JPH07172943A - 炭素繊維強化炭素複合材料 - Google Patents

炭素繊維強化炭素複合材料

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JPH07172943A
JPH07172943A JP5324271A JP32427193A JPH07172943A JP H07172943 A JPH07172943 A JP H07172943A JP 5324271 A JP5324271 A JP 5324271A JP 32427193 A JP32427193 A JP 32427193A JP H07172943 A JPH07172943 A JP H07172943A
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JP
Japan
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thickness direction
composite material
carbon fiber
thermal conductivity
carbon
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JP5324271A
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Inventor
Iwao Yamamoto
巌 山本
Akira Nakakoshi
明 中越
Nobuyuki Onishi
伸幸 大西
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 繊維直径が15μm以上あるピッチ系炭素繊
維が実質的に厚み方向に配向しており、厚み方向に直角
の方向の熱伝導率に対する厚み方向の熱伝導率の比率
が、2以上であり、かつ厚み方向の熱伝導率が7W/c
m・℃以上である炭素繊維強化炭素複合材料。 【効果】 厳しい熱環境下において有用な、炭素繊維強
化炭素複合材料を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱特性に優れ、例え
ば、核融合炉壁材に有効に使用できる炭素繊維強化複合
材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維強化複合材料(以下、C/C複
合材という)は、軽量、高強度であり、耐熱、耐食性に
優れているという特徴を有する。このため、特に熱的に
厳しい環境下での使用を目的としたロケットノズル・ノ
ーズコーン・航空機のブレーキディスクなどの航空宇宙
材料、発熱体・ホットプレス鋳型などの工業用部材、ま
た、機械部品などに用いられている。これらC/C複合
材の用途の中でも、特に核融合装置の第一壁はプラズマ
に近接して設置されるため、さらに厳しい熱負荷とな
り、材料の特性に対してより高位のものが求められてい
る。
【0003】核融合装置の第一壁はプラズマに面して設
置される核融合装置における構造物全般を指し、例えば
リミタ、ダイバータ、ブランケット等およびその一部を
指すが、この第一壁はプラズマに近接して設置されるた
め、プラズマからの熱負荷、粒子負荷を受ける等、厳し
い環境下にある。特に、リミタ、ダイバータ等は高熱負
荷を受けるため、熱負荷条件は厳しい。このような条件
下で第一壁の材料として用いられているものの一つにグ
ラファイトがある。グラファイトは、プラズマ不純物の
観点から優れた低原子番号材であり、高い耐熱衝撃性も
有している。
【0004】従来の最も代表的な第一壁は、グラファイ
ト・タイルを金属製の基板に固定板、連結材を用いて固
定したものである。プラズマに面するグラファイト・タ
イルにプラズマからの入熱があると、その熱量は接触熱
伝達により基板に伝達され、また、熱放射により散逸さ
れる。この方式では、グラファイト・タイルと基板と
は、その機械的結合により接触しているのみであるか
ら、その接触部分の熱伝達特性は十分とは言えず、長時
間或は高い熱負荷に対しては冷却が不十分となる傾向が
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た2つの従来の第一壁は次に示すような問題点を有して
いる。高い熱負荷(例えば、2km/cm2 ×3秒、或
は、4km/cm2 ×1秒以上)が第一壁に与えられる
と、表面が2800℃程度以上の温度に達し、グラファ
