JPH0715280Y2 - 音響制御装置 - Google Patents

音響制御装置

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JPH0715280Y2
JPH0715280Y2 JP1985070725U JP7072585U JPH0715280Y2 JP H0715280 Y2 JPH0715280 Y2 JP H0715280Y2 JP 1985070725 U JP1985070725 U JP 1985070725U JP 7072585 U JP7072585 U JP 7072585U JP H0715280 Y2 JPH0715280 Y2 JP H0715280Y2
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【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、通常の部屋やリスニングルーム等において
レコード等の再生をする場合に、ホール等の音響空間に
おける反射音データに基づいてその音響空間(またはこ
れに類似するモデル空間)でのその再生信号の反射音を
シミュレートすることにより、あたかもそのホール等で
演奏された音を聴いているような雰囲気をかもし出すこ
とのできる音響制御装置に関し、直接音と反射音の全体
音量および音量バランスを調整できるようにしたもので
ある。
〔従来の技術〕
通常のリスニングルームや部屋において音楽を聴く場
合、ソースに何らかの残響音を付加することにより、臨
場感を変化させることができる。残響音を付加する装置
として、従来はソース自体に含まれる残響成分を、例え
ば左右のチャネル信号を引算することにより抽出して、
これを適当に強調したり、遅延したり、位相を変えたり
する、いわゆるサウンドプロセッサがあった。
第2図は、このような従来のシステムを概念図で示した
ものである。すなわち、従来はコントロールファクタ10
として、レコードやテープ等のソース12自体に含まれる
残響成分を利用して、この残響成分をプロセッサ14で抽
出、増強、遅延、移相等の処理をして、アンプ16,18を
介してスピーカ20,22に供給するようにしていた。
ところが、ソース12に含まれる残響成分は、録音時にミ
キシングやエコー付けなどの処理により付与された人工
的なものであり、当然自然な残響音とは異なり、これを
いくら増強したり遅延させたり、位相変化させたりした
ところで、到底、実際のホールの臨場感を得るまでには
至らなかった。また、ソース自体に含まれている残響成
分しか利用できないので、残響感が固定的であり、リス
ナーが各種のホール空間を自由自在に再現させることな
ど全く不可能であった。
そこで、このような従来装置の欠点を除去するものとし
て、実際のホール等における反射音をシミュレートする
ようにしたものが考えられている。これは、通常のリス
ニングルーム等内において受聴点(リスナーの位置)の
周囲に複数個の反射音用スピーカを配置し、ホール等の
音響空間における反射音データに基づき、その音響空間
(またはこれに類似するモデル空間)での反射音をシミ
ュレートするように各反射音用スピーカで発すべき反射
音を生成するためのパラメータ(反射音パラメータ)を
求め、この反射音パラメータに基づきソース信号の反射
音を生成するようにしたものである(以下このようなシ
ステム全体をサウンドルームシステムといい、これに用
いられる部屋やリスニングルームをサウンドルームとい
う。)。
なお、ここでいう「反射音データ」とは、音響空間にお
いて反射音を構成する要素となるデータであり、具体的
には仮想音源分布等から求められる反射音の到来方向、
距離(=遅れ時間)および振幅レベル等のデータであ
る。
また、「反射音パラメータ」とは、反射音データで特定
される反射音を、サウンドルーム等において受聴点(リ
スナーが聴く位置)の周囲に配した複数のスピーカでシ
ミュレートするために、各スピーカから発すべき反射音
を生成するためのパラメータであり、具体的には遅れ時
間とゲインのパラメータである。この反射音パラメータ
は、反射音データと、受聴点に対するスピーカの位置等
の関係で求められる。
前記のサウンドルームシステムを用いる場合、直接音
(ソース再生音)は前記反射音用スピーカから発するこ
ともできるがより良好な音質を望むならばこれとは別個
に設けたメインスピーカから発するようにする(以下メ
インスピーカを別個に設けた場合について説明す
る。)。
サウンドルームシステムにおいては、メインスピーカか
らのソース再生音出力と、サブスピーカ(反射音用スピ
ーカ)からの反射音出力とは、最適な音量関係を有する
必要があり、いずれが多すぎても、再現すべき音響空間
の雰囲気を正確にかもし出せない。したがって両者のバ
ランス調整が必要であり、かつ部屋でのリスニングであ
る以上、全体音量の増減も可能であることが必要であ
る。また、その場合、ソース再生音出力と反射音出力と
のバランスを保った状態で全体音量の増減が可能である
ことが望ましい。
〔考案が解決しようとする問題点〕
この考案は、サウンドルームシステムにおける前述のよ
うな要請に応える音量バランス制御装置を提供しようと
するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
この考案は、サウンドルームシステムにおいて、ソース
再生音出力と反射音出力を全体音量および両者の音量比
で調整する音量バランス制御手段を具備したものであ
る。
〔サウンドルームシステムの原理〕
この考案の実施例を説明する前に、この考案が適用され
るサウンドルームシステムについて説明する。
サウンドルームシステムとは、前述のように、通常のリ
スニングルーム等内において受聴点の周囲に複数個の反
射音用スピーカを配置し、ホール等の音響空間におけけ
