JPH07128657A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JPH07128657A
JPH07128657A JP5274248A JP27424893A JPH07128657A JP H07128657 A JPH07128657 A JP H07128657A JP 5274248 A JP5274248 A JP 5274248A JP 27424893 A JP27424893 A JP 27424893A JP H07128657 A JPH07128657 A JP H07128657A
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JP
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liquid crystal
crystal cell
viewing angle
display device
polarizer
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JP5274248A
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Inventor
Yoshinaga Miyazawa
善永 宮沢
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】TN型の液晶セルを用いたものでありながら、
広視野角で、かつ“ちらつき”や階調の反転のない高品
質の表示が得られる液晶表示装置を提供する。 【構成】2つのTN型液晶セル30A,30Bを積層
し、入射側液晶セル30Aの入射側に垂直軸位相板43
を介して偏光子41を、出射側液晶セル30Bの出射側
に垂直軸位相板43を介して検光子42を配置するとと
もに、両液晶セル30A,30Bにそれぞれ各々の液晶
層の互いに対応する箇所に電界を印加するための透明電
極を設け、これら液晶セルのΔn・dの値をほぼ等しく
し、液晶分子のツイスト方向Ta,Tbも同じにすると
ともに、両液晶セルの入射側基板上の配向処理方向31
a,31bを互いに逆向きに、かつ出射側基板上の配向
処理方向32a,32bを互いに逆向きにし、偏光子4
1の透過軸41aを入射側液晶セル30Aの入射側基板
上の配向処理方向31aとほぼ直交させ、検光子42の
透過軸42aを偏光子41の透過軸41aとほぼ直交さ
せた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はTN型の液晶セルを用い
た液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置としては、一般に、TN
(ツイステッド・ネマティック)型の液晶セルを用いた
ものが利用されている。図16および図17は従来の液
晶表示装置の分解斜視図および断面図であり、この液晶
表示素子は、TN型液晶セル10と、この液晶セル10
への光Aの入射側に配置された偏光子21と、前記液晶
セル10の出射側に配置された検光子22とで構成され
ている。
【0003】上記液晶セル10は、図17に示すよう
に、ガラス等からなる一対の透明基板11,12をその
周縁部において枠状のシール材17を介して接合し、こ
の両基板11,12間のシール材17で囲まれた領域に
液晶18を封入したもので、両基板11,12の互いに
対向する面にはそれぞれ液晶層に電界を印加するための
透明電極13,14が形成されており、その上に、液晶
分子の配向方向を規制する配向膜15,16が形成され
ている。
【0004】そして、上記配向膜15,16の液晶分子
に対する配向規制力は配向膜15,16に例えばラビン
グ等の配向処理を施すことによって得られ、その配向処
理方向は互いにほぼ90°ずれており、液晶分子は、こ
れら配向膜15,16により、その膜面に対しあるプレ
チルト角をもった状態で一方向に配向され、両基板1
1,12間においてほぼ90°のツイスト角でツイスト
配列している。
【0005】すなわち、図16において、11aは液晶
セル10の入射側基板11上(配向膜15面)における
液晶分子配向方向、12aは出射側基板12上(配向膜
16面)における液晶分子配向方向、Tは液晶分子のツ
イスト方向を示しており、液晶分子は、入射側基板11
から出射側基板12に向かって、図上右回りにほぼ90
°のツイスト角でツイスト配列している。なお、上記液
晶セル10としては、一般に、液晶18の屈折率異方性
Δnと液晶層厚dとの積Δn・dの値が350〜450
nmのものが使用されている。
【0006】一方、図16において、21aは偏光子2
1の透過軸、22aは上記検光子22の透過軸を示して
おり、偏光子21は、その透過軸21aを液晶セル10
の入射側基板11上における液晶分子配向方向11aと
ほぼ直交させるかあるいはほぼ平行にして配置され、検
光子22は、その透過軸22aを前記偏光子21の透過
軸21aとほぼ直交させるかあるいはほぼ平行にして配
置されている。
【0007】なお、TN型液晶セルを用いる液晶表示装
置には、ポジ表示タイプのものとネガ表示タイプのもの
とがあり、ポジ表示タイプの液晶表示装置では図16の
ように、偏光子21と検光子22とをその透過軸21
a,22aを互いにほぼ直交させて配置し、ネガ表示タ
イプの液晶表示装置では、偏光子21と検光子22とを
その透過軸21a,22aを互いにほぼ平行にして配置
している。
【0008】上記液晶表示装置は、液晶セル10の電極
13,14間に電圧を印加することによりその電極間の
液晶層に電界を印加して表示駆動されるもので、電極1
3,14間にOFF電圧を印加したとき、つまり液晶分
子の配列状態が初期のツイスト配列状態にあるときは、
偏光子21を通って液晶セル10に入射した直線偏光が
その偏光方向をほぼ90°旋向されて検光子22に入射
する。
【0009】また、液晶セル10の電極13,14間に
ON電圧を印加すると、液晶分子が初期のツイスト配列
状態からツイスト配列状態を保ちつつ立ち上がって液晶
層での旋向作用が小さくなってゆき、液晶分子がほぼ直
立状態に立上がり配列すると、液晶層での旋向作用がほ
とんど0となり、偏光子21を通って入射した直線偏光
がその偏光状態のまま液晶セルを通って検光子22に入
射する。
【0010】このため、例えば偏光子21と検光子22
の透過軸21a,22aを互いにほぼ直交させているポ
ジ表示タイプの液晶表示装置では、液晶セル10の電極
