JPH07166417A - アラミド繊維の製造方法 - Google Patents
アラミド繊維の製造方法Info
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- JPH07166417A JPH07166417A JP31174693A JP31174693A JPH07166417A JP H07166417 A JPH07166417 A JP H07166417A JP 31174693 A JP31174693 A JP 31174693A JP 31174693 A JP31174693 A JP 31174693A JP H07166417 A JPH07166417 A JP H07166417A
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Abstract
ドープを形成し、耐加水分解性や耐薬品性に優れている
アラミドから、強度、初期モジュラス等の機械的物性、
特に初期モジュラスの優れたアラミド繊維を製造する方
法を提供することにある。 【構成】 等方性ドープを湿式紡糸して得られるアラミ
ド繊維を、下記式を満足する温度範囲内(T℃)で、破
断張力の20〜90%の張力で緊張熱処理することを特
徴とするアラミド繊維の製造方法。 50≦T<Tmq −15(但し、Tmq はアラミドの擬
融点を示す。)
Description
モジュラスの改善されたアラミド繊維の製造方法に関す
る。本発明の製造方法により得られるアラミド繊維は広
く産業資材分野に利用することができる。
高い耐熱性を活かして繊維、フィルムなどに幅広く利用
されている。とりわけ、パラ型のアラミドであるポリ−
p−フェニレンテレフタルアミド(PPTA)は、産業
資材分野でアラミドの主流として広く利用されている。
しかし、動的負荷を担う工業用途では比較的大きな伸度
と共により高い強度が要求される。プラスチック類やゴ
ム類の補強、光ファイバーのテンションメンバーなどの
分野では、高強度で且つ高モジュラスであることが求め
られる。用途によっては高い耐加水分解性、耐薬品性が
更に求められる。
充分には満足していない。また、PPTAの製造技術に
は、分子の剛直性に起因する問題がある。例えば、剛直
な分子の溶解性を高めるために重合反応溶媒としてヘキ
サメチルホスホルアミドを使用するが、これは生体への
毒性が強い。または特開昭62−263320号公報に
記載の如く9%以上の大量の金属塩を共存させた有機極
性溶媒を使用しなければならない。或いは、特開昭63
−75111号公報に記載の如く以上の金属塩の使用量
を4%程度としたきは、ゲル状の重合体となるので、流
動性の無いゲル状物を取り扱う煩雑な工程を回避できな
い。更に紡糸工程では前述の重合体をそのまま紡糸原液
として使用することができないので、濃硫酸によって液
晶性の紡糸原液を調製し、いわゆる液晶紡糸を行わなけ
ればならない。しかも、この濃硫酸を中和するため大量
の中和剤を必要とするので、製品中にこれらの中和剤か
らの無機イオンが混入し、不純物となって製品の品質を
損なう。また、濃硫酸は作業環境的にも、設備の腐食性
の面からも、工程的にも不利である。
極性溶媒を用い、等方性の紡糸原液を調製しプロセスの
簡素化を図る試みが提案されている。具体的には、エー
テル結合を分子鎖中に共重合し、溶解性を改良する方法
が数多く提案されている。(例えば、特開昭51−76
386号公報、特開昭51−134743号公報、特開
昭51−136916号公報、特公昭53−32838
号公報、特開昭61−252229号公報、特開昭62
−27431号公報、特開昭62−225530号公
報、特開昭62−177022号公報、特開昭62−1
77023号公報など)。これらのうちp−フェニレン
ジアミン(PPDA)と3、4’−ジアミノジフェニル
エーテル(3、4’−DAPE)とを共重合した共重合
アラミドは強度、弾性率、耐薬品性に優れたポリマーで
あり、一般的な有機極性溶媒であるN−メチルピロリド
ンなどを重合反応溶媒として用いることができる。しか
も、この重合反応後のポリマー溶液を直接、紡糸成型な
どに用いることができるのでプロセスの大幅な改善が可
能である。更に、耐加水分解性や耐薬品性をPPTAよ
り大幅に改善することができる。しかしながら、PPT
Aと比較すると強度、伸度等の物性面でなお不充分であ
る。
機械的物性を得るために、しかも有機溶媒に可溶で、そ
の重合体溶液をそのまま紡糸溶液として使用可能な、簡
単な製造プロセスが採用できるアラミドを求めて、剛直
モノマーを共重合することが提案されている(例えば、