る反射音データに基づき、その音響空間(またはこれに
類似するモデル空間)での反射音をシミュレートするよ
うに各反射音用スピーカで発すべき反射音を生成するた
めのパラメータ(反射音パラメータ)を求め、この反射
音バラメータに基づきソース信号の反射音を生成するよ
うにしたものである。
反射音データは、反射音の到来方向、遅れ時間、振幅レ
ベル等で構成され、これはホール等の音響空間における
仮想音源分布により求めることができる。ここで、仮想
音源とは、ホール等の音響空間において、特定の受音点
から見たた実効的な反射音の音源をいう。すなわち、実
音源(実際の音源をいう。)から発せられた音は、直接
音として受音点に直接到達するほか、壁、天井、床、座
席等音響空間内のあらゆる反射性部分にて反射し、受音
点に到達する。この場合、受音点では、反射音は受音点
と壁面等の反射点とを結ぶ線の延長上にある音源から発
せられた音として見なすことができるから、これをその
受音点における仮想の音源すなわち仮想音源として把え
ることができる。
したがって、ある受音点における音響空間は、この受音
点での仮想音源の分布として把握することができ、通常
のリスニングルームや部屋等においても、各仮想音源か
らの反射音をシミュレートすれば、その音響空間を再現
し得て、実際にその音響空間内にいるかのように臨場感
を味わうことができる。
仮想音源の位置は、受音点からの方向と距離で決定され
るから、その仮想音源からの反射音をシミュレートする
には、直接音を仮想音源の方向から、その距離に対応し
た時間遅れで、かつ反射音の振幅レベルに応じた音量で
発すればよい。そして、これを音響空間における各仮想
音源1つ1つについてそれぞれ行なえば、その音響空間
を再現することができる。
仮想音源の求め方としては、再現しようとするホール等
の音響空間で実際にインパルス応答を測定して求める方
法とか、ホール等の音響空間の形状から計算により求め
る方法とがある。
測定により求める方法 前者の測定による方法としては、いわゆる4点法と呼ば
れるものがある。これは、音響空間内の近接した4点の
インパルス応答の時間差を利用して、その点から見た仮
想音源の座標を求めるものである。
インパルス応答は、実音源と仮想音源から同時にインパ
ルスを発したときの受音点での収音信号であると考えら
れ、応答の初期部分では反射音が重ならず個々に識別で
きるので、これを利用して仮想音源の分布を得る。
4点法による測定は、第3図に示すように、対象とする
音響空間24内の音源26によるインパルス応答をごく近接
した4つの受音点o,x,y,zで測定する。これらの受音点
o,x,y,zは一平面上にないことが必要条件であるが、後
の処理を容易にするため、第4図に示すように、1つの
受音点oを基準の原点として、他の3つの受音点x,y,z
が直交座標を形成するように配置する。原点oとの距離
は等しくdとする。
無響室内に反射板を1枚設置した簡単な実験を例に説明
する。
各受音点o,x,y,zにおけるマイクロホンMIC0,MICx,MIC
y,MICz,の出力は、第5図に示すようになる。これ
は、直接音が各マイクロホンMIC0,MICx,MICy,MICz
それぞれ時刻to0,tx0,ty0,tz0,に入射し、反射板か
らの反射音がto1,tx1,ty1,tz1に入射したことを示し
ている。
第6図は、反射音の工程を模式的に示したものである。
音源26は受音点o,x,y,zから見てy軸の方向にあるの
で、直接音はまずマイクロホンMICyに入射し、次にマイ
クロホンMIC0,MICx,MICzにほぼ同時に入射する。この
ため、第5図のように、 ty0<to0≒tx0≒tz0 が直接音について成立し、反射音については、 ty1<to1≒tz1<tx1 が成立する。
各受音点o,x,y,zから仮想音源26′までの距離ro1,r
z1,ry1,rz1は音速をvとすると次式で表わされる。
ro1=v・to1 rx1=v・tx1 ry1=v・ty1 rz1=v・tz1 任意の仮想音源の座標を(Xn,Yn,Zn)、その仮想音源
から各受音点o,x,y,zまでの距離をそれぞron,rxn,r
yn,rznとして、各受音点o,x,y,zを中心とし、仮想音源
を表面上にもつ球の方程式は、 Xn2+Yn2+Zn2=ron 2 (Xn-d)2+Yn2+Zn2=rxn 2 Xn2+(Yn-d)2+Zn2=ryn 2 Xn2+Yn2+(Zn-d)2=rzn 2 となる。この式を解くと、 となる。
以上のようにして、各反射音に対応する仮想音源の座標
を決定することができる。
一般に、インパルス応答は第5図のように単純ではな
く、多くの反射音が集まって複雑な形をしている。特定
の反射音が作り出したピークを各受音点のインパルス応
答から選び出すには、短い区間の相互相関を用いる。す
なわち、マイクロホンMIC0の出力のある区間と最も相互
相関係数が大きくなるような区間をマイクロホンMICx
MICy,MICzの出力の中から選び出して、反射音の到来時
間ton,txn,tyn,tznを決定する。
以上説明した4点法によりあるホールの仮想音源分布を
測定した一例を第7図〜第9図に示す。第7図はX−Y
平面(水平面)への投影図、第8図はY−Z平面への投
影図、第9図はX−Z平面の投影図である。図中oの大
きさは反射音のレベルを表わし、これは例えばマイクロ
ホンMIC0で代表して測定される。
計算により仮想音源を求める方法 仮想音源を測定によらず計算により求める方法として
は、鏡像法がある。これは第10図に示すように、壁面24
を鏡にたとえ、実音源27から音を発し、受音点28で音を
受ける場合に、壁面24での反射音を鏡でいう虚像位置に
ある音源30から仮想的に発せられたものとみなし、これ
ら仮想音源30を音響空間の壁面形状に応じて求めていく
ものである。
