JPH07159384A - 超音波顕微鏡 - Google Patents

超音波顕微鏡

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JPH07159384A
JPH07159384A JP5305191A JP30519193A JPH07159384A JP H07159384 A JPH07159384 A JP H07159384A JP 5305191 A JP5305191 A JP 5305191A JP 30519193 A JP30519193 A JP 30519193A JP H07159384 A JPH07159384 A JP H07159384A
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Japan
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wave
ultrasonic
intensity
received signal
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JP5305191A
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Inventor
Tomio Endo
富男 遠藤
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、簡単な構成で、複素V(z)
曲線を測定できると共に超音波画像を形成できる超音波
顕微鏡の提供にある。 【構成】高周波バースト波を発生する送信手段2と、高
周波バースト波を超音波へ変換して試料7へ入射すると
共に、試料反射波を受波してな受信信号へ変換する電気
音響変換手4,5と、受信信号を位相検波して複素情報
を得る位相検波手段11と、複素情報を記憶する記憶手
段1と、複素情報から受信信号に含まれる試料反射波の
強度を求める強度演算手段15〜17と、強度演算手段
15〜17で算出された強度情報を記憶する画像記憶手
段19と、超音波を試料7に対してXY平面内で走査す
るXY走査手段24と、超音波が収束する位置と試料7
とのZ軸方向の距離を変化させるZ走査手段22と、画
像記憶手段19に記憶された強度情報を可視化する超音
波画像表示手段21とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波を利用して試料
の弾性的性質を画像化し、また定量的な測定を行うこと
のできる超音波顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】音響レンズにて収束させた超音波を試料
に入射し、その試料からの反射波を受波して超音波画像
を形成したり、又は試料反射波からいわゆるV(z)曲
線を測定し試料の微小部分の弾性的性質を測定する装置
として超音波顕微鏡が知られている。従来の超音波顕微
鏡は試料からの反射波の強度のみを測定していた。一
方、最近では、試料の弾性的性質についてより多くの情
報を得るために、試料反射波の強度と共に位相を検出す
る超音波測定装置が開発されており、例えば特開平5−
26854号公報に開示されている。
【0003】図5は、試料反射波の強度と位相を検出可
能にした超音波測定装置の構成例を示している。この超
音波測定装置は、基準信号発振部101が常時一定周波
数の連続波を発生する。またコンピュータ102から送
信トリガを受信した制御部103が、送信トリガに同期
して基準信号発振部101の発振周波数の数十周期分の
時間幅に相当するON,OFF信号をアナログスイッチ
104へ出力する。アナログスイッチ104は、ON,
OFF信号に対応して切り替わり、基準信号発振部10
1の発生した連続波をON時に切り出して送信バースト
信号を生成する。この生成した送信バースト信号をサー
キュレータ105を介してトランスデューサ106へ印
加する。トランスデューサ106は、送信バースト信号
を超音波へ変換して音響レンズ107に入射する。音響
レンズ107はレンズ内を伝播した超音波を音響レンズ
107の他端面に形成したレンズ面により収束する超音
波として出射する。音響レンズ107から出射される超
音波の収束点に試料台108上に載置された試料109
が置かれる。なお、音響レンズ107のレンズ面と試料
109との間は、超音波を伝播させるためにカプラ液体
110で満たされている。
【0004】試料109で反射した超音波は、再びカプ
ラ液体110,音響レンズ107を伝播してトランスデ
