JPH0718516A - 染色性に優れた恒久制電性アクリル繊維の製造方法 - Google Patents

染色性に優れた恒久制電性アクリル繊維の製造方法

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JPH0718516A
JPH0718516A JP18340093A JP18340093A JPH0718516A JP H0718516 A JPH0718516 A JP H0718516A JP 18340093 A JP18340093 A JP 18340093A JP 18340093 A JP18340093 A JP 18340093A JP H0718516 A JPH0718516 A JP H0718516A
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Japan
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acrylic fiber
polymerization
spinning
block copolymer
parts
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JP18340093A
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Inventor
Hiroyuki Kawachi
博之 河内
Koji Nishida
耕二 西田
Kazuhiro Kameshima
一寛 亀島
Hideto Dan
秀人 団
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた染色性と恒久性のある制電性を有する
アクリル繊維を得る。 【構成】 【化1】 で示される単量体、スルフォン酸基含有単量体及びアク
リロニトリルをポリパーオキシド存在下で水系で第1段
重合し、アクリロニトリル主体の単量体を加え第2段重
合して得られたアクリロニトリル系ブロック共重合体
を、湿式、乾式又は乾湿式紡糸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、染色性に優れた恒久制
電性アクリル繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維は、アクリロニトリル系重
合体を溶媒に溶解し、湿式、乾式又は乾湿式紡糸して製
造され、優れた耐候性、嵩高性、風合い、染色鮮明性等
の特徴を有するが、一方吸湿性、制電性等に劣るという
欠点も有している。従来より、アクリロニトリル重合体
自体に元来備わっていない性質を付与するために、数多
くの改質法が試みられ、実用的に有効な技術も提案され
ている。従いアクリル繊維の改質も、アクリロニトリル
がラジカル共重合性に優れていることから、特殊な機能
を発現する他の単量体との共重合による改質の試みも種
々提案されている。
【0003】しかしながら、高水準の機能を付与する目
的でアクリロニトリルに多量の他の単量体を共重合しよ
うとすると、必然的に共重合技術そのものに困難が伴う
場合が多い上に、アクリロニトリル重合体としての基本
骨格が崩れ、結果としてアクリル繊維が元来有する特徴
が失われてしまう。制電性アクリル繊維を共重合による
方法で得ようとした場合には、このような問題が顕著に
現れ、従来の水系懸濁共重合法での技術確立には困難が
生じていた。特に、高度な制電性能保持及び制電性付与
に伴う染色性の低下が大きな問題であった。
【0004】従って、制電性アクリル繊維は、通常のア
クリル繊維に帯電防止能を有する油剤を塗布する方法や
通常のアクリル繊維の紡糸原液に帯電防止剤を添加して
紡糸する方法に依るのが一般的であるが、このような方
法では、初期には制電性能が発揮されるものの、繰り返
しの漂白、洗濯等により著しく制電性能が低下し、商品
価値の低下は避けられない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】恒久的な制電性を有す
るアクリル繊維を得るためには、その原料となる重合体
そのものに制電性セグメントを導入することが必要であ
り、本発明は、水系懸濁共重合法の重合安定性を向上さ
せたアクリロニトリル系水系懸濁ブロック共重合法にお
ける制電性セグメント脱落に伴う制電性、染色性の低下
の問題を解決するものである。本発明の目的は、染色性
に優れ、且つ恒久制電性を有するアクリル繊維を得るこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、
【0007】
【化2】
【0008】で示される単量体(A)50〜95wt
%、スルフォン酸基含有の単量体(B)20〜1wt%
及びアクリロニトリル(C)30〜4wt%をポリパー
オキシド重合開始剤の存在下に水を媒体として第1段目