イト・タイルの蒸気圧は10-3気圧程度以上となり、グ
ラファイト・タイルの表面からの昇華損耗厚みは数10
μm/s程度以上と大きくなる。この結果、プラズマ中
への炭素原子の混入が増大し、プラズマに不純物制御
上、大きな悪影響を及ぼす、という問題点がある。ま
た、グラファイト表面の損耗も大きくなり、第一壁の寿
命が短くなるという問題点もある。
【0006】これらの問題点は、既存の核融合装置にお
いては、上記のような高熱負荷が第一壁に与えられると
いうことは殆どないので、従来の第一壁で十分にその機
能を果たすのであるが、安全性をより一層向上させるた
め、また、将来の核融合装置では、現在よりも更に高い
熱負荷が長時間にわたり定常的に第一壁に与えられるこ
とが予想されるため、前記課題を解決した第一壁が望ま
れている。
【0007】そこで、本出願人は、先に上記の課題が解
決された炭素繊維強化炭素複合材を提供した。例えば特
開平2−30664号公報において、核融合装置のプラ
ズマに面して設置される第一壁に特に適した炭素繊維強
化複合材料として、炭素繊維が実質的に厚み方向に配向
しており、厚み方向に直角の方向の熱伝導率に対する厚
み方向の熱伝導率の比率が2以上であり、かつ厚み方向
の熱伝導率が3W/cm・℃以上である炭素繊維強化炭
素複合材料を提案した。
【0008】しかしながら、更に熱伝導率が向上した炭
素繊維強化炭素複合材料が要望されるようになり、従来
のものでは必ずしも十分とはいえない状況にあった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記要求
を満たすような炭素繊維強化炭素複合材料を提供すべ
く、更に鋭意検討した。従来、使用される炭素繊維の直
径は一般に10μm程度のものが使用されていた。それ
より太径のものを使用すると緻密化がしにくくなり、強
度も低下すると考えられていた。
【0010】本発明者らは、敢えて従来もっぱら使用さ
れていた炭素繊維より太径のものを使用して検討した結
果、予想外にも著しく熱伝導率の向上した炭素繊維強化
炭素複合材料が得られることを見い出し、本発明を完成
するに至った。即ち、本発明の要旨は、繊維直径が15
μm以上あるピッチ系炭素繊維が、実質的に厚み方向に
配向しており、厚み方向に直角の方向の熱伝導率に対す
る厚み方向の熱伝導率の比率が2以上であり、かつ厚み
方向の熱伝導率が7W/cm・℃以上である炭素繊維強
化炭素複合材料に存する。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
C/C複合材は、繊維直径が15μm以上の炭素繊維が
実質的に厚み方向に配向しており、厚み方向に直角の方
向の熱伝導率に対する厚み方向の熱伝導率の比率が2以
上であり、かつ厚み方向の熱伝導率が7W/cm・℃以
上である。
【0012】本発明で使用する炭素繊維は繊維径が15
μm以上であり、これによって、得られるC/C複合材
は熱的高特性を付加される。炭素繊維及びC/C複合材
の具体的製法は以下の通りである。本発明で用いる炭素
繊維を得るための紡糸ピッチとしては、配向しやすい分
子種が形成されており、光学的に異方性の炭素繊維を与
えるようなものであれば特に制限はない。
【0013】紡糸ピッチを得るための炭素質原料として
は、例えば、石炭系のコールタール、コールタールピッ
チ、石炭液化物、石油系の重質油、タール、ピッチ、ま
たは、ナフタレンやアントラセンの触媒反応による重合
反応生成物等が挙げられる。これらの炭素質原料には、
フリーカーボン、未溶解石炭、灰分、触媒等の不純物が
含まれているが、これらの不純物は、濾過、遠心分離、
あるいは溶剤を使用する静置沈降分離等の周知の方法で
あらかじめ除去しておくことが望ましい。
【0014】また、前記炭素質原料を、例えば、加熱処
理した後、特定溶剤で可溶分を抽出するといった方法、
あるいは、水素供与性溶剤、水素ガスの存在下に水添処
理するといった方法で予備処理を行っておいても良い。
本発明においては、40%以上、好ましくは70%以
上、さらに好ましくは90%以上の光学的異方性組織を
含む炭素質原料が好適であり、このために前述の炭素質
原料を必要によっては、通常350〜500℃、好まし
くは380〜450℃で、2分から50時間、好ましく
は5分〜5時間、窒素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガ
ス雰囲気下、あるいは、吹き込み下に加熱処理すること