鏡像法によりあるホールの仮想音源分布を求めた一例を
第11図,第12図に示す。第11図はX−Y平面(水平面)
への投影図、第12図はY−Z平面への投影図である。鏡
像法の場合、振幅レベルは、受音点28から仮想音源まで
の距離に応じてそれぞれ設定する。
以上のようにして測定あるいは計算により求められた仮
想音源分布のデータに基づいて、各仮想音源からのソー
ス信号の反射音をサウンドルームでシミュレートする場
合、サウンドルーム内の四方に複数のサブスピーカを配
置し、ソース信号を適宜のサブスピーカ(仮想音源の方
向に対応)から適宜の時間遅れ(仮想音源までの距離に
対応)と、適宜の音量(反射音の振幅レベルに対応)で
発することにより、ソース信号の反射音をシミュレート
することができる。なお、直接音はソース信号そのもの
をメインスピーカから発するようにする。
この場合、サウンドルーム内における受聴点すなわちリ
スナーが聴く位置と各サブスピーカとの位置によって受
聴点で聴く反射音の方向、距離、レベルが変動するか
ら、受聴点に対するサブスピーカの位置(方向および必
要に応じて距離)も考慮して、いずれの方向のサブスピ
ーカからどの程度の音量と遅れ時間で反射音を発するか
を算出する。
また、サブスピーカは理想的にはすべての仮想音源の方
向に配置する必要がある。しかし、それを実現するに
は、受聴点を中心にサウンドルームの少なくとも上半球
面に漏れなくサブスピーカを配置することになり、現実
には実現不可能である。経済的には4個〜10個程度が限
度であるから、その程度の数のサブスピーカをサウンド
ルーム内の周囲に配置して、各サブスピーカの分担領域
を定め、各領域内に含まれる仮想音源の反射音をそれぞ
れ対応するサブスピーカで代表してシミュレートするよ
うにする。この方法によれば、隣接するサブスピーカの
中間にある仮想音源からの反射音はそのいずれか1つの
サブスピーカで代表して発せられるので、厳密にいえ
ば、仮想音源の方向を正確にシミュレートすることには
ならないが、サブスピーカ個数がある程度多ければ、実
用上は問題ないし、人の聴覚の方向判別能力に限界があ
ることを考えれば、これでも十分である。
あるいは、隣接するサブスピーカの中間にある仮想音源
の方向を正確にシミュレートする必要がある場合には、
それらのサブスピーカ間の音量配分により、それが実現
可能である。
このように隣接するサブスピーカの中間にある仮想音源
からの反射音をいずれか1つのサブスピーカで代表して
シミュレートする場合と、隣接するサブスピーカ相互間
の音量配分によりシミュレートする場合において、各サ
ブスピーカから発すべき音量および遅れ時間についてそ
れぞれ説明する。
1つのサブスピーカで代表してシミュレートする場合
第13図は、受聴点34を中心に8個のサブスピーカSP1〜S
P8を配置したものである。ここでは、音響空間を隣接す
るサブスピーカの中央位置と受聴点34とを結ぶ線で区切
って、水平面で8つの領域d1〜d8に分割する。各領域d1
〜d8にある反射音をPMnとすると、受聴点34でこれら反
射音PMnを得るに必要な各サブスピーカSP1〜SP8の再生
音PMs(M=1〜8)は次式で表わされる。
但し、 NM(M=1〜8):各領域d8〜d8にある仮想音源数(=
反射音数) U:ユニット関数 t:時間 τn:反射音の遅れ時間 隣接するサブスピーカ相互間の音量配分によりシミュ
レートする場合。
第14図に示すように、サウンドルーム50内の例えば四隅
に4個のサブスピーカSP1〜SP4を配置し、受音点38と各
サブスピーカSP1〜SP4を結ぶ線で4つの象限n,m,l,kに
区分し、各サブスピーカSP1〜SP4でそれぞれの左右の象
限にある仮想音源からの反射音をシミュレートする。す
なわち、サブスピーカSP4,SP1の音量比で象限n内の反
射音をシミュレートし、サブスピーカSP1,SP2の音量比
で象限m内の反射音をシミュレートし、サブスピーカSP
2,SP3の音量比で象限l内の反射音をシミュレートし、
サブスピーカSP3,SP4の音量比で象限k内の反射音をシ
ミュレートする。各反射音をシミュレートするに必要な
各サブスピーカSP1〜SP4の再生音PMs(M=1〜4)は
次式のようになる。
但し、 Pn,Pm,Pl,Pk:反射音のレベル τn,τm,τl,τk:反射音の遅れ時間 θn,θm,τl,τk:反射音のX−Y平面(水平面)上での
方向角度 θ1,θ2,θ3,θ4:サブスピーカSP1〜SP4のX−Y平
面上での方向角度 τMn,τMm,τMl,τMk:各サブスピーカ再生音の遅れ
時間。±の修正項はリスナーの両耳間距離による補正で
あり、ここでは15cmの場合を想定している。
Nl,Ml,Ll.Kl:各象限n,m,l,kにある仮想音源数 t:時間 U:ユニット関数 なお、上式では隣りあうサブスピーカの中間にある仮想
音源からの反射音の到来方向をシミュレートするため
に、それらの間の信号配分を第15図に示すCOS関数とし
た場合について示したが、第16図に示す線形関数あるい
は第17図に示すlog関数等スピーカ配置あるいはスピー
カ特性等に応じて反射方向を最も近似できるものを用い
るようにする。
以上説明した信号配分により、第14図のサブスピーカ配
置を利用してすべての方向からの反射音をシミュレート
することができる。
なお、前記第(1)式、第(2)式において、反射音の
遅れ時間τn,τm,τl,τkとして、音源で音が発せら
れた時刻でなく直接音が到来した時刻を基準(時刻O)
とした値を用いれば直接音の時間遅れを考慮しなくてす
むから、サウンドルームで反射音をシミュレートする場
合に、直接音は通常のステレオ再生用のメインスピーカ
から発することですみ、構成が簡略化される。
また、サブスピーカと受聴点との間には距離があり、時
間差が生じるので、仮想音源から発した反射音をより正
確にシミュレートするには、この時間遅れをも考慮した
