JPH07161142A - 記録方法、記録媒体、及び再生方法 - Google Patents

記録方法、記録媒体、及び再生方法

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JPH07161142A
JPH07161142A JP30689793A JP30689793A JPH07161142A JP H07161142 A JPH07161142 A JP H07161142A JP 30689793 A JP30689793 A JP 30689793A JP 30689793 A JP30689793 A JP 30689793A JP H07161142 A JPH07161142 A JP H07161142A
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Katsuaki Tsurushima
克明 鶴島
Kenzo Akagiri
健三 赤桐
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    • GPHYSICS
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    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 映画フィルム1の記録領域をパーフォレーシ
ョン3の間の第1の領域4と映像記録領域2を除く長手
方向の第2の領域5とに分け、第1の領域4には複数チ
ャネルのうちの基本情報を記録し、第2の領域5には他
の付加情報を記録する。ここで、基本情報としては、レ
フト,センタ,ライト,サラウンドレフト,サラウンド
ライト,サブウーファの各チャネルのオーディオ信号
を、また、付加情報としては、レフトセンタチャネル及
びライトセンタチャネルと、それぞれ遅延したセンタチ
ャネル,混合レフトチャネル及び混合ライトチャネルの
オーディオ信号を記録し、いずれか一方の領域に記録さ
れた情報が無くなったときには、後の再生の際に他方の
領域の情報を用いて再生する。 【効果】 映画フィルムを切断して編集しても各チャネ
ルオーディオ信号の再生が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、映画フィルム
映写システム、ビデオテープレコーダ、ビデオディスク
プレーヤ等のステレオや、いわゆるマルチサラウンド音
響システムにおいて用いられるマルチチャネルのディジ
タルオーディオ信号が圧縮符号化された各チャネルの信
号を記録する記録方法と、この記録方法により各チャネ
ルの情報が記録される記録媒体と、この記録媒体から各
チャネルの情報を再生する再生方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】オーディオ或いは音声等の信号の高能率
符号化の手法及び装置には種々あるが、例えば、時間領
域のオーディオ信号等を単位時間毎にブロック化してこ
のブロック毎の時間軸の信号を周波数軸上の信号に変換
(直交変換)して複数の周波数帯域に分割し、各帯域毎
に符号化するブロック化周波数帯域分割方式、いわゆる
変換符号化(トランスフォームコーティング)や、時間
領域のオーディオ信号等を単位時間毎にブロック化しな
いで、複数の周波数帯域に分割して符号化する非ブロッ
ク化周波数帯域分割方式である帯域分割符号化(サブバ
ンドコーディング:SBC)等を挙げることができる。
また、上述の帯域分割符号化と変換符号化とを組み合わ
せた高能率符号化の手法及び装置も考えられており、こ
の場合には、例えば、上記帯域分割符号化で帯域分割を
行った後、該各帯域毎の信号を周波数領域の信号に直交
変換し、この直交変換された各帯域毎に符号化が施され
る。
【0003】ここで、上述した帯域分割符号化の帯域分
割用フィルタとしては、例えばQMF等のフィルタがあ
り、これは1976 R.E.Crochiere Digital coding of sp
eechin subbands Bell Syst.Tech. J. Vol.55, No.8 1
976に、述べられている。また、ICASSP 83, BOSTON Po
lyphase Quadrature filters-A new subband codingtec
hnique Joseph H. Rothweiler には等バンド幅のフィル
タ分割手法及び装置が述べられている。
【0004】また、上述した直交変換としては、例え
ば、入力オーディオ信号を所定単位時間(フレーム)で
ブロック化し、該ブロック毎に高速フーリエ変換(FF
T)、コサイン変換(DCT)、モディファイドDCT
変換(MDCT)などを行うことで時間軸を周波数軸に
変換するような直交変換がある。このMDCTについて
は、ICASSP 1987 Subband/Transform Coding Using Fil
ter Bank Designs Basedon Time Domain Aliasing Canc
ellation J.P.Princen A.B.Bradley Univ. ofSurrey R
oyal Melbourne Inst.of Tech.に述べられている。
【0005】更に、周波数帯域分割された各周波数成分
を量子化する場合の周波数分割幅としては、例えば人間
の聴覚特性を考慮した帯域分割がある。すなわち、一般
に臨界帯域(クリティカルバンド)と呼ばれている高域
程帯域幅が広くなるような帯域幅で、オーディオ信号を
複数(例えば25バント)の帯域に分割することがあ
る。また、この時の各帯域毎のデータを符号化する際に
は、各帯域毎に所定のビット配分或いは、各帯域毎に適
応的なビット配分による符号化が行われる。例えば、上
記MDCT処理されて得られた係数データを上記ビット
配分によって符号化する際には、上記各ブロック毎のM
DCT処理により得られる各帯域毎のMDCT係数デー
タに対して、適応的な配分ビット数で符号化が行われる
ことになる。
【0006】上記ビット配分手法及びそのための装置と
しては、次の2手法及び装置が知られている。IEEE Tra
nsactions of Accoustics,Speech,and Signal Processi
ng,vol.ASSP-25,No.4,August 1977 では、各帯域毎の信
号の大きさをもとに、ビット配分を行っている。また、
ICASSP 1980 The critical band coder--digital encod
ing ofthe perceptual requirements of the auditory
system M.A. Kransner MIT では、聴覚マスキングを利
用することで、各帯域毎に必要な信号対雑音比を得て固
定的なビット配分を行う手法及び装置が述べられてい
る。
【0007】ここで、例えば上述したようなサブバンド
コーディング等を用いたオーディオ信号の高能率圧縮符
号化方式においては、人間の聴覚上の特性を利用し、オ
ーディオデータを約1/5に圧縮するような方式が既に
実用化されている。なお、このオーディオデータを約1
/5に圧縮する高能率符号化方式としては、例えばいわ
ゆるATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Codin
g) と呼ばれる方式が存在する。
【0008】さらに、通常のオーディオ機器の場合のみ
ならず、例えば映画フィルム映写システム、高品位テレ
ビジョン、ビデオテープレコーダ、ビデオディスクプレ
ーヤ等のステレオないしはマルチサラウンド音響システ
ムにおいては、例えば4〜8チャネル等の複数チャネル
のオーディオ或いは音声信号を扱うようになりつつあ
り、この場合においても、ビットレートを削減する高能
率符号化を行うことが望まれている。
【0009】特に、業務用においては、ディジタルオー
ディオのマルチチャネル化が進んでおり、例えば8チャ
ネルのディジタルオーディオ信号を扱う機器が浸透して
きている。上記8チャネルのディジタルオーディオ信号
を扱う機器としては、例えば映画フィルム映写システム
等がある。また、高品位テレビジョン、ビデオテープレ
コーダ、ビデオディスクプレーヤ等のステレオないしは
マルチサラウンド音響システムにおいても、例えば4〜
8チャネル等の複数チャネルのオーディオ或いは音声信
号を扱うようになりつつある。
【0010】ここで、上記8チャネルのディジタルオー
ディオ信号を扱う映画フィルム映写システムにおいて
は、上記映画フィルムに対して、例えばレフトチャネ
ル,レフトセンタチャネル,センタチャネル,ライトセ
ンタチャネル,ライトチャネル,サラウンドレフトチャ
ネル,サラウンドライトチャネル,サブウーファチャネ
ルの8チャネルのディジタルオーディオ信号を記録する
ことが行われつつある。なお、上記映画フィルムに記録
する上記8チャネルの各チャネルは、例えば当該映画フ
ィルムの画像記録領域から再生された画像が映写機によ
って投影されるスクリーン側に配置されるレフトスピー
カ、レフトセンタースピーカ、センタスピーカ、ライト
センタスピーカ、ライトスピーカ、サブウーファスピー
カ、観客席を取り囲むように左側に配置されるサラウン
ドレフトスピーカ及び右側に配置されるサラウンドライ
トスピーカと対応するものである。
【0011】ただし、映画フィルムに上記8チャネルの
ディジタルオーディオ信号を記録する場合において、映
画フィルムには、例えばいわゆるCD(コンパクトディ
スク)などで用いているようなサンプリング周波数4
4.1kHzで16ビットの直線量子化されたオーディ
オデータを上記8チャネル分も記録できる領域を確保す
ることは困難であるため、上記8チャネルのオーディオ
データを圧縮して記録するようになされる。例えば、当
該8チャネルのディジタルオーディオデータを圧縮する
圧縮方法としては、上述したような人間の聴覚の特性を
考慮して最適なビット割り当てを行うことによって、例
えばいわゆるCD(コンパクトディスク)などに記録さ
れるようなサンプリング周波数44.1kHzで16ビ
ットのディジタルオーディオデータを約1/5に圧縮し
ながらも、CD並の音質を達成する前記高能率符号化方
式(いわゆるATRAC方式など)を適用するようにし
ている。
【0012】また、フィルムという媒体は、表面に傷な
どが発生しやすいため、ディジタルデータをオリジナル
のまま記録していたのでは、データ欠けが激しく実用に
ならない。このため、エラー訂正符号の能力が非常に重
要になり、上記データ圧縮は、その訂正符号も含めて上
記フィルム上の記録領域に記録可能な程度まで行う必要
がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな圧縮符号化やその他の圧縮符号化技術により圧縮さ
れた複数チャネルのオーディオ信号を記録する映画フィ
ルム上の記録領域としては、映像が記録される映像記録
領域を除く長手方向の領域や、例えばパーフォレーショ
ン間の領域などを例に挙げることができる。
【0014】ところが、通常、映画フィルムを編集する
際には、映像が記録された領域(コマ)を除く部分を切
断して別の映像が記録された領域(コマ)と繋げること
が行われる。この切断部分は例えば上記オーディオ信号
が記録されたパーフォレーション間であることが多く、
また、上記オーディオ信号が記録される長手方向の領域
については常に切断されることになる。このように、長
手方向のオーディオ信号の領域やパーフォレーション間
の記録領域が切断されると、当該切断部分に記録されて
いたオーディオ信号を再生することができなくなる。
【0015】そこで、本発明は、上述したようなことに