ューサ106で電気信号へ変換される。以下、この信号
を受信信号と呼ぶ。トランスデューサ106で変換され
た受信信号をサーキュレータ105を介して前置増幅器
111に入力し、そこで増幅した受信信号をさらに乗算
部112a,112bへそれぞれ入力する。乗算部11
2aは、基準信号発振部101で発生している連続波が
そのまま入力されており、当該連続波と受信信号との乗
算を行い同相成分を出力する。また乗算部112bは、
基準信号発振部101の連続波を90度位相を変化させ
る移相器113を介して入力しており、90度位相変化
させた信号と受信信号とを乗算して直交成分を出力す
る。
【0005】ここで、周波数をω,時間をtとすると、
基準信号発振器101の出力する信号はsin(ωt)で表す
ことができる。一方、受信信号は、試料の弾性的性質,
音響レンズとカプラ液体中を伝播することによる時間等
により位相が送信信号に対して遅れているのでこの位相
遅れをφとすると、Bsin(ωt-φ) で表せる。なお、B
は受信信号の強度である。従って、乗算部112aの同
相成分U1と乗算部112bの直交成分U2は次のよう
になる。
【0006】 U1(T) = (B/2){cosφ− cosφcos( 2ωt)− sinφ・sin( 2ωt)} (1) U2(T) = (B/2){sinφ+ sinφcos( 2ωt)− cosφ・sin( 2ωt)} (2) 上式においてφは定数であるから、 sinφ,cosφも定数
であるので、U1,U2はD.C.と2ωの周波数を持って
おり、2ω成分を除けば、受信信号の位相遅れφに関す
るsin,cos 成分(Bsinφ/2, Bcosφ/2)を取り出すこと
ができる。実際には、送信がバースト波であるからBsin
φ/2, Bcosφ/2の強度の矩形波となる。
【0007】乗算部112aの同相成分と乗算部112
bの直交成分はそれぞれローパスフィルター114a,
114bに入力する。ローパスフィルター114aは同
相成分から、またローパスフィルター114bは直交成
分からそれぞれ2ω成分を除去し、Bsinφ/2, Bcosφ/2
に相当する強度を持つ矩形波をA/D変換器115a,
115bへ出力する。A/D変換器115a,115b
が同相成分,直交成分の検波出力をA/D変換してデジ
タル信号へ変換すると、そのデジタル信号をコンピュー
タ102に内蔵するメモリへ記憶する。
【0008】また、Z走査部116がコンピュータ10
2からの指令に応じて音響レンズ107と試料109と
の距離を変化させると、Z検出部117が音響レンズ1
07と試料109との相対距離を検出しコンピュータ1
02へ検出値を送出する。
【0009】V(z)測定時は、Z走査部116により
音響レンズ107と試料109とのZ方向の相対距離を
変化させてゆき、その変化をZ検出部117で検出し
て、検出される距離が一定量変化する度にコンピュータ
102が送信トリガを出力して前記一連の動作による測
定を実行する。これによりコンピュータ102のメモリ
には複素V(z)曲線のデータが蓄積される。この複素
V(z)曲線をフーリエ変換することにより、試料の反
射関数が求められ、反射関数の計算により横波音速,レ
ーリー波音速,ラム波音速等の試料の弾性的性質を求め
ることができる。なお、複素V(z)曲線をフーリエ変
換することにより反射関数が求められることは、文献
K.K.Liang G.S.Kino and B.T.Khuri-Yakub:"Material C
haracterization by Inversion of V(z)":IEEE Trans.S
onics and Ultras on .,SU-32 2(1985)で述べられてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た超音波測定装置は、複素V(z)曲線の測定は可能で
あるが、超音波画像を得ることができないという欠点が
ある。すなわち、A/D変換器115a,115bの出
力を画像メモリへ記憶したとしても、実際に得られる情
報は同相成分と直交成分の複素情報だけであることか
ら、一般の超音波顕微鏡のような反射強度情報の画像を
得ることができない。反射強度情報を得るために受信信
号のピーク値を検出するピーク検波部を別途設けること
も考えられるが、その様な構成を採用するとゲート部及
びゲートタイミング設定部が必要となるため回路構成が
複雑化する。しかも、ピーク検波回路は使用できる周波
数帯域が狭いので周波数によっては複数のピーク検波回
路を切り替える必要も生じる。また、ピーク検波には一
般にダイオードが用いられるが、ダイオードはある程度
