JPH0712444U - 粉末成形用の上多段パンチ金型装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内外パンチの段差設定を簡単に調整できるよ
うにする。 【構成】 上ラム５の下部に固設された流体導入通路６
を有する受板７と、受板７に固設されたシリンダロック
８と、シリンダブロック８の内孔に嵌合し流体導入通路
６を介して加圧又は減圧されることにより進退可能なピ
ストンロッド９と、シリンダブロック８に固設されてピ
ストンロッド９が挿通される貫通孔を持つ外パンチ取付
板１０と、ピストンロッド９の下端に結合された内パン
チ４と、内パンチ４と嵌合しかつ外パンチ取付板１０に
固設された外パンチ２とを備えた粉末成形用の上多段パ
ンチ金型装置において、受板７とシリンダブロック８と
の間に、流体導入通路６をシリンダブロック内孔に連通
する導入孔１７，１８を有し、かつシリンダブロック内
孔に嵌合しているピストンロッド９を上側から押し込め
てその通常位置を同軸方向へ任意に可変する内パンチ調
整手段１２を組み込んだハウジング部材を一体に介装し
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、縦断面Ｈ形状のような圧粉成形体を作るために好適な粉末成形用の 上多段パンチ金型装置に関する。

【０００２】

【従来技術】

焼結製品としては、カムシャフト回転用歯付プーリなどで例示される如く、外 径面が歯に形成され、シャフトと嵌合する内孔を有しているものもある。このよ うな形状製品では、圧粉成形体として縦断面Ｈ形状に設計され、粉末成形用多段 パンチ金型装置が用いられる。図３、図４はその多段パンチ金型装置例を模式的 に示している。金型装置概要は、下パンチ金型装置および上パンチ金型装置から なり、圧粉体Ｓの外径を形作るための内孔を持つダイ１と、ダイ１の内孔に嵌合 し圧粉体外輪Ｓ₁の端面を押圧する上下の外パンチ２，３と、圧粉体Ｓの内側薄 肉部Ｓ₂を押圧する上下の内パンチ４，２５とを備えている。

【０００３】 ところで、下多段パンチ金型装置はダイ１が主体となり、外パンチ３および内 パンチ２５をダイ下部などに設置される各駆動手段により上下に進退することが 可能であるのに対し、上多段パンチ金型装置は昇降する上ラム５が主体となるの で、内パンチ４の進退は同図の如くエアシリンダ等の駆動手段を上ラム５に組み 込む構成が採用される。 同図の上多段パンチ金型装置は、上ラム６の下部に設置されて流体圧導入通路 ６を有する受板７と、シリンダブロック８の内孔に嵌合し流体圧により進退可能 なピストンロッド９と、このロッドが貫通する内孔を持つ外パンチ取付板１０と 、この取付板１０に押え部材１１を介して固定された外パンチ２と、ピストンロ ッド９の先端に結合された内パンチ４などからなり、流体圧導入通路６を通じて 加圧、負圧することで内パンチ４を進退させる構成である。

【０００４】 そして、縦断面Ｈ形状を圧粉成形する場合は、例えば、粉末充填はダイ孔にあ って底面を上側にした有底筒状としておき、内側薄肉部Ｓ₂となる底面を上下内 パンチ４，２５で挟んで下方へ移動して略Ｈ形状にしたのち図３の如く圧縮成形 する。圧粉体Ｓを抜き出すときは、例えば、下側の外パンチ３で圧粉体Ｓの外輪 端面を支えた状態でダイから抜き出し、圧粉体Ｓがスプリングバッグしてその凹 部Ｓ₃が拡張したのち、最後に図４の如く上側の内パンチ４を突出させて離型す る。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

このような、従来の上多段パンチ金型装置では、外パンチ２が外パンチ取付板 １０に固定される一方、内パンチ４がピストンロッド９に固定されており、圧粉 体Ｓの対応凹部Ｓ₃の段差は、図３の如くピストンロッド９が上昇して受板７に 当接した状態における外パンチ２の端面と内パンチ４の端面との段差により決定 される。このため、外パンチ２および内パンチ４の製作誤差はそのまま圧粉体凹 部の段差寸法に影響し、またパンチ２，４の摩耗などによる修正も両パンチの段 差を考慮して行う必要があった。しかも、段差を若干変えたいような場合に、パ ンチ２又は４を交換しなければ対処できないことが多く、汎用性に欠けていた。