13,14間にOFF電圧を印加すると、この部分を通
った光のほとんどが検光子22を透過して表示が明状態
になり、液晶分子がほぼ直立状態に立上がり配列するO
N電圧を印加すると、この部分を通った光のほとんどが
検光子22で吸収されて表示が暗状態になる。
【0011】また、液晶分子が初期のツイスト配列状態
と直立配列状態との中間の状態に配向するON電圧を印
加すると、この部分を通った光の一部が検光子22で吸
収され、他の光は検光子22を透過して、表示の明るさ
が明状態と暗状態との中間の階調になる。
【0012】なお、上記液晶表示装置には、一方の基板
に表示パターンに対応する形状のセグメント電極を形成
し他方の基板に前記セグメント電極と対向するコモン電
極を形成したセグメント方式の液晶セルを用いるもの
と、一方の基板に複数の走査電極を互いに平行に形成し
他方の基板に前記走査電極と直交させて複数の信号電極
を形成した単純マトリックス方式の液晶セルを用いるも
のと、一方の基板に複数の画素電極とその能動素子(例
えば薄膜トランジスタ等)を行方向および列方向に配列
形成し他方の基板に対向電極を形成したアクティブマト
リックス方式の液晶セルを用いるものとがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記TN型
液晶セルを用いた液晶表示装置は、明状態の表示が非常
に明るく、また暗状態の表示が、漏光がほとんどない
“黒”に近い表示であるため、コントラスト(明暗比)
の高い表示が得られるが、その反面、表示を良好なコン
トラストで見ることができる視角範囲(以下、視野角と
いう)が狭いという問題をもっている。
【0014】従来の液晶表示装置の視野角を、液晶セル
10の両基板11,12上における液晶分子配向方向1
1a,12aと偏光子21の透過軸21aおよび検光子
22の透過軸22aとが図16に示した方向にある液晶
表示装置について説明すると、この液晶表示装置におけ
る視角(画面に垂直な線に対する角度)およびその方位
と表示のコントラストCRとの関係は図18に示したよ
うになる。なお、この液晶表示装置における液晶セル1
0のΔn・dの値は380nmである。
【0015】図18において、複数の同心円は視角を示
しており、円の中心は視角0°(画面に垂直)、各円上
の視角は中心側から順に、10°,20°,30°,4
0°,50°である。また、視角50°の円の周囲に付
した角度値は方位を示しており、上記液晶表示装置で
は、液晶セル10の入射側基板11上の配向処理方向1
1aが方位0°の方向、出射側基板12上の配向処理方
向12aが方位90°の方向にあり、偏光子21の透過
軸21aが方位90°と270°の方向、検光子22の
透過軸22aが方位0°と180°の方向にある。
【0016】そして、上記液晶表示装置においては、コ
ントラストCRの値が、図18のように、実線で示した
コントラスト分布線上においてCR=10、点線で示し
たコントラスト分布線上においてCR=50、破線で示
したコントラスト分布線上においてCR=100、二点
鎖線で示したコントラスト分布線上においてCR=20
0であり、同じコントラストが得られる視角が、画面の
左右方向(方位225°の方向と方位45°の方向)か
ら見たときも、また画面の下縁方向(方位315°の方
向)から見たときも十分大きいが、画面の上縁方向(方
位135°の方向)から見ると視角が極端に小さくな
る。
【0017】また、図19〜図21は、上記液晶表示装
置の液晶セル10への電極間印加電圧(V)と表示の明
るさ(Y値)との関係を、0°,10°,20°,30
°,40°,50°の各視角について調べた結果を示す
電圧−明るさ特性図であり、図19は135°の方位か
ら表示を見たときの特性、図20は315°の方位から
表示を見たときの特性、図21は45°の方位から表示
を見たときの特性を示している。なお、225°の方位
から表示を見たときの電圧−明るさ特性は図21とほぼ
同じである。
【0018】さらに、図22および図23は、上記液晶
表示装置の視角と表示の明るさ(Y値)との関係を液晶
セル10の電極間に1.500v,1.992v,2.
365v,6.000vの各電圧を印加して測定した結
果を示す視角−明るさ特性図であり、図22は135°
―315°の方位線上において表示を見たときの特性、
図23は45°―225°の方位線上において表示を見
たときの特性を示している。
【0019】なお、図22において負の視角は方位13
5°方向の視角、正の視角は方位315°方向の視角で
あり、図23において負の視角は方位45°方向の視
角、正の視角は方位225°方向の視角である。
【0020】これら図19〜図23からも分かるよう
に、従来の液晶表示装置は、その表示を画面の左右方向
(図18において方位225°と方位45°の方向)か
ら見たときの電圧−明るさ特性および視角−明るさ特性
は、図21および図23のように0°〜50°のいずれ
の視角においても良好であり、また画面の下縁方向(図
18において方位315°の方向)から見たときの電圧
−明るさ特性および視角−明るさ特性も、図20および
図22の方位315°側(図において右側)のように0
°〜50°のいずれの視角においても良好である。
【0021】しかし、表示を画面の上縁方向(図18に
おいて方位135°の方向)から見たときの電圧−明る
さ特性および視角−明るさ特性は、図19および図22
の方位135°側(図において左側)のように、20°
程度の垂直に近い視角では良好であるが、視角がそれ以
上大きくなる(表示を斜め方向から見る)と、電圧−明
るさ特性および視角−明るさ特性が極端に低下する。
【0022】このように、従来の液晶表示装置は、その
視野角に、ある方位から見たときの視角が極端に小さい
という顕著な方位依存性があり、したがって、視野角が
狭いという問題をもっている。
【0023】しかも、上記従来の液晶表示装置は、画面
をある方向から大きな視角で見たときの印加電圧の変化
に対する明るさの変化が、ある電圧範囲において逆にな
ったり、高電圧側において逆になってしまったりすると
いう問題をもっていた。
【0024】すなわち、例えば上述したように液晶セル
10の両基板11,12上の配向処理方向11a,12
aと偏光子21の透過軸21aおよび検光子22の透過
軸22aとが図16に示した方向にある場合、画面の下
縁方向(方位315°の方向)から見たときの視野角は
図18に示したように比較的大きいが、その反面、この
下縁方向から見たときの電圧−明るさ特性が、図20に
示したように、視角が40°より大きくなると表示の明