鑑み、映画フィルムの編集時の切断等によって、チャネ
ルオーディオ信号の再生が不可能となることを防止でき
る記録方法と、この記録方法によりチャネルオーディオ
信号が記録される記録媒体と、この記録媒体からチャネ
ルオーディオ信号を再生する際の再生方法を提供するこ
とを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するために提案されたものであり、本発明の記録方
法は、複数チャネルの情報を記録媒体に記録する記録方
法であって、上記記録媒体の記録領域を第1の領域と第
2の領域とに分け、上記記録媒体の上記第1の領域には
上記複数チャネルのうちの基本情報を記録し、上記第2
の領域には他の付加情報を記録することを特徴とするも
のである。
【0017】ここで、上記複数チャネルのうちの基本情
報はレフトチャネルとセンタチャネルとライトチャネル
のオーディオ情報であり、上記付加情報はレフトセンタ
チャネルとライトセンタチャネルのオーディオ情報であ
る。このときの付加情報としては、センタチャネルのオ
ーディオ情報を遅延させた遅延センタチャネルの情報
と、レフトチャネルとレフトセンタチャネルとサラウン
ドレフトチャネルのオーディオ情報を混合して遅延した
遅延混合レフトチャネルの情報と、ライトチャネルとラ
イトセンタチャネルとサラウンドライトチャネルのオー
ディオ情報を混合して遅延した遅延混合ライトチャネル
の情報をも含めることができる。また、本発明の記録方
法において使用する記録媒体は、フィルムであり、上記
第1の領域は当該フィルムのパーフォレーション間の領
域とし、上記第2の領域は当該フィルムの長手領域とす
る。
【0018】次に、本発明の記録媒体は、複数チャネル
の情報を記録してなる記録媒体であって、記録領域とし
て第1の領域と第2の領域を有し、上記第1の領域には
上記複数チャネルのうちの基本情報を記録し、上記第2
の領域には他の付加情報を記録してなることを特徴とす
るものである。
【0019】また、本発明の再生方法は、複数チャネル
の情報が記録された記録媒体から各チャネルの情報を再
生する再生方法であって、上記記録媒体の第1の領域に
記録された情報を複数チャネルのうちの基本情報として
再生し、上記記録媒体の第2の領域に記録された情報を
他の付加情報として再生することを特徴とするものであ
る。
【0020】
【作用】本発明によれば、記録媒体の記録領域を第1の
領域と第2の領域とに分け、記録媒体の第1の領域には
複数チャネルのうちの基本情報を記録し、第2の領域に
は他の付加情報を記録するようにしており、例えば、フ
ィルムのパーフォレーション間の領域を第1の領域と
し、長手領域を第2の領域とすることで、いずれか一方
の領域に記録された情報が無くなったとしても、後の再
生の際に他方の情報を用いて再現可能となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0022】図1には、本発明の記録方法を具体的に実
現する記録装置の要部の構成を示す。すなわち、図1に
は、映画フィルムのパーフォレーション間を第1の領域
とすると共に映像記録領域を除く長手領域を第2の領域
とし、上記第1の領域に記録する複数チャネルの基本情
報と第2の領域に記録する他の付加情報とを形成するた
めの本発明実施例の記録装置の要部構成を示す。
【0023】ここで、上記複数のチャネルのうち、上記
第1の領域に記録される基本情報のチャネルとしてはレ
フトチャネルとセンタチャネルとライトチャネルを例に
挙げることができ、第2の領域に記録される付加情報と
してはレフトセンタチャネルとライトセンタチャネルを
挙げることができる。また、上記付加情報のチャネルと
しては、センタチャネルを遅延させた遅延センタチャネ
ルとレフトチャネルとレフトセンタチャネルとサラウン
ドレフトチャネルを混合して遅延した遅延混合レフトチ
ャネルと、ライトチャネルとライトセンタチャネルとサ
ラウンドライトチャネルを混合して遅延した遅延混合ラ
イトチャネルの情報をも含めることができる。
【0024】なお、本実施例では、上記第1の領域には
基本情報としてレフトチャネルとセンタチャネルとライ
トチャネルとサラウンドレフトチャネルとサラウンドラ
イトチャネルとサブウーファチャネルのオーディオデー
タを記録し、第2の領域には上記レフトセンタチャネル
とライトセンタチャネルと遅延センタチャネルと遅延混
合レフトチャネルと遅延混合ライトチャネルのオーディ
オデータを記録する例を挙げる。勿論、これに限定され
るものでないことは言うまでもない。
【0025】また、本実施例では、上記記録媒体とし
て、例えば映画フィルムへの記録や、光ディスク,光磁
気ディスク,相変化型光ディスク,磁気ディスク等のデ
ィスク状記録媒体、磁気テープ等のテープ状記録媒体へ
の記録、半導体メモリ,ICカードなどへの記録を挙げ
ることができる。
【0026】ここで、上記記録媒体として映画フィルム
を用い、この映画フィルムへの記録を行う場合の各チャ
ネルは、例えば図2に示すようにスピーカが配置される
ディジタルサラウンドシステムに対応することになる。
各スピーカに対応するチャネルは、センタ(C)チャネ
ル、サブウーファ(SW)チャネル、レフト(L)チャ
ネル、レフトセンタ(CL)チャネル、ライト(R)チ
ャネル、ライトセンタ(CR)チャネル、レフトサラウ
ンド(LB)チャネル、ライトサラウンド(RB)チャ
ネルの8つである。
【0027】すなわちこの図2において、上記スピーカ
配置に対応する各チャネルは、例えば当該映画フィルム
の画像記録領域から再生された画像が映写機(プロジェ
クタ100)によって投影されるスクリーン101側に
配置されたレフトスピーカ106,レフトセンタースピ
ーカ104,センタースピーカ102,ライトセンター
スピーカ105,ライトスピーカ107,サラウンドレ
フトスピーカ108及び200,サラウンドライトスピ
ーカ109及び201,サブウーファスピーカ103と
対応するものである。
【0028】上記センタスピーカ102は、スクリーン
101側の中央に配置され、センタチャネルのオーディ
オデータによる再生音を出力するもので例えば俳優のせ
りふ等の最も重要な再生音を出力する。上記サブウーフ
ァスピーカ103は、サブウーファチャネルのオーディ
オデータによる再生音を出力するもので、例えば爆発音
などの低域の音というよりは振動として感じられる音を
効果的に出力するものであり、爆発シーンなどに効果的
に使用されることが多いものである。上記レフトスピー
カ106及びライトスピーカ107は、上記スクリーン
101の左右に配置され、レフトチャネルのオーディオ
データによる再生音とライトチャネルのオーディオデー
タによる再生音を出力するもので、ステレオ音響効果を
発揮する。上記レフトセンタスピーカ104とライトセ
ンタスピーカ105は、上記センタスピーカ102と上
記レフトスピーカ106及びライトスピーカ107との
間に配置され、レフトセンタチャネルのオーディオデー
タによる再生音とライトセンタチャネルのオーディオデ
ータによる再生音を出力するもので、それぞれ上記レフ
トスピーカ106及びライトスピーカ107の補助的な
役割を果たす。特にスクリーン101が大きく収容人数
の多い映画館等では、座席の位置によって音像の定位が
不安定になりやすいが、上記レフトセンタスピーカ10
4とライトセンタスピーカ107を付加することによ
り、音像のよりリアルな定位を作り出すのに効果を発揮
する。さらに、上記サラウンドレフトスピーカ108と
サラウンドライトスピーカ109は、観客席を取り囲む
ように配置され、サラウンドレフトチャネルのオーディ
オデータによる再生音とサラウンドライトチャネルのオ
ーディオデータによる再生音を出力するもので、残響音
や拍手、歓声に包まれた印象を与える効果がある。これ
により、より立体的な音像を作り出すことができる。
【0029】本実施例の記録装置においては、上記スピ
ーカ配置に対応するチャネルの信号の形成と、上記記録
媒体の第1の領域に記録する基本情報としてのレフトチ
ャネルとセンタチャネルとライトチャネルとサラウンド
レフトチャネルとサラウンドライトチャネルとサブウー
ファチャネルの形成と、上記第2の領域に記録する付加
情報としての上記レフトセンタチャネルとライトセンタ
チャネルと遅延センタチャネルと遅延混合レフトチャネ
ルと遅延混合ライトチャネルの形成を行い、例えば、図
3に示すように、映画フィルム1のパーフォレーション
3の間の第1の領域4に上記基本情報を記録し、映像記
録領域2を除く長手領域の第2の領域5に上記第1の領
域4に記録する複数チャネルの基本情報に対応する上記
付加情報を記録するために、以下のような構成を有して
いる。
【0030】この図1において、入力端子201〜20
6には、基本情報としてのレフト(L)チャネル,セン
タ(C)チャネル,ライト(R)チャネル,サラウンド
レフト(LB)チャネル,サラウンドライト(RB)チ
ャネルのディジタルオーディオ信号がそれぞれ対応して
供給される。
【0031】この各チャネルのディジタルオーディオ信
号は、それぞれ対応する圧縮符号化回路231〜236
に送られて、それぞれ圧縮符号化された後、端子251
〜257から後段の記録媒体(映画フィルム)への記録
を行う構成に送られる。なお、この圧縮符号化回路23
1〜236の詳細については後述する。
【0032】また、上記レフトチャネルとセンタチャネ
ルのディジタルオーディオ信号は、LC合成回路238
に送られる。このLC合成回路238では、上記レフト
チャネルとセンタチャネルのディジタルオーディオ信号
から、レフトセンタ(LC)チャネルのディジタルオー
ディオ信号を合成する。
【0033】同様に、上記センタチャネルとライトチャ
ネルのディジタルオーディオ信号は、RC合成回路23
9に送られる。このRC合成回路239では、上記セン
タチャネルとライトチャネルのディジタルオーディオ信
号から、ライトセンタ(RC)チャネルのディジタルオ
ーディオ信号を合成する。
【0034】一方、上記LC合成回路238で合成され
たレフトセンタチャネルのディジタルオーディオ信号
と、上記入力端子201からのレフトチャネルのディジ
タルオーディオ信号と、上記入力端子204からのサラ
ウンドレフトチャネルのディジタルオーディオ信号は、
mixL合成回路237に送られる。当該mixL合成
回路237では、上記レフトチャネルとレフトセンタチ
ャネルとサラウンドレフトチャネルのディジタルオーデ
ィオ信号を混合し、混合レフトチャネルのディジタルオ
ーディオ信号を出力する。
【0035】また、上記RC合成回路239で合成され
たライトセンタチャネルのディジタルオーディオ信号
と、上記入力端子203からのライトチャネルのディジ
タルオーディオ信号と、上記入力端子205からのサラ
ウンドライトチャネルのディジタルオーディオ信号は、
mixR合成回路240に送られる。当該mixR合成
回路240では、上記ライトチャネルとライトセンタチ
ャネルとサラウンドライトチャネルのディジタルオーデ
ィオ信号を混合し、混合ライトチャネルのディジタルオ
ーディオ信号を出力する。
【0036】上記LC合成回路238とmixL合成回
路237とRC合成回路239とmixR合成回路24
0からの各ディジタルオーディオ信号と、センタチャネ
ルのディジタルオーディオ信号とは、それぞれ対応する
圧縮符号化回路241〜245に送られてそれぞれ圧縮
符号化される。なお、これら圧縮符号化回路241〜2
45の詳細については後述する。
【0037】ここで、上記混合レフトチャネルに対応す
る圧縮符号化回路241の出力と、上記センタチャネル
に対応する圧縮符号化回路243の出力と、上記混合ラ
