００１０】固定シリンダ３内には、シリンダ穴２３の
左右にこれに連通して吸入側通路２７および吐出側通路
２８をそれぞれ形成する。吸入側通路２７および吐出側
通路２８は、ピストン２４とプラグ２５との間に形成し
た加圧室２９（図１４）にこれらを連通させる。

【００１１】前記吸入側のリーフバルブ６には舌片状ス
プリングからなる吸入バルブ３０（図１３）を形成し、
固定シリンダ３内に配置したほぼ矩形状のストッパ３１
によりその可動範囲を制御し、ピストン２４の往復運動
に応じて吸入バルブ３０および吸入側通路２７から選択
的に燃料を吸入可能としている。

【００１２】なお固定シリンダ３の中央内空部３２は、
ハウジング２の中央内空部２２とともに吸入潤滑用の環
状室３３を構成する。

【００１３】カバー４は、固定シリンダ３の吐出側通路
２８に連通する吐出通路３４を有し、吐出通路３４が環
状の集合溝３５（図１３）を介して吐出ポート部材３６
に連通している。

【００１４】吐出側のリーフバルブ８には舌片状スプリ
ングからなる吐出バルブ３７（図１３）を形成し、カバ
ー４内に配置したほぼ矩形状のストッパ３８によりその
可動範囲を制御し、ピストン２４の往復運動に応じて吐
出側通路２８および吐出バルブ３７から選択的に燃料を
吐出可能としている。

【００１５】カバー４には第３のオイルシール３９を設
けることにより、ラジアル軸受け１４の封入グリースが
低粘性燃料で希釈されることを防止するとともに、この
第３のオイルシール３９と前記第２のオイルシール１８
とによって、ポンプシャフト９の部分において環状室３
３を外部から遮断可能としている。

【００１６】さらに図１５に示すようにカバー４には、
吐出通路３４および吐出ポート部材３６に連通してリリ
ーフ弁４０を設けるとともに、その開弁位置に環状室３
３に連通する戻し孔４１を形成することにより、低粘性
燃料が異常高圧になったときには環状室３３に低粘性燃
料を戻すようになっている。

【００１７】かくして図１２に示すように、燃料タンク
４２の低粘性燃料は、フィードポンプ４３により吸入ポ
ート部材１９に供給され、ポンプシャフト９の回転駆動
により偏心カム１６に摺動して往復動するピストン２４
のポンプ作用によって、所定のインジェクタ（あるいは
コモンレール）４４に高圧圧送される。

【００１８】すなわち、ピストン２４が求心方向に向か
う吸入工程において、吸入バルブ３０が開弁するととも
に吐出バルブ３７は閉弁し、吸入ポート部材１９から吸
入通路２０を介して吸入バルブ３０から吸入側通路２７
に至り、加圧室２９内に吸入される。またピストン２４
が遠心方向に向かう吐出工程においては、吸入バルブ３
０が閉弁するとともに吐出バルブ３７は開弁し、加圧室
２９から吐出側通路２８を経て吐出バルブ３７、吐出通
路３４、吐出ポート部材３６からインジェクタ４４に高
圧圧送される。

【００１９】しかしながら、上述の低粘性燃料用ラジア
ルピストンポンプ１はハウジング２、固定シリンダ３お
よびカバー４をスタッドボルト１１により一体に結合さ
せてポンプハウジングを構成したいわゆる三体構造であ
るため、部品点数が多いこと、したがって全体の軸芯精
度を正確に出すことが困難であること、ポンプシャフト
９の振れ回りの可能性があること、低粘性燃料用ラジア
ルピストンポンプとしての性能および信頼性に難点が出
やすいこと、およびコストが増加することなどの諸問題
がある。

【００２０】つぎに図１６は、四体構造とした従来の低
粘性燃料用ラジアルピストンポンプ５０の全体断面図で
ある。ただし、以下の説明において図１２ないし図１５
と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省
略する。

