JPH0718198U - 不定形耐火物の充填装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱管雰囲気下で、浸漬管内張り耐火物を不定
形耐火物で補修する際、振動機が熱損傷することなく成
形枠に振動を与え、充填性の優れた不定形補修体を作る
装置の提供。 【構成】 浸漬管内に挿入した使い捨て成形枠と、この
成形枠に直接接続した振動伝播材と振動機に接続した振
動伝播材とを、引っかけ勘合構造で連結、分離できるよ
うにして、連結、分離時は、振動機と振動機に接続した
振動伝播材をジャッキ等で昇降することにより行う。成
形枠への振動付与時は、上下の振動伝播材同志が勘合で
きる位置でジャッキを下降し、ジャッキと振動機を分離
することで上下の振動伝播材が勘合連結する。ジャッキ
と振動機を分離することで振動機の振動が減衰すること
なく振動伝播材を通して成形枠に振動を与えることがで
きる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は鉄鋼業に使用されている真空脱ガス炉浸漬管の内張りライニングを、 熱間で不定形耐火物の流し込み、または圧入によって補修する場合の不定形耐火 物の充填装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

溶融金属容器の内張りライニングを常温雰囲気下で不定形耐火物を成形させる 場合、例えば、実開昭５３−１５８７０１号公報、特開昭５５−１６２５９０号 公報、特開昭５１−１３２１２０号公報に開示されているように不定形耐火物に 棒状バイブレーターを直接挿入して充填性を向上させる方法と、成形枠に振動機 を取付て成形枠の振動により充填性を向上させることが提案されている。これは いずれも常温で溶銑樋、溶銑鍋、連鋳用タンディシュを施工するためのものであ る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、真空脱ガス炉（ＤＨ，ＲＨ等）の浸漬管のように熱間で不定形 耐火物を用いて補修する場合は、振動機のモーターが雰囲気の熱、および炉内か らの輻射熱を受けて損傷する問題があり、振動を与えないで施工している。従っ て、施工後の不定形耐火物の充填性が悪く満足な耐用性を得ることができない。 本考案は、熱間で不定形耐火物を成形枠を用いて流し込み、或いは圧入補修す る場合に、振動機のモーターの熱損傷が無く成形枠に振動を与え充填性の優れた 施工体を作ることのできる不定形耐火物の充填装置を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の熱間における浸漬管内張り耐火物の不定形耐火物による補修装置は、 浸漬管内に挿入した成形枠の表面に振動機を直接設置せずに、振動機を熱の影響 の無い浸漬管外に設置し、振動機の振動を振動伝播材を介して成形枠に振動を与 え、成形枠の振動で浸漬管の内張り耐火物と成形枠の間隙に施工した不定形耐火 物を振動充填するものである。

【０００５】 使い捨て成形枠１０が浸漬管内張り耐火物３を不定形耐火物４で補修するため に浸漬管２内に挿入される。浸漬管２内に挿入された成形枠１０外に設置した振 動機１１の振動を成形枠１０に与える手段としては、成形枠１０に直接接続した 振動伝播材９を取付けこれに嵌合部１３を設け、この成形枠１０に振動を与える ために浸漬管２の外部に設置した振動機１１と接続するため、成形枠１０に振動 伝播材９に設けた嵌合部１３と、振動機１１に接続した振動伝播材１２に設けた 引っかけ嵌合構造２１とを連結、分離できるようする。連結、分離時は、振動機 １１と振動機１１に接続した振動伝播材１２をジャッキ１８等で昇降することに より行う。

【０００６】 成形枠１０への振動付与時は、上下の振動伝播材同士が嵌合できる位置でジャ ッキ１８を下降し、ジャッキ１８と振動機１１を分離することで上下の振動伝播 材が嵌合連結する。ジャッキ１８と振動機１１を分離することで振動機１１の振 動が減衰することなく振動伝播材を通して成形枠１０に振動を与えることができ る。 施工終了後の振動伝播材の同士の分離は、ジャッキ１８を上昇させ振動機１１ と振動機に接続した振動伝播材１２と干渉、嵌合しない位置に回転した後、振動 機１１を積載したままジャッキ１８を下降することで行うことができる。

【０００７】 更に、もう一つの成形枠外に設置した振動機１１の振動を成形枠１０に与える 手段としては、使い捨て成形枠１０に接触するように設けた浸漬管下端シール枠 ６とシール枠を支持する架台５の構成において、シール枠支持架台の下部が振動 機を有する振動テーブル２０となった装置とし、振動テーブル２０の振動がシー ル枠支持架台５、シール枠６を介して成形枠１０に伝播する装置である。

【０００８】 前記の両手段共に、振動機周辺の雰囲気温度が５０℃以上ある場合や輻射熱の 影響で振動機の温度許容限界を越える場合は、輻射熱遮蔽板１４の設置や空気冷 却を行うことにより振動機のモーター損傷を防止することができる。