イトチャネルに対応する圧縮符号化回路245の出力
は、それぞれ対応するディレイ回路246〜248によ
って所定時間遅延されて、端子258,260,262
から、後段の記録媒体への記録を行う構成に送られる。
なお、この所定時間の遅延は、ある基本情報が記録され
ている映画フィルム1上の上記第1の領域4の位置と、
当該基本情報に対応する付加情報が記録される上記第2
の領域5上の位置とを、充分に離す(長手方向に離す)
ことができるだけの距離に対応している。
【0038】また、上記圧縮符号化回路242と244
からの出力も、対応する端子259と261から後段の
記録媒体への記録を行う構成に送られる。
【0039】なお、図1の図示は省略しているが、上記
圧縮符号化回路231〜236から出力される各チャネ
ルのうちの少なくとも2以上のチャネル(全チャネルも
含む)の圧縮符号化されたオーディオデータから、それ
ぞれハイパスフィルタによって高域成分のみを取り出し
た後、これら各高域成分を加算し、この高域成分の加算
データを、ある1つのチャネルの上記圧縮符号化された
オーディオデータからローパスフィルタによって取り出
した低域成分に対して加算する処理(チャネル間クロス
トーク処理)を行うことも可能である。なお、このロー
パスフィルタによって低域成分を取り出すチャネルは、
同時に上記高域成分も取り出されるチャネルである。
【0040】ここで、上記各チャネルの高域成分を加算
して、ある1つのチャネルの低域成分に加算することを
行うのは、以下の理由による。
【0041】すなわち、人間の耳は高域の成分に対する
定位感が少なく、このため高域成分については例えば複
数個のスピーカのうちのいずれか1つのスピーカからで
ていても人間にはどのスピーカから出てきているのか聞
き取り難いという性質がある。このため、複数チャネル
のオーディオ信号の各高域成分を、そのうちの例えば1
チャネルに対応するスピーカのみに送るようにしても、
人間には各チャネルのオーディオ信号の高域成分が当該
1つのスピーカのみから出力されているとは感じられな
い。したがって、上述のように、上記各チャネルの高域
成分の音声を加算して、この加算データをある1つのチ
ャネルの低域成分に加算することで、各チャネルの高域
成分を1つのチャネル分に圧縮できることになる。
【0042】上述のような図1の記録装置によって形成
された、圧縮符号化された各チャネルのディジタルオー
ディオ信号が、上記図3の映画フィルム1に記録される
ようになる。すなわち、上記レフトチャネルとセンタチ
ャネルとライトチャネルとサラウンドレフトチャネルと
サラウンドライトチャネルとサブウーファチャネルの上
記圧縮符号化回路231〜236によって圧縮符号化さ
れたディジタルオーディオ信号は、上記図3のパーフォ
レーション3の間の第1の領域4に記録され、レフトセ
ンタチャネルとライトセンタチャネルと遅延された混合
レフトチャネルと遅延されたセンタチャネルと遅延され
た混合ライトチャネルの各圧縮符号化されたディジタル
オーディオ信号は、上記図3の長手領域の第2の領域5
に記録される。
【0043】これにより、例えば、本実施例の映画フィ
ルム1を編集する際に、当該フィルム1を切断したとし
ても、上記パーフォレーション3の間の第1の領域4又
は長手領域の第2の領域5のいずれかに記録されている
情報を用いて、各チャネルのディジタルオーディオ信号
を復元することが可能となる。特に、基本情報が記録さ
れている第1の領域4が切断された場合には、第2の領
域に記録されている遅延されたセンタチャネルと遅延さ
れた混合レフトチャネルと遅延された混合ライトチャネ
ルのデータを用いて、センタチャネルとレフトチャネル
とサラウンドレフトチャネルとライトチャネルとサラウ
ンドライトチャネルの各データを再現することができ
る。
【0044】すなわち、上記基本情報が記録されている
第1の領域4が切断された場合において、第2の領域に
記録されている遅延されたセンタチャネルと遅延された
混合レフトチャネルと遅延された混合ライトチャネルの
データを用いて、センタチャネルとレフトチャネルとサ
ラウンドレフトチャネルとライトチャネルとサラウンド
ライトチャネルの各データを再現するための再生装置側
の構成としては、例えば図4に示すような構成を例に挙
げることができる。
【0045】この図4において、図3の映画フィルム1
の長手領域の第2の領域5から再生された上記圧縮符号
化された遅延混合レフトチャネルと遅延センタチャネル
と遅延混合ライトチャネルの各データは、それぞれ対応
する端子341と342と343に送られる。
【0046】上記端子341,347,343からの各
符号化されて遅延されたデータは、それぞれ前記図1の
圧縮符号化回路241,243,245に対応する伸張
復号化回路345,346,347によって伸張復号化
される。上記復号化回路345の出力は分離回路347
に、上記復号化回路346の出力は加算器352に、上
記復号化回路347の出力は分離回路348にそれぞれ
送られる。
【0047】上記分離回路347では、混合レフトチャ
ネルからレフトチャネルとレフトセンタチャネルとサラ
ウンドレフトチャネルを分離するものであり、上記分離
回路348は混合ライトチャネルからライトチャネルと
ライトセンタチャネルとサラウンドライトチャネルを分
離するものである。
【0048】上記分離回路347によって分離されたサ
ラウンドレフトチャネルは出力端子354から復元され
たサラウンドレフトチャネルとして取り出され、レフト
チャネルは加算器351に、レフトセンタチャネルはL
C分離回路349に送られる。また、上記分離回路34
8によって分離されたサラウンドライトチャネルは出力
端子358から復元されたサラウンドライトチャネルと
して取り出され、ライトチャネルは加算器353に、ラ
イトセンタチャネルはRC分離回路350に送られる。
【0049】上記LC分離回路349では、供給された
レフトセンタチャネルからレフトチャネルとセンタチャ
ネルを分離し、レフトチャネルについては上記加算器3
51に送り、センタチャネルについては上記加算器35
2に送る。また、RC分離回路350では、供給された
ライトセンタチャネルからライトチャネルとセンタチャ
ネルを分離し、ライトチャネルについては加算器353
に送り、センタチャネルについては加算器352に送
る。
【0050】これにより、上記加算器351では供給さ
れたデータをそれぞれ1/2演算して加算し、この加算
器351からの出力が出力端子355から復元されたレ
フトチャネルのデータとして取り出される。また、上記
加算器352では供給されたデータをそれぞれ1/3演
算して加算し、この加算器352からの出力が出力端子
356から復元されたセンタチャネルのデータとして取
り出される。上記加算器353でも供給されたデータを
それぞれ1/2演算して加算し、この加算器353から
の出力が出力端子357から復元されたライトチャネル
のデータとして取り出されることになる。
【0051】このように、図4の構成によれば、上記基
本情報を記録している第1の領域4が切断された場合に
おいても、第2の領域に記録されている遅延されたセン
タチャネルと遅延された混合レフトチャネルと遅延され
た混合ライトチャネルのデータを用いて、センタチャネ
ルとレフトチャネルとサラウンドレフトチャネルとライ
トチャネルとサラウンドライトチャネルの各データを再
現できることになる。
【0052】一方、編集等によって切断された第2の領
域5に記録されていた付加情報のうち、第1の領域4に
は記録されていないレフトセンタチャネルとライトセン
タチャネルは、第1の領域4からの情報を用いて再現す
る。例えば、図5に示すような構成によって再現でき
る。
【0053】この図5において、端子361,362,
363には、第1の領域4に記録されていた圧縮符号化
されたレフトチャネルとセンタチャネルとライトチャネ
ルのデータが供給される。
【0054】これら各チャネルのデータは、図1の圧縮
符号化回路231,232,233に対応する伸張復号
化回路364,365,366によって伸張復号化され
る。上記伸張復号化回路364と365の出力はLC合
成回路367に送られて合成される。また、上記伸張復
号化回路365と366の出力はRC合成回路368に
送られて合成される。したがって、LC合成回路367
の出力が再現されたレフトセンタチャネルのデータとな
って出力端子369から取り出されるようになり、RC
合成回路368の出力が再現されたライトセンタチャネ
ルのデータとなって出力端子370から取り出されるよ
うになる。
【0055】なお、図示は省略しているが、当該再生装
置には、他のチャネルについても伸張復号化回路が設け
られ、各伸張復号化回路によって伸張復号化を行うこと
で、当該他のチャネルのデータも再生できる。
【0056】また、図5の構成では、レフトチャネルと
センタチャネルとライトチャネルのデータも、それぞれ
対応する出力端子371,372,374によって取り
出すようにすることも可能である。
【0057】次に、図6を用いて、本実施例の再生装置
の他の具体例について説明する。この図6の他の具体例
の再生装置では、映画フィルム1からの基本情報とし
て、圧縮符号化されたレフトチャネル,センタチャネ
ル,ライトチャネル,サラウンドレフトチャネル,サラ
ウンドライトチャネル,サブウーファチャネルの各デー
タが、それぞれ対応する入力端子361,362,36
3,364,375,376を介して供給される。
【0058】また、この図6の例では、映画フィルム1
からの付加情報として、圧縮符号化されたレフトセンタ
チャネル,センタチャネル,ライトセンタチャネルの各
データが、それぞれ対応する入力端子395,396,
397を介して供給される。
【0059】上記基本情報が供給される各入力端子から
のデータは、それぞれ対応する伸張復号化回路364,
365,366,378,379,380によって伸張
復号化される。ここで、当該各伸張復号化回路からの各
チャネルの伸張復号化されたデータは、それぞれ対応す
るアンプ383〜388を介して、スピーカ389〜3
94に送られる。
【0060】一方、上記付加情報が供給される各入力端
子からのデータは、それぞれ対応する伸張復号化回路3
98〜400によって伸張復号化された後、切換スイッ
チ401〜403の一方の被切換入力端子に送られる。
【0061】また、上記レフトセンタチャネルに対応す
る切換スイッチ401の他方の被切換入力端子には、上
記基本情報のうちの伸張復号化されたレフトチャネルと
センタチャネルのデータが加算器381によって加算さ
れたレフトセンタチャネルのデータが供給される。ま
た、センタチャネルに対応する切換スイッチ402の他
方の被切換入力端子には、上記基本情報のうちの伸張復
号化されたセンタチャネルのデータが供給される。さら
に、上記ライトセンタチャネルに対応する切換スイッチ
403の他方の被切換入力端子には、上記基本情報のう
ちの伸張復号化されたライトチャネルとセンタチャネル
のデータが加算器382によって加算されたライトセン
タチャネルのデータが供給される。
【0062】ここで、上記付加情報が映画フィルム1か
ら得られなかった場合には、上記切換スイッチ401〜
403の被切換入力端子を上記他方側に切り換えること
で、上記基本情報に基づくレフトセンタチャネルとセン
タチャネルとライトセンタチャネルのデータを得ること
ができるようになる。上記各切換スピーカ401〜34
03の各出力データは、それぞれ対応するアンプ405
〜407を介してスピーカ413〜416に送られる。
【0063】なお、この付加情報側の構成において、ア
ンプ404には上記基本情報側の構成である伸張復号化