の重合を行い実質的に均一な水系溶液とし、該溶液にア
クリロニトリルを主体とする単量体(D)を加えて第2
段目の重合を行い、得られた単量体(A)成分が5〜5
0wt%含まれるアクリロニトリル系ブロック共重合体
を溶剤に溶解して紡糸原液とし、湿式、乾式又は乾湿式
紡糸することを特徴とする染色性に優れた恒久制電性ア
クリル繊維の製造方法にある。
【0009】本発明で用いる単量体(A)としては、ポ
リエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリ
コールメタアクリレート等のポリアルキレングリコール
(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコー
ルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタ
アクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリ
レート、エトキシポリエチレングリコールメタアクリレ
ート、ラウロキシポリエチレングリコールアクリレー
ト、ラウロキシポリエチレングリコールメタアクリレー
ト等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)ア
クリレートが挙げられる。
【0010】単量体(B)としては、p−スルフォニル
メタリルエーテル、メタリルスルフォン酸、アリルスル
フォン酸、アリールスルフォン酸、スチレンスルフォン
酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォ
ン酸、2−スルフォエチルメタアクリレート等が挙げら
れる。
【0011】本発明においては、第1段目の重合とし
て、単量体(A)、単量体(B)及びアクリロニトリル
(以下ANと略す)(C)の重合を行い実質的に均一な
水系溶液を得ることが必須である。この第1段目の重合
を行う際の組成は、以下のとおりである。単量体(A)
は50〜95wt%、好ましくは70〜95wt%で、
50wt%未満では正常な重合を行うのが困難である。
単量体(B)は、20〜1wt%、好ましくは10〜1
wt%で、1wt%未満では実質的に均一な水系溶液を
得ることができない。AN(C)は、30〜4wt%、
好ましくは20〜4wt%で、4wt%未満では生成す
る重合体が紡糸時に紡糸浴に溶出するという現象を生ず
る。
【0012】第1段目の重合においては、重合開始剤と
してポリパーオキシドを用いることが好ましい。ポリパ
ーオキシドとしては、
【0013】
【化3】
【0014】で示される少なくとも1個のヒドロパーオ
キシ基を有するアルキル置換又は無置換のジシクロヘキ
サノンパーオキシドが挙げられる。
【0015】又、この第1段目の重合において、ポリパ
ーオキシド重合開始剤のヒドロパーオキシ基のラジカル
分解を促進するが、ケトンパーオキシ基の分解を促進し
ない還元性化合物が用いられる。かかる還元性化合物と
しては、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレー
ト、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオ
ン酸ナトリウム、デキストローズ、L−アスコルビン酸
等のレドックス触媒が挙げられる。
【0016】本発明においては、第2段目の重合とし
て、第1段目の重合により得られた実質的に均一な水系
溶液にANを主体とする単量体(D)を加えてAN系ブ
ロック共重合体を得ることが必須である。
【0017】第2段目の重合の際に用いられるANを主
体とする単量体(D)としては、AN50〜100wt
%とANと共重合可能な単量体50〜0wt%から構成
される。ANと共重合可能な単量体としては、メチルア
クリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレ
ート、エチルメタアクリレート、プロピルアクリレー
ト、プロピルメタアクリレート等のアクリル酸又はメタ
アクリル酸のエステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩
化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、ビニルスルフォ
ン酸等の酸類又はその塩類、マレイン酸イミド、フェニ
ルマレイミド、アクルリアミド、メタアクルリアミド、
スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等が挙げら
れる。
【0018】ANを主体とする単量体(D)は、得られ
るブロック共重合体中に単量体(A)成分が5〜50w
t%含まれるように、加える必要がある。単量体(A)
成分が、5wt%未満であると目的とする制電性を得る
