JPH07173189A - リガンド存在下で二段階に分けて行うヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーの用法 - Google Patents

リガンド存在下で二段階に分けて行うヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーの用法

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JPH07173189A
JPH07173189A JP5344407A JP34440793A JPH07173189A JP H07173189 A JPH07173189 A JP H07173189A JP 5344407 A JP5344407 A JP 5344407A JP 34440793 A JP34440793 A JP 34440793A JP H07173189 A JPH07173189 A JP H07173189A
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JP
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protein
ligand
hydroxyapatite
chromatography
stages
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JP5344407A
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Masashi Kosakai
正史 小堺
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酵素等のタンパク質を効率よく精製するた
め、ヒドロキシアパタイトの新しい用法を発明する。 【構成】 ヒドロキシアパタイトに対する結合力を変え
る目的で、このクロマトグラフィーを当該タンパク質の
リガンドが存在しない条件下 及び 存在する条件下で
行う。 【効果】 上記の方法を用いると、δーアミノレブリン
酸合成酵素の精製率は、通常の方法に比べて21倍向上
し、以後の精製段階の規模は25分の一以下に縮小出来
た。又、この酵素以外にも多数のタンパク質の結合力が
リガンドの存在で変化することが解った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本特許の方法は、薬品、化粧品 および
バイオテクノロジー関連産業等において酵素等のタン
パク質の精製に利用される。
【0002】
【従来の技術】タンパク質の精製にはイオン交換、ゲル
ろ過、アフィニテークロマトグラフィー等に加えてヒド
ロキシアパタイトのクロマトグラフィーがその特異な分
離様式の故に汎用されている。ヒドロキシアパタイトク
ロマトグラフィーはゲルの電荷とタンパク質の電荷との
間の相互作用が基本原理である。しかし、その詳細がま
だ明らかでない点も相まって、精製率は多くの場合数倍
程度である。これまで、ヒドロキシアパタイトのゲルに
関しては、粒子の大きさと均一性、並びに形状等につい
て著しい改良がなされてきた。しかし、この用法に関し
ては全く進歩がなく、リン酸濃度を上げて溶出する基本
的方法がほとんどであり、二価陽イオンの濃度を上げる
溶出法も、本質的にはタンパク質の等電点の差を利用す
る方法に含まれるものである。 一価 または 二価イ
オンによる溶出挙動が異常なタンパク質のなかには、特
定電荷のクラスターを持つものがあると推定されている
くらいで ( Gorbunoff、 Methods in Enzymology. 198
5 年、 117 巻、370 - 380 頁 )、 タンパク質の生
理的立体構造変化がヒドロキシアパタイトに対する親和
性を変えることは無いと考えられており ( Gorbunof
f、 Anal.Biochem. 1984 年、 136 巻、 425 - 432
頁 )、 用法の更なる開発の為に電荷の分布の変更が
意図されたことはなかった。従って、ADP−ATP輸
送体タンパク質がアトラクチロシドによってヒドロキシ
アパタイトに結合しなくなると言う報告が 1975 年にな
されていたが ( Riccio 等、FEBS. Lett. 56 巻、13
3 - 138 頁 )、 この結果に有益な示唆を求めようとし
たものはこれまでいなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ヒドロキシアパタイト
はタンパク質の精製過程、特に初期の過程で用いられる