【００２１】この低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ
５０は、ハウジング２に相当する駆動側ハウジング２Ａ
および従動側ハウジング２Ｂと、固定シリンダ３と、カ
バー４と、外周カバー５１と、従動側ハウジング２Ｂお
よび固定シリンダ３の間の吸入側のリーフバルブ６と、
固定シリンダ３およびカバー４の間の吐出側のリーフバ
ルブ８と、駆動側ハウジング２Ａおよび従動側ハウジン
グ２Ｂの間の非磁性材料による隔壁５２とを有する。

【００２２】外周カバー５１が従動側ハウジング２Ｂ
と、固定シリンダ３と、カバー４とを覆い、スタッドボ
ルト１１によりこれらの部材を一体化している。

【００２３】隔壁５２を隔てて、ポンプシャフト９を駆
動側シャフト９Ａと従動側シャフト９Ｂとに分割構成す
るとともに、この間にまたがってマグネットカップリン
グ５３を構成してある。このマグネットカップリング５
３は、駆動側シャフト９Ａに駆動側磁石５４を固定し、
従動側シャフト９Ｂに従動側磁石５５を磁石取付けボル
ト５６により固定してある。

【００２４】なお駆動側ハウジング２Ａと従動側ハウジ
ング２Ｂとは、ハウジング取付けボルト５７によりこれ
を一体化してある。

【００２５】ポンプ機能を実行するための他の構成は、
事実上図１２の低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ１
と同様であるが、ピストン２４はシリンダライナー５８
内にこれを配置してある。

【００２６】燃料の通過通路としては、図中の実線の矢
印に示すように、カバー４に形成した吸入通路２０から
環状室３３および吸入側通路２７を通ってピストン２４
によりポンプ作用を受け、吐出側通路２８を通って吐出
通路３４からインジェクタ４４に圧送される。

【００２７】また、吸入潤滑用の環状室３３に入った燃
料は、図中点線の矢印に示すように、循環通路５９を通
って燃料タンク４２にオーバーフローし、循環するよう
になっている。

【００２８】なお、従動側シャフト９Ｂには、ワッシャ
６０、６１、６２、６３、６４およびローラー６５、６
６、６７を設け、スチール材料による一対のブッシュ６
８、６９により従動側シャフト９Ｂの両端部を支持して
いる。ワッシャ６０〜６４によってローラー６５〜６７
およびブッシュ６８、６９の側面の摩耗を防止し、ロー
ラー６５〜６７により摺動速度を下げて耐摩耗性を向上
させ、ブッシュ６８、６９により耐摩耗性の向上および
熱変形の減少を図っている。

【００２９】こうした構成の低粘性燃料用ラジアルピス
トンポンプ５０においては、駆動側ハウジング２Ａ、従
動側ハウジング２Ｂ、固定シリンダ３およびカバー４を
スタッドボルト１１およびハウジング取付けボルト５７
により一体に結合させてポンプハウジングを構成したい
わゆる四体構造である。

【００３０】したがって、図１２に示した低粘性燃料用
ラジアルピストンポンプ１と同様の諸問題があるととも
に、スタッドボルト１１の締め付けによってシリンダラ
イナー５８およびピストン２４の部分が従動側ハウジン
グ２Ｂおよびカバー４の間にサンドイッチされて締め付
けられることになり、シリンダ穴２３が変形する可能性
があるという問題もある。

【００３１】つぎに図１７は、外周カバー５１がないタ
イプの従来の低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ７０
の全体断面図であって、この低粘性燃料用ラジアルピス
トンポンプ７０は、図１２に示した低粘性燃料用ラジア
ルピストンポンプ１とほぼ同様の構成であり、ハウジン
グ２と、中間ブロック２Ｃと、固定シリンダ３と、カバ
ー４と、吸入側のリーフバルブ６と、吐出側のリーフバ
ルブ８とを有している。

【００３２】他の構造は図１２の低粘性燃料用ラジアル
ピストンポンプ１と事実上同様であるが、吸入潤滑用の
環状室３３に連通する循環通路５９から燃料をオーバー
フローさせ、燃料タンク４２に還流させて、燃料を循環
可能としてある。

