JPH0716749A - 厚板複層盛り自動溶接方法 - Google Patents

厚板複層盛り自動溶接方法

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JPH0716749A
JPH0716749A JP19280693A JP19280693A JPH0716749A JP H0716749 A JPH0716749 A JP H0716749A JP 19280693 A JP19280693 A JP 19280693A JP 19280693 A JP19280693 A JP 19280693A JP H0716749 A JPH0716749 A JP H0716749A
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光憲 松村
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權一郎 草野
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洋二 和田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 厚板の水平突き合わせ多層盛り溶接を自動化
でき、しかもこの溶接を効率的に行えるようにして溶接
時間を短縮化できる厚板複層盛り自動溶接方法を提供す
る。 【構成】 厚板12を上下方向に突き合わせて形成され
た開先22に、先端からワイヤ26が導出される複数個
の溶接トーチ49A、49Bまたは個別のセンサにより
開先22内の溶接位置を個別に検出しながら水平突き合
わせ複層盛り溶接を行う厚板複層盛り自動溶接方法であ
って、各層の溶接時に、前記いずれかの先行する溶接ト
ーチ49Aの後を他の溶接トーチ49Bが追従しながら
溶接を行い、しかも先行する溶接トーチ49Aのワイヤ
径より後行する溶接トーチ49Bのワイヤ径を小さくし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、厚板複層盛り自動溶接
方法に係り、さらに詳しくは、厚板の水平突き合わせ複
層盛り溶接を自動化でき、しかも溶接時間を短縮化でき
る厚板複層盛り自動溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、石油タンクや熱風炉などの建設
現場では、厚板からなる多数個の円筒体を上下に順次突
き合わせながら積み重ねて、あるいは船舶などの溶接に
おいては厚板を突き合わせてそれぞれの突き合わせ部に
形成された開先を溶接工の手作業により複層盛り溶接し
ていた。このような溶接工による溶接では、溶接に時間
がかかって作業性が悪く、人件費が嵩んでいた。そこ
で、近年においては、手溶接の代わりに特定のガスを供
給しながら金属ワイヤを溶接トーチに連続的に送り、ア
ークを発生させて溶接を行うMIG溶接やMAG溶接が
行われ、さらには台車などを含む溶接治具と組み合わせ
て、自動溶接を行うことが種々提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、厚板の
突き合わせ部を前記自動溶接法を用いて溶接する場合に
は複層盛り溶接を行う必要があり、このため多層盛りの
層数に合わせて溶接トーチを往復動させなければならな
いので時間がかかるという問題点があった。また、大型
構造物に従来のティーチングによる自動溶接を行うとす
れば厳密な溶接線倣いを行うのに複雑な溶接線検出装置
と記憶ティーチング機構が必要であり、さらに板厚が大
きいので多層盛り溶接を行わなければならず、従来のワ
ンパス自動溶接法では二層目以降の溶接線の検知が困難
であり、極めて能率が悪いという問題点があった。本発
明はこのような事情に鑑みなされたもので、厚板の水平
突き合わせ複層盛り溶接を自動化でき、しかもこの溶接
を効率的に行えるようにして溶接時間を短縮化できる厚
