JPH07113330B2 - 内燃機関の圧縮比可変装置 - Google Patents

内燃機関の圧縮比可変装置

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JPH07113330B2
JPH07113330B2 JP17808387A JP17808387A JPH07113330B2 JP H07113330 B2 JPH07113330 B2 JP H07113330B2 JP 17808387 A JP17808387 A JP 17808387A JP 17808387 A JP17808387 A JP 17808387A JP H07113330 B2 JPH07113330 B2 JP H07113330B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、内燃機関の圧縮比可変装置の改良に関す
る。
従来の技術 周知のように、エンジンの圧縮比を高めることは熱効率
が向上し機関の始動性や出力及び燃費,排気エミッショ
ンなどの改善策として有効な手段になっている。しか
し、圧縮比を運転状態に拘わらず一率に高くすると例え
ばガソリン機関では高負荷時にノッキング等が発生し易
くなる。一方、ディーゼル機関にあっては特に高負荷域
でのフリクションが大きくなり機械的損失によって出力
が低下してしまう。
そこで、例えば第6図に示すように圧縮比を機関の運転
状態に応じて可変にする装置が提供されている(実開昭
58−25637号公報参照)。概略を説明すれば、コネクテ
ィングロッド1に連結されたピストンピン2に、インナ
ピストン3が固定されていると共に、該インナピストン
3の外側には軸方向へ摺動可能なアウタピストン4が配
置されている。また、アウタピストン4とインナピスト
ン3の上部との間には上部液室5が、アウタピストン4
の下部内周に螺着された円環部7とインナピストン3と
の間には、下部液室8が夫々形成されており、各液室5,
8には、油圧回路9の途中に配置された油圧切替弁10
や、各スプリング11a,12aによって閉方向に付勢された
逆止弁11,12を介して圧油が供給され、互いの容積変化
に伴ってアウタピストン4を上下に移動させるようにな
っている。更に、上記油圧切替弁10は、機関の運転条件
を検知するセンサ13,13やその信号から加圧装置14に命
令を出す制御回路15などによって制御されている。
そして、機関低負荷時あるいは低回転時などにおいて圧
縮比を高める場合は、加圧装置14の加圧を強め、オイル
パン16内の圧油が油通路9a→9b→9cに達し、ここでスプ
リング11a圧に抗して逆止弁11を押し上げて上部液室5
内に流入する一方、圧油が油通路9bを介して切替弁10を
スプリング10aに抗して、右方向へ押圧して第6図の位
置にする。したがって、油通路9dが閉塞され、下部液室
8内の圧油は油通路9e,9fを通って外部へ流出するた
め、上部液室5内の圧油量の増加に伴ってアウタピスト
ン4が上方に持ち上げられ圧縮比が高められる。
一方、機関高負荷時あるいは高回転時などで圧縮比を下
げる場合は、加圧装置14の加圧力を弱め油通路9b,9c内
の油圧を低下させ、スプリング11aの付勢力によって逆
止弁11が油通路9cを閉じ、切替弁10が第7図に示すよう
に左方向に移動して油通路9fを閉じ、油通路9d,9eが接
続される。したがって上部液室5内の圧油の略全部が、
逆止弁12によって逆流することなく下部液室8に流入
し、アウタピストン4が下がり低圧縮比状態を維持する
ようになっている。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上記従来の圧縮比可変装置にあっては、
機関低回転時において加圧装置14の加圧力をスプリング
11a圧に抗して高くするようになっているため、機関の
回転数上昇に伴って加圧力が高くなる一般の潤滑用オイ
ルポンプを使用することが不可能である。したがって、
