JPH07120328A - 摩擦面温度センサ - Google Patents

摩擦面温度センサ

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JPH07120328A
JPH07120328A JP26475293A JP26475293A JPH07120328A JP H07120328 A JPH07120328 A JP H07120328A JP 26475293 A JP26475293 A JP 26475293A JP 26475293 A JP26475293 A JP 26475293A JP H07120328 A JPH07120328 A JP H07120328A
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friction surface
friction
temperature
thermocouple
temperature sensor
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Tomio Okamoto
富雄 岡本
Shingo Shimizu
信吾 清水
Noboru Niikura
昇 新鞍
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被摩擦材に摩擦材が摺接させられる際におけ
る摩擦面の温度を検出する摩擦面温度センサにおいて、
摩擦面の温度を長時間にわたって精度よく検出可能とす
る。 【構成】 一対の熱電対素子54,56を備えた摩擦面
温度センサ50を、摩擦材18に摩擦面52から厚さ方
向に延びる姿勢で埋め込む。摩擦材18が摩擦面14に
摺接した際、一対の熱電対素子54,56が摩擦面14
に接触し、熱電対素子54が展延されて熱電対素子56
に達し、熱電対の高温側結合部を形成する。熱電対素子
54は摩擦材18の磨耗に伴って継続的に展延されるた
め、摩擦面の温度を長時間にわたって検出することがで
きる。また、高温側結合部は摩擦面14近傍にのみ形成
されるため、摩擦面14の温度を精度よく検出すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摩擦面の温度を検出す
る温度センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、互いに種類の異なる金属から
成る一対の熱電対素子を備えた温度センサが知られてい
る。その一例として、特開昭61─15380号公報に
は、ガス湯沸かし器における点火を検出する温度センサ
が記載されている。この公報に記載の温度センサにおい
ては、互いに種類の異なる金属から成る一対の熱電対素
子の一端部が溶接によって接合されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記
載された温度センサを被摩擦材に摩擦材が摺接させられ
る際における摩擦面の温度を検出する摩擦面温度センサ
として使用する場合には、摩擦面の温度を長期間にわた
って検出することができない。摩擦面の温度を検出する
場合には、温度センサを摩擦材に、一対の熱電対素子の
一端部(溶接部)が摩擦材の被摩擦材に対する摩擦面に
露出した状態で配設しなければならない。そのため、溶
接部が被摩擦材に摺接し、磨耗して溶接部が消滅してし
まうのである。
【0004】溶接部を摩擦材の厚さ方向に長くすれば、
溶接部の一部が磨耗しても、摩擦面の温度を検出し得る
状態を保つことができる。しかし、溶接部を摩擦材の厚
さ方向に長くすると、摩擦面の温度を精度よく検出する
ことができないという問題が生じる。熱起電力は溶接部
における平均温度に応じて生じるため、溶接部が摩擦材
の厚さ方向、すなわち、摩擦面から離間する方向に長く
なると、摩擦材の厚さ方向の平均温度が検出され、摩擦
面の温度より低くなってしまうのである。
【0005】そこで、本発明の課題は、摩擦面の温度を
長時間にわたって検出し得、かつ、精度よく検出し得る
摩擦面温度センサを得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題は、摩擦面温度
センサを、互いに種類の異なる金属から成り、それぞれ
摩擦材の摩擦面からその摩擦材の厚さ方向に延びるとと
もに、その摩擦材の摩擦面に対する被摩擦材上の一点の
