JPH0718699U - 高齢者及び身障者用便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】身体の不自由な高齢者及び身障者が楽な動作で
腰の上げ下げができる便器を提供する。 【構成】便器本体１１の左右両側から前方上方側へ円弧
状に伸縮するアーム１５ａ、１５ｂを設け、該アーム先
端に取り付けた便座１６が、便器本体１１の便座部１２
と前方上方部との間で昇降できるようにする。用便者は
上昇位置にある便座１６に体重を預けながら便座１６を
下降させて便座本体１１に腰を下ろす。用便終了後は、
便座１６を上昇させるときの押上力を利用して用便姿勢
から腰を上げる。アーム１５ａ、１５ｂの伸縮は補助手
摺１８に組み込まれている第１及び第２操作部１９、２
０のスイッチを用い、便器本体１１内の排泄物の水洗は
第３操作部２１のスイッチを用いて行う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、高齢者及び身障者の用便時に便座に対して腰の上げ下げが楽にで きる便器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、身体の動きが不自由な高齢者及び身障者用として特別に便所用の便器自 体を改造したものはなく、腰掛け式便器においても、便器の左右両側に手摺を設 ける程度の配慮がなされているにすぎない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

高齢者等、身体の動きが不自由な人にとっては、日常の基本的な起居動作であ る腰の上げ下げであっても、可成りの困難を覚えるものであるから、手摺を設け た腰掛け式便器においても、用便の都度、便座に対して腰を上げ下げするのは必 ずしも容易ではない。

【０００４】 この考案は、このような問題を解決して、高齢者及び身障者が楽な動作で使用 できる便器を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、この考案においては、腰掛け式便器本体の左右両側 に支持されて該便器本体の前方上方側へ円弧状に伸縮する一対のアームと、該ア ームを介して便器本体の便座部と便器本体の前方上部との間を昇降する便座と、 便器本体とは別に設置された補助手摺と、該補助手摺に組み込まれたアーム伸縮 用操作部及び便器洗浄用操作部とを備えている。

【０００６】

【作用】

この考案の便器を使用する際は、アームを伸長して便座を便器本体の前方上部 へ上昇させ、この便座に身体の臀部を当てて体重を預けながらアームを収縮し、 便座が便器本体の便座部まで下降するのに追随して腰を下ろす。 用便終了後は、アームを伸長して便座が前方上方側へ上昇するときの押上力を 利用して用便姿勢から腰を上げる。

【０００７】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１及び図２は、それぞれこの考案の実施例を示す側面図及び平面図である。 腰掛け式便器１０の便器本体１１の便座部１２の左右両側に一対のブラケット １３ａ、１３ｂを対称に形成し、各ブラケット１３ａ、１３ｂから下方にわん 状に垂下するアーム収納部１４ａ、１４ｂを床面に固定し、このアーム収納部１ ４ａ、１４ｂ内に、アーム収納部１４ａ、１４ｂと同一の曲率をもってわん曲す るアーム１５ａ、１５ｂを収容してある。アーム１５ａ、１５ｂは伸縮自在の二 重パイプ式構造になっており、アーム１５ａ、１５ｂの伸長時には先端に取り付 けられた便座１６が便器本体１１の前方上方部に円弧状に上昇して、人体の腰の 位置付近で斜め前方側へ傾いた状態となり、アーム１５ａ、１５ｂを収縮させる と、便座１６が便器本体１１の便座部１２上に載置される位置まで下降するよう になっている。アーム１５ａ、１５ｂの伸縮動作は、図示しない油圧又は機械的 な駆動方式によって制御し、上昇及び下降の各行程を無段階で行い、任意位置に 停止できるようにしてある。

【０００８】 アーム１５ａ、１５ｂの先端に取り付けてある便座１６は、固定便座１６ａと 固定便座１６ａの表側に重ねて配設された可動便座１６ｂとからなる。可動便座 １６ａは使用時に用便者が腰を下ろす部分であって、その表面には安全上の処置 としてすべり止めの加工が施してある。また、この可動便座１６ｂは便器後方側 に開いて立て掛けることができるように、一端を回動自在に支持している。

