JPH07165585A - 血管肥厚抑制剤及び平滑筋細胞遊走抑制剤 - Google Patents

血管肥厚抑制剤及び平滑筋細胞遊走抑制剤

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JPH07165585A
JPH07165585A JP13566094A JP13566094A JPH07165585A JP H07165585 A JPH07165585 A JP H07165585A JP 13566094 A JP13566094 A JP 13566094A JP 13566094 A JP13566094 A JP 13566094A JP H07165585 A JPH07165585 A JP H07165585A
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smooth muscle
cell migration
muscle cell
compound
thiaprostaglandin
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JP13566094A
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English (en)
Inventor
Jiro Seki
二郎 関
Yasuko Kato
靖子 加藤
Mie Nishio
美恵 西尾
Kunito Watanabe
邦人 渡辺
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Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 各種血管形成術、動脈バイパス手術などの後に、主とし
て血管平滑筋細胞の遊走や増殖によって起こる血管の肥
厚の抑制に有用な薬剤を得る。 【構成】下記式(I) (式中、R1 は水素原子など、R2 は水素原子など、R
3 は直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基などを示し、nは
0又は1、*は不斉炭素原子を示す。)で表わされる7
−チアプロスタグランジンE1 化合物を活性成分として
含有する血管肥厚抑制剤及び平滑筋細胞遊走抑制剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、7−チアプロスタグラ
ンジンE1 化合物、さらに詳しくは下記式(I)
【0002】
【化3】
【0003】(式中、R1 は水素原子、直鎖もしくは分
岐鎖のアルキル基または1当量のカチオンを表わし、R
2 は水素原子またはメチル基を表わし、R3 は直鎖もし
くは分岐鎖のアルキル基またはシクロアルキル基を表わ
し、nは0または1を表わし、*は不斉炭素原子を示
す。)で表わされる7−チアプロスタグランジンE1
合物を活性成分として含有する血管肥厚抑制剤及び平滑
筋細胞遊走抑制剤に関するものである。
【0004】
【従来の技術】上記式(I)で表わされる7−チアプロ
スタグランジンE1 化合物はそれ自体公知の化合物であ
り、血小板凝集阻害作用、降圧作用、血管拡張作用によ
る抗血栓、抗狭心症、抗心筋梗塞、抗動脈硬化、悪性腫
瘍転移防止作用を示すことが知られている(特開昭58−
110562号公報)。また、この化合物が抗糖尿病作用、殊
に糖尿病性神経症に有用であることも知られている(特
開昭64−52721号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】血管形成術、動脈バイ
パス術、器官の移植術等の後には、血管平滑筋細胞の遊
走や増殖等の原因によりしばしば血管が肥厚し、閉塞す
ることが知られている。かかる現象を予防、治療する薬
剤について種々研究されているが、現在これに有効な薬
剤は未だ知られていない。
【0006】本発明は前述の血管肥厚の予防及び治療に
有効な血管肥厚抑制剤及び平滑筋細胞遊走抑制剤を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、血管肥厚
の予防、治療に有効な薬剤の出現が望まれている状況下
で鋭意研究の結果、7−チアプロスタグラジンE1 化合
物が、血管肥厚を抑制し、また平滑筋細胞遊走を阻害す
るという新知見を得、さらに研究を進めて、本発明を完
成した。
【0008】すなわち、本発明は下記式(I)
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R1 は水素原子、直鎖もしくは分
