JPH07128643A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JPH07128643A
JPH07128643A JP27700293A JP27700293A JPH07128643A JP H07128643 A JPH07128643 A JP H07128643A JP 27700293 A JP27700293 A JP 27700293A JP 27700293 A JP27700293 A JP 27700293A JP H07128643 A JPH07128643 A JP H07128643A
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liquid crystal
voltage
potential
crystal display
display device
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JP27700293A
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Yuzuru Sato
譲 佐藤
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Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 2つの準安定状態をもつカイラルネマチック
液晶を用いた液晶表示装置において、高速書込みの可能
な新規の実用的な駆動方法を得るとともに、階調表示の
可能な駆動手段を実現する。 【構成】 液晶にフレデリクス転移を生じさせ得る高電
圧のリセットパルスを印加した後、所定のパルス高、パ
ルス幅及び遅延時間をもつ選択パルスを所定の閾値を基
準として印加することにより、高速書込みを可能とし
た。このとき、液晶表示体の基板1上に透明導電膜3を
形成し、この上に線状の走査電極31を複数並列させて
形成した。走査電極31の両側に設定される画素Aに
は、隣接する走査電極間の電位差により電圧の勾配が形
成され、この勾配により画素A内に2つの準安定状態を
生じさせることができる。2つの準安定状態の面積比
は、画像の階調データに応じて信号電極6が付与する信
号電位により変動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカイラルネマチック液晶
を用いた2つの準安定状態をもつ液晶表示装置に係り、
特にこの種の液晶を単純マトリクス型表示素子として使
用する場合に好適な駆動手段を備えるとともに、階調表
示を可能とした装置に関する。
【0002】
【従来の技術】カイラルネマチック液晶を用いた双安定
性を備えた液晶セルは特公平1−51818号公報に示
されている。この液晶セルは、図1に示すように、初期
状態Aにおいて例えば180度のねじれ構造を有し、こ
れにフレデリクス転移を生じさせるに充分な高電圧を印
加すると、液晶分子は一旦高エネルギー状態(以下、B
状態という。)に励起された後、その後の電圧印加態様
に依存する2つの準安定状態のいずれかに移行する。準
安定状態の一つは、上記初期状態の場合、ねじれ角0度
のユニホーム状態(以下、C状態という。)であり、も
う一つは、ねじれ角360度の状態(以下、D状態とい
う。)である。そして、C状態とD状態は1秒前後その
状態を維持し、その後、初期状態Aへと自然緩和する。
【0003】これらC状態とD状態とは光の透過特性が
大きく異なるため、両状態を液晶表示のオン・オフに対
応させることができる。上記公報にはC状態とD状態と
の間の切り換え方法について、所定周波数の高電圧の印
加後に電圧をすばやくターンオフする場合にはD状態が
得られ、高電圧の印加後、可変電圧器により約1秒間か
けてゆっくりとターンオフする場合にはC状態が得られ
ると記載され、また低周波数の電界をターンオフさせた
後直ちに高周波数の電界を印加するとD状態が得られ、
低周波数の電界をターンオフさせた後約1/4秒後に同
一高周波数の電界を印加するとC状態になるとしてい
る。
【0004】これら2つの切り換え方法のうち、前者の
方法では長い切り換え時間のために液晶表示体を実現す
