JPH0713649Y2 - 裏地止着装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 裏地付きのスカートやジャケット等において、裏地のズ
レ動きをある程度規制するために、裏地の端縁を丈夫な
糸で表地に止め着けることがある。この考案は、この種
の裏地止着作業を容易に行うための裏地止着装置に関す
る。

〔従来の技術〕

従来の裏地止着装置として、裏地と表地の縫通しから糸
の結び止めまでを自動的に行うものが公知である（文献
不詳）。この種の装置は、主として衣服を流れ作業方式
によって生産する場合、例えば本出願人が提案してい
る、間欠送り方式の縫製用コンベアシステム（特公昭62
-53406号公報）等に適用される。この止着装置によれ
ば、第５図に示すように輪にした糸４で裏地Ｂを表地Ｃ
に止着できる。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記の従来装置は一種の特殊ミシンであり、一般的なミ
シンと同様に１個の縫針に止着用の色糸を通して使用す
る。そのため、縫い止める生地の色や柄が変わるとその
都度、止着糸の変更すなわち糸交換を行わねばならず面
倒であった。とくに多品種を少量生産する場合に、色変
更等の段取り換えに時間を要する点で問題があった。

また、上記装置は縫針の縫通しから糸の結び止めに至る
一連の作業を自動的に行うものであるが、この作業に要
する時間は全てが手作業の場合よりも長くかかる。しか
も、全自動であるため止着しようとする生地ブランクを
搬送用ハンガーから取り外してミシン側へ移し換える必
要があり、この移し換え作業のために専従作業者が不可
欠で、作業の合理化を図り生産性を向上するうえで止着
装置の有効利用が困難であった。

以上の理由から、現状では裏地の止着を手作業で行って
いるが、この場合も針への糸通しや、糸変更等に手間を
要し、作業の合理化が望まれる。

この考案は上記に鑑み提案されたものであって、手作業
で裏地の止着を行う際に、裏地と表地の糸通しおよび止
着糸の色変更を迅速に行えるようにし、生産性を向上す
ること、および多品種の少量生産にも十分に対応できる
ようにすることを主眼とする。

〔課題を解決するための手段〕

この考案では、第１図に示すように、縫針16および針ホ
ルダー３と、止着糸４の巻糸体５との対をターンテーブ
ル６に複数対配置してあり、生地の色柄に応じて適切な
色の止着糸４を選択使用できる。

針ホルダー３は待機姿勢と例えば針ホルダー３が作業台
１上に突出する使用姿勢とに変位可能であり、進退操作
手段８で各姿勢に切換え操作される。そして、作業台１
に設定された止着位置Ａにおいて、各針ホルダー３を位
置決め保持するために位置決め手段７を設け、これでタ
ーンテーブル６の位置決めを行う。

つまり、この考案では裏地Ｂおよび表地Ｃを、第４図に
示すごとく針ホルダー３に支持した縫針16に押し当てて
縫通しを行うこととし、生地の色柄に応じて任意の針ホ
ルダー３を簡単に選定使用できるようにしたものであ
る。

〔考案の効果〕

縫針16を針ホルダー３に支持しておき、裏地Ｂおよび表
地Ｃを縫針16に押し当てて止着糸４の縫通しを行うの
で、従来の手作業に比べて縫通しを迅速に行うことがで
きる。両手で裏地Ｂと表地Ｃを保持した状態で縫通しを
行えるので、止着時に両生地Ｂ・Ｃがズレるのを防止し
て止着位置精度を向上できる。必ずしも裏地Ｂおよび表
地Ｃを搬送用ハンガーから取り外す必要がなく、搬送用
ハンガーに吊り掛けた状態のままでも止着作業が行え
る。

縫針16、針ホルダー３および色の異なる止着糸４の巻糸
体５の複数対を予め用意しておき、これらをターンテー
ブル６に配置して、進退操作手段８で択一的に使用姿勢
に移行操作できるようにしたから、ターンテーブル６の
回転操作と進退操作手段８の切換え操作を行うだけで、
止着糸４の色変更を迅速にかつ容易に行うことができ
る。

従って、この考案の止着装置によれば、一連の止着作業
の作業時間を短縮でき、しかも止着糸４の色変更を迅速
に行えるので、全体として流れ作業方式による縫製の生
産性を向上できる。縫製する生地の色柄が頻繁に変わる
多品種の少量生産時にも、段取り換えに要する無駄時間
を殆ど必要とせずに裏地Ｂを止着できる。