ことができず、50wt%を超えると第2段目の重合が
乳化重合となり、乳化ラテックスが生成して重合体の分
離が不可能となる。
【0019】本発明での第1段目の重合においては、塩
化第一鉄、硫酸第一鉄等の鉄化合物又はそのイオンが反
応系に実質的に存在しない状態で重合することが好まし
い。反応系に鉄化合物又はそのイオンが存在すると、重
合開始剤のポリパーオキシドのヒドロパーオキシ基のみ
ならず、第2段目の重合時のANとのブロック共重合の
開始点となるケトンパーオキシ基までの解烈が進み、そ
の結果、第1段目の重合で得られた水溶性重合体は重合
開始点を持たない不活性な重合体となり、第2段目の重
合でANとのブロック共重合されず、重合排液中に流出
する。そのために、重合排液の泡立ち、COD値(化学
的酸素要求量)の増大の原因となる。
【0020】本発明のアクリル繊維の製造に用いるAN
系ブロック共重合体を得るには、以下のような操作で行
われる。第1段目の重合は、反応容器に単量体(A)5
0〜95wt%、単量体(B)20〜1wt%及びAN
(C)30〜4wt%からなる単量体混合物100重量
部を水に溶解させた後、ジシクロヘキサノンパーオキシ
ドの如きポリパーオキシド重合開始剤0.1〜5wt%
を分散させ、窒素置換を行って、系の温度を20〜60
℃、好ましくは20〜50℃に保ち、還元性化合物を溶
解した水溶液を添加して重合する。重合が終了した後、
系の温度を必要ならば上げて50〜150℃、好ましく
は50〜90℃に保ち、ANを主体とする単量体(D)
を添加し第2段目の重合を行う。この第2段目の重合に
おける単量体(D)の添加は、一括添加、分割添加或い
は連続添加のいずれであってもよい。又第1段目及び第
2段目の重合は共に連続重合とすることもできる。重合
終了後は、脱水、乾燥する。
【0021】第2段目の重合時に添加する単量体(D)
は、第1段目の重合で生成する重合体に結合している残
存パーオキシドの分解により生じたポリマーラジカルに
より重合が開始され、その結果ブロック共重合体が生成
する。第2段目の重合を低温で行う場合には、ケトンパ
ーオキシドの分解を促進させるような公知の分解触媒、
例えばアミン類、金属化合物、又はラジカル重合開始
剤、例えばアゾ化合物、有機過酸化物、過硫酸塩、或い
はそれらと還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤を
添加してもよい。分解触媒又はラジカル重合開始剤の使
用量は、重合度、重合安定性、開始剤効率の点から適宜
調整されるが、このような助剤の添加はブロック共重合
体の収率を低下させない範囲とするのがよい。
【0022】本発明のアクリル繊維の製造においては、
第1段及び第2段の重合で得られたAN系ブロック共重
合体にフェノール系抗酸化剤が添加されることが必要で
ある。得られたAN系ブロック共重合体は、優れた制電
性を有するものの、酸化劣化を受け易いため、フェノー
ル系抗酸化剤の添加は、染色性、制電性の低下の原因と
なるブロック共重合体の劣化を阻止する上で必要であ
る。フェノール系抗酸化剤は、AN系ブロック共重合体
100重量部に対して0.01〜5重量部の割合で添加
され、添加量が0.01重量部未満ではその効果がな
く、又5重量部を超えると繊維としたときの強度低下を
もたらす。添加は、AN系ブロック共重合体との直接混
合に依ることも可能ではあるが、AN系ブロック共重合
体を溶媒に溶解して紡糸原液を作製する際に、AN系ブ
ロック共重合体と共に溶媒に添加、又は紡糸原液中に添
加する方法に依るのがよい。
【0023】用いられるフェノール系抗酸化剤として
は、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6
−(1H,3H,5H)トリオン(旭電化工業社製商品
名アデカスタブAO−20)、1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)
ブタン(旭電化工業社製商品名アデカスタブAO−3
0)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t
−ブチルフェノール)(旭電化工業社製商品名アデカス
タブAO−40)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(旭電化工業社製商品名アデカスタブAO−50)、テ
トラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(旭電化工
業社製商品名アデカスタブAO−60)、トリエチレン
グルコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピネート](旭電化工
業社製商品名アデカスタブAO−70)、3,9−ビス