移動軌跡に沿って互いに距離を隔てて配置された一対の
熱電対素子と、それら一対の熱電対素子間に充填された
電気絶縁材とを含み、かつ、それら一対の熱電対素子の
うち、被摩擦材との摺接時に前記一点と先に接触する側
の熱電対素子が、被摩擦材との接触に伴って他方の熱電
対素子に達するまで展延するに足る展延性を有する材料
から成るようにすることによって解決される。
【0007】
【作用】本発明に係る摩擦面温度センサにおいて、一対
の熱電対素子間には電気絶縁材が充填されているため、
これら一対の熱電対素子は、基本的には電気的に遮断さ
れた状態にあり、そのままでは摩擦面の温度を検出でき
ない。しかし、被摩擦材に摩擦材が摺接させられれば、
被摩擦材上の一点と先に接触する側の一方の熱電対素子
が絶縁材の端面(摩擦材の摩擦面の一部を形成する)に
沿って展延され、他方の熱電対素子に達する。その結
果、これら一対の熱電対素子が互いに結合された状態と
なり、摩擦面の温度を検出できる状態になる。本発明の
摩擦面温度センサにおいては、基本的には電気的に遮断
された状態にある一対の熱電対素子が,被摩擦材への接
触によって結合され、温度を検出可能な状態になるので
ある。
【0008】上述の「基本的には電気的に遮断された状
態にある」とは、本発明の摩擦面温度センサにおける一
対の熱電対素子が本来は電気的に遮断状態にあり、定常
的な使用時に展延に基づく結合部の形成によって導通状
態になるという意味であって、摩擦材の使用当初から摩
擦面温度の検出を可能とするために、使用前の状態にお
いて一対の熱電対素子の摩擦面近傍の部分のみを溶接等
によって結合状態とすることを排除するものではない。
この場合には、最初に形成されていた結合部が磨耗する
につれて熱電対素子の展延による結合部が形成されるこ
とになる。
【0009】熱電対素子の展延された部分である展延部
は絶縁材の端面に沿って形成されるため、その展延部と
他方の熱電対素子との間で形成される結合部も摩擦材の
摩擦面近傍に形成されるのみである。したがって、摩擦
面の温度が精度よく検出される。展延部は摩擦材の磨耗
に伴って磨耗するが、同時に熱電対素子の新しい部分が
展延されて展延部となり、一対の熱電対素子は恒久的に
温度検出可能な状態に維持される。
【0010】上記熱電対素子は、一方の熱電対素子が展
延によって他方の熱電対素子に達し得れば、どのような
形態のものであってもよい。例えば、両方が平板状を成
したものであっても、平板状を成したものと線状を成し
たものとであっても、円筒状を成したものと線状を成し
たものとであってもよい。なお、円筒状熱電対素子と線
状熱電対素子との組み合わせにおいては、後者を前者の
中央に配置することが望ましく、この場合には、円筒状
熱電対素子全体と線状熱電対素子とは被摩擦材上の一点
の移動軌跡に沿った方向に互いに距離を隔てているとは
言えないが、円筒状熱電対素子の線状熱電対素子に対し
て被摩擦材上の一点の移動軌跡に沿った方向に隔たった
部分が熱電対素子であると考えれば、本発明の一実施例
と言い得る。
【0011】一対の熱電対素子が上記いずれの形態のも
のであっても、少なくとも被摩擦材と先に接触する側の
熱電対素子を展延性に優れた材料から成るものとすれば
よい。摩擦材と被摩擦材との相対移動方向が決まってお
り、被摩擦材上の一点と先に接触する熱電対素子が決ま
っている場合には、その熱電対素子を展延性に優れた材
料から成るものとすればよいが、決まっていない場合に
は、両方の熱電対素子を展延性に優れた材料から成るも
のとすることが望ましい。なお、摩擦材と被摩擦材との
相対移動方向が決まっていないと言っても、車両用ディ
スクブレーキにおける摩擦材としてのブレーキパッドと
被摩擦材としてのディスクロータのように、主たる相対
移動方向が一方向(車両前進方向)に決まっている場合
には、両者の相対移動方向が実質的に決まっていると考
えることができる。ただし、この場合には両者の相対移
動方向が一時的に逆になったのみでは消失しない展延部
が形成されるようにすることが望ましい。また、本来は
摩擦材と被摩擦材との相対移動方向が決まっていない場
合でも、実験等の目的で一方向の相対移動時における摩
擦面の温度のみを検出すればよい場合には、温度検出目
的に合った方の熱電対素子のみを展延性のある材料から
成るものとしてもよく、この態様も特許請求の範囲を逸
脱するものではない。逆に、摩擦材と被摩擦材との相対
