JPH07134057A - デジタル秤用firフィルタ及びその濾波伝達関数算出装置 - Google Patents

デジタル秤用firフィルタ及びその濾波伝達関数算出装置

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JPH07134057A
JPH07134057A JP30471393A JP30471393A JPH07134057A JP H07134057 A JPH07134057 A JP H07134057A JP 30471393 A JP30471393 A JP 30471393A JP 30471393 A JP30471393 A JP 30471393A JP H07134057 A JPH07134057 A JP H07134057A
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digital
signal
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fir filter
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謙吾 福田
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隆 塚園
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 デジタル秤の高速計量を可能にし、かつ、高
い計量精度を実現するデジタル秤用FIRフィルタを提
供する。 【構成】 振動成分を含むデジタル計量信号のサンプル
データx(n)を入力して(ステップS2)、このデジタル
計量信号x(n)のデータの離散時間系列における差分値を
自己回帰モデル化し(ステップS4)、その自己回帰モ
デルu(n)の信号伝達関数S(z)を算出する(ステップS
4)。この信号伝達関数S(z)の逆数G(z)を算出し(ステ
ップS8)、この逆数G(z)を濾波伝達関数として出力す
る(ステップS10)。そして、この濾波伝達関数G(z)
をデジタル秤用FIRフィルタの濾波伝達関数として使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、デジタル計量信号に含
まれる振動成分を減衰させるデジタル秤用FIRフィル
タに関するものである。
【0002】
【従来の技術】デジタル秤による重量の計量において、
ロードセル等の荷重検出器から得られる計量信号は、計
量開始直後においては振動成分を含んでおり、この振動
成分は、例えば20Hz近傍で周波数の異なる複数の低
周波振動により構成されている。そして、この計量信号
が定常値に収束する以前の状態において、すなわち、こ
の計量信号が振動成分を含んでいる状態において、デジ
タルフィルタリング等のデジタル信号処理アルゴリズム
により振動成分を減衰させ、直流成分を読み取ることが
できるようにしたデジタル秤を、一般に、動的秤と呼ん
でいる。また、そのデジタル信号処理アルゴリズムを動
的計量法と呼んでいる。デジタル秤は、この動的計量法
を用いることにより高速計量が可能となっている。
【0003】従来、上記動的計量法のデジタルフィルタ
リングの一の手段として、多重移動平均フィルタが用い
られている。多重移動平均フィルタは、例えばマイクロ
コンピュータまたはデジタル信号処理装置(以下、DS
Pという。)等によって構成されている。
【0004】図12に多重移動平均フィルタを使用した
デジタル秤の基本構成を示すブロック図を示す。同図に
おいて、例えばロードセル等の荷重検出器111から発
生するアナログ計量信号には、被計量物109の重量に
相当する直流成分の他に、振動成分が含まれている。こ
のアナログ計量信号は、増幅器112によって増幅され
る。また、この増幅器112には、ローパスフィルタが
付加されており、このローパスフィルタによってアナロ
グ計量信号はデジタル化される際の不要な高周波成分が
除去される。この増幅器112の出力信号は、アナログ
/デジタル変換器(以下、A/D変換器という。)11
3によってデジタル計量信号に変換される。このデジタ
ル計量信号は、多重移動平均フィルタ120に供給さ
れ、この多重移動平均フィルタ120の濾波伝達関数に
より振動成分は減衰され、直流成分が抽出され、例えば
表示部117に表示される。
【0005】多重移動平均フィルタ120は、異なるタ
ップ数(フィルタ次数)を有する複数の移動平均フィル
タを縦続接続したものであり、複数回の加算と、一回の
除算により濾波処理を実行することができるため、煩雑
な積和計算を必要としない。従って、多重移動平均フィ
ルタ120を構成するマイクロコンピュータまたはDS
P等にリアルタイムでの積和計算を実行する能力が不足
している場合にも適用できる。
【0006】図13に、q個の移動平均フィルタ120
a,120b,・・・を縦続接続した構成から成る、q
段多重移動平均フィルタ120の構成図を示す。同図の
q段多重移動平均フィルタ120を構成するp段目(p
=1,2,・・・,q)の移動平均フィルタ120a,
120b,・・・の濾波伝達関数Hp (z)は、数1に
よって表される。
【0007】
【数1】 Hp (z)=(1+z-1+z-2+・・・+z-(lp-1) )/lp =(1−z-lp )/{lp ・(1−z-1)} ここで、lp (p=1,2,・・・,q)はタップ数で
ある。
【0008】また、p段目の移動平均フィルタ120
a,120b,・・・のタップ数lpは数2によって決
まる。
【0009】
【数2】lp =2π/(ωp ・T)=1/(fp ・T) ここで、ωp は角周波数、fp はノッチを掛ける周波
数、Tはサンプリング周期である。(但し、p=1,
2,・・・,qである。)
【0010】そして、q段多重移動平均フィルタ120
の濾波伝達関数H(z)は、数3で表される。また、q
段多重移動平均フィルタ120全体のタップ数lM は、
数4で表される。
【0011】
【数3】 H(z)=H1 (z)・H2 (z)・・・Hp (z)・・・Hq (z)
【0012】
【数4】
【0013】一方、マイクロコンピュータまたはDSP
に、リアルタイムでの積和計算を実行する能力が十分に
ある場合は、動的計量法のデジタルフィルタリングの手
段としてFIRフィルタを使用している。この場合のデ
ジタル秤の基本構成を示すブロック図は、図12の多重
移動平均フィルタ120をFIRフィルタに置き換えた
形で表される(図示せず)。そして、フィルタ次数がm
(m=1,2,・・・,M)であるm次FIRフィルタ
の濾波伝達関数F(z)は、数5で表される。
【0014】
【数5】
【0015】なお、数5のai (m) (i=1,2,・・
・,m)は、フィルタ係数である。また、数5に示すm
次FIRフィルタのタップ数lO は、lO =mである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、多重移動平均
フィルタ120は、数1からわかるようにそれを構成す
る移動平均フィルタ120a,120b,・・・の設計
パラメータがタップ数のみであり、そして、数2からわ
かるように、このタップ数はノッチを掛ける周波数が低
いほど増加してしまう。また、この多重移動平均フィル
タ120を構成する移動平均フィルタ120a,120
b,・・・の接続数は、ノッチの対象とする周波数の数
が多いほど増加してしまい、数4からわかるように、こ
の接続数の増加によってもタップ数が増加してしまう。
そして、このタップ数が増加するということはサンプリ
ング数が大になることを意味する。
【0017】デジタル計量信号に含まれる振動成分は、
20Hz前後の比較的低周波であり、しかも、その数が
複数である。従って、多重移動平均フィルタ120は、
このデジタル計量信号に含まれる振動成分に対してノッ
チを掛けるためにタップ数が大きくなる。その結果、こ
の多重移動平均フィルタ120が、デジタル計量信号を
濾波処理するために長い時間が掛かり、これによって、