うえで各サブスピーカからの再生音を求めるようにす
る。
第18図は、4点法を用いて或るホールの仮想音源からの
反射音データ(到来方向、距離、振幅レベル)を測定
し、これに基づき反射音を第4図のスピーカ配置でシミ
ュレートする場合に、各サブスピーカSP1〜SP4から再生
すべき信号PMS(M=1〜4)を前記第(2)式から求
めたものである(なお、第18図では直接音が到来した時
点を時刻Oとして時間軸方向を表わしている。)。これ
は、各サブスピーカSP1〜SP4から出力される信号の反射
音構造を示しており、各サブスピーカ方向でのインパル
ス応答とも考えてよい。隣り合うサブスピーカのインパ
ルス応答には相互に関連があり、すなわち、これらサブ
スピーカ方向間に位置する反射音が両サブスピーカによ
って正しくその方向に定位するように両インパルス応答
の振幅レベル遅延時間が予めじ計算されている。
ソース信号(レコード再生信号等の連続信号)について
反射音を生成する場合は、ソース信号を構成する各サン
プル値について、これらインパルス応答をパラメータ
(ゲインおよび遅延時間について)として、反射音列を
生成し(サンプル値が得られた時刻を基準として個々の
反射音を発生する遅延時間を計数し、サンプル値に個々
のゲインを掛けたレベルで個々の反射音のレベルを定め
る。)、各サンプル値について得られるこれらの反射音
列を各時点において相互に加算していけば、各サブスピ
ーカ方向における反射音が生成され、これらを対応する
サブスピーカから発すれば、受聴点38(第14図)で聴い
ている人にとっては、あたかもその仮想音源分布で特定
されるホール等の音響空間にいるような臨場感を味わう
ことができる。
インパルス応答の反射音パラメータに基づく反射音生成
処理としては、後述する遅延信号のたたみ込み演算によ
るものを用いることができる。
〔実施例〕
次に、以上説明したサウンドルームシステムにおいて、
メインスピーカとサブスピーカの音量バランスおよび全
体音量を制御するこの考案の音量バランス制御装置の一
実施例を第1図に示す。ここでは、サウンドルーム50の
前方左右にメインスピーカ64,66を配置し、四隅にサブ
スピーカ56,58,60,62,を配置している。ソース44からの
信号はプリアンプ68、プロセッサ46,パワーアンプ70を
介して、直接音としてメインスピーカ66から発生され
る。また、プロセッサ46では各チャンネルの反射音パラ
メータに基づき、ソース44の信号の反射音信号を各チャ
ンネルごとに生成して、4チャンネルアンプ72を介して
か各サブスピーカ56,58,60,62に供給する。反射音パラ
メータは、リスナー74がその受聴位置においてリモート
コントローラ76の操作により可変可能である。
なお、実際のホールでは、音源と受音点との距離により
直接音にも時間の遅れが生じるが、ここでは直接音が到
来した時刻を0として、その時点を基準に遅れ時間の反
射音パラメータを定めているから、直接音は時間遅れを
持たせずにそのままメインスピーカ64,66から発して
も、直接音と反射音のタイミングはうまく取られる。
また、サウンドルームシステムではサウンドルーム50自
体での反射はできるだけ少ないほうが望ましい。したが
って、リスニングルーム50は、適度な吸音処理を施し
て、デッドな特性とする。
プロセッサ46は、リモートコントローラ76の操作によ
り、音量を制御する。音量制御は、全体音量の制御と、
メインスピーカ64,66とサブスピーカ56,58,60,62の音量
バランスの制御について行なう。
〔プロセッサ46の具体例(1)〕 ここで、第1図におけるプロセッサ46の具体例を第19図
に示す。第19図において、前記プリアンプ68からの左右
各チャンネルのオーディオ入力は、全体音量及びバラン
ス制御回路51に入力されて、全体音量調整およびソース
音と反射音の音量バランス調整が行なわれる。
全体音量及びバランス制御回路51の構成例を第20図、第
21図、第22図に示す。
第20図のものは、前記メインスピーカ66を駆動するソー
ス再生系41と、サブスピーカ56,58,60,62を駆動する反
射音再生系43が分岐する手前にVCA45を挿入して、全体
音量を調整している。また、反射音再生系43にVCA47を
挿入して、反射音量を調整することによりソース音(直
接音)と反射音の音量バランスを調整している。
なお、音量制御素子としては、上記VCAの代わりにモー
タ駆動ボリウム等を用いることも可能である。以下、VC
Aで代表して説明する。
第21図のものは、全体音量の調整は第22図のものと同じ
であるが、音量バランスの調整は、ソース再生系41と反
射音再生系43にVCA49,47をそれぞれ挿入し、これらを相
補的に(一方のゲインが上がれば、他方のゲインが下が
るような関係)に制御することにより実現している。
第22図のものは、ソース再生系と反射音再生系43にVCA4
9,47をそれぞれ挿入し、これらで全体音量調整とバラン
ス調整の両方を行なうようにしたものである。バランス
調整がなされるとVCA49,47は相補的にすなわち相互に逆
方向に駆動されてバランス調整がなされ、全体音量が調
整されると、VCA49,47は同じ方向に駆動されて全体音量
が調整される。
これら第20図、第21図、第22図の構成によれば、ソース
音と反射音を所定の音量バランスに保った状態で、全体
音量を調整することができる。
第19図において、ソース再生系41に導かれた信号は、メ
インアンプ(第1図のパワーアンプ70)を介してメイン
スピーカ64,66(第1図)に供給され、直接音として発
せられる。
反射音再生系43に導かれた信号は、ミキシング回路100
でミキシングされ、入力ボリウム(回路ゲインの調整用
あるいは回路のダイナミックレンジの有効活用調整用)
102、ローパスフィルタ(A/D変換の際の折り返し防止