板複層盛り自動溶接方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の厚板複層盛り自動溶接方法は、厚板を上下方向に
突き合わせて形成された開先に、先端からワイヤが導出
される複数個の溶接トーチまたは個別のセンサにより前
記開先内の溶接位置を個別に検出しながら水平突き合わ
せ複層盛り溶接を行う厚板複層盛り自動溶接方法であっ
て、各層の溶接時に、前記いずれかの先行する溶接トー
チの後を前記他の溶接トーチが追従しながら溶接を行
い、しかも先行する溶接トーチのワイヤ径より後行する
溶接トーチのワイヤ径を小さくするように構成されてい
る。また、前記目的に沿う請求項2記載の厚板複層盛り
自動溶接方法は、請求項1記載の自動溶接方法におい
て、前記開先がK形の開先であって、しかもそのルート
ギャップ部には前記裏側の開先内に裏板材を配置して溶
接を行うように構成されている。
【0005】
【作用】請求項1、2記載の厚板複層盛り自動溶接方法
において、厚板を上下方向に突き合わせて形成された開
先に、先端からワイヤが導出される複数個の溶接トーチ
を個別に高速で円運動させ、しかも先行する溶接トーチ
に後続の溶接トーチを追従させ、それぞれの溶接位置を
各自検出しながら水平突き合わせ多層盛り溶接を自動的
に行う。従って、それぞれの溶接トーチのアーク電圧が
最大となる位置が検出されて、これにより複数層を一度
に溶接する。次層目以降の溶接においては、開先側面と
溶接ビードによって形成される谷部、あるいは隣合う溶
接ビードによって形成される谷部に溶接トーチを指向さ
せて溶接を行えば高速回転アークのアーク電圧によって
それぞれの位置を検出して次層目以降の溶接を行う。さ
らに、先行する溶接トーチのワイヤ径より後行する溶接
トーチのワイヤ径が小径なので、後行する溶接トーチか
らの入熱が小さくなり、先行する溶接トーチによる溶接
時に加熱された溶接部に過大な入熱を与えることがなく
なり、結果として溶接ビードの溶け落ちなどを防止しな
がら溶接が行える。特に、請求項2記載の厚板複層盛り
自動溶接方法においては、ギャップ過大開先の片側を溶
接する際に、開先の他側に裏当金材を配置するようにし
たので、高速回転アークを安定して発生させることがで
き、これにより連続した自動溶接ができる。
【0006】
【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明
を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供す
る。ここに、図1は本発明の一実施例に係る厚板複層盛
り自動溶接方法が適用される厚板複層盛り自動溶接装置
の移動台車の正面図、図2は前記自動溶接装置の全体側
面図、図3は前記移動台車の使用状態の側面図、図4は
ガイドレールを厚板に取り付けるスペーサの取り付け構
造を示す拡大断面図、図5はガイドレールの取り付け構
造の拡大平面図、図6はガイドレールの取り付け構造の
拡大側面図、図7は前記移動台車の架台を外折れさせた
状態を示す平面図、図8は前記移動台車の架台を内折れ
させた状態を示す平面図、図9は前記自動溶接装置によ
る溶接状態を示す拡大断面図、図10は前記自動溶接装
置の溶接トーチの取り付け構造を示す背面図、図11は
前記溶接トーチの粗移動装置の拡大側面図、図12は前
記粗移動装置の拡大正面図、図13は前記粗移動装置の
拡大平面図、図14は前記溶接トーチの精密移動装置の
要部拡大斜視図、図15は本発明の他の態様に係る厚板
複層盛り自動溶接方法が適用される厚板複層盛り自動溶
接装置の全体側面図、図16は前記移動台車へのケーブ
ル引き回し機構の要部拡大断面図、図17は前記厚板複
層盛り自動溶接装置により溶接される厚板の開先の拡大
断面図、図18は前記溶接トーチが追従して溶接してい
る状態を示す要部拡大斜視図、図19は前記開先に裏当
金材を配置した厚板の拡大断面図を示している。
