JPH07114951B2 - 無機化合物成型体 - Google Patents

無機化合物成型体

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JPH07114951B2
JPH07114951B2 JP1015672A JP1567289A JPH07114951B2 JP H07114951 B2 JPH07114951 B2 JP H07114951B2 JP 1015672 A JP1015672 A JP 1015672A JP 1567289 A JP1567289 A JP 1567289A JP H07114951 B2 JPH07114951 B2 JP H07114951B2
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勉 大串
喜凡 田中
通郎 小松
純夫 斉藤
けい 吉田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は触媒、吸着剤等又はこれらの担体として、特に
酵素固定化用担体として好適な多孔性無機化合物成型体
に関するものであって、細孔の大部分がマクロ細孔から
なる無機化合物成型体に係る。
[従来の技術その課題] 一般に、粉末を原料として、これから所望の大きさと形
状を持つ成型体を製造する場合には、原料粉末に適当な
結合剤を混合して成型する方法が採用されるが、この場
合の結合剤としては、水ガラス、粘土、アルミナ等の無
機系結合剤、澱粉、ゼラチン、CMC、PVA等の水溶性結合
剤、塩化ビニル樹脂、EVA樹脂(エチレン−酢酸ビニル
共重合体)、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の
合成樹脂系結合剤が、原料粉末の種類、成型体の用途等
に応じて、選択使用されている。
ところで、原料粉末に結合剤を混合して得られる成型体
の細孔分布は、原料粉末自体の細孔分布と相違するのが
通例である。これは結合剤由来の細孔が、成型体中に新
たに発生するからであって、ちなみに、上記した結合剤
のなかにあって、無機系結合剤はその多くが成型体中に
ミクロ細孔を生成される。また、有機系結合剤は、これ
を含有する成型体を焼成する過程で揮散するため、ミク
ロ細孔を成型体に残す。
従って、ミクロ細孔(本発明では直径1000Å未満の細孔
を言う、以下同じ)を殆ど含まない粉末、換言すれば、
細孔の殆どがマクロ細孔(本発明では直径1000Å以上の
細孔を言う、以下同じ)からなる粉末を原料とした場合
でも、成型体中にかなりのミクロ細孔が発生する。
成型体の用途によってはミクロ細孔が多量に存在するこ
とが好ましい場合もあるが、その逆にマクロ細孔が多
く、ミクロ細孔はできるだけ少ない方が好ましい場合が
ある。成型体を酸化触媒又はその担体に使用するような
場合がその一例である。また、成型体を酵素又は微生物
の固定化用担体として使用する場合も、その成型体はミ
クロ細孔を実質的に含んでいないことが好ましい。何故
なら、ミクロ細孔を有する成型体に酵素を固定する場
合、酵素はミクロ細孔内にも固定されるが、基質や生成
物の分子量が大きい酵素反応にあっては、ミクロ細孔内
へのこれらの拡散が困難又は不可能であるため、固定し
た酵素すべての有効利用が図れないからである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、直径1,000Å以上の細孔で占められる細孔容
積が全細孔容積の90%より多いマクロ細孔を有する無機
化合物粉体に、結合剤を加えて成型した触媒、吸着剤ま
たはそれらの担体用無機化合物成型体であって、該成型
体の比表面積が原料に用いた無機化合物粉体の比表面積
より大きくなく、しかも直径10,000Å以上の細孔が55%
以上を占める細孔分布を有することを特徴とする無機化
合物成型体である。
多孔性の原料粉体に結合剤を混合して成型体を製造する
場合、その成型過程で細孔径を拡大することは事実上不
可能であるので、本発明の成型体を製造するに際して
は、原料粉体として直径1,000Å以上の細孔で占められ
る細孔容積が全細孔容積の90%より多いマクロ細孔を有
し、ミクロ細孔を殆ど含まない、具体的にはミクロ細孔
で占められる細孔容積が全細孔容積の10%以下である無
機化合物が使用され、その比表面積は10m2/g以下である