用)およびサンプル・ホールド回路104を介して、A/D変
換器106でA/D変換される。そして更に、反射音に周波数
特性を付与するために、各チャンネルごとにディジタル
フィルタ108,110,112,114に通される。
ディジタルフィルタ108,110,112,114から出力されたソ
ース信号は、各チャンネルの反射音生成回路116,118,12
0,122に入力される。反射音生成回路116,118,120,122で
は、マイクロコンピュータ124の指令により、メモリ126
に記憶されている各チャンネルの反射音パラメータ(遅
れ時間データとゲインデータ)に基づき、各チャンネル
ごとにソース信号の反射音信号をそれぞれ生成する。生
成されたこれらの反射音信号は、D/A変換器124において
時分割多重的にD/A変換される。D/A変換器124の出力信
号は、各チャンネルごとに時分割して振り分けられて、
サンプル・ホールド回路およびローパスフィルタ126,12
8,130,132でそれぞれ、平滑され、アナログ信号に戻さ
れる。そして、半固定形の出力ボリウム134,136,138,14
0およびパワーアンプ48,50,52,54を介して各チャンネル
のサブスピーカ56,58,60,62にそれぞれ供給される。こ
れにより、各サブスピーカ56,58,60,62からは、各対応
する方向の仮想音源からの反射音が発生され、その仮想
音源の分布で特定されるホール等の音響空間が再現され
る。
なお、メモリ(ROM)126にはホール等各種音響空間の反
射音パラメータおよびディジタルフィルタ108,110,112,
114の周波数特性のパラメータが各チャンネルごとに記
憶されており、ワイヤレスリモコン76の操作に基づき、
リモコンセンサインターフェイス142を介して、マイク
ロコンピュータ124の指令によりそのいずれかのホール
のパラメータが読み出される。
読み出されたこれらのパラメータはRAM127に一旦転送さ
れる。そして、このRAM127に保持されたパラメータに基
づきディジタルフィルタ108,110,112,114の周波数特性
が制御される。RAM127に保持された周波数特性のパラメ
ータは、ワイヤレスリモコン76の操作により好みに応じ
て調整が可能であ。
また、RAM127に保持された反射音パラメータに基づき、
反射音生成回路116,118,120,122で各チャンネルごとに
ソース信号の反射音が生成される。RAM127に保持された
反射音パラメータは、ワイヤレスリモコン76の操作によ
り調整が可能であり、これにより残響感を自分の好みに
応じて変更することができる。
ところで、反射音生成回路116,118,120,122は、それら
の入力信号(ソース信号)を遅延した信号の重ね合せ
(たたみ込み演算)により反射音信号を生成することが
できる。このたたみ込み演算による反射音生成について
以下説明する。
たたみ込み演算による反射音生成は、前記第18図に示し
た各チャンネルの反射音パラメータ列に基づき、ソース
信号(直接音)から種々の時間遅れと振幅レベルを持つ
信号を作り、それらを重ね合せるものである。すなわ
ち、1つのチャンネルについて説明すると、そのチャン
ネルで利用すべき反射音パラメータ列が、第23図に示す
ように入力信号(直接音)を基準として、遅れ時間 τi(i=1,2,…,n)とゲイン(振幅レベル)giのパラ
メータの組み合せで構成されているとすると、第24図に
示すように、マルチタップを有するディレイメモリ163
を用いて、遅れ時間τiに対応する各タップからそれぞ
れ遅延信号を取り出して、振幅調整器152−1乃至152−
nでゲインgiをそれぞれ付与して、加算器153で合成す
る。これにより、加算器153からは、 なる反射音信号が出力される。
第24図の反射音生成回路116(118,120,122も同じ)の具
体例を第25図に示す。
なお、ディレイメモリ163の構成については、アナログ
信号の場合はBBDやCCD等の電荷転送素子を用いたもの、
ディジタル信号の場合はシフトレジスタあるいはRAMを
用いてプログラム制御したディジタルメモリ等を用いる
ことができるが、以下の実施例では構成的に自由度が大
きく、パラメータ(遅延時間およびゲイン)の設定、変
更が容易なRAMを用いた場合について説明する。
第25図において、パラメータメモリ(RAM)160は、ワイ
ヤレスリモコン76の操作によりメモリROM(第19図)126
から読み出されRAM127に転送された反射音パラメータの
うち、該当するチャンネル(反射音生成回路116であれ
ば前方左チャンネル)の反射音パラメータを各アドレス
に記憶する。記憶された反射音パラメータを下表に示
す。
なお、この表でτ0は入力信号の1サンプリング周期を
示すものである。従って遅延時間データ τ,τ,…に対応するサンプルの位置を(すなわち
いくつ前のサンプルかを)示すものとなる。
データメモリ(デイレイメモリ)163はRAMで構成され、
前記ディジタルフィルタ108,110,112,114(第21図)か
ら出力されるディジタル化されたソース信号が順次書込
まれるとともに、パラメータメモリに記憶された遅延時
間データ タが読み出される。
カウンタ164はデータメモリ163において書込みを行なう
現アドレスを指示するもので、入力信号の1サンプル周
期ごとにインクリメントされていく。
カウンタ165はパラメータメモリの読出しアドレスを指
定するもので、入力信号の1サンプル周期内で0からn
までカウントアップして遅延時間データおよびゲインデ
ータの各パラメータを読出す。
マルチプレクサ166はパラメータメモリ160に加えるアド
レス指令をパラメータコントローラ162からの書込みア
ドレスあるいはカウンタ165からの読出しアドレスのい
ずれかに切替えるものである。
引算器167はカウンタ164からの現アドレスとパラメータ
