JPH0711525B2 - 高比重リポ蛋白コレステロ−ル測定用沈殿試薬 - Google Patents

高比重リポ蛋白コレステロ−ル測定用沈殿試薬

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JPH0711525B2
JPH0711525B2 JP60157719A JP15771985A JPH0711525B2 JP H0711525 B2 JPH0711525 B2 JP H0711525B2 JP 60157719 A JP60157719 A JP 60157719A JP 15771985 A JP15771985 A JP 15771985A JP H0711525 B2 JPH0711525 B2 JP H0711525B2
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位代子 三木
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株式会社ヤトロン
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は血清中の高比重リポ蛋白コレステロール測定に
おいて、分離剤を使用する測定法に用いられる沈澱試薬
の改良に関する。
「従来の技術」 血液中に存在する脂質は遊離脂肪酸がアルブミンと結合
している以外はリポ蛋白の構造の中に組み込まれてい
て、カイロミクロン(CHM)、超低比重リポ蛋白(VLD
L)、低比重リポ蛋白(LDL)、高比重リポ蛋白(HDL)
等として存在し、その内コレステロールは特にVLDL,LD
L,HDLに分布している。HDLは動脈硬化による心疾患の予
防因子とされており、従ってHDLの代りに高比重リポ蛋
白コレステロール(HDL−コレステロール)を測定する
ことは臨床的により重要な意義を有している。
現在HDLコレステロール測定法としては、1)超遠心
法、2)電気泳動法、3)沈澱法が広く知られている。
1)は分離操作に長時間必要なのと機器そのものが高価
で安価な測定が望めない点など日常検査には不向きであ
り、2)は支持体の違いにより分離能が異なり使用され
る検出試薬によって差異が生じるなど定量面で問題が残
っている。従って現在日常検査としては3)沈澱法が広
く使われている。
この沈澱法は沈澱試薬としてポリアニオンと二価金属イ
オンを使用してCHM,LDL,VLDLを沈澱させ、上澄中に残る
HDL中のコレステロール、即ちHDL−コレステロールを化
学的にあるあるいは酵素を使用して測定する方法であっ
て沈澱試薬としては従来、ヘパリン−カルシウム法、デ
キストラン硫酸−マグネシウム法、リンタングステン酸
−マグネシウム法等が広く使われている。
これらの沈澱法では血清と沈澱試薬を混合し、一定時間
放置し、3000回転/分前後にて遠心分離させた後、上澄
部分を一定量別の試験管に採取し、化学反応あるいは酵
素反応を行なうというものである。
しかしながら、この方法は検体量を多量必要とする上に
二度の検体採取の手間がかかった。
これに対し、分離剤を使用した改良法(特開昭56-15585
3)も報告されている。即ち血清と沈澱試薬を混合し一
定時間放置するまでは前法と同じであるが、遠心分離の
時に分離剤を試験管上にのせ分離し最下部に沈澱層、中
間部分に分離剤、最上部にはHDL分画の上清を分離さ
せ、上澄部分に直接酵素試薬を分注添加する方法であ
る。
この改良法によれば二度の検体採取を必要とせず、検体
が少量で済むという利点がある。ところで現在血液血清
分離剤としては比重1.030〜1.050のシリコン・アクリル
樹脂等の合成ポリマーが日常検査に一般に広く普及して
いるが、これらの血液血清分離剤と従来の沈澱試薬を組
み合せて特開昭56-155853の方法に従って分離を行なお
うとしても、沈澱は分離剤上に浮上してしまい全く使用
できない。これは人の全血比重は男子1.055〜1.063、女
子1.052〜1.060、又血漿は1.024〜1.029で同一血液の血
清比重は血漿のそれより0.0005小さいに過ぎず、使用し