岐鎖のアルキル基または1当量のカチオンを表わし、R
2 は水素原子またはメチル基を表わし、R3 は直鎖もし
くは分岐鎖のアルキル基またはシクロアルキル基を表わ
し、nは0または1を表わし、*は不斉炭素原子を示
す。)で表わされる少なくとも一種の7−チアプロスタ
グランジンE1 化合物を活性成分として含有する血管肥
厚抑制剤である。
【0011】本発明はまた、上記式(I)で表わされる
少なくとも一種の7−チアプロスタグランジンE1 化合
物を活性成分として含有する平滑筋細胞遊走抑制剤であ
る。
【0012】上記式(I)において、R1 で表わされる
直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基としては、例えば、メ
チル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−
ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペン
チル、n−ヘキシル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n
−オクチル、n−ノニル、n−デシル等のC1 〜C10
ルキル基を挙げることができる。
【0013】1当量のカチオンとしては、例えば、Na
+ ,K+ などのアルカリ金属カチオン;1/2Ca2+
1/2Mg2+,1/3A13+などの2価もしくは3価の
金属カチオン、特にアルカリ土類金属カチオン、周期律
表の3B族金属カチオン;アンモニウムイオン、テトラ
メチルアンモニウムイオンなどのアンモニウムカチオン
などが挙げられる。なお、R1 としては水素原子または
メチル基が特に好ましい。
【0014】式(I)においてR3 で表わされる直鎖も
しくは分岐鎖のアルキル基としては、エチル、n−プロ
ピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−
ヘプチル、オクチル、n−デシル、1−メチルペンチ
ル、1−メチルヘキシル、1,1−ジメチルペンチル、
2−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、5−メチル
ヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル基等、好ましくは
n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、(R)−も
しくは(S)−もしくは(RS)−2−メチルヘキシル
基等のC1 〜C10のアルキル基が挙げられ、特に2−メ
チルヘキシル基が好ましいものとして挙げられる。シク
ロアルキル基としてはシクロプロピル、シクロブチル、
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シ
クロオクチル等のC3 〜C8 シクロアルキル基が挙げら
れ、なかでもシクロペンチル、シクロヘキシル基が好ま
しい。
【0015】式(I)においてnが0の場合は次式(I
−1)
【0016】
【化5】
【0017】(式中、R1 ,R2 ,R3 は前記定義の通
りである。)で表わされる15位が天然型立体配置と同
様のS配置を有する7−チアプロスタグランジンE1
合物と、次式(I−2)
【0018】
【化6】
【0019】(式中、R1 ,R2 ,R3 は前記定義の通
りである。)で表わされる15位が非天然型立体配置を
有する7−チアプロスタグランジンE 1 化合物のいずれ
か一方またはそれらの任意の割合の混合物を表わす。R
2 が水素原子のときは上記式(I−1)で表わされる天
然型立体配置を有する7−チアプロスタグランジンE1
化合物が特に好ましい。nが1の場合も16位のR配
置、S配置およびそれらの任意割合の混合物を含む。
【0020】なお、本発明の血管肥厚抑制剤及び平滑筋
細胞遊走抑制剤は、上記の二種類の立体異性体のいずれ
か一方のみを含有していてもよく、あるいはそれらの任
意の割合の混合物を含有していてもよい。
【0021】本発明の血管肥厚抑制剤及び平滑筋細胞遊
走抑制剤に含有される7−チアプロスタグランジンE1
化合物の好ましい具体例を挙げれば次のとおりである。 (1)7−チアプロスタグランジンE1 (2)16−メチル−7−チアプロスタグランジンE1 (3)20−メチル−7−チアプロスタグランジンE1 (4)17, 20−ジメチル−7−チアプロスタグランジン