デジタル秤の計量時間が長くなるという問題を引き起こ
す。
【0018】また、多重移動平均フィルタ120は、そ
れを構成する各移動平均フィルタ120a,120b,
・・・がそれぞれノッチを掛ける周波数の高調波に対し
てもノッチを掛けるため、その高域遮断特性はデジタル
秤が必要としている性能以上に向上してしまう。つま
り、デジタル秤において、荷重検出器111から発生す
る計量信号は、それがA/D変換器113によってデジ
タル化される以前に、増幅器112に含まれているロー
パスフィルタによって計量信号の高域成分が遮断されて
いることから、多重移動平均フィルタ120によって高
域遮断特性を向上させる機能は、デジタル秤用のデジタ
ルフィルタとしては不要な機能である。そして、この不
要な機能の動作のために、従来の多重移動平均フィルタ
120では、濾波処理に無駄な時間を掛けることにな
り、その結果として、デジタル秤の計量時間を長引かせ
る原因となっている。
【0019】一方、従来のFIRフィルタは、例えば、
音響機器や計測機器用のデジタルフィルタとして用いら
れるため、種々の雑音を除去するために広範囲な阻止域
において十分な減衰率を達成し、また、位相歪みを防ぐ
ために直線位相特性を確保し、そして、信号の再現性を
確保するために信号通過域における利得が極力平坦にな
るような振幅特性を実現するように製作されている。従
って、上記音響機器や計測機器用に用いられている従来
のFIRフィルタは、それを構成するタップ数が、すな
わち、フィルタ次数が非常に多くなってしまう。
【0020】従って、この従来のFIRフィルタをデジ
タル秤に使用する場合は、そのタップ数が、上述の多重
移動平均フィルタ120を使用する場合と同等の大きさ
になってしまう。そのため、デジタル秤にこの従来のF
IRフィルタを使用する場合は、上記多重移動平均フィ
ルタ120を使用する場合と同様に、デジタル秤の計量
時間が長く掛かるという問題がある。また、この従来の
FIRフィルタの高域遮断特性も多重移動平均フィルタ
120と同様に、デジタル秤が必要としている性能以上
に向上するため、デジタル秤用のデジタルフィルタとし
ては不要な機能の動作をすることになり、この不要な機
能の動作のために、従来のFIRフィルタは濾波処理に
無駄な時間を掛けることになり、その結果として、デジ
タル秤の計量時間が長くなってしまうという問題があ
る。
【0021】本発明は、デジタル秤の計量に適した少な
い数のタップ数でFIRフィルタを構成し、短時間で濾
波処理することにより、デジタル秤の高速計量を可能に
し、かつ、計量信号に含まれる振動成分に対して十分な
減衰率を達成することにより、高い計量精度が得られる
デジタル秤用のFIRフィルタを提供することを目的と
する。
【0022】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、振動成分
を含む計量信号をデジタル化したデジタル計量信号の、
上記振動成分を所定の濾波伝達関数に基づいて減衰させ
るデジタル秤用FIRフィルタにおいて、上記濾波伝達
関数が、離散時間系列における上記デジタル計量信号の
データの差分値を自己回帰モデル化することによって算
出された自己回帰モデルの信号伝達関数の逆数であるこ
と、を特徴とするものである。
【0023】第2の発明は、振動成分を含む計量信号を
デジタル化したデジタル計量信号の、上記振動成分を所
定の濾波伝達関数に基づいて減衰させるデジタル秤用F
IRフィルタにおいて、上記濾波伝達関数が、離散時間
系列における上記デジタル計量信号のデータの差分値を
自己回帰モデル化することによって算出された自己回帰
モデルの信号伝達関数の逆数であり、かつ、z平面にお
いて(以下、「z平面において」という表現を省略す
る)該逆数の零点が単位円周上に位置する補強伝達関数
であること、を特徴とするものである。
【0024】第3の発明は、振動成分を含む計量信号を
デジタル化したデジタル計量信号の、上記振動成分を減
衰させるデジタル秤用FIRフィルタの濾波伝達関数を
算出する濾波伝達関数算出装置において、離散時間系列
における上記デジタル計量信号のデータの差分値を自己
回帰モデル化することによって求めた自己回帰モデルの
信号伝達関数を算出する信号伝達関数算出手段と、上記
信号伝達関数の逆数を算出する逆数算出手段と、上記逆
数を上記濾波伝達関数として出力する濾波伝達関数出力
手段とを具備すること、を特徴とするものである。
【0025】第4の発明は、振動成分を含む計量信号を
デジタル化したデジタル計量信号の、上記振動成分を減
衰させるデジタル秤用FIRフィルタの濾波伝達関数を
算出する濾波伝達関数算出装置において、離散時間系列
における上記デジタル計量信号のデータの差分値を自己
回帰モデル化することによって求めた自己回帰モデルの
信号伝達関数を算出する信号伝達関数算出手段と、上記
信号伝達関数の逆数を算出する逆数算出手段と、上記逆
数の零点が単位円周上に位置するように上記逆数を演算
処理し、該演算処理によって補強伝達関数を算出する補
強伝達関数算出手段と、該補強伝達関数算出手段によっ
て得られた補強伝達関数を上記濾波伝達関数として出力
する濾波伝達関数出力手段とを具備する、ことを特徴と
するものである。
【0026】
【作用】本発明に係るデジタル秤用のデジタルフィルタ
は、デジタル計量信号の被計量物の重量に相当する直流
成分を抽出することを目的としており、従来のFIRフ
ィルタのように、広範囲な阻止域において十分な減衰率
を達成し、また、直線位相特性を確保し、そして、信号
通過域における利得が極力平坦になるような振幅特性を
達成することを目的としてはいないものである。
【0027】第1の発明によれば、離散時間系列におけ
るデジタル計量信号のデータの差分値を自己回帰モデル
化することによって算出された自己回帰モデルの信号伝
達関数は、デジタル計量信号に含まれる振動成分の振幅
特性を表す。そして、振動成分の振幅が大となる成分
(以降、振動成分のピークという。)は、自己回帰モデ
ルの信号伝達関数の極に相当する。従って、自己回帰モ
デルの信号伝達関数の逆数を、振動成分を減衰させるた
めのデジタル秤用FIRフィルタの濾波伝達関数とする
ことによって、濾波伝達関数の零点は、信号伝達関数の
極の場所に位置することになり、その極の働きを相殺す
ることができ、これによって、デジタル計量信号に含ま
れる振動成分を減衰させることができる。
【0028】第2の発明によれば、離散時間系列におけ
るデジタル計量信号のデータの差分値を自己回帰モデル
化することによって算出された自己回帰モデルの信号伝
達関数は、デジタル計量信号に含まれる振動成分の振幅
特性を表す。この振動成分のピークは、自己回帰モデル
の信号伝達関数の極に相当する。更に、この振動成分の
うち持続する振動成分のピークに相当する極は、単位円
周上または単位円のすぐ内側に位置している。従って、
上記振動成分を減衰させるためのデジタル秤用FIRフ
ィルタの濾波伝達関数を、自己回帰モデルの信号伝達関
数の逆数であり、かつ、その逆数の零点が単位円周上に
位置する補強伝達関数とすることによって、濾波伝達関
数の零点は、信号伝達関数の単位円周上に位置する極の
場所に位置することになり、その極の働きを相殺するこ
とができる。従って、上記持続する振動成分を含む振動
成分を第1の発明より大きな減衰率で減衰させることが
できる。
【0029】第3の発明によれば、信号伝達関数算出手
段が、離散時間系列におけるデジタル計量信号のデータ
の差分値を自己回帰モデル化し、この自己回帰モデル化
した自己回帰モデルの信号伝達関数を算出する。この信
号伝達関数は、デジタル計量信号に含まれる振動成分の
振幅特性を表している。そして、その振動成分のピーク
は、信号伝達関数の極に相当する。なお、自己回帰モデ
ル化する際に、離散時間系列におけるデジタル計量信号
のデータの差分値を用いるのは、デジタル計量信号の計
量値に相当する直流成分を予めキャンセルすることによ
って、デジタル計量信号に含まれる振動成分のみを自己
回帰モデル化するためである。
【0030】そして、この信号伝達関数は、逆数算出手
段によって、その逆数が算出される。この逆数の零点