【0007】図1、2に示すように、本発明の一実施例
に係る厚板複層盛り自動溶接方法が適用される厚板複層
盛り自動溶接装置10は、製鉄所に配備されている熱風
炉11を構成する円筒形状の厚板12に設けられたガイ
ドレール13に取り付けられた移動台車14を有してお
り、円筒形状の厚板12の中心部には、移動台車14に
搭載された機器類のケーブル15の引き回しを行うケー
ブル処理塔16が立設されている。ケーブル処理塔16
の上部には回転軸17が立設されており、回転軸17に
は上下一対の伸縮アーム18が旋回可能に片持ち支持さ
れている。伸縮アーム18は、元部側の固定アーム19
と先端部側の可動アーム20とから構成されている。次
に、図1、4〜6を参照してガイドレール13の取り付
け構造を順次詳細に説明する。
【0008】図4〜6に示すように、ガイドレール13
の取り付けベースとなる複数個の水平に突出する基材2
1が、上下方向に突き合わせた厚板12間に形成された
開先22に対してほぼ平行になるように上側の厚板12
の内面に所定間隔毎に溶接されており、基材21には上
下面が開口されて前面にガイドレール13が固着される
箱形のスペーサ23が取り付けられている。すなわち、
スペーサ23の裏面に形成された大きな開口部24から
スペーサ23内に基材21が遊挿されており、また基材
21の元部中央に形成された楔孔21a内に上方から楔
25を差し込むことにより基材21にスペーサ23が取
り付けられる。
【0009】なお、ガイドレール13の横方向の位置ず
れは、スペーサ23を基材21と開口部24との隙間の
範囲内において移動させることにより補正し、またガイ
ドレール13の縦方向の位置ずれは、スペーサ23の両
側面に形成された楔孔21b内に左右方向から一対の他
の楔25を交差状態で差し込み、基材21を支持台にし
てこれらの他の楔25の差し込み加減を調節することに
より補正する。なお、これらの他の楔25はチェーン2
5aによりスペーサ23の下部に連結されている。スペ
ーサ23の前面には、厚板12の湾曲に沿って湾曲する
ガイドレール13が一対のボルト26により締着されて
取り付けられる(図1も参照)。続いて、図1〜3、7
〜13を参照して移動台車14を詳細に説明する。
【0010】図1、3に示すように、移動台車14は、
ガイドレール13に直交する支柱14aの軸線aを中心
に中折れ可能に枢着された左右一対の枠体からなる架台
27、28を有しており(図7、8も参照)、それぞれ
の架台27、28の上部に移動台車14の一対の駆動手
段29が配設されている。支柱14aは移動台車14の
下部中央に立設された長尺な軸受14bに挿入して支持
されており、駆動手段29は、モータ30が取り付けら
れたケーシング31内に動力伝達機構を介して車輪32
を収納したもので、モータ30によりケーシング31の
下部内に収納された車輪32を回転させて移動台車14
がガイドレール13上を移動するようになっている。
【0011】なお、支柱14aの上部には枢着された架
台27、28を所定角度で固定したり、その固定状態を
解除するノブ14cが設けられており、またそれぞれの
駆動手段29は架台27、28の中折れ時に、ガイドレ
ール13への車輪32の取り付け状態を調整できるよう
に回転軸29aを中心に回動できるようになっている。
この際、駆動手段29の回動位置を固定するためにケー
シング31の上部には円弧状の長孔が穿設された突片3
1aと、この長孔に挿通された固定用のボルト31bが
架台27、28の上板に下方から螺着されている。ま
た、移動台車14はガイドレール13に吊下された状態
で台車下部が厚板12側に若干傾斜するような重心配置
になっている。
【0012】図3、6に示すように、架台27、28の
両側板27a、28aの上部付近には、ガイドレール1
3の直下まで先端が延びる支持板33が片持ち支持され
ており、支持板33の先端部にガイドレール13の下部
裏面に押接されて移動台車14の移動中のガタつきや車