特開平2−123134号公報)。しかしながら、多種
類の芳香族ジアミンに反応性の差があることなどからラ
ンダム共重合となり難く、改良した糸物性の再現性が得
られない場合が多い。従って、単に元のモノマー組成に
剛直モノマーを更に共重合するという、原料の組合せの
変更だけでは再現性よく一定の糸物性を得ることは困難
なことが多い。更にまた、モノマーの種類が増加するこ
とは原料のハンドリングが問題となることが多く、構成
モノマーの種類が多いほどこの傾向が大きい。従って、
共重合成分を更に増やすことは不利となる傾向がある。
処理を施して初期モジュラスを向上せしめる方法が提案
されている(独国公開公報第1810426号、特公昭
50−12484号公報、特公昭55−14167号公
報など)。しかしながら、これらは全て光学異方性ドー
プより得られる繊維を対象としている。また、このよう
にして得られる繊維は全て強度が不十分であることや、
独国公開公報第1810426号、特公昭55−141
67号公報に記載の繊維は、硫酸を用いた液晶紡糸であ
るため繊維中の不純物が多く存在し、それによる不都合
が生ずるなどの問題点を有している。
フィブリル性改善のために、等方性有機ドープより得ら
れた共重合アラミド繊維を緊張熱処理することが提案さ
れている。しかしながら、熱処理温度は、ポリマーの擬
融点近傍である。また、そのときの張力は、熱処理温度
における破断張力の50%以下が好ましいとされてお
り、特に実施例においては0.1g/deという極めて
低い張力で実施されている。更に、この緊張熱処理によ
って糸物性特に初期モジュラスが実質的に向上したとは
いい難い。
方性ドープを形成し、耐加水分解性や耐薬品性に優れて
いるアラミドから、強度、初期モジュラス等の機械的物
性、特に初期モジュラスの優れたアラミド繊維を製造す
る方法を提供することにある。
性ドープを湿式紡糸して得られるアラミド繊維を、下記
式を満足する温度範囲内(T℃)で、破断張力の20〜
90%の張力で緊張熱処理することを特徴とするアラミ
ド繊維の製造方法。
アラミドの擬融点を示す。)」である。
一種類以上の公知の芳香族ジアミンと、一種類以上の芳
香族酸ハライドによって得られるものであり、パラ型で
もメタ型でも良いがパラ型がより好ましい。
ェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンチジ
ン、4、4’−ジアミノ−p−ターフェニル、2、7−
ジアミノフルオレン、2、8−ジアミノフェノキサチ
ン、1、4−、1、5−または2、6−ナフタレンジア
ミン、3、3’−、3、4’−、4、4’−ジアミノジ
フェニルエーテル、3、3’−、3、4’−、4、4’
−ジアミノジフェニルアミド、3、3’−、3、4’
−、4、4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3、
3’−、3、4’−、4、4’−ジアミノジフェニルス
ルホン、3、3’−、3、4’−、4、4’−ジアミノ
ベンゾフェノン、3、3’−、3、4’−、4、4’−
ジアミノジフェニルメタン及び、その芳香環に1個以上
の低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲノ基、ニ
トロ基などの非反応性官能基を含むものなどや、2、2
−ビス−4(4−アミノフェノキシ)フェニルプロパ
ン、2、2−ビス−4(3−アミノフェノキシ)フェニ
ルプロパン、2、2−ビス−4(4−アミノフェノキ
シ)フェニルヘキサフロロプロパン、2、2−ビス−4
(3−アミノフェノキシ)フェニルヘキサフロロプロパ
ン、ビス−4(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホ
ン、ビス−4(3−アミノフェノキシ)フェニルスルホ
ン、1、4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1、4−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1、3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1、3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、4、4’−ビス−(4−アミノフェノキシ)ビフェ
ニル、4、4’ビス−(3−アミノフェノキシ)ビフェ
ニル、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミ
ン、p−アミノベンジルアミン、m−アミノベンジルア
ミン、9、10−ビス−(4−アミノフェニル)アント
