JPH0716754Y2 - 水中函体内へのコンクリート打設装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば洋上浮遊構造物の係留アンカや水底基
礎構造等の構築に際して使用する水中函体内へのコンク
リート打設装置に関する。

（従来の技術） 従来、水底のコンクリート基礎の構築や、洋上浮遊構造
物用の重力式コンクリートアンカーの水中構築に際し、
コンクリートや鋼製の函体を水底に沈め、その中にコン
クリートを充填する方法が採用されている。そのコンク
リート打設に際しては、小水深の場合はコンクリートプ
ラント船からのコンクリート注入ホースを函体内に直接
挿入し、また水深が大きくなるとトレミー管と称されて
いる水中コンクリート打設管を函体内に挿入して水中コ
ンクリートを送り込むようにしている。またホースや水
中コンクリート打設管の函体内への挿入は潜水夫による
潜水作業によって行っている。

（考案が解決しようとする課題） 近年において、大水深域に海洋開発設備の設置がなされ
るに至り、大水深の水底にアンカーや基礎を構築する必
要が生じているが、前述した従来の方法では水中コンク
リート打設に際し、多くの潜水作業が必要であるため、
特に大水深の場合には作業能率が悪く、危険度も高く、
高コストとならざるを得ないという問題があった。

本考案はこのような問題にかんがみ、打設情況の確認等
の検査以外にはほとんど潜水作業を要することなく施行
することのできる水中函体内へのコンクリート打設装置
の提供を目的としてなされたものである。

（課題を達成するための手段） 上述の如き目的を達成するための本考案の要旨とすると
ころは、水中に沈めた函体のコンクリート注入口に固着
した水中コンクリート打設管導入用のガイドホッパー
と、該ガイドホッパー内に下端が連結され、上端を水面
上に導出させたガイドワイヤーと、該ガイドワイヤーの
下端を前記ガイドホッパー内に該ガイドワイヤーの引張
によって破断されるシヤーピンをもって連結したワイヤ
ー連結金具と、前記ガイドワイヤーに沿って上下に摺動
自在なガイド金具を介して該ガイドワイヤーに沿わせた
水中コンクリート打設管とを備えてなる水中函体内への
コンクリート打設装置に存する。

（作用） 本考案のコンクリート打設装置は、函体にガイドホッパ
ーを予め固定し、ガイドワイヤーの下端をワイヤー連結
金具にてガイドホッパー内に連結した状態で函体を沈め
ることによりガイドワイヤーが張設できる。このように
して水面上からガイドホッパー内に張設したガイドワイ
ヤーの上端部にコンクリート打設管を沿わせ、ガイド金
具をガイドワイヤーに係合させて順次降下させることに
より、コンクリート打設管の下端が自動的にガイドホッ
パー内に入り、函体内に挿入される。

コンクリートの打設終了後にはガイドワイヤーを強力に
引くことによりシヤーピンが折れ、ガイドワイヤーの連
結を解き、回収することができる。

（実施例） 次に本考案の実施の一例を図面について説明する。

図において、１は水底に沈めた鋼製の函体であり、２は
水面上のコンクリートプラント船、３は水中コンクリー
ト打設管、４はコンクリートプラント船から水中コンク
リート打設管３の上端にコンクリートを送り込むホース
である。

函体１には第２図，第３図に示すように、上面にコンク
リート注入口５が開口され、その外側に漏斗状のガイド
ホッパー６が一体的に固着されている。ガイドホッパー
６内にはその内面の一部にアイプレート７が一体に突設
されており、このアイプレート７にワイヤー連結金具８
が取り付けられている。

ワイヤー連結金具８は、第４図，第５図に示すようにシ
ャックル９の湾曲部にガイドワイヤー10の下端を巻き掛
けてつなぎ止め、両端部9a,9b間にアイプレート７を挿
入し、それらをシヤーピン11によつて枢着している。

シヤーピン11は一端に六角頭部を有し、他端には雄ねじ
が刻設されているとともに、中央の２箇所にせん断用の
凹溝11aが形成されている。而してこのシヤーピン11
は、ガイドワイヤー10を介してシャックル９を強力に引
くことによりせん断され、ガイドワイヤー10の連結が解
かれるようになっている。