【００３３】こうした構成の低粘性燃料用ラジアルピス
トンポンプ７０においても、ハウジング２、中間ブロッ
ク２Ｃ、固定シリンダ３およびカバー４をスタッドボル
ト１１により一体に結合させてポンプハウジングを構成
したいわゆる四体構造であり、既述の図１２の低粘性燃
料用ラジアルピストンポンプ１および図１６の低粘性燃
料用ラジアルピストンポンプ５０と同様の諸問題があ
る。

【００３４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、外周カバーの有無に
関係なく、とくにポンプハウジングを構成する部材など
の部品点数を減らし、全体の軸芯精度を正確に出すこと
ができ、ポンプシャフトの振れ回りを防止可能で、その
性能および信頼性にを向上させ、コストの低減も可能な
低粘性燃料用ラジアルピストンポンプを提供することを
課題とする。

【００３５】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、従来
の吸入バルブおよび吐出バルブを一体のリーフバルブに
形成するとともに、低粘性燃料用ラジアルピストンポン
プ全体を少なくとも二体構造にすることに着目したもの
で、低粘性の燃料の吸入側通路および吐出側通路を形成
したポンプハウジングと、このポンプハウジング内に放
射状に、かつ往復動可能に配設した複数本のピストン
と、上記ピストンの往復動により上記低粘性の燃料を吸
入および吐出するための吸入バルブおよび吐出バルブ
と、を有する低粘性燃料用ラジアルピストンポンプであ
って、上記ポンプハウジングを少なくとも二体構造と
し、上記吸入側通路に連通可能な上記吸入バルブ、およ
び上記吐出側通路に連通可能な上記吐出バルブを単一の
リーフバルブ上に形成するとともに、このリーフバルブ
を該二体構造のポンプハウジングの間に配置したことを
特徴とする低粘性燃料用ラジアルピストンポンプであ
る。

【００３６】なお、吸入バルブからピストンへの燃料通
路、およびピストンから吐出バルブへの燃料通路につい
ては、これら吸入バルブおよび吐出バルブを一枚のリー
フバルブに形成可能にこれを形成するものとし、リーフ
バルブが挟持されているポンプハウジングの部分におい
て、吸入側通路から吸入バルブおよびピストンへの燃料
通路方向と、ピストンから吐出バルブおよび吐出側通路
への燃料通路方向とを互いに交わることなく反対方向に
行き違うように構成することができる。

【００３７】

【作用】本発明による低粘性燃料用ラジアルピストンポ
ンプにおいては、低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ
内部の燃料通路を工夫することにより、吸入バルブと吐
出バルブとを単一のリーフバルブに形成したので、従来
の吸入側のリーフバルブあるいは吐出側のリーフバルブ
のいずれか一方を省略するとともに、ポンプハウジング
全体としては単一のリーフバルブを挟持するために最低
限必要な少なくとも二体構造とすることができ、部品点
数を減らして軸芯精度を向上させることが可能で、組立
て工数減少などによるコストの減少も可能である。

【００３８】さらに、ポンプシャフトの軸方向の寸法を
減少可能で、ポンプハウジング全体としての締付け構成
を選択することによってシリンダ穴の変形を解消し、ピ
ストンとの摺動部分は燃料により冷却されるため発熱が
なく、ポンプ性能および信頼性を向上させることができ
る。

【００３９】

【実施例】つぎに、本発明の第１の実施例による低粘性
燃料用ラジアルピストンポンプ８０を図１ないし図７に
もとづき説明する。図１は低粘性燃料用ラジアルピスト
ンポンプ８０の全体断面図であって、低粘性燃料用ラジ
アルピストンポンプ８０は、基本的には図１６の低粘性
燃料用ラジアルピストンポンプ５０と同様に外周カバー
５１を有するタイプを改良したものであり、駆動側ハウ
ジング２Ａと、従動側ハウジング２Ｂおよび固定シリン
ダ３を一体化した固定シリンダ８１と、カバー４と、外
周カバー５１と、固定シリンダ８１およびカバー４の間
の単一のリーフバルブ８２（図３）とを有する。