【０００６】 本考案の目的は、以上のような問題を解決するため、内外パンチの段差設定を 簡単に調整できる上多段パンチ金型装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

以上の目的を達成するため、本考案の上側多段パンチ金型装置は、従来装置の 受板とシリンダブロックとの間に、流体導入通路をシリンダブロック内孔に連通 する導入孔を有し、かつ前記シリンダブロック内孔に嵌合しているピストンロッ ドを上側から押し込めてその通常位置を同軸方向へ任意に可変する内パンチ調整 手段を組み込んだハウジング部材を一体に介装したことを要旨とする。 また、前記内パンチ調整手段は、ハウジング部材の内孔上側に配置されて、下 面が傾斜面であり、上面が受板下面と摺接しつつ粉末圧縮方向と直交する水平方 向に進退可能であると共に、前記流体導入通路に連通する導入孔を持つスライド 部材と、ハウジング部材の内孔下側に嵌合配置されて、上面がスライド部材の傾 斜面と摺接する傾斜面であり、ピストンロッドの上端面とスライド部材の傾斜面 との間に位置してスライド部材の進退移動により粉末圧縮方向に進退されてピス トンロッド位置を可変すると共に、前記導入孔に連通する導入孔を持つピストン ストッパと、前記スライド部材を水平方向に進退する操作部材とを備えた構造で ある。

【０００８】

【作用】

本考案の装置構成によれば、内パンチ調整手段を比較的容易に付設することが 可能であり、その内パンチ調整手段は流体導入通路に連通する導入孔があり、シ リンダロッドに流体圧力を供給して従来と同様に駆動すると共に、外パンチの端 面と内パンチの下端面との段差を任意に変更することができる。 この場合、内パンチ調整手段は、スライド部材とピストンストッパが傾斜面で 接しているから、スライド部材を操作部材の操作により横移動させると、ピスト ンストッパがスライド部材のくさび作用により粉末圧縮方向に前進または後退さ れる。その下面がピストンロッドを押し込めることにより、内パンチの下端面位 置が変更される。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の装置構成を図１および図２に示す実施例により説明する。 なお、図１と図２には下多段パンチ金型装置を省略し、図３および図４と同様 な構成部分には同一符号を使用している。 同図の上多段パンチ金型装置は、昇降される上ラム５の下部に固設された流体 圧導入通路６を持つ受板７、シリンダブロック８および外パンチ取付板１０、ピ ストンロッド９、内パンチ４、外パンチ２および押え部材１１を備えている点で 従来構造と同じ。要部構造は、内パンチ調整手段１２を組み込んだハウジング１ ３が受板７とシリンダブロック８との間に一体に介装されていることである。

【００１０】 ハウジング１３は、上部側に径大の内径１３ａが形成され、下部側にシリンダ ブロック９のシリンダ孔４ａと同軸かつ同径の内孔１３ｂが形成されており、適 宜な手段により受板７とシリンダブロック８との間に挟着されている。そして、 内パンチ調整手段１２は、内径１３ｂに嵌合配置されるピストンストッパ１４と 、内径１３ａにあってピストンストッパ１４と受板７との間に配置されるスライ ド部材１５と、スライド部材１５を移動する操作部材としてのねじ部材１６とで 構成されている。

【００１１】 ピストンストッパ１４は、軸心に沿って設けられた流体用導入孔１７を有し、 上端面が所定勾配（水平端面から５度の傾き）の傾斜面１４ａに形成されている 。また、ピストンストッパ１４は内径１３ｂに対して摺動可能に嵌合する外径で あり、傾斜面１４ａを上向きにした状態で内径１３ｂに嵌合されている。 スライド部材１５は、流体導入通路６と導入孔１７とを連通する流体用導入孔 １８を有し、下端面が傾斜面１４ａに対応した傾斜面１５ａに形成されている。 傾斜面１５ａを傾斜面１４ａに載せてピストンストッパ１４に保持した状態では 、スライド部材１５の上端面が内径１３ａにあって受板３下面と平行に対抗する 。 また、ねじ部材１６は、ボルトが用いられて、ボルト軸をハウジング１３の側 部から内径１３ａに貫通した雌ねじに螺入し、スライド部材１５を横方向に進退 できるようになっている。なお、ねじ部材１６はスライド部材１５の左側面に対 し回転可能に連結している。他の構成としては、１対のねじ部材を用いてスライ ド部材１５の左側面と右側面から各々突き当てるようにすることも可能である。

