JPH07178826A - ロービングクリール格納装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 狭い敷地の中に多数のロービングクリールを
格納できるロービングクリール格納装置を提供する。 【構成】 ＦＲＰ成形装置のロービング列形成部分にロ
ービングを供給するロービングクリール格納装置を提供
する。ロービングクリール格納装置１０は、全体として
直方体形状のラック構造を有し、多数のロービングクリ
ール２０を３次元に配列する。各クリール２０からはロ
ービング１２が引き出されており、ロービング１２を前
方にフィードするための水平案内経路がクリール２０の
上方に配設される。各水平案内経路は、直線上に配設さ
れた複数のスリーブ２２から構成される。多数のロービ
ング１２が、ロービングガイド棒２６及びロービング整
列板２８によって互いに干渉することなく垂直及び水平
方向に配列されてＦＲＰ成形装置に供給されることで、
ＦＲＰ成形装置の配置効率の向上、作業性の向上及び省
スペースを可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばＦＲＰ成形装置
等に用いるロービングクリール格納装置に関し、更に詳
しくは、ＦＲＰ成形品を成形するＦＲＰ成形装置用ロー
ビングクリール格納装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ＦＲＰ成形品は、ガラスフィラメント等
を強化材とし、この強化材に熱硬化性樹脂等を含浸さ
せ、全体を成形・硬化させることにより形成される。強
化材として連続繊維を成すロービングを使用するＦＲＰ
成形方法として、例えばフィラメントワインディング
（ＦＷ）法或いはプルトルージョン法が知られている。

【０００３】例えばＦＷ法では、ロービングを１本〜数
十本引き揃え、樹脂組成物（マトリックス）を含浸させ
ながら、回転するマンドレル（金型）上に規則正しく巻
き付け、全体が所定の厚さに達した後にこれを硬化さ
せ、金型から外して成形する。

【０００４】ＦＲＰ引抜き成形においては、多数のロー
ビングをＦＲＰ成形装置のロービング含浸装置に連続的
に供給する場合には、例えば特開昭６４−７５２２５号
公報第８図の如く、ロービングをボビンに巻回したクリ
ール（ロービングクリール）を含浸装置の前段に多数配
置し、含浸装置に後続する積層体成形装置等の末端側よ
り引張力をかけて、ロービングを各クリールから一斉に
引き出す。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ＦＲＰ引抜き成形にお
いて、多数のロービングクリールを水平方向及び鉛直方
向に設置した状態から多数のロービングを同時に引き揃
えながらＦＲＰ成形装置のロービング列形成部分に送り
込めるロービングクリール格納装置であって、ロービン
グの取扱も容易なロービングクリール格納装置が望まれ
ている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のロービングクリ
ール格納装置は、３次元の各方向に複数のロービングク
リールが配列されるロービングクリール収容架台と該ロ
ービングクリール収容架台の前記ロービングクリールが
配置される位置の上方に前記各ロービングクリールに対
応して配設されており該各ロービングクリールのそれぞ
れから引き出されるロービングを実質的に相互に平行に
案内する水平案内経路とを備えることを特徴とする。

【０００７】本発明のロービングクリール格納装置の好
ましい態様では、ロービングが該ロービング収容架台の
外側に設置されたロービングガイド棒を介して送り出さ
れ、ロービングガイド棒はロービングの進行方向に直角
をなす複数の棒からなっている。

【０００８】本発明のロービングクリール格納装置の更
に好ましい態様では、ロービングが該ロービング収容架
台の外側に設置されたロービング整列板で整列されてか
ら送り出され、該ロービング整列板は、各ロービングの
通る穴、溝または格子を持っている。該ロービング整列
板は、例えばロービングの通る穴、溝または格子を持つ
プラスチック板から成り、該穴または溝が円孤に沿って
並んでいる。

【０００９】本発明のロービングクリール格納装置の更
に好ましい態様では、ロービングクリール収容架台には
車輪が付いていて移動可能であり、ロービングの引出し
方向に応じてその位置を変えることができ、また、複数
台数のロービングクリール格納装置を適宜設置すること
もできる。