るさが一旦暗状態になった後2〜4vの印加電圧におい
て再び若干明るくなり、それより印加電圧を高くすると
再度暗状態になるという、いわゆる“バンプ”をもった
特性になる。
【0025】また、この液晶表示装置は、画面の左右方
向(方位45°と方位225°の方向)から見たときの
電圧−明るさ特性が図21に示したような特性であり、
視角が30°より大きいときの表示の明るさが、一旦暗
状態になった後、印加電圧が約3.5vより高くなるの
にともなって再び明るさを増してゆく。
【0026】このため、上記従来の液晶表示装置は、画
面をある向から大きい視角で見たときに、暗状態の表示
に“ちらつき”が生じるし、また階調表示においては、
暗階調の表示に階調の反転が生じていた。
【0027】本発明は、TN型の液晶セルを用いたもの
でありながら、視野角の方位依存性を小さくして視野角
を広くすることができ、しかも、画面を見る方向および
視角によって電圧−明るさ特性に“バンプ”が生じたり
高電圧側において明るさの変化が逆になったりすること
もほとんどなくして、“ちらつき”や階調の反転のない
高品質の表示を得ることができる液晶表示装置を提供す
ることを目的としたものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置
は、一対の透明基板間に液晶を封入しその液晶の分子を
ほぼ90°のツイスト角でツイスト配列させた2つのT
N型液晶セルを、一方の液晶セルの出射側と他方の液晶
セルの入射側とを互いに対向させて積層するとともに、
前記一方の液晶セルの入射側に偏光子を配置し、前記他
方の液晶セルの出射側に検光子を配置し、位相板の面内
で互いに直交する方向の屈折率が等しい垂直軸位相板を
前記偏光子と前記検光子との間に配置してなり、前記一
方の液晶セルの両基板と他方の液晶セルの両基板にはそ
れぞれ各々の液晶層の互いに対応する箇所に電界を印加
するための透明電極と液晶分子の配向方向を規制する配
向膜が設けられており、かつ、これら両液晶セルは、液
晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δn・dの値
がほぼ等しく、液晶分子のツイスト方向が同じであると
ともに、前記両液晶セルの入射側基板上に施した配向処
理の方向が互いに逆向きで、出射側基板上に施した配向
処理の方向が互いに逆向きであり、前記偏光子は、その
透過軸を前記一方の液晶セルの入射側基板上の配向処理
方向とほぼ直交させるかあるいはほぼ平行にして配置さ
れ、前記検光子は、その透過軸を前記偏光子の透過軸と
ほぼ直交させるかあるいはほぼ平行にして配置されてい
ることを特徴とするものである。
【0029】なお、本発明において、2つの液晶セルの
液晶分子がツイスト配向している状態における垂直入射
光に対するΔn・dの値は100〜350nmであり、
第1および第2の垂直軸位相板の垂直入射光に対する屈
折率異方性Δn′と位相板厚さd′との積Δn′・d′
の値は0〜−300nmであるのが望ましい。
【0030】
【作用】本発明の液晶表示装置は、上記2つの液晶セル
の電極間にそれぞれ電圧を印加することにより、各々の
液晶層の互いに対応する箇所に電界を印加して表示駆動
されるもので、両液晶セルの電極間にそれぞれOFF電
圧を印加したとき、つまり両液晶セルの液晶分子の配列
状態がいずれも初期のツイスト配列状態にあるときは、
偏光子を通って入射した直線偏光が、第1の垂直軸位相
板を通った後に一方の液晶セルにより偏光方向を液晶の
ツイスト配向方向に沿って旋向され、さらに他方の液晶
セルにより偏光方向を同方向に同程度旋向されて、第2
の垂直軸位相板を通り検光子に入射する。
【0031】この場合、上記一方の液晶セルと他方の液
晶セルとは、液晶分子のツイスト方向が同じであり、か
つ、両液晶セルの入射側基板上における液晶分子配向方
向が互いに逆向きで、出射側基板上における液晶分子配
向方向が互いに逆向きであるため、一方の液晶セルにお
ける液晶分子のツイスト状態と他方の液晶セルにおける
液晶分子のツイスト状態とが上述したように平面的に見
てほぼ180°ずれており、かつ両液晶セルのΔn・d
の値がほぼ等しいため、一方の液晶セルの液晶分子ツイ
スト状態による視野角の方位依存性と、他方の液晶セル
の液晶分子ツイスト状態による視野角の方位依存性と
は、視角が小さくなる方位が互いに逆であり、そのため
に、両方の方位依存性が互いに打消し合って、視野角の
方位依存性が小さくなる。
【0032】しかも、この液晶表示装置においては、一
方の液晶セルと偏光子との間および、他方の液晶セルと
検光子との間にそれぞれ垂直軸位相板を設けているた
め、この垂直軸位相板によって視野角の方位依存性がさ
らに補償され、視野角の方位依存性がより小さくなって
視野角が広くなるとともに、画面を見る方向および視角
によって電圧−明るさ特性に“バンプ”が生じたり高電
圧側において明るさの変化が逆になったりすることが防
止され、良好な階調表示が得られる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図15を参
照して説明する。図1および図2は液晶表示装置の分解
斜視図および断面図である。この液晶表示素子は、2つ
のTN型液晶セル30A,30Bと、偏光子41および
検光子42と、2枚の垂直軸位相板43,44とで構成
されており、2つの液晶セル30A,30Bは、一方の
液晶セル(以下、入射側液晶セルという)30Aの出射
側と、他方の液晶セル(以下の出射側液晶セルという)
30Bの入射側とを互いに対向させて積層されている。
【0034】そして、偏光子41は入射側液晶セル30
Aの入射側に配置され、検光子42は出射側液晶セル3
0Bの出射側に配置されており、また、第1の垂直軸位
相板(以下、入射側垂直軸位相板という)43は入射側
液晶セル30Aと偏光子41との間に設けられ、第2の
垂直軸位相板(以下、出射側垂直軸位相板という)44
は出射側液晶セル30Bと検光子42との間に設けられ
ている。
【0035】上記2つの液晶セル30A,30Bはそれ
ぞれ、図2に示すように、ガラス等からなる一対の透明
基板31,32をその周縁部において枠状のシール材3
7を介して接合し、この両基板31,32間のシール材
37で囲まれた領域に液晶38を封入したもので、両基
板31,32の互いに対向する面にはそれぞれ液晶層に
電界を印加するための透明電極33,34が形成されて
おり、その上に、液晶分子の配向方向を規制する配向膜
35,36が形成されている。
【0036】なお、上記配向膜35,36は、ポリイミ