【００１２】 次に、上記パンチ金型装置における内パンチ調整手段１２の動作を概説する。 ねじ部材１６を操作することによりスライド部材１５が図中の右側に移動さ
れ ると、ピストンストッパ１４はくさび作用によって下方に押されて移動する。こ の移動量に応じてピストンロッド９も下方に移動する結果、内パンチ４は外パン チ２から突出してその段差が大きくなる。反対に、スライド部材１５が図中の左 側に移動されると、内パンチ４と外パンチ２の端面段差は小さくなる。

【００１３】 図１は、図３と同じくダイ孔において粉末を加圧したときの状態であり、圧粉 体Ｓにおける対応凹部Ｓ₃の段差は前述のように簡単な操作により変更したり、 微調整することができる。図２は、充填粉末のトランスファおよび圧粉体離型時 のときの状態であり、圧縮空気が流体導入通路６および各導入孔１７，１８を通 じてシリンダブロック９の内孔９ａ上側に導入されると、その加圧力によってピ ストンロッド９が押し下げられて内パンチ４を突き出す。このとき、ピストンス トッパ１４は、反力によって上方へ付勢されている。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の上多段パンチ金型装置にあっては、内パンチ調 整手段を構成簡易に付設することができ、圧粉成形の寸法調整が容易となり、両 パンチの長さ寸法誤差などを大巾に許容することができる。 また、請求項２によれば、スライド部材とピストンストッパが傾斜面で接して いるから、スライド部材を操作部材の操作により横移動させるだけで、ピストン ストッパがスライド部材のくさび作用により粉末圧縮方向に前進または後退され る。したがって、内パンチの下端面位置を変更したり、微調整するときに効率よ く段取り作業ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例である上多段パンチ金型装置を
示す縦断面模式図である。

【図２】前記金型装置において内パンチを押し下げた状
態で示す縦断面模式図である。

【図３】従来の多段パンチ金型装置を説明する縦断面模
式図である。

【図４】前記金型装置において内パンチを押し下げた状
態で示す縦断面模式図である。

【符号の説明】

２ 外パンチ ４ 内パンチ ５ 上ラム ７ 受板 ６ 流体導入通路 ８ シリンダブロック ９ ピストンロッド １０ 外パンチ取付板 １２ 内パンチ調整手段 １３ ハウジング部
材 １４ ピストンストッパ １５ スライド部材 １６ ねじ部材（操作部材） １４ａ，１５ａ 傾
斜面 １７，１８ 導入孔

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上ラムの下部に固設された流体導入通路
   を有する受板と、受板に固設されたシリンダブロック
   と、シリンダブロックの内孔に嵌合し前記流体導入通路
   を介して加圧又は減圧されることにより進退可能なピス
   トンロッドと、シリンダブロックに固設されてピストン
   ロッドが挿通される貫通孔を持つ外パンチ取付板と、ピ
   ストンロッドの下端に結合された内パンチと、内パンチ
   と嵌合しかつ外パンチ取付板に固設された外パンチとを
   備えた粉末成形用の上多段パンチ金型装置において、 前記受板とシリンダブロックとの間に、前記流体導入通
   路をシリンダブロック内孔に連通する導入孔を有し、か
   つ前記シリンダブロック内孔に嵌合しているピストンロ
   ッドを上側から押し込めてその通常位置を同軸方向へ任
   意に可変する内パンチ調整手段を組み込んだハウジング
   部材を一体に介装したことを特徴とする粉末成形用の上
   多段パンチ金型装置。
2. 【請求項２】 前記内パンチ調整手段は、ハウジング部
   材の内孔上側に配置されて、下面が傾斜面であり、上面
   が受板下面と摺接しつつ粉末圧縮方向と直交する水平方
   向に進退可能であると共に、前記流体導入通路に連通す
   る導入孔を持つスライド部材と、ハウジング部材の内孔
   下側に嵌合配置されて、上面がスライド部材の傾斜面と
   摺接する傾斜面であり、ピストンロッドの上端面とスラ
   イド部材の傾斜面との間に位置してスライド部材の進退
   移動により粉末圧縮方向に進退されてピストンロッド位
   置を可変すると共に、前記導入孔に連通する導入孔を持
   つピストンストッパと、前記スライド部材を水平方向に
   進退する操作部材とを備えている請求項１に記載の粉末
   成形用の上多段パンチ金型装置。