1 (5)(4)の(17R)体 (6)(4)の(17S)体 (7)15−メチル−7−チアプロスタグランジンE1 (8)16, 16−ジメチル−7−チアプロスタグランジン
1 (9)16, 17, 18, 19, 20−ペンタノル−15−シクロペ
ンチル−7−チアプロスタグランジンE1 (10)16, 17, 18, 19, 20−ペンタノル−15−シクロヘ
キシル−7−チアプロスタグランジンE1 (11)15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−7
−チアプロスタグランジンE1 (12)(11)の(16R)体 (13)(11)の(16S)体 (14)(1)〜(13)のメチルエステル類 (15)(1)〜(13)のエチルエステル類 (16)(1)〜(13)のtert−ブチルエステル類 (17)(1)〜(13)のナトリウム塩類 (18)(1)〜(13)のカリウム塩類 (19)(1)〜(13)のマグネシウム塩類 (20)(1)〜(13)のアンモニウム塩類 7−チアプロスタグランジンE1 化合物(1)は公知の
方法により製造され、その製造方法は、例えば、特開昭
57−108065号公報、特開昭58−110562
号公報、特開昭60−185761号公報、あるいは田
中ら、「ケミカル アンド ファーマシュティカル ブ
レティン(Chemical & PharmaceuticalBulletin)」、3
3巻、2359(1985)に詳細に記載されている。
【0022】本発明の血管肥厚抑制剤及び平滑筋細胞遊
走抑制剤は、例えば、経皮的冠状動脈形成術などの各種
血管形成術、動脈バイパス手術、器官(臓器)の移植術
等の後に、主として血管平滑筋細胞の遊走や増殖によっ
て起る血管の肥厚、閉塞抑制剤として、あるいはこれら
の予防、治療剤として有用である。このような肥厚は、
例えば経皮的冠状動脈形成術後には再狭窄の原因になる
ことが知られている。更に血管平滑筋細胞の遊走を阻害
することから、これらの肥厚、閉塞、さらには動脈硬化
の予防、治療剤として有用である。
【0023】上記式(I)で表わされる7−チアプロス
タグランジンE1 化合物は、上記目的のために、経口的
にあるいは直腸内、皮下、筋肉内、静脈内、経皮等の非
経口的に投与され得るが、好適には経口投与または静脈
内投与によるのがよい。
【0024】経口投与のためには、固形製剤あるいは液
体製剤とすることができる。固形製剤としては、例えば
錠剤、丸剤、散剤あるいは顆粒剤がある。このような固
形製剤においては活性物質が薬学的に許容し得る担体、
例えば重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、バレイショ
デンプン、ショ糖、マンニトール、カルボキシメチルセ
ルロースなどと混合される。製剤操作は常法に従って行
なわれるが、上記担体以外の製剤化のための添加剤、例
えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウ
ムのような滑沢剤を含有していてもよい。
【0025】例えば上記のような固形製剤に、例えばセ
ルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースフタレート、ポリビニルアルコールフタ
レート、スチレン無水マレイン酸共重合体あるいはメタ
クリル酸、メタクリル酸メチル共重合体のような腸溶性
物質の有機溶媒あるいは水溶液を噴霧して腸溶性被覆を
施して腸溶性製剤とすることもできる。散剤、顆粒剤な
どの固形製剤は腸溶性カプセルで包むこともできる。
【0026】経口投与のための液体製剤は、例えば乳濁
剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤あるいはエリキシル剤
を含む。これらの製剤は一般的に用いられる薬学的に許
容し得る担体、例えば水あるいは流動パラフィンを含
む。ココナッツ油、分画ココナッツ油、大豆油、トウモ
ロコシ油等の油性基剤を担体として用いることもでき
る。
【0027】薬学的に許容し得る担体には、その他必要
に応じて通常用いられる補助剤、芳香剤、安定化剤、あ
るいは防腐剤を含む。
【0028】また、液体製剤はゼラチンのような吸収さ
れる物質で作られたカプセルに入れて投与してもよい。
【0029】直腸内投与のための固体製剤としては、活
性物質を含み、それ自体公知の方法により製造される坐
剤が含まれる。
【0030】非経口投与の製剤は、無菌の水性あるいは
非水性液剤、懸濁剤または乳濁剤として与えられる。非
水性の溶液または懸濁剤は、例えばプロピルグリコー