回路364からの伸張復号化されたレフトチャネルのデ
ータが供給され、このレフトチャネルのデータがスピー
カ412に送られる。また、アンプ408には上記基本
情報側の伸張復号化回路366からの伸張復号化された
ライトチャネルのデータが、アンプ409には上記基本
情報側の伸張復号化回路378からの伸張復号化された
サラウンドレフトチャネルのデータが、アンプ410に
は上記基本情報側の伸張復号化回路379からの伸張復
号化されたサラウンドライトチャネルのデータが、アン
プ411には上記基本情報側の伸張復号化回路380か
らの伸張復号化されたサブウーファチャネルのデータが
供給され、これら各アンプ408〜411を介してそれ
ぞれ対応するスピーカ416〜419に送られる。
【0064】次に、上述した基本情報のチャネルのデー
タを圧縮符号化する圧縮符号化回路231〜236と、
上記付加情報のチャネルのデータを圧縮符号化する圧縮
符号化回路241〜245との具体的構成について以下
に説明する。
【0065】上記基本情報のチャネルのデータを圧縮符
号化する圧縮符号化回路231〜236においては、入
力ディジタルオーディオ信号を複数サンプル毎に直交変
換した係数データとそれに関連するサブ情報(語長情報
やスケールファクタの情報)を得、これらをチャネル毎
のエネルギに応じたチャネル間ビット配分情報によって
適応的に圧縮符号化する方式を用いる。
【0066】また、上記付加情報のチャネルのデータを
圧縮符号化する圧縮符号化回路241〜245において
は、前述したようなサブバンドコーディング等を用いた
オーディオ信号の高能率圧縮符号化方式であって人間の
聴覚上の特性を利用し、オーディオデータを約1/5に
圧縮するような方式、すなわち、入力ディジタルオーデ
ィオ信号を複数帯域に分割し、各帯域毎のディジタルオ
ーディオ信号を複数サンプル毎にブロック化し、各ブロ
ック単位で直交変換したスペクトルデータを、聴覚特性
に応じて適応的に圧縮符号化する方式(例えばいわゆる
ATRAC方式)を用いる。
【0067】勿論、本発明はこれら符号化方式に限定さ
れるものでないことは言うまでもない。
【0068】先ず、上記付加情報のチャネルのデータを
圧縮符号化する圧縮符号化回路241〜245について
説明する。
【0069】図7には、上記各圧縮符号化回路241〜
245の一具体例の構成を示す。
【0070】この図7に示す圧縮符号化回路では、入力
ディジタル信号をフィルタなどにより複数の周波数帯域
に分割すると共に、各周波数帯域毎に直交変換を行っ
て、得られた周波数軸のスペクトルデータを、後述する
人間の聴覚特性を考慮したいわゆる臨界帯域幅(クリテ
ィカルバンド)毎に適応的にビット配分して符号化して
いる。この時、高域では臨界帯域幅を更に分割した帯域
を用いる。もちろんフィルタなどによる非ブロッキング
の周波数分割幅は等分割幅としてもよい。さらに、本実
施例においては、直交変換の前に入力信号に応じて適応
的にブロックサイズ(ブロック長)を変化させると共
に、クリティカルバンド単位もしくは高域では臨界帯域
幅(クリティカルバンド)を更に細分化したブロックで
フローティング処理を行っている。このクリティカルバ
ンドとは、人間の聴覚特性を考慮して分割された周波数
帯域であり、ある純音の周波数近傍の同じ強さの狭帯域
バンドノイズによって当該純音がマスクされるときのそ
のノイズの持つ帯域のことである。このクリティカルバ
ンドは、高域ほど帯域幅が広くなっており、上記0〜2
2kHzの全周波数帯域は例えば25のクリティカルバ
ンドに分割されている。
【0071】すなわち、図7において、入力端子10に
は例えば0〜22kHzのオーディオPCM信号が供給
されている。この入力信号は、例えばいわゆるQMF等
の帯域分割フィルタ11により0〜11kHz帯域と1
1k〜22kHz帯域とに分割され、0〜11kHz帯
域の信号は同じくいわゆるQMF等の帯域分割フィルタ
12により0〜5.5kHz帯域と5.5k〜11kH
z帯域とに分割される。帯域分割フィルタ11からの1
1k〜22kHz帯域の信号は、直交変換回路の一例で
あるMDCT(Modified Discrete Cosine Transform)
回路13に送られ、帯域分割フィルタ12からの5.5
k〜11kHz帯域の信号はMDCT回路14に送ら
れ、帯域分割フィルタ12からの0〜5.5kHz帯域
の信号はMDCT回路15に送られることにより、それ
ぞれMDCT処理される。
【0072】各MDCT回路13、14、15では、各
帯域毎に設けたブロック決定回路19、20、21によ
り後述するように決定されたブロックサイズに基づいて
MDCT処理がなされる。
【0073】上記ブロック決定回路19、20、21で
決定されたブロックサイズを示す情報は、後述の適応ビ
ット配分符号化回路16、17、18に送られると共
に、出力端子23、25、27から出力される。
【0074】ここで、各MDCT回路13、14、15
の出力は、適応ビット配分符号化回路16、17、19
に送られ、これら回路16、17、18によって上記臨
界帯域(クリティカルバンド)または高域では更にクリ
ティカルバンドを分割した帯域毎のエネルギが、例えば
当該バンド内での各振幅値の2乗平均の平方根を計算す
ること等により求められる。もちろん、上記スケールフ
ァクタそのものを以後のビット配分の為に用いるように
してもよい。この場合には新たなエネルギ計算の演算が
不要となるため、ハード規模の節約となる。また、各バ
ンド毎のエネルギの代わりに、振幅値のピーク値、平均
値等を用いることも可能である。各MDCT回路13、
14、15にてMDCT処理されて得られた周波数領域
のスペクトルデータあるいはMDCT係数データは、い
わゆる臨界帯域(クリティカルバンド)または高域では
更にクリティカルバンドを分割した帯域毎にまとめられ
て適応ビット配分符号化回路16、17、18に送られ
ている。
【0075】適応ビット配分符号化回路16、17、1
8では、上記ブロックサイズの情報、及び臨界帯域(ク
リティカルバンド)または高域では更にクリティカルバ
ンドを分割した帯域毎に割り当てられたビット数に応じ
て各スペクトルデータ(あるいはMDCT係数データ)
を再量子化(正規化して量子化)するようにしている。
適応ビット配分符号化回路16、17、18で符号化さ
れたデータは、出力端子22、24、26を介して取り
出される。また、当該適応ビット配分符号化回路16、
17、18では、どのような信号の大きさに関する正規
化がなされたかを示すスケールファクタと、どのような
ビット長で量子化がされたかを示すビット長情報も求め
ており、これらも同時に出力端子22、24、26から
出力される。
【0076】これら各出力端子22〜27からのデータ
はまとめられて上記各圧縮符号化回路241〜245の
出力となる。
【0077】ところで、上記図1及び図7の例では、各
圧縮符号化回路241〜245においては各チャネル毎
にビット配分を行って圧縮符号化を行っているが、これ
ら各圧縮符号化回路241〜245間でビット配分を行
う(すなわち各回路241〜245に対応するチャネル
間でビット配分を行う)ことも可能である。
【0078】この圧縮符号化回路241〜245間でビ
ット配分を行う場合の各回路構成について、以下に説明
する。図8には、チャネル間でビット配分を行う圧縮符
号化回路の構成を示す。なお、この図8の構成のうち、
適応ビット配分符号化回路16,17,18を除く他の
構成要素は図7の対応する構成要素と基本的には同一の
ものである。
【0079】この図8に示される圧縮符号化回路におい
て、図7同様のブロック決定回路19、20、21によ
り決定される各MDCT回路13、14、15でのブロ
ックサイズの具体例を図9のA及びBに示す。なお、図
9のAには直交変換ブロックサイズが長い場合(ロング
モードにおける直交変換ブロックサイズ)を、図9のB
には直交変換ブロックサイズが短い場合(ショートモー
ドにおける直交変換ブロックサイズ)を示ししている。
この図9の具体例においては、3つのフィルタ出力は、
それぞれ2つの直交変換ブロックサイズを持つ。すなわ
ち、低域側の0〜5.5kHz帯域の信号及び中域の
5.5k〜11kHz帯域の信号に対しては、長いブロ
ック長の場合(図9のA)は1ブロック内のサンプル数
を128サンプルとし、短いブロックが選ばれた場合
(図9のB)には1ブロック内のサンプル数を32サン
プル毎のブロックとしている。これに対して高域側の1
1k〜22kHz帯域の信号に対しては、長いブロック
長の場合(図9のA)は1ブロック内のサンプル数を2
56サンプルとし、短いブロックが選ばれた場合(図9
のB)には1ブロック内のサンプル数を32サンプル毎
のブロックとしている。このようにして短いブロックが
選ばれた場合には各帯域の直交変換ブロックのサンプル
数を同じとして高域程時間分解能を上げ、なおかつブロ
ック化に使用するウインドウの種類を減らしている。な
お、図8の具体例のブロック決定回路19、20、21
で決定されたブロックサイズを示す情報は、後述の適応
ビット配分符号化回路16、17、18に送られると共
に、出力端子23、25、27から出力される。
【0080】この図8の具体例の適応ビット配分符号化
回路16、17、18では、上記ブロックサイズの情
報、及び臨界帯域(クリティカルバンド)または高域で
は更にクリティカルバンドを分割した帯域毎に割り当て
られたビット数に応じて各スペクトルデータ(あるいは
MDCT係数データ)を再量子化(正規化して量子化)
するようにしている。この時、適応ビット配分符号化回
路16、17、18では、各チャネル間でのチャネルビ
ット配分、すなわち各チャネルの信号全体を見ることに
より、チャネル毎の使用ビット量を適応的に最適に振り
分けるビット配分を同時に行う。この場合の当該チャネ
ルビット配分は、後述する適応ビット配分回路から端子
28を介して供給されたチャネルビット配分信号に基づ
いて行われる。このようにして符号化されたデータは、
出力端子22、24、26を介して取り出される。ま
た、当該適応ビット配分符号化回路16、17、18で
は、どのような信号の大きさに関する正規化がなされた
かを示すスケールファクタと、どのようなビット長で量
子化がされたかを示すビット長情報も求めており、これ
らも同時に出力端子22、24、26から出力される。
【0081】次に、上記ビット配分を行うための適応ビ
ット配分回路の具体的な構成及び動作を図10を用いて
説明する。なお、この図10の例では、図1に対応して
5チャネルについてのビット配分に対応している。
【0082】この図10において、各チャネルの共通部
について例えばレフトチャネル(Lch)を用いて説明
する(他のチャネルについては同一の指示符号を付して
説明は省略している)と、レフトチャネルの入力情報信
号は当該レフトチャネル用の入力端子31に与えられ
る。なお、この端子31は、図8の端子29と対応して
いる。この入力情報信号はマッピング回路(Mapping)3
2により時間領域の信号から周波数領域に展開される。
ここで、フィルタによる場合には、サブバンド信号とし
て時間領域サンプルが得られることになり、直交変換出
力の場合及びフィルタリング後に直交変換を行う場合に
は周波数領域サンプルが得られることになる。
【0083】これらのサンプルは、ブロッキング(Block
ing)回路33によって複数サンプル毎にまとめられる。
ここで、フィルタによる場合には時間領域の複数サンプ
ルがまとめられることになり、直交変換出力の場合及び
フィルタリング後に直交変換を行う場合には周波数領域
の複数サンプルがまとめられることになる。
【0084】また、本具体例では、マッピングの途中の