は、信号伝達関数の極の場所に位置するため、この極の
働きを相殺し、すなわち、振動成分を減衰させることが
できる。そして、この逆数は、濾波伝達関数出力手段に
よって、上記振動成分を減衰させるためのデジタル秤用
FIRフィルタの濾波伝達関数として出力される。
【0031】第4の発明の濾波伝達関数算出装置は、第
3発明の濾波伝達関数算出装置の逆数算出手段が算出し
た信号伝達関数の逆数を、補強伝達関数算出手段によっ
て、その逆数の零点が単位円周上に位置するように演算
処理して補強伝達関数を算出し、この補強伝達関数を、
濾波伝達関数として出力するものである。
【0032】デジタル計量信号に含まれる振動成分のう
ち、持続する振動成分のピークに相当する信号伝達関数
の極は、単位円周上または単位円のすぐ内側に位置す
る。そして、上記濾波伝達関数は、その零点が、単位円
周上に存在するその信号伝達関数の極の場所に位置する
ため、この極の働きを相殺する。すなわち、第4の発明
の濾波伝達関数算出装置の算出した濾波伝達関数は、第
3の発明の算出した濾波伝達関数と比較して、持続する
振動成分を含む振動成分をより大きな減衰率で減衰させ
ることができる。
【0033】
【実施例】本発明に係る濾波伝達関数算出装置の第1実
施例を各図面を参照して説明する。図3は、この第1実
施例の濾波伝達関数算出装置の電気回路を示すブロック
図である。同図に示すように、この濾波伝達関数算出装
置は、記憶部2と、演算制御部3と、入出力インターフ
ェース4と、表示部5と、操作部6と、通信制御部7と
を備えており、例えばコンピュータシステム等により構
成したものである。
【0034】通信制御部7は、図4に示すデジタル秤1
0からのデジタル計量信号のサンプルデータ(以下、サ
ンプルデータという。)を受信して、入出力インターフ
ェース4に出力する機能と、演算制御部3で算出した濾
波伝達関数を入出力インターフェース4から入力して、
図4に示すデジタル秤10の通信制御部19に送信する
機能とを備えているものである。なお、サンプルデータ
とは、被計量物9を後述するロードセル等の荷重検出器
11によって実際に計量して得られた計量信号をデジタ
ル化したデジタル計量信号であって、後述するFIRフ
ィルタ20によって濾波処理されていないデジタル計量
信号のことである。そして、このデジタル秤10の通信
制御部19に送信された濾波伝達関数は、デジタル秤1
0に設けられている記憶部14に記憶される。このデジ
タル秤10の記憶部14と演算制御部15とによってF
IRフィルタ20が構成され、入力したデジタル計量信
号は、記憶部14に記憶されている濾波伝達関数に基づ
いて演算制御部15によって濾波処理される。
【0035】入出力インターフェース4は、通信制御部
7から入力したサンプルデータを演算制御部3に出力す
る機能と、演算制御部3で算出した濾波伝達関数を通信
制御部7に出力する機能とを備えている。演算制御部3
は、入出力インターフェース4から送られてきたサンプ
ルデータの処理を行い、濾波伝達関数を算出するもので
ある。記憶部2は、例えばサンプルデータ等の各種デー
タを書き込んだり、削除することができる。また、記憶
部2には、図1に示すフローチャートで表されているプ
ログラムが記憶されており、演算制御部3はこのプログ
ラムに従って濾波伝達関数を算出することができる。表
示部5は、算出された濾波伝達関数や、操作部6により
入力された内容を表示することができる。操作部6は、
オペレータがこの操作部6を操作することにより、この
濾波伝達関数算出装置の電源をON/OFFしたり、通
信制御部7に例えばサンプルデータを受信させる命令等
の種々の命令を入力することができるものである。
【0036】この演算制御部3は、図1に示すフローチ
ャートで表されているプログラムに従って動作すること
により、信号伝達関数算出手段、逆数算出手段、およ
び、濾波伝達関数出力手段の有する各機能を果たすこと
ができる。信号伝達関数算出手段は、離散時間系列にお
けるデジタル計量信号のサンプルデータの差分値を自己
回帰モデル化することによって求めた自己回帰モデルの
信号伝達関数を算出する機能を果たす。逆数算出手段
は、信号伝達関数の逆数を算出する機能を果たす。濾波
伝達関数出力手段は、逆数算出手段により算出した逆数
を濾波伝達関数として出力する機能を果たす。
【0037】次に、上記のように構成されている濾波伝
達関数算出装置の動作手順を、図1に示すフローチャー
トに従って説明する。
【0038】まず、濾波伝達関数算出装置をオペレータ
がONし、後述するデジタル秤10により被計量物9を
計量し、計量により得られた1つのサンプルデータx
(n)をこの濾波伝達関数算出装置に入力させる(ステ
ップS2)。そして、このサンプルデータに含まれる振
動成分のみを自己回帰モデル化するために、離散時間系
列におけるデジタル計量信号のデータの差分値Δx
(n)について自己回帰モデル化する(ステップS
4)。この差分値Δx(n)の自己回帰モデルは、数6
で表される。なお、Δx(n)=x(n)−x(n−
1)である。
【0039】
【数6】
【0040】ここで、ai (m) (i=1,2,・・・,
m)はモデル係数、m(m=1,2,・・・,M)はモ
デル次数である。この数6で表される自己回帰モデル
が、デジタル計量信号に含まれる振動成分を示す。
【0041】次に、この自己回帰モデルの信号伝達関数
S(z)を算出する(ステップS6)。この算出式は、
数7で表される。
【0042】
【数7】
【0043】ここで、b0 はゲイン定数である。この数
7で表される信号伝達関数S(z)が、デジタル計量信
号に含まれる振動成分の振幅特性を表しており、その振
動成分のピークは、上記信号伝達関数S(z)の極に相
当する。なお、このステップS2と、ステップS4と、
ステップS6とが、信号伝達関数算出手段に対応する。
【0044】そして、上記数7に示した信号伝達関数S
(z)の逆数G(z)を算出する(ステップS8)。こ
の逆数G(z)は、数8で表される。このステップS8
が、逆数算出手段に対応する。
【0045】
【数8】
【0046】数8に示す逆数G(z)の零点は、信号伝
達関数S(z)の極の場所に位置するため、この極の働
きを相殺し、これによって、サンプルデータの振動成分
を減衰させることができる。従って、この逆数G(z)
が、振動成分を減衰させることができる濾波伝達関数と
なる。ここで、数8のai (m) (i=1,2,・・・,
m)はフィルタ係数、m(m=1,2,・・・,M)は
フィルタ次数である。なお、この濾波伝達関数G(z)
のタップ数lF は、lF =m+1である。
【0047】また、デジタル秤用FIRフィルタの定常
ゲインを1にする必要がある場合は、この場合の濾波伝
達関数は、G1 (z)として表すことができ、数9に示
すとおりである。
【0048】
【数9】
【0049】次に、この逆数G(z)を、濾波伝達関数
として出力する(ステップS10)。このステップS1
0が、濾波伝達関数出力手段に対応する。
【0050】そして、この濾波伝達関数を、通信制御部
7を通じて後述のデジタル秤10にオンラインで転送す
ることによって、デジタル秤用FIRフィルタの濾波伝
達関数として使用することができる。
【0051】但し、算出した濾波伝達関数を、デジタル
秤10にオンラインで転送したが、オンラインで転送せ
ずに、通信制御部7を通じてROM書き込み装置により
一旦ROMに書き込んで、そして、濾波伝達関数が書き
込まれたそのROMをデジタル秤10にオペレータが組
み込むことによって(オフライン転送)、デジタル秤用
FIRフィルタの濾波伝達関数として使用することもで
きる。
【0052】次に、第2実施例の濾波伝達関数算出装置
を説明する。この実施例の濾波伝達関数算出装置は、デ
ジタル計量信号に含まれる持続する振動成分を有効に減
衰させることができる濾波伝達関数を算出するものであ
る。この第2実施例の濾波伝達関数算出装置と第1実施
例の濾波伝達関数算出装置と相違するところは、第1実
施例の濾波伝達関数算出装置が図1に示すフローチャー
トに従って濾波伝達関数を算出したのに対して、第2実