がある。
【0015】本発明でいうピッチの光学的異方性組織割
合は、常温下、偏光顕微鏡でのピッチ試料中の光学的異
方性を示す部分の面積割合として求めた値である。具体
的には、例えば、ピッチ試料を数mm角に粉砕したもの
を、常法にしたがって2cm直径の樹脂の表面のほぼ全
面に試料片を埋め込み、表面を研磨後、表面全体をくま
なく偏光顕微鏡(100倍率)下で観察し、試料の全表
面積に占める光学的異方性部分の面積の割合を測定する
ことによって求める。
【0016】このようなメソフェーズピッチを、公知の
方法を以って紡糸し、ピッチ繊維を得る。この際、ピッ
チ分子の繊維軸方向への配向を促進するために、糸切れ
や脈動の起きない範囲で、ノズルの吐出孔に於けるピッ
チの粘度を小さくする条件を以って紡糸を行うことが好
ましい。紡糸の際、ノズルが吐出速度と引き取り速度を
調節することで得られるピッチ繊維の繊維径を調節する
ことが出来る。本発明の炭素繊維は繊維径が15μm以
上、好ましくは15〜50μm、特に好ましくは18〜
40μmであるものが使用される。このような特定の繊
維径の炭素繊維を得るには、炭化及び黒鉛化時の繊維径
の収縮を2〜3割と見込んで紡糸を行いピッチ繊維を得
ればよい。
【0017】こうして得られたピッチ繊維に不融化処理
を施し、不融化繊維を得る。これを炭化または黒鉛化に
必要な温度で窒素またはアルゴンガス等の不活性ガス中
で焼成することにより炭素繊維を得る。この炭素繊維は
500〜64000フィラメント、好ましくは2000
〜8000フィラメントを束ねた状態で必要に応じてツ
イスト処理して使用されるが、熱硬化性樹脂が繊維の束
の内部に均一に浸透することが重要である。この為に炭
素繊維束は水蒸気による解繊処理を行った後、表面を適
当程度酸化処理しておくと良好な機械的強度を有するC
/C複合材が得られるので好ましい。
【0018】この解繊処理は複数個のローラーや金属バ
ーなどに炭素繊維束をこすりつけたり、又は水中で超音
波と炭素繊維を接触させたりして機械的に行なう方法
と、空気、酸素、二酸化炭素、炭酸ガスなどの酸化性の
ガスと200℃以上、1800℃以下の温度で1分以上
5時間以内反応させて化学的に行なう方法のいずれかが
とられる。
【0019】表面を適当程度酸化処理する方法としては
空気、オゾン、フッ素、塩素ガス等の酸化性のガスと接
触させて行なう方法と、炭素繊維束を陽極にして電解液
中で通電し、電解酸化して行なう方法があり、いずれの
方法で行なうことも制約を受けない。解繊処理と表面の
酸化処理の度合は炭素繊維の強度が殆んど損れない程度
に行なう。特に熱硬化性樹脂が炭素繊維束の内部にほぼ
均一に浸透する程度まで行なうのが好ましい。
【0020】本発明におけるC/C複合材は、次のよう
な方法によって得られる。まず、炭素繊維の長繊維を熱
硬化性樹脂に含浸し、これを加熱して半硬化させる。熱
硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、フラン樹
脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げら
れるが、フェノール樹脂特にレゾール型のフェノール樹
脂が好適に使用できる。これらの熱硬化性樹脂は通常、
エタノールのようなアルコール類、ヘキサンのような炭
化水素あるいはアセトンといった溶剤で溶解希釈して用
いる。
【0021】熱硬化性樹脂溶液の濃度としては通常10
〜70wt%、好ましくは20〜60wt%の範囲のも
のを使用する。また、フラン樹脂、エポキシ樹脂等硬化
剤を要するものは硬化剤も溶液中に添加されるがその量
はそれぞれの樹脂に適した量が添加される。
【0022】かかる熱硬化性樹脂溶液に炭素繊維の長繊
維を含浸する方法としては、溶液中に炭素繊維を含浸す
るといった簡単な方法で良いが、長繊維ロービングであ
れば溶液の満たされた槽内を連続的に走行させる方法が
処理の効率の点から好ましい。また、この際に溶液の満
たされた槽に10〜50kHz程度の超音波を作用させ
ておくと各単繊維間、織目間の気泡等による処理むらの
影響を防ぐことができるので好ましい。
【0023】熱硬化性樹脂溶液に含浸した炭素繊維は例
えばローラーを通すなどして余分な溶液を除去し、次い
で加熱処理を施される。該加熱処理により、熱硬化性樹
脂は半硬化される。加熱処理の条件は使用する熱硬化性
樹脂の種類によってそれぞれ適性条件は異なるが通常5
0〜300℃、好ましくは80〜200℃の温度で0.