電位差が生じないとオンしないため、不感帯が生じるこ
ととなり微小な信号は検波されない不具合が生じる。
【0011】本発明は、以上のような実情に鑑みてなさ
れたもので、簡単な構成で、複素V(z)曲線を測定で
きると共に、非常に微小な反射信号からでも試料反射波
の強度情報による超音波画像を形成できる超音波顕微鏡
を提供することを目的する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、次のような手段を講じた。請求項1に対
応する超音波顕微鏡は、高周波バースト波を発生する送
信手段と、前記送信手段で発生した高周波バースト波を
超音波へ変換し収束超音波にして試料へ入射すると共
に、該試料からの反射波を受波して電気的な受信信号へ
変換する電気音響変換手段と、前記電気音響変換手段か
ら出力される受信信号を位相検波して該受信信号の複素
情報を得る位相検波手段と、前記位相検波手段で得られ
た複素情報を記憶する記憶手段と、前記位相検波手段で
得られた複素情報から前記受信信号に含まれる試料反射
波の強度を求める強度演算手段と、前記強度演算手段で
算出された強度情報を記憶する画像記憶手段と、前記超
音波の試料への入射方向をZ軸、該Z軸と直交する2軸
をX,Y軸として、前記超音波を前記試料に対してXY
平面内で走査するXY走査手段と、前記超音波が収束す
る位置と前記試料とのZ軸方向の距離を変化させるZ走
査手段と、前記画像記憶手段に記憶された強度情報を可
視化する超音波画像表示手段とを具備する構成とした。
【0013】請求項2に対応する超音波顕微鏡は、上記
請求項1に記載の構成において、前記強度演算手段を、
前記受信信号の複素情報のうちの同相成分と直交成分と
をそれぞれ2乗する2乗演算手段と、前記2乗演算手段
で算出した同相成分と直交成分のそれぞれの演算結果を
加算する加算手段と、前記加算手段で算出された加算値
を平方根演算する開平演算手段とから構成した。
【0014】請求項3に対応する超音波顕微鏡は、高周
波バースト波を発生する送信手段と、前記送信手段で発
生した高周波バースト波を超音波へ変換し収束超音波に
して試料へ入射すると共に、該試料からの反射波を受波
して電気的な受信信号へ変換する電気音響変換手段と、
前記受信信号を位相検波して該受信信号の複素情報を同
相成分,直交成分として得る位相検波手段と、前記位相
検波手段で得られた同相成分,直交成分を任意のタイミ
ングでサンプルホールドするサンプルホールド手段と、
前記サンプルホールド手段でホールドされた信号から前
記受信信号に含まれる試料反射波の強度を求める強度演
算手段と、前記強度演算手段で算出された強度情報を記
憶する画像記憶手段と、前記超音波の試料への入射方向
をZ軸、該Z軸と直交する2軸をX,Y軸として、前記
超音波を前記試料に対してXY平面内で走査するXY走
査手段と、前記超音波が収束する位置と前記試料とのZ
軸方向の距離を変化させるZ走査手段と、前記画像記憶
手段に記憶された強度情報を可視化する超音波画像表示
手段とを具備する構成とした。
【0015】
【作用】本発明は、以上のような手段を講じたことによ
り、次のような作用を奏する。請求項1に対応する超音
波顕微鏡では、送信手段で発生した高周波バースト波が
電気音響変換手段へ送信されると、高周波バースト波が
超音波へ変換され収束超音波として試料へ入射される。
試料への超音波の入射に伴い、当該試料で反射した超音
波(反射波)は電気音響変換手段で受波され電気的な受
信信号へ変換される。電気音響変換手段から出力された
受信信号が位相検波手段に入力すると、受信信号が位相
検波されその複素情報が出力される。
【0016】例えばV(z)測定を行う場合であれば、
Z走査手段で超音波が収束する位置と試料とのZ軸方向
の距離を変化させてゆき、そのとき得られる複素情報を
記憶手段に順次記憶する。
【0017】また、試料反射波強度による超音波画像を
得る場合であれば、複素情報を強度演算手段へ入力する
ことにより超音波画像を得ることができる。強度演算手
段では位相検波手段で得られた複素情報から受信信号に
含まれる試料反射波の強度を求め、その強度情報を画像
記憶手段へ記憶する。XY走査手段で超音波を試料に対
してXY平面内で走査したときに得られる強度情報を記
憶することにより超音波画像表示手段で強度情報を可視
化することができる。
【0018】請求項2に対応する超音波顕微鏡では、受
信信号の同相成分,直交成分は、図2(f)(g)に示
すように受信信号の強度Bにcos φ,sin φに比例した
強度を持った矩形波であるので、2乗演算手段で複素情