施例の濾波伝達関数算出装置は、図2に示すフローチャ
ートに従って濾波伝達関数を算出するところである。但
し、第2実施例の濾波伝達関数算出装置の電気回路を示
すブロック図は、図3に示すものと同等である。
【0053】すなわち、第1実施例では、信号伝達関数
算出手段が算出した信号伝達関数を、逆数算出手段がそ
の逆数を算出して、この逆数を濾波伝達関数としたが、
第2実施例では、第1実施例で算出した信号伝達関数の
逆数の零点がz平面における単位円周上に位置するよう
にその逆数を演算処理し、この演算処理によって得られ
た補強伝達関数を濾波伝達関数として、濾波伝達関数出
力手段が出力する。
【0054】次に、濾波伝達関数算出装置の動作手順を
図2に示すフローチャートに従って説明する。なお、図
2のフローチャートに示すステップS2からステップS
8までの動作は、第1実施例の図1に示すステップS2
からステップS8までの処理と同等であるため、詳細な
説明を省略する。
【0055】まず、数8に示した濾波伝達関数G(z)
の零点が、単位円周上に位置するように演算処理を行
い、補強伝達関数を算出する(ステップS12)。この
ステップS12が、補強伝達関数算出手段に対応する。
これは、デジタル計量信号には、持続する振動成分が含
まれており、この持続する振動成分のピークに相当する
極は、単位円周上またはそのすぐ内側に存在するので、
数8で表される濾波伝達関数G(z)の零点を単位円周
上に配置することにより持続する振動成分をより大きい
減衰率で減衰させることができるからである。
【0056】ここで、数8に示した濾波伝達関数G
(z)の零点の存在する位置をz1 とすると、このz1
は数10で表される。そして、このz1 が、単位円周上
またはそのすぐ内側に位置する場合の零点の位置z
2 は、数11で表される。但し、ωi、ωi ’(i=
1,2,・・・,m)は角周波数、Tはデジタル秤用F
IRフィルタのサンプリング周期である。従って、補強
伝達関数は、この数11に示すz2 の位置に零点を有す
る。
【0057】
【数10】z1 =ri e[jωi T]
【0058】
【数11】 z2 ≒e[jωi ’T] : ∵ri ≒1,ωi ≒ωi
【0059】なお、数10に示す零点の角周波数ω
i は、振動成分のピークを示す信号伝達関数S(z)の
極の角周波数と同じであるため、数8に示す濾波伝達関
数G(z)は最小位相特性を有し、従って、ノッチを掛
ける周波数は、振動成分のピークの存在する周波数と一
致する。しかし、補強伝達関数の算出においてはri
1とすることによって、数11に示すように、補強伝達
関数の零点の角周波数がωi ’に変化してしまう、すな
わち、信号伝達関数S(z)の位相と補強伝達関数の位
相とがずれてしまう。この角周波数の変化は、補強伝達
関数がノッチを掛ける周波数が、振動成分のピークの存
在する周波数からずれてしまうことを意味する。しか
し、補強伝達関数は、その零点が単位円周上に位置する
ことにより、ノッチを掛ける周波数での減衰率が大きく
なる。従って、角周波数ωi からωi ’に変化したとし
ても、その変化分Δωi =ωi ’−ωi が極めて小さい
場合は、すなわち、補強伝達関数のノッチを掛ける周波
数と振動成分のピークが存在する周波数とのずれが極め
て小さい場合は、振動成分のピークが存在する周波数に
おける補強伝達関数の減衰率が、同周波数における数8
の濾波伝達関数G(z)の減衰率を十分満足することが
できる。
【0060】次に、この補強伝達関数を算出するステッ
プS12について図6および図7を参照して詳細に説明
する。そのために、まず、信号伝達関数の逆数G(z)
を表す数8のフィルタ係数ai (m) を、フィルタ係数算
出アルゴリズムの一手法であるバーグ法を用いて求めた
FIRフィルタの構造について説明する。なお、このバ
ーグ法は、自己回帰モデルのモデル係数を算出するアル
ゴリズムの一例として、一般に知られているが、この実
施例では、このバーグ法を使用してフィルタ係数ai
(m) を算出している。なぜなら、信号伝達関数S(z)
の逆数が濾波伝達関数G(z)であるため、デジタル計
量信号に含まれる振動成分の自己回帰モデルのモデル係
数ai (m) が、デジタル秤用FIRフィルタのフィルタ
係数ai (m) に相当するからである。
【0061】今、デジタル計量信号に含まれる振動成分
を表すN個の離散時間系列におけるデジタル計量信号の
データの差分値Δx(n)(Δx(0),Δx(1),
Δx(2),・・・,Δx(N−1))が与えられた場
合、上記数8のフィルタ係数ai (m) を算出するバーグ
法のアルゴリズムは、数12から数17で表される。
【0062】
【数12】
【0063】
【数13】 ai (m) =ai (m-1) +km ・am-i (m-1) :i=1,2,・・・,m-1 ai (m) =km :i=m
【0064】
【数14】 f(n) (m) =f(n) (m-1) +km ・g(n-1) (m-1)
【0065】
【数15】 g(n) (m) =g(n-1) (m-1) +km ・f(n) (m-1)
【0066】
【数16】 f(n) (0) =g(n) (0) =Δx(n) :n=1,2,・・・,N-1
【0067】
【数17】 Δx(n)=-a1 (m) ・Δx(n-1)- ・・・-am (m) ・Δx(n-m)+f(n) (m)
【0068】なお、一般に、km は反射係数、f(n)
(m) は自己回帰モデルの前向き予測誤差、g(n) (m)
自己回帰モデルの後向き予測誤差と呼ばれている。そし
て、このバーグ法のアルゴリズムを用いることによっ
て、数8に示す濾波伝達関数G(z)のフィルタ係数a
i (m) を算出することができる。
【0069】そして、数14と数15から、この反射係
数km と、自己回帰モデルの前向き予測誤差f(n) (m)
と、自己回帰モデルの後向き予測誤差g(n) (m) との関
係をブロック線図で表すと、一般に、図6に示すような
格子構造22になることが知られている。また、上記数
15を初期条件として、図7に示すブロック線図のよう
に格子構造22を連結すると、格子型FIRフィルタ2
4を形成することができる。従って、このバーグ法を用
いてFIRフィルタのフィルタ係数を算出すると、格子
型FIRフィルタ24が構成される。更に、図7に示す
格子型FIRフィルタ24において、Δx(n) からf
(n) (m) までの前向き伝達関数A(z)は、数18で表
され、Δx(n) からg(n) (m) までの後向き伝達関数B
(z)は、数19で表されることが知られている。
【0070】
【数18】 A(z)=1+a1 (m) -1+a2 (m) -2+・・・+am (m) -m
【0071】
【数19】 B(z)=ai (m) +am-1 (m) -1+am-2 (m) -2+・・・+z-m
【0072】この数18に示す前向き伝達関数A(z)
は、数8に示す濾波伝達関数C(z)と同等であるか
ら、この前向き伝達関数A(z)の零点の位置zA1は、
数10より、zA1=z1 =ri e[jωi T]で表される。
また、数18と数19とは、互いに反転関係にあるた
め、数19に示す後向き伝達関数B(z)の零点の位置
B1は、zB1=(1/ri )e[-j ωi T]で表される。
そして、このzA1とzB1の式に補強伝達関数の条件であ
るri ≒1を代入すると、数18の前向き伝達関数A
(z)の零点の位置zA2は数20で表され、また、その
反転関係にある数19の後向き伝達関数B(z)の零点
の位置zB2は数21で表される。
【0073】
【数20】 zA2=z2 ≒e[jωi ’T] : ∵ri ≒1,ωi ≒ωi
【0074】
【数21】 zB2≒e[-j ωi ’T] : ∵ri ≒1,ωi ≒ωi
【0075】従って、補強伝達関数の零点は、数20の
A2または数21のzB2の位置に存在する。ここで、数
18の前向き伝達関数A(z)と数19の後向き伝達関
数B(z)との平均をC(z)とし、数22で表す。
【0076】
【数22】 C(z)={A(z)+B(z)}/2 ={1+am (m) +(a1 (m) +am-1 (m) )z-1+・・・ +(1+am (m) )z-m