MDCT入力時間領域信号の時間変化を時間変化算出回
路34により算出する。
【0085】上記ブロッキング回路33により複数のサ
ンプル毎にまとめられた各サンプルは正規化回路37で
正規化される。ここで、正規化のための係数であるスケ
ールファクタは、スケールファクタ算出回路35によっ
て得られる。同時にトーナリティの大きさがトーナリテ
ィ算出回路36で算出される。
【0086】以上で求められるパラメータは、ビット配
分回路38でビット配分のために使用される。ここで、
MDCT係数を表現して伝送又は記録に使えるビット数
を、全チャネル(上記6チャネル)で800Kbpsと
すると、本具体例のビット配分回路38では、チャネル
ビット配分を含む第1のビット配分(第1のビット配分
量)と、チャネルビット配分を含まない第2のビット配
分(第2のビット配分量)の2つを求める。
【0087】先ず、チャネルビット配分を含む第1のビ
ット配分の配分手法について説明する。ここではスケー
ルファクタの周波数領域の分布をみて適応的にビット配
分を行う。
【0088】この場合、全チャネルのスケールファクタ
の周波数領域の分布をみてチャネル間でのビット配分を
行うことで有効なビット配分を行うことができる。この
とき、複数チャネルの信号情報が、スピーカの場合のよ
うに同一音場のなかで混合されて左右の耳に達する場合
を考えると、全チャネル信号の加算されたものでマスキ
ングが作用すると考えてよいから、図11のA,Eに示
すように、同一帯域において各チャネルが同一のノイス
レベルになるようにビット配分を行うことが有効であ
る。このための一方法としてはスケールファクタ指標の
大きさに比例したビット配分を行えばよい。すなわち、
以下の式によってビット配分を行う。
【0089】Bm=B*(ΣSFn)/S S=Σ(ΣSFn)
【0090】ここで、Bmは各チャネルへのビット配分
量、Bは全チャネルへのビット配分量、SFnはスケー
ルファクタ指標であり概略ピーク値の対数に対応してい
る。nは各チャネル内のブロックフローティングバンド
番号、mはチャネル番号、Sは全チャネルのスケールフ
ァクタ指標の和である。なお、図11には、レフトチャ
ネルとサラウンドライトチャネルのみ示し他の3チャネ
ルについては図示を省略している。
【0091】以上に加えて、ビット配分回路38は、各
チャネルの信号の時間変化特性を検出して、この指標に
よってチャネル毎のビット配分量を変えるプロセスを持
つ。この時間変化を表す指標は次のようにして求められ
る。
【0092】図12のA〜Eに示すように、チャネルが
5チャネルあるとすると、それぞれのチャネルの情報入
力信号についてビット配分の時間単位であるビット配分
時間ブロックを時間的に4分割し、それぞれの時間ブロ
ック(サブブロック)のピーク値を得る。そして各サブ
ブロックのピーク値が小から大へと変わるところの差分
の大きさに応じてチャネル間でビットを分け合う。ここ
で、このビット配分のために5チャネル合計でCビット
使えるとしたとき、各チャネルの各サブブロックのピー
ク値が小から大へと変わるところの差分の大きさがそれ
ぞれa,b,c,d,eデシベル(dB)とすると、そ
れぞれC*a/T,C*b/T,・・・・・,C*e/
Tビット(ビット)と配分することができる。ここで、
T=a+b+c+d+eである。信号情報が大きくなる
程度が大であるほどそのチャネルに対してのビット配分
量が大きくなる。なお、図12には、レフトチャネルと
レフトセンタチャネルとサラウンドライトチャネルのみ
示し他の2つのチャネルについては図示を省略してい
る。
【0093】次に、チャネルビット配分を含まない第2
のビット配分の配分手法について説明する。ここでは、
チャネルビット配分を含まない第2のビット配分の手法
として更に2つのビット配分からなるビット配分手法に
ついて説明する。なお,この第2のビット配分は、前記
図7における適応ビット配分符号化回路でのビット配分
処理に対応している。
【0094】この2つのビット配分をそれぞれビット配
分(1) とビット配分(2) とする。以下のビット配分では
各チャネルで使用できるビットレートは事前にそれぞれ
のチャネルで固定的に決めておく。例えば、5チャネル
の内で音声など重要部分を担うチャネルには147kb
psという比較的大きいビットを使い、重要度の低いチ
ャネルには高々2kbps、それ以外のチャネルには1
00kbpsを割り当てておく。
【0095】先ず、ビット配分(1) に使うべきビット量
を確定する。そのためには、信号情報(a)のスペクト
ル情報のうちトーナリティ情報及び信号情報(b)の時
間変化情報を使用する。
【0096】ここで、トーナリティ情報について説明す
ると、指標としては、信号スペクトルの隣接値間の差の
絶対値の和を、信号スペクトル数で割った値を、指標と
して用いている。より簡単にはブロックフローティング
の為のブロックごとのスケールファクタの、隣接スケー
ルファクタ指標の間の差の平均値を用いる。スケールフ
ァクタ指標は、概略スケールファクタの対数値に対応し
ている。本実施例では、ビット配分(1) に使うべきビッ
ト量をこのトーナリティを表す値に対応させて最大80
kbps、最小10kbpsと設定している。ここでは
簡単のために、全チャネルそれぞれの割当を等しく10
0kbpsとしている。
【0097】トーナリティ計算は次式のように行う。
【0098】 T=(1/WLmax)(ΣABS(SFn−1))
【0099】なお、WLmaxはワードレングス最大値
=16、SFnはスケールファクタ指標で概略ピーク値
の対数に対応している。nはブロックフローティングバ
ンド番号である。
【0100】このようにして求められたトーナリティ情
報Tとビット配分(1) のビット配分量とは、図13に示
すように対応付けられる。
【0101】これと共に本実施例においては、ビット配
分(1) とそれに付加するその他の少なくとも1つのビッ
ト配分との分割率は、情報信号の時間変化特性に依存す
る。本具体例では、直交変換時間ブロックサイズを更に
分割した時間区間毎に信号情報のピーク値を隣接ブロッ
ク毎に比較することにより情報信号の振幅が急激に大き
くなる時間領域を検出してその大きくなるときの状態の
程度により分割率を決定する。
【0102】時間変化率計算は次式のように行う。
【0103】Vt=ΣVm Vav=(1/Vmax)*(1/Ch)Vt
【0104】ここで、Vtは各チャネルの時間サブブロ
ックのピーク値の小から大への変化をdB値で表しもの
のチャネルに関する和、Vmは各チャネルの時間サブブ
ロックのピーク値の小から大への変化をdB値で表した
もので一番大きいものの大きさ(但し最大値を30dB
に制限しVmaxであらわす。mはチャネル番号、Ch
はチャネル数、Vavは時間サブブロックのピーク値の
小から大への変化をdB値で表しもののチャネル平均で
ある。
【0105】このようにして求められた時間変化率Va
vとビット配分(1) の配分量とは、図14に示すように
対応付けられる。最終的にビット配分(1) への配分量は
次の式で求められる。
【0106】B=1/2(Bf+Bt)
【0107】ここで、Bは最終的なビット配分(1) への
配分量、BfはTvaより求められたビット配分量、B
tはVavより求められたビット配分量である。
【0108】ここでのビット配分(1) はスケ−ルファク
タに依存した周波数、時間領域上の配分がなされる。
【0109】このようにしてビット配分(1) に使用され
るビット量が決定されたならば、次にビット配分(1) で
使われなかったビットについての配分すなわちビット配
分(2) を決定する。ここでは多種のビット配分が行われ
る。
【0110】第1に全てのサンプル値に対する均一配分
が行われる。この場合のビット配分に対する量子化雑音
スペクトルの一例を図15に示す。この場合、全周波数
帯域で均一の雑音レベル低減が行える。
【0111】第2に信号情報の周波数スペクトル及びレ
ベルに対する依存性を持たせた聴覚的な効果を得るため
のビット配分が行われる。この場合のビット配分に対す
る量子化雑音スペクトルの一例を図16に示す。この例
では情報信号のスペクトルに依存させたビット配分を行
っていて、特に情報信号のスペクトルの低域側にウエイ
トをおいたビット配分を行い、広域側に比して起きる低
域側でのマスキング効果の減少を補償している。これは
隣接臨界帯域間でのマスキングを考慮して、スペクトル
の低域側を重視したマスキングカーブの非対象性に基づ
いている。このように、図16の例では低域を重視した
ビット配分が行われている。
【0112】そして最終的にビット配分(1) とビット配
分(1) に付加されるビット配分の値の和が図10のビッ
ト配分回路38でとられる。最終的なビット配分は以上
の各ビット配分の和として与えられる。
【0113】なお、図15,図16の図中Sは信号スペ
クトルを、NL1は上記全てのサンプルに対する均一配
分による雑音レベルを、NL2は上記周波数スペクトル
及びレベルに対する依存正を持たせた聴覚的な高かを得
るためのビット配分による雑音レベルを示している。
【0114】次にチャネルビット配分を含まないビット
配分の別の手法を次に説明する。この場合の適応ビット
配分回路の動作を図17で説明するとMDCT係数の大
きさが各ブロックごとに求められ、そのMDCT係数が
入力端子801に供給される。当該入力端子801に供
給されたMDCT係数は、帯域毎のエネルギ算出回路8
03に与えられる。帯域毎のエネルギ算出回路803で
は、クリティカルバンドまたは高域においてはクリティ
カルバンドを更に再分割したそれぞれの帯域に関する信
号エネルギを算出する。帯域毎のエネルギ算出回路80
3で算出されたそれぞれの帯域に関するエネルギは、エ
ネルギ依存ビット配分回路804に供給される。
【0115】エネルギ依存ビット配分回路804では、
使用可能総ビット発生回路802からの使用可能総ビッ
ト、本実施例では128Kbpsの内のある割合(本実
施例では100Kbps)を用いて白色の量子化雑音を
作り出すようなビット配分を行う。このとき、入力信号
のトーナリティが高いほど、すなわち入力信号のスペク
トルの凸凹が大きいほど、このビット量が上記128K
bpsに占める割合が増加する。なお、入力信号のスペ
クトルの凸凹を検出するには、隣接するブロックのブロ
ックフローティング係数の差の絶対値の和を指標として
使う。そして、求められた使用可能なビット量につき、
各帯域のエネルギの対数値に比例したビット配分を行
う。
【0116】聴覚許容雑音レベルに依存したビット配分
算出回路805は、まず上記クリティカルバンド毎に分
割されたスペクトルデータに基づき、いわゆるマスキン
グ効果等を考慮した各クリティカルバンド毎の許容ノイ
ズ量を求め、次に聴覚許容雑音スペクトルを与えるよう
に使用可能総ビットからエネルギ依存ビットを引いたビ
ット分が配分される。このようにして求められたエネル
ギ依存ビットと聴覚許容雑音レベルに依存したビットは
加算されて、図8(図7の場合も同様)の適応ビット配
分符号化回路16、17、18により各クリティカルバ
ンド毎もしくは高域においてはクリティカルバンドを更
に複数帯域に分割した帯域に割り当てられたビット数に
応じて各スペクトルデータ(あるいはMDCT係数デー
タ)を再量子化するようにしている。このようにして符
号化されたデータは、図8の出力端子22、24、26
を介して取り出される。
【0117】さらに詳しく上記聴覚許容雑音スペクトル
依存のビット配分回路805中の聴覚許容雑音スペクト
ル算出回路について説明すると、MDCT回路13、1
4、15で得られたMDCT係数が上記許容雑音算出回
路に与えられる。