ド等の水平配向剤からなる水平配向膜であり、基板上に
水平配向剤膜を形成してその膜面を一方向にラビングし
たラビング処理膜か、あるいは基板上にLB(ラングミ
ュア・ブロジェット)法により単分子膜を積層して形成
されたLB膜である。
【0037】この配向膜35,36による液晶分子の配
向規制方向(ラビング処理膜ではラビング方向、LB膜
では単分子の並び方向)は互いにほぼ90°ずれてお
り、液晶分子は、これら配向膜35,36により、その
膜面に対しあるプレチルト角をもった状態で一方向に配
向され、両基板31,32間においてほぼ90°のツイ
スト角でツイスト配列している。
【0038】また、上記2つの液晶セル30A,30B
はそれぞれ、液晶38に同じ液晶物質(同じ旋向剤を混
入したネマティック液晶)用いるとともに、それぞれの
液晶層厚(基板31,32の間隔)を同じにしたもので
あり、この両液晶セル30A,30Bの液晶分子のツイ
スト方向は同じであり、またそれぞれのΔn・d(液晶
38の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積)の値もほ
ぼ等しくなっている。この両液晶セル30A,30Bの
液晶分子がツイスト配向している状態における垂直入射
光に対するΔn・dの値は、100〜350nmであ
る。
【0039】さらに、上記2つの液晶セル30A,30
Bは、それぞれの入射側基板31に設ける透明電極33
を同じパターンに形成し、それぞれの出射側基板32に
設ける透明電極34を同じパターンに形成したものであ
り、入射側液晶セル30Aと出射側液晶セル30Bは、
それぞれの透明電極33,34を互いに対応させて積層
されている。
【0040】つまり、上記入射側液晶セル30Aと出射
側液晶セル30Bはそれぞれ、その両基板31,32に
各々の液晶セル30A,30Bの液晶層の互いに対応す
る箇所に電界を印加するための透明電極33,34を設
けたものである。
【0041】なお、上記液晶セル30A,30Bは、セ
グメント方式のものでも、単純マトリックス方式のもの
でも、またアクティブマトリックス方式のものでもよ
く、要は、両方の液晶セル30A,30Bが同じ方式で
あり、かつ、入射側液晶セル30Aの両基板31,32
と出射側液晶セル30Bの両基板31,32にそれぞれ
各々の液晶層の互いに対応する箇所に電界を印加するた
めの透明電極33,34が設けられていればよい。
【0042】また、上記入射側液晶セル30Aと出射側
液晶セル30Bは、それぞれの液晶分子のツイスト方向
が上述したように同じであるが、両液晶セル30A,3
0Bの入射側基板31上の配向膜35面に施した配向処
理の方向が互いに逆向きになっており、また出射側基板
32上の配向膜36面に施した配向処理の方向も互いに
逆向きになっている。
【0043】すなわち、図1において、31a,32a
は入射側液晶セル30Aの各基板31,32上の配向処
理方向、Taは液晶分子ツイスト方向を示しており、液
晶分子は、入射側基板31から出射側基板32に向かっ
て、図上右回りにほぼ90°のツイスト角でツイスト配
列している。
【0044】また、31b,32bは出射側液晶セル3
0Bの各基板31,32上の配向処理方向、Tbは液晶
分子ツイスト方向を示しており、この出射側液晶セル3
0Bの液晶分子も、入射側基板31から出射側基板32
に向かって、図上右回りにほぼ90°のツイスト角でツ
イスト配列している。
【0045】そして、入射側液晶セル30Aと出射側液
晶セル30Bの入射側基板31上の配向処理方向31
a,31bは、互いにほぼ平行でかつ向きが逆になって
いる。また、入射側液晶セル30Aと出射側液晶セル3
0Bの出射側基板32上の配向処理方向32a,32b
も、互いにほぼ平行でかつ向きが逆になっており、した
がって、両液晶セル30A,30Bの液晶分子のツイス
ト状態は、図1のように、平面的に見てほぼ180°ず
れている。
【0046】一方、図1において、41aは偏光子41
の透過軸、42aは上記検光子42の透過軸を示してお
り、この実施例では、偏光子41を、その透過軸41a
を入射側液晶セル30Aの入射側基板31上における液
晶分子配向方向31aとほぼ直交させて配置している。
【0047】また、この実施例の液晶表示装置は、ポジ
表示タイプのものであり、上記検光子42は、その透過
軸42aを前記偏光子41の透過軸41aとほぼ直交さ
せて配置されている。
【0048】次に、上記垂直軸位相板43,44につい
て説明する。この垂直軸位相板43,44は、位相板の
面内において互いに直交する方向の屈折率をnx ,ny
とし、厚さ方向の屈折率nz とした場合、nx =ny
ある位相板、すなわち面内に分子の配向性をもたない位
相板であり、したがって、その光学軸43a,44aは
図1に示したように、位相板面に対して垂直である。
【0049】この垂直軸位相板43,44は、上記面内
方向の屈折率nx と位相板厚さ方向の屈折率nz との差
によって決まる屈折率異方性Δn′(Δn′=nz −n
x )をもっており、この垂直軸位相板43,44の屈折
率異方性Δn′と位相位相板厚さd′との積Δn′・
d′が、本例では負の値である。すなわち、この実施例
では、入射側および出射側の第1,第2垂直軸位相板4
3,44として、屈折率異方性Δn′と位相位相板厚さ
d′との積Δn′・d′の値が0〜−300nmのもの
を用いている。
【0050】上記液晶表示装置は、入射側液晶セル30
Aの電極33,34間と出射側液晶セル30Bの電極3
3,34間とにそれぞれ同じ電圧を同時に印加すること
により、両液晶セルの各々の液晶層の互いに対応する箇
所に同じ電界を同時に印加して表示駆動されるもので、
液晶表示装置に入射する光(例えばバックライトからの
光)Aは、偏光子42を通って直線偏光となり、入射側
垂直軸位相板43と、入射側液晶セル30Aおよび出射
側液晶セル30Bと、出射側垂直軸位相板44とを通っ
て検光子42に入射する。
【0051】そして、両液晶セル30A,30Bの電極
33,34間にそれぞれOFF電圧を印加したとき、つ
まり両液晶セル30A,30Bの液晶分子の配列状態が
いずれも初期のツイスト配列状態にあるときは、偏光子
42を通って入射した直線偏光が、入射側垂直軸位相板
43を通った後に入射側液晶セル30Aにより偏光方向
をほぼ90°旋向され、さらに出射側液晶セル30Bに
より偏光方向をほぼ90°旋向されて、出射側垂直軸位
相板44を通り検光子42に入射する。
【0052】この場合、上記入射側液晶セル30Aと出
射側液晶セル30Bとは、液晶分子のツイスト方向T