一方、水中コンクリート打設管３には、ガイドワイヤー
10に係合し、これに沿って上下に摺動自在なガイド金具
12が取り付けられている。このガイド金具12は第６図，
第７図に示すように一対の平行なリンク13,13の一端側
を水中コンクリート打設管３の外面に突設したアイプレ
ート14に重ねてボルト16aにて枢着し、両リンク13,13間
にガイドワイヤー10を挿入し、該リンク13,13の先端間
にスペーサー15を挿入し、ボルト16bにて締結すること
にりガイドワイヤー10に係合している。

水中コンクリート打設管３には水面下近くの波浪の影響
を受けない深さ位置に浮力体20が固定されている。この
浮力体20は、第８図に示すように中心に水中コンクリー
ト打設管３が貫通された細長の中空タンクをもって構成
され、上端部に圧縮エア注排パイプ23が連通されてい
る。この圧縮エア注排パイプ23を通してコンクリープラ
ント船２に設置した浮力調整用エアシステム24により、
浮力体20内にエアを注排し、浮力を調整し、水中コンク
リート打設管３をその浮力にて支持している。なお、図
において25はエアシステム24を構成するコンプレッサ
ー、27は圧力エア充填バルブ、28は放出バルブ、29は圧
力計である。

次にこのように構成されるコンクリート打設装置による
コンクリートの打設の際の作業について説明する。

函体１の沈設に先立ち、予めガイドワイヤー10の下端を
ガイドホッパー６内に連結しておく。そしてガイドワイ
ヤー10を繰り出しつつ函体１を沈め、水底に設置するこ
とによりガイドワイヤー10を張設する。そして、その上
端をガイドシーブ30（第１図に示す）を介して作業船31
からカウンターウエイト32を吊るしておく。このガイド
ワイヤー10に沿わせて水中コンクリート打設管３を吊り
下し、ガイド金具12を介してガイドワイヤー10に係合さ
せながら順次延長して垂下させる。

このようにして水中コンクリート打設管を降下させるこ
とにより下端がガイドホッパー６内から函体１内に導入
される。

このようにして水中コンクリート打設管３を降下させた
後、上端にホース４を通して水中コンクリートを送り込
み、函体１内にコンクリートを打設する。

また、コンクリートの打設は、水中コンクリート打設管
３の下端が打設されたコンクリート内に没入された状態
が維持されるように浮力体20の浮力を調節して行う。

（考案の効果） 上述したように本考案の水中函体内へのコンクリート打
設装置は、函体内に通じるガイドホッパー内から水面上
に至るガイドワイヤーを備え、これにガイドさせて水中
コンクリート打設管を降下させることによって、自動的
に水中コンクリート打設管の下端が函体内に挿入される
ようにしたことにより、潜水作業によることなく水中コ
ンクリート打設管を所定配置にセットすることができ、
また、ガイドワイヤーの連結にシヤーピンを使用してい
るため、水上にてワイヤーを引くことにより回収が可能
となり、特に大水深域において作業性が向上し、安全に
しかも短期間で水中コンクリートの打設施行できること
となったものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施の一例を示すもので、第１図は全体
の概略を示す側面図、第２図はホッパー部分の平面図、
第３図は同縦断面図、第４図はワイヤー連結金具部分の
側面図、第５図は同断面図、第６図はガイド金具部分の
側面図、第７図は第６図中のＡ−Ａ線断面図、第８図は
浮力体部分の断面図である。 １……函体、２……コンクリートプラント船、３……水
中コンクリート打設管、４……ホース、５……コンクリ
ート注入口、６……ガイドホッパー、７……アイプレー
ト、８……ワイヤー連結金具、９……シャックル、10…
…ガイドワイヤー、11……シヤーピン、12……ガイド金
具、13……リンク、15……スペーサー、16a,16b……ボ
ルト、20……浮力体、21……注排水口、22……バルブ、
23……注排パイプ、24……エアシステム、25……コンプ
レッサー、27……圧力エア充填バルブ、28……放出バル
ブ、29……圧力計、30……ガイドシーブ、31……作業
船、32……カウンターウエイト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】水中に沈めた函体のコンクリート注入口に
   固着した水中コンクリート打設管導入用のガイドホッパ
   ーと、該ガイドホッパー内に下端が連結され、上端を水
   面上に導出させたガイドワイヤーと、該ガイドワイヤー
   の下端を前記ガイドホッパー内に該ガイドワイヤーの引
   張によって破砕されるシヤーピンをもって連結したワイ
   ヤー連結金具と、前記ガイドワイヤーに沿って上下に摺
   動自在なガイド金具を介して該ガイドワイヤーに沿わせ
   た水中コンクリート打設管とを備えてなる水中函体内へ
   のコンクリート打設装置。