ラセン、9、9−ビス−(4−アミノフェニル)フルオ
レンなどが挙げられる。
ロリドが特に好ましく、テレフタル酸クロリド、イソフ
タル酸クロリド、2、6−、2、5−ナフタレンジカル
ボン酸クロリド、4、4’−ジフェニルジカルボン酸ク
ロリド及び、その芳香環に1個以上の低級アルキル基、
低級アルコキシ基、ハロゲノ基、ニトロ基などの非反応
性官能基を含むものなどが挙げられる。
位の有機残基の80モル%以上、より好ましくは90モ
ル%以上が芳香族であることが好ましく、この割合より
も芳香族残基が少ないとアラミドの特徴である耐熱性な
どが不足するうえ、耐加水分解性や耐薬品性が低下して
きて不都合を生じる場合が多い。
造は、繰り返し単位の80モル%以上が下記のものであ
る。
基を示す。なお、Ar1、Ar2は互いに同一でも相異
なるものでも良い。これらの芳香族残基はその水素原子
の一部または全部がハロゲン原子または低級アルキル基
で置換されていても良い。)
0モル%以上が下記芳香族残基A、B、C、D、または
Eから成り、且つCまたはDの比率が10から40モル
%であるアラミドが好適である。
溶で、且つ等方性溶液である必要がある。該ドープは、
アラミドが溶解するのであれば、溶液重合を行った後の
有機溶媒ドープでも、別途得られたアラミドを有機溶媒
に溶解せしめたものでもよい。特に、溶液重合反応を行
った後のものが好ましい。
ては、一般に公知の非プロトン性有機極性溶媒を用いる
が、例を挙げるとN−メチル−2−ピロリドン、N−エ
チル−2−ピロリドン、N、N−ジメチルホルムアミ
ド、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジエチル
アセトアミド、N、N−ジメチルプロピオンアミド、
N、N−ジメチルブチルアミド、N、N−ジメチルイソ
ブチルアミド、N−メチルカプロラクタム、N、N−ジ
メチルメトキシアセトアミド、N−アセチルピロリジ
ン、N−アセチルピペリジン、N−メチルピペリドン−
2、N、N’−ジメチルエチレン尿素、N、N’−ジメ
チルプロピレン尿素、N、N、N’、N’−テトラメチ
ルマロンアミド、N−アセチルピロリドン、N、N、
N’、N’−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド
などである。
得られたアラミドを溶媒に溶解せしめる場合には、溶解
性を向上せしめるために溶解助剤として無機塩を適当量
添加しても差し支えない。このような無機塩としては、
例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられ
る。この他、メチル−トリ−n−ブチルアンモニウム塩
化物、メチル−トリ−n−プロピルアンモニウム塩化
物、テトラ−n−プロピルアンモニウム塩化物、テトラ
−n−ブチルアンモニウム塩化物のような四級アンモニ
ウム塩でもよい。
限はないが、ポリマーが溶媒に溶けるならば、成形加工
性を損なわない範囲内で重合度は大きい方が好ましい。
本発明のアラミドを溶液重合する場合、酸成分とジアミ
ン成分との比は実質的に等モルで反応させるが重合度制
御のためいずれかの成分を過剰に用いることもできる。
また、末端封鎖剤として単官能性の酸成分、アミン成分
を使用しても良い。
る塩化水素を、水酸化カルシウムや水酸化リチウム、水
酸化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウム、酸化
カルシウム等の無機塩、好ましくは水酸化カルシウム、
酸化カルシウムで中和した後、繊維化用に供する。
この場合、ドープを凝固浴の中に直接吐出しても良い
し、或いはエアギャップを設けてもよい。凝固浴は、ア
ラミドの貧溶媒が用いられるが、アラミドドープの溶媒
が急速に抜け出してアラミド繊維に欠陥ができないよう
に、通常は良溶媒を添加して凝固速度を調節する。一般
には、貧溶媒としては水、良溶媒としてはアラミドドー
プ用の溶媒を用いるのが好ましい。良溶媒/貧溶媒の比
は、アラミドの溶解性や凝固性にも依るが、15/85
から40/60が一般的に好ましい。
していないので、この後熱延伸して機械的物性を飛躍的
に向上せしめる必要がある。熱延伸の温度は、アラミド
のポリマー骨格にもよるが、300℃以上550℃以下
であることが好ましい。このとき、得られる延伸糸の機
械的物性からみて、広角X線回折より求めた結晶配向度
が89%以上、結晶化度が74%以上のものが好まし
い。
に対して、緊張熱処理を施して初期モジュラスを向上せ
しめる。このときの温度は、後述の測定法によって得ら
れる繊維の擬融点Tmq に対し、 50≦T<Tmq −15 を満足する温度T(℃)である。50℃未満の場合は、