a,Tbが同じであり、かつ、両液晶セル30A,30
Bの各入射側基板31上の配向処理方向31a,31b
が互いに逆向きで、各出射側基板32上の配向処理方向
32a,32bが互いに逆向きであるため、両液晶セル
30A,30Bにおける液晶分子のツイスト状態が平面
的に見てほぼ180°ずれているが、各液晶セル30
A,30BのΔn・dを、両方併せて通常の1個のTN
型液晶セル(図16)相当分となるように夫々小さく設
定してあるから、偏光子41を通った直線偏光は双方の
液晶セル30A,30Bを通って偏光方向がほぼ90°
ずれるだけである。
【0053】また、両液晶セル30A,30Bの電極3
3,34間にON電圧を印加すると、液晶分子が初期の
ツイスト配列状態からツイスト配列状態を保ちつつ立ち
上がって液晶層での旋向作用が小さくなってゆき、液晶
分子がほぼ直立状態に立上がり配列すると、液晶層での
旋向作用がほとんど0となり、偏光子41および入射側
垂直軸位相板43を通って入射した直線偏光がその偏光
状態のまま2つの液晶セル30A,30Bと出射側垂直
軸位相板43を通って検光子42に入射する。
【0054】このため、上記のように偏光子41と検光
子42の透過軸41a,42aを互いにほぼ直交させて
いるポジ表示タイプの液晶表示装置では、両液晶セル3
0A,30Bの電極33,34間にOFF電圧を印加す
ると、この部分を通った光のほとんどが検光子42を透
過して表示が明状態になり、両液晶セル30A,30B
の電極33,34間に液晶分子がほぼ直立状態に立上が
り配列するON電圧を印加すると、この部分を通った光
のほとんどが検光子42で吸収されて表示が暗状態にな
る。
【0055】また、両液晶セル30A,30Bの電極3
3,34間に液晶分子が初期のツイスト配列状態と直立
配列状態との中間の状態に配向するON電圧を印加する
と、この部分を通った光の一部が検光子42で吸収さ
れ、他の光は検光子42を透過して、表示の明るさが明
状態と暗状態との中間の階調になる。
【0056】そして、この液晶表示装置においては、入
射側液晶セル30Aにおける液晶分子のツイスト状態と
出射側液晶セル30Bにおける液晶分子のツイスト状態
とが上述したように平面的に見てほぼ180°ずれてお
り、かつ両液晶セル30A,30BのΔn・dの値がほ
ぼ等しいため、入射側液晶セル30Aの液晶分子ツイス
ト状態による視野角の方位依存性と、出射側液晶セル3
0Bの液晶分子ツイスト状態による視野角の方位依存性
とは、視角が小さくなる方位が互いに逆であり、したが
って、両方の方位依存性が互いに打消し合って、視野角
の方位依存性が小さくなる。
【0057】しかも、この液晶表示装置においては、入
射側液晶セル30Aと偏光子41との間および、出射側
液晶セル30Bと検光子42との間にそれぞれ垂直軸位
相板43,44を設けているため、この垂直軸位相板4
3,44によって視野角の方位依存性がさらに補償さ
れ、視野角の方位依存性がより小さくなって視野角が広
くなるとともに、画面を見る方向および視角によって電
圧−明るさ特性に“バンプ”が生じたり高電圧側におい
て明るさの変化が逆になることが防止され、良好な階調
表示が得られる。
【0058】この液晶表示装置の視野角を、垂直軸位相
板43,44を備えず他の構成を上述した構成とした液
晶表示装置(以下、比較装置という)と比較して説明す
ると、図3は、垂直軸位相板43,44を備えていない
比較装置の視角(画面に垂直な線に対する角度)および
その方位と表示のコントラストCRとの関係を示してい
る。なお、この比較装置では、入射側液晶セル30Aと
出射側液晶セル30BのΔn・dの値をそれぞれ190
nmとしている。
【0059】図3において、複数の同心円は視角を示し
ており、円の中心は視角0°(画面に垂直)、各円上の
視角は中心側から順に、10°,20°,30°,40
°,50°である。また、視角50°の円の周囲に付し
た角度値は方位を示しており、この比較装置では、入射
側液晶セル30Aの入射側基板31上の配向処理方向3
1aが方位0°の方向、出射側基板32上の配向処理方
向32aが方位90°の方向にあり、出射側液晶セル3
0Bの入射側基板31上の配向処理方向31bが方位1
80°の方向、出射側基板12上の配向処理方向12b
が方位270°の方向にある。また、この比較装置で
は、偏光子41の透過軸41aが方位90°と270°
の方向にあり、検光子42の透過軸42aが方位0°と
180°の方向にある。
【0060】そして、この比較装置においては、コント
ラストCRの値が、図3のように、実線で示したコント
ラスト分布線上においてCR=10、点線で示したコン
トラスト分布線上においてCR=50、破線で示したコ
ントラスト分布線上においてCR=100、二点鎖線で
示したコントラスト分布線上においてCR=200であ
り、同じコントラストが得られる視角が、画面の左右方
向(方位225°の方向と方位45°の方向)から見た
ときも、画面の上下方向(方位315°の方向と方位1
35°の方向)から見たときも十分大きくなっている。
【0061】また、図4〜図6は、上記比較装置の液晶
セル10への電極間印加電圧(V)と表示の明るさ(Y
値)との関係を、0°,10°,20°,30°,40
°,50°の各視角について調べた結果を示す電圧−明
るさ特性図であり、図4は表示を135°の方位から表
示を見たときの特性、図5は315°の方位から見たと
きの特性、図6は45°の方位から見たときの特性を示
している。なお、225°の方位から見たときの電圧−
明るさ特性は図6とほぼ同じである。
【0062】さらに、図7および図8は、上記比較装置
の視角と表示の明るさ(Y値)との関係を液晶セル10
の電極間に1.500v,1.992v,2.365
v,6.000vの各電圧を印加して測定した結果を示
す視角−明るさ特性図であり、図7は135°―315
°の方位線上において表示を見たときの特性、図8は4
5°―225°の方位線上において表示を見たときの特
性を示している。
【0063】なお、図7において負の視角は方位135
°方向の視角、正の視角は方位315°方向の視角であ
り、図8において負の視角は方位45°方向の視角、正
の視角は方位225°方向の視角である。
【0064】これら図4〜図8からも分かるように、上
記比較装置は、その表示を画面の左右方向(図3におい
て方位225°と方位45°の方向)から見たときの電
圧−明るさ特性および視角−明るさ特性が、図6および
図8のように0°〜50°のいずれの視角においても良
好であり、また画面の下縁方向(図3において方位31