ル、ポリエチレングリコールまたはオリーブ油のような
植物油、オレイン酸エチルのような注射し得る有機エス
テルを薬学的に許容し得る担体とする。このような製剤
はまた防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤のよ
うな補助剤を含むことができる。これらの溶液剤、懸濁
剤および乳濁剤は、例えばバクテリア保留フィルターを
通す濾過、殺菌剤の配合あるいは紫外線照射等の処理を
適宜行なうことによって無菌化できる。また、無菌の固
形製剤を製造し、使用直前に無菌水または無菌の注射用
溶媒に溶解して使用することもできる。
【0031】経皮投与の剤型としては、例えば軟膏剤な
どが挙げられる。これらは通常の方法によって製造され
る。
【0032】なお、本発明において7−チアプロスタグ
ランジンE1 化合物(I)は、α,βもしくはγ−サイ
クロデキストリンあるいはメチル化サイクロデキストリ
ン等と包接化合物を形成せしめて用いることもできる。
【0033】本発明の血管肥厚抑制剤を用いる場合、患
者の症状の程度、年令、性別、体重、投与経路等により
異なるが、7−チアプロスタグランジンE1 化合物を、
通常成人1日あたり1μg〜1mg程度投与することがで
きる。かかる投与量は1日に1回ないし数回、例えば2
〜6回に分けて投与することもできる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例により具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0035】[実施例1]バルーンカテーテルによるラット頸動脈内皮傷害後の内
膜肥厚に対する抑制作用 試験化合物:(17R)−17, 20−ジメチル−7−
チアプロスタグランジンE1 メチルエステル 試験方法:クロウズらの方法(Lab.Invest, 49巻20
8頁、1983年)に従って以下の方法で行なった。体
重400〜500gのSD系雄性ラットを用いた。ラッ
トをペントバルビタールナトリウムにて麻酔下に頸部を
切開し、左外頸動脈よりバルーンカテーテル(フォガテ
ィー、2F)を総頸動脈の起始部にまで挿入した。軽く
抵抗が生じる程度に生食にてバルーンを拡張させた後、
その状態のままカテーテルを外頸動脈まで引くことによ
り内膜に傷害を与えた。この操作を3回くりかえした
後、カテーテルを抜き去り外頸動脈を結紮した。14日
後、ペントバルビタール麻酔下に開胸し、左心室よりヘ
パリン含有生理食塩水(20unit/ml)を灌流した後、
左総頸動脈を摘出し中性ホルマリン液にて固定した。固
定した頸動脈をオルセイン染色した後、顕微鏡写真を撮
影し、中膜(Media) 及び内膜肥厚部(Intima)の面積を
画像解析装置(LUZEX2D) で測定した。
【0036】被験薬物はラットの背中に埋めこんだミニ
オスモテックポンプを用いて手術の2日前より皮下投与
を開始し、手術後14日目まで 1.0μg/rat /hrま
たは3.2μg/rat /hrの割合で連続して連日投与し
た。
【0037】薬物の内膜肥厚抑制活性は以下の式により
求めた。
【0038】 内膜肥厚抑制率(%)=(1−T/C)×100 (但し、式中Tは薬物投与群の、Cは対照群(溶媒投与
群)のラットより得られた内膜肥厚部の面積と中膜部の
面積との比〔Intima/Media 〕を示す。) 試験結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】上記表1の試験結果から明らかなように、
試験化合物は血管の内膜の肥厚を抑制する。
【0041】[実施例2]In vitroラット血管平滑筋細胞遊走抑制作用 試験化合物:実施例1と同じ 試験方法:ロスの方法(J.Cell Biol. 50:172-186, 197
1)に準じてラット胸部大動脈中膜組織を摂取し、10%
ウシ胎児血清を添加したダルベッコ モデファイド イ
ーグル メディウム(DMEM)にてCO2 インキュベータ
ー内(95% air−5%CO2 、37℃、湿度 100
%)で培養し、4代継代した細胞を実験に供した。ラッ
ト血管平滑筋細胞(SMC) は 0.008%トリプシン−
0.01% EDTA 液にて遊離し、 0.1%ウシ血清アル
ブミンを含むDMEMに浮遊させて用いた。細胞の遊走はニ
ューロプローブ(Neuro Probe) 社の24−well blind w
ell chamber を用いて行なった。下室に細胞遊走因子
(血小板由来増殖因子、 PDGF 20ng/ml)及び薬剤の
混和液 100μlを入れ、コーニング(Corning) 社のNu