{1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ]エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5,5]ウンデカン(旭電化工業社製商品名アデカス
タブAO−80)、1,3,5−トリメチル−2,4,
6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)ベンゼン(旭電化工業社製商品名アデカスタ
ブAO−330)が挙げられる。
【0024】繊維の製造における紡糸原液は、AN系ブ
ロック共重合体をその溶剤に溶解することにより得られ
る。AN系ブロック共重合体の溶剤としては、ジメチル
フォルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、ジメチル
スルフォキシド、硝酸、ロダン塩水溶液等AN系重合体
の溶剤が用いられるが、本発明においては、ジメチルフ
ォルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルフォキシドが好ましく用いられる。紡糸原液の作製に
おいては、冷却した溶剤にAN系ブロック共重合体を添
加分散後、スラリー化して加熱溶解する方法が好ましく
採用される。
【0025】繊維への賦形は、紡糸原液を、凝固液中に
吐出する湿式紡糸、加熱空気中に吐出する乾式紡糸、又
は一旦加熱空気中に吐出して凝固液に導く乾湿式紡糸に
より行われ、紡糸後は公知の賦形での後処理方法が採用
される。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。な
お、実施例中、%、部とあるのはwt%、重量部を意味
する。又測定項目は次の方法に依った。
【0027】重合率:第2段目の重合上がりの水系懸濁
重合分散液を採取し、重合体分を濾別回収して重合体収
率を重合率とした。
【0028】比粘度:重合体0.5gをジメチルフォル
ムアミド100mlに溶解し、25℃で、キャノン、フ
ェンスケ型粘度計を使用して、溶液粘度を測定した。
【0029】重合体組成:プロトンNMR測定器(日本
電子社製FX−90Q型)を使用して、組成を求めた。
【0030】制電性、染色性:本発明で得られたアクリ
ル繊維と通常のアクリル繊維を30/70で混紡した糸
から目付け300gの編地(10cm×20cm)を作
成した後、編地100部に対してスコアロール(花王社
製洗浄剤)1g/l水溶液の精練液5000部に浸し、
70℃で20分油剤脱落処理を行った。引き続き編地1
00部に対して、アイゼン カチロン ブルーKGLH
(保土ヶ谷化学社製カチオン染料)0.5部、酢酸2
部、酢酸ソーダ0.5部の染液5000部に浸して、3
0分で100℃に昇温し100℃で60分染色した後、
水洗、風乾して評価試料とした。
【0031】制電性は、評価試料を、温度20℃、相対
湿度40%の恒温恒湿雰囲気下で24時間以上調湿し、
スターティックオネストメーター(宍戸商会社製)で電
荷半減期を測定し、初期の制電性とした。又、家庭用電
気洗濯機を使用して、編地100gに対してバイオビー
ズ(花王社製洗剤)1g/l水溶液の洗濯液5000部
に浸し、40℃での洗濯処理を、10回繰り返して同様
に評価試料を調湿した後の電荷半減期を測定し、制電性
の恒久性を測定した。なお、電荷半減期測定条件は、印
加電圧1万ボルト、印加時間30秒、試料回転数100
0rpmとした。染色性は、殆ど染色しないを1級と
し、良く染色するを5級とする5段階評価に依った。
【0032】(実施例1)容量80リットルの攪拌付き
重合反応釜(容器はグラスライニング製、攪拌翼はグラ
スライニング製アンカー型)に、イオン交換水を35l
仕込み、ラウロキシポリエチレングルコールアクリレー
ト(化2でのnは30)40部、メタリルスルフォン酸
2部、AN3部、重合開始剤としてジシクロヘキサノン
パーオキシド1部及び重合助剤としてロンガーリット
0.8部になるようにそれぞれ連続的に供給を開始し、
さらにイオン交換水全量が200部になるようにイオン
交換水を供給した。重合温度を40℃に保ち、十分な攪
拌を行い、平均滞在時間を120分として連続的に前記
原料を供給しつつ第1段目の重合反応を行い、反応液を
連続的に反応溢流口より取り出し、第2段目の重合反応
槽へ定量供給した。
【0033】第2段目の重合反応槽は、容量80リット
ルの攪拌付き重合反応釜(容器はアルミニウム製、攪拌
翼はアルミニウム被覆タービン型)とした。第2段目の
重合は、第1段目の重合により得られた重合体水溶液
と、AN180部及び酢酸ビニル20部と、過硫酸アン
モニウム1.5部、亜硫酸水素ナトリウム4.5部、硫
酸第一鉄0.00005部、硫酸0.85部になるよう
それぞれイオン交換水に溶解した水溶液とを、それぞれ
連続的に供給し、さらにイオン交換水全量が900部に
なるようにイオン交換水を別途供給した。反応系のpH
値は3になるように硫酸供給量で制御した。重合温度を