加圧性能の高い別異の加圧装置を用いなければならない
か、あるいはオイルポンプの加圧性能を高くしなければ
ならない不具合がある。
また、高圧縮比状態から低圧縮比状態に移行する際には
上述のように上部液室5内の圧油の略全部を、油通路9
d,9eを介して下部液室8内に戻すようになっていると共
に、この下部液室8内の圧油はシール部材6によってリ
ークが阻止されているため、制御の応答性が悪い。なぜ
なら、下部液室8の断面積は上部液室5の断面積よりも
小さいため、アウタピストン4の下方移動により減少す
る上部液室5の容積よりも、増加する下部液室8の容積
の方が小さい。従って、アウタピストン4の下方移動時
に、上部液室5から下部液室8に圧油が流入しようとし
ても、下部液室8から外部へのリークがシール部材6に
よって阻止されて流入できなくなり、高圧縮比状態から
低圧縮比状態への制御の応答性が悪化する。
しかも、この低圧縮比時には、油通路9cが、逆止弁11の
スプリング11a圧によって閉塞されるため、上部液室5
内に圧油が残留し、これが高回転時の燃焼熱などの高熱
に晒されて劣化するばかりかタール化してインナピスト
ン3上面などにこびり付き、円滑な圧縮比制御作用が得
られないといった種々の問題がある。
問題点を解決するための手段 この発明は、上記従来の問題点に鑑み案出されたもの
で、アウタ,インナピストンや上部,下部液室などの基
本構成を前提として、特に作動液室内の圧油を、前後の
油圧で開閉作動する逆止弁を介して上記上部液室に供給
する第1油通路と、該第1油通路の閉時に作動液室内の
圧油を上部液室に供給する第2油通路と、上部液室の油
圧を逆止弁を介して上記下部液室に供給する第3油通路
と、上記上部液室内の圧油を作動液室を介して外部に排
出する第4油通路と、上記作動液室内に摺動可能に収納
され、かつ機関の運転状態に応じて上記各油通路を切替
える切替弁とを備え、更に上記切替弁に、上記上部液室
の油圧が上記第3油通路を介して伝達されて上記切替弁
を所定軸方向に移動する受圧部を形成したことを特徴と
している。
作用 上記構成のこの発明によれば、まず機関低負荷時あるい
は低回転時などで高圧縮比を得る場合は、加圧装置によ
って圧油が作動液室に導入され、ここから第1油通路と
該圧油で開かれた第1油通路上の逆止弁を経て上部液室
に供給される。この時点では切替弁が第2及び第4油経
路を、又逆止弁が第3油通路を閉塞しているため、上部
液室の容積が速やかに増大し、これに伴いアウタピスト
ンが上昇して高圧縮比状態となる。
一方、機関高負荷時などには、燃焼圧力により上部液室
の油圧が高油圧となり、この油圧が第3油通路を介して
受圧部に作用するため、切替弁が一方向へ移動して第2
及び第4油通路を開き、第1油通路を閉じる。したがっ
て、上部液室内の圧油は、一部が第4油通路から外部へ
速やかに排出され、同時に他の圧油が第3油通路を通っ
て逆止弁を開いて下部液室内に速やかに供給される。し
たがって、圧縮比の切替制御が応答性よく行なわれる。
また、この低圧縮比状態では、排気行程時において慣性
力でアウタピストンが僅かに上昇すると圧油が第2油通
路を通って上部液室に供給され、圧縮時に第4油通路か
ら排出されて循環するため、ピストン冠部の冷却作用が
得られるとともに圧油の劣化が防止される。
実施例 以下、この発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
第1図及び第2図はこの発明の第1実施例を示し、図中
21はピストンの外殻を形成し、かつ下部内周に円環部22
が螺着されたアウタピストン、23はコネクティングロッ
ド24に連結されたピストンピンであって、このピストン
ピン23は、内部に図中右側が小径な円筒状の作動液室25
と、該作動液室25内を左右に摺動する後述の切替弁たる
スプール弁26が設けられていると共に、両端部には、中
央に通孔27a,28aを有する円環状のストッパ27,28が固定
されている。また、図中29は第3図にも示すようにこの