報のうちの同相成分と直交成分とをそれぞれ2乗し、さ
らに加算手段で演算結果を加算し、その加算値を開平演
算手段で平方根演算することにより、図2(h)に示す
ような受信信号の強度に比例する矩形波が得られる。
【0019】請求項3に対応する超音波顕微鏡では、位
相検波出力をサンプルホールド回路で一定期間ホールド
するため、処理すべき矩形波のパルス幅が数十〜数百n
secであっても、通常の周波数特性を持った素子で強
度演算手段を構成することができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、本発明の第1実施例に係る超音波顕微鏡の構成を
示している。本実施例の超音波顕微鏡は、CPU1から
指定された周波数で送信部2が連続波を発生し、送信部
2が発生する連続波の一部を第1の半導体スイッチ3が
切り出すようにしている。第1の半導体スイッチ3で切
り出された連続波が印加されるトランスデューサ4は音
響レンズ5の一端面に設けられており、トランスデュー
サ4で発生させる超音波を音響レンズ5がカプラ液体6
内で収束させる。音響レンズ5の焦点付近に試料7が水
槽8の中に置かれた状態で配置される。第1の半導体ス
イッチ3で切り出された連続波は、第2の半導体スイッ
チ9を介してトランスデューサ4へ印加され、また試料
反射波をトランスデューサ4で電気的信号に変換した受
信信号は、第2の半導体スイッチ9を介して前置増幅器
10へ入力する。
【0021】前置増幅器10の出力段には位相検波部1
1が接続されている。位相検波部11は送信部2から入
力する信号を参照波として受信信号を直交位相検波し、
同相成分と直交成分を出力する。位相検波部11の同相
成分を出力する端子にはA/D変換器14a,2乗演算
部15aを接続し、位相検波部11の直交成分を出力す
る端子にはA/D変換器14b,2乗演算部15bを接
続している。A/D変換器14a,14bの出力はCP
U1へ入力される。一方、2つの2乗演算部15a,1
5bの出力は同一の加算部16へ入力する。加算部16
の出力段には平方根演算部17を接続し、その平方根演
算部17の出力をA/D変換部18を介して画像メモリ
19に記憶している。
【0022】CPU1は、第1,第2の半導体スイッチ
3,9の切替えタイミング、A/D変換部14a,14
b,18のA/D変換タイミングをパルス制御部20を
使って管理している。さらに、CPU1にはディスプレ
イ21,Z走査部22,Z測距部23、XY走査部24
が接続されている。
【0023】ディスプレイ21は、CPU1の指令で文
字,グラフ及び画像メモリ19内に記憶している超音波
画像を表示する。Z走査部22は、V(z)測定または
焦点合わせのために試料7と音響レンズ5とのZ軸方向
(高さ方向)の相対距離を連続的に変化させる。Z測距
部23は、試料7と音響レンズ5とのZ軸方向の距離の
変化を検出するものである。XY走査部24は、試料7
をZ軸と直交する2軸であるX,Y軸を含む平面のXY
平面内で2次元走査する。
【0024】次に、以上のように構成された本実施例の
動作について図2のタイムチャートを参照して説明す
る。まず、CPU1から送信部2に対して周波数が設定
され、送信部2がCPU1で設定された周波数で常時一
定周波数の連続波を出力する。次に、CPU1からパル
ス御部20へ送信トリガが送信されると(図2
(a))、パルス制御部20が送信トリガに同期して、
第2の半導体スイッチ9に対してオン,オフのための切
替えパルスを送信する(図2(b))と共に、第1の半
導体スイッチ3に対して第2の半導体スイッチ9の切替
えパルス(図2(b))よりも遅れてオンになり、かつ
早くオフになる,パルス幅数十nsec〜数百nsec
の切替えパルス(図2(c))を送信する。
【0025】第1の半導体スイッチ3は、図2(c)の
信号のオン,オフに対応して切り替わり、オン時に送信
部2で発生している連続波が第2の半導体スイッチ9へ
入力して送信バースト信号が生成される(図2
(d))。第2の半導体スイッチ9は切替えパルスがオ
ンの時は第1の半導体スイッチ3側へ、オフの時は前置
増幅器側へ切り替わる。
【0026】第1の半導体スイッチ3で生成した送信バ
ースト信号は、第2の半導体スイッチ9を通ってトラン
スデューサ4に印加される。送信バースト波はトランス
デューサ4で電気音響変換されて超音波へ変換される。
トランスデューサ4にて変換された超音波は音響レンズ
5内を伝播し、そのレンズ面から収束する超音波として
出射し、試料7に入射する。
【0027】試料7に入射した収束超音波は、試料7で