60℃に保ち、十分な攪拌を行い、平均滞在時間を12
0分として連続的に前記原料を供給しつつ重合反応を行
い、反応溢流口より連続的に重合体水系分散液を取り出
し、これに蓚酸アンモニウム0.5部、重炭酸アンモニ
ウム1.5部をイオン交換水100部に溶解した重合停
止剤水溶液0.2部を加え、さらにイオン交換水を加え
た後回転式濾過機で未反応単量体及び重合助剤の残渣を
洗浄除去した。
【0034】未反応単量体回収用蒸留塔底液からは、未
反応のラウロキシポリエチレングルコールアクリレート
は検出されなかった。得られた湿潤重合体をスクリュー
式押出機によりペレット状に成形した後、通気乾燥機で
乾燥し、AN系ブロック共重合体を得た。AN系ブロッ
ク共重合体は、重合率が85%、比粘度が0.22、ラ
ウロキシポリエチレングルコールアクリレートセグメン
ト量が18.5%であった。
【0035】乾燥したAN系ブロック共重合体21部を
5℃の冷却ジメチルアセトアミド79部でスラリー化し
た後、熱交換器を使用して連続的に90℃に加熱して溶
解し、紡糸原液を作製した。この紡糸原液を紡糸口金
(ノズル孔径50μ、孔数12000)より40℃のジ
メチルアセトアミド55%水溶液からなる凝固液中に紡
出し、熱水中で脱溶剤処理を行い、油剤付与、乾燥、湿
熱緩和処理を行い、単糸繊度3デニールのアクリル繊維
を得た。得られたアクリル繊維中のラウロキシポリエチ
レングルコールアクリレートセグメント量は18.4%
であり、紡糸工程での脱落は殆ど無かった。得られたア
クリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を表1に示
す。得られたアクリル繊維は、表1に示すように、良好
な初期及び恒久制電性を示した。
【0036】(実施例2)実施例1において、第1段目
の重合でラウロキシポリエチレングルコールアクリレー
ト90部、メタリルスルフォン酸3部、AN7部とした
以外は、実施例1と同様にしてAN系ブロック共重合体
を得た。AN系ブロック共重合体は、重合率80%、比
粘度が0.22であった。その後実施例1と同様にして
アクリル繊維を得た。アクリル繊維の紡糸工程での制電
性セグメントの脱落は殆ど無かった。得られたアクリル
繊維は制電性及び染色性の評価結果を表1に示す。得ら
れたアクリル繊維は、表1に示すように、良好な初期及
び恒久制電性を示した。
【0037】(実施例3)実施例1において、第1段目
の重合でラウロキシポリエチレングルコールアクリレー
ト10部、メタリルスルフォン酸1部、AN3部とした
以外は、実施例1と同様にしてAN系ブロック共重合体
を得た。AN系ブロック共重合体は、重合率90%、比
粘度が0.24であった。その後実施例1と同様にして
アクリル繊維を得た。アクリル繊維の紡糸工程での制電
性セグメントの脱落は殆ど無かった。得られたアクリル
繊維の制電性及び染色性の評価結果を表1に示す。得ら
れたアクリル繊維は、表1に示すように、良好な初期及
び耐久制電性を示した。
【0038】(実施例4)実施例1で得たAN系ブロッ
ク共重合体を用い、紡糸原液の作製時に重合体に対しヒ
ンダードフェノール系抗酸化剤アデカスタブA0−60
(旭電化工業社製)0.5%を添加した以外は、実施例
1と同様にしてアクリル繊維を得た。アクリル繊維の紡
糸工程での制電性セグメントの脱落は殆ど無かった。得
られたアクリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を表
1に示す。得られたアクリル繊維は、表1に示すよう
に、良好な初期及び耐久制電性、良好な染色性を示し
た。
【0039】(実施例5)実施例1で得たAN系ブロッ
ク共重合体を用い、紡糸原液の作製時に重合体に対しヒ
ンダードフェノール系抗酸化剤アデカスタブA0−50
(旭電化工業社製)0.5%を添加した以外は、実施例
1と同様にしてアクリル繊維を得た。アクリル繊維の紡
糸工程での制電性セグメントの脱落は殆ど無かった。得
られたアクリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を表
1に示す。得られたアクリル繊維は、表1に示すよう
に、良好な初期及び耐久制電性、良好な染色性を示し
た。
【0040】(実施例6)実施例1で得たAN系ブロッ
ク共重合体を用い、紡糸原液の作製時に重合体に対しヒ
ンダードフェノール系抗酸化剤アデカスタブA0−30
(旭電化工業社製)0.5%を添加した以外は、実施例
1と同様にしてアクリル繊維を得た。アクリル繊維の紡
糸工程での制電性セグメントの脱落は殆ど無かった。得
られたアクリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を表
1に示す。得られたアクリル繊維は、表1に示すよう
に、良好な初期及び耐久制電性、良好な染色性を示し
た。
【0041】(実施例7)実施例1で得たAN系ブロッ