clepore filter(pore size、8μm)で覆った。上室に
は薬剤を含む5×105cells/mlの SMCを浮遊させた培
養液 100μlを入れ、CO2 インキュベーター内に4
時間静置した。インキュベート終了後、フィルターごと
SMCを固定し、その後プロピデューム染色して、下室側
の細胞をレーザー顕微鏡にて1視野0.48mm 2 で4視
野計測した平均を細胞遊走数とした。
【0042】細胞遊走抑制率(%)は以下の式にて求め
た。
【0043】 細胞遊走抑制率(%)= 100−〔T/C×100 〕 (式中、CおよびTはそれぞれ、細胞遊走因子無添加時
の遊走細胞数を減じた細胞遊走因子添加時の細胞遊走数
および細胞遊走因子及び薬剤添加時の細胞遊走数であ
る。) 試験結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】表2の試験結果から明らかなように、試験
化合物は血管平滑筋細胞の遊走を抑制し、その結果とし
て血管内膜の肥厚を抑制すると考えられる。
【0046】[実施例3]In vitro正常ヒト大動脈由来血管平滑筋細胞の遊走抑制
作用 試験化合物:実施例1と同じ 試験方法:被験化合物の細胞遊走阻害活性を調べる目的
で、ヒト血小板由来成長因子(PDGF)によって引き起こ
される細胞遊走の測定を、正常ヒト大動脈由来血管平滑
筋細胞を遊走細胞として用い、MaCarthyらの方法(J.Cel
l.Biol. 9, 772−777(1983))に準じて
以下のように行なった。すなわちトランスウエルチャン
バー(Costar社;登録商標)を使用して阻害活性を測定
した。このチャンバーは、孔径8μmのメンブレンフィ
ルター(PVP−フリーポリカーボネートフィルター、Nucl
eopore社;登録商標)を境に上、下2層に区画されてお
り、フィルターは、その下部表面を5μgのラット テ
イル コラーゲン、タイプ1(Becton Dickinson社) で
表面加工した。チャンバー上層(100μl) には、細胞
を 1.5×106 /ml(DMEM (Flow Laboratories 社
製)+ 0.1% BSA(ナカライテスク社製)で懸濁した
ものを入れ、下層(600μl) には、同液で、ヒトPDGF
(Becton Dickinson社製)を最終濃度10ng/mlになる
ように希釈したものを入れた。このとき、被験化合物を
上、下層共に各種濃度添加した。37℃で5%CO2
に6時間放置し、その後、フィルターを除去し、99.
7%メタノールで固定化し、ヘマトキシリン及びエオジ
ンで染色した。フィルター上部表面に接着した細胞を綿
棒で除去し、下部表面に移動した細胞数を、高出力顕微
鏡下において (×200 ,×400)細胞核を計数して
決定した。通常、フィルター1枚あたり、5ケ所の視野
を計測した。細胞遊走は、5視野の平均細胞数±標準偏
差で示した。有意差検定は、Student's two-tailed t t
estで行なった。試験結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】試験結果から明らかなように試験化合物は
プロスタグランジンE1 に比較して格別な作用を有して
いることが明らかとなった。
【0049】[実施例4]急性毒性試験 試験化合物:(17R)−17, 20−ジメチル−7−
チアプロスタグランジンE1 メチルエステル 試験方法:上記試験化合物の急性毒性試験をSDラット
(6週齢、SPE 、雄性)を用いて行った(P.O.)とこ
ろ、以下の表4に示す結果を得た。
【0050】
【表4】
【0051】この試験結果から、この試験化合物のLD
50はほぼ100mg/kgと判定され、急性毒性の問題がな
いことが明らかになった。
【0052】[実施例5]1錠が次の組成よりなる錠剤
を製造した。 活性成分 200μg 乳 糖 180mg バレイショデンプン 50mg ポリビニルピロリドン 10mg ステアリン酸マグネシウム 5mg 活性成分、乳糖およびバレイショデンプンを混合し、こ
れをポリビニルピロリドンの20%エタノール溶液で均
等に湿潤させ、20mmメッシュのフルイを通し、45℃
にて乾燥させ、かつ再び15mmのメッシュのフルイを通
した。こうして得た顆粒をステアリン酸マグネシウムと
混和し、錠剤に圧縮した。
【0053】活性成分として、代表的に、(17R)−
17, 20−ジメチル−7−チアプロスタグランジンE
1 メチルエステルを用いた。
【0054】[実施例6]1カプセルが次の組成を含有