ることはできない。また、我々の追試によれば、後者の
方法ではD状態を得ることはできるが、低周波数の電界
印加後に約1/4秒の遅延時間をおいて高周波数の電界
を付与してもD状態が得られ、C状態を出現させること
は不可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記カイラルネマチッ
ク液晶を用いた液晶表示体を実用的なものとするには、
まず、C状態とD状態とを高速且つ確実に得ることので
きる駆動方法を開発することが必要であり、上記従来例
では書き込み時間が大きく、例えば多数のラインを走査
するマトリクス表示に対応することはできない。しか
も、C及びD状態への移行の確実性の劣る上記の高低周
波数を用いる方法では、実用的な表示体の駆動は不可能
である。
【0006】また、この液晶は2つの準安定状態CとD
を切り換えることにより表示のオンオフ駆動を行うもの
であるため、表示の高品位化とカラー化を行うために
は、何らかの階調表示手段を設ける必要がある。しか
し、階調表示を通常の面積階調や時分割階調により行う
と、駆動ドライバ数の増加やラインの走査余裕の低下が
生じ、多くの画素を必要とするマトリクス表示には適さ
ないという問題がある。
【0007】そこで、本発明は上記問題点を解決するも
のであり、この種の液晶を表示体として使用する場合に
実用的な新規の駆動方法を得るとともに、駆動ドライバ
の増加や時分割の必要のない階調表示手段を得ることを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、初期状態においてねじれ角φのねじれ構造を有する
カイラルネマチック液晶を備え、初期状態にフレデリク
ス転移を生じさせる電圧を印加した後の緩和状態として
初期状態とは異なる2つの準安定状態を有する液晶表示
装置において、本発明が講じた手段は、フレデリクス転
移を生じさせるための、初期状態及び2つの準安定状態
における閾値以上の電圧を有するリセットパルスと、リ
セットパルス印加後の液晶を2つの準安定状態のいずれ
か一方に移行させるための、2つの準安定状態のいずれ
かを生ずる臨界値を基準として選択付与される選択パル
スとを液晶に印加する電圧印加手段を有する液晶表示装
置であって、液晶を挟持する2枚の基板にそれぞれ設け
た電圧印加手段のうち少なくとも一方を、透光性導電膜
と、透光性導電膜に導電接触する複数の線状駆動電極と
から構成して、隣接する駆動電極間の透光性導電膜に電
位勾配を形成することによって、個々の画素の液晶層に
印加される電圧が画素内で所定の勾配を持つようにし、
リセットパルスを付与するための駆動電圧の値を画素領
域の全体にフレデリクス転移を生じさせるように設定す
るとともに、臨界値を基準として選択パルスの付与状態
を画像の階調データに応じて変調するものである。
【0009】本願発明に係る液晶材料は、初期状態にお
いてねじれ角φのツイスト状態となるように、所定のセ
ル厚に対してカイラル物質の添加によりヘリカルピッチ
が調整される。例えば、初期状態のねじれ角が180度
に調整されるならば、準安定状態の一方はねじれ角0度
のユニホーム状態、他方はねじれ角360度のツイスト
状態となる。初期の上記ねじれ角φは180度以外にも
任意の角度に設定できる。例えば初期状態でねじれ角が
90度であれば、2つの準安定状態のねじれ角は−90
度、270度となり、この状態においても、後述する駆
動方法と同様の方法で両状態間のスイッチングが可能で
あることが実験上確認されている。勿論セル厚、ヘリカ
ルピッチについても、それぞれ任意の値に設定できる。
【0010】
【作用】上記液晶について本願の発明者が行なった研究
によれば、例えば初期状態がねじれ角180度の場合、
リセットパルスの印加後に適切な電圧が付与されている
と、リセットパルスの高電圧が遮断された後に一旦バッ
クフローが起こって360度ツイスト状態へ緩和しか
け、その後配向変化の方向が逆転してユニフォーム状態
へと戻る。このとき、付与されている電圧がある値、即
ち閾値よりも高ければそのままユニフォーム状態へ緩和
し、閾値よりも低ければ再び配向変化の方向が逆転して
360度ツイスト状態へ緩和する。
【0011】2つの準安定状態へ移行する場合には常に
上記バックフローの期間を経ることから、該期間直後に
