JPH0711847Y2 - 簡易切削装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、例えば生産ラインで使用される治具あるい
は検査具などのように、必要に応じてその都度製作され
る単品生産品を簡便に加工するための簡易切削装置に関
する。

［従来の技術］ 従来より、簡単な操作で物品の基準面からの高さを高精
度で測定することができる測定装置として、所謂、ハイ
トゲージは一般に良く知られており、比較的廉価で市販
されるとともに生産ラインなどにおいて日常的に用いら
れている。

上記ハイトゲージは、生産現場で使用される測定装置で
あるが故に、取扱いが容易で、かつ、小型で堅牢な構造
であることが要求され、通常、測定基準面上に載置され
るベースと、所要の剛性を有して該ベース上に立設され
たガイド支柱と、このガイド支柱に沿って一方向（上下
方向）に直線移動可能な測定具（スクライバ）と、この
スクライバの直線移動距離を表示する表示部とを主要構
成部として形成されている。そして、上記ベースを定盤
表面等の測定基準面上に載置した状態で、スクライバの
先端部を基準面に当接させて零点調整を行った後、同じ
基準面上に載置された物品の測定すべき部位にスクライ
バの先端が当接する上下位置まで上記スクライバをガイ
ド支柱に沿って移動させ、このとき表示部に表示された
数値を読み取るだけの簡単な操作で、高精度の高さ測定
を行うことができる。

ところで、周知のように、例えば各種の加工や組立など
を行う生産ラインでは、製品の種類や各工程での作業の
種類に応じて極めて多種類の治具及び検査具などが用い
られているが、ラインで生産される製品や作業内容に変
更が生じた場合などには、一般に、上記治具及び検査具
等についてもその変更に対応したものが新たに必要とさ
れる。このような場合、従来では、その都度、旋盤やフ
ライス盤などの工作機械を用いて新たな治具あるいは検
査具等の製作が行われている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記治具あるいは検査具等は、いずれ
も、必要に応じてその都度単品生産されるべきものであ
り、このような単品生産品を通常の旋盤やフライス盤な
どの大掛かりな工作機械を用いて製作したのでは、設備
コストが割高になるとともに加工の段取り等にも手間が
かかり過ぎるので非効率的であるという難点がある。特
に、プラスチックなどのような被削性の優れた材料によ
り形成される比較的小形で単純な形状の治具あるいは検
査具などの場合には、上記大掛かりな工作機械を用いる
ことによる設備コスト及び効率性の問題はより顕著なも
のとなる。

この考案は、上記問題点に鑑みてなされたもので、比較
的廉価な市販の測定装置を基本的に利用することによ
り、所定の加工精度を維持しつつ、簡便に機械加工を行
うことができる簡易切削装置を提供することを目的とす
る。

［課題を解決するための手段］ このため、この考案は、ガイド支柱に沿って少なくとも
一方向について直線移動可能な測定具を備えた測定装置
の上記測定具の取付部に、互いに直角な方向に伸長する
複数の取付脚部を備えたアダプターを介して工具回転装
置を取り付け、該工具回転装置に装着された加工工具の
周囲を透明なダストカバーで覆うようにしたものであ
る。

［考案の効果］ この考案によれば、上記測定装置の測定具取付部にアダ
プターを介して工具回転装置を取り付けるようにしたの
で、測定装置の取扱いの簡便性及び高い寸法計測機能を
利用することができ、該測定装置に付与された剛性の範
囲内で、簡便かつ高精度の機械加工を行うことができ
る。

また、上記アダプターには互いに直角な方向に伸長する
複数の取付脚部を設けるようにしたので、上記工具回転
装置の取付方向（すなわち加工工具のセット方向）を複
数の方向のうちから適当に選ぶことができ、簡易切削装
置の取扱い上の利便性を向上させることができる。

更に、上記加工工具の周囲を透明なダストカバーで覆う
ようにしたので、加工工具による切削加工の状態を目視
で確認しつつ、加工時の切屑等の周囲への飛散を防止す
ることができ、特に、簡易切削装置の寸法測定系に切屑
等が付着して測定精度に悪影響を及ぼすことを有効に防
止することができる。