充分に初期モジュラスが向上しない。また、Tmq −1
5℃以上の場合は、破断張力が減少するために延伸糸に
対して充分に張力をかけることができず、初期モジュラ
スが減少してくるので好ましくない。好ましい熱処理温
度は、50℃以上450℃未満である。より好ましく
は、50℃以上250℃未満である。このときの処理張
力は、破断張力の20%以上90%以下である必要があ
る。これより張力が低いと初期モジュラスが充分に向上
しない。また、これより張力が高いと単糸切れが生じや
すくなり、強度や初期モジュラスが充分に向上しない。
に達する程度であれば充分であり、特に長時間の処理は
必要としないが、工程管理上0.05秒から60分程度
が望ましい。
力にもよるが、本発明の緊張熱処理によって、初期モジ
ュラスは、約50g/de以上向上せしめることができ
る。緊張熱処理によって得られる糸物性は、アラミド繊
維の特徴である高強度、高モジュラスを活かすため、最
低でも強度17g/de以上、初期モジュラス300g
/de以上であることが好ましい。更に好ましくは、P
PTAを単に液晶紡糸しただけでは得られない強度24
g/de以上で、初期モジュラス450g/de以上で
あることが好ましい。
生なりの糸の他、顔料や染料で着色された繊維、各種添
加剤を含有した繊維、後加工で耐光剤各種剤を付与した
繊維でもよい。
れるアラミド繊維の初期モジュラスを更に向上せしめる
ことができる。
明する。なお、実施例中で用いられる部は、重量部を表
す。また、ポリマー溶液の粘度は、外径3mmの鋼球
(材質SUS316)にて100℃の恒温槽内で落球法
にて測定した値である。
の三つ口フラスコにN−メチル−2−ピロリドン(以下
NMPという)112.9部、p−フェニレンジアミン
1.506部、3、4’−ジアミノジフェニルエーテル
2.789部を常温下で入れ、窒素中で溶解した後、撹
拌しながらテレフタル酸クロリド5.658部を添加し
た。最終的に85℃で60分間反応せしめ、透明の粘稠
なポリマー溶液を得た。次いで、22.5重量%の水酸
化カルシウムを含有するNMPスラリー9.174部を
添加し、中和反応を行った。得られたポリマーの対数粘
度は3.40であった。また、ドープ中のポリマー濃度
は6.000重量%(7.921部)であり、中和剤に
よって発生した水はドープ全量に対して0.760重量
%(1.003部)であった。
数133ケの口金を通してNMP30重量%の凝固浴に
押し出し湿式紡糸した。口金面と凝固浴との距離は8m
mとした。紡出繊維を水洗、乾燥後、熱板上390℃で
2.5倍と、520℃で二段延伸して全延伸倍率12.
9倍で巻取り、全繊度203デニールのフィラメントを
得た。得られた繊維の機械的物性を表1に比較例1とし
て示す。
(株)製のX線発生装置、広角回折計及び係数回路ユニ
ットを使用し、試料台としては、方位角方向に測定がで
きる繊維回転試料台を取り付ける。試料は約2.2g/
cmの幅密度になるように4.5cm長のホルダーに装
着する。赤道線上で最大のピークを有する2θ値を保っ
たまま方位角方向に繊維を回転して配向回折強度曲線を
得る。ベースラインを得ることは容易であり、このベー
スラインに頂点から下ろした垂線の中点からベースライ
ンに平行な直線を引きピークの肩との交点を求める。こ
の交点のつくる線分の長さ(半価幅)をH(度)とする
と、配向度fは次式で求められる。
(%) なお、詳細な測定条件は下記の通りである。 線源 Cu−Kα (λ=1.54
A) 電圧 50kV 電流 80mA タイムコンスタント 1sec 掃引スピード 2度/分 チャートスピード 2cm/分 試料面上の照射直径 2.8mm このようにして求めた配向度は75%であった。
角回折計、計数回路及び繊維回転試料台を使用し、試料
幅密度も同様とする。試料を垂直面内に回転しながら半
径方向に回折計を掃引して、ランダムに繊維が配向した
場合の総回折曲線をとる。次に子午方向の回折チャート
を重ねて非晶部分に起因する反射を求める。子午方向の
結晶部に起因するピークを除外すれば、きれいな非晶部
分の反射によるベース曲線が得られる。更に空気による
散乱曲線を求める。10゜≦2θ≦40゜の範囲の下記
のC、T、Aを求めて結晶化度Xcrを計算する。
よるベース曲線)が囲む面積 T:(総回折曲線)と(高さ0の線)が囲む面積 A:(空気散乱曲線)と(高さ0の線)が囲む面積 Xcr=[C/(T−A)×(1−K/100)]×10
0(%) 但し、Kは高分子の種類による補正係数であるが、本発
明のポリマー群においてはK=12とする。測定条件は