【００１０】本発明のロービングクリール格納装置は、
多数の階層にロービングクリールを設置できるために狭
い敷地の中に多数のロービングクリールを格納できる。
すなわち、本発明のロービングクリール格納装置では、
クリールが３次元の各方向に収容されている結果、小さ
なスペースでも多数のクリールを効率よく配置すること
ができる。また、クリール収容架台が水平案内経路を備
え、この案内経路がロービングを相互に平行に案内する
ことにより、小さなスペースでも多数のロービングを容
易にロービング列として形成することができる。

【００１１】ところで、ロービング列形成のためには、
多数のロービングを互いに干渉しないように引き出さな
ければならない。その１つの態様として本願発明のロー
ビングクリール格納装置は、ロービング収容架台の外側
に設置されたロービングガイド棒を持っている。 ロー
ビングガイド棒は、図１の符号２６で示すようにロービ
ングの進行方向に直交する複数の棒からなっており、高
階層ほどロービングガイド棒が多く、即ちロービングク
リール収容架台から離れるようにロービングガイド棒が
設置されているため、ロービングが互いに干渉すること
なく、床位置近くまで送られる。

【００１２】他の１つの態様としては、一定間隔に設定
された穴、溝又は格子を有する整列板によってロービン
グを整列させることができ、ロービングが互いに干渉す
ることがない。ロービング整列板は、静電気防止の処置
をしたプラスチック板にロービングの通る大きさの穴を
あけた構造が好ましい。また、この穴は円孤に沿って並
んでいるのが望ましく、さらにその円孤の中心がロービ
ングの進む方向と円孤を挟んで逆方向にあることがもっ
とも望ましい。ロービング整列板の材質としては例えば
ポリエチレンが使用できる。

【００１３】本発明の特に好ましい態様のロービングク
リール格納装置では、ロービングクリール収容架台に車
輪が付いていて移動可能であり、ロービングの引き出し
方向に応じてその位置を変えることができ、また複数台
数のロービングクリール格納装置を適宜設置することも
できる。

【００１４】本発明のロービングクリール格納装置に格
納されるクリールには、モノフィラメントを集束したス
トランドを任意の番手になるように引き揃えたロービン
グ、或いは、フィラメントを置換集束して引き揃えたロ
ービング等、いかなるロービングを採用してもよく、本
発明におけるクリールは、これらロービングを巻回して
構成される。

【００１５】また、本発明のロービングクリール格納装
置を備えるＦＲＰ成形装置の好ましい態様では、上記ロ
ービングクリール格納装置を複数台備え且つこれらをロ
ービングの供給方向と交差する方向に移動可能とするこ
とで、ＦＲＰ成形装置における各装置の配置効率が更に
向上し、また、ロービングクリール格納装置内のクリー
ル配置換え又は交換時に作業しやすく出来るため、クリ
ールへのアクセスが容易となる。

【００１６】

【実施例】

実施例１ 図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。図１は、
本発明の実施例１のロービングクリール格納装置１０を
示す。

【００１７】ロービングクリール格納装置１０は、全体
としてフレーム構造を有し、該フレーム下部に車輪１４
を備え、床面に埋め込まれたレール１６を介してロービ
ングの供給方向と直交方向に移動可能である。

【００１８】ロービングクリール格納装置の各段の床に
クリール２０を載置・収容する。ロービングクリール格
納装置１０は、鉛直方向に６段、水平横方向に３列及び
水平縦方向（ロービング供給方向）に６行に、夫々クリ
ール２０を配列できるものとして例示してある。なお、
段数、列数及び行数は、製品を成すＦＲＰ成形体に応じ
て、また、ＦＲＰ成形装置の配置に応じて夫々任意に選
定可能である。各クリール２０からは、図示のごとく、
夫々ロービング１２が引き出されている。図１では、理
解を容易にするために、中間のクリール２０から引き出
されるロービング１２の図示を省略して示している。