【0118】図18は上記許容雑音算出回路をまとめて
説明した一具体例の概略構成を示すブロック回路図であ
る。この図18において、入力端子521には、MDC
T回路13、14、15からの周波数領域のスペクトル
データが供給されている。
【0119】この周波数領域の入力データは、帯域毎の
エネルギ算出回路522に送られて、上記クリティカル
バンド(臨界帯域)毎のエネルギが、例えば当該バンド
内での各振幅値2乗の総和を計算すること等により求め
られる。この各バンド毎のエネルギの代わりに、振幅値
のピーク値、平均値等が用いられることもある。このエ
ネルギ算出回路522からの出力として、例えば各バン
ドの総和値のスペクトルは、一般にバークスペクトルと
称されている。図19はこのような各クリティカルバン
ド毎のバークスペクトルSBを示している。ただし、こ
の図19では、図示を簡略化するため、上記クリティカ
ルバンドのバンド数を12バンド(B1〜B12)で表現
している。
【0120】ここで、上記バークスペクトルSBのいわ
ゆるマスキングに於ける影響を考慮するために、該バー
クスペクトルSBに所定の重み付け関数を掛けて加算す
るような畳込み(コンボリューション)処理を施す。こ
のため、上記帯域毎のエネルギ算出回路522の出力す
なわち該バークスペクトルSBの各値は、畳込みフィル
タ回路523に送られる。該畳込みフィルタ回路523
は、例えば、入力データを順次遅延させる複数の遅延素
子と、これら遅延素子からの出力にフィルタ係数(重み
付け関数)を乗算する複数の乗算器(例えば各バンドに
対応する25個の乗算器)と、各乗算器出力の総和をと
る総和加算器とから構成されるものである。なお、上記
マスキングとは、人間の聴覚上の特性により、ある信号
によって他の信号がマスクされて聞こえなくなる現象を
いうものであり、このマスキング効果には、時間領域の
オーディオ信号による時間軸マスキング効果と、周波数
領域の信号による同時刻マスキング効果とがある。これ
らのマスキング効果により、マスキングされる部分にノ
イズがあったとしても、このノイズは聞こえないことに
なる。このため、実際のオーディオ信号では、このマス
キングされる範囲内のノイズは許容可能なノイズとされ
る。
【0121】ここで、上記畳込みフィルタ回路523の
各乗算器の乗算係数(フィルタ係数)の一具体例を示す
と、任意のバンドに対応する乗算器Mの係数を1とする
とき、乗算器M−1で係数0.15を、乗算器M−2で
係数0.0019を、乗算器M−3で係数0.0000
086を、乗算器M+1で係数0.4を、乗算器M+2
で係数0.06を、乗算器M+3で係数0.007を各
遅延素子の出力に乗算することにより、上記バークスペ
クトルSBの畳込み処理が行われる。ただし、Mは1〜
25の任意の整数である。
【0122】次に、上記畳込みフィルタ回路523の出
力は引算器524に送られる。該引算器524は、上記
畳込んだ領域での後述する許容可能なノイズレベルに対
応するレベルαを求めるものである。なお、当該許容可
能なノイズレベル(許容ノイズレベル)に対応するレベ
ルαは、後述するように、逆コンボリューション処理を
行うことによって、クリティカルバンドの各バンド毎の
許容ノイズレベルとなるようなレベルである。ここで、
上記引算器524には、上記レベルαを求めるるための
許容関数(マスキングレベルを表現する関数)が供給さ
れる。この許容関数を増減させることで上記レベルαの
制御を行っている。当該許容関数は、次に説明するよう
な(n−ai)関数発生回路525から供給されている
ものである。
【0123】すなわち、許容ノイズレベルに対応するレ
ベルαは、クリティカルバンドのバンドの低域から順に
与えられる番号をiとすると、次の式で求めることがで
きる。 α=S−(n−ai) この式において、n,aは定数でa>0、Sは畳込み処
理されたバークスペクトルの強度であり、式中(n-ai)が
許容関数となる。例としてn=38,a=−0.5を用い
ることができる。
【0124】このようにして、上記レベルαが求めら
れ、このデータは、割算器526に伝送される。当該割
算器526では、上記畳込みされた領域での上記レベル
αを逆コンボリューションするためのものである。した
がって、この逆コンボリューション処理を行うことによ
り、上記レベルαからマスキングスレッショールドが得
られるようになる。すなわち、このマスキングスレッシ
ョールドが許容ノイズスペクトルとなる。なお、上記逆
コンボリューション処理は、複雑な演算を必要とする
が、本実施例では簡略化した割算器526を用いて逆コ
ンボリューションを行っている。
【0125】次に、上記マスキングスレッショールド
は、合成回路527を介して減算器528に伝送され
る。ここで、当該減算器528には、上記帯域毎のエネ
ルギ検出回路522からの出力、すなわち前述したバー
クスペクトルSBが、遅延回路529を介して供給され
ている。したがって、この減算器528で上記マスキン
グスレッショールドとバークスペクトルSBとの減算演
算が行われることで、図18に示すように、上記バーク
スペクトルSBは、該マスキングスレッショールドMS
のレベルで示すレベル以下がマスキングされることにな
る。なお、遅延回路529は上記合成回路527以前の
各回路での遅延量を考慮してエネルギ検出回路522か
らのバークスペクトルSBを遅延させるために設けられ
ている。
【0126】当該減算器528からの出力は、許容雑音
補正回路530を介し、出力端子531を介して取り出
され、例えば配分ビット数情報が予め記憶されたROM
等(図示せず)に送られる。このROM等は、上記減算
回路528から許容雑音補正回路530を介して得られ
た出力(上記各バンドのエネルギと上記ノイズレベル設
定手段の出力との差分のレベル)に応じ、各バンド毎の
配分ビット数情報を出力する。
【0127】このようにしてエネルギ依存ビットと聴覚
許容雑音レベルに依存したビットは加算されてその配分
ビット数情報が図8の端子28を介して上記適応ビット
配分符号化回路16、17、18に送られることで、こ
こでMDCT回路13、14、15からの周波数領域の
各スペクトルデータがそれぞれのバンド毎に割り当てら
れたビット数で量子化されるわけである。
【0128】すなわち要約すれば、適応ビット配分符号
化回路16、17、18では、上記クリティカルバンド
の各バンド帯域(クリティカルバンド)毎もしくは高域
においてはクリティカルバンドを更に複数帯域に分割し
た帯域のエネルギもしくはピーク値と上記ノイズレベル
設定手段の出力との差分のレベルに応じて配分されたビ
ット数で上記各バンド毎のスペクトルデータを量子化す
ることになる。
【0129】ところで、上述した合成回路527での合
成の際には、最小可聴カーブ発生回路532から供給さ
れる図20に示すような人間の聴覚特性であるいわゆる
最小可聴カーブRCを示すデータと、上記マスキングス
レッショールドMSとを合成することができる。この最
小可聴カーブにおいて、雑音絶対レベルがこの最小可聴
カーブ以下ならば該雑音は聞こえないことになる。この
最小可聴カーブは、コーディングが同じであっても例え
ば再生時の再生ボリュームの違いで異なるものとなが、
現実的なディジタルシステムでは、例えば16ビットダ
イナミックレンジへの音楽のはいり方にはさほど違いが
ないので、例えば4kHz付近の最も耳に聞こえやすい
周波数帯域の量子化雑音が聞こえないとすれば、他の周
波数帯域ではこの最小可聴カーブのレベル以下の量子化
雑音は聞こえないと考えられる。したがって、このよう
に例えばシステムの持つダイナミックレンジの4kHz
付近の雑音が聞こえない使い方をすると仮定し、この最
小可聴カーブRCとマスキングスレッショールドMSと
を共に合成することで許容ノイズレベルを得るようにす
ると、この場合の許容ノイズレベルは、図20中の斜線
で示す部分までとすることができるようになる。なお、
本実施例では、上記最小可聴カーブの4kHzのレベル
を、例えば20ビット相当の最低レベルに合わせてい
る。また、この図20は、信号スペクトルSSも同時に
示している。
【0130】また、上記許容雑音補正回路530では、
補正情報出力回路533から送られてくる例えば等ラウ
ドネスカーブの情報に基づいて、上記減算器528から
の出力における許容雑音レベルを補正している。ここ
で、等ラウドネスカーブとは、人間の聴覚特性に関する
特性曲線であり、例えば1kHzの純音と同じ大きさに
聞こえる各周波数での音の音圧を求めて曲線で結んだも
ので、ラウドネスの等感度曲線とも呼ばれる。またこの
等ラウドネス曲線は、図20に示した最小可聴カーブR
Cと略同じ曲線を描くものである。この等ラウドネス曲
線においては、例えば4kHz付近では1kHzのとこ
ろより音圧が8〜10dB下がっても1kHzと同じ大き
さに聞こえ、逆に、50Hz付近では1kHzでの音圧
よりも約15dB高くないと同じ大きさに聞こえない。
このため、上記最小可聴カーブのレベルを越えた雑音
(許容ノイズレベル)は、該等ラウドネス曲線に応じた
カーブで与えられる周波数特性を持つようにするのが良
いことがわかる。このようなことから、上記等ラウドネ
ス曲線を考慮して上記許容ノイズレベルを補正すること
は、人間の聴覚特性に適合していることがわかる。
【0131】以上述べた聴覚許容雑音レベルに依存した
スペクトル形状を使用可能総ビット128Kbpsの内
のある割合を用いるビット配分でつくる。この割合は入
力信号のトーナリティが高くなるほど減少する。
【0132】次に2つのビット配分手法の間でのビット
量分割手法について説明する。図17に戻って、MDC
T回路出力が供給される入力端子801からの信号は、
スペクトルの滑らかさ算出回路808にも与えられ、こ
こでスペクトルの滑らかさが算出される。本実施例で
は、信号スペクトルの絶対値の隣接値間の差の絶対値の
和を、信号スペクトルの絶対値の和で割った値を、上記
スペクトルの滑らかさとして算出している。
【0133】上記スペクトルの滑らかさ算出回路808
の出力は、ビット分割率決定回路809に与えられ、こ
こでエネルギ依存のビット配分と、聴覚許容雑音スペク
トルによるビット配分間のビット分割率とが決定され
る。ビット分割率はスペクトルの滑らかさ算出回路80
8の出力値が大きいほど、スペクトルの滑らかさが無い
と考えて、エネルギ依存のビット配分よりも、聴覚許容
雑音スペクトルによるビット配分に重点をおいたビット
配分を行う。ビット分割率決定回路809は、それぞれ
エネルギ依存のビット配分及び聴覚許容雑音スペクトル
によるビット配分の大きさをコントロールするマルチプ
ライヤ811及び812に対してコントロール出力を送
る。ここで、仮にスペクトルが滑らかであり、エネルギ
依存のビット配分に重きをおくように、マルチプライヤ
811へのビット分割率決定回路809の出力が0.8
の値を取ったとき、マルチプライヤ812へのビット分
割率決定回路809の出力は1−0.8=0.2とす
る。これら2つのマルチプライヤの出力はアダー806
で足し合わされて最終的なビット配分情報となって、出
力端子807から出力される。
【0134】このときのビット配分の様子を図21、図
22に示す。また、これに対応する量子化雑音の様子を
図23、図24に示す。図21は信号のスペクトルが割
合平坦である場合を示しており、図22は信号スペクト
ルが高いトーナリティを示す場合を示している。また、
図21及び図22の図中QSは信号レベル依存分のビッ
ト量を示し、図中QNは聴覚許容雑音レベル依存のビッ
ト割当分のビット量を示している。図23及び図24の
図中Lは信号レベルを示し、図中NSは信号レベル依存
分による雑音低下分を、図中NNは聴覚許容雑音レベル