【０００９】

【作用】

本考案の不定形耐火物の充填装置は、真空脱ガス炉浸漬管の内張り耐火物を熱 間で補修する場合の使い捨て成形枠に振動付与するための振動機を成形枠外、即 ち、浸漬管外に設置するため炉内の高温雰囲気、および炉内の赤熱された耐火物 からの輻射熱の影響を受けなくなり安定した振動を補修用不定形耐火物に付与す ることができ、不定形耐火物混練中に巻き込んだ空気の脱気、および振動による 不定形耐火物粒子の滑り充填性が向上して、緻密な施工体を成形することができ る。 また、作業面においても振動機の取り付け、取り外しが容易であるため、作業 時間を延長することなく振動を付与することができる。

【００１０】

【実施例】

図１、図２は本考案に係わる浸漬管内張り補修時の実施例を縦断面によって示 す図であり、図３は本考案に係わる浸漬管内張り補修時の他の実施例を縦断面に よって示す図である。

【００１１】 図１、図２において、真空脱ガス炉１の下端部に設置された浸漬管２の内張り 耐火物３を不定形耐火物４で補修するにあたって、事前にシール架台５の上に乗 せたシール枠６と、シール枠６に乗せたシール材７、および補修材圧入パイプ８ と振動伝播材９を接続した成形枠１０を真空脱ガス炉の下降により浸漬管内に挿 入する。この時、振動機１１に接続した振動伝播材１２引っかけ嵌合機構２１は 、事前に成形枠１０に接続した振動伝播材９の嵌合部１３で連結させておく。振 動機１１の防熱対策としては、振動機１１の上部に輻射熱遮蔽板１４を設け、空 気吹き込み口より空気を吹き込み振動機を冷却し、モーターの加熱損傷を防止し た。

【００１２】 所定の水分量で混練した不定形耐火物４を圧入パイプ８とジョイント１６で連 結したホース１７に圧送ポンプを接続し圧送ポンプにより、成形枠１０と浸漬管 耐火物３の間隙に充填する。 不定形耐火物４を充填中に振動機１１を稼働させることにより、緻密な施工体 が形成される。 不定形耐火物４の充填作業終了の振動機１１の切り離しは、ジャッキ１８を上 昇し、振動機１１と振動機１１に接続した振動伝播材１２を持ち上げた後に、振 動機１１の振動伝播材１２と成形枠１０の振動伝播材９が嵌合しない位置まで回 転させ、ジャッキ１８を下降させることにより行う。

【００１３】 振動機１１を切り離し後に圧入パイプ８とホース１７をジョイント１６で切り 離し、その後、真空脱ガス炉１を上昇させることにより、シール枠６とシール材 ７が分離され、補修作業が終了する。 成形枠１０と成形枠１０に接続した振動伝播材９と嵌合部１３は、補修した不 定形耐火物に接着したまま図示していない取鍋溶鋼内に浸漬され溶鋼内に溶融消 耗する。

【００１４】 図３は振動伝播機構を簡素化したもので、シール架台５の下部に接続した振動 テーブル１を設け振動テーブル内に設置した振動機１１の振動を、シール架台５ 、シール枠６を介して成形枠１０に伝播させることにより、成形枠１０と浸漬管 耐火物の間隙に充填した不定形耐火物補修材４を緻密化させるものである。本装 置は図１の装置に比較して、成形枠１０までの伝播振動の減衰率がやや大きくな るが、振動周波数の大きな振動機を選定することにより充分な緻密な施工体を得 ることができる。

【００１５】 尚、本考案は、使い捨て成形枠１０と振動機１１の分離、切り離しが容易なた め熱間に限らず、常温雰囲気においても適用することができる。

【００１６】

【考案の効果】 本考案によって、浸漬管の熱間補修において振動機の熱損傷することなく、浸 漬管内に挿入した成形枠に振動を与えることが可能となり、浸漬管内張り耐火物 の圧入補修耐火物の混練時添加水分を、約３０％低減することができると共に、 脱気、耐火物粒子の滑り充填性が向上し気孔率の低い緻密な施工体が形成でき、 これまでの振動成形を実施していなかった補修と比較して、補修寿命が約２倍に 向上した。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係わる充填装置と真空脱ガス
炉の縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ′断面矢視図を示す。

【図３】本考案の他の実施例に係わる充填装置と真空脱
ガス炉の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 真空脱ガス炉 ２ 浸漬管 ３ 浸漬管内張り耐火物 ４ 不定形耐火物 ５ シール架台 ６ シール枠 ７ シール材 ８ 圧入パイプ ９ 成形枠に接続した振動伝播材 １０ 成形枠 １１ 振動機 １２ 振動機に接続した振動伝播材 １３ 嵌合部 １４ 輻射熱遮蔽板 １５ 冷却空気吹き込み口 １６ 圧入パイプとホースのジョイント １７ ホース １８ ジャッキ １９ 排気口 ２０ 振動テーブル ２１ 引っかけ嵌合構造

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 浸漬管内張り耐火物の成形枠と該成形枠
   に嵌合部を有する振動伝播部材を設けるとともに、成形
   枠の嵌合部に自在に嵌合離脱する昇降、且つ、旋回自在
   な振動伝播部材の基端に振動機を設けたことを特徴とす
   る不定形耐火物の充填装置。
2. 【請求項２】 浸漬管内張り耐火物の成形枠をシール架
   台、シール枠を介して振動テーブル上に設けたことを特
   徴とする不定形耐火物の充填装置。