次の通りである。 電圧 40kV 電流 30mA タイムコンスタント 2sec 掃引スピード 2度/分 チャートスピード 1cm/分 試料面上の照射直径 3.8mm このようにして求められた結晶化度は93%であった。
群に真のTmが存在するか否かははっきりしない。これ
らのポリマー群は共重合ポリマーであるので、当然広い
融点範囲を示し、正確なTmを決定することはできない
と考えられる。しかしながらこれらのポリマー群の融解
開始温度はフローテスター、DTA、DSCにより観察
することができる。ここで、窒素気流中におけるDTA
の10℃/分の昇温速度のとき検地される融解開始温度
(ベースラインと吸熱ピークの勾配との交点に於ける温
度)をTmq (擬融点)と定義する。DSCにおいても
同様に定義される。Tmq になると100kg/cm2
以上の押し出し圧のもとに、直径1mm以上、流路10
mm以下のノズルからポリマーが流出する。しかし、同
時に架橋化が進行して流出は中断される。Tmq の決定
はDTA、DSC、フローテスターの併用によって確実
に行われる。DTA、DSCの吸熱ピーク開始温度とフ
ローテスターの流出開始温度とはほぼ一致する。あるい
は、高温でのX線回折図をとることにより、結晶相の減
少を観察してTmq を決定することもできる。このよう
にして求められた擬融点Tmq は、約480℃であっ
た。
できる2基のネルソンローラー間に、150℃の熱板
(80cm長)を設置し、上記のようにして得られた糸
を繊維走行速度20m/分で、該装置にて緊張熱処理し
た。糸の破断張力を熱板の出側で測定すると、3.3k
gであった。糸の熱処理時の張力は、破断張力の8割の
2.6kgで実施した。なお、張力は、シンポ工業
(株)製ハンドヘルド形張力計DTM−10KBで測定
した。このときの糸物性を表1に示す。初期モジュラス
が約100g/de以上向上していた。
断張力と熱処理張力との比を変える以外は、実施例1と
同様にして緊張熱処理を実施した。結果を表1に示す。
熱処理温度が470℃を越えると初期モジュラス向上の
効果が50g/de未満と少ない。また、熱処理張力が
破断張力の2割に達しないと初期モジュラス向上効果が
50g/de未満と少なく、9割を越えるとヤーンの単
糸切れが多発して糸の機械的物性が大幅に低下するので
好ましくない。
Claims (3)
- 【請求項1】 等方性ドープを湿式紡糸して得られるア
ラミド繊維を、下記式を満足する温度範囲内(T℃)
で、破断張力の20〜90%の張力で緊張熱処理するこ
とを特徴とするアラミド繊維の製造方法。 50≦T<Tmq −15(但し、Tmq はアラミドの擬
融点を示す。) - 【請求項2】アラミドの繰り返し単位の80モル%以上
が下記一般式(化1)で表される請求項1のアラミド繊
維の製造方法。 【化1】 (但し、Ar1、Ar2は 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 から選ばれた少なくとも一種類の芳香族残基を示す。な
お、Ar1、Ar2は互いに同一でも相異なるものでも
良い。これらの芳香族残基はその水素原子の一部または
全部がハロゲン原子または低級アルキル基で置換されて
いても良い。なかでも、前記Ar1、Ar2の合計の8
0モル%以上が上記芳香族残基A、B、C、D、または
Eから成り、且つCまたはDの比率が10から40モル
%であるアラミドである。 - 【請求項3】緊張熱処理前のアラミド繊維の、広角X線
回折より求めた結晶配向度が89%以上、結晶化度が7
4%以上である請求項1又は2のアラミド繊維の製造
法。
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---|---|---|---|
JP31174693A JP3187226B2 (ja) | 1993-12-13 | 1993-12-13 | アラミド繊維の製造方法 |
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JP31174693A JP3187226B2 (ja) | 1993-12-13 | 1993-12-13 | アラミド繊維の製造方法 |
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JPH07166417A true JPH07166417A (ja) | 1995-06-27 |
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JP (1) | JP3187226B2 (ja) |
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