輪32の脱輪を防止する押接ローラ34が設けられてい
る。また、図1、3に示すように、架台27、28の下
部側面にコの字形のプレート27b、28bが突設され
ている。プレート27b、28bには、上方配置された
ガイドシャフト35にガイドロッド36が挿通されてお
り、下方配置されたナット37とボールネジ38とが螺
合されている。両ガイドロッド36およびボールネジ3
8の先端には取り付け板39が取り付けられており、取
り付け板39に支持ローラ40が固着されている。ボー
ルネジ38を回転させると支持ローラ40が厚板12側
に出し入れされて移動台車14の下部の傾斜度合いが調
整される。なお、この支持ローラ40は移動台車14の
移動に伴い厚板12の内面に沿って移動する。
【0013】架台28の側板28aの内外面には、それ
ぞれ供給リール42に巻回されたワイヤ43を導出させ
る一対のワイヤ供給手段44が配設されており、移動台
車14の下部には、溶接作業を監視する作業者の座席4
5、水タンク46、制御部47が設けられ、また移動台
車14の上部中央には、操作ユニット48が配設されて
いる。次に、図1,3,7〜14を参照しながら移動台
車14の中央部に配置された先行する溶接トーチ49
A、後行する溶接トーチ49Bを有する左右一対の溶接
ユニット50A、50Bを詳細に説明する。なお、左右
の溶接ユニット50A、50Bは同一構造なので片側の
溶接ユニット50Aを総括して説明する。
【0014】図1、7に示すように、溶接ユニット50
Aは、支柱14aの中間部の左右に取り付けられた取り
付け部材51の外面に相対状態で取り付けられている。
取り付け部材51には溶接トーチ49をY方向、Z方向
およびθ方向に粗移動させる粗移動装置52が取り付け
られている。粗移動装置52には溶接トーチ49をY方
向、Z方向およびθ方向に細かく移動させてワイヤ43
の先端位置の精密な位置合わせを自動的に行う自動移動
装置53が設けられており、自動移動装置53にはすり
こぎ運動する溶接トーチ49および溶接中のスパッタの
飛散を防止し、さらには遮光を行うカバー部54が取り
付けられている。これらの粗移動装置52および自動移
動装置53により溶接トーチ49の傾斜角調整手段が構
成される。まず、図1、11、12を参照して粗移動装
置52を詳細に説明する。
【0015】図1、11、12に示すように、取り付け
部材51には昇降板41がネジ送り機構からなるZ方向
移動手段55により昇降可能に設けられており、昇降板
41には同じくネジ送り機構からなるY方向移動手段5
7によりY方向に移動するL字形のY方向移動板58の
短尺側が固着されている。このY方向移動板58にはθ
回転手段59が設けられている。すなわち、Y方向移動
板58の長尺側には一対の円弧状の長穴58aが形成さ
れており、Y方向移動板57の裏面には円弧状の回転部
材59aが長穴58aに挿通された一対のビス60を介
して取り付けられている。また、回転部材59aの内面
には自動移動装置53の固定板61が突設されており、
回転部材59aの外周縁にはチェーン62が固着されて
いる。チェーン62に対するスプロケット63はY方向
移動板58の上部に枢着されたノブ64の先端部に固着
されている。ビス60を緩めてノブ64を回転させるこ
とにより回転部材59aがθ回転し、これにより自動移
動装置53の固定板61が回転する。次に、図7、8、
14を参照して自動移動装置53を詳細に説明する。
【0016】図7、8、14に示すように、自動移動装
置53は固定板61に固定された第1の精密移動部65
Aを有しており、第1の精密移動部65Aの外面には略
扇形の摺動板66が図14矢印bの傾斜方向に摺動可能
に取り付けられている。摺動板66の外面には第2の精
密移動部65Bがほぼ矢印bと45度位相する図14矢
印c方向に摺動可能に取り付けられており、第2の精密
移動部65Bに前記溶接トーチ49が設けられている。
第1、2の精密移動部65、66を移動させることによ