【００１９】フレーム１８の各階の上部には、ロービン
グ１２を前方にフィードするための水平案内経路が設け
られている。水平案内経路は、夫々のクリールに対応し
て、即ちクリール２０から引き出されるロービングに対
応して１経路が設けられる。各案内経路は、クリール２
０の上方に配列されるスリーブ２２によって構成されて
おり、各スリーブ２２は、支持部材２４を貫通して水平
案 内経路の必要箇所に設けられている。各スリーブ２
２は、そのスリープ孔がロービングの供給方向を向いて
支持部材２４に支持され、水平縦方向に配列されるクリ
ール２０群のスリーブが相互に近接するように配置され
ている。各スリーブ２２は、ロービング１２に対応する
孔径を有し、ロービング１２はロービングクリール格納
装置１０の最終のスリーブ２２を貫通してフレームの外
へ引き出される。スリーブ２２の材質は、例えばロービ
ングの材質及びその配置に対応して定められるが、通
常、金属またはプラスチックが用いられる。

【００２０】図１に示すように、ロービング格納装置１
０の上方部分に設けられた各案内経路の最終のスリーブ
２２の前方には、夫々水平横方向に延びる１〜数本のガ
イド棒２６が設けられ、ロービングはこのサイド棒の上
端及び下端と交互に接し、くぐり抜けながらその下方に
設けられたロービング整列板２８へと案内される。（図
２参照）

【００２１】ロービング整列板２８は静電気防止処置し
たポリエチレン製の板で出来ており、ロービングの太さ
に対応する孔が、ロービングを成形装置へと案内し、案
内する方向に対して円孤（Ｒ）が遠ざかるように孔が多
数形成されており、この孔は無理のないテンションをロ
ービングに与えると同時に、ロービングが互いに干渉し
ないようにする為に設けられたものである。（図３参
照）円孤は、多数のロービングを互い絡まないように整
列し、かつ、ロービングに無理のないテンションを与え
るためのものである。

【００２２】上記実施例１のロービングクリール格納装
置によると、小さなスペース内でロービング列の形成が
容易に行なわれるので、ＦＲＰ成形装置全体の配置効率
を高めることができ、省スペースが可能である。特に、
多数のロービング、例えば１０００本以上にも達する多
数のロービングをロービング列として供給する場合に
は、本実施例のロービングクリール格納装置を採用する
利点は極めて大きい。

【００２３】実施例２ 図４は、本発明の実施例２のロービングクリール格納装
置を備えるＦＲＰ成形装置の要部平面略図である。この
実施例では、複数台の（図面上４つが示されている）ロ
ービングクリール格納装置１０Ａ、１０Ｂ、１０Ｃ、１
０Ｄ（１０Ａ〜１０Ｄとして示す、以下同様）、２台の
含浸装置５０Ａ、５０Ｂ、並びに、積層体成形装置８０
を備えている。また、積層体成形装置８０のさらに末端
には、図示しない硬化装置及び引抜き装置が設けられて
おり、引抜き装置によりロービング列の供給が全体とし
て制御される。

【００２４】各ロービングクリール格納装置１０Ａ〜１
０Ｄは、夫々、ロービングの供給方向（縦方向）と交差
して横方向に延びるレール１６上に配設され、レール１
６上を横方向に移動可能である。各ロービングクリール
格納装置１０Ａ〜１０Ｄは、相互に同じ構成を有してお
り、例えば、２列×１０行×６段にクリール２０を配置
可能である。

【００２５】実施例２では、各ロービングクリール格納
装置を所望により複数台組み合わせることで、必要なロ
ービング列を供給可能としてある。このため、製造する
ＦＲＰ成形品の種類が変更され、従ってロービング列の
構成を変える必要が生じた場合には、単に、ロービング
クリール格納装置の組合せを変更することにより、特に
大きな労力及び時間を要することなく、必要なロービン
グ列が容易に供給できる。