おける電圧印加状態が主として準安定状態のいずれに移
行するかを決定すると考えられる。したがって、選択パ
ルスの電圧値の他に、選択パルスのパルス幅や遅延時間
等の選択パルスの付与状態が状態移行の鍵になる。
【0012】実際に、リセットパルスの印加後に与える
上記電圧を所定の電圧値を備えた選択パルスとして付与
した場合、このパルス幅を短くすると2つの準安定状態
間の切り換えが不可能になるが、その選択パルスを適切
な遅延時間をおいて付与すると、パルス幅を短くしても
準安定状態間の切り換えが可能になることが明らかにな
った。この結果、遅延時間を最適値とすることにより、
例えば表示体の単純マトリクス駆動において1ライン当
たりの書き込み時間を低減することが可能となった。
【0013】このようにして上記閾値は選択パルスのパ
ルス幅と遅延時間に依存することが明らかとなった。し
たがって、状態選択の臨界値は、選択パルスのパルス
高、パルス幅、遅延時間の3つのパラメータの関数であ
ると考えることができる。
【0014】この場合、駆動電極の間に電位勾配を形成
することにより、画素領域内に電圧勾配を生じさせたた
め、1つの画素領域内に2つの準安定状態を同時に出現
させることが可能になる。そして、2つの準安定状態の
出現面積の割合は、臨界値と選択パルスの付与状態との
相対的な関係により変更できる。
【0015】臨界値と選択パルスの付与状態との相対的
な関係は、臨界値と選択パルスのパルス高との大小関係
により変化させることができるので、選択パルスのパル
ス高の変調により2つの準安定状態の出現面積の割合を
変化させ、階調表示を行うことができる。
【0016】
【実施例】次に、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0017】〔発明実施の概要及び共通事項〕後述する
実施例に用いた液晶材料は、ネマチック液晶に光学活性
剤を添加することにより液晶のヘリカルピッチpを調整
し、ヘリカルピッチpとセルのギャップdとの関係をp
/4<d<3p/4を満たすように設定して基板法線方
向に螺旋軸を持つ180度ツイスト状態としたものであ
る。
【0018】本発明に係る液晶表示装置の駆動方法は、
液晶にリセットパルスRを印加することによりフレデリ
クス転移を生じさせ、その後、所定の臨界値を基準とし
て選択パルスSを印加することにより、2つの準安定状
態のいずれかを選択的に出現させるものである。選択パ
ルスの付与基準となる臨界値は、選択パルスのパルス
高、選択パルスのパルス幅、選択パルスの遅延時間及び
温度Tの各値に依存し、所定の温度に対してパルス高、
パルス幅及び遅延時間の組合わせ即ち選択パルスの付与
状態により与えられる。
【0019】例えば選択パルスのパルス幅、遅延時間及
び温度を一定にした場合の臨界値として把握される選択
パルスのパルス高に対する閾値をVth1,Vth2 とする
と、準安定状態の一方(例えばねじれ角0度の状態)が
出現する領域は、
【0020】
【数1】
【0021】ここでVeはリセットパルスの電圧値、V
0はフレデリクス転移を生じさせるための閾値、Vsは
選択パルスの電圧値である。本実施例では上記Vth1 を
閾値として液晶駆動を行う。
【0022】液晶に印加される駆動波形の例は図2に示
されている。(a)は、マトリクス表示の1フレーム期
間毎に信号の極性を反転した例であり、(b)は、所定
周波数の交流信号により駆動波形を構成した例である。
いずれにおいても、リセットパルスRと、所定の遅延時
間τをおいて所定のパルス高とパルス幅で印加される選
択パルスSとが付与される。なお、Bはバイアス電圧で
ある。極性の反転や交流信号による波形構成は、液晶の
劣化を防止するためである。
【0023】後述するように、臨界値は選択パルスのパ
ルス高、パルス幅及び遅延時間に依存し、この事実は、
図9及び図10に示すように実験で確認されている。
【0024】〔実施例〕本実施例の液晶は、市販のネマ
チック液晶(E.Merck社製MJ−90394)に
光学活性剤(E.Merck社製S−811)を添加し
てヘリカルピッチp=を2.56μmに調整したものを
使用した。液晶セルの構造は図3(a)に示されてい
る。ガラス基板1上にはITOからなる透明導電膜3が