2〜5時間、好ましくは0.2〜2時間加熱処理され
る。この際、炭素繊維に塗布された熱硬化性樹脂溶液か
らの急激な溶剤の脱離を避けるため所定の温度への昇温
を徐々に行なわれることが望ましい。また、加熱処理は
炭素繊維を連続的に加熱炉内を走行させる方法で行なう
のが処理の効率の点から好ましい。
【0024】ついで、得られた繊維/樹脂の複合体を目
的とするC/C複合材の厚み方向より長く切断する。こ
の長さは通常は所望する目的物の厚さより少し長い範囲
から選定され、たとえば15〜300mmから選ばれ
る。切断された複合体は、互いに実質的に平行となるよ
うに一方向に揃えられ、その繊維の長さ方向に直角の方
向に圧力を加え、加熱、成型する。
【0025】たとえば、金型にロート状の道具を使用し
て複合体を供給することにより金型内に実質的に平行に
なるように揃え、樹脂の硬化のために必要な温度の加熱
下に、繊維の長さ方向に直角の方向に圧力を加えて樹脂
を硬化させることにより成型体を得る。その後、成型体
を容器に入れ、成型体をコークスブリーズで取囲むよう
な形とした後、容器を電気炉に入れ、必要に応じてN2
ガス流通下で1000℃程度まで昇温して炭化する。
【0026】必要に応じては、さらに黒鉛化炉に入れ、
不活性雰囲気下で2000℃以上の温度まで熱処理す
る。ついで、得られた炭化物もしくは黒鉛化物を石油
系、石炭系ピッチあるいはフェノール樹脂、フラン樹脂
等の熱硬化性樹脂に含浸した後、また、熱硬化性樹脂を
用いた場合には樹脂を硬化させた後炭化させる。
【0027】その際、熱硬化性樹脂は、アルコール、
水、アセトン、アントラセン油等の溶媒に溶解して適当
な粘度に調整したものを使用するのが一般的である。ま
た、この場合、圧力下に含浸する方法が好適に採用され
る。たとえば、成型体の炭化物もしくは黒鉛化物とピッ
チを低圧反応容器(オートクレーブ)内に入れ真空中で
加熱してピッチを溶解し、炭化物もしくは黒鉛化物がピ
ッチの溶融液の中に浸漬した状態となった後、N2 ガス
を導入して低圧で550〜600℃程度に昇温する。
【0028】その後、冷却して炭化物もしくは黒鉛化物
の緻密化物を取出し、前述と同様の方法でこれを100
0℃程度まで炭化し、必要に応じて黒鉛化する。以上の
いわゆる緻密化の方法を繰返して行なうことにより比重
1.6以上の高緻密のC/C複合材を得る。この際、繊
維/樹脂複合体の樹脂含量や緻密化が不十分であった
り、炭化、黒鉛化の際の昇温速度が大きすぎると繊維の
長さ方向に直角の方向の強度が小さくなり、場合によっ
ては破壊に至るので適切な条件を選ぶ必要がある。ま
た、黒鉛化温度を高くしたほうが高い熱伝導率が得られ
やすい。
【0029】得られたC/C複合材は厚み方向に高い熱
伝導率、電気伝導率を有する、異方性の材料となる。得
られたC/C複合材は、目的に応じ、厚み方向と直角方
向の強度を向上させるために、炭素繊維を材料とした長
繊維等を用いて周囲を巻くことができ、あるいはC/C
複合材等の炭素材料を適当な形にして結束することがで
きる。また、複数の複合材の面間を、フェノール樹脂を
主体とする樹脂などを用いて接着し、これを再びC/C
複合材が最終的に処理された温度程度にまで昇温させて
C/C複合材の小片を複数枚互いに接着させて目的とす
る大きさの複合材とすることもできる。
【0030】本発明のC/C複合材は、その厚み方向
(//)とその直角方向(⊥)の熱伝導率の比率が2以
上、好ましくは7以上、最適には10以上であり、か
つ、厚み方向(//)の熱伝導率が7W/cm/℃以上で
あり、より好ましくは8W/cm・℃以上である。たと
えば、その一方の面に高温度に加熱された物質を置いて
も厚み方向の熱伝導率が高いため、他方の面に熱が伝わ
りやすく、この他方の面に冷却水を流した部分を接触さ
せることにより、この加熱した物質を有効に冷却するこ
とができる。すなわち、熱交換により、物質を冷却する
場合に有効に使用しうる。
【0031】本発明においては、このようなC/C複合
材を、核融合装置のプラズマに面して設置される第一壁
の主たる構成材料として、該厚み方向と実質的に直角を
なす片面をプラズマに面して設置する。そして、本発明
においては、好ましくは、このC/C複合材の厚み方向
と実質的に直角をなす片面に金属を冶金的接合、または
機械的結合により接合、結合して用いることができる
が、特に冶金的接合が好適である。
【0032】金属は、たとえばTi,Cu,Fe,N
i,Mo,Cr等あるいはこれらを主体とする合金等か
ら選ぶのが一般的である。合金系としては、たとえばT
iの場合、Al,V等を含むものが好適に使用される。
これらの金属は、通常5mm程度以下、好ましくは0.