ことが好ましい。そして、このような無機化合物粉体の
具体例を例示すると、珪藻土、カオリン、雲母、セリサ
イト等の天然鉱物、シリカ、アルミナ、ゼオライト等の
合成無機酸化物を焼結等の手段でそのミクロ細孔をつぶ
したもの、あるいはガラスビーズ等を挙げることができ
る。このほか、鳥骨粉、卵殻粉等も本発明の原料粉体に
使用可能である。
本発明では所望の成型体を得るために結合剤を使用する
が、その結合剤には無機系及び有機系の結合剤がある、
有機系結合剤としては、澱粉、カゼイン、ゼラチン、CM
C、PVA等の水溶性結合剤の外、熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂が使用可能であって、具体的には、ポリエチレン樹
脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸
ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、AB
S樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の合成樹脂が
例示できる。これらの合成樹脂系結合剤は原料粉末との
混合に際して、液状であっても差し支えないが、粉末状
であることが、特に平均粒径約1μm以下、好ましくは
0.5μm以下の微粉末であることが、結合剤由来のミク
ロ細孔の発生を防止するうえで望ましい。
無機系結合剤としては、シリカ微粒子が分散したシリカ
ゾル(ここで言う「シリカゾル」には、ケイ酸の低重合
物溶液であるケイ酸液を含む)を使用することが本発明
では推奨される。なかでも、分散シリカ微粒子の平均粒
径が約10mμ以下、好ましくは5mμ以下であるシリカゾ
ルは、本発明の結合剤として好適である。
本発明に好適な結合剤の他の一つは、下記の一般式で表
わされるアルコキシシランの部分縮合物である。
RnSi(OR′)4-n (ここで、Rは炭素数1〜15の炭化水素基又は窒素含有
炭化水素基を示し、R′は炭素数1〜15のアルキル基、
アルコキシアルキル基、アシル基を示し、nは0〜2の
数を示す。) 上記一般式に包含されるアルコキシシランには、テトラ
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、モノメチルト
リメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モ
ノメチルトリアセトキシシラン、モノエチルトリメトキ
シシラン等を例示することができる。アルコキシシラン
の部分縮合物は、1種又は2種以上のアルコキシシラン
のアルコール溶液に、水と酸を添加して加水分解する通
常の方法で調製することができる。
無機化合物粉体の成型は、これと結合剤を混合し、転動
造粒法等の通常の成型手段で行なわれ、所望の形状及び
寸法に成型される。この場合、無機化合物粉体及び結合
剤はそれぞれ単一種である必要はなく、無機化合物粉体
も結合剤もそれぞれを2種以上併用することができる。
結合剤が粉末状である場合には、成型に際して水及び/
又はアルコールを混合物に加えて調湿する。結合剤の使
用量は、結合剤の種類により若干相違するが、固形分換
算で混合物全体の少なくとも2wt%であることが好まし
い。2wt%未満では成型体に所望の機械的強度を付与す
ることができない。結合剤の混合量を増加すると、成型
体の機械的強度は増大するが、その一方で原料粉末が保
有しているマクロ細孔をつぶす結果を招くので、本発明
では結合剤の使用量の上限を固形分換算で、混合物全体
の35wt%とすることを可とする。
混合物を所望の形状、寸法に成型した後は、これを必要
に応じて乾燥して結合剤が炭化乃至は揮散しない条件下
で熱処理する。この熱処理の目的は、結合剤が熱可塑性
樹脂である場合は、これを軟化、溶融させて原料粉体同
志を強固に結合させることにあり、また、結合剤がシリ
カゾル又はアルコキシシラン部分縮合物である場合は、
これらの重合、硬化を進めて原料粉体同志を強固に結合
させることにある。従って、上記の熱処理温度は一般に
約60〜200℃の範囲にある。結合剤に合成樹脂を使用し
た場合は、熱処理に代えて溶剤処理を採用し、合成樹脂
を融着させてもよい。
こうして製造される成型体は、原料に使用した無機化合
物粉体の比表面積に等しいか、又はこれより小さい比表
面積を有している。例えば、比表面積が10m2/g以下の雲