【００４０】図２は図１のＩＩ線矢視図であって、吸入
通路２０、吐出通路３４および循環通路５９にそれぞれ
通ずる開口部の相対位置を示している。

【００４１】燃料タンク４２からの燃料は、カバー４の
吸入通路２０を通って吸入潤滑用の環状室３３に入り、
固定シリンダ８１および外周カバー５１の内部に形成し
た迂回通路８３を通って、カバー４の吸入側通路２７に
至り、つまり図１６の従来の構成とは異なり、ピストン
２４部分を迂回して反対側からリーフバルブ８２に至
る。

【００４２】さらに燃料は、リーフバルブ８２を通過し
たのち、固定シリンダ８１の合流通路８４から、シリン
ダライナー５８の吸入吐出通路８５およびピストン２４
の吸入吐出穴８６に至り、ピストン２４のポンプ作用を
受けて、吐出側通路２８から吐出通路３４を通り、イン
ジェクタ４４に圧送される。

【００４３】図３は、リーフバルブ８２の正面図であっ
て、等角度間隔で放射状に吸入バルブ８７および吐出バ
ルブ８８の対（図示の例では５個）を直径方向に互いに
対向させて形成してある。吸入バルブ８７および吐出バ
ルブ８８は、前記吸入バルブ３０および吐出バルブ３７
（図１３）と同様に、舌片状のスプリングからこれを構
成してある。

【００４４】吸入バルブ８７は吸入側通路２７と合流通
路８４との間を開閉し、吐出バルブ８８は吐出側通路２
８と吐出通路３４との間を開閉する。

【００４５】なお、リーフバルブ８２の変形例として
は、図４ないし図７に示すような各種のものが考えられ
る。たとえば、図４においては、吸入バルブ８７と吐出
バルブ８８とを円周方向において互いに対向させ、図５
においては、直径方向と所定の角度で傾斜するように互
いに対向させてあり、それぞれ吸入側通路２７および吐
出側通路２８など各通路の形成状態に応じて選択可能で
ある。

【００４６】また図６は、吸入バルブ８７および吐出バ
ルブ８８の向きを互いに反対方向向きにしたものを示
し、図７は、互いに同方向向きにしたものを示してい
る。

【００４７】こうした構成の低粘性燃料用ラジアルピス
トンポンプ８０において、従来の図１６の低粘性燃料用
ラジアルピストンポンプ５０が駆動側ハウジング２Ａ、
従動側ハウジング２Ｂ、固定シリンダ３およびカバー４
をスタッドボルト１１およびハウジング取付けボルト５
７により一体に結合させてポンプハウジングを構成した
いわゆる四体構造であるに対し、駆動側ハウジング２
Ａ、固定シリンダ８１およびカバー４をスタッドボルト
１１およびハウジング取付けボルト５７により一体に結
合させてポンプハウジングを構成したいわゆる三体構造
とすることができ、しかもリーフバルブ８２を一枚とし
てあるため、部品点数を減らして組付け性および軸芯精
度などの精度の向上、さらにはポンプ性能および信頼性
向上を図ることが可能となる。

【００４８】つぎに図８は、本発明の第２の実施例によ
る低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ９０の全体断面
図、図９は図８のＩＸ方向矢視図、図１０は図８のＸ方
向矢視図であり、低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ
９０は、基本的には図１７の低粘性燃料用ラジアルピス
トンポンプ７０と同様に外周カバー５１を有しないタイ
プを改良したものであり、ハウジング２および固定シリ
ンダ３を一体化したハウジング９１と、カバー４と、ハ
ウジング９１およびカバー４の間のリーフバルブ８２と
を有する。

【００４９】燃料タンク４２からの燃料は、ハウジング
９１の吸入通路２０から吸入潤滑用の環状室３３に至
り、ハウジング９１およびカバー４にかけて形成した迂
回通路９３を通って、図１の低粘性燃料用ラジアルピス
トンポンプ８０と同様にカバー４の吸入側通路２７、さ
らにリーフバルブ８２に至り、合流通路９４から、シリ
ンダライナー５８の吸入吐出通路９５およびピストン２
４の吸入吐出穴８６に至り、ピストン２４のポンプ作用
を受けて、吐出側通路２８から吐出通路３４を通り、イ
ンジェクタ４４に圧送される。