1〜0.3mmの薄板として用いられるが、50mm程
度以下のステンレス板等を、基板として直接あるいは上
記薄板を間そう材として介して、用いることもできる。
接合は、真空ろう付、拡散接合、HIP(ホット・アイ
ソスタティック・プレス)等の常法によることができ
る。
【0033】本発明におけるC/C複合材は、厚み方向
に熱伝導、電気伝導が一方向に高いものであり、熱を有
効に除去したり伝導したりしうる。また、上記のように
金属接合した場合には、特に厚み方向と直角の方向の耐
熱衝撃性も高い。以下、本発明を実施例によりさらに詳
細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、こ
れらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】
(実施例1)光学的異方性100%のコールタールピッ
チを紡糸して、紡糸繊維の直径が23.6μmのものが
4000フィラメント集束した炭素繊維束を製造した。
次いで、約1℃/分の昇温速度で制御された焼成炉に投
入し空気雰囲気中で385℃まで昇温し不融化処理し
た。次にN2 ガス雰囲気中で510℃で予備炭化処理し
たあと、14ターン/mのツイスト処理した。
【0035】さらに60%の水蒸気を含有するN2 ガス
中で1200℃で約1分炭化処理したあと、アルゴンガ
ス中で1250℃で焼成し直径19.2μmの炭素繊維
を得た。さらに次にこの炭素繊維束を陽極にして塩化カ
ルシウム水溶液中で電解酸化処理した。通電量は5クロ
ーン/炭素繊維1gであった。この炭素繊維の長繊維束
をフェノール樹脂のエタノール溶液に浸漬し、ついでこ
れを乾燥器に入れ70℃でエタノールを除去した後、1
00℃以上に昇温してフェノール樹脂を半硬化させた。
得られた繊維/樹脂の複合体(トウプリプレグ)(炭素
繊維:樹脂=62:38重量比)を長さ50mmに切断
した。このものは繊維が樹脂で固められ、棒状で剛直で
あった。この切断した複合体を互いに平行になるように
金型内に一方向に揃えて並べ、目的とするC/C複合材
の寸法より大きくなるような形状に充填した。
【0036】ついで、80℃で低圧を付加し、1時間2
4分で約220℃まで昇温し、その温度で1時間保持
し、成型、硬化した。成型後の寸法は、265.3×2
65.2×49.9mmであった。ついで、この成型品
をコークスブリーズを詰めた容器の中に入れコークスブ
リーズでおおった状態で、約50時間かけて1000℃
まで昇温し樹脂の炭化を行なった。
【0037】ついで、この炭化した複合材と固形のピッ
チをオートクレーブに入れ、減圧状態のまま250℃ま
で昇温し、ついでN2 を入れることにより雰囲気を陽圧
とした後、昇温し8時間で500℃まで到達させた後、
500℃で5時間保持した。昇温の際に圧力は、オート
クレーブに付属したバルブを使って一定に保持した。
【0038】その後オートクレーブを冷却、処理品を取
り出し、1000℃で炭化した後、これを黒鉛化炉に入
れアルゴン雰囲気中で2000℃で黒鉛化した。その
後、上記のオートクレーブ処理とその炭化処理を3回繰
り返し行って、最後に3000℃の熱処理を施し、C/
C複合材を得た。得られたC/C複合材の嵩密度は1.