メモリ160からの遅延時間データを引算した値をデータ
メモリ163のアドレス指令として出力するものである。
データメモリ163は、パラメータメモリ160の読出しアド
レスが0のとき(すなわち遅延時間データ、ゲインデー
タとも0が読出されているとき)は書込みモードに切替
えられるため、このとき引算器167の出力(すなわちカ
ウンタ164からの現アドレス)は書込みアドレス指令と
してデータメモリ163に加わる。また、データメモリ163
は、パラメータメモリ160の読出しアドレスが0以外の
ときは読出しモードに切換えられるため、このとき引算
器167の出力(すなわち現アドレスに対して遅延時間デ
ータに相当する距離離れたアドレス)は読出しアドレス
指令としてデータメモリ163に加わる。
乗算器168はデータメモリ163から読出された遅延信号に
そのときパラメータメモリ160から読出されている対応
するゲインデータを付与するものである。
アキュムレータ169は乗算器168から出力される遅延信号
をレジスタ175と加算器170で累算(たたみ込み演算)し
て、前記第(3)式に示した反射音信号を作成するもの
である。アキュムレータ169で作成された反射音信号は
その後D/A変換器124(第19図)でD/A変換されて出力さ
れる。なお、アンド回路171は、反射音信号が作成され
るごとに信号C3によりそれまでの累算データを遮断し
て、累算値を0にリセットするものである。
タイミングコントローラ172は上記の各回路を動作させ
るための各タイミング信号C1〜C5を作成するためのもの
である。
次に第25図の装置の動作について説明する。
(1)反射音パラメータの設定 はじめに、ワイヤレスリモコン76の操作により、再現し
ようとするホールを選択する。これにより、ROM126(第
19図)からは該当するホールの反射音パラメータτ
τ,g1〜gnが読み出され、RAM127(第19図)を介して
パラメータメモリ160に書き込まれる。書き込まれた反
射音パラメータτ〜τ,g1〜gnは、ワイヤレスリモ
コン76の操作により調整が可能である。
この書込みおよび調整を行なうときは、パラメータメモ
リ160は書込みモードに切替えられ、マルチプレクサ166
はパラメータアドレス166側に切替えられている。
(2)残響信号の作成 パラメータの設定が終わったら、パラメータメモリ160
を読み出しモードに切替え、マルチプレクサ166をカウ
ンタ165側に切替え、データメモリ163に入力信号を供給
して反射音信号の作成を行なう。
反射音信号の作成は入力信号の1サンプリング周期を1
単位として、その中でデータメモリ163への入力信号
の書込みデータメモリ163から設定された各遅延時間
τ〜τに対応した遅延信号の読み出し読み出され
た各遅延信号に対する重み付け(g1〜gn)累算を行な
って反射音信号を作成する。各々の工程について第25図
のタイムチャートを参照して説明する。
データメモリ163への入力信号の書込み クロックC1の立上りでクロックC4がローレベルとなって
カウンタ165はクリアされる。したがって、パラメータ
メモリ160はアドレス0が指定され、遅延時間データ、
ゲインデータとも「0」が読み出される。そして、次の
クロックC5の立上りでクロックC2も立上り、データメモ
リ163は書込み状態となる。このとき、パラメータメモ
リ160からの遅延時間データは上述のように「0」であ
るから、引算器167の出力はカウンタ164の出力そのもの
であり、データメモリ163におけるこのカウンタ164の出
力の示すアドレスに入力信号が書込まれる。
データメモリ163からの遅延信号の読み出し データメモリ163への書込みが終了すると、データメモ
リ163は読み出しモードとなる。クロックC5は1サンプ
リング周期内に前記書込みの1回と、読み出しのn回の
合わせてn+1回立上る。カウンタ165はこのクロックC
5をカウントして、そのカウント値をパラメータメモリ1
60に加えて遅延時間データとゲインデータの各パラメー
タτ〜τ,g1〜gnを読み出す。例えば、カウンタ16
5のカウンタ値が「1」のときは、パラメータメモリ160
のアドレス1から遅延時間データ およびゲインデータg1が読み出される。更に、順次アド
レス2から とg2,…アドレスnから とgnがそれぞれ読み出される。
パラメータメモリ160から読み出さけた遅延時間データ
は引算器167でカウンタ164のカウント値と引算され、引
算器167からはカウンタ164のカウント値すなわち現アド
レスを基準として遅延時間データの示す距離だけ手前の
アドレスが出力され、データメモリ163から対応するア
ドレスに記憶されている遅延信号X1〜Xnが読み出され
る。
重み付け データメモリ163から読み出された遅延信号は、乗算器1
68において、パラメータメモリ160から読み出された各
対応するゲインデータg1〜gnを付与される。
累算 反射音信号は、カウンタ165のカウント値が「1」から
「n」まで変化する間に乗算器168から出力されるデー
タg1・X1〜gn・Xnを累算して得られる。この累算を行な
うため、アキュムレータ169は、カウンタ165のカウント
値が「1」のときクロックC3が立下がって、前の累算値
がリセットされる。すなわち、カウンタ165が「1」の
ときアンド回路171はオフとなって、加算器170の出力は
乗算器168の出力g1・X1のみの値となりレジスタ175に保
持される。次のクロックC5のタイミングでレジスタ175
はg1・X1を出力し、加算器170で次のデータg2・X2に加
算されて、レジスタ175の値が書き替えられる…という
具合に順次加算(累算)をくり返し、n項加算して が得られたところで、この値を反射音信号として出力す
る。
以上の動作によって、入力信号のサンプリング周期ごと
に反射音信号が生成される。
なお、上記の説明では複数チャンネルある反射音信号の