【００５０】こうした構成の低粘性燃料用ラジアルピス
トンポンプ９０において、従来の図１７の低粘性燃料用
ラジアルピストンポンプ７０がハウジング２、中間ブロ
ック２Ｃ、固定シリンダ３およびカバー４をスタッドボ
ルト１１により一体に結合させてポンプハウジングを構
成したいわゆる四体構造であるに対し、ハウジング９
１、カバー４をスタッドボルト１１により一体に結合さ
せてポンプハウジングを構成したいわゆる二体構造とす
ることができ、しかもリーフバルブ８２を一枚としてあ
るため、低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ８０と同
様に部品点数を減らして組付け性および精度の向上等を
図ることが可能となる。

【００５１】しかも、リーフバルブ８２を挟持する二体
構造であるため、ポンプシャフト９の軸方向における長
さをさらに短くして全体の小型化を図ることができる。

【００５２】つぎに図１１は、本発明の第３の実施例に
よる低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ１００の全体
断面図で、低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ１００
は、基本的には図１６の低粘性燃料用ラジアルピストン
ポンプ５０と同様に外周カバー５１を有するタイプを改
良したものであり、内部の燃料通路、およびポンプ作用
の機構自体は図１の低粘性燃料用ラジアルピストンポン
プ８０と同様であるが、固定シリンダ８１に相当する固
定シリンダ１０１とカバー４とをスタッドボルト１１に
相当するスタッドボルト１０２により固定する構成、お
よびマグネットカップリング５３に相当するマグネット
カップリング１０３の構成が異なる。

【００５３】具体的には、スタッドボルト１０２は固定
シリンダ１０１およびカバー４という二体部品を締め付
けるため、固定シリンダ１０１が左右の部品（カバー４
および駆動側ハウジング２Ａ）により締め付けられるこ
とがなく、従動側ハウジング２Ｂ、固定シリンダ３およ
びカバー４の三体部品を締め付ける図１６の低粘性燃料
用ラジアルピストンポンプ５０のようにピストン２４お
よびシリンダライナー５８を締め付けることによってシ
リンダ穴２３を変形させてしまうおそれがない。

【００５４】また、マグネットカップリング１０３にお
いては、駆動側磁石５４を外周側に、従動側磁石５５を
内周側にそれぞれ配置したので、磁石取付けボルト５６
の邪魔になることなく、固定シリンダ１０１の形状を縮
小することが可能で、低粘性燃料用ラジアルピストンポ
ンプ１００全体の軸方向の寸法を短くすることができ
る。

【００５５】なお本発明においては、吸入バルブと吐出
バルブとを単一のリーフバルブに形成するための各燃料
通路の形状および配置形態は、ポンプハウジングに応じ
て任意に設計可能である。

【００５６】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、従来の吸
入側および吐出側のリーフバルブのうち一方を省略し、
吸入バルブと吐出バルブとを一枚のリーフバルブに形成
し、これに合わせて吸入側通路および吐出側通路などの
燃料通路を形成したので、ポンプハウジングを少なくと
も二体構造とすることができるとともに、部品点数を減
らして組付け性および軸芯精度などの精度の向上を図
り、全体の小型化を推進することができる。

【００５７】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例による低粘性燃料用ラジ
アルピストンポンプ８０の全体断面図である。