移動方向が決まっている場合に、両方の熱電対素子を展
延性に優れた材料から成るものとしても差し支えないこ
とは勿論である。
【0012】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、被摩擦
材に摩擦材が摺接させられる際における摩擦面の温度
を、長期間にわたって、かつ、精度よく検出することが
可能となる。しかも、本発明に係る摩擦面温度センサは
構造が単純であるため安価に製造することができる。
【0013】
【実施例】本発明の一実施例としての摩擦面温度センサ
を車両のディスクブレーキに配設し、ディスクロータに
ブレーキパッドが摺接させられる際における摩擦面の温
度検出に適用した場合について図面に基づいて詳細に説
明する。図1において、10はディスクロータである。
ディスクロータ10は鋳鉄製であり、摩擦面12,14
を備えている。摩擦面12,14には、摩擦材16、1
8と裏板20、22とから成るアウタパッド24および
インナパッド26が対向させられている。これらアウタ
パッド24、インナパッド26はトルク部材27の中央
部に設けられた切欠28に嵌合されて摩擦面12、14
に対して垂直方向に移動可能に支持されており、制動時
にアウタパッド24,インナパッド26に加えられる回
転トルクがそのトルク部材27によって受けられるよう
になっている。尚、トルク部材27は図示しない車軸等
に固定され、アウタパッド24,インナパッド26およ
びキャリパ30を支持するためにディスクロータ10の
外周を跨いで連結された相対向する板状部を備えてい
る。
【0014】キャリパ30は、インナパッド26に対向
するシリンダ部32と、アウタパッド24に対応するリ
アクション部34とシリンダ部32とリアクション部3
4とを連結するブリッジ部35とを備え、ディスクロー
タ10を跨ぐ姿勢で配設されている。シリンダ部32に
は、ピストン36が摺動可能に嵌合されている。キャリ
パ30は図示しない2個のアーム部を備えており、これ
らアーム部に形成された嵌合孔にトルク部材27にディ
スクロータ10の軸に平行に突設された図示しないスラ
イドピンが嵌合されることにより、ロータ10の軸心と
平行な方向に移動可能に支持されている。以上のよう
に、ディスクブレーキが構成されている。また、シリン
ダ32内に形成された液圧室38には、マスタシリンダ
40の液圧が供給されるようになっており、マスタシリ
ンダ40の液圧はブレーキペダル42の踏力に応じて発
生させられる。これらと上記ディスクブレーキとにより
ブレーキ装置が構成されている。
【0015】インナパッド26の摩擦材18には、摩擦
面温度センサ50が摩擦面52から厚さ方向に延びた姿
勢で埋め込まれている。摩擦面温度センサ50は、熱電
対式であり、図2,3に示すように、一対の熱電対素子
54、56を備えている。後述するように、一対の熱電
対素子54,56は、ディスクロータ10に摺接させら
れる以前には、図2,3に示す状態にあるが、摺接させ
られた後には、図4,5に示す状態になる。
【0016】熱電対素子54は円筒状を成し、摩擦面5
2から摩擦材18の厚さ方向に延びている。円筒の外径
が0.60mm,肉厚が0.20mmである。また、展延性
を有する材料で形成されたものであり、本実施例におい
ては銅製である。熱電対素子56は線状を成し、円筒状
の熱電対素子54の中央部に摩擦面52から摩擦材18
の厚さ方向に延びて配設されている。本実施例において
はコンスタンタン製で、線径は0.15mmである。熱電
対素子54,56の端面は摩擦面52に露出させられて
いる。
【0017】熱電対素子54と熱電対素子56との間に
は、電気絶縁材としてのエポキシ樹脂が充填され電気絶
縁体58を形成している。電気絶縁材58は、熱電対素
子54と56との間を電気的に絶縁する機能と、熱電対
素子56を円筒状の熱電対素子54の中央部に支持する
機能とを果たす。この状態においては、熱電対素子54
と熱電対素子56とが電気的に遮断されており、温度を
検出することができない状態にある。
【0018】また、熱電対素子54が円筒状とされ、熱
電対素子56がその中央部に支持されているため、摩擦
面温度センサ50が摩擦材18に厚さ方向に延びた姿勢
であればどのような位相で埋め込まれても、熱電対素子
54の一部と熱電対素子56とが、ディスクロータ10
上の一点の移動軌跡に沿って互いに距離を隔てて配置さ
れた状態となり、展延性のある熱電対素子54の上記一