り、粗移動装置52により粗移動された溶接トーチ49
を開先22の目標位置まで三次元的に精密に移動させ
る。溶接トーチ49には、すりこぎ運動して高速回転ア
ークを発生させる周知のトーチが採用されている。
【0017】図9、10に示すように、カバー部54
は、色ガラス67からなる四角形の枠体内に耐熱布68
が張られており、耐熱布68の中央部の開口部に溶接ト
ーチ49A、49Bが固定リング69を介して固着され
ている。また、色ガラス67の開口部には固定枠70を
介して枠形のゴムカバー71が固着されており、さらに
カバー部54は、支柱14a側から延びた基部72に設
けられた移動構造体73のノブ74、75を操作してY
方向およびZ方向に移動可能に取り付けられている。こ
こで、前記溶接トーチ49Aは太径のワイヤ26を使用
し、溶接トーチ49Bは細径のワイヤ26を使用する。
これによって、円滑なスプレー移行による溶接条件にお
いては、溶接トーチ49A(例えば溶接条件として、ワ
イヤ径1.2mm、溶接電圧32V、溶接電流270
A、溶接速度35cm/min)より溶接トーチ49B
(例えば溶接条件として、ワイヤ径1.0mm、溶接電
圧27V、溶接電流210A、溶接速度35cm/mi
n)の溶接電流の方が小さくなる。これにより、後行す
る溶接トーチ49Bによる入熱が抑えられて、ビード溶
け落ちを解消できる。
【0018】続いて、この厚板複層盛り自動溶接装置1
0を用いて本発明の一実施例の厚板複層盛り自動溶接方
法を説明する。円筒形状の厚板12の内側から開先22
をアーク溶接する際には、図1に示すように予め開先加
工が行われた厚板12を上下方向に突き合わせて水平な
K形の開先22を形成し、次いで図4〜6に示すように
上側の厚板12の内面に基材21を所定間隔毎に溶接
し、基材21に楔25を介してスペーサ23を取り付
け、さらに開先22と平行になるようにスペーサ23に
ガイドレール13を連結する。
【0019】次いで、図外のクレーンにより2台の移動
台車14を厚板12内の対向位置に吊り降ろし、図1、
3に示すようにそれぞれの駆動手段29の車輪32をガ
イドレール13に載置する。この際、図7に示すように
移動台車14はノブ14cを操作して架台27、28を
厚板12の湾曲に合わせて支柱14aの軸心aを中心に
外折れ状態で屈曲させると共に、駆動手段29もそれに
伴って車輪32が脱輪しないように回動軸29aを中心
に回転させる。それから、ケーブル処理塔16の一対の
伸縮アーム18から延びるケーブル15をそれぞれの移
動台車14に接続する(図2参照)。一方、押接ローラ
34をガイドレール13の裏面に押接して移動台車14
のガタつきを防止し、またボールネジ38をY方向に出
し入れさせて移動台車14の垂直状態を調整する。この
際、カバー部54が開先22周辺に押接される。
【0020】そして、必要に応じて移動台車14に作業
者が搭乗し、粗移動装置52および自動移動装置53を
用いて溶接トーチ49Aと溶接トーチ49Bの各ワイヤ
43の先端を開先22内の目標位置に位置合わせする。
次いで、駆動手段29のモータ30により車輪32を回
転させて移動台車14を移動させながらそれぞれの溶接
トーチ49A、49Bにおいて高速回転アークを発生さ
せ、ワイヤ供給手段44よりワイヤ43を供給させて、
溶接トーチ49A、49Bを高速ですりこぎ運動させな
がら溶接トーチ49Aに溶接トーチ49Bを追従させ
て、そのアーク電圧より開先22の各溶接位置を検出し
つつ自動的に水平突き合わせ溶接を行う。この様子を図
17、18を参照しながらさらに詳しく説明すると、一
層目の溶接を行う場合には、溶接トーチ49Bを使用せ
ず、溶接トーチ49Aだけを使用する。すなわち、溶接
トーチ49Aの粗移動装置52を操作して溶接トーチ4
9Aのワイヤ26の先端を開先22の底、すなわちの
方向に向けるように配置し、高速回転アークによって溶
接を行い、アーク電圧を検出して溶接中心位置を検出