【0077】この数22を0とした高次方程式は、zの
低次数側と高次数側とで対称なフィルタ係数を持つ相反
方程式であるから、この相反方程式の解をzとすると、
相反方程式の公式からzの絶対値は1になる。このz
は、C(z)の零点の位置を示し、このzの絶対値が1
になるということは、すなわち、ri =1になるという
ことなので、C(z)の零点が単位円周上に位置するこ
とを意味する。そして、このC(z)の零点の位置は、
数20のzA2または数21のzB2で表された位置にな
る。従って、この数22のC(z)が、濾波伝達関数の
零点の条件である数11のz2 を満足する補強伝達関数
である。
【0078】従って、この補強伝達関数C(z)は、そ
の零点が単位円周上に位置するため、デジタル計量信号
に含まれる持続する振動成分を有する振動成分を、数8
の濾波伝達関数よりも大きい減衰率で減衰させることが
できる。そして、この補強伝達関数C(z)を、濾波伝
達関数C(z)として出力する(ステップS14)。
【0079】なお、濾波伝達関数C(z)のタップ数l
F は、上述の濾波伝達関数G(z)と同様、lF =m+
1である。このステップS14が、濾波伝達関数出力手
段に対応する。
【0080】そして、この濾波伝達関数G(z)を、通
信制御部7を通じて後述のデジタル秤10にオンライン
で転送することによって、デジタル秤用FIRフィルタ
の濾波伝達関数として使用することができる。
【0081】また、この実施例では、フィルタ係数ai
(m) を算出するアルゴリズムの一例としてバーグ法を用
いたが、バーグ法以外の方法を用いてもよい。
【0082】次に、第3実施例のデジタル秤用FIRフ
ィルタを図4と図5を参照して説明する。図4は、この
第3実施例のデジタル秤用FIRフィルタを備えるデジ
タル秤10の電気回路を示すブロック図である。同図に
示すように、このデジタル秤10は、荷重検出器11
と、増幅器12と、アナログ/デジタル変換器(以降、
A/D変換器と言う。)13と、記憶部14と、演算制
御部15と、入出力インターフェース16と、表示部1
7と、操作部18と、通信制御部19とを備えている。
また、図5は、このデジタル秤10の基本構成を示すブ
ロック図であり、図4のブロック図を簡略化したもので
ある。この図5のデジタル秤用FIRフィルタ20は、
図4に示す記憶部14と、演算制御部15とに対応す
る。
【0083】通信制御部19は、サンプルデータを図3
に示す第1実施例の濾波伝達関数算出装置の通信制御部
7に送信する機能と、同実施例の濾波伝達関数算出装置
によって算出された濾波伝達関数(数8に示す濾波伝達
関数)を受信して、入出力インターフェース16に出力
する機能とを備えているものである。そして、このデジ
タル秤10の通信制御部19に送信された濾波伝達関数
は、デジタル秤10に設けられている記憶部14に記憶
される。FIRフィルタ20は、演算制御部15と、記
憶部14と、記憶部14に記憶されている濾波伝達関数
を表すプログラムによって構成されており、入力したデ
ジタル計量信号に対して濾波処理を行う。
【0084】入出力インターフェース16は、第1実施
例に定義したサンプルデータを通信制御部19に出力す
る機能と、通信制御部19から入力した濾波伝達関数を
演算制御部15に出力する機能とを備えている。演算制
御部15は、例えばマイクロコンピュータやDSP等に
より構成されており、入力するデジタル計量信号を記憶
部14に記憶されている濾波伝達関数に基づいて濾波処
理する。そして、濾波処理したデジタル計量信号を重量
値に変換するものである。なお、この濾波伝達関数は、
第1実施例の濾波伝達関数算出装置により算出された濾
波伝達関数(数8)である。記憶部14は、例えばRO
MおよびRAM等により構成されており、濾波伝達関数
等の各種データを書き込んだり、削除することができる
ものである。
【0085】表示部17は、演算制御部15により算出
された計量値や、操作部18により入力された内容を表
示することができる。操作部18は、オペレータがこの
操作部18を操作することにより、このデジタル秤10
の電源をON/OFFしたり、例えば通信制御部19に
サンプルデータを送信させる命令等の種々の命令を入力
することができるものである。
【0086】荷重検出器11は、例えばロードセル等か
ら成り、被計量物9の重量を計量してアナログ計量信号
を出力するものである。このアナログ計量信号は、被計
量物9の重量に相当する直流成分の他に振動成分を含ん
でいる。増幅器12は、荷重検出器11からのアナログ
計量信号を入力し、このアナログ計量信号を所定の増幅
率で増幅して、A/D変換器13に出力するものであ
る。また、この増幅器12には、アナログ計量信号をデ
ジタル化する際に不要な高周波成分を減衰させるための
ローパスフィルタが付加されている。A/D変換器13
は、増幅器12の出力信号を入力し、デジタル計量信号
に変換し、演算制御部15に出力するものである。
【0087】このデジタル秤10は、例えば重量選別機
や組合せ秤に利用されている。なお、組合せ秤に利用す
る場合は、荷重検出器11を複数台設ける。まず、被計
量物9の重量が荷重検出器11に印荷されるとアナログ
計量信号が発生し、このアナログ計量信号は増幅器12
に入力される。そして、この増幅器12によりアナログ
計量信号は増幅される。この増幅器12には、ローパス
フィルタが付加されており、このローパスフィルタによ
りアナログ計量信号の高周波成分が除去される。高周波
成分が除去されたアナログ計量信号は、A/D変換器1
3によりデジタル計量信号に変換されて、演算制御部1
5に供給される。この演算制御部15は、供給されたデ
ジタル計量信号を記憶部14に記憶されている濾波伝達
関数(数8)に基づいて濾波処理を行う。そして、この
デジタル計量信号は、演算制御部15により振動成分は
減衰されて、直流成分が抽出され(濾波処理され)、こ
の直流成分が表示部17に表示される。
【0088】この実施例のFIRフィルタの濾波処理の
内容である濾波伝達関数は、離散時間系列におけるデジ
タル計量信号のデータの差分値を自己回帰モデル化する
ことによって算出された自己回帰モデルの信号伝達関数
の逆数である。この信号伝達関数は、デジタル計量信号
に含まれる振動成分の振幅特性を表し、この振動成分の
ピークは、自己回帰モデルの信号伝達関数の極に相当す
る。従って、この濾波処理は、自己回帰モデルの信号伝
達関数の逆数を濾波伝達関数とすることによって、濾波
伝達関数の零点が、信号伝達関数の極の場所に位置する
ことになり、その極の働きを相殺することができ、これ
によって、デジタル計量信号に含まれる振動成分を、従
来の多重移動平均フィルタや音響用に設計されたFIR
フィルタと比較して、短時間で減衰させることができ
る。
【0089】従って、このFIRフィルタを備えるデジ
タル秤により被計量物9を計量すると、高速計量と高精
度の計量を可能にすることができる。
【0090】次に、図8に示すデジタル計量信号を実際
に濾波処理する場合の数8示す濾波伝達関数G(z)を
有するデジタル秤用FIRフィルタの作用ついて、従来
技術である多重移動平均フィルタの作用と比較しなが
ら、図8から図11を参照して説明する。
【0091】図8は、図4に示すデジタル秤10で20
0gの被計量物9を計量したデジタル計量信号で、FI
Rフィルタに入力する前のものである。サンプリング時
間Tは、5msecである。そして、この図8に示すデ
ジタル計量信号に含まれる振動成分を減衰させることを
目的とした数8に示す濾波伝達関数G(z)を有するF
IRフィルタを製作した。
【0092】まず、被計量物9のデジタル秤10への乗
り込みが完了した状態のデジタル計量信号を、例えば図
8に示すサンプリング数n=150から200の間(以
降、データサンプル時間という。)のデジタル計量信号
をサンプルデータとし、このサンプルデータをデジタル
秤10から第1実施例の濾波伝達関数算出装置に送信す
る。第1実施例の濾波伝達関数算出装置は、受信したこ
のサンプルデータを基に数8に示す濾波伝達関数G