5°の方向)から見たときの電圧−明るさ特性および視
角−明るさ特性も、図5および図7の方位315°側
(図において右側)のように0°〜50°のいずれの視
角においても良好であるし、さらに、画面の上縁方向
(図3において方位135°の方向)から見たときの電
圧−明るさ特性および視角−明るさ特性も、図4および
図7の方位135°側(図において左側)のように0°
〜50°のいずれの視角においても良好である。
【0065】このように、上記比較装置は、TN型の液
晶セルを用いたものではあるが、視野角の方位依存性は
従来の液晶表示装置(図16参照)に比べてかなり小さ
く、したがって広い視野角をもっている。
【0066】また、従来の液晶表示装置は、[発明が解
決しようとする課題]の項でも説明したように、画面を
ある方向から大きな視角で見たときの電圧−明るさ特性
が“バンプ”のある特性(図20参照)となってしまう
という問題をもっているが、上記比較装置は、画面の左
右方向(図3において方位225°と方位45°の方
向)および上下方向(図3において方位135°と方位
315°の方向)のいずれの方向から表示を見たとき
も、電圧−明るさ特性は図4〜図6に示したように上述
した“バンプ”がほとんどない特性である。
【0067】ただし、上記比較装置においては、画面の
左右方向から見たときの電圧−明るさ特性が図6に示し
たような特性であり、視角が30°より大きいときの表
示の明るさが、一旦暗状態になった後、印加電圧が約
3.5vより高くなるのにともなって再び僅かながら明
るさ増してゆくため、高電圧側において、暗状態の表示
に“ちらつき”が生じたり、また階調表示において暗階
調の表示に階調の反転が生じることがある。
【0068】しかし、上記実施例の液晶表示装置では、
入射側液晶セル30Aと偏光子41との間および、出射
側液晶セル30Bと検光子42との間にそれぞれ垂直軸
位相板43,44を設けているため、上記比較装置にお
ける視野角の方位依存性が垂直軸位相板43,44によ
ってさらに補償されるから、視野角の方位依存性がより
小さくなって視野角が広くなるとともに、画面を見る方
向および視角によって電圧−明るさ特性に“バンプ”が
生じるるのをより効果的に防ぐことができるとともに、
高電圧側において明るさの変化が逆になったりするのも
ほとんどなくすことができる。
【0069】すなわち、液晶表示装置の表示を斜め方向
から見る場合、つまり、液晶セルや垂直軸位相板を法線
方向に対し傾斜した方向に光が進行する場合の光路長
は、法線方向より長くなり、そのために液晶セル等の複
屈折性光学素子を透過する光における常光と異常光の位
相差(リタデーション)が法線方向に比べて大きくな
り、表示の明るさが視角の傾斜度合いによって変化す
る。しかし、本発明の液晶表示装置では、厚み方向(法
線方向)に光軸を有する垂直位相板を設けてあるから、
斜め方向のリタデーションと法線方向(正面方向)のリ
タデーションの差が補償される。
【0070】この垂直軸位相板43,44による視角の
変化にともなう明るさの変化の補償作用は、液晶セル3
0A,30Bと垂直軸位相板43,44の垂直入射光に
対するΔn・d,Δn′・d′の値によって決まり、例
えば液晶セル30A,30Bの液晶分子がツイスト配向
している状態における垂直入射光に対するΔn・dの値
が100〜350nmである場合は、垂直軸位相板4
3,44の垂直入射光に対するΔn′・d′の値が0〜
−300nmであるときに、良好な補償効果が得られ
る。
【0071】図9は上記実施例の液晶表示装置における
視角およびその方位と表示のコントラストCRとの関係
を示している。なお、この液晶表示装置は、上述した比
較装置に垂直軸位相板43,44を設けたものであり、
偏光子41の透過軸41aは方位0°と180°の方
向、検光子42の透過軸42aは方位90°と270°
の方向にあり、入射側液晶セル30Aの入射側基板31
上の配向処理方向31aは方位0°の方向、出射側基板
12上の配向処理方向12aは方位90°の方向、出射
側液晶セル30Bの入射側基板31上の配向処理方向3
1bは方位180°の方向、出射側基板12上の配向処
理方向12bは方位270°の方向にある。
【0072】また、この液晶表示装置では、入射側液晶
セル30Aと出射側液晶セル30BのΔn・dの値をそ
れぞれ190nmとし、入射側垂直軸位相板43と出射
側垂直軸位相板44のΔn′・d′の値をそれぞれ−1
00nmとしている。
【0073】この図9のように、上記実施例の液晶表示
装置のコントラストCRの値は、CR=10のコントラ
スト分布線(実線)、CR=50のコントラスト分布線
(点線)、CR=100のコントラスト分布線(破
線)、CR=200のコントラスト分布線(二点鎖線)
の全てが図3よりもさらに外側(視角の大きい側)にあ
り、したがって、この液晶表示装置は、上記比較装置よ
りもさらに視野角の方位依存性が小さい、広い視野角を
もっている。
【0074】また、図10〜図12は、上記実施例の液
晶表示装置における液晶セル10への電極間印加電圧
(V)と表示の明るさ(Y値)との関係を、0°,10
°,20°,30°,40°,50°の各視角について
調べた結果を示す電圧−明るさ特性図であり、図10は
135°の方位から表示を見たときの特性、図11は3
15°の方位から表示を見たときの特性、図12は45
°の方位から表示を見たときの特性を示している。な
お、225°の方位から表示を見たときの電圧−明るさ
特性は図12とほぼ同じである。
【0075】この図10〜図12からも分かるように、
上記実施例の液晶表示装置は、その表示を画面の左右方
向(図9において方位225°と方位45°の方向)、
画面の下縁方向(図9において方位315°の方向)、
画面の上縁方向(図9において方位135°の方向)の
いずれの方向から見た場合でも、電圧−明るさ特性が、
0°〜50°のいずれの視角でも“バンプ”がなく、か
つ高電圧側で明るさの変化が逆になることもほとんどな
い特性であり、したがって、表示の“ちらつき”や階調
表示における階調反転等を生じることはない。
【0076】しかも、上記実施例の液晶表示装置は、図
10〜図12のように、暗表示状態(図において高電圧
側)での明るさが、表示をいずれの方向から見たときで
も“0”付近にあり、したがって、上記比較装置に比べ
て、暗表示がより“黒”に近くなるという効果ももって
いる。
【0077】さらに、図13および図14は、上記実施
例の液晶表示装置における視角と表示の明るさ(Y値)
との関係を液晶セル10の電極間に1.500v,1.