し、溶接線に沿って溶接を行う。次に二層目および三層
目の溶接を行う場合には、溶接トーチ49Aを二層目方
向であるに指向させ、さらに溶接トーチ49Bを三層
目方向のに指向させて行う(なお、四層目および五層
目以降も同様に追従させる)。こうして、開先22の片
側の複層盛り溶接を行うようにしたので、開先22の二
層を一度に溶接できて溶接時間を短縮化できる。この
際、ケーブル処理塔16の伸縮アーム18は移動台車1
4のガイドレール13に沿った周回に伴って旋回するの
で、移動台車14の移動によりケーブル15の断線を防
止できる。また、溶接時のスパッタはカバー部54によ
り外部に飛散しないし、色ガラスを67を通して溶接状
態が監視できる。
【0021】また、円筒形状の厚板12の外側の開先2
2aをアーク溶接する際には、上側の厚板12の外面に
溶接された基材21に楔25を介してスペーサ23を取
り付け、それからスペーサ23にガイドレール13を連
結する。そして、図8に示すように移動台車14の架台
27、28を厚板12の湾曲に合わせて支柱14aの軸
心aを中心に内折れ状態で屈曲させて同様のアーク溶接
を行う。このように、架台27、28を支柱14aを中
心に屈曲できるようにしているので、円筒形状の厚板1
2の開先22を内側からでも外側からでも任意に自動溶
接できる。
【0022】このように厚板複層盛り自動溶接装置10
は、厚板12を上下方向に突き合わせて形成された開先
22の長さ方向に沿ってガイドレール13を取り付け、
粗移動装置52および自動移動装置53により溶接トー
チ49の傾斜角を調節して開先22の該当する層の溶接
位置にワイヤ43の先端位置を合わせ、次いで駆動手段
により移動台車をガイドレールに沿って移動させなが
ら、高速ですりこぎ運動をする溶接トーチ49にワイヤ
供給手段44からワイヤ43を供給して開先22を溶接
するようにしたので、自動的に水平突き合わせ複層盛り
溶接を行うことができる。
【0023】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明はこの実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱
しない範囲での設計変更や動作の変更があっても本発明
に含まれる。例えば、実施例では、厚板複層盛り自動溶
接方法を熱風炉の溶接に適用したが、これに限定しなく
ても例えば石油タンクやその他の各種溶接炉その他の構
造物などにも適用できる。
【0024】また、実施例では、円筒形状の厚板を採用
したが、これに限定しなくても平板状の厚板であっても
よい。この場合、移動台車の左右の架台は屈曲させずに
ガイドレールに取り付けられる。さらに、移動台車はガ
イドレールに直交する軸線を中心に中折れしない構造の
ものであってもよく、このような台車を円筒形状の厚板
の溶接に使用する場合には、移動台車の駆動手段のみを
回転軸を中心に湾曲するガイドレールに沿うように回転
させて取り付ける。さらにまた、実施例は、溶接時の溶
接トーチのスパッタが飛散するのを防止するものとし
て、それぞれの溶接トーチの先端部に取り付けられる比
較的小型のカバー部を採用したが、これに限定しなくて
も例えば位置調節手段を含む溶接ユニット全体を包むよ
うな大型の箱カバーを取り付けることもできる。
【0025】また、移動台車のケーブル処理は、必ずし
もケーブル処理塔を用いなくてもよい。例えば図15を
参照してこれを例示すると、スポット的に仮溶接されて
積み上げられた厚板12の上縁に渡りデッキ80を取り
付け、例えば厚板12の内側から溶接する場合には渡り
デッキ80の下面中心部に伸縮アーム81を吊下してケ
ーブル15の引き回しを行ったり、また厚板12の外側
から溶接する場合には、渡りデッキ80の上面中心部に
伸縮アーム81を設けてケーブル15を移動台車14に
接続する。なお、図16に示すように、伸縮アーム81
の枢着部の構造を、渡りデッキ80の上下面の中心部に