〔第１実施例〕 第１図ないし第５図はこの考案の第１実施例を示す。

第１図において、作業台１は図外の縫製用コンベアシス
テムに沿って配置された加工ステーションに設置されて
いる。この作業台１の下側に裏地止着装置２が組み込ん
である。

裏地止着装置２は、一群の針ホルダー３および止着糸４
の巻糸体５を支持するターンテーブル６と、位置決め手
段７、進退操作手段８などからなる。

作業台１の下面と下枠1aとの間に回転軸10を軸受11を介
して軸支し、回転軸10の上下に円盤12・13を固定してタ
ーンテーブル６を構成する。第２図において、上側の円
盤12の周縁には押し出し材からなる保持枠14が等間隔お
きに縦長姿勢で12個固定してあり、各保持枠14に針ホル
ダー３を昇降自在に支持する。下側の円盤13には個々の
保持枠14に対応して色の異なる巻糸体５を配設してあ
り、各巻糸体５は支持具15で立姿勢に支持されている。

針ホルダー３は断面凸字状の金属ブロックからなり、そ
の外側面の上端寄りに縫針16を水平に突出する姿勢で固
定する。縫針16の下方から針ホルダー３の内側面の下端
にわたって糸孔17と糸溝18を形成してあり、巻糸体５か
ら繰り出した止着糸４は糸溝18および糸孔17を介して縫
針16に通す。

作業台１の板面１個所に、針ホルダー３および縫針16の
昇降を許す通口20を明け、その一側端にキャッチャ21を
固定して止着位置Ａを設定する。キャッチャ21は保持枠
14と同じ押し出し材で形成され、一群の保持枠14の回転
平面に近接して縦長姿勢で支持する。各保持枠14をキャ
ッチャ21の真下で停止位置決めするために、作業台１と
上側の円盤12との間に位置決め手段７を有する。

その位置決め手段７としては、第２図に示すごとく作業
台１の下面に筒軸22を固定し、その下端に保持した鋼球
23をばね24で下向きに進出付勢し、円盤12の上面に鋼球
23が嵌まり込む球面状の係合凹部25を形成した。係合凹
部25は各保持枠14に対応しており、回転軸10と同心状に
配置する。従って、ターンテーブル６を回転操作して、
使用したい色の巻糸体５を止着位置Ａの真下に移動させ
ると、鋼球23が係合凹部25内に落ち込んで、保持枠14を
キャッチャ21の真下に位置させる。

止着位置Ａにおいて、針ホルダー３を保持枠14に支持さ
れた待機姿勢と、キャッチャ21に支持される使用姿勢と
にわたって昇降操作するために進退操作手段８を有す
る。図の進退操作手段８はエアシリンダからなり、第３
図に示す待機姿勢において、ピストンロッド26の突端が
針ホルダー３の下端面と対向する垂直姿勢で機材27に固
定してある。図外の制御弁を操作してピストンロッド26
を進出させると、その突端が保持枠14の溝内に入り込
み、針ホルダー３の下端に接当してこれを突き上げる。
この突き上げ操作によって針ホルダー３は保持枠14にガ
イドされて上昇し、キャッチャ21内の溝21aに沿って上
昇する。ピストンロッド26のストローク上端において、
針ホルダー３の上下の殆どの部分がキャッチャ21で支持
され、縫針16は作業台１上に横向きに突出する。第１図
はこの使用姿勢状態を示す。

使用姿勢においても、針ホルダー３の下端の一部は保持
枠14側に位置する。次に針ホルダー３が自重で待機姿勢
へ復帰する際に、その復帰動作を確実化するためであ
る。また、第４図に示すように針ホルダー３の上端周縁
に大きめの面取り3aを施すことによって、保持枠14から
キャッチャ21への移行を確実化している。

既に述べたように、ターンテーブル６の回転操作と、進
退操作手段８の突き上げ操作とによって所定の色の止着
糸４が通された針ホルダー３を、容易に作業台１上の使
用姿勢に位置させることができる。この後に、第４図に
示すごとく止着しようとする裏地Ｂと表地Ｃを重ね、止
着位置の近傍を両手で保持した状態で縫針16に押し当て
ることにより、両生地Ｂ・Ｃを縫通す。次に、止着糸４
の遊端側で輪を形成できるよう糸４を引き出して切断し
た後、糸端どうしを結び止めて第５図のように裏地Ｂを
表地Ｃに止着する。このとき、両生地Ｂ・Ｃは作業者が
両手で位置決めしその状態を保持するので、両生地Ｂ・
Ｃを搬送用ハンガーに吊り掛けた状態のままでも、支障
なく止着作業を行え、生地のハンガーに対する着脱を省
略する分だけ作業時間を短縮できる。