た上記分離剤の比重が特開昭56-155853に用いられてい
る分離剤の比重と異なっていた為であると思われる。
「発明が解決しようとする問題点」 そこで本発明者は上記の如き一般に普及している分離剤
を用いて血清を完全に沈殿分離させるのに適した沈殿試
薬を種々検討した結果、本発明に到達した。
本発明は検体の沈澱物、分離剤、上澄部分の各分離層を
鮮明に形成させ、かつ精度も高く、従来法とも相関の良
い方法の開発について研究した結果、沈殿試薬に鉛化合
物を添加することにより目的を達し得ることを見出した
ものである。
「問題点を解決するための手段」 すなわち、本発明は、血清試料に、デキストラン硫酸ナ
トリウム、デキストラン硫酸マグネシウム、ヘパリンマ
ンガン、ヘパリンカルシウム、ポリエチレングリコー
ル、2価の金属イオン化合物及びアルカリ金属イオンを
提供する化合物から選ばれる化合物を主成分とするカイ
ロミクロン、超低比重リポ蛋白および低比重リポ蛋白を
沈殿させる沈殿試薬を添加し、更に比重1.030〜1.050の
ペースト状分離剤を用いて遠心分離して沈殿させ、高比
重リポ蛋白を含む上澄を分離して高比重リポ蛋白コレス
テロールを測定する高比重リポ蛋白コレステロール測定
法に用いられる上記沈殿試薬において、更に水溶液鉛化
合物を0.01〜2.0w/v%の濃度で含有させることを特徴と
する高比重リポ蛋白コレステロール測定用沈殿試薬であ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の沈殿試薬の主成分は、従来広く使用されている
ものであり、具体的には、デキストラン硫酸ナトリウ
ム、デキストラン硫酸マグネシウム、ヘパリンマンガ
ン、ヘパリンカルシウム等のポリアニオン化合物、ポリ
エチレングリコール等の水溶性中性重合体、カルシウ
ム、マンガン、マグネシウム、亜鉛、バリウム、ニッケ
ル等の2価の金属イオン化合物及び塩化ナトリウム、塩
化カリウム等のアルカリ金属イオンを提供する化合物か
ら選ばれる化合物である。これ等の主成分に配合される
他の化合物は、これ等の化合物を主成分とする従来の沈
殿試薬に用いられているものがそのまま利用できる。
本発明に用いられる本発明の最も重要な要素である鉛化
合物は水溶性のものであり、硝酸鉛および酢酸鉛であ
る。鉛化合物の含有量は0,01〜2.0w/v%である。0.01w/
v%未満では沈殿分離の効果に乏しく、逆に濃度をあげ
ると上澄注のHDL−コレステロール値の測定値が高くな
る傾向にあるので2.0w/v%までであり、好ましくは0.2w
/v%前後である。
また、従来の沈殿試薬の主成分として、デキストラン硫
酸ナトリウム等のポリアニオン化合物とマグネシウム等
の2価の金属イオン化合物の組合せ以外に、水溶性中性
重合体を併用する際には、以下のように構成することが
好ましい。
本発明に用いられる水溶性中性重合体は、沈殿を安定さ
せる働きをするものであり、例えばポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等
があげられるが好ましくはポリエチレングリコール6000
である。
該重合体の使用濃度は沈殿安定効果の点から0.5〜5.0w/
v%であり、好ましくは0.2w/v%前後である。
この時の沈殿補助剤としては、特にニッケル化合物を用
いると好適である。本発明に用いられるニッケル化合物
は沈殿が浮遊しないようにしっかりしたものにして分離
効果を高める働きをするものであり、塩化ニッケル、酢
酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル等が挙げられ
る。
ニッケル化合物の使用濃度は0.01w/v%未満では効果は
乏しく、逆に濃度をあげるとHDLコレステロール値の測
定値が低めになるので0.01〜0.2w/v%であり、好ましく
はHDLコレステロール値が低めにならない0.1w/v%以下
である。
本発明においてはHDL−コレステロールの測定はすでに
確立されているどのコレステロール定量法を使用しても
良い。
又分離剤は比重が1.030〜1.050のペースト上分離剤であ