部が先にディスクロータ10の摩擦面14に接触させら
れることになる。
【0019】筒状の熱電対素子54の裏板22側の一端
には、同じ材質である銅線60が接続されている。銅線
60は、裏板22に形成された切欠61と摩擦材18と
によって形成される隙間を経て延ばされ、電圧温度変換
装置としての処理回路62に接続されている。線状の熱
電対素子56も、同様に延ばされ、処理回路62に接続
されている。処理回路62内において、熱電対素子54
と56とが結合され、熱電対のいわゆる低温側が形成さ
れる。それに対して、高温側は、後述する摩擦面温度セ
ンサ50のディスクロータ10に摺接させられる部分で
ある。
【0020】熱電対において、低温側と高温側とに温度
差が生じると熱起電力が生じる。熱起電力は、温度差が
大きいほど大きく、熱電対素子間に生じる電圧差が大き
くなる。処理回路62は、この電圧差から温度差を演算
し、高温側の温度、すなわち、摩擦面14の温度を演算
する装置である。ディスクロータ10の摩擦面14の温
度は、この処理回路62,摩擦面温度センサ50等を備
えた温度検出装置64によって検出されるのである。ま
た、処理回路62には、車室内に取り付けられた表示装
置66が接続されている。表示装置66には摩擦面14
の温度が表示されるとともに、温度が設定値以上になる
とシフトレバーのレンジを下げてエンジンブレーキの効
きを良くすべき旨の表示が行われる。設定値はディスク
ロータ10が過熱し、摩擦材16,18の磨耗が著しく
なるより低い温度に設定されている。
【0021】本実施例のブレーキ装置には、ロータ冷却
装置70が設けられている。ロータ冷却装置70は、図
示しない空気を蓄えるタンク,タンクに空気を圧縮して
供給するポンプ,空気供給管等を備えたものであり、空
気供給管の空気吹出し口がディスクロータ10の摩擦面
14の近傍に位置するように配設されている。また、ロ
ータ冷却装置70には温度検出装置64が接続されてお
り、温度検出装置64によって検出された温度が設定値
以上の場合には作動させられ、タンクに蓄えられた空気
が空気吹出し口から噴出させられ、ディスクロータ10
が冷やされる。また、空気吹出し口を摩擦面14の出側
端部近傍に位置するように配置すれば、より有効に冷却
することができる。
【0022】以上のように構成されたブレーキ装置の作
動について説明する。走行中にブレーキペダル42が踏
み込まれると、その踏力に応じた液圧がマスタシリンダ
40に発生させられ、その液圧が液圧室38に供給され
る。ピストン36が前進させられ、インナパッド26を
回転するディスクロータ10の摩擦面14に摺接させ
る。シリンダ32が後退させられるとともにリアクショ
ン部34が前進させられ、アウタパッド24を摩擦面1
2に摺接させる。ディスクロータ10の回転が抑制され
ブレーキが作用状態とされる。
【0023】摩擦材18がディスクロータ10の摩擦面
14に摺接させられると同時に一対の熱電対素子54,
56が摩擦面14に摺接させられる。その結果、図4,
5に示すように、熱電対素子54のディスクロータ10
上の一点の移動方向(矢印A方向)に関して上流側の部
分が展延され、展延部74が形成される。展延部74は
電気絶縁材58の端面76に沿って延び、電気絶縁材5
8は展延部74を背後から支持する機能を果たす。展延
部74は熱電対素子56に到り、実質的にこれに結合さ
れた状態になる。本実施例においては、摩擦材16,1
8と被摩擦材としてのディスクロータ10とのように、
これらの主たる相対移動方向が一方向(車両前進方向)
に決まっている場合には、両者の相対移動方向が実質的
に決まっていると考えることができる。したがって、展
延部74は摩擦材18の磨耗に伴って磨耗するが、同時
に熱電対素子54の新しい部分が展延されて展延部74
となり、一対の熱電対素子54,56は恒久的に温度検
出可能な状態に維持される。また、この温度検出可能な
状態は、両者の相対移動方向が一時的に逆(車両後退方
向)になった場合にも保たれる。当然、両者の相対移動
方向が長時間逆になれば、展延部74の形成される方向
が図4に示す場合と逆になる。
【0024】ディスクロータ10の温度が上昇し、処理
回路62内の温度(熱電対の低温側温度)と摩擦面14
の温度(高温側温度)との差が大きくなれば、高温側結
合部と低温側結合部との間の電圧差が大きくなる。この
電圧差に応じて温度差が検出され、摩擦面14の温度が
