JPH0711829U - 保護管位置固定用ばね支持具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ラスの加工およびモルタルによる仮止ならび
にモルタルによる穴下面の塞ぐ作業等の手作業をあまり
必要とせず簡単に施工ができ、工期の短縮化が行える保
護管位置固定用ばね支持具の提供を目的とする。 【構成】 床用型枠兼用等のコンクリート板に保護管挿
通用の貫通穴を穿けて使用される保護管位置固定用ばね
支持具であって、貫通穴の直径と略同径の底板に立ち上
がり板を末広がり状に複数立設し、上記立ち上がり板の
上部を外方に折り曲げて掛止板を形成し、底板に保護管
を挿通させる穴を単数若しくは複数穿設すると共に、立
ち上がり板の長さをコンクリート板の厚さより短くした
ことを特徴とする保護管位置固定用ばね支持具にある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、現場で壁用型枠若しくは床用型枠を兼ねた床用コンクリート板等 に配管用の貫通穴を穿けて、可とう電線管や各配管類を前記貫通穴に通す時に、 可とう電線管を支持させる保護管位置固定用ばね支持具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ビル建築の現場において使用される床用型枠を兼ねた床用コンクリート 板等に電線を通す時には、図６で示すように、先ず、コンクリート板１に貫通穴 ２を穿け、上記貫通穴２の上面にラス３を少し中央部が落とした状態で載せ、上 記ラス３に穴３ａを穿けて電線等の電材を挿す可とう電線管４を挿す。 そして、ラス３が動かないようにするためモルタル５を全体に盛り、モルタル ５が乾燥した後で生コンクリート６を打設して床を仕上げていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前記のように、貫通穴２を塞ぐのにラス３およびモルタル５を用いると、モル タル５の乾燥後にそのモルタル５が割れて、生コンクリート打設時に異物として 生コンクリート６の中に混入してしまい可とう電線管４の支持状態が不完全とな ることがあった。

【０００４】 また、コンクリート板１の床面下部から見た場合に、図６で示すように穴が開 いた状態なので、モルタル等で仕上げなければならないときがあった。 さらに、コンクリート板１に穴が開いた状態なので、例えモルタル５等を詰め てもコンクリート板１の強度が落ちる結果となった。 さらにまた、ラス３を切ったり、ラス３に穴を穿けたり、モルタル５の乾燥状 態を確認したりするので、人手を要すると共に、工期が長くかかった。

【０００５】 この考案は、上記のような点に鑑みてなされたもので、ラスの加工およびモル タルによる仮止ならびにモルタルによる穴下面の塞ぐ作業等の手作業をあまり必 要とせず簡単に施工ができ、工期の短縮化が行える保護管位置固定用ばね支持具 の提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、この考案においては、床用型枠兼用等のコンク リート板に保護管挿通用の貫通穴を穿けて使用される保護管位置固定用ばね支持 具であって、 貫通穴の直径と略同径の底板に立ち上がり板を末広がり状に複数立設し、上記 立ち上がり板の上部を外方に折り曲げて掛止板を形成し、 底板に保護管を挿通させる穴を単数若しくは複数穿設すると共に、立ち上がり 板の長さをコンクリート板の厚さより短くしたことを特徴とする保護管位置固定 用ばね支持具にある。

【０００７】 また、床用型枠兼用等のコンクリート板に保護管挿通用の貫通穴を穿けて使用 される保護管位置固定用ばね支持具であって、 貫通穴の直径と略同径の底板に立ち上がり板を末広がり状に複数立設し、上記 立ち上がり板の上部を外方に折り曲げて掛止板を形成し、 底板に保護管を挿通させる穴作成用の切欠き環状の切り落としを単数若しくは 複数切設すると共に、立ち上がり板の長さをコンクート板の厚さより短くしたこ とを特徴とする保護管位置固定用ばね支持具にある。

【０００８】

【作用】

実施第１例において、保護管位置固定用ばね支持具Ａを用いてコンクリート板 １に電線等を通すのには、布設するコンクリート板１に予め貫通穴２を穿け、図 ３で示すように、上記貫通穴２に略同径の保護管位置固定用ばね支持具Ａの底板 １１および立ち上がり板１２，１２を立ち上がり板１２，１２の外向付勢力に抗 して差し込む。 すると、保護管位置固定用ばね支持具Ａの付勢力によって立ち上がり板１２， １２がコンクリート板１の貫通穴２に密着した状態となると共に、掛止板１３， １３がコンクリート板１の上面に掛止される。