ク共重合体を用い、紡糸原液の作製時に重合体に対しヒ
ンダードフェノール系抗酸化剤アデカスタブA0−40
(旭電化工業社製)0.5%を添加した以外は、実施例
1と同様にしてアクリル繊維を得た。アクリル繊維の紡
糸工程での制電性セグメントの脱落は殆ど無かった。得
られたアクリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を表
1に示す。得られたアクリル繊維は、表1に示すよう
に、良好な初期及び耐久制電性、良好な染色性を示し
た。
【0042】(実施例8)実施例1で得たAN系ブロッ
ク共重合体を用い、紡糸原液の作製時に重合体に対しヒ
ンダードフェノール系抗酸化剤アデカスタブA0−60
(旭電化工業社製)0.1%を添加した以外は、実施例
1と同様にしてアクリル繊維を得た。アクリル繊維の紡
糸工程での制電性セグメントの脱落は殆ど無かった。得
られたアクリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を表
1に示す。得られたアクリル繊維は、表1に示すよう
に、良好な初期及び耐久制電性、良好な染色性を示し
た。
【0043】(実施例9)実施例1で得たAN系ブロッ
ク共重合体を用い、紡糸原液の作製時に重合体に対しヒ
ンダードフェノール系抗酸化剤アデカスタブA0−60
(旭電化工業社製)1.0%を添加した以外は、実施例
1と同様にしてアクリル繊維を得た。アクリル繊維の紡
糸工程での制電性セグメントの脱落は殆ど無かった。得
られたアクリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を表
1に示す。得られたアクリル繊維は、表1に示すよう
に、良好な初期及び耐久制電性、良好な染色性を示し
た。
【0044】(実施例10)実施例2で得たAN系ブロ
ック共重合体を用い、紡糸原液の作製時に重合体に対し
ヒンダードフェノール系抗酸化剤アデカスタブA0−6
0(旭電化工業社製)0.5%を添加した以外は、実施
例1と同様にしてアクリル繊維を得た。アクリル繊維の
紡糸工程での制電性セグメントの脱落は殆ど無かった。
得られたアクリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を
表1に示す。得られたアクリル繊維は、表1に示すよう
に、良好な初期及び耐久制電性、良好な染色性を示し
た。
【0045】(実施例11)実施例3で得たAN系ブロ
ック共重合体を用い、紡糸原液の作製時に重合体に対し
ヒンダードフェノール系抗酸化剤アデカスタブA0−6
0(旭電化工業社製)0.5%を添加した以外は、実施
例1と同様にしてアクリル繊維を得た。アクリル繊維の
紡糸工程での制電性セグメントの脱落は殆ど無かった。
得られたアクリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を
表1に示す。得られたアクリル繊維は、表1に示すよう
に、良好な初期及び耐久制電性、良好な染色性を示し
た。
【0046】(実施例12)実施例1で得たAN系ブロ
ック共重合体を用い、紡糸原液の作製時に重合体に対し
ヒンダードフェノール系抗酸化剤アデカスタブA0−6
0(旭電化工業社製)0.5%を添加して実施例1と同
様にして得た紡糸原液を用い、紡糸口金(ノズル孔径1
00μ、孔数200)より、40℃のジメチルアセトア
ミド55%水溶液からなる凝固液の液面から5mm離れ
た気相中に一旦紡出し、直ちに凝固液に導く乾湿式紡糸
法で紡糸し、熱水中で脱溶剤処理を行い、油剤付与、乾
燥、湿熱緩和処理を行い、単糸繊度3デニールのアクリ
ル繊維を得た。アクリル繊維の紡糸工程での制電性セグ
メントの脱落は殆ど無かった。得られたアクリル繊維の
制電性及び染色性の評価結果を表1に示す。得られたア
クリル繊維は、表1に示すように、良好な初期及び恒久
制電性、良好な染色性を示した。
【0047】(実施例13)実施例1で得たAN系ブロ
ック共重合体30部及び重合体に対しヒンダードフェノ
ール系抗酸化剤アデカスタブA0−60(旭電化工業社
製)0.5%を5℃の冷却ジメチルアセトアミド70部
でスラリー化した後、熱交換器を使用して連続的に13
0℃に加熱して溶解し、紡糸原液とした。この紡糸原液
を紡糸口金(ノズル孔径100μ、孔数500)より紡
出し200℃の紡糸塔内で溶剤を除去する乾式紡糸法に
より紡糸し、熱水中で脱溶剤処理を行い、油剤付与、乾
燥、湿熱緩和処理を行い、単糸繊度3デニールのアクリ
ル繊維を得た。アクリル繊維の紡糸工程での制電性セグ
メントの脱落は殆ど無かった。得られたアクリル繊維の
制電性及び染色性の評価結果を表1に示す。得られたア
クリル繊維は、表1に示すように、良好な初期及び耐久
制電性、良好な染色性を示した。
【0048】(比較例1)実施例1において、第1段目
の重合でラウロキシポリエチレングルコールアクリレー