【０００９】 便器１０の前方の床面と壁面には、左右一対の補助手摺１７、１８が設置して ある。一方の補助手摺１８の水平部１８ａと垂直部１８ｂとに、それぞれ第１及 び第２の操作部１９、２０として、アーム１５ａ、１５ｂ伸縮用の押ボタン式ス イッチを組み込み、第１操作部１９には、便器洗浄用の押ボタン式スイッチを第 ３操作部２１として追加して組み込んである。図３は、これらの押ボタン式スイ ッチの配置関係を示す見取図である。

【００１０】 なお、図２において符号２２で示すのはペーパーホルダーである。 前記構成の便器１０の使用時における手順は次のとおりである。 便座１６は便器本体１１に着座させてあるものとし、用便者はアーム伸縮用の 第１操作部１９のスイッチ（あがる）を押してアーム１５ａ、１５ｂを伸長させ 、便座１６が自己の身体に適当な高さまで上昇した時点でスイッチ（とまる）を 押して停止させる。次いで、この便座１６に臀部を当て体重を預けた状態として 第１操作部１９又は第２操作部２０のスイッチ（さがる）を押してアーム１５ａ 、１５ｂを収縮させ、便座１６の下降に追随して腰を下ろす。便座１６は便器本 体１１の便座部１２に載置された時点で自動的に停止する。この状態で目的とす る用便をすませる。

【００１１】 用便終了後は、第２操作部２０のスイッチ（あがる）を押してアーム１５ａ、 １５ｂを伸長させ、便座１６が上昇するときの押上力を利用して用便姿勢から腰 を上げ、便座１６が適当な高さまで上昇した時点で第１操作部１９のスイッチ（ とまる）を押して停止させる。然る後、便器洗浄用の第３操作部２１のスイッチ （ながす）を押して便器本体１１内の排泄物を洗い流す。上記手順が完了した後 は、便座１６を便器本体１１まで下降して着座状態としておく。

【００１２】 上記用便前後の各操作部１９、２０、２１のスイッチ操作と併行して片手又両 手で補助手摺１７、１８をつかんで身体のふらつきを支えることにより、腰の上 げ下げの動作を安全に行うことができる。 なお、便座１６を便器本体１１に着座させた状態で、男性用便者が小用のみを たす場合は、図１に示すように、可動便座１６ｂを便器後方側に回動して立て掛 けた状態とする。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案によれば、便座を便器本体の便座部から用便時 に便器前に立つ人の腰の高さまで円弧状に昇降可能な構成としてあるため、用便 の都度、便座に対して腰を上げ下げする動作を自力のみに頼らざるを得ない困難 が解消し、便座の昇降に伴って楽な動作で腰の上げ下げができるから、身体の不 自由な高齢者及び身障者にとって、極めて好適に使用できる便器が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の便器の実施例を示す側面である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】アーム伸縮用第１操作部と便器洗浄用操作部
（ａ）及びアーム伸縮用第２操作部（ｂ）のスイッチ配
置図である。

【符号の説明】

１０ 便器 １１ 便器本体 １２ 便座部 １５ａ、１５ｂ アーム １６…便座 １７、１８ 補助手摺 １９ 第１操作部 ２０ 第２操作部 ２１ 第３操作部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 腰掛け式便器本体の左右両側に支持され
   て該便器本体の前方上方側へ円弧状に伸縮する一対のア
   ームと、該アームを介して便器本体の便座部と便器本体
   の前方上部との間を昇降する便座と、便器本体とは別に
   設置された補助手摺と、該補助手摺に組み込まれたアー
   ム伸縮用操作部及び便器洗浄用操作部とを備えてなる高
   齢者及び身障者用便器。