91g/cm3 で、厚み方向(繊維軸と同一方向)とそ
れに直角の方向の熱伝導率をレーザーフラッシュ法熱定
数測定装置(真空理工製)で測定した。厚み方向の熱伝
導率は8.16W/cm・℃、厚み方向に直角の方向の
熱伝導率は0.42W/cm・℃であり、その比率は1
9.6であった。
【0039】(実施例2)図1は、本発明による核融合
装置の第一壁を示すものである。第一壁1は、前述の実
施例1で得られたC/C複合材2を基板3に真空ろう付
けしたものである。すなわち、厚さ10mmのステンレ
ス基板3に銅ろうを用いて厚さ1mmのTi板を間そう
材としてろう付け部4を介して接合されている。基板3
には冷却効果を上げるために、冷却管5が直接取り付け
られている。この図のプラズマ対向面6が、核融合装置
のプラズマに面して設置され、第一壁として使用され
る。
【0040】図2は、本発明の第2の実施態様を示す。
この態様においては、実施例1で得られたC/C複合材
を用いて、この厚み方向と実質的に直角をなす片面に金
属薄板7′(純Ti板)を接合した。すなわち、厚み約
1mmの純Ti板(融点約1675℃)7上にCuろう
を置き、さらにその上に上記C/C複合材を置いて約1
kgの重しをかけ、真空炉中で約1時間かけて昇温して
約1050℃で5分間保持し、ろう付け部4を介してT
i接合したC/C複合材を得た。
【0041】次いで、このC/C複合材の金属薄板7を
ボルト等により機械的に基板3と接合する(8:固定
板、9:連結材)。また、基板3には、上記第一の態様
の場合と同様に、冷却管を取り付けることもできる
(6:プラズマ対向面)。図3は、本発明の第3の実施
態様を示す。この態様においては、実施例1で得られた
C/C複合材2,2′を用いて、冷却管5の周囲に真空
ろう付部4を介して接合する。プラズマ対向面6が核融
合装置のプラズマに面して設置し、第一壁として使用さ
れる。
【0042】
【発明の効果】本発明に係るC/C複合材は、その厚み
方向に大きい熱伝導率を有する。前述の実施例に準じて
容易に7W/cm・℃以上、特に7.5〜10W/cm
・℃程度のものを得ることができるため、特に一方向の
熱もしくは電気の伝導を必要とする場合に使用すると有
効であり、例えば熱除去、、熱伝達をするような熱交換
の材料あるいはスイッチ材料などに使用しうる。特に核
融合炉用に適しており本発明の第一壁は、高い熱負荷に
長時間さらされても、表面温度、蒸気圧および昇華損耗
は低く抑えられ、第一壁として優れた性質を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施態様の一例を示す説明図
である。
【図2】図2は、本発明の実施態様の一例を示す説明図
である。
【図3】図3は、本発明の実施態様の一例を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 第一壁 2 C/C複合材 3 基板 4 ろう付け部 5 冷却管 6 プラズマ対向面 7 金属薄板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維直径が15μm以上あるピッチ系炭
    素繊維が、実質的に厚み方向に配向しており、厚み方向
    に直角の方向の熱伝導率に対する厚み方向の熱伝導率の
    比率が2以上であり、かつ厚み方向の熱伝導率が7W/
    cm・℃以上である炭素繊維強化炭素複合材料。
  2. 【請求項2】 炭素複合材料の厚み方向と実質的に直角
    をなす片面に金属が接合されてなることを特徴とする特
    許請求項1記載の炭素繊維強化炭素複合材料。
  3. 【請求項3】 炭素繊維強化炭素複合材料の厚み方向と
    実質的に直角をなし、プラズマに面しない片面に金属が
    接合されてなる特許請求項1記載の炭素繊維強化炭素複
    合材料を主なる構成材料とした核融合装置のプラズマに
    面して配置される第一壁。
JP5324271A 1993-12-22 1993-12-22 炭素繊維強化炭素複合材料 Pending JPH07172943A (ja)

Priority Applications (1)

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