検出される。表示装置66には摩擦面14の温度が表示
されるが、摩擦面14の温度が設定値より高くなれば、
シフトレバーのレンジを下げる指示が表示されるととも
にロータ冷却装置70が作動させられ、ディスクロータ
10が冷却される。
【0025】次に、本実施例の摩擦面温度センサ50の
有効性を確認するために行った実験について説明する。
実験装置は、図示しないが、上記実施例のブレーキ装置
において、ディスクロータ10の回転速度,液圧室38
の液圧等を制御可能とした装置である。図6に示すよう
に、インナパッド26の摩擦材18の位置A〜位置Eに
摩擦面温度センサ50を埋め込み、ディスクロータ10
の回転方向を矢印P,回転速度を30RPM (πラジアン
/秒),液圧室38の液圧を10kg/cm2(0.97Pa)
とした場合の各温度検出装置64の時間の経過に伴う検
出結果を図7に示す。
【0026】図7において、グラフA〜Eは、摩擦材1
8の位置A〜Eに埋め込まれた摩擦面温度センサ50を
備えた温度検出装置64の検出結果を示している。ま
た、グラフFはディスクロータ10の回転トルクを測定
した結果を表している。グラフA〜Eから、温度が時間
の経過に伴って上昇することがわかる。つまり、温度検
出装置64によって摩擦面14の温度が連続的に検出さ
れ、摩擦面温度センサ50が温度を検出し得る状態に保
たれていることがわかる。また、それぞれのグラフA〜
Eが急激に低下したり,急激に上昇したりすることがな
いことから、展延部74が連続して形成され、一対の熱
電対素子54,56の結合が安定に維持されていること
がわかる。さらに、それぞれのグラフA〜Eの上昇勾配
の変化が小さいことから、展延部74の厚さのバラツキ
が小さいことがわかる。また、それぞれグラフA〜Eが
示す温度の差が小さいことから摩擦面14の温度が精度
よく検出されることがわかる。
【0027】以上のように、本実施例の摩擦面温度セン
サ50によれば、ディスクロータ10に摩擦材18が摺
接させられる際における両者の摩擦面の温度を連続的に
検出することができる。本実施例の摩擦面温度センサ5
0は、従来の温度センサと異なって、一対の熱電対素子
54,56がディスクロータ10と摺接させられること
によって検出可能な状態にされるのである。したがっ
て、摺接によって検出できなくなることがなく、理論的
には、摩擦材18の厚さが殆ど0になる(摩擦面温度セ
ンサ50の長さが0になる)までの間検出することがで
きる。
【0028】また、熱電対素子54の展延部74の厚さ
が非常に薄いため、熱電対素子54,56の結合部の摩
擦材18の厚さ方向における寸法が非常に小さく、摩擦
面14の温度を精度よく検出することができる。さら
に、熱電対素子54が筒状にされているため、摩擦面温
度センサ50を取り付ける場合の位相を考慮しなくても
よい等の利点がある。
【0029】また、本実施例のブレーキ装置によれば、
ディスクロータ10の温度が知らされたり、温度が設定
値以上になるとシフトレバーのレンジを下げる指示が表
示されたりするため、運転者はそれに応じてブレーキ操
作を適切に行うことができ、ディスクロータ10および
摩擦材16,18が過熱することを防止することができ
る。また、ディスクロータ10の温度が設定値以上にな
った場合には、ロータ冷却装置70が作動させられるた
め、ディスクロータ10および摩擦材16,18の過熱
を良好に回避することができる。
【0030】なお、上記実施例の摩擦面温度センサ50
においては、熱電対素子54が銅製であり、熱電対素子
56がコンスタンタン製とされていたが、互いに熱電対
を形成し得る材料であり、かつ、円筒状の熱電対素子が
展延性を有する材料によって形成されていれば他の材料
で形成されたものとしてもよい。例えば、一対の熱電対
素子を図8の表に示す材料によって形成されたものとす
ることもできる。円筒状の熱電対素子は、ディスクロー
タ10の摩擦面14より柔らかく、摩擦面14との摺接
によって容易に展延され得る材料によって形成されるの
が望ましい。
【0031】また、ディスクロータ10を鋼にした場合
には、白金−白金パラジウム等のように鋳鉄より硬い材
料でも使用することができる。
【0032】さらに、上記実施例の摩擦面温度センサ5
0においては、摩擦面温度センサ50が製造された直
後、すなわち、インナパッド26が使用される以前にお
いては、図2に示すように、一対の熱電対素子54,5