【０００９】 次いで、常法通りコンクリート板１上に生コンクリート６を打設すると、生コ ンクリート６の一部が貫通穴２に流れ込み、保護管位置固定用ばね支持具Ａの底 板１１の上面まで充填され、下方へ流れ落ちることはない。 生コンクリート６が固まったならば、所要の電材７を可とう電線管４に内挿す る。

【００１０】

【実施例】

以下、この考案に係る保護管位置固定用ばね支持具の実施の２例について、図 面を参照して詳細に説明する。 図１は、この考案に係る保護管位置固定用ばね支持具の実施第１例を示す斜視 図である。図２は、施工態様を示す斜視図である。また、図３は、床用型枠兼用 のコンクリート板に対する生コンクリート打設状態を示す断面図である。

【００１１】 図１乃至図３において、実施第１例の保護管位置固定用ばね支持具Ａは、例え ば、鋼板を打抜き折り曲げ成形したもので、中心部に挿通穴１０が穿設されたリ ング状の底板１１と、底板１１の両側より対称的に立設された立ち上がり板１２ ，１２と、立ち上がり板１２の上部で外方に折り曲げられた掛止板１３，１３と から構成されている。

【００１２】 保護管位置固定用ばね支持具Ａの底板１１は、外径がコンクリート板１に穿設 した貫通穴２に差し込めるように貫通穴２と同径若しくは稍小径となっており、 内径が保護管としての可とう電線管４が内挿される大きさである。可とう電線管 ４は、例えば、表面に丸山形を形成した硬質合成樹脂製である。 上記の底板１１の両側より対称的に立設された立ち上がり板１２，１２は、使 用時にばね使用が働くよう上方が拡角されたもので、図３で示すようにコンクリ ート板１の厚さｔよりも僅かに短いものとする。 立ち上がり板１２の上部で外方に折り曲げ形成された掛止板１３は、図３で示 すように生コンクリート６を打設した時の荷重に十分に耐えられる長さとする。

【００１３】 実施第１例の保護管位置固定用ばね支持具Ａを用いてコンクリート板１に電線 等を通すのには、布設するコンクリート板１に予め貫通穴２を穿け、図３で示す ように上記貫通穴２に略同径の保護管位置固定用ばね支持具Ａの底板１１および 立ち上がり板１２，１２を立ち上がり板１２，１２の外向付勢力に抗して差し込 む。 すると、保護管位置固定用ばね支持具Ａの付勢力によって立ち上がり板１２， １２がコンクリート板１の貫通穴２に密着した状態となると共に、掛止板１３， １３がコンクリート板１の上面に掛止される。

【００１４】 次いで、常法通りコンクリート板１上に生コンクリート６を打設すると、生コ ンクリート６の一部が貫通穴２に流れ込み、保護管位置固定用ばね支持具Ａの底 板１１の上面まで充填され、下方へ流れ落ちることはない。 生コンクリート６が固まったならば、所要の電材７を可とう電線管４に内挿す る。 このように施工すると、コンクリート板１の床面下部から見上げても、貫通穴 ２が保護管位置固定用ばね支持具Ａの底面１１で塞がれているので、特に仕上げ 作用を必要とせず、貫通穴２に生コンクリート６が詰められた状態なので、コン クリート板１の強度を大きく損なうことがない。

【００１５】 図４は、この考案に係る保護管位置固定用ばね支持具の実施第２例を示す斜視 図である。また図５は、図４の保護管位置固定用ばね支持具の平面図である。 図４および図５において、実施第２例の保護管位置固定用ばね支持具Ｂは、実 施第１例と同じく鋼板を打ち抜き成形したもので、円板状の底板２１と、底板２ １の両側より対称的に立設された立ち上がり板２２，２２と、立ち上がり板２２ の上部で外方に折り曲げられた掛止板２３，２３とから構成されている。