［実施例］ 以下、この考案の実施例を、添付図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図に示すように、本実施例に係る簡易切削装置１
（以下、単に装置という）は、良く知られたハイトゲー
ジの測定具取付部に、測定具（スクライバ）の替わり
に、切削加工を行うための工具回転装置20を取り付けた
ものであり、この工具回転装置20及びその付属品等を除
く他の部分は市販のハイトゲージと同様の構成を備えて
いる。

すなわち、上記装置１は、上下方向の寸法基準を定める
定盤Ｂの測定基準面上に載置されるブロック状のベース
２と、所要の剛性を備えて該ベース２に直角に立設され
た二本の平行なガイド支柱３と、この上下方向に真直し
たガイド支柱3,3を挿通させるとともに、該ガイド支柱
3,3に沿って上下方向に直線移動可能に設けられたスラ
イダ４と、該スライダ４の側面に固定された略Ｌ字状の
取付ジョー５とを備えている。尚、通常のハイトゲージ
の場合には、この取付ジョー５のブランチ部5aに、スク
ライバホルダ12を介してスクライバが取り付けられる。

また、上記スライダ４の正面側には、該スライダ４の移
動量を読み取るためのダイヤルインジケータ６及びデジ
タルカウンタ７、更に、該カウンタ７の零点設定を行う
リセットボタン８が配置される一方、スライダ４の背面
には、該スライダ４を上下動させるための操作ハンドル
９が設けられている。

そして、この操作ハンドル９を手動で回転操作すると、
ガイド支柱3,3に形成されたラック（不図示）と、スラ
イダ４に内蔵されるとともに上記操作ハンドル９に連結
されたピニオン（不図示）との作用により、上記スライ
ダ４がガイド支柱3,3に沿って上下方向に直線移動し、
この移動量が上記デジタルカウンタ７及びダイヤルイン
ジケータ６に表示されるようになっている。尚、このダ
イヤルインジケータ６は比較的小さい単位（例えば、0.
01mmあるいは0.001mm単位）の移動量を表示し、比較的
大きい単位（例えば、1mmあるいは0.1mm単位）の移動量
はデジタルカウンタ７で表示されるようになっている。

また、上記スライダ４の上部には、該スライダ４をロッ
クするスライダクランプ11が設けられており、このスラ
イダクランプ11を所定の方向に回動させることにより、
スライダ４をガイド支柱3,3に対して任意の位置で固定
することができるようになっている。

本実施例では、通常のハイトゲージの場合にはスクライ
バが取り付けられる取付ジョー５に、アダプター25を介
して工具回転装置20が取り付けられている。以下、この
工具回転装置20及びその取付構造について説明する。

第２図に詳しく示すように、上記工具回転装置20は、例
えばエアモータあるいは電動モータで構成される駆動モ
ータ21と、該駆動モータ21の出力側に連結されて該モー
タ21により回転駆動される工具ホルダ22とを備え、上記
駆動モータ21には、圧縮空気あるいは電力を駆動モータ
21に供給する動力源ケーブル23が接続されている。

一方、上記工具回転装置20を取付ジョー５に固定するた
めのアダプター25は、円筒状の貫通孔25dが設けられた
本体部25aと、該本体部25aから互いに直角な方向に伸長
する複数（例えば２本）の取付脚部25b,25cとで構成さ
れており、この取付脚部25b,25cのいずれか一方、例え
ば上記貫通孔25dの中心軸と直角な方向に伸長した取付
脚部25bの上面を上記取付ジョー５のブランチ部5aの下
面に当接させ、該ブランチ部5aと上記取付脚部25bとを
スクライバホルダ12に嵌挿させ、スクライバクランプ13
を締め付けることによって、上記アダプター25を取付ジ
ョー５に固定することができる。この場合、工具回転装
置20の取付方向は上下方向に設定されることになる（第
１図参照）。尚、上記アダプター25の取付脚部25bと取
付脚部25cとはその断面の形状及び寸法が同一に形成さ
れており、上記取付脚部25bの替わりに取付脚部25cを取
付ジョー５に固定することにより、工具回転装置20の取
付方向を左右方向に設定することができる。