り、現在血液血清分離用に使用されているものでコレス
テロール測定値に影響を与えるものでなければすべての
ものに適用できる。
本発明は以上のような構成であるので、一般に広く使用
されている血液血清分離剤をそのまま使用できるHDL−
コレステロール用測定試薬を提供できる。
「実施例」 次に実施例により本発明およびその効果を詳しく説明す
る。
実施例1:分離能の比較 以下の各沈殿試薬を調製し試験に用いた。
〈従来の組成物による沈殿試薬〉 デキストラン硫酸ナトリウム1.0gと塩化ナトリウム8.5
g、並びに塩化マグネシウム8.1gを800mlの再蒸留水で溶
解し、再蒸留水を加えて全量を1リットルとした。
〈本発明の組成物により沈殿試薬〉 ・沈殿試薬1 デキストラン硫酸ナトリウム1.0gと塩化ナトリウム8.5g
を800mlの再蒸留水で溶解し、そこに酢酸鉛3水和物2.0
gを1%酢酸溶液20mlに溶かしておいたものを全量添加
した。次に塩化マグネシウム8.1gを混合溶解し、再蒸留
水を加えて全量を1リットルとした。(酢酸鉛として0.
17w/v%) ・沈殿試薬2 デキストラン硫酸ナトリウム1.0gと塩化ナトリウム8.5g
を800mlの再蒸留水で溶解し、そこにポリエチレングリ
コール6000 20.0gを加え溶解した。次いで、酢酸鉛3
水和物2.0gを1%酢酸溶液20mlに溶かしておいたものを
さらに全量添加した。次に塩化マグネシウム8.1g、塩化
ニッケル0.7gを溶解し、再蒸留水を加えて全量を1と
した。(酢酸鉛として0.17w/v%) 〈分離剤〉 分離剤として、血液血清用分離剤(比重:1.035〜1.04
0)シリコン様合成ポリマー(商品名:クリンシール)
を用いた。
〈操作〉 総コレステロール及び中性脂肪の含量既知の種々の血清
0.1mlを遠心用試験管に採り、そこに上記の各沈殿試薬
0.1mlを加え混和し、10分間放置後3000回転/分で5分
間遠心を行った。次いで上記の分離剤入りのキャップ式
容器を試験管に乗せ、更に3000回転/分で5分間遠心操
作を行い、それぞれの試験管の分離状態を観察した。結
果を表1に示す。
〈結果〉表1の通り、従来の組成物により沈殿試薬と比
較して、本発明の組成物による沈殿試薬1及び2の分離
能は、澄明血清、乳ビ血清とも良好な結果を示してい
る。
実施例2:HDLコレステロールの測定 〈試験方法〉 1.本発明方法 血清0.1mlを遠心用試験管に採り、そこに実施例1で成
長した本発明の組成物による沈殿試薬(沈殿試薬2)0.
1mlを加えて混和し、10分間放置後3000回転/分で5分
間遠心を行った。次いで実施例1で用いた分離剤入りの
キャップ式容器を試験管に乗せ、更に3000回転/分で5
分間遠心操作を行った。この時、最下部に沈殿物、中間
部に分離剤、最上部にHDL上澄が形成されるので、以下
に示すコレステロール測定試薬4.0mlをこの試験管に直
接分注し、37℃で5分間加温し、次いで室温に戻した後
120分以内に試薬ブランクと対照とし、波長580nmの吸光
度を測定した。
別に、血清に換えてコレステロール標準溶液を用いて同
様の操作を行い、その吸光度を測定し、先の血清注のコ
レステロール値を求めた。
2.従来法 血清0.2mlに実施例1の従来の組成による沈殿試薬0.2ml
を加え混和し、10分間放置後3000回転/分で10分間遠心
した。この時、下部に沈殿物、上部にHDL上澄みが形成
させるので、別の試験管に上澄0.1mlを分取し、そこに
以下に示すコレステロール測定試薬4.0mlを分注し、37
℃で5分間加温し、室温に戻した後120分以内に試薬ブ
ランクを対照とし、波長580nmの吸光度を測定した。
別に、血清に換えてコレステロール標準溶液を用いて同
様の操作を行い、その吸光度を測定し、先の血清注のコ
レステロール値を求めた。
〈コレステロール測定用試薬〉 コレステロールエステラーゼ500u/l、コレステロールオ
キシダーゼ600u/l、ペルオキシダーゼ5000u/l、4アミ
ノアンチピリン0.5mM、3,5−ジメトキシアニリノプロパ
ンスルホン酸0.5mMとなるよう0.2Mリン酸緩衝液(pH7.