【００１６】 保護管位置固定用ばね支持具Ｂの底板２１には、可とう電線管４を挿通させる 穴２０形成用の切欠き環状の切落とし２０ａ，２０ｂ，２０ｃが３種４箇打ち抜 かれている。 実施例では、切欠き環状の切落とし２０ａ，２０ｂ，２０ｃの各直径を、可と う電線管４の径別に合わせて、φ２２，φ２８，φ３５の３種４箇とした。

【００１７】 上記の保護管位置固定用ばね支持具Ｂは、現場において使用する可とう電線管 ４に合わせて切欠き環状の切落とし２０ａ，２０ｂ，２０ｂ，２０ｃの何れかを 切落として穴２０を穿ける。穿ける穴２０は、単数でも複数でも良い。 施工方法は、実施第１例と全く同じようにコンクリート板１の貫通穴２に保護 管位置固定用ばね支持具Ｂの底板２１、立ち上がり板２２，２２を差し込み、掛 止板２３，２３をコンクリート板１の上面に掛止した後に、可とう電線管４を穴 ２０に挿す、次いで、常法通りコンクリート板１上に生コンクリート６を流し込 み、その一部を穴２０に充填させる。

【００１８】 以上、この考案に係る保護管位置固定用ばね支持具の実施の２例について説明 したが、この考案は、上記実施例に限定されるものではなく、例えば、全体を硬 質合成樹脂で成型したり、実施第１例の保護管位置固定用ばね支持具Ａの挿通穴 １０を実施第２例と同様に切落とし方式としたり、複数の穴２０のある保護管位 置固定用ばね支持具の使用しない穴２０にキャップを嵌めたりする等は、この考 案の技術的思想に包含されるものである。

【００１９】

【考案の効果】

以上のように、本考案に係る保護管位置固定用ばね支持具は、ビル建築の現場 で床用型枠を兼ねて敷設されるコンクリート板に貫通穴を穿け、上記貫通穴と略 同径で穴付若しくは穴穿け可能な底板および上方で末広がりの立ち上がり板を貫 通穴に差し込むと共に、掛止板をコンクリート板に掛止めした後に、常法通りコ ンクリート板上に生コンクリートを流し込んで使用するもので、従来のようにラ スの加工およびモルタルによる仮止ならびにモルタルによる貫通穴下面を塞ぐ作 業が必要なく、簡単に施工することができ、工期の短縮化が行える実用的効果が ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る保護管位置固定用ばね支持具の
実施第１例を示す斜視図である。

【図２】図１の保護管位置固定用ばね支持具の施工態様
を示す斜視図である。

【図３】床用型枠兼用のコンクリート板に対する生コン
クリート打設状態を示す断面図である。

【図４】この考案に係る保護管位置固定用ばね支持具の
実施第２例を示す斜視図である。

【図５】図４の保護管位置固定用ばね支持具の平面図で
ある。

【図６】従来の施工状態を示す断面図である。

【符号の説明】

Ａ，Ｂ 保護管位置固定用ばね支持具 １ コンクリート板 ２ 貫通穴 ４ 可とう電線管 ６ 生コンクリート ７ 電材 １０ 挿通穴 １１，２１ 底板 １２，２２ 立ち上がり板 １３，２３ 掛止板 ２０ 穴 ２０ａ，２０ｂ，２０ｃ 切落とし

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 床用型枠兼用等のコンクリート板に保護
   管挿通用の貫通穴を穿けて使用される保護管位置固定用
   ばね支持具であって、 貫通穴の直径と略同径の底板に立ち上がり板を末広がり
   状に複数立設し、上記立ち上がり板の上部を外方に折り
   曲げて掛止板を形成し、 底板に保護管を挿通させる穴を単数若しくは複数穿設す
   ると共に、立ち上がり板の長さをコンクリート板の厚さ
   より短くしたことを特徴とする保護管位置固定用ばね支
   持具。
2. 【請求項２】 床用型枠兼用等のコンクリート板に保護
   管挿通用の貫通穴を穿けて使用される保護管位置固定用
   ばね支持具であって、 貫通穴の直径と略同径の底板に立ち上がり板を末広がり
   状に複数立設し、上記立ち上がり板の上部を外方に折り
   曲げて掛止板を形成し、 底板に保護管を挿通させる穴作成用の切欠き環状の切落
   としを単数若しくは複数切設すると共に、立ち上がり板
   の長さをコンクート板の厚さより短くしたことを特徴と
   する保護管位置固定用ばね支持具。