ことが多く、この段階の精製率を10倍に上げることが
出来れば、以後の精製過程の規模を10分の1以下に縮
小出来、生産コストが著しく低減される。この精製率の
向上の為には新しい用法を発明する必要がある。
【0004】尚、ここで言うクロマトグラフィーとはバ
ッチ法を含めた用い方までを言う。
【0005】又、二つの段階はどちらが先でも、又、中
間に他の精製手段を挟んだ場合等も、本質的に同じ効果
をもたらすから、これらの変更により本発明の範囲が制
限されるものではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
タンパク質は、変性の様な大きな非生
理的構造変化を来すとヒドロキシアパタイトに結合しに
くくなる。この事実は、結合に関与する要因としてタン
パク質の等電点、即ち、実効電荷、以外にも重要な因子
が存在することを示唆している。
【0007】本特許では、最も重要な因子はタンパク質
分子表面上の電荷の分布ではないかという仮説を立て、
目的とするタンパク質に生理的な範囲内での構造変化を
惹起させる可能性のある要因を利用して、この電荷分布
の変化をもたらすことにより精製率の向上を計った。
【0008】タンパク質が特定の機能を発揮する際には
様々の程度にその立体構造の変化を伴う筈であり、この
ことは同時にまた、電荷の分布も変化すると期待され
る。その機能は当該タンパク質に特有の物質、即ちその
基質や阻害剤 および その他のリガンドが存在する時
に発揮される。従って、目的とするタンパク質にそのリ
ガンドを共存させた時、ヒドロキシアパタイトとの相互
作用は様々に変化するから、有意な変化を期待すること
の出来るタンパク質の数は多い筈である。
【0009】従って、ヒドロキシアパタイトのクロマト
グラフィーを当該タンパク質のリガンドが有る場合と無
い場合の二段階に分けて行い、各々の段階で必要とする
画分だけをとれば、多くのタンパク質の場合に精製率の
向上が期待出来る。
【0010】実施例で用いたδ−アミノレブリン酸合成
酵素はヘム合成系の初発段階を触媒する酵素であり、基
質であるグリシンとコエンザイムAコハク酸の他に、基
質類似体のATPや阻害剤のアミノマロン酸等のリガン
ドを持っており、この課題を検討する為に適したタンパ
ク質である。実施例では経済性と共に酵素に対する親和
性の大きさを考慮し、リガンドとしてATPを用いた。
【0011】
【作用】酵素等のタンパク質を精製する際、ヒドロキシ
アパタイトのクロマトグラフィーを二段階に分けて行
う。即ち、一方の段階ではリガンドを含まない条件下で
行い、ヒドロキシアパタイトに対する親和性が目的とす
るタンパク質のものと異なる画分を除去する。他方の段
階ではリガンドを含む条件下で行って、再び、目的とす
るタンパク質と親和性が異なる画分を除去する。リガン
ドは特異性の高い方がより効果的であり、その濃度は
Km 値から予想される十分量を用いる。
【0012】特定のタンパク質だけを除去する場合は、
リガンド存在下で行うクロマトグラフィーの際、除去す
るタンパク質の画分を除き、必要なタンパク質の画分だ
けを集めることによって目的を達することが出来る。
【0013】
【実施例】ニワトリ肝 30 g より得たミトコンドリア
画分からタンパク質分解酵素の阻害剤とトリトンX−1
00を含む緩衝液を用いて抽出液を得た。この遠心上清
は691 mg のタンパク質を含んでいた。第一段階のヒド
ロキシアパタイトクロマトグラフィーは通常の方法で行
った。即ち、トリトンX−100の終濃度が1%となる
ように補った遠心上清を内径 2.5 cm, 長さ 40 cm の
ヒドロキシアパタイトのカラムに吸着させた後、リン酸
濃度を 20 mM から 250 mM まで直線的に増加させて
タンパク質を溶出させた。 目的とする δ−アミノレブ
リン酸合成酵素は 160 mM のリン酸濃度で溶出したが、
抽出液中に含まれるタンパク質の大部分もこの画分に溶
出されてきた。第二段階のクロマトグラフィーを行う為
に 180mM 以上のリン酸濃度で溶出されるタンパク質画
分を除いた活性画分を集めると精製率は 1.4 倍に過ぎ
なかった。
【0014】第二段階のヒドロキシアパタイトクロマト
グラフィーはリガンドであるATPの存在下で行った。
即ち、上記活性画分を集めたものにATPを 3 mM にな
るように加えた後、これを内径 1 cm、長さ 40 cm の
ヒドロキシアパタイトのカラムに吸着させた。大部分の
タンパク質はカラムに吸着出来ずに素通りしたがこの中
にδ−アミノレブリン酸合成酵素の活性は認められなか
った。これは、この酵素がヒドロキシアパタイトに対し
て強く結合するように変化したことを示すものである。