【００２６】また、ロービングクリール格納装置を横方
向に移動可能とした構成により、装置運転中にロービン
グが途切れた場合には、別のロービングクリール格納装
置に切り替えることができる。この場合、新たなクリー
ルを格納したロービングクリール格納装置を単に所定位
置に配置し、これからロービングを取り出すことで、そ
の切替えが可能である。従って、ロービングの切替えに
際して大幅な時間短縮が可能である。

【００２７】

【発明の効果】本発明のロービングクリール格納装置
は、多数の階層にロービングクリールを設置できるため
に狭い敷地の中に多数のロービングクリールを格納でき
るので、ロービングクリール格納装置のための省スペー
スが可能となり、ＦＲＰ成形装置全体としての配置効率
が向上する。

【００２８】また、本発明の好ましい態様のロービング
クリール格納装置によれば、ロービングガイド棒及び／
またはロービング整列板の作用によって非常に多数のロ
ービングを互いに干渉することなく、すなわち互いに絡
まることなく、また適宜なテンションでＦＲＰ成形装置
に送り込むことができる。

【００２９】さらに、本発明の好ましい態様のロービン
グクリール格納装置は、移動可能であるため、ロービン
グの引出し方向に応じてその位置を変えることができ、
また、所望により複数台数のロービングクリール格納装
置を適宜組合せて設置することもできる。また、ロービ
ングクリール格納装置の組み合わせを変更することによ
り必要なロービング列を容易に供給できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１のロービングクリール格納装
置の側面図。

【図２】本発明のロービングクリール格納装置のロービ
ングガイド棒の一例の斜視図。

【図３】本発明のロービングクリール格納装置のロービ
ング整列板の一例の斜視図。

【図４】本発明の実施例２の複数のロービングクリール
格納装置を組み合わせた場合の説明図。

【符号の説明】

１０、１０Ａ〜１０Ｄ ロービングクリール格納装置 １２ ロービング １４ 車輪 １６ レール １８ フレーム ２０ ロービングクリール ２２ スリーブ ２４ スリーブ支持部材 ２６ ガイド棒 ２８ ロービング整列板 ５０、５０Ａ、５０Ｂ ロービング含浸装置 ７２Ａ、７２Ｂ ロービング列 ８０ 積層体成形装置

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ３次元の各方向に複数のロービングクリ
   ールが配列されるロービングクリール収容架台と該ロー
   ビングクリール収容架台の前記ロービングクリールが配
   置される位置の上方に前記各ロービングクリールに対応
   して配設されており該各ロービングクリールそれぞれか
   ら引き出されるロービングを実質的に相互に平行に案内
   する水平案内経路とを備えることを特徴とするロービン
   グクリール格納装置。
2. 【請求項２】 ロービングが該ロービング収容架台の外
   側に設置されたロービングガイド棒を介して送り出され
   る、請求項１に記載のロービングクリール格納装置。
3. 【請求項３】 ロービングガイド棒がロービングの進行
   方向に直角をなす複数の棒からなる、請求項２に記載の
   ロービングクリール格納装置。
4. 【請求項４】 ロービングが該ロービング収容架台の外
   側に設置されたロービング整列板で整列されてから送り
   出される、請求項１乃至３の一に記載のロービングクリ
   ール格納装置。
5. 【請求項５】 ロービング整列板が各ロービングの通る
   穴、溝または格子からなる、請求項４に記載のロービン
   グクリール格納装置。
6. 【請求項６】 ロービング整列板がロービングの通る穴
   または溝を持つ板である、請求項５に記載のロービング
   クリール格納装置。
7. 【請求項７】 ロービング整列板がロービングの通る穴
   または溝を持つプラスチック板からなり、該穴または溝
   が円弧に沿って並んでいる、請求項６に記載のロービン
   グクリール格納装置。
8. 【請求項８】 ロービングクリール収容架台が車輪を持
   ち、移動可能である、請求項１乃至７の一に記載のロー
   ビングクリール格納装置。