反射され、再びカプラ液体6,音響レンズ5を伝播して
トランスデューサ4で電気的な信号である受信信号に変
換される。試料反射波がトランスデューサ4で受信信号
へ変換さたれ時には、既に第2の半導体スイッチ9は前
置増幅器10へ切り替わっているので、トランスデュー
サ4で変換された受信信号は第2の半導体スイッチ9を
通って前置増幅器10へ入力する。
【0028】前置増幅器10で増幅された受信信号は位
相検波部11へ入力される。位相検波部11では、前置
増幅器10からの受信信号を送信部2の出力する連続波
を参照信号として同相成分と直交成分とを出力する。こ
のとき、受信信号が連続波ならば、受信信号と参照信号
との位相差をφとしたとき、同相成分と直交成分はそれ
ぞれcos φ,sin φに相当するD.C.のみが残る。検波前
の受信信号は図2(e)に示すようにバースト波である
から、位相検波された信号は図2(f)(g)に示すよ
うな矩形波となる。図2(f)は位相検波部11の検波
出力の同相成分出力を、同図(g)は直交成分を示して
いる。
【0029】ここで、複素V(z)測定時のように試料
反射波の複素情報を得る場合は、受信信号の位相検波出
力から試料反射成分を取出すため、図2(i)に示すよ
うに送信トリガに対して時間Tdだけ遅れたタイミング
のA/D変換タイミング信号をパルス制御部20で作
る。そしてA/D変換部14a,14bが図2(i)に
示すA/D変換タイミング信号で動作することにより、
同相成分,直交成分をデジタル信号に変換し、CPU1
内のメモリへ格納する。前記送信トリガに対するA/D
変換のトリガ信号の時間遅延量TdはCPU1からパル
ス制御部20に対して任意に設定可能になっている。
【0030】以上の動作により試料7上の1点の反射波
の複素情報を測定できる。複素V(z)曲線の測定時に
は、Z走査部22で試料7と音響レンズ5とのZ軸方向
の距離を変化させて、以上の動作を繰り返す。
【0031】なお、A/D変換部14a,14bの動作
タイミングは、試料7と音響レンズ5とのZ軸方向の距
離を変化させると、反射波のタイミングがずれるので、
測定時に一番最初にオシロスコープ等で反射信号を観察
しながら遅延時間Tdを設定し、その後はZ測距部23
によって初期位置からの相対移動距離ΔZを求め、以下
のようにしてずれ時間ΔTを計算する。
【0032】ΔT=2ΔZ/C1 (3) なお、C1はカプラ液体の音速である。CPU1では、
上記(3)式よりΔTを演算し、そのΔTにて時間補正
した初期の送信トリガからの時間遅延Tdをパルス制御
部20へ送信する。
【0033】以上の動作により、CPU1に内蔵するメ
モリに複素V(z)曲線のデータが記憶される。この複
素V(z)曲線を逆フーリエ変換すると、 P2 (cosθ) R(cosθ)=F-1{V(z)} となる。ここで、Pは瞳関数,Rは反射関数,θは超音
波の試料への入射角である。従って、Pがわかれば反射
関数が求められる。瞳関数は鉛のように周期的なV
(z)を示さない試料から求めることができる。よっ
て、CPU1に瞳関数Pを予め入力することにより、反
射関数Rを求める。この様にして計算された反射関数か
らは、縦波,横波,表面波の音速等がわかるので試料の
弾性定数を求めることができる。
【0034】一方、本実施例において超音波画像を得る
場合の動作は以下のようになる。まず、受信信号が位相
検波されるまでの動作は複素情報を得る場合と全く同じ
である。位相検波された受信信号の同相成分,直交成分
はそれぞれ2乗演算部15a,15bに入力され、そこ
でアナログ信号の状態で2乗される。この2つの2乗演
算部15a,15bの出力が加算部16で加算される。
その加算値を表す信号は平方根演算部17でルート演算
される。
【0035】ここで、同相成分と直交成分は、図2
(f)(g)に示すように、受信信号の強度Bのcos
φ,sin φに比例した強度を持った矩形波である。従っ
て、同相成分,直交成分をそれぞれ2乗してから両者を
加算し、その加算値の平方根をとれば、図2(h)に示
すような受信信号の強度に比例する矩形波が得られる。
【0036】この受信信号の強度に比例する矩形波に
は、試料反射の他に送信漏れやレンズ内反射が含まれて
いるので、複素情報を得るときと同様にして試料反射の
みを抽出する。すなわち、図2(i)のような送信トリ
ガに対してTdだけ遅れたタイミングでA/D変換タイ
ミング信号をパルス制御部20で作り、そのA/D変換
タイミング信号をA/D変換部18へ送信する。そして
A/D変換部18で図2(h)に示す試料反射の強度を
A/D変換したデジタルデータが画像メモリ19に記憶
される。