実際、リン酸濃度を 160 mM から 400 mM まで直線的
に増加させて、結合しているタンパク質を溶出させる
と、この酵素活性は 300 mM で溶出される画分に認めら
れた。この活性画分のタンパク質量は 15 mg であった
ので 、酵素は15倍に精製されている。従って、ヒド
ロキシアパタイトのクロマトグラフィーだけでこの酵素
は21倍に精製されたことになる。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】実施例で示した様に、δ−アミノレブリ
ン酸合成酵素がリガンドであるATPの存在下でヒドロ
キシアパタイトに対して強く結合するようになることを
利用した二段階のクロマトグラフィーからなる新しい方
法は、従来の方法よりこの精製率を15倍高めることが
出来た。即ち、第一段階のクロマトグラフィーを従来の
方法で行った場合この酵素の精製率は 1.4 倍に過ぎな
かったが、続いてリガンド存在下でこのクロマトグラフ
ィーを行うと精製率は更に15倍向上した。
【0017】この新しい方法は他の多くのタンパク質に
も適用出来ることが解った。即ち、この酵素と同時に他
の多数のタンパク質もATPの存在下でヒドロキシアパ
タイトに強く結合するようになっていることが電気泳動
によるタンパク質の分析でわかった。これはATPが多
くのタンパク質のリガンドであることから容易に理解出
来ることであり、この様な現象がδ−アミノレブリン酸
合成酵素だけに特有のものでないことを明確に示してい
る。ATPの代わりにコエンザイムAコハク酸を用いる
ことが出来れば、その高い特異性の故にヒドロキシアパ
タイトに対して結合が強められるタンパク質の数は極め
て限られたものだけになり、この酵素の精製率は一層高
められる筈である。
【0018】又、精製率の向上は、以後の精製段階の規
模縮小を可能にした。従来、この酵素の調製には、ヒド
ロキシアパタイトのクロマトグラフィーに続いて分子ふ
るいクロマトグラフィーが行われてきた。この場合、抽
出タンパク質量 2.3 g から出発する時の後者のカラム
のサイズは直径 5 cm 、長さ 115 cm のものが必要で
あった。同規模の調製を本特許の新しい二段階法で行っ
てみると、この段階は直径 1 cm , 長さ 115 cm のカラ
ムで十分であり、実際、25分の一以下に規模の縮小が
出来た。このことは、以後のイオン交換クロマトグラフ
ィーの段階についても同様であった。
【0019】また、有効なリガンドを二種類以上持つタ
ンパク質の場合は、それぞれを別々に含む条件下でクロ
マトグラフィーを行えば、ヒドロキシアパタイトだけで
精製の目的をほぼ達成することも出来るであろう。近
年、ヒドロキシアパタイトの製品は著しく進歩し、分離
能が良くなっているので本発明は一層その有効性を増す
と思われる。
【0020】本特許の方法は、アフィニテイークロマト
グラフィーとその原理の一部に類似性を有するが、固定
相担体に有効な形で共有結合させることの出来ないリガ
ンドに対しても適用出来る点で遥かに優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一段階のヒドロキシアパタイトのクロマトグ
ラムである。
【図2】第二段階のヒドロキシアパタイトのクロマトグ
ラムである。
【符号の説明】
<─────> 活性画分

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシアパタイトを用いてタンパク
    質の精製を行う際、このクロマトグラフィーを二段階で
    行う方法。即ち、一方の段階では従来の方法で行い、も
    う一方の段階では精製しようとするタンパク質の基質、
    活性化剤、アロステリックエフェクター 及び これ等
    の類似化合物、更には 阻害剤等等の特異的リガンドが
    存在する条件下でこれを行う方法。
JP5344407A 1993-12-17 1993-12-17 リガンド存在下で二段階に分けて行うヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーの用法 Pending JPH07173189A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7393631B2 (en) 2000-11-29 2008-07-01 Schering Corporation Method for purifying adenoviruses
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