形成され、この上に線状の走査電極31(走査電極の番
号を以下s1,s2,・・・,si,・・・,sjとす
る。)が複数平行に並列して形成されている。透明電極
膜3の両端には、走査電極と同様の補助電極32が1本
ずつ形成されている。走査電極31及び補助電極32の
上には、平坦化膜4が形成される。一方、ガラス基板2
には走査電極31に直交する方向に複数の信号電極6
(信号電極の番号を以下d1,d2,・・・,dm,・
・・,dnとする。)が形成され、その上に平坦化膜7
が形成されている。
【0025】平坦化膜4と7には、ポリイミド配向膜5
を塗布して上下の基板1と2のラビング方向が相互に反
平行(180度)となるようにし、基板間隔d=1.3
9μmとして液晶9が注入される。セル内の液晶分子の
配向状態は、プレチルト角が数度、ねじれ角が180度
のツイスト状態となる。そして、2枚の偏光板で上記液
晶セルを挟むことにより液晶表示体が構成される。
【0026】この液晶セルでは、図3(b)に示すよう
に各走査電極31と信号電極6の交差部における走査電
極31の両側に広がる部分が画素Aとして設定される。
【0027】図4に示すように、本実施例の液晶表示装
置は、上記液晶セルと、複数の走査電極31に走査電位
を供給する走査回路11a,11bと、複数の信号電極
6に所定の信号電位を供給する信号回路12とから大略
構成される。なお、透明導電膜3と走査電極31との間
には、透明導電膜3の周縁部において絶縁膜35が形成
されている。これは、透明導電膜3の周縁部に形成され
る低抵抗部分により、走査電極31間に短絡が生ずるこ
とを回避するためである。走査回路11aと走査回路1
1bは、並列した走査電極31に対し、その並列順に交
互に接続されている。そして、液晶セルの両端に配置さ
れた一対の補助電極32は、所定の基準電位(例えば接
地電位0V)に維持される。
【0028】図5には上記走査電極siと信号電極dm
により液晶の画素Aに印加される駆動電圧のx軸方向の
分布を示す。ここで、xは画素A内の信号電極dmに沿
った座標を示し、画素Aの幅はa、中央のx=a/2の
部分に当該画素を駆動する走査電極siが配置され、x
=−a/2とx=3a/2の部分に隣接画素の走査電極
si−1とsi+1が配置される(図3(b)参照)。
【0029】Vsは選択パルスの印加される選択期間に
おいて画素内の液晶に印加される電圧値を示し、Vtは
選択期間において画素中央の走査電極siに付与される
走査電位を示し、Vdは選択期間において信号電極dm
に付与される信号電位を示す。また、実線は走査電圧と
信号電圧をともに印加した場合の電位分布を示し、一点
鎖線は走査電位のみを印加した場合の電位分布を示す。
VthとVsatは液晶の準安定状態間の選択における
閾値を示す。Vs≦Vthで液晶は0度ユニフォーム状
態(透過型表示体においては、オン状態)になり、Vs
≧Vsatで液晶は360度ツイスト状態(透過型表示
体ではオフ状態)になる。
【0030】なお、Vth<Vs<Vsatでは両状態
が混在する。ただし、両状態の混在は画素内での液晶層
厚の不均一性や配向膜の表面状態の不均一性などによっ
て引き起こされるものであり、VsatとVthとの差
は高々1ボルト程度である。したがって、大面積の表示
装置において本発明のような電位勾配を与えずに、単に
Vdの電圧値を変調することによって階調表示を行うこ
とは、液晶の静電容量や電極抵抗による電圧波形の歪み
を考慮すれば、ほとんど不可能である。
【0031】選択された画素中央の走査電極siに付与
される電位をVt、両側に隣接する走査電極si−1と
si+1に付与される電位を0とすれば、走査電極に接
した透明導電膜3には電位勾配が生じる。一方、信号電
極dmには−Vdの電位が付与されるので、印加電圧V
sはx=a/2でVt+Vd、x=0及びx=aでVt
/2+Vdとなり、図示の如く画素A内に所定の勾配を
生ずる。この場合、透過型表示体として構成すると、画
素中央にはオン領域Ronが形成され、その他の領域は
オフ状態となる。反射型の表示体の場合には、高い表示
特性を得るために最適な偏光板のセッティング角度が異
なるため、オンとオフ状態になる領域が逆になる。
【0032】図5に示すVdmaxは画素Aの全体がオ