3)に溶解した。
〈結果〉 第1図のグラフは従来の組成物による沈殿試薬で、分離
剤を使用しない従来法の試験方法によるコレステロール
測定法と本発明の組成物による沈殿試薬2で分離剤を使
用した試験方法によるHDLコレステロール測定値の相関
であるが、n=25、y=0.999x−2.0、γ=0.995と良い
相関を示し、HDLコレステロール測定値への影響は全く
ないことを示している。
実施例3:同時再現性 HDLコレステロール低値検体(検体1)と高値検体(検
体2)について実施例1の本発明の組成物による沈殿試
薬2を用いて、実施例2の試験方法(本法)に従って操
作を行い、同時再現性を調べた。結果を表2に示す。
検体1については、n:10、:31.86mg/dl、SD:0.529、C
V:1.66%であり、検体2についてはn:10、x:89.86mg/d
l、SD:0.828、CV:0.922%といずれも良好な結果で、本
発明の組成物による沈殿試薬が、精度良くHDLコレステ
ロールを測定するのに適した沈殿試薬であることを示し
ている。
以上のデータより本法が日常検査に充分適用できること
は明らかである。
「発明の効果」 以上から明らかな如く、本発明によれば分離剤を用いる
血清注の高比重リポ蛋白コレステロール測定法におい
て、沈殿試薬中に鉛化合物及び必要に応じ水溶液中性重
合体、ニッケル化合物を配合することにより、優れた沈
殿分離効果と検査処理の効率化をもたらし、しかも、従
来汎用の分離剤と組合せることのできる従来にない優れ
た沈殿試薬を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明によるコレステロール測定値と従来の
分離剤を使用しない方法によるコレステロール測定値の
相関を示すグラフ図である。 x……従来法、y……本法

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血清試料に、デキストラン硫酸ナトリウ
    ム、デキストラン硫酸マグネシウム、ヘパリンマンガ
    ン、ヘパリンカルシウム、ポリエチレングリコール、2
    価の金属イオン化合物及びアルカリ金属イオンを提供す
    る化合物から選ばれる化合物を主成分とするカイロミク
    ロン、超低比重リポ蛋白および低比重リポ蛋白を沈殿さ
    せる沈殿試薬を添加し、更に比重1.030〜1.050のペース
    ト状分離剤を用いて遠心分離して沈殿させ、高比重リポ
    蛋白を含む上澄を分離して高比重リポ蛋白コレステロー
    ルを測定する高比重リポ蛋白コレステロール測定法に用
    いられる上記沈殿試薬において、更に水溶性鉛化合物を
    0.01〜2.0w/v%の濃度で含有させることを特徴とする高
    比重リポ蛋白コレステロール測定用沈殿試薬。
JP60157719A 1985-07-17 1985-07-17 高比重リポ蛋白コレステロ−ル測定用沈殿試薬 Expired - Lifetime JPH0711525B2 (ja)

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JPS58127168A (ja) * 1982-01-25 1983-07-28 Eiken Kagaku Kk 血清中の高比重リポ蛋白コレステロ−ル定量用組成物

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