ト40部、メタリルスルフォン酸5部、ジシクロヘキサ
ノンパーオキシド0.2部、ロンガーリット0.1部と
した以外は、実施例1と同様にしてAN系ブロック共重
合体を得た。その後実施例1と同様にしてアクリル繊維
を得た。得られたアクリル繊維は、その紡糸工程で制電
性セグメントの脱落がみられ、その制電性及び染色性の
評価結果を表1に示す。
【0049】(比較例2)容量80リットルの攪拌付き
重合反応釜(容器はアルミニウム製、攪拌翼はアルミニ
ウム被覆タービン型)にイオン交換水(pH3に設定)
を35l仕込み、AN90部及び酢酸ビニル10部と、
過硫酸アンモニウム1.5部、亜硫酸水素ナトリウム
4.5部、硫酸第一鉄0.00005部、硫酸0.85
部になるようそれぞれイオン交換水に溶解した水溶液と
を、それぞれ連続的に供給し、さらにイオン交換水全量
が300部になるようにイオン交換水を別途供給した。
反応系のpH値は3になるように硫酸供給量で制御し
た。重合温度を60℃に保ち、十分な攪拌を行い、平均
滞在時間を120分として連続的に前記原料を供給しつ
つ重合反応を行い、反応溢流口より連続的に重合体水系
分散液を取り出し、これに蓚酸アンモニウム0.5部、
重炭酸アンモニウム1.5部をイオン交換水100部に
溶解した重合停止剤水溶液0.2部を加え、さらにイオ
ン交換水を加えた後回転式濾過機で未反応単量体及び重
合助剤の残渣を洗浄除去した。
【0050】得られた湿潤重合体をスクリュー式押出機
によりペレット状に成形した後、通気乾燥機で乾燥し、
AN系重合体を得た。重合反応での重合率は90%であ
り、AN系重合体の比粘度は0.24であった。
【0051】乾燥したAN系重合体21部を5℃の冷却
ジメチルアセトアミド79部でスラリー化した後、熱交
換器を使用して連続的に90℃に加熱して溶解し、紡糸
原液を作製した。この紡糸原液を紡糸口金(ノズル孔径
50μ、孔数12000)より40℃のジメチルアセト
アミド55%水溶液からなる凝固液中に紡出し、熱水中
で脱溶剤処理を行い、油剤付与、乾燥、湿熱緩和処理を
行い、単糸繊度3デニールのアクリル繊維を得た。得ら
れたアクリル繊維の制電性及び染色性の評価結果を表1
に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、アクリル繊維が本来有
する優れた染色性を保持し、繊維重合体のAN系ブロッ
ク共重合体が有する優れた制電性に恒久性が付与された
恒久制電性を有するアクリル繊維を得ることができ、衣
料用途、インテリア資材用途その他染色性と制電性が望
まれていた用途に好適なるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 団 秀人 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 で示される単量体(A)50〜95wt%、スルフォン
    酸基含有の単量体(B)20〜1wt%及びアクリロニ
    トリル(C)30〜4wt%をポリパーオキシド重合開
    始剤の存在下に水を媒体として第1段目の重合を行い実
    質的に均一な水系溶液とし、該溶液にアクリロニトリル
    を主体とする単量体(D)を加えて第2段目の重合を行
    い、得られた単量体(A)成分が5〜50wt%含まれ
    るアクリロニトリル系ブロック共重合体を溶剤に溶解し
    て紡糸原液とし、湿式、乾式又は乾湿式紡糸することを
    特徴とする染色性に優れた恒久制電性アクリル繊維の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 鉄化合物又はそのイオンが実質的に存在
    しない状態で第1段目の重合を行う請求項1記載の染色
    性に優れた恒久制電性アクリル繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 アクリロニトリル系ブロック共重合体1
    00重量部に対しフェノール系抗酸化剤を0.01〜5
    重量部添加する請求項1記載の染色性に優れた恒久制電
    性アクリル繊維の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103409838A (zh) * 2013-08-12 2013-11-27 常州大学 一种提高腈纶纺丝液固体含量的方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103409838A (zh) * 2013-08-12 2013-11-27 常州大学 一种提高腈纶纺丝液固体含量的方法
CN103409838B (zh) * 2013-08-12 2016-08-17 常州大学 一种提高腈纶纺丝液固体含量的方法

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