(z)を算出し、デジタル秤10へ送り返す。そして、
デジタル秤10は、この濾波伝達関数G(z)を受信し
て、FIRフィルタの濾波伝達関数G(z)として記憶
部14に記憶する。このFIRフィルタは、この記憶部
14に記憶された濾波伝達関数G(z)に基づいて、入
力したデジタル計量信号に対して濾波処理を行う。
【0093】図9は、図8のデジタル計量信号に含まれ
る振動成分を表す信号伝達関数S(z)の振幅特性と、
上記FIRフィルタの濾波伝達関数C(z)の振幅特性
である。図9に示すARは、図8のデータサンプル時間
内の離散時間系列におけるデジタル計量信号の差分値Δ
x(n)=x(n)−x(n−1)(但し、n=15
0,・・・,200)について、モデル次数m=30で
自己回帰モデル化された自己回帰モデルの信号伝達関数
S(z)の振幅特性である。そして、図9に示すF1
は、フィルタ次数m=30からなるFIRフィルタの濾
波伝達関数G(z)の振幅特性である。この図9におい
て、F1は、ARの振動成分のピークが存在する周波数
(以降、ピーク周波数という)に対してノッチが掛かっ
ており、そのピーク周波数における減衰率が大きいこと
が認められる。
【0094】また、図10は、図8のデジタル計量信号
の入力に対する、FIRフィルタの出力応答である。図
10のF1aが、数8の濾波伝達関数G(z)を有する
FIRフィルタの出力応答を示している。同図におい
て、F1aの応答が、後述の数22の濾波伝達関数C
(z)を有するFIRフィルタの出力応答を示すF2a
よりも速く応答していることが認められる。これは、濾
波伝達関数G(z)が、図8のデジタル計量信号に含ま
れる振動成分を表す信号伝達関数S(z)に対して最小
位相特性を有し、これによって、出力応答時間が最小と
なるからである。
【0095】また、図8に示す入力したデジタル計量信
号の変動Δdが、データサンプル時間Dにおいて最大約
36gであるのに対して、図10に示すF1aの変動Δ
F1aは、その濾波処理の効果が現れるサンプリング時
間n=180(被計量物9の乗り込み完了時間n=15
0にデジタル秤用FIRフィルタのフィルタ次数m=3
0を付加した時間)以降において最大約0.33gに減
少している。このことから、第3実施例のFIRフィル
タは、入力したデジタル計量信号に含まれる振動成分を
十分減衰させることが認められる。
【0096】また、図11に、図8のデジタル計量信号
に含まれる振動成分を表す信号伝達関数S(z)の振幅
特性と、この振動成分を減衰させるための従来技術であ
る多重移動平均フィルタの濾波伝達関数M(z)の振幅
特性を示す。この図11に示すARは、図9に示したA
Rと同じもので、信号伝達関数S(z)の振幅特性であ
る。また、同図のMAは、上述の数1と数2から求め
た、24タップ、12タップ、11タップ、8タップの
移動平均フィルタを4重に縦続接続した構成から成る、
4段多重移動平均フィルタの濾波伝達関数H(z)の振
幅特性である。同図から、この多重移動平均フィルタの
振幅特性であるMAは、図9に示すF1と比較してその
減衰率が十分であり、特に、高周波数帯域においては十
分すぎるほどの大きな減衰率を有していることが認めら
れる。従って、この多重移動平均フィルタも、濾波伝達
関数G(z)を有するFIRフィルタと同様に、入力し
たデジタル計量信号に含まれる振動成分を十分減衰でき
る能力を有するものであると言える。
【0097】しかし、この濾波伝達関数G(z)を有す
るFIRフィルタのタップ数lF は、lF =m+1の関
係から31タップであるので、その濾波処理時間は、
(lF−1)Tの関係から150msである。これに対
して、従来技術である多重移動平均フィルタのタップ数
M は、数4の関係から52タップであるので、その濾
波処理時間は、(lM −1)Tの関係から255msで
ある。従って、このFIRフィルタの濾波処理時間は、
多重移動平均フィルタに比べて1.7倍も短縮すること
ができる。そして、このFIRフィルタをデジタル秤1
0に用いることによって、デジタル秤10の計量時間を
短縮することができる。
【0098】次に、第4実施例のデジタル秤用FIRフ
ィルタを説明する。このデジタル秤用FIRフィルタ
は、デジタル計量信号に含まれる持続する振動成分を有
効に減衰させることができるものである。この第4実施
例のFIRフィルタと第3実施例のFIRフィルタと相
違するところは、第3実施例のFIRフィルタが数8の
濾波伝達関数に基づいてデジタル計量信号を濾波処理し
たのに対して、第4実施例のFIRフィルタは、数22
の濾波伝達関数に基づいてデジタル計量信号を濾波処理
するところである。但し、第4実施例のFIRフィルタ
を備えるデジタル秤10の電気回路を示すブロック図
は、図4に示すものと同等であり、またデジタル秤10
の基本構成のブロック図についても、図5に示すものと
同等であるので、詳細な説明を省略する。
【0099】つまり、この第4実施例のFIRフィルタ
が設けられているデジタル秤10は、第2実施例の濾波
伝達関数算出装置の算出した濾波伝達関数を利用してい
る。これに対して第3実施例のFIRフィルタが設けら
れているデジタル秤10は、第1実施例の濾波伝達関数
算出装置の算出した濾波伝達関数を利用している。従っ
て、この第4実施例に係る図5に示すデジタル秤10の
通信制御部19は、第1実施例で定義したサンプルデー
タを、図3に示す第2実施例の濾波伝達関数算出装置の
通信制御部7に送信し、第2実施例の濾波伝達関数算出
装置によって算出された濾波伝達関数(数22に示す濾
波伝達関数)を受信して、入出力インターフェース16
に出力する。この入出力インターフェース16に出力さ
れた濾波伝達関数は、第3実施例と同様に、記憶部14
に記憶される。FIRフィルタは、この記憶部14に記
憶された濾波伝達関数を表すプログラムに基づいて入力
したデジタル計量信号に対して濾波処理を行う。
【0100】このデジタル秤10は、第3実施例と同様
に、例えば重量選別機や組合せ秤に利用されている。ま
ず、被計量物9の重量が図4に示す荷重検出器11に印
荷されると、第3実施例と同様に、アナログ計量信号が
発生し、このアナログ計量信号は、増幅器12に入力し
て増幅される。この増幅器12には、ローパスフィルタ
が付加されており、このローパスフィルタによりアナロ
グ計量信号の高周波成分が除去され、高周波成分が除去
されたアナログ計量信号は、A/D変換器13によりデ
ジタル計量信号に変換されて、演算制御部15に入力す
る。演算制御部15は、このデジタル計量信号を、記憶
部14に記憶されている濾波伝達関数(数22)に基づ
いて濾波処理を行う。そして、このデジタル計量信号
は、演算制御部15により振動成分は減衰されて、直流
成分が抽出され(濾波処理され)、この直流成分が表示
部17に表示される。
【0101】この実施例のFIRフィルタの濾波処理の
内容である濾波伝達関数は、離散時間系列におけるデジ
タル計量信号のデータの差分値を自己回帰モデル化する
ことによって算出された自己回帰モデルの信号伝達関数
の逆数であり、かつ、z平面において該逆数の零点が単
位円周上に位置する補強伝達関数である。この信号伝達
関数は、デジタル計量信号に含まれる振動成分の振幅特
性を表し、この振動成分のピークは、自己回帰モデルの
信号伝達関数の極に相当する。更に、振動成分のうち持
続する振動成分のピークに相当する極は、単位円周上ま
たは単位円のすぐ内側に位置している。従って、この濾
波処理は、補強伝達関数を濾波伝達関数とすることによ
って、濾波伝達関数の零点が、信号伝達関数の単位円周
上に位置する極の場所に位置することになり、その極の
働きを相殺することができ、これによって、デジタル計
量信号に含まれる持続する振動成分を有する振動成分
を、従来の多重移動平均フィルタや音響用に設計された
FIRフィルタと比較して、短時間で減衰させることが
でき、更に、第3実施例のFIRフィルタよりも、大き
な減衰率で減衰させることができる。
【0102】従って、このFIRフィルタを備えるデジ
タル秤用により被計量物9を計量すると、高速計量と、