【0037】以上の動作により試料上の1点の超音波反
射の強度情報が得られる。超音波画像を得るためには、
XY走査部24で音響レンズ5に対して試料7を2次元
走査しながら上記動作を繰り返すことにより、試料7の
2次元画像データが画像メモリ19に記憶される。画像
メモリ19に記憶された2次元画像データをCPU1か
らの指令によりディスプレイ21が可視化する。
【0038】このように本実施例によれば、受信信号を
位相検波する位相検波部11から出力される同相成分と
直交成分を、V(z)曲線の測定時には複素情報として
A/D変換部14a,14bを介してCPU1のメモリ
に格納し、また超音波画像を形成すべき時は2乗演算部
15a,15b、加算部16,平方根演算部17,A/
D変換部18を介して画像メモリ19へ格納するように
したので、複素V(z)曲線を測定できると共に、超音
波の強度画像を形成することができる。しかもピーク検
波回路のような不感帯を持たないので微小な反射信号も
画像化できる。
【0039】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。図3は、第2実施例の要部の構成を示している。本
実施例は、前述した第1実施例の超音波顕微鏡における
位相検波部11の出力段にサンプルホールド回路(以
下、S/H部と呼ぶ)30a,30bを設けており、そ
の他の構成は第1実施例とほぼ同様である。第1実施例
と同様の構成部分には同一符号を付している。
【0040】本実施例の超音波顕微鏡は、位相検波部1
1の同相成分出力がS/H部30aへ入力し、直交成分
出力がS/H部30bへ与えられる。S/H部30a,
30bは、受信信号の同相成分,直交成分を、パルス制
御部20からのS/Hタイミングで保持する。S/H部
30aの出力段にはA/D変換部14aと2乗演算部1
5aが接続され、S/H部30bの出力段にはA/D変
換部14bと2乗演算部15bが接続されている。
【0041】次に、以上のように構成された本実施例の
動作について図4に示すタイムチャートを参照して説明
する。位相検波部11で位相検波された受信信号は、図
4(a)に示すように送信バースト波の幅を持ち、反射
強度のcos とsin に比例した強度の同相成分,直交成分
の矩形波になる。超音波顕微鏡で使用される送信周波数
の数百MHzでは、矩形波の幅は数十〜数百nsecに
なる。この矩形波を2乗演算したり、平方根演算するた
めのアナログ回路には100MHz程度の帯域が望まれ
るが、その様な素子は非常に高価である。本実施例で
は、図4(b)に示す試料反射のタイミングのパルスを
パルス制御部20からS/H部30a,30bへ出力す
る。S/H部30a,30bはそれぞれ図4(b)のタ
イミングで試料反射の同相成文,直交成分を図4(c)
に示すように保持する。
【0042】複素情報を得るときは、S/H部30a,
30bの出力をA/D変換部14a,14bでデジタル
データへ変換してCPU1に入力する。また強度情報を
得るときは、サンプルホールドされた信号を2乗演算部
15a,15bで2乗し、加算部16で同相成分と直交
成分とを加算し、平方根演算部17でルート演算して強
度信号へ変換する。
【0043】ここで、2乗演算部15a,15b、加算
部16,平方根演算部17に周波数特性のよくない部品
を使用した場合は、強度信号は図4(d)に示すように
ホールドしていない信号はなまって三角形になるが、ホ
ールドされている試料反射は立上がりが鈍くなるだけで
強度は変わらない。
【0044】S/H部30a,30bでホールドされた
信号をA/D変換部18でデジタルデータへ変換して画
像メモリ19に保存する。図4(e)のようにA/D変
換のタイミングはS/H部30a,30bのサンプルホ
ールドタイミングよりも使用する素子による遅れ分Ta
だけ遅延させたA/D変換タイミング信号をパルス制御
部20から送信する。この遅延時間Taは2乗演算部1
5a,15bや加算部16,平方根演算部17に使用す
る素子に依存するが、一般に数百nsec程度である。
【0045】このように本実施例によれば、上記第1実
施例の構成に加え、位相検波部11の出力段にS/H部
30a,30bを設け、同相成分出力及び直交成分出力
をサンプルホールドした状態でアナログ演算及びA/D
変換を行うようにしたので、この部分に周波数特性の良
くない素子を使うことができ、安価な部品構成にするこ
とができる。
【0046】なお、本発明は、上記各実施例に限定され
るものではない。例えば、位相検波部11で使用する参
照波として基準発振出力の代わりに、レンズ内反射を使