依存のビット割当分による雑音低下分を示している。
【0135】先ず、信号のスペクトルが、割合平坦であ
る場合を示す図21において、聴覚許容雑音レベルに依
存したビット配分は、全帯域に渡り大きい信号雑音比を
取るために役立つ。しかし低域及び高域では比較的少な
いビット配分が使用されている。これは聴覚的にこの帯
域の雑音に対する感度が小さいためである。信号エネル
ギレベルに依存したビット配分の分は量としては少ない
が、ホワイトな雑音スペクトルを生じるように、この場
合には中低域の信号レベルの高い周波数領域に重点的に
配分されている。
【0136】これに対して、図22に示すように、信号
スペクトルが高いトーナリティを示す場合には、信号エ
ネルギレベルに依存したビット配分量が多くなり、量子
化雑音の低下は極めて狭い帯域の雑音を低減するために
使用される。聴覚許容雑音レベルに依存したビット配分
分の集中はこれよりもきつくない。
【0137】図17に示すように、この両者のビット配
分の和により、孤立スペクトル入力信号での特性の向上
が達成される。
【0138】以上の様にして得られたチャネルビット配
分を含むビット配分とチャネルビット配分を含まないビ
ット配分の2つを用いて、次のようにして第1と第2の
量子化を行う。
【0139】図25を用いて説明する。この例では、全
5チャネルのうちでチャネルビット配分を含むビット配
分により147kbpsを越えるビット配分がなされる
チャネルはセンタチャネルとレフトセンタチャネルとラ
イトセンタチャネルである。
【0140】まず、チャネルビット配分を含むビット配
分量が147kbpsを越えるチャネルについて、ある
一定のビット量例えば128kbpsを最大とする部分
と128kbpsを越える部分に2分する。
【0141】この処理を行う構成を図26に示す。図2
6の構成では、チャネルビット配分を含むビット配分で
の配分量が147kbpsを越えるビット配分の各サン
プルについて、複数サンプルごとのブロックについての
正規化処理すなわちブロックフローティングを行う。こ
の時どの程度のブロックフローティングが行われたかを
示す係数としてスケールファクタが得られる。
【0142】この図26において、入力端子900に供
給されたMDCT係数(MDCTサンプル)は正規化回
路905によって複数サンプル毎に、ブロックについて
の正規化処理すなわちブロックフローティングが施され
る。この時どの程度のブロックフローティングが行われ
たかを示す係数としてスケールファクタが得られる。
【0143】次段の第1の量子化器(quantizer) 901
は、前記チャネルビット配分を含まないビット配分の各
サンプル語長で量子化を行なう。この時、量子化雑音を
少なくするためには四捨五入による量子化が行われる。
【0144】次に、上記正規化回路905の出力と上記
量子化器901の出力が差分器902に送られる。すな
わち、当該差分器902では、量子化器901の入力と
出力の差(量子化誤差)が取られる。この差分器902
からの出力は、さらに正規化回路906を介して第2の
量子化器903に送られる。
【0145】当該第2の量子化器903では、前記チャ
ネルビット配分を含むビット配分の各サンプル語長と前
記チャネルビット配分を含まないビット配分の各サンプ
ル語長の差の語長が各サンプル毎に使用される。この時
のフローティング係数は第1の量子化器901で用いら
れたフローティング係数と語長から自動的に決定され
る。すなわち第1の量子化器901で用いられた語長が
Nビットであったときには、(2**N)で第2の量子
化器903で用いられるフローティング係数が得られ
る。
【0146】また、上記第2の量子化器903では、第
1の量子化器901と同じように四捨五入処理を含むビ
ット配分を行う。このようにして2つの量子化により、
前記チャネルビット半分を含むビット配分で147kb
psを越えるビット配分を受けたチャネルのビットは、
128kbps以下になるべく128kbpsに近いビ
ット配分と残りのビット配分とに分けられる。
【0147】ここで、128kbpsと147kbps
という2つのスレッショールドを設けているのは、以下
のような理由による。すなわち、前記残りのビット配分
データも語長を表すサブ情報が必要であるので、このサ
ブ情報量も含めてデータ領域がとれるようなビット配分
がされる最下限量として147kbpsが設定されてい
る。また、前記チャネルビット配分を含むビット配分量
が128kbpsを上回り147kbpsを下回る場合
には、128kbpsを越えたデータ部分にはサブ情報
しか書き込めないのでサンプル情報を書き込む余地がな
く意味がなくなってしまう。このため、このような場合
にはこのチャネルは前記チャネルビット配分を含まない
ビット配分で128kbpsよりも小さく、できるだけ
128kbps近いビット配分を行うために、上記12
8kbpsが設定されている。
【0148】また、前記チャネルビット配分を含むビッ
ト配分で128kbpsよりも小さいビット配分となっ
たチャネルは、そのままそのビット配分を使用する。
【0149】前に述べたように、前記残りのビット配分
の成分の大きさは図26で示されるようにビット配分
(1) のスケールファクタとワードレングスからスケール
ファクタを算出できるのでワードレングスのみがデコ−
ダに必要とされる。
【0150】このようにして量子化器901及び903
では、それぞれ四捨五入された効率の高い量子化出力が
得られる。
【0151】なお、図26の構成(エンコーダ)に対応
する構成(デコーダ)では、上記正規化回路905,9
06に対応する逆正規化処理を行う逆正規化回路90
8,907が設けられ、これら逆正規化回路908,9
07の出力が加算器904で加算される。その加算出力
が出力端子910から取りだされることになる。
【0152】次に、図1に示した基本情報の各チャネル
間でビット配分を行う圧縮符号化回路231〜236の
具体的構成を図27に示す。なお、この図27には、1
チャネル分のみ示す。
【0153】この図27において、入力端子301には
基本情報のチャネルのうちの1つのチャネルのディジタ
ルオーディオ信号が供給される。
【0154】上記入力端子301からのディジタルオー
ディオ信号は、バッファ302に一旦記憶される。この
バッファ302からは、各々50%オーバーラップした
Nポイント(Nサンプル)毎のブロックでデータが取り
出される。このブロック単位のデータは、直交変換回路
303に送られ、当該直交変換回路303によってそれ
ぞれMDCT及びMDST(Modified Discrete Sine tr
ansform)の直交変換が施される。
【0155】上記直交変換回路303からの係数データ
は、サブバンド・ブロックフローティングポイント圧縮
回路304によって圧縮される。上記サブバンド・ブロ
ックフローティングポイント圧縮回路304からの係数
データは、端子320を介して図28の各チャネルに対
応する端子320を通ってlogスペクトラルエンベロ
ープ検出回路322に送られると共に、上記回路304
からの語長情報やスケールファクタ等のサブ情報(圧縮
変換係数情報)と適応量子化回路305に送られる。
【0156】上記適応量子化回路305には、図28の
logスペクトラルエンベロープ検出回路322によっ
て検出されたエンベロープ情報に基づいてチャネル間ビ
ット配分量を決定する分配決定回路323からのビット
配分情報が、各チャネルに対応する端子321を介しさ
らに図27の端子321を介して供給される。当該適応
量子化回路305は、上記チャネル間のビット配分情報
に基づいて、上記各チャネルの係数データ及びサブ情報
を適応的に量子化する。この適応量子化回路305から
は、適応量子化出力(量子化変換係数情報)と上記ビッ
ト配分情報とが出力される。この適応量子化回路305
の各出力は、上記マルチプレクス・インサートフレーム
同期・エラーコレクション回路306に送られる。
【0157】これらマルチプレクス・インサートフレー
ム同期・エラーコレクション回路306では、各チャネ
ル毎に上記適応量子化された係数データとサブ情報(量
子化変換係数情報)及びビット配分情報をマルチプレク
スすると共に、エラー訂正符号を付加し、このデータに
対して前記図3のパーフォレーション3間の第1の領域
4に記録されるようなインサートフレーム同期処理を施
して出力する。このマルチプレクス・インサートフレー
ム同期・エラーコレクション回路306からの出力が、
前記図1の各基本情報の各チャネルに対応する圧縮符号
化回路231〜236の出力となる。
【0158】次に、図29には、前記図1の各圧縮符号
化回路241〜245に対応する伸張復号化回路の構成
を示す。すなわち、この図29の伸張復号化回路は、本
発明実施例の記録装置に対応する再生装置に適用される
ものであり、上記付加情報の各チャネルのうちの1チャ
ネル分の圧縮符号化された信号を復号化するものであ
る。
【0159】この図29において、各帯域の量子化され
たMDCT係数は復号化装置入力端子122、124、
126に与えられ、また使用されたブロックサイズ情報
及び適応ビット配分情報は入力端子123、125、1
27に与えられる。復号化回路116、117、118
では、適応ビット配分情報を用いてビット割当を解除
し、ブロックサイズ情報を用いて伸張復号化を行う。
【0160】次に、IMDCT回路113、114、1
15では、周波数領域の信号が時間領域の信号に変換さ
れる。これらの部分帯域の時間領域信号は、IQMF回
路112、111により、全体域信号に復号化される。
【0161】ここで、伸張復号化回路では、前記チャネ
ルビット配分を含む128kbps以下のビット配分
(1) が行われるチャネルと、前記チャネルビット配分を
含む147kbps以上のビット配分(2) が行われるチ
ャネルにおけるある一定のビット量例えば128kbp
sを最大とする部分と128kbpsを越える部分のそ
れぞれが、上記復号化回路116,117,118で復
号化される。但し、ビット配分(2) の2つ部分はそれそ
れが復号化された後、それぞれのサンプルが加算されて
精度の高いサンプルとなる。
【0162】また、得られた各チャネルのデータの並べ
方については、シンクブロック中に、先ず、(1)前記
チャネルビット配分を含む128kbps以下のビット
配分が行われるチャネル、(2)前記チャネルビット配
分を含む147kbps以上のビット配分が行われるチ
ャネルにおけるある一定のビット量例えば128kbp
sを最大とする部分を、チャネル順に並べ、次に前記チ
ャネルビット配分を含む147kbps以上のビット配
分が行われるチャネルにおける128kbpsを越える
部分をチャネル順に並べる。
【0163】次に、図1の基本情報の各チャネルの圧縮
符号化回路231〜236に対応する伸張復号化回路の
構成を図30(1チャネル分)に示す。すなわち、この
図30の伸張復号化回路は、本発明実施例の記録装置に
対応する再生装置に適用されるものであり、上記基本情
報の各チャネルの圧縮符号化されたディジタルオーディ
オ信号に対して復号化を行うものである。
【0164】この図30において、入力端子210に
は、前記高率圧縮符号化が施されたディジタルオーディ
オ信号が供給される。この信号は、フレーム同期・デマ
ルチプレクス・エラーコレクション回路211によっ
て、前記第1の領域に対応するフレーム同期処理とデマ
ルチプレクスとエラー訂正が行われる。
【0165】当該フレーム同期・デマルチプレクス・エ
ラーコレクション回路211からは、適応量子化された
量子化変換係数情報とビット配分情報が出力される。量
子化変換係数情報は、適応逆量子化回路212に送られ