また、上記工具回転装置20をアダプター25に取り付ける
際には、アダプター本体部25aの貫通孔25dに工具回転装
置20を嵌挿させ、貫通孔25dの側方からボルト部材26を
ねじ込むことによって、上記工具回転装置20をアダプタ
ー25に対して固定することができる。

上記工具回転装置20の工具ホルダ22には、加工の種類に
応じた加工工具24（例えばエンドミルなど）が装着さ
れ、該加工工具24の周囲には、加工時に発生する切屑の
飛散を防止するために工具24の周囲を覆うダストカバー
28が配設されている。該ダストカバー28は、工具24によ
る加工状態を目視することができるように透明なプラス
チック等の合成樹脂で形成されるとともに、その下端部
には、例えばゴムなどの弾性部材でリップ状に形成され
たスカート部28aが設けられており、ボルト部材26によ
り、工具回転装置20と共にアダプター25に締結固定され
ている（第１図参照）。

更に、本実施例では、上記ダストカバー28の側面にフレ
キシブルホース29の一端が接続され、該フレキシブルホ
ース29の他端は、例えばバキューム掃除機30などの吸引
手段に接続されており、ダストカバー28の内部に発生し
た切屑などを、周囲に飛散させることなく吸引・除去す
ることができるようになっている。

以上のように構成された装置１による切削加工につい
て、以下説明する。

まず、定盤Ｂの測定基準面上に装置１のベース２とワー
ク保持台19とを載置し、このワーク保持台19上に加工す
べきワークＷを配置する。このワークＷは、例えばプラ
スチックや石膏など、被削性が良好で加工時の切削抵抗
が小さい材料で形成されており、必要に応じてクランプ
治具などによって上記ワーク保持台19に固定される。

次に、工具回転装置20及びダストカバー28が装着された
アダプター25を取付ジョー５に固定する。すなわち、ア
ダプター25の取付脚部25bと取付ジョー５のブランチ部5
aとをスクライバホルダ12内に嵌挿させ、スクライバク
ランプ13で締結固定する。

その後、スライダクランプ11を一旦緩め、操作ハンドル
９によりスライダ４を上下動させて装置１の零点調整を
行う。すなわち、例えば、エンドミル24の先端がワーク
Ｗの加工端面に当接する位置を基準とすべき零点に定
め、この位置でカウンタリセットボタン８によりデジタ
ルカウンタ７の零点設定（リセット）を行うとともにダ
イヤルインジケータ６の零点調整を行う。

次に、予め定められたエンドミル24のワークＷに対する
切込量に等しいスライド量だけ、上記スライダ４を下方
にスライドさせ、この位置で、スライダクランプ11を締
め付けてスライダ４を固定する。

そして、ダストカバー28にフレキシブルホース29を接続
した後、工具回転装置20の駆動モータ21を駆動させてエ
ンドミル24を回転させ、ワークＷに対するエンドミル加
工を行う。このとき、エンドミル24に対するワークＷの
水平方向の送りは、ワーク保持台19を定盤Ｂの基準面に
沿って手動でスライドさせることによって行われる。あ
るいは、より好ましくは、良く知られたねじ送り式の二
方向（Ｘ方向及びＹ方向）の送り機構を備えたワーク保
持台を用いることにより、上記ワークＷの送りをより正
確かつ安定して行うことができる。

すなわち、例えば第３図及び第４図に示すように、上記
送り機構を備えたワーク保持台40は、Ｘ方向のガイド溝
41aが設けられるとともに定盤Ｂ上に載置される静止基
台41と、上面にＹ方向のガイド溝42aが設けられるとと
もに下面に上記Ｘ方向のガイド溝41aに嵌合する凸部42b
が形成され、該凸部42bの下面にめねじが螺設されたボ
ス部42cが設けられた第１送り台42と、上面がワークＷ
を載置するワーク載置面43aをなし、下面に上記Ｙ方向
のガイド溝42aに嵌合する凸部43bが形成されるとともに
該凸部43bの下面にめねじが螺設されたボス部43cが設け
られた第２送り台43とに分割して形成されている。上記
第１及び第２の送り台42,43のボス部42c及び43cには、
それぞれ、Ｘ方向送りハンドル45aに連結された第１ス
ピンドル45の雄ねじ及びＹ方向送りハンドル46aに連結
された第２スピンドル46の雄ねじと螺合するめねじが設
けられており、これらめねじと雄ねじとを螺合させた状
態で、上記静止基台41のＸ方向のガイド溝41aと第１送
り台42の凸部42b、及び、第１送り台42のＹ方向のガイ
ド溝42aと第２送り台43の凸部43bとを嵌合させ、固定板
45b及び46bをそれぞれ介して、第１及び第２のスピンド
ル45及び46を第１及び第２の送り台42及び43にそれぞれ
固定する。

