JPH0711602Y2 - 靴の中敷 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、靴の中に敷く中敷に関するものである。

〔従来の技術〕

従来から靴に中敷を入れて靴底に対するクッション性を
高めたり、靴底と足裏との間を断熱して履き心地の向上
や足の保護を図っている。そして昨今にあっては、ビジ
ネスシューズ用などとして、発泡ウレタンなどの発泡合
成樹脂材から成形し、使用者側で足サイズなどに合わせ
てカットする構成のものが多く利用されるようになって
きており、活性炭などを混入して消臭効果を図るなどの
工夫もなされていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、合成樹脂材からなる中敷においては、通
気性が悪く、足から発生した汗などの水分がこの中敷の
表面側（足裏側）にも残存し易いものであった。このた
め靴を長時間に亘って履くと靴内部が蒸れ易くなり、ま
た雑菌の繁殖を助長する環境ともなり、悪臭やぬめりを
生じる原因になっていた。

そこで、履き心地を高めるなど中敷の基本的な機能を損
なうことなく、上記の問題を有することのない中敷を開
発することが課題とされていた。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、上記した課題を考慮してなされたもので、ネ
ット状部材を介在させてセルローズスポンジを層状に積
層してなることを特徴とする靴の中敷を提供して、従来
の課題を解消するものである。

〔作用〕

石油製品スポンジと異なり素材を天然繊維（パルプ）と
してなるセルローズスポンジは絡み合ったその天然繊維
の間に多くの空腔が形成されているものであって、通気
性、そして吸水、抱水性がよく、離水性も大変よい点か
ら、雑菌が繁殖し難くきわめて衛生的である。この点に
着目して本考案においては、セルローズスポンジがクッ
ション材の役割や断熱材の役割を果たす。そして、セル
ローズスポンジが保形部材の役割を果たすネット状部材
によって上下に分けられ、足に接する側のセルローズス
ポンジ層が一次吸水層となって、足からの汗をすぐに吸
い取るようになる。また靴底側に位置するセルローズス
ポンジは二次保水層となり、前記一次吸水層の水分がこ
の二次保水層に移って一次吸水層が早期に乾燥するよう
になる。二次保水層も通気性が高いことから乾燥が早く
なり、中敷全体として早期に乾燥するようになる。この
セルローススポンジは、木材から植物繊維素を素材とし
て取り出して製造されているものであって、その方法
は、まず原材料の木材をチップとし、これを溶解してパ
ルプ（繊維素）としている。そして、このパルプを水酸
化ナトリウム溶液で処理した後、これに二硫化炭素、苛
性ソーダなどの薬剤を加えた処理を行ってビスコース
（ある程度粘性のある液体状になっている）を得てい
る。そして、このビスコースと亜硫酸ナトリウムなどか
らなる発泡薬剤とを混合してこれを発泡化させ、凝固さ
せている。この後、凝固して得られた発泡体を、柔軟
剤、漂白剤、弱酸性溶液などにて洗浄することによっ
て、上記セルローススポンジが得られる。後処理とし
て、脱水、乾燥を行っている。

〔実施例〕

つぎに、本考案を第１図から第３図に示す実施例に基づ
いて詳細に説明する。

図中１は中敷で、該中敷１は、第２図に示すように、不
織布などからなり通水性を有するネット状部材２を間に
して上下にセルローズスポンジ３を層状に積層して接着
剤によって一体としたものであり、足型にカットして設
けられている。使用に際しては、片面側に印刷などによ
って表記した足サイズ別のガイド線４に沿って所望の大
きさにカットすればよい。またこの中敷１は、第３図に
示すように、加圧して薄形に設けてもよく、フィット感
に応じてその厚さを調整することも可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、中敷は、ネット
状部材を介在させてセルローズスポンジを層状に積層し
てなるので、クッション性や断熱作用など中敷としての
基本的な機能を有するとともに、足が接するネット状部
材上側のセルローズスポンジが汗などの水分を一早く吸
水し、ネット状部材下のセルローズスポンジ側にその水
分が移動して保水されるようになり、足に接しているセ
ルローズスポンジが早期に乾燥して、蒸れや雑菌の増殖
が抑え、悪臭の発生を防止できるようになる。そして通
気性のすぐれているセルローズスポンジを用いているこ
とから、洗濯が可能で清潔感を長期に渡って保つことが
でき、水虫の予防にも効果がある。さらにはセルローズ
スポンジが天然繊維からなることから、中敷自体が抗菌
性を有するようになり、雑菌の発生、増殖を防止するこ
とができるなど、実用性にすぐれた効果を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る靴の中敷の一実施例を示す説明
図、第２図は一実施例の一部断面を拡大して示す説明
図、第３図は他の実施例を断面で示す説明図である。 １……中敷 ２……ネット部材 ３……セルローズスポンジ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−131703（ＪＰ，Ａ) 実公 昭63−1846（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭63−37841（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ネット状部材を介在させてセルローズスポ
   ンジを層状に積層してなることを特徴とする靴の中敷。