第1のFIRフィルタを備えるデジタル秤10よりも高
い計量精度を可能にすることができる。
【0103】次に、第3実施例と同様に、図8に示すデ
ジタル計量信号を実際に濾波処理する場合の数22示す
濾波伝達関数C(z)を有するデジタル秤用FIRフィ
ルタの作用ついて、従来技術である多重移動平均フィル
タの作用と比較しながら、図8から図11を参照して説
明する。但し、この第4実施例のFIRフィルタに入力
するデジタル計量信号は、第3実施例と同じ図8に示す
デジタル計量信号である。従って、この第4実施例のF
IRフィルタの各特性を示す部分について、第3実施例
で説明した図9から図11に記載し、各図の同一部分に
ついての詳細な説明を省略する。
【0104】この第4実施例では、図8に示すデジタル
計量信号に含まれる振動成分を減衰させることを目的と
した数22に示す濾波伝達関数C(z)を有するFIR
フィルタを製作した。
【0105】まず、第3実施例と同様に、図8のサンプ
ルデータを図4に示すデジタル秤10から第2実施例の
図3に示す濾波伝達関数算出装置に送信する。この第2
実施例の濾波伝達関数算出装置は、受信したこのサンプ
ルデータを基にこの数22に示す濾波伝達関数C(z)
を算出し、デジタル秤10へ送り返す。そして、デジタ
ル秤10は、この濾波伝達関数C(z)を受信して、F
IRフィルタの濾波伝達関数C(z)として記憶部14
に記憶する。このFIRフィルタは、この記憶部14に
記憶された濾波伝達関数C(z)に基づいて、入力した
デジタル計量信号に対して濾波処理を行う。
【0106】図9は、図8のデジタル計量信号に含まれ
る振動成分を表す信号伝達関数S(z)の振幅特性と、
この振動成分を減衰させるためのFIRフィルタの数2
2に示す濾波伝達関数C(z)の振幅特性である。図9
に示すARは、モデル次数m=30から成る信号伝達関
数S(z)の振幅特性である。そして、図9に示すF2
は、フィルタ次数m=30から成るFIRフィルタの濾
波伝達関数G(z)の振幅特性である。
【0107】図9において、F2は、ARのピーク周波
数から若干外れた周波数に対してノッチが掛かっている
ことが認められる。しかし、F2のピーク周波数におけ
る減衰率が、数8の濾波伝達関数G(z)の振幅特性を
示すF1の減衰率を十分満足している。更に、F2のノ
ッチが掛かった周波数における減衰率が、F1のノッチ
が掛かった周波数における減衰率よりも大きいことが認
められる。
【0108】また、図10のF2aは、図8のデジタル
計量信号の入力に対する、数22の濾波伝達関数C
(z)を有するFIRフィルタの出力応答である。同図
において、F2aの応答が、数8の濾波伝達関数G
(z)を有するFIRフィルタの出力応答を示すF1a
に比べて、若干遅いことが認められる。これは、上記数
11に示したとおり、C(z)の零点の角周波数ωi
が、信号伝達関数S(z)の零点の角周波数ωi に対し
て若干の差異を有し、そのために、位相がずれてしまう
ためである。これによって、濾波伝達関数C(z)の出
力応答F2aは、最小位相特性を有する濾波伝達関数G
(z)の出力応答F1aに比べて、出力応答時間が長く
なってしまう。
【0109】また、図8に示す入力したデジタル計量信
号の変動Δdが、データサンプル時間Dにおいて最大約
36gであるのに対して、図10に示すF2aの変動Δ
F2aは、その濾波処理の効果が現れるサンプリング時
間n=180(被計量物9の乗り込み完了時間n=15
0にデジタル秤用FIRフィルタのフィルタ次数m=3
0を付加した時間)以降において最大約0.22gに減
少している。これに対して、ΔF1aは、最大0.33
gである。このことから、第2実施例のFIRフィルタ
は、第1実施例のFIRフィルタよりも入力したデジタ
ル計量信号に含まれる振動成分を十分減衰させることが
認められる。
【0110】また、図11は、第3実施例の説明と同
じ、図8のデジタル計量信号に含まれる振動成分を表す
信号伝達関数S(z)の振幅特性と、この振動成分を減
衰させるための従来技術である多重移動平均フィルタの
濾波伝達関数M(z)の振幅特性である。
【0111】そして、このFIRフィルタのタップ数l
F は、第3実施例と同様、lF =m+1の関係から31
タップであるので、その濾波処理時間は、(lF −1)
Tの関係から150msである。これに対して、従来技
術である多重移動平均フィルタの濾波処理時間は、25
5msである。従って、このFIRフィルタは、第3実
施例よりも出力応答時間については若干長く掛かるが、
濾波処理時間は、第3実施例と同様、多重移動平均フィ
ルタに比べて1.7倍も短縮できる。そして、この濾波
処理時間の短縮により、デジタル秤10の計量時間を短
縮することができる。
【0112】
【発明の効果】第1の発明のデジタル秤用FIRフィル
タは、デジタル計量信号に含まれる振動成分の振幅特性
を示す信号伝達関数の逆数を、その濾波伝達関数として
いるため、この濾波伝達関数の零点を、振動成分のピー
クを示す信号伝達関数の極の場所に位置させて、その極
の働きを相殺し、これによって、デジタル計量信号に含
まれる振動成分を減衰させることができる構成である。
【0113】この構成によって、振動成分のピークが存
在する周波数に対してのみノッチを掛けることができ、
これによって、その濾波伝達関数の設計パラメータの一
つであるタップ数を最小限の数に抑えることができるの
で、従来よりも少ないタップ数となる。また、濾波伝達
関数の位相と、信号伝達関数の位相とが一致しているた
め、最小位相特性を有しており、これによって、デジタ
ル計量信号の入力に対する出力応答の遅延時間を最小に
することができる。従って、従来よりも少ないタップ数
となること、及び、出力応答の遅延時間を最小にするこ
とができることにより、このデジタル秤用FIRフィル
タは、従来に比べて濾波処理時間を大きく短縮すること
ができ、その結果、高速計量を可能にするという効果が
ある。
【0114】また、デジタル秤の増幅器12に付加され
ているローパスフィルタによって、既に遮断されている
高周波領域に対して、従来の多重移動平均フィルタ11
1のように、更にノッチを掛けて無駄な濾波処理を行う
ことがないため、この点でもデジタル秤の計量時間を従
来よりも短縮することができるという効果がある。
【0115】第2の発明のデジタル秤用FIRフィルタ
は、持続する振動成分を有する振動成分の振幅特性を示
す信号伝達関数の逆数であり、かつ、その逆数の零点が
単位円周上に位置することを示す補強伝達関数を、その
濾波伝達関数とする構成である。この構成によって、濾
波伝達関数の零点を、持続する振動成分を有する振動成
分のピークを示す極の場所に位置させて、その極の働き
を相殺し、これによって、持続する振動成分を有する振
動成分を、第1の発明と比較してより大きい減衰率で減
衰させることができる。これによって、第1の発明より
も高い計量精度が得られるという効果がある。
【0116】また、このデジタル秤用FIRフィルタ
は、上記構成によって、濾波伝達関数の零点の位相と信
号伝達関数の零点の位相とが若干ずれるため、その応答
速度が、最少位相特性を有する第1の発明のデジタル秤
用FIRフィルタよりも、若干遅くなる。しかし、持続
する振動成分を有する振動成分のピークが存在する周波
数に対してのみノッチを掛けるため、その濾波伝達関数
の設計パラメータの一であるタップ数を最小限の数に抑
えることができるので、従来よりも少ないタップ数でフ
ィルタを構成することができる。これによって、従来に
比べて濾波処理時間を短縮することができ、その結果、
従来よりも高速に計量を行うことができるという効果が
ある。
【0117】更に、第1の発明と同様に、デジタル秤の
増幅器12に付加されているローパスフィルタによって
既に遮断されている高周波領域に対して、更にノッチを
掛けて無駄な濾波処理を行うことがないため、従来より
も計量時間を短くすることができるという効果がある。
【0118】第3の発明のデジタル秤用FIRフィルタ
の濾波伝達関数算出装置は、デジタル計量信号に含まれ
る振動成分の振幅特性を示す信号伝達関数の逆数を、そ