6がエポキシ樹脂58によって電気的に遮断され、温度
を検出できない状態にされていたが、一対の熱電対素子
54,56が、図4,5に示すように溶接等により結合
された状態にあってもよい。しかし、前者のように、熱
電対素子54と56との間にエポキシ樹脂58を充填
し、電気的に遮断した状態で製作した方が、製作が容易
である。また、熱電対素子54,56間に充填される電
気絶縁体は、エポキシ樹脂の他にアロンアルファ(商品
名),その他の樹脂等であってもよい。
【0033】さらに、上記実施例の摩擦面温度センサ5
0において、熱電対素子54が円筒状,熱電対素子56
が線状とされていたが、両方の熱電対素子を平板状と
し、これらをディスクロータ10上の一点の移動軌跡に
沿った方向において互いに対向する状態で配置してもよ
い。この場合には、展延性を有する材料によって形成さ
れた熱電対素子を車両が前進中の制動時に摩擦面14上
の一点が先に接触する側に配置する。
【0034】また、平板状を成した一対の熱電対素子を
複数個並べてもよい。この場合には、両端に位置する熱
電対素子を展延性に優れた材料にすれば、ディスクロー
タが正・逆両方向に回転し続ける場合にも結合部が形成
される。展延性を有する熱電対素子が必ず先に摺接する
ことになる。
【0035】さらに、上記実施例のブレーキ装置におい
ては、摩擦面温度センサ50がインナパッド26に取り
付けられていたが、アウタパッド24に取り付けてもよ
く、アウタパッド24およびインナパッド26の両方に
取り付けてもよい。また、表示装置66,ロータ冷却装
置70等は不可欠ではない。
【0036】その他、いちいち例示することはしない
が、特許請求の範囲を逸脱することなく当業者の知識に
基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発明を実施
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である摩擦面温度センサが配
設されたブレーキ装置の要部を断面にして示す系統図で
ある。
【図2】上記摩擦面温度センサの側面断面図である。
【図3】上記摩擦面温度センサの正面図である。
【図4】上記摩擦面温度センサの別の状態の側面断面図
である。
【図5】図4の状態の摩擦面温度センサの正面図であ
る。
【図6】上記摩擦面温度センサの有効性を確認するため
の実験装置に供したブレーキパッドの正面図である。
【図7】上記実験装置における温度検出装置の検出結果
を示すグラフである。
【図8】本発明の別の実施例である温度センサの熱電対
素子を形成する材料を表す図である。
【符号の説明】
10 ディスクロータ 50 摩擦面温度センサ 54 熱電対素子 56 熱電対素子 58 電気絶縁体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被摩擦材に摩擦材が摺接させられる際に
    おける摩擦面の温度を検出する摩擦面温度センサであっ
    て、 互いに種類の異なる金属から成り、それぞれ摩擦材の摩
    擦面からその摩擦材の厚さ方向に延びるとともに、その
    摩擦材の摩擦面に対する被摩擦材上の一点の移動軌跡に
    沿って互いに距離を隔てて配置された一対の熱電対素子
    と、それら一対の熱電対素子間に充填された電気絶縁材
    とを含み、かつ、それら一対の熱電対素子のうち、被摩
    擦材との摺接時に前記一点と先に接触する側の熱電対素
    子が、被摩擦材との接触に伴って他方の熱電対素子に達
    するまで展延するに足る展延性を有する材料から成るこ
    とを特徴とする摩擦面温度センサ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104964760A (zh) * 2015-07-02 2015-10-07 北京航空航天大学 一种干式摩擦副红外热电偶嵌入式动态测温方法
CN106153201A (zh) * 2015-04-20 2016-11-23 济南大学 一种金属摩擦磨损自修复过程中的实时监测方法
CN114001839A (zh) * 2021-10-14 2022-02-01 哈尔滨新干线轨道交通科技有限公司 用于高速制动下闸片与轮盘摩擦表面温度测量装置及方法

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