る。また、ビット配分情報は量子化ステップサイズコン
トロール回路213に送られる。上記適応逆量子化回路
212は、上記量子化ステップサイズコントロール回路
213からの量子化ステップサイズ情報に基づいて、上
記量子化変換係数情報に対して逆量子化を施す。この適
応逆量子化回路212からの量子化圧縮変換係数はサブ
バンド・ブロックフローティングポイント伸張回路21
4に送られる。
【0166】上記サブバンド・ブロックフローティング
ポイント伸張回路214では、前記図27のサブバンド
・ブロックフローティングポイント圧縮回路304の逆
処理を行う。この伸張回路214の出力は、同じく図2
7の直交変換回路303の逆変換処理を行う逆直交変換
回路215によってNポイントのサンプルデータに変換
され、ウインドウ・オーバーラップ加算回路416に送
られる。当該ウインドウ・オーバーラップ加算回路21
6では、前記オーバーラップが解除されて、PCMオー
ディオ信号として出力される。このPCMオーディオ信
号が出力端子216から取り出される。
【0167】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、記録媒体の記録領域を第1の領域と第2
の領域とに分け、記録媒体の第1の領域には複数チャネ
ルのうちの基本情報を記録し、第2の領域には他の付加
情報を記録するようにしており、例えば、フィルムのパ
ーフォレーション間の領域を第1の領域とし、長手領域
を第2の領域とすることで、いずれか一方の領域に記録
された情報が無くなったとしても、後の再生の際に他方
の情報を用いて再生可能となる。
【0168】すなわち、例えば映画フィルムの編集時の
切断等によって、チャネルオーディオ信号の再生が不可
能となることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録方法を実現する実施例の記録装置
の要部の概略構成を示すブロック回路図である。
【図2】8チャネルディジタルサラウンドシステムにお
けるスピーカの配置を説明するための図である。
【図3】映画フィルム1上の第1の領域と第2の領域に
ついて説明するための図である。
【図4】本発明の再生装置において付加情報のチャネル
の圧縮符号化データから基本情報のチャネルのディジタ
ルオーディオ信号を再現する具体例の構成を示すブロッ
ク回路図である。
【図5】本発明の再生装置において基本情報のチャネル
の圧縮符号化データから付加情報のチャネルのうちのレ
フトセンタチャネルとライトセンタチャネルのディジタ
ルオーディオ信号を再現する具体例の構成を示すブロッ
ク回路図である。
【図6】再生装置の他の具体例の構成を示すブロック回
路図である。
【図7】付加情報のチャネルのディジタルオーディオ信
号を圧縮符号化する圧縮符号化回路の一具体例(チャネ
ル間ビット配分を行わない例)の概略構成を示すブロッ
ク回路図である。
【図8】付加情報のチャネルのディジタルオーディオ信
号を圧縮符号化する圧縮符号化回路の一具体例(チャネ
ル間ビット配分を行う例)の概略構成を示すブロック回
路図である。
【図9】付加情報の圧縮符号化回路での信号の周波数及
び時間分割を示す図である。
【図10】付加情報の圧縮符号化回路におけるマルチチ
ャネルでのビット配分用パラメータを求める構成の一例
を示すブロック回路図である。
【図11】付加情報の圧縮符号化回路におけるチャネル
間でスペクトルの大きさからビット配分を行うときの概
念を示す図である。
【図12】付加情報に対するチャネル間での情報信号の
時間特性を考慮したビット配分の為のパラメータの求め
方を示す図である。
【図13】ビット配分(1) のビット配分量とトーナリテ
ィとの間の関係を示す図である。
【図14】ビット配分(1) のビット配分量と時間変化率
との間の関係を示す図である。
【図15】均一配分の時のノイズスペクトルを示す図で
ある。
【図16】情報信号の周波数スペクトル及びレベルに対
する依存性を持たせた聴覚的な効果を得るためのビット
配分によるノイズスペクトルの例を示す図である。
【図17】情報信号の大きさ及び聴覚許容雑音スペクト
ルの二者を用いたビット配分手法を実現する構成を示す
ブロック回路図である。
【図18】許容雑音レベルを求める構成を示すブロック
回路図である。
【図19】各帯域の信号レベルによるマスキングスレシ
ョールドの例を示す図である。
【図20】情報スペクトル、マスキングスレショール
ド、最小可聴限を示す図である。
【図21】トーナリティが低い情報信号に対する信号レ
ベル依存および聴覚許容雑音レベル依存のビット配分を
示す図である。
【図22】トーナリティが高い情報信号に対する信号レ
ベル依存および聴覚許容雑音レベル依存のビット配分を
示す図である。
【図23】トーナリティが低い情報信号に対する量子化
雑音レベルを示す図である。
【図24】トーナリティが高い情報信号に対する量子化
雑音レベルを示す図である。
【図25】マルチチャネルにおけるビット配分の関係を
示す図である。
【図26】ビット配分の分割を行う具体的構成を示すブ
ロック回路図である。
【図27】基本情報のチャネルのディジタルオーディオ
信号を圧縮符号化する圧縮符号化回路の具体的構成例を
示すブロック回路図である。
【図28】基本情報の各チャネル間のビット配分を決定
する具体的構成例を示すブロック回路図である。
【図29】付加情報の各チャネルの圧縮符号化されたデ
ィジタルオーディオ信号を伸張復号化する再生装置の伸
張復号化回路の構成例を示すブロック回路図である。
【図30】基本情報の各チャネルの圧縮符号化されたデ
ィジタルオーディオ信号を伸張復号化する再生装置の伸
張復号化回路の構成例を示すブロック回路図である。
【符号の説明】
1・・・映画フィルム 2・・・映像記録領域 3・・・パーフォレーション 4・・・第1の領域 5・・・第2の領域 211・・・フレーム同期・デマルチプレクス・エラー
コレクション回路 212・・・適応逆量子化回路 213・・・量子化ステップサイズコントロール回路 214・・・サブバンド・ブロックフローティングポイ
ント伸張回路 215・・・逆直交変換回路 216・・・ウインドウ・オーバーラップ加算回路 231〜236・・・基本情報の各チャネル用の圧縮符
号化回路 241〜245・・・付加情報の各チャネル用の圧縮符
号化回路 238,367・・・LC合成回路 239,368・・・RC合成回路 237・・・mixL合成回路 240・・・mixR合成回路 246〜248・・・ディレイ回路 302・・・バッファ 303・・・直交変換回路 304・・・サブバンド・ブロックフローティングポイ
ント圧縮回路 305・・・適応量子化回路 306・・・マルチプレクス・インサートフレーム同期
・エラーコレクション回路 322・・・logスペクトラルエンベロープ検出回路 323・・・分配決定回路 345〜347,398〜400・・・付加情報のチャ
ネル用の伸張復号化回路 347,348・・・分離回路 349・・・LC分離回路 350・・・RC分離回路 351〜353・・・加算器 364〜366,378〜380・・・基本情報のチャ
ネル用の伸張復号化回路 381,382・・・加算器 383〜388,404〜411・・・アンプ 389〜394,412〜419・・・スピーカ 401〜403・・・切換スイッチ 11,12・・・帯域分割フィルタ 13,14,15・・・MDCT回路 16,17,18・・・適応ビット配分符号化回路 19,20,21・・・ブロックサイズ決定回路 31・・・各チャネル情報信号入力端子 32・・・マッピング回路 33・・・ブロッキング回路 34・・・時間変化算出回路 35・・・スケ−ルファクタ算出回路 36・・・トーナリティ算出回路 37・・・正規化回路 38・・・ビット配分回路 116,117,118・・・適応ビット配分復号化回
路 113,114,115・・・IMDCT回路 112,111・・・IQMF回路 520・・・許容雑音算出回路 521・・・許容雑音算出回路入力端子 522・・・帯域毎のエネルギ検出回路 523・・・畳込みフィルタ回路 524・・・引算器 525・・・n−ai関数発生回路 526・・・割算器 527・・・合成回路 528・・・減算器 530・・・許容雑音補正回路 532・・・最小可聴カーブ発生回路 533・・・補正情報出力回路 802・・・使用可能総ビット発生回路 803・・・帯域毎のエネルギ算出回路 804・・・エネルギ依存のビット配分回路 805・・・聴覚許容雑音レベル依存のビット配分回路 806・・・アダー 808・・・スペクトルの滑らかさ算出回路 809・・・ビット分割率決定回路 811、812・・・マルチプライヤ 905,906・・・正規化回路 901・・・第1の量子化器 903・・・第2の量子化器 907,909・・・逆正規化回路 904・・・加算器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数チャネルの情報を記録媒体に記録す
    る記録方法において、 上記記録媒体の記録領域を第1の領域と第2の領域とに
    分け、 上記記録媒体の上記第1の領域には上記複数チャネルの
    うちの基本情報を記録し、 上記第2の領域には他の付加情報を記録することを特徴
    とする記録方法。
  2. 【請求項2】 上記複数チャネルのうちの基本情報は、
    レフトチャネルとセンタチャネルとライトチャネルのオ
    ーディオ情報であり、 上記付加情報は、レフトセンタチャネルとライトセンタ
    チャネルのオーディオ情報であることを特徴とする請求
    項1記載の記録方法。
  3. 【請求項3】 上記付加情報は、センタチャネルのオー
    ディオ情報を遅延させた遅延センタチャネルの情報と、
    レフトチャネルとレフトセンタチャネルとサラウンドレ
    フトチャネルのオーディオ情報を混合して遅延した遅延
    混合レフトチャネルの情報と、ライトチャネルとライト
    センタチャネルとサラウンドライトチャネルのオーディ
    オ情報を混合して遅延した遅延混合ライトチャネルの情
    報であることを特徴とする請求項2記載の記録方法。
  4. 【請求項4】 上記記録媒体はフィルムであり、上記第
    1の領域は当該フィルムのパーフォレーション間の領域
    とし、上記第2の領域は当該フィルムの長手領域とする
    ことを特徴とする請求項1記載の記録方法。
  5. 【請求項5】 複数チャネルの情報を記録してなる記録
    媒体において、 記録領域として第1の領域と第2の領域とを有し、 上記第1の領域には上記複数チャネルのうちの基本情報
    を記録し、上記第2の領域には他の付加情報を記録して
    なることを特徴とする記録媒体。
  6. 【請求項6】 複数チャネルの情報が記録された記録媒
    体から各チャネルの情報を再生する再生方法において、 上記記録媒体の第1の領域に記録された情報を複数チャ
    ネルのうちの基本情報として再生し、 上記記録媒体の第2の領域に記録された情報を他の付加
    情報として再生することを特徴とする再生方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5818812A (en) * 1995-09-22 1998-10-06 Fujitsu Limited Optical recording medium and reproducing method for the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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