母、セリサイト、珪藻土等を原料粉体とした場合、成型
体の比表面積は10m2/gであり、かつ、直径1μm未満の
細孔が25%未満、1〜7μmの範囲の細孔が55〜90%、
7μmを越える細孔が20%未満であるような細孔分布を
持つ成型体を得ることができる。これらのことは無機化
合物粉体の成型に際して、結合剤由来のミクロ細孔が生
成していないことを示している。
[実 施 例] 実施例1 珪藻土粉体(ジョンズ・マンビル社製、商品名Celite
#535)400g及びアクリル樹脂微粒子(綜研化学(株)
製、MP−1451、平均粒径=0.15μm)170gを良く混合
し、水/エタノール混合液(容量比=1/1)を少量ずつ
加えて前記の混合物を調湿した。次にこの混合物を転動
造粒装置(不二パウダル製、Q−230)に投入し、前記
したのと同じ水/エタノール混合液を随時添加しながら
造粒した。しかる後、造粒物を分級し、粒度0.8〜2.8mm
のものを160℃で2時間熱処理し、球状の成型体を得
た。
実施例2 実施例1で使用したアクリル樹脂微粒子を、スチレン樹
脂微粒子(綜研化学(株)製、TAP−1020V、平均粒径=
0.15μm)100gと、スチレン−アクリル酸共重合体樹脂
微粒子(綜研化学(株)製、SGP−70C、平均粒径=0.15
μm)80gとの混合物に代えた以外は実施例1と全く同
様にして、球状の成型体を得た。
実施例3 実施例1におけるアクリル樹脂微粒子の使用量を21gに
減量し、造粒物の熱処理を160℃で2時間、200℃で1時
間の条件で行なった以外は実施例1と全く同様にして、
球状の成型体を得た。
実施例4 実施例1におけるアクリル樹脂微粒子の使用量を41gに
減量した以外は実施例1と全く同様にして、球状の成型
体を得た。
実施例5 モノメチルトリメトキシシラン230g、テトラエトキシシ
ラン160g及びイソプロパノール240gの混合液を撹拌しな
がら50℃に昇温した。この混合液に水360g及び酢酸1.5g
を加え、50℃を保持しながら60分間加熱した後、室温ま
で冷却し、アルコキシシラン部分縮合物分散液Aを調製
した(固形分濃度=15wt%)。
この分散液A658gを、実施例1で用いたものと同一の珪
藻土粉体400gに少量ずつ加えて良く混合した。この混合
物を転動造粒装置(不二パウダル製、Q−230)に投入
し、上記の分散液A167gを随時添加しながら造粒した。
得られた造粒物を分級し、粒度0.8〜2.8mmのものを110
℃で30分間乾燥し、さらに200℃で20時間熱処理して球
状の成型体を得た。
実施例6 実施例5でのイソプロパノール使用量240gを、740gに変
更した以外は実施例5と全く同様にしてアルコキシシラ
ンの部分縮合物分散液Bを調製した(固形分濃度=10wt
%)。そして、実施例5における分散液A658gに代え
て、分散液B554gを使用し、造粒物の熱処理を200℃で20
時間だけとした以外は実施例5と同様にして球状の成型
体を得た。
実施例7 珪藻土粉体に代えて白雲母(山田工業所製、Y3000M)40
0gを使用した以外は実施例5と同様にして球状の成型体
を得た。
実施例8 SiO2濃度24.0wt%、SiO2/Na2Oモル比3.0のケイ酸ソーダ
溶液(洞海化学(株)製、3号ケイ酸ソーダ)をイオン
交換水でSiO2濃度5.0wt%に希釈し、これを水素型陽イ
オン交換樹脂(三菱化成工業(株)製、ダイアイオンSK
−1B)が充填されたカラムに通過させることにより、Si
O2濃度4.8wt%、pH2.8の酸性ケイ酸液を得た。
実施例5で使用する分散液Aに代えて、上記の酸性ケイ
酸液400gを使用した以外は実施例5と同様にして球状の
成型体を得た。
比較例1 実施例5で使用する分散液Aに代えて、シリカゾル(触
媒化成工業(株)製、カタロイドSi−40、平均粒径=18
μm)の2倍希釈液400gを使用した以外は実施例5と同
様にして球状の成型体を得た。
比較例2 実施例5で使用する分散液Aに代えて、アルミナゾル
(触媒化成工業(株)製、カタロイドAS−3、平均粒径
=10〜100Å)の5%溶液400gを使用した以外は実施例
5と同様にして球状の成型体を得た。
上記の各実施例及び比較例で使用した原料粉末の細孔特
性を表−1に、また製造された球状成型体の細孔特性と
機械的強度を表−2に示す。測定方法は次の通りであ
る。