うち1つのチャンネルについてのみ示したが、他のチャ
ンネルの反射音信号も同様の構成で生成することができ
る。
〔プロセッサ46の具体例(2)〕 第1図におけるプロセッサ46の別の例を第27図に示す。
これは、前記第19図の実施例が反射音生成処理前に反射
音再生系43の音量を制御していたのに対し、反射音生成
処理後に反射音再生系43の音量を制御するようにしたも
のである。これは、反射音生成処理前に音量制御をする
と、音量を絞ったとき、反射音生成処理で扱う信号レベ
ルが小さくなりすぎて回路のダイナミックレンジの効率
よい利用を損なうことを防止するものである。すなわ
ち、反射音生成のためのディジタル処理部分を常に適切
なレベルにするため、この反射音再生系での出力コント
ロールは、各サブスピーカ56,58,60,62の駆動用パワー
アンプ48,50,52,54の直前で行なっている。
なお、第27図においては、第19図の実施例と共通する部
分には、同一の符号を用いている。
第27図の回路の各部について説明する。
プリアンプ68(第1図)から出力されるオーディオ入力
は、入力ボリウム200を介してアンプ202に入力される。
アンプ202には、加算器206,208が設けられ、マイクロホ
ン210,212,214の収音信号がマイクアンプ216,、ボリウ
ム218,220,222,ミキシング回路224を介して加算できる
ようになっている。マイクロホン212,214はサウンドル
ーム50(第1図)の天井等に埋め込まれたもの、マイク
ロホン210は移動形のものでジャック211に差し込まれて
使用される。このような構成により、このサウンドルー
ム50をステレオ装置等の再生の他に楽器演奏にも使用す
ることが可能となる。また、ステレオ装置の伴奏でボー
カルを楽しむこともできる。もちろん、これらの場合に
もサウンドルームシステムを生かして、あたかもホール
等で演奏しまたは歌唱している雰囲気を出すことができ
る。加算器206,208の出力は、ソース再生系41と、反射
音再生系43に分岐される。ソース再生系41には、ソース
再生系41の音量調整用のVCA204が挿入されている。反射
音再生系43にはVCAは挿入されておらず、一定音量で反
射音生成処理が行なわれる。
反射音再生系43に導かれた信号は、加算器226で加算さ
れ、ローパスフィルタおよびサンプルホールド回路104,
A/D変換器106,パラメトリック・ディジタル・イコライ
ザ(ディジタルフィルタ)107を介して、各チャンネル
の反射音及び残響音生成回路116′,118′,120′,122′
にそれぞれ入力される。
反射音及び残響音生成回路116′,118′,120′,122′は
第19図の反射音生成回路116,118,120,122にくし形フィ
ルタ、オールパスフィルタ等単純なフィードバックルー
プで構成される残響付加装置を付加したもので、ソース
自体に残響音成分が少ない楽器演奏やボーカルにこのサ
ウンドルームシステムを使用する場合に初期反射音の後
に残響音を付加するものである。
反射音及び残響音生成回路116′,118′,120,122′の出
力信号はD/A変換器124において時分割多重的にD/A変換
される。D/A変換器124の出力信号は、各チャンネルごと
に時分割して振り分けられて、サンプル・ホールド回路
およびローパスフィルタ126,128,130,132でそれぞれ平
滑され、アナログ信号に戻される。そして、このアナロ
グ信号(反射音信号)VCA230,232,234,236で音響調整さ
れて、パワーアンプ48,50,52,54を介して各サブスピー
カ56,58,60,62にそれぞれ導かれる。これにより、サブ
スヒーカ56,58,60,62からは、各対応する方向の仮想音
源からの反射音が発生され、その仮想音源の分布で特定
されるホール等の音響空間が再現される。
なお、メモリ(ROM)126にはホール等各種音響空間の反
射音パラメータが各チャンネルごとに記憶されており、
ワイヤレスリモコン76の操作により、いずれかの音響空
間の反射音パラメータが読み出され、RAM127に転送され
る。マイクロコンピュータ127は、このパラメータに基
づき反射音及び残響音を作成するように、非同期プログ
ラマブル入出力インターフェイス250を介して反射音及
び残響音生成回路116′,118′,120′,122′を制御す
る。
音量バランス調整は、ワイヤレスリモコン76により行な
われる。すなわち、ワイヤレスリモコン76は全体音量の
制御と、ソース音と反射音の音量バランス制御を行な
う。全体音量の制御操作がなされると、その操作がリモ
コンセンサインターフェイス142を介してマイクロコン
ピュータ127に伝えられ、マイクロコンピュータ127はD/
A変化器252を介してソース再生系41のVCA204および反射
音再生系43のVCA230,232,234,236を同じ方向に駆動し
て、全体音量が制御される。
また、音量バランスの制御操作がなされると、マイクロ
コンピュータ127はD/A変換器252を介してソース再生系4
1のVCA204および反射音再生系43のVCA230,232,234,236
を相補的に(すなわち逆方向に)駆動して、ソース音と
反射音の音量バランスが制御される。全体音量を制御し
てもこの音量バランスは保たれる。
〔変更例〕
前記実施例ではソース再生系と反射音再生系に別々にス
ピーカを設けたが、共通のスピーカを用いて両再生系の
信号をミキシングして供給するように構成することもで
きる。
〔考案の効果〕
以上説明したように、この考案によればサウンドルーム
システム自体の効果として、限られたスピーカ数で反射
音1本1本について実音場の反射音到来方向と同等の方
向性を付与でき、もって受音点では全周囲にわたって反
射音場が実現される。したがって、実際のホール等にお
ける多数の反射音を忠実にシミュレートすることがで