それぞれ立設された回転軸82に挿通可能で、両端にフ
ランジ83が形成された円筒状の取り付け部材84の外
周面に、それぞれベアリング85を介して伸縮アーム8
1を取り付けたものにすれば、図16(a)、(b)に
示すように、上側または下側のフランジ83を渡りデッ
キ80の下面または上面中央部にボルト連結することに
より、一台のケーブル処理用の伸縮アーム81を厚板1
2の内側からの溶接にも外側からの溶接にも兼用でき
る。
【0026】さらに、実施例では、溶接トーチを2個使
用したが、これに限定しなくても例えば3個以上使用し
て、先行する溶接トーチに他の2個の溶接トーチを追従
させて溶接するようにしてもよい。また、実施例では上
側の厚板と下側の厚板とが当接した閉じている開先を示
したが、例えば図19に示すように、上下側の厚板1
2、12との間に過大なルートギャップ(例えば2mm
以上)がある開先90の場合には、開先90の片側を溶
接する際に、開先90の他側に丸棒状の裏当金材91を
配置してもよい。これにより、開先90の他側方向への
ワイヤ26の突き抜け防止ができ、しかもこの他側方向
から開先90の隙間を通して風が吹き込むことによるシ
ールの乱れを防止できる。なお、この裏当金材の素材は
例えば厚板と同じ鋼材であっても、鋼との溶着がし難い
銅などであってもよい。開先90の片側を溶接した後の
裏当金材91は、開先90の他側を溶接する前処理時に
ハツリ飛ばして除去される。ただし、裏当金材として水
冷銅パイプを使用した場合には、裏当金材91を取り外
した後、裏側からそのまま溶接してもよい。
【0027】
【発明の効果】請求項1、2記載の厚板複層盛り自動溶
接方法においては、厚板を上下に突き合わせた開先にそ
れぞれの溶接トーチまたは個別のセンサにより開先内の
各溶接位置を検出しながら突き合わせ複層盛り溶接を順
次行うようにしたので、開先および溶接ビードによって
形成される溶接線を的確に検出して溶接が行え、これに
より水平突き合わせ複層盛り溶接の自動化が図れる。ま
た、溶接する際に、先行する溶接トーチに他の溶接トー
チを追従させるので、複数層の溶接を一度に行えて溶接
時間を短縮でき、後行する溶接トーチのワイヤを先行す
る溶接トーチのワイヤ径より小さくしているので、溶接
入熱を制御でき、ビードの溶け落ちを制御できる。特
に、請求項2記載の厚板複層盛り自動溶接装置において
は、開先の過大ルートギャップ部の片側を溶接する際
に、開先の他側に裏当金材を配置しているので、開先の
裏側に溶接ワイヤが突き抜けるのを防止でき、また開先
の裏側から風が吹き込んでシールが乱れるのを防止でき
ることによりアークを安定して発生させることができ、
これにより連続した自動溶接ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る厚板複層盛り自動溶接
方法が適用される厚板複層盛り自動溶接装置の移動台車
の正面図である。
【図2】前記自動溶接装置の全体側面図である。
【図3】前記移動台車の使用状態の側面図である。
【図4】ガイドレールを厚板に取り付けるスペーサの取
り付け構造を示す拡大断面図である。
【図5】ガイドレールの取り付け構造の拡大平面図であ
る。
【図6】ガイドレールの取り付け構造の拡大側面図であ
る。
【図7】前記移動台車の架台を外折れさせた状態を示す
平面図である。
【図8】前記移動台車の架台を内折れさせた状態を示す
平面図である。
【図9】前記自動溶接装置による溶接状態を示す拡大断
面図である。
【図10】前記自動溶接装置の溶接トーチの取り付け構
造を示す背面図である。
【図11】前記溶接トーチの粗移動装置の拡大側面図で
ある。
【図12】前記粗移動装置の拡大正面図である。
【図13】前記粗移動装置の拡大平面図である。
【図14】前記溶接トーチの自動移動装置の要部拡大斜
視図である。
【図15】本発明の他の態様に係る厚板複層盛り自動溶
接方法が適用される厚板複層盛り自動溶接装置の全体側