【図２】図１のＩＩ線矢視図である。

【図３】同、リーフバルブ８２の正面図である。

【図４】同、リーフバルブ８２の変形例を示す正面図で
ある。

【図５】同、リーフバルブ８２の変形例を示す正面図で
ある。

【図６】同、リーフバルブ８２の変形例を示す正面図で
ある。

【図７】同、リーフバルブ８２の変形例を示す正面図で
ある。

【図８】本発明の第２の実施例による低粘性燃料用ラジ
アルピストンポンプ９０の全体断面図である。

【図９】図８のＩＸ方向矢視図である。

【図１０】図８のＸ方向矢視図である。

【図１１】本発明の第３の実施例による低粘性燃料用ラ
ジアルピストンポンプ１００の全体断面図である。

【図１２】従来の低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ
１の全体断面図である。

【図１３】同、低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ１
の分解斜視図である。

【図１４】同、図１２のＶＩＸーＶＩＸ線断面図であ
る。

【図１５】同、リリーフ弁４０部分の縦断面図である。

【図１６】外周カバー５１を有するタイプの従来の低粘
性燃料用ラジアルピストンポンプ５０の全体断面図であ
る。

【図１７】外周カバー５１がないタイプの従来の低粘性
燃料用ラジアルピストンポンプ７０の全体断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ（図１２） ２ ハウジング ２Ａ 駆動側ハウジング（図１６） ２Ｂ 従動側ハウジング（図１６） ２Ｃ 中間ブロック（図１７） ３ 固定シリンダ ４ カバー ５ 吸入側のガスケット ６ 吸入側のリーフバルブ ７ 吐出側のガスケット ８ 吐出側のリーフバルブ ９ ポンプシャフト ９Ａ 駆動側シャフト ９Ｂ 従動側シャフト １０ 位置決めピン １１ スタッドボルト １２ ラジアル軸受け １３ スラスト軸受け １４ ラジアル軸受け １５ 駆動プーリ １６ 偏心カム １７ 第１のオイルシール １８ 第２のオイルシール １９ 吸入ポート部材 ２０ 吸入通路 ２１ 放射状の環状室入口 ２２ 中央内空部 ２３ シリンダ穴 ２４ キャップ状のピストン ２５ プラグ ２６ スプリング ２７ 吸入側通路 ２８ 吐出側通路 ２９ 加圧室 ３０ 吸入バルブ ３１ ほぼ矩形状のストッパ ３２ 中央内空部 ３３ 吸入潤滑用の環状室 ３４ 吐出通路 ３５ 集合溝 ３６ 吐出ポート部材 ３７ 吐出バルブ ３８ ほぼ矩形状のストッパ ３９ 第３のオイルシール ４０ リリーフ弁 ４１ 戻し孔 ４２ 燃料タンク ４３ フィードポンプ ４４ インジェクタ（あるいはコモンレール） ５０ 低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ（図１６） ５１ 外周カバー ５２ 非磁性材料による隔壁 ５３ マグネットカップリング ５４ 駆動側磁石 ５５ 従動側磁石 ５６ 磁石取付けボルト ５７ ハウジング取付けボルト ５８ シリンダライナー ５９ 循環通路 ６０、６１、６２、６３、６４ ワッシャ ６５、６６、６７ ローラー ６８、６９ ブッシュ ７０ 低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ（図１７） ８０ 低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ（図１、第
１の実施例） ８１ 固定シリンダ ８２ リーフバルブ ８３ 迂回通路 ８４ 合流通路 ８５ 吸入吐出通路 ８６ 吸入吐出穴 ８７ 吸入バルブ ８８ 吐出バルブ ９０ 低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ（図８、第
２の実施例） ９１ ハウジング ９３ 迂回通路 ９４ 合流通路 ９５ 吸入吐出通路 １００ 低粘性燃料用ラジアルピストンポンプ（図１
１、第３の実施例） １０１ 固定シリンダ １０２ スタッドボルト １０３ マグネットカップリング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ０４Ｂ 39/12 Ｇ Ｆ０４Ｃ 13/00 Ｚ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 低粘性の燃料の吸入側通路および吐出
   側通路を形成したポンプハウジングと、 このポンプハウジング内に放射状に、かつ往復動可能に
   配設した複数本のピストンと、 前記ピストンの往復動により前記低粘性の燃料を吸入お
   よび吐出するための吸入バルブおよび吐出バルブと、を
   有する低粘性燃料用ラジアルピストンポンプであって、 前記ポンプハウジングを少なくとも二体構造とし、 前記吸入側通路に連通可能な前記吸入バルブ、および前
   記吐出側通路に連通可能な前記吐出バルブを単一のリー
   フバルブ上に形成するとともに、 このリーフバルブを該二体構造のポンプハウジングの間
   に配置したことを特徴とする低粘性燃料用ラジアルピス
   トンポンプ。