の濾波伝達関数として算出する構成である。この構成に
よって、この濾波伝達関数の零点を振動成分のピークを
示す信号伝達関数の極の場所に位置させることができ、
その結果、この振動成分のピークが存在する周波数に対
してのみノッチを掛けることができる。これによって、
濾波伝達関数の設計パラメータの一であるタップ数を最
小限の数に抑えることができ、従って、従来よりもタッ
プ数の少ない濾波伝達関数を算出することができるとい
う効果がある。そして、上記構成によって、濾波伝達関
数の位相を信号伝達関数の位相に一致させることができ
るので、最小位相特性を有する濾波伝達関数を算出する
ことができるという効果がある。
【0119】つまり、この算出した濾波伝達関数を用い
たデジタル秤用FIRフィルタは、第1の発明に記載し
た効果と同様の効果を奏する。
【0120】第4の発明のデジタル秤用FIRフィルタ
の濾波伝達関数算出装置は、デジタル計量信号に含まれ
る振動成分の振幅特性を示す信号伝達関数の逆数であ
り、かつ、その逆数の零点が単位円周上に位置すること
を示す補強伝達関数を算出して、その補強伝達関数を濾
波伝達関数として出力する構成である。この算出した濾
波伝達関数は、その零点が、持続する振動成分を有する
振動成分のピークを示す極の場所に位置するため、この
持続する振動成分を有する振動成分のピークが存在する
周波数に対してのみノッチを掛けることができ、設計パ
ラメータの一であるタップ数が最小限の数に抑えられ
る。これによって、濾波処理時間を従来のデジタルフィ
ルタよりも短縮することができ、この算出した濾波伝達
関数をデジタル秤用FIRフィルタに適用することによ
り、計量時間を短縮することができるという効果があ
る。
【0121】そして、上記構成により、デジタル計量信
号に含まれる持続する振動成分を有する振動成分を、第
3の発明の濾波伝達関数算出装置が算出した濾波伝達関
数よりも大きい減衰率で減衰させることができる濾波伝
達関数を算出することができる。これによって、この算
出した濾波伝達関数をデジタル秤用FIRフィルタに適
用することにより、計量精度を、第3の発明により算出
された濾波伝達関数のフィルタを使用した場合よりも向
上させることができるという効果がある。
【0122】つまり、この算出した濾波伝達関数を用い
たデジタル秤用FIRフィルタは、第2の発明に記載し
た効果と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る濾波伝達関数算出装
置の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の第2実施例に係る濾波伝達関数算出装
置の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施例又は第2実施例を示す濾波
伝達関数算出装置の電気回路を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3実施例又は第4実施例を示すデジ
タル秤用FIRフィルタを備えるデジタル秤の電気回路
を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3実施例又は第4実施例を示すデジ
タル秤用FIRフィルタを備えるデジタル秤の基本構成
を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施例に使用したバーグ法のアル
ゴリズムの関係を示す格子構造のブロック線図である。
【図7】図6に示す格子構造を連結した格子型FIRフ
ィルタのブロック線図である。
【図8】本発明の第3、第4実施例のデジタル秤用FI
Rフィルタ、および、従来の多重移動平均フィルタに入
力するデジタル計量信号の波形図である。
【図9】本発明の第3実施例および第4実施例のデジタ
ル秤用FIRフィルタの濾波伝達関数の振幅特性、およ
び、図8に示すデジタル計量信号に含まれる振動成分を
示す信号伝達関数の振幅特性である。
【図10】本発明の第3実施例又は第4実施例のデジタ
ル秤用FIRフィルタの出力応答である。
【図11】従来の多重移動平均フィルタの濾波伝達関数
の振幅特性、および、図8に示すデジタル計量信号に含
まれる振動成分を示す信号伝達関数の振幅特性である。
【図12】従来の多重移動平均フィルタを使用したデジ
タル秤の基本構成を示すブロック図である。
【図13】従来の多重移動平均フィルタの構成を示すブ
ロック図である。
【符号の説明】
3 演算制御部 7 通信制御部 11 荷重検出器 15 演算制御部 19 通信制御部 20 デジタル秤用FIRフィルタ ステップS2 デジタル計量信号サンプルデータx
(n)の読み込み ステップS4 振動成分の自己回帰モデル化 ステップS6 信号伝達関数S(z)の算出 ステップS8 信号伝達関数の逆数G(z)の算出 ステップS10 濾波伝達関数G(z)の出力 ステップS12 補強伝達関数C(z)の算出 ステップS14 濾波伝達関数C(z)の出力
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H03H 21/00 8842−5J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動成分を含む計量信号をデジタル化し
    たデジタル計量信号の、上記振動成分を所定の濾波伝達
    関数に基づいて減衰させるデジタル秤用FIRフィルタ
    において、 上記濾波伝達関数が、離散時間系列における上記デジタ
    ル計量信号のデータの差分値を自己回帰モデル化するこ
    とによって算出された自己回帰モデルの信号伝達関数の
    逆数であること、を特徴とするデジタル秤用FIRフィ
    ルタ。
  2. 【請求項2】 振動成分を含む計量信号をデジタル化し
    たデジタル計量信号の、上記振動成分を所定の濾波伝達
    関数に基づいて減衰させるデジタル秤用FIRフィルタ
    において、 上記濾波伝達関数が、離散時間系列における上記デジタ
    ル計量信号のデータの差分値を自己回帰モデル化するこ
    とによって算出された自己回帰モデルの信号伝達関数の
    逆数であり、かつ、z平面において該逆数の零点が単位
    円周上に位置する補強伝達関数であること、を特徴とす
    るデジタル秤用FIRフィルタ。
  3. 【請求項3】 振動成分を含む計量信号をデジタル化し
    たデジタル計量信号の、上記振動成分を減衰させるデジ
    タル秤用FIRフィルタの濾波伝達関数を算出する濾波
    伝達関数算出装置において、 離散時間系列における上記デジタル計量信号のデータの
    差分値を自己回帰モデル化することによって求めた自己
    回帰モデルの信号伝達関数を算出する信号伝達関数算出
    手段と、上記信号伝達関数の逆数を算出する逆数算出手
    段と、上記逆数を上記濾波伝達関数として出力する濾波
    伝達関数出力手段と、を具備するデジタル秤用FIRフ
    ィルタの濾波伝達関数算出装置。
  4. 【請求項4】 振動成分を含む計量信号をデジタル化し
    たデジタル計量信号の、上記振動成分を減衰させるデジ
    タル秤用FIRフィルタの濾波伝達関数を算出する濾波
    伝達関数算出装置において、 離散時間系列における上記デジタル計量信号のデータの
    差分値を自己回帰モデル化することによって求めた自己
    回帰モデルの信号伝達関数を算出する信号伝達関数算出
    手段と、上記信号伝達関数の逆数を算出する逆数算出手
    段と、z平面において上記逆数の零点が単位円周上に位
    置するように上記逆数を演算処理し、該演算処理によっ
    て補強伝達関数を算出する補強伝達関数算出手段と、該
    補強伝達関数算出手段によって得られた補強伝達関数を
    上記濾波伝達関数として出力する濾波伝達関数出力手段
    と、を具備するデジタル秤用FIRフィルタの濾波伝達
    関数算出装置。
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