面図である。
【図16】前記移動台車へのケーブル引き回し機構の要
部拡大断面図である。
【図17】前記厚板複層盛り自動溶接装置により溶接さ
れる厚板の開先の拡大断面図である。
【図18】前記溶接トーチが追従して溶接している状態
を示す要部拡大斜視図である。
【図19】前記開先に裏当金材を配置した厚板の拡大断
面図である。
【符号の説明】
10 厚板複層盛り自動溶接装置 11 熱風炉 12 厚板 13 ガイドレール 14 移動台車 14a 支柱 14b 軸受 14c ノブ 15 ケーブル 16 ケーブル処理塔 17 回転軸 18 伸縮アーム 19 固定アーム 20 可動アーム 21 基材 21a 楔孔 21b 楔孔 22 開先 23 スペーサ 24 開口部 25 楔 25a チェーン 26 ボルト 27 架台 27a 側板 27b プレート 28 架台 28a 側板 28b プレート 29 駆動手段 29a ピン 30 モータ 31 ケーシング 31a 突片 31b ボルト 32 車輪 33 支持板 34 押接ローラ 35 ガイドシャフト 36 ガイドロッド 37 ナット 38 ボールネジ 39 取り付け板 40 支持ローラ 42 供給リール 43 ワイヤ 44 ワイヤ供給手段 45 座席 46 水タンク 47 制御部 48 操作ユニット 49A 溶接トーチ 49B 溶接トーチ 50A 溶接ユニット 50B 溶接ユニット 51 取り付け部材 52 粗移動装置 53 自動移動装置 54 カバー部 55 Z方向移動手段 57 Y方向移動手段 58 Y方向移動板 58a 長穴 59 θ回転手段 59a 回転部材 60 ビス 61 固定板 62 チェーン 63 スプロケット 64 ノブ 65A 第1の精密移動部 65B 第2の精密移動部 66 摺動板 67 色ガラス 68 耐熱布 69 固定リング 70 固定枠 71 ゴムカバー 72 基部 73 移動構造体 74 ノブ 75 ノブ 80 渡りデッキ 81 伸縮アーム 82 回転軸 83 フランジ 84 取り付け部材 85 ベアリング 90 開先 91 裏当金材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚板を上下方向に突き合わせて形成され
    た開先に、先端からワイヤが導出される複数個の溶接ト
    ーチまたは個別のセンサにより前記開先内の溶接位置を
    個別に検出しながら水平突き合わせ複層盛り溶接を行う
    厚板複層盛り自動溶接方法であって、 各層の溶接時に、前記いずれかの先行する溶接トーチの
    後を前記他の溶接トーチが追従しながら溶接を行い、し
    かも先行する溶接トーチのワイヤ径より後行する溶接ト
    ーチのワイヤ径を小さくしたことを特徴とする厚板複層
    盛り自動溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記開先がK形の開先であって、しかも
    そのルートギャップ部には前記裏側の開先内に裏板材を
    配置して溶接を行うことを特徴とする請求項1記載の厚
    板複層盛り自動溶接方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR960037192A (ko) * 1995-04-27 1996-11-19 유상부 고열전도성 석출경화형 CuCrZr 구리 합금을 멀티-패스미그(Multi-Pass MIG) 용접하는 방법
KR20180074365A (ko) * 2016-12-23 2018-07-03 주식회사 포스코 저온인성이 우수한 극후강재 용접이음부 및 그 용접방법
CN113182688A (zh) * 2021-04-06 2021-07-30 哈尔滨焊接研究院有限公司 一种厚板窄间隙双光束激光填丝高效焊接方法

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