(1)比表面積:BET法 (2)細孔容積:水銀圧入法 (3)平均細孔径:水銀圧入法による累積分布曲線の50
%に相当する細孔径 (4)嵩密度:試料を最密充填した時の密度 (5)圧縮強度:木屋式硬度計による測定(40個の平均
値) 参考例 実施例5で得た粒度0.8〜1.2mmの成型体1gを、アセトン
にシラン化カップリング剤(β−アミノプロピルトリエ
トキシシラン)を濃度2%で溶かした溶液中に入れ、逆
流冷却管を付けて50℃で20時間保持した。このようにし
て得られた疎水性シラン化成型体を、1%のグルタール
アルデヒド中4℃で一夜反応させ、アルデヒド化成型体
を作成した。
一方、蛋白分解酵素としてシグマ社製バクテリア由来の
粉末プロテアーゼを水に溶解させ、1620u(単位)にな
るように調整した。
このように調整した酵素水溶液を前述のアルデヒド化成
型体と、りん酸緩衝液中で混合した後、りん酸緩衝液中
4℃で一夜反応させた。反応後、緩衝液及び水でよく洗
浄して固定化プロテアーゼを得た。
また、比較例1で調製した成型体についても、これを使
用して上記と同様な方法で固定化プロテアーゼを得た。
基質としてメルク社製ミルクカゼインの0.6%溶液(0.1
% NaOH,M/20 Tris−HClでpH7.2に調整)各10mlを、100
mlの三角フラスコに採り、これに上記のように調製した
固定化プロテアーゼを、それぞれ1g加えて30℃で60分間
反応を行なわせた。
反応液の一部を採り、常法に従い0.2Mトリクロロ酢酸可
溶画分をフォーリン法で測定した。60分間に400μgの
チロシン相当量を遊離させる活性を1uとした。反応活性
を測定した結果を表−3に示した。
活性測定結果は表−3に示す通り、実施例5で調製した
成型体に、プロテアーゼを固定化した固定化プロテアー
ゼの方が、比較例1の成型体を使用した場合に比して、
約6倍の活性発現が認められた。
[発明の効果] ミクロ細孔を実質的に含まない無機化合物粉体を原料と
して製造される本発明の成型体は、その比表面積が原料
粉末のそれに比較して大きくない。つまり、ミクロ細孔
を殆ど含まない。従って、本発明の成型体はマクロ細孔
を利用する反応の触媒乃至は触媒担体として、あるいは
また吸着剤として有効である。特に多孔質担体の細孔内
に酵素を固定し、この固定化酵素を用いる酵素反応にあ
っては、その基質及び反応物の分子量が大きいことか
ら、担体細孔の大部分はこれらが充分内部に拡散できる
マクロ細孔であることが必要であって、酵素反応の種類
によっては、数万オングストローム以上の細孔を持つ担
体が望まれることも珍しくない。本発明の多孔性成型体
は、そうした要請に充分応え得るものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 37/00 B (72)発明者 吉田 けい 神奈川県横浜市戸塚区前田町511―2 審査官 鈴木 紀子 (56)参考文献 特開 昭57−129824(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直径1,000Å以上の細孔で占められる細孔
    容積が全細孔容積の90%より多いマクロ細孔を有する無
    機化合物粉体に、結合剤を加えて成型した触媒、吸着剤
    またはそれらの担体用無機化合物成型体であって、該成
    型体の比表面積が原料に用いた無機化合物粉体の比表面
    積より大きくなく、しかも直径10,000Å以上の細孔が55
    %以上を占める細孔分布を有することを特徴とする無機
    化合物成型体。
  2. 【請求項2】前記の結合剤が有機結合剤であることを特
    徴とする請求項1記載の無機化合物成型体。
  3. 【請求項3】有機結合剤が下記一般式で示されるアルコ
    キシシラン部分縮合物の1種又は2種以上であることを
    特徴とする請求項2記載の無機化合物成型体。 RnSi(OR′)4-n (ここで、Rは炭素数1〜15の炭化水素基又は窒素含有
    炭化水素基を示し、R′は炭素数1〜15のアルキル基、
    アルコキシアルキル基、アシル基を示し、nは0〜2の
    数を示す。)
  4. 【請求項4】結合剤が平均粒径10mμ以下のシリカ粒子
    が分散したシリカゾルであることを特徴とする請求項1
    記載の無機化合物成型体。
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