用することもできる。この場合には送信に従来通りバー
スト波発振器を用いることも可能である。その他にも本
発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施可能であ
る。
【0047】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、簡
単な構成で、複素V(z)曲線を測定できると共に、非
常に微小な反射信号からでも試料反射波の強度情報によ
る超音波画像を形成できる超音波顕微鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る超音波顕微鏡の構成
図である。
【図2】第1実施例に係る超音波顕微鏡の動作説明のた
めのタイムチャートである。
【図3】本発明の第2実施例に係る超音波顕微鏡の要部
の構成図である。
【図4】第2実施例に係る超音波顕微鏡の動作説明のた
めのタイムチャートである。
【図5】従来の超音波測定装置の構成図である。
【符号の説明】 1…CPU、2…送信部、3…第1の半導体スイッチ、
4…トランスデューサ、5…音響レンズ、7…試料、9
…第2の半導体スイッチ、11…位相検波部、14a,
14b,18…A/D変換部、15a,15b…2乗演
算部、16…加算部、17…平方根演算部、19…画像
メモリ、20…パルス制御部、22…Z走査部、23…
Z測距部、24…XY走査部、30a,30b…S/H
部。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波バースト波を発生する送信手段
    と、前記送信手段で発生した高周波バースト波を超音波
    へ変換し収束超音波にして試料へ入射すると共に、該試
    料からの反射波を受波して電気的な受信信号へ変換する
    電気音響変換手段と、前記電気音響変換手段から出力さ
    れる受信信号を位相検波して該受信信号の複素情報を得
    る位相検波手段と、前記位相検波手段で得られた複素情
    報を記憶する記憶手段と、前記位相検波手段で得られた
    複素情報から前記受信信号に含まれる試料反射波の強度
    を求める強度演算手段と、前記強度演算手段で算出され
    た強度情報を記憶する画像記憶手段と、前記超音波の試
    料への入射方向をZ軸、該Z軸と直交する2軸をX,Y
    軸として、前記超音波を前記試料に対してXY平面内で
    走査するXY走査手段と、前記超音波が収束する位置と
    前記試料とのZ軸方向の距離を変化させるZ走査手段
    と、前記画像記憶手段に記憶された強度情報を可視化す
    る超音波画像表示手段とを具備したことを特徴とする超
    音波顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記強度演算手段は、前記受信信号の複
    素情報のうちの同相成分と直交成分とをそれぞれ2乗す
    る2乗演算手段と、前記2乗演算手段で算出した同相成
    分と直交成分のそれぞれの演算結果を加算する加算手段
    と、前記加算手段で算出された加算値を平方根演算する
    開平演算手段とを備えることを特徴とする請求項1記載
    の超音波顕微鏡。
  3. 【請求項3】 高周波バースト波を発生する送信手段
    と、前記送信手段で発生した高周波バースト波を超音波
    へ変換し収束超音波にして試料へ入射すると共に、該試
    料からの反射波を受波して電気的な受信信号へ変換する
    電気音響変換手段と、前記受信信号を位相検波して該受
    信信号の複素情報を同相成分,直交成分として得る位相
    検波手段と、前記位相検波手段で得られた同相成分,直
    交成分を任意のタイミングでサンプルホールドするサン
    プルホールド手段と、前記サンプルホールド手段でホー
    ルドされた信号から前記受信信号に含まれる試料反射波
    の強度を求める強度演算手段と、前記強度演算手段で算
    出された強度情報を記憶する画像記憶手段と、前記超音
    波の試料への入射方向をZ軸、該Z軸と直交する2軸を
    X,Y軸として、前記超音波を前記試料に対してXY平
    面内で走査するXY走査手段と、前記超音波が収束する
    位置と前記試料とのZ軸方向の距離を変化させるZ走査
    手段と、前記画像記憶手段に記憶された強度情報を可視
    化する超音波画像表示手段とを具備したことを特徴とす
    る超音波顕微鏡。
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