JPH0713904Y2 - 高温水圧送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は高温水圧送装置に関する。

従来の技術 従来、鋳造された管を冷却するために、管内に送水管を
挿入し、送水管の途中に設けた複数の噴出口より、管の
内面に高温水を散水していた。そして、散水された高温
水が気化熱を奪って蒸発することによって、適度な温度
に管を冷却していた。

考案が解決しようとする問題点 しかし、高温水は、送水管の中を流通するときに、キャ
ビテーションによって気体（空気および蒸気）の発生を
伴うことがあり、発生した気泡が高温水の流通を阻害す
るとともに、噴出口に咬込んだ気泡に阻害されて、噴水
する高温水が管内面に達せず、冷却不良が生ずる問題が
あった。

本考案は上記問題点を解決するもので、気泡に阻害され
ることなく、高温水を管内に流通させることが出来る高
温水圧送装置を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために、本考案は、鋳鉄管を冷却
するために使用される高温水圧送装置であって、高温水
を圧送するために鋳鉄管内に挿入して用いる送水管に、
鋳鉄管の内面に高温水を散水するための複数の噴出口を
有してなり、前記送水管に、気体が流通する送気路を送
水管断面における上部に位置して形成するとともに、高
温水が流通する送水路を送水管断面における下部に位置
して形成し、両流路を連通する複数の連通穴を管軸心方
向に沿って設けた構成としたものである。

作用 上記構成において、キャビテーションなどにより高温水
中に生じる気体は、高温水とともに送水路を流通するう
ちに気水分離し、気相となって送水路の上部を流れ、連
通穴を通って送気路に流入する。したがって、気体が送
水路内に気泡として止らずに送水路から排出されるの
で、高温水が気体に阻害されずに流通する。また、この
ことによって高温水を送水管より噴出させて使用する時
に、送水管の開口部において気泡が咬込まず、常に所定
の圧力で高温水が噴出される。

実施例 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。第
１図〜第２図において、鋳造管１の中に、水平方向に挿
入配置される送水管２は、一端で圧力タンク３に連通し
て設けられており、この圧力タンク３は、周囲を断熱材
４で覆われるとともに、圧縮空気供給管５と高温水供給
管６とが連通されている。そして、送水管２の内部に
は、気体が流通するための送気路７を、管断面における
上部に位置して形成するとともに、高温水が流通するた
めの送水路８を管断面における下部に位置して形成して
ある。この送水路８は、φ25mm〜φ200mmの内径を有す
る管で形成され、気体路７は送水路８の1/20〜1/5の流
路断面積を有するように形成されている。また、両流路
7,8を連通する連通穴９の複数が管軸心方向に沿って設
けられており、この連通穴９は送水路８の1/20〜1/10の
径を有している。そして、気体路７に一端で連通するリ
ターン管10が他端で絞り弁を介して、放散されている。
このリターン管10は3m〜10m毎に設けられている。ま
た、送水路８に連通する噴射ノズル11の複数が送水管２
の周方向および管軸心方向に沿って設けられている。

上記構成における作用について説明する。まず、圧力タ
ンク３に高温水を高温水供給管６より供給し、圧縮空気
供給管５より供給する圧縮空気で高温水を送水路８に圧
送する。この圧送される高温水のキャビテーション及び
外熱による沸騰により気体（空気、蒸気）が発生する
と、この気体は高温水とともに送水路８を流通するうち
に気水分離し、気相となって送水路８の上部を流れ、連
通穴９を通って送気路７に流入する。この時、気水分離
が確実に行われるように、高温水の流速は、層流の範囲
内に設定する。ちなみに、第１表は、高温水を圧送する
時の送水路８を構成する管の内径と流速の関係を示すも
のである。ただし、高温水の条件として、Re数≦2000、
温度＝100℃、動粘度＝0.296stとする。

そして、送気路７に流入した気体は、リターン管10を通
って放散される。したがって、気体が送水路８の中に気
泡として止らずに送水路８から送気路７に排出されるの
で、高温水が気体に阻害されずに流通する。そして、各
噴射ノズル11に気泡をともなわずに達した高温水は、気
泡の咬込みがないために、常に所定の圧力で鋳造管１に
向けて噴射され、確実に鋳造管１に達するように散水さ
れる。

考案の効果 以上述べたごとく本考案によれば、送水管に送水路と送
気路とを設けることにより、高温水中に生ずる気体に阻
害されることなく、高温水を圧送することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す全体構成図、第２図は
第１図のＡ−Ａ矢視図である。 ２……送水管、７……送気路、８……送水路、９……連
通穴、11……噴射ノズル。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 山本 伸 兵庫県尼崎市大浜町２丁目26番地 久保田 鉄工株式会社武庫川製造所内 (72)考案者 上前 光一 兵庫県尼崎市大浜町２丁目26番地 久保田 鉄工株式会社武庫川製造所内 (56)参考文献 実開 昭51−106901（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−179495（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鋳鉄管を冷却するために使用される高温水
   圧送装置であって、高温水を圧送するために鋳鉄管内に
   挿入して用いる送水管に、鋳鉄管の内面に高温水を散水
   するための複数の噴出口を有してなり、前記送水管に、
   気体が流通する送気路を送水管断面における上部に位置
   して形成するとともに、高温水が流通する送水路を送水
   管断面における下部に位置して形成し、両流路を連通す
   る複数の連通穴を管軸心方向に沿って設けたことを特徴
   とする高温水圧送装置。