き、リスニングルーム等においてそのホールの臨場感を
味わうことができる。また、再生反射音はインパルス応
答のたたみ込み演算で生成されるので、1本1本を個々
にかつ忠実に実現でき、実音場の臨場感を正確に再現で
きる。
また、この考案によれば、このようなサウンドルームシ
ステムにおいて、ソース再生系と反射音再生系の全体音
量および両者の音量比を調整するようにしたので、所望
の全体音量および音量比に設定することができる。した
がって、再生環境にかかわらず常にソース音と反射音の
最適バランス状態を得ることができ、音響空間の雰囲気
を正確にかもし出すことができるとともに、その音響空
間状態を適確に維持したまま、必要に応じて、聴取音量
を自由自在に変化させることができる。
また、反射音群の状態(各遅れ時間、レベル)を変えず
に、直接音(ソース信号)の音量のみ変化させることに
より、その反射音状態によって形づくられる音場感(ホ
ール感)を変えることなく、その音場の中で客席位置の
み後方、前方に移動したような状態を再現することもで
きる(直接音の音量は、音源と受聴位置との距離を決め
る要素となるため。)
【図面の簡単な説明】
第1図は、この考案の一実施例を示すブロック図であ
る。 第2図は、従来の音響制御装置の概念図である。 第3図は、4点法による仮想音源の測定方法を示す斜視
図である。 第4図は、第3図におけるマイクロホンの配置を示す斜
視図である。 第5図は、第4図のマイクロホンによるインパルス応答
の測定結果を示す波形図である。 第6図は、第5図の測定結果に基づく仮想音源位置の算
出方法を示す図である。 第7図、第8図、第9図は4点法により求められた仮想
音源分布を示す図で、第7図はX−Y平面投影図、第8
図はY−Z平面投影図、第9図はX−Z平面投影図であ
る。 第10図は、鏡像法による仮想音源測定法の原理を示す図
である。 第11図、第12図は鏡像法により求められた仮想音源分布
を示す図で、第11図はX−Y平面投影図、第12図はY−
Z平面投影図である。 第13図は、周囲8個のサブスピーカによる反射音再生状
態を示す平面図である。 第14図は、周囲4個のサブスピーカによる反射音再生状
態を示す平面図である。 第15図、第16図、第17図は、隣接するサブスピーカの中
間にある反射音をシュミレートするための、各サブスピ
ーカ間の音量配分を示したもので、第15図はCOS関数に
よるもの、第16図は線形関数によるもの、第17図はlog
関数によるものである。 第18図は、4点法による反射音測定データに基づき第14
図のサブスピーカ配置でその反射音をシュミレートする
場合に、各サブスピーカに供給すべき反射音を作成する
ために用いられる反射音パラメータ列を示す図である。 第19図は、第1図のプロセッサ46の具体例を示すブロッ
ク図である。 第20図,第21図,第22図は、それぞれ第19図における全
体音量及びバランス制御回路51の具体例を示す回路図で
ある。 第23図は、第19図の反射音生成回路116,118,120,122に
おいて反射音生成に利用される反射音パラメータ列を示
す図である。 第24図は、第23図の反射音パラメータを利用してたたみ
込み演算により入力信号の反射音信号を生成するように
構成した第19図の反射音生成回路116(118,120,122)を
示す回路図である。 第25図は、第24図の反射音生成回路116(118,120,122)
の具体例を示すブロック図である。 第26図は、第25図の回路の動作を示すタイムチャートで
ある。 第27図は、第1図プロセッサ46の他の具体例を示すブロ
ック図である。 41……ソース再生系、43……反射音再生系、51……全体
音量及びバランス制御回路、64,66……メインスピー
カ、56,58,60,62……サブスピーカ。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】受聴点に対して適宜の位置に配置されるメ
    インスピーカ再生手段と、 受聴点の全周囲を取り囲むように配置される少なくとも
    4個以上のサブスピーカ再生手段と、 前記メインスピーカをソース信号に応じて駆動するソー
    ス再生系と、 音響空間における反射音の各仮想音源位置に対応して求
    められる各反射音の到来方向と遅れ時間と振幅レベルか
    らなる反射音データに基づき、前記各サブスピーカ再生
    手段を用いて前記受聴点の周囲に前記音響空間またはこ
    れに類似したモデル空間における多数の反射音を再生す
    るために、前記各サブスピーカ再生手段の配置位置と前
    記反射音データのうち各到来方向データとの関係から求
    めた、前記各サブスピーカ再生手段で発すべき反射音の
    遅れ時間とゲインとからなるインパルス応答特性を、各
    サブスピーカ再生手段の反射音パラメータとしてそれぞ
    れ記憶し、この記憶された各反射音パラメータに基づ
    き、前記ソース信号に対して畳込み演算することによ
    り、各サブスピーカ再生手段で発すべき反射音群の信号
    をそれぞれ生成し、前記各サブスピーカ再生手段の対応
    する位置のものをそれぞれ駆動する反射音再生系と、 前記反射音再生系で再生される反射音信号出力の再生音
    量レベルと前記ソース再生系で再生される全ソース信号
    再生出力の再生音量レベルをそれぞれ制御するものであ
    って、当該両再生系の再生音量レベルの比を変化させる
    ことになくこれら双方の再生音量レベルを増加または減
    小させる全体音量制御と、当該両再生系の再生音量レベ
    ルの比を変化させる音量比制御の双方を行なうことがで
    きる音量バランス制御手段と を具備してなる音響制御装置。
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