ン状態になる場合の信号電位、Vdminは画素Aの全
体がオフ状態になる場合の信号電位である。この実施例
では走査電位を一定とし、信号電位VdをVdmin〜
Vdmaxの範囲内で変調することにより上記のオン領
域Ronの面積を増減できるので、階調表示が可能にな
っている。信号電位Vdの変調は、画像情報の階調デー
タに応じて、アナログ又はディジタル的に変調される。
【0033】走査電極31は、通常、線順次に走査さ
れ、選択された走査電極以外は接地電位等の基準電位に
維持される。しかし、走査回路11aに接続された走査
電極と、走査回路11bに接続された走査電極とに、交
互に走査電位と接地電位とを供給することによっても上
述の階調表示が実現できる。両端部に形成された補助電
極32は常時基準電位に固定されているので、補助電極
32に隣接した端部の走査電極についても他の走査電極
と同様の画素を形成できる。
【0034】図6は走査電極の長さ方向の座標yと走査
電極の電位との関係を示したものである。(a)は選択
された走査電極siに隣接する接地された走査電極si
−1の電位Vgの分布を示し、(b)は選択された走査
電極siの電位Vt’の分布を示し、(c)は選択され
た走査電極siとこれに隣接する走査電極si−1との
間の電位差Vdif(=Vt’−Vg)を示している。走査
電極の給電端を液晶セルの一辺側のみに設けた場合(図
中α)には、両走査電極si,si−1はともに、給電
端から先端方向に向かうに従って他方の走査電極の電位
に大きく影響されるようになり、両走査電極間の電位差
は先端方向に向かって激減する。したがって、これを防
止するには、透明導電膜3のシート抵抗と走査電極の抵
抗値とを最適化する必要があるが、いずれにしても大面
積の表示体を駆動することはできなくなる。そこで、本
実施例では、図4に示すように、走査電極の給電端を交
互に反対側に設けている。この場合(図中β)には、両
走査電極間の電位差の偏りはかなり緩和されるが、電位
差の変化を完全に除去することはできない。
【0035】図7(a)には、この隣接走査電極間の電
位差の変化に従って、上記液晶表示装置の階調表示を行
う場合における印加電圧を示す。ここで、y1、y2及
びy3は、走査電極に沿って抽出された3つの任意の画
素の給電端からの距離である。これら3つの距離にある
画素では、上述の隣接走査電極間の電位差の変化により
電位の勾配が異なっているため、階調表示に必要な信号
電位Vdの変調範囲が異なってくる。すなわち、画素の
全領域にわたりオン状態の得られる信号電位Vdmax
と、画素の全領域にわたりオフ状態の得られる信号電位
Vdminとによって確定される信号電位の変調範囲V
1,V2,V3は、走査電極の延長方向の距離により変
化する。このため、全信号電極にわたって同一の変調範
囲を設定すると全画素において階調を充分に表示するこ
とができず、極端な場合には、部分的に表示の単安定化
が生ずる場合もある。
【0036】そこで、本実施例では、図7(b)に示す
ように、信号電位Vdの変調範囲を走査電極の延長方向
に変化させるように、予め信号回路12に電位変換系を
設けるようにしている。すなわち、所定の信号電位Vd
を画像の階調度CX(CX=0〜1)に応じて、
【0037】
【数2】
【0038】のように出力する。ここで、図7(c)に
示したように、Vdif(dm)は、信号電極dmに対応し
た画素が選択されたときの隣接走査電極間の電位差であ
り、Vt'(dm)は同じく走査電極の電位であり、それ
らは信号回路12の駆動部の増幅率やオフセット値に予
め繰入られる。このようにして、信号電位Vd(CX)
の値をVdif(dm)とVt'(dm)に従って修正するこ
とにより、表示の単安定化を防止して階調データの正確
な表示を行うことができる。
【0039】本実施例において形成した透明導電膜と走
査電極の抵抗値は、上記図6及び図7に示すような電位
変動の程度、液晶パネルの電力消費量、透明導電膜に流
れる電流による発熱量等を考慮し、液晶表示体の面積、
画素数、駆動周波数、駆動電圧、液晶画素の静電容量等
を勘案して最適に調整される。例えば、透明導電膜のシ
ート抵抗は、103 〜109 Ω/□、好ましくは104
〜107 Ω/□、走査電極としては、102 Ω/□以
下、好ましくは101 Ω/□以下である。