する硬質ゼラチンカプセルを製造した。 活性成分 100μg 微晶セルロース 195mg 無定形硅酸 5mg 細かく粉末化した形の活性成分、微晶セルロースおよび
未プレスの無定形硅酸を十分に混合し、硬質ゼラチンカ
プセルに詰めた。
【0055】活性成分として、代表的に実施例5と同じ
化合物を用いた。
【0056】[実施例7]実施例5と同じ化合物を、分
画ココナッツ油に溶解した。また下記処方による剤皮成
分に加温溶解し、1カプセル中に活性成分を100μg
含有するように軟カプセル製造機を用いて、常法により
軟カプセル剤を製造した。剤皮処方 ゼラチン 10重量部 グリセリン 5 〃 ソルビン酸 0.08 〃 精製水 14 〃
【0057】
【発明の効果】本発明に係る7−チアプロスタグランジ
ンE1 化合物を活性成分として含む血管肥厚抑制剤及び
平滑筋細胞遊走抑制剤は、前述の如く、人および動物の
各種手術後にしばしば起る血管平滑筋細胞の遊走の抑制
剤として、またそのような遊走や増殖等の原因による血
管の肥厚、閉塞を抑制するための血管肥厚の予防、治療
剤として使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 邦人 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 (式中、R1 は水素原子、直鎖もしくは分岐鎖のアルキ
    ル基または1当量のカチオンを表わし、R2 は水素原子
    またはメチル基を表わし、R3 は直鎖もしくは分岐鎖の
    アルキル基またはシクロアルキル基を表わし、nは0ま
    たは1を表わし、*は不斉炭素原子を示す。)で表わさ
    れる少なくとも一種の7−チアプロスタグランジンE1
    化合物を活性成分として含有する血管肥厚抑制剤。
  2. 【請求項2】 上記R1 が水素原子またはメチル基であ
    る請求項1記載の血管肥厚抑制剤。
  3. 【請求項3】 上記R2 が水素原子である請求項1また
    は2に記載の血管肥厚抑制剤。
  4. 【請求項4】 上記R3 が直鎖もしくは分岐鎖の炭素原
    子数1〜10のアルキル基である請求項1〜3のいずれ
    かに記載の血管肥厚抑制剤。
  5. 【請求項5】 上記R3 が2−メチルヘキシル基である
    請求項1〜3のいずれかに記載の血管肥厚抑制剤。
  6. 【請求項6】 上記nが0である請求項1〜5のいずれ
    かに記載の血管肥厚抑制剤。
  7. 【請求項7】 上記*で表わされる不斉炭素原子の絶対
    配置がS配置である請求項1〜6のいずれかに記載の血
    管肥厚抑制剤。
  8. 【請求項8】 (17R)−17,20−ジメチル−7
    −チアプロスタグランジンE1 メチルエステルを活性成
    分として含有する血管肥厚抑制剤。
  9. 【請求項9】 下記式(I) 【化2】 (式中、R1 は水素原子、直鎖もしくは分岐鎖のアルキ
    ル基または1当量のカチオンを表し、R2 は水素原子ま
    たはメチル基を表わし、R3 は直鎖もしくは分岐鎖のア
    ルキル基またはシクロアルキル基を表わし、nは0また
    は1を表わし、*は不斉炭素原子を示す。)で表わされ
    る少なくとも一種の7−チアプロスタグランジンE1
    合物を活性成分として含有する平滑筋細胞遊走抑制剤。
  10. 【請求項10】 上記R1 が水素原子またはメチル基で
    ある請求項9記載の平滑筋細胞遊走抑制剤。
  11. 【請求項11】 上記R2 が水素原子である請求項9ま
    たは10に記載の平滑筋細胞遊走抑制剤。
  12. 【請求項12】 上記R3 が直鎖もしくは分岐鎖の炭素
    原子数1〜10のアルキル基である請求項9〜11のい
    ずれかに記載の平滑筋細胞遊走抑制剤。
  13. 【請求項13】 上記R3 が2−メチルヘキシル基であ
    る請求項9〜11のいずれかに記載の平滑筋細胞遊走抑
    制剤。
  14. 【請求項14】 上記nが0である請求項9〜13のい
    ずれかに記載の平滑筋細胞遊走抑制剤。
  15. 【請求項15】 上記*で表わされる不斉炭素原子の絶
    対配置がS配置である請求項9〜14のいずれかに記載
    の平滑筋細胞遊走抑制剤。
  16. 【請求項16】 (17R)−17,20−ジメチル−
    7−チアプロスタグランジンE1 メチルエステルを活性
    成分として含有する平滑筋細胞遊走抑制剤。
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