そして、Ｘ方向送りハンドル45a及びＹ方向送りハンド
ル46aを操作することにより、上記第２送り台43のワー
ク載置面43a上に配置されたワークＷを、Ｘ方向及びＹ
方向に正確かつ安定して移動させることができるように
なっている。

以上、説明したように、本実施例によれば、市販のハイ
トゲージのスクライバ取付部にアダプター25を介して工
具回転装置20を取り付けるようにしたので、ハイトゲー
ジの取扱いの簡便性及び高い寸法計測機能を利用するこ
とができ、該ハイトゲージに付与された剛性の範囲内
で、簡便かつ高精度の機械加工を行うことができるので
ある。また、上記アダプター25には互いに直角な方向に
伸長する複数の取付脚部25b及び25cを設けるようにした
ので、上記工具回転装置20の取付方向（すなわち加工工
具24のセット方向）を複数の方向のうちから適当に選ぶ
ことができ、装置１の取扱い上の利便性を向上させるこ
とができる。

更に、本実施例では、上記加工工具24の範囲を透明なダ
ストカバー28で覆い、かつ、該ダストカバー28の内部を
バキューム掃除機30で吸引するようにしたので、加工工
具24による切削加工の状態を目視で確認しつつ、加工時
にダストカバー28の内部に発生する切屑等を周囲へ飛散
させることなく吸引・除去することができ、特に、装置
１の寸法測定系（例えば、スライダ４に対するガイド支
柱3,3の案内面など）に切屑等が付着して測定精度に悪
影響を及ぼすことを有効に防止することができるのであ
る。

尚、上記実施例はワークＷに対してエンドミル加工を施
す場合についてのものであったが、工具ホルダ22にドリ
ルを装着してドリル加工を行うこともできる。この場
合、スライダクランプ11をアンロック位置に維持してス
ライダ４を上下動させることによりドリルの送り操作が
行なわれる。更に、この場合、必要に応じて、良く知ら
れたクランプ治具などを用いて装置１のベース２を定盤
Ｂに固定することにより、装置１に作用する上向きの切
削抵抗の増大に対処することができる。

また、上記実施例は、プラスチックあるいは石膏など非
金属材料で形成されたワークＷを加工する場合に適用し
たものであったが、本考案に係る簡易切削装置１は、上
記の場合に限らず、ワークに対する切込量や送り速度な
どの加工条件を適当に設定し、また、必要に応じて、切
削工具に替えて研削工具を用いることなどにより、例え
ばアルミニウムあるいはその合金など、被削性が良好な
ものであれば、金属材料の加工にも適用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本考案の実施例を説明するためのもの
で、第１図は上記実施例に係る簡易切削装置の正面説明
図、第２図は上記簡易切削装置の加工部の分解斜視図、
第３図は上記実施例に係るワーク保持台の変形例を説明
するための正面説明図、第４図は上記ワーク保持台の変
形例の分解斜視図である。 １…簡易切削装置、３…ガイド支柱、４…スライダ、５
…取付ジョー、20…工具回転装置、24…エンドミル（加
工工具）、25…アダプター、25b,25c…アダプターの取
付脚部、28…ダストカバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ガイド支柱に沿って少なくとも一方向につ
   いて直線移動可能な測定具を備えた測定装置の上記測定
   具の取付部に、互いに直角な方向に伸長する複数の取付
   脚部を備えたアダプターを介して工具回転装置を取り付
   け、該工具回転装置に装着された加工工具の周囲を透明
   なダストカバーで覆ったことを特徴とする簡易切削装
   置。