【0040】液晶の駆動に際しては、選択パルスの付与
前に画素Aの全領域にフレデリクス転移を生じさせ得る
リセットパルスRを印加する必要がある。このリセット
パルスRの電圧値Veに関しては、図5のVsatをフ
レデリクス転移を生じさせ得る電圧値V0に置き換えて
みればわかるように、Ve≧2V0の条件を充足させる
必要がある。この条件により、画素Aの全領域にV0以
上の電圧を印加することができる。
【0041】図8は実際に上記液晶表示体を駆動した駆
動波形を示すものである。ここで、(a)は走査電位、
(b)は選択期間における信号電位、(c)は選択期間
における走査電位と信号電位により液晶画素に印加され
る駆動電圧、(d)は液晶画素の透過率である。Vrは
リセット期間T0における走査電位である。この走査電
位Vrには、リセット期間T0中に他の画素に対して印
加されるVdに起因して生ずるバイアス電圧が重畳す
る。これらの重畳成分をVbとして示すと、Vr+Vb
=Ve≧2V0であるから、 Vr≧2V0−Vb のように設定すればよい。本実施例では、走査電位Vr
を±40Vとし、この電位を付与するリセット期間T0
を1msとした。遅延時間τはリセット期間T0の付与
終了時から選択パルスの付与開始時までの時間であり、
これを200μsとした。Vtは選択期間T1における
走査電位であり、本実施例では1.8Vとした。Vdは
選択期間T1における信号電位であり、本実施例では、
上記修整前の基準値として0〜1.9Vの範囲で階調度
CXに対し比例する値に設定した。選択期間T1は80
μsである。この条件で状態選択の閾値はVs=1.8
V<Vth、Vs=2.8V>Vsatを満たす値とな
った。
【0042】選択期間T1における選択パルスの電圧値
は、図示のように走査電位と信号電位が逆相の場合はV
s=Vt+Vdである。本実施例の場合、選択期間T1
における信号電位を走査電位と逆相にしているため、図
8のように、信号電位Vdの増加により選択パルスのパ
ルス高Vsも増加する。一方、走査電位と信号電位が同
相の場合はVs=Vt−Vdとなり、信号電位Vdの増
加により選択パルスVsのパルス高は減少する。
【0043】本実施例では、走査電位Vtを一定にして
いるため、画素内の電圧勾配は、信号電位の変調に拘わ
らず常に一定の値となる。即ち、画素の信号電極に沿っ
た幅をaとすれば、Vt/aである。このようにして、
図8(d)に示すように、信号電位の変調により、液晶
画素の平均透過率を変調することができた。また、信号
電極6をも走査電極と同様に透明導電膜上に形成するこ
とにより、信号電位により電圧勾配を形成することが可
能になる。この場合は、液晶画素に印加される電圧は、
2次元の勾配をもつことになる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
カイラルネマチック液晶の2つの準安定状態を用いて高
速に信号の書き込みを行うことができるとともに、画素
分割によりドライバの数を増加することなく、又は1フ
レーム内をさらに時分割駆動することなく、簡易な装置
構成で高品位の階調表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の実施例に用いる液
晶材料の状態遷移の特性を示す説明図である。
【図2】同実施例の駆動波形の例を示す波形図(a),
(b)である。
【図3】同実施例の液晶セルの構造を示す概略断面図
(a)、同液晶セルの一方の基板構造を示す一部平面図
(b)である。
【図4】同実施例の全体構成を示す概略構成図である。
【図5】同実施例の液晶画素内の印加電圧の分布を示す
説明図である。
【図6】同実施例の隣接する走査電極の延長方向の電位
分布を示すグラフ(a),(b)、隣接する走査電極間
の電位差を示すグラフ(c)である。
【図7】同実施例の走査電極の延長方向に並ぶ3つの画
素を抽出して各々の電圧勾配の状態を示す説明図
(a)、同走査電極の延長方向に並ぶ画素に付与する信
号電位の変調範囲を示すグラフ(b)、信号電極dmに
対応する画素内の印加電圧の分布を示す説明図(c)で
ある。
【図8】同実施例の走査電位(a)、信号電位(b)、
駆動波形(c)、及び平均透過率(d)を各々示すグラ
フである。