992v,2.365v,6.000vの各電圧を印加
して測定した結果を示す視角−明るさ特性図であり、図
13は135°―315°の方位線上において表示を見
たときの特性、図14は45°―225°の方位線上に
おいて表示を見たときの特性を示している。
【0078】この図13および図14のように、上記実
施例の液晶表示装置は、その表示を画面の左右方向、下
縁方向および上縁方向のいずれの方向から見たときの視
角−明るさ特性も、0°〜50°の全ての視角において
良好である。
【0079】したがって、上記実施例の液晶表示装置に
よれば、TN型の液晶セルを用いたものでありながら、
視野角の方位依存性を小さくして視野角を広くすること
ができ、しかも、画面を見る方向および視角によって電
圧−明るさ特性に“バンプ”が生じたり高電圧側におい
て明るさの変化が逆になったりすることもほとんどなく
して、“ちらつき”や階調の反転のない高品質の表示を
得ることができる。
【0080】また、上記液晶表示装置においては、偏光
子41を通って入射した光が、入射側液晶セル30Aと
出射側液晶セル30Bとの2つの液晶セルを通るため、
表示の明るさ、つまり検光子42を通って出射する光の
明るさが2つの液晶セル30A,30BのΔn・dの値
によって変化するが、これら両液晶セル30A,30B
のΔn・dの値がそれぞれ100〜350nmの範囲で
あれば、十分な明るさの表示を得ることができる。
【0081】すなわち、図15は、上記液晶表示装置に
おける両液晶セル30A,30BのΔn・dの値と光の
透過率との関係を示しており、図において実線は460
nmの波長光(青色光)の透過率、破線は540nmの
波長光(緑色光)の透過率、一点鎖線は610nmの波
長光(赤色光)の透過率を示している。
【0082】この図15のように、上記液晶表示装置
は、両液晶セル30A,30BのΔn・dの値がそれぞ
れ100〜350nmの範囲であれば、460nm,5
40nm,610nmのいずれの波長光の透過率も十分
であり、特に、両液晶セル30A,30BのΔn・dの
値を150〜300nmの範囲にすれば、より高い透過
率を得ることができる。
【0083】なお、上記実施例では、偏光子41を、そ
の透過軸41aを入射側液晶セル30Aの入射側基板3
1上の配向処理方向31aとほぼ直交させて配置してい
るが、この偏光子41の透過軸41aは、入射側液晶セ
ル30Aの入射側基板31上の配向処理方向31aとほ
ぼ平行であってもよく、その場合でも、上記実施例と同
様な効果が得られる。
【0084】また、上記実施例の液晶表示装置は、偏光
子41と検光子42の透過軸41a,42aを互いにほ
ぼ直交させたポジ表示タイプのものであるが、本発明の
液晶表示装置は、検光子42を、その透過軸42aを偏
光子41の透過軸41aとほぼ平行にして配置したネガ
表示タイプのものであってもよい。
【0085】
【発明の効果】本発明の液晶表示装置は、一対の透明基
板間に液晶を封入しその液晶の分子をほぼ90°のツイ
スト角でツイスト配列させた2つのTN型液晶セルを、
一方の液晶セルの出射側と他方の液晶セルの入射側とを
互いに対向させて積層するとともに、前記一方の液晶セ
ルの入射側に偏光子を配置し、前記他方の液晶セルの出
射側に検光子を配置し、位相板の面内で互いに直交する
方向の屈折率が等しい垂直軸位相板を前記偏光子と前記
検光子との間に配置してなり、前記一方の液晶セルの両
基板と他方の液晶セルの両基板にはそれぞれ各々の液晶
層の互いに対応する箇所に電界を印加するための透明電
極と液晶分子の配向方向を規制する配向膜が設けられて
おり、かつ、これら両液晶セルは、液晶の屈折率異方性
Δnと液晶層厚dとの積Δn・dの値がほぼ等しく、液
晶分子のツイスト方向が同じであるとともに、前記両液
晶セルの入射側基板上に施した配向処理の方向が互いに
逆向きで、出射側基板上に施した配向処理の方向が互い
に逆向きであり、前記偏光子は、その透過軸を前記一方
の液晶セルの入射側基板上の配向処理方向とほぼ直交さ
せるかあるいはほぼ平行にして配置され、前記検光子
は、その透過軸を前記偏光子の透過軸とほぼ直交させる
かあるいはほぼ平行にして配置されていることを特徴と
するものであるから、TN型の液晶セルを用いたもので
ありながら、視野角の方位依存性を小さくして視野角を
広くすることができ、しかも、画面を見る方向および視
角によって電圧−明るさ特性に“バンプ”が生じたり高
電圧側において明るさの変化が逆になったりすることも
ほとんどなくして、“ちらつき”や階調の反転のない高
品質の表示を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による液晶表示装置の分解斜
視図。
【図2】同液晶表示装置の断面図。
【図3】実施例の液晶表示装置から垂直軸位相板を無く
した比較装置における視角およびその方位と表示のコン
トラストとの関係を示す図。
【図4】同比較装置における液晶セルへの電極間印加電
圧と表示の明るさとの関係を各視角について調べた結果
を示す135°の方位から表示を見たときの電圧−明る
さ特性図。
【図5】同比較装置における液晶セルへの電極間印加電
圧と表示の明るさとの関係を各視角について調べた結果
を示す315°の方位から表示を見たときの電圧−明る
さ特性図。
【図6】同比較装置における液晶セルへの電極間印加電
圧と表示の明るさとの関係を各視角について調べた結果
を示す45°の方位から表示を見たときの電圧−明るさ
特性図。
【図7】同比較装置における視角と表示の明るさとの関
係を液晶セルの電極間に各値の電圧を印加して測定した
結果を示す135°―315°の方位線上において表示