必要とする１個の縫針16および針ホルダー３のみを作業
台１上に位置させ、他は作業台１の下面に待機させてお
けるので、作業台１上を広く使え、安全性を確保するう
えに有利である。

止着糸４の色を変更するときは、第３図のようにピスト
ンロッド26を後退させ、針ホルダー３を自重で保持枠14
側へ降下させる。このとき、針ホルダー３は保持枠14の
下端に設けたストッパ28で受け止め支持する。以後はタ
ーンテーブル６を回転操作して必要な色の止着糸４が通
された縫針16を選定し、再びピストンロッド26を進出操
作して選定済みの針ホルダー３を使用姿勢に上昇移動さ
せることで糸変更を行う。従って、色違いの裏地Ｂおよ
び表地Ｃが送られてきた場合でも、簡単にしかも迅速に
止着糸４の色を変更できる。必要があれば、太さや編み
方の異なる止着糸４を複数種用意しておける。

〔第２実施例〕 第６図は本考案の第２実施例を示す。これでは、単一の
円盤12だけでターンテーブル６を形成し、その上面に針
ホルダー３を放射状に配置し、下面に巻糸体５を吊り下
げ支持する。針ホルダー３は保持枠14に対して軸30を中
心にして上下揺動自在に支持してあり、該軸30の一端に
固定したアーム31を進退操作手段８で操作して、待機姿
勢と使用姿勢に切換えられる。

この場合の進退操作手段８は、作業台１の下面に支持し
た送りねじ軸32と、これを正逆両方向に回転駆動するモ
ータ33と、ねじ軸32に沿って進退移動し前記アーム31を
操作するナット34とからなる。ナット34を図に向かって
左方へ移動させると、アーム31を介して針ホルダー３が
揺動し、横向きの待機姿勢から使用姿勢に起立する。待
機姿勢への復帰は図外のばねで行う。

〔別実施態様例〕

このように、針ホルダー３はターンテーブル６に支持し
た状態のままで姿勢変更を行ってもよい。進退操作手段
８はエアシリンダやモータ以外のアークチュエータを駆
動源にして、あるいは手動操作によって針ホルダー３を
姿勢切換えするものであってもよい。ターンテーブル６
の回転操作も動力を用いて行うことができる。

裏地止着装置２は作業台１の上側に配置してあってもよ
く、その配設位置は限定しない。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案の第１実施例を示してお
り、 第１図は裏地止着装置の縦断面図、 第２図は第１図におけるE-E線断面図、 第３図は一部を破断した側面図、 第４図は止着作業時の平面図、 第５図は裏地と表地との止着構造を説明する正面図であ
る。 第６図は本考案の第２実施例を示す裏地止着装置の側面
図である。 １……作業台、２……裏地止着装置、３……針ホルダ
ー、４……止着糸、５……巻糸体、６……ターンテーブ
ル、７……位置決め手段、８……進退操作手段、Ａ……
止着位置、Ｂ……裏地、Ｃ……表地。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−42912（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−46498（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−197094（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−33756（ＪＰ，Ａ) 実開 昭58−55776（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭57−58371（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−160576（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−46573（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭53−20904（ＪＰ，Ｂ２) 特公 平３−16877（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭60−37210（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭57−53751（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭63−7794（ＪＰ，Ｂ２) 特公 平３−16877（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】縫針16を支持する針ホルダー３と、 縫針16に止着糸４を供給する巻糸体５と、 針ホルダー３と巻糸体５の複数対が配置されるターンテ
   ーブル６と、 作業台１に設定された止着位置Ａに各針ホルダー３が臨
   む状態でターンテーブル６を位置決め保持する位置決め
   手段７と、 針ホルダー３をこれがターンテーブル６側に位置する待
   機姿勢と作業台１側の止着位置Ａに位置する使用姿勢と
   にわたって移行操作する進退操作手段８とからなる裏地
   止着装置。