【図9】選択パルスのパルス幅と閾値との関係を示すグ
ラフである。
【図10】選択パルスの遅延時間と閾値との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
6(d1,d2,・・・,dm,・・・dn) 信号電
極 31(s1,s2,・・・,si,・・・sj) 走査
電極 32 補助電極 35 絶縁膜 A 画素 R リセットパルス S 選択パルス Vs 選択パルスの電圧値 Pw 選択パルスのパルス幅(選択期間) τ 選択パルスの遅延時間

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 初期状態においてねじれ角φのねじれ構
    造を有するカイラルネマチック液晶を備え、初期状態に
    フレデリクス転移を生じさせる電圧を印加した後の緩和
    状態として初期状態とは異なる2つの準安定状態をもつ
    液晶表示装置において、 フレデリクス転移を生じさせるための閾値以上の電圧を
    有するリセットパルスと、リセットパルス印加後の液晶
    を2つの準安定状態のいずれか一方に移行させるため
    の、2つの準安定状態のいずれかを生ずる臨界値を基準
    として選択付与される選択パルスとを液晶に印加する電
    圧印加手段を有する液晶表示装置であって、 前記液晶を挟持する2枚の基板にそれぞれ設けた前記電
    圧印加手段のうち少なくとも一方を、透光性導電膜と、
    該透光性導電膜に導電接触する複数の線状駆動電極とか
    ら構成して、隣接する該駆動電極間の透光性導電膜に電
    位勾配を形成することによって、個々の画素の液晶層に
    印加される電圧が前記画素内で所定の勾配を持つように
    し、 前記リセットパルスを印加するための前記駆動電圧の値
    を前記画素領域の全体に前記フレデリクス転移を生じさ
    せるように設定するとともに、前記臨界値を基準として
    前記選択パルスの付与状態を画像の階調データに応じて
    変調させることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記駆動電極を前記
    透光性導電膜の表面上に複数並列させ、前記駆動電極の
    並列方向の両端部に、所定の基準電位に設定された一対
    の補助電極を隣接させた液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記駆動電極を前記
    透光性導電膜の表面上に複数並列させ、前記駆動電極の
    給電端を、前記第1の駆動電極の並列順に前記透光性導
    電膜の反対側に交互に設定した液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記駆動電極を前記
    透光性導電膜の表面上に複数ライン状に並列させ、前記
    駆動電極の延長方向に形成される電位勾配に起因する印
    加電圧の勾配を補償するように、前記他方の電圧印加手
    段への供給電位の変調範囲を前記駆動電極の延長方向に
    沿って変化させた液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記選択パルスの付
    与状態の変調方法は、前記選択パルスのパルス高を変調
    する方法である液晶表示装置。
JP27700293A 1993-11-05 1993-11-05 液晶表示装置 Pending JPH07128643A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6061042A (en) * 1997-02-06 2000-05-09 Ricoh Company, Ltd. Liquid crystal display device

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6061042A (en) * 1997-02-06 2000-05-09 Ricoh Company, Ltd. Liquid crystal display device

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