を見たときの視角−明るさ特性図。
【図8】同比較装置における視角と表示の明るさとの関
係を液晶セルの電極間に各値の電圧を印加して測定した
結果を示す45°―225°の方位線上において表示を
見たときの視角−明るさ特性図。
【図9】本発明の一実施例による液晶表示装置の視角お
よびその方位と表示のコントラストとの関係を示す図。
【図10】同液晶表示装置の液晶セルへの電極間印加電
圧と表示の明るさとの関係を各視角について調べた結果
を示す135°の方位から表示を見たときの電圧−明る
さ特性図。
【図11】同液晶表示装置の液晶セルへの電極間印加電
圧と表示の明るさとの関係を各視角について調べた結果
を示す315°の方位から表示を見たときの電圧−明る
さ特性図。
【図12】同液晶表示装置の液晶セルへの電極間印加電
圧と表示の明るさとの関係を各視角について調べた結果
を示す45°の方位から表示を見たときの電圧−明るさ
特性図。
【図13】同液晶表示装置における視角と表示の明るさ
との関係を液晶セルの電極間に各値の電圧を印加して測
定した結果を示す135°―315°の方位線上におい
て表示を見たときの視角−明るさ特性図。
【図14】同液晶表示装置における視角と表示の明るさ
との関係を液晶セルの電極間に各値の電圧を印加して測
定した結果を示す45°―225°の方位線上において
表示を見たときの視角−明るさ特性図。
【図15】同液晶表示装置における両液晶セルのΔn・
dの値と光の透過率との関係を示す図。
【図16】従来の液晶表示装置の分解斜視図。
【図17】従来の液晶表示装置の断面図。
【図18】従来の液晶表示装置における視角およびその
方位と表示のコントラストとの関係を示す図。
【図19】従来の液晶表示装置の液晶セルへの電極間印
加電圧と表示の明るさとの関係を各視角について調べた
結果を示す135°の方位から表示を見たときの電圧−
明るさ特性図。
【図20】従来の液晶表示装置の液晶セルへの電極間印
加電圧と表示の明るさとの関係を各視角について調べた
結果を示す315°の方位から表示を見たときの電圧−
明るさ特性図。
【図21】従来の液晶表示装置の液晶セルへの電極間印
加電圧と表示の明るさとの関係を各視角について調べた
結果を示す45°の方位から表示を見たときの電圧−明
るさ特性図。
【図22】従来の液晶表示装置における視角と表示の明
るさとの関係を液晶セルの電極間に各値の電圧を印加し
て測定した結果を示す135°―315°の方位線上に
おいて表示を見たときの視角−明るさ特性図。
【図23】従来の液晶表示装置における視角と表示の明
るさとの関係を液晶セルの電極間に各値の電圧を印加し
て測定した結果を示す45°―225°の方位線上にお
いて表示を見たときの視角−明るさ特性図。
【符号の説明】
30A…入射側液晶セル 30B…出射側液晶セル 31…入射側基板 32…出射側基板 33,34…透明電極 35,36…配向膜 38…液晶 31a…入射側液晶セルの入射側基板上の配向処理方向 32a…入射側液晶セルの出射側基板上の配向処理方向 31b…出射側液晶セルの入射側基板上の配向処理方向 32b…出射側液晶セルの出射側基板上の配向処理方向 Ta…入射側液晶セルの液晶分子ツイスト方向 Tb…出射側液晶セルの液晶分子ツイスト方向 41…偏光子 41a…透過軸 42…検光子 42a…透過軸 43,44…入射側垂直軸位相板 43a,44a…光学軸

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の透明基板間に液晶を封入しその液晶
    の分子をほぼ90°のツイスト角でツイスト配列させた
    2つのTN型液晶セルを、一方の液晶セルの出射側と他
    方の液晶セルの入射側とを互いに対向させて積層すると
    ともに、前記一方の液晶セルの入射側に偏光子を配置
    し、前記他方の液晶セルの出射側に検光子を配置し、位
    相板の面内で互いに直交する方向の屈折率が等しい垂直
    軸位相板を前記偏光子と前記検光子との間に配置してな
    り、 前記一方の液晶セルの両基板と他方の液晶セルの両基板
    にはそれぞれ各々の液晶層の互いに対応する箇所に電界
    を印加するための透明電極と液晶分子の配向方向を規制
    する配向膜が設けられており、かつ、これら両液晶セル
    は、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δn・
    dの値がほぼ等しく、液晶分子のツイスト方向が同じで
    あるとともに、前記両液晶セルの入射側基板上に施した
    配向処理の方向が互いに逆向きで、出射側基板上に施し
    た配向処理の方向が互いに逆向きであり、 前記偏光子は、その透過軸を前記一方の液晶セルの入射
    側基板上の配向処理方向とほぼ直交させるかあるいはほ
    ぼ平行にして配置され、前記検光子は、その透過軸を前
    記偏光子の透過軸とほぼ直交させるかあるいはほぼ平行
    にして配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】2つの液晶セルの液晶分子がツイスト配向
    している状態における垂直入射光に対するΔn・dの値
    は100〜350nmであり、第1および第2の垂直軸
    位相板の垂直入射光に対する屈折率異方性Δn′と位相
    板厚さd′との積Δn′・d′の値は0〜−300nm
    であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装
    置。
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