ピストンピン23にボス部30,30を介して固定されたイン
ナピストンであって、このインナピストン29の外側に
は、アウタピストン21が夫々の内外周面21a,29aを摺接
しつつ軸方向に摺動可能に配置されている。また、この
アウタピストン21の上方移動に伴い該アウタピストン21
の冠部下面21bとインナピストン29の上面29bとの間に上
部液室31が形成される一方、下方移動に伴いアウタピス
トン21の側面と該アウタピストン21の最大上方移動を規
制する上記円環部22の上面とインナピストン29の下面と
の間に円環状の下部液室32が形成されており、この各液
室31,32に油圧回路33を介して圧油が供給・排出されて
容積が変化し、アウタピストン21を上下動させるように
なっている。
上記油圧回路33は、コネクティングロッド24の内部軸方
向に形成されて逆止弁44を介して上記作動液室25と連通
する主通路34と、ピストンピン23とインナピストン29に
上下方向に沿って貫通形成されて、圧油を作動液室25か
ら上部液室31に供給する第1油通路35と、該第1油通路
35から図中左側位置に略平行に貫通形成されて作動液室
25から上部液室31内に圧縮油を供給する第2油通路36
と、該第2油通路36の図中左側平行に貫通形成され上部
液室31からスプール弁26を経て下部液室32に圧油を供給
する第3油通路37と、第1油通路35の図中右側近傍位置
に平行に貫通形成されて上部液室31から作動液室25と通
孔28a及びアウタピストン21側部の排出口21cを介して外
部に圧油を排出する第4油通路38とから構成されてい
る。また、第2油通路36の通路断面積は、他の油通路3
5,37,38よりも小さく形成されている。更に、上記第1
油通路35と第3油通路37の夫々には、前後の油圧によっ
て開閉作動するチェックボール39,39と切欠路を有する
円環状の通路構成部40,40とからなる逆止弁41,42が設け
られている。尚、インナピストン29の上面29bには、第
1〜第4油通路35〜38の各上端開口部を通る円環状の通
路溝50が形成されている。
更に、上記スプール弁26は、軸部26aの図中左端部に第
2油通路36を開閉する断面略コ字形の第1弁体26bが形
成されていると共に、図中右端部には、第1,第4油通路
35,38を開閉する第1弁体26bよりも小径な円柱状の第2
弁体26cが形成されている。また、上記第1弁体26bの略
中央外周には、第3図にも示すように上記第3油通路37
の途中の一端開口部37aが臨む段差状の受圧部45が形成
されている。そして、スプール弁26は、第1弁体26bと
ストッパ27との間に装着されたスプリング43によって図
中右方向に付勢されている。すなわち、上記受圧部45に
大きな油圧が作用しない場合は、スプリング43のばね圧
によって第1油通路35のみを開く位置に付勢され、大き
な油圧が作用するとスプリング43圧に抗して左側に移動
して第1油通路35を閉じ、第2,第4油通路36,38を開く
ように切替え作動するようになっている。尚、円環部22
とインナピストン29との間には、シール部材等が存在せ
ず、したがって下部液室32内に供給された圧油は、摺動
部位から僅かにリークするようになっている。
また、上記主通路34に供給される圧油は、図示しないが
機関のオイルパンから加圧装置たる機関回転数と同期す
る一般のオイルポンプによって圧送される。
以下、この実施例の作用について説明する。まず、機関
始動時や低負荷時などにおいては、圧油が、第1図に示
すように主通路34から逆止弁44を介して作動液室25に送
られ、ここから第1油通路35とこの油圧で開かれた逆止
弁41を経て上部液室31に供給される。そして、この時点
ではスプール弁26の各弁体26b,26cがスプリング43のば
ね圧で第2,第4油通路36,38を閉塞しているため、上部
液室31の容積が速やかに増大し、これに伴いアウタピス
トン21が上昇して高圧縮比状態となる。尚、圧縮あるい
は膨張行程時に、アウタピストン21に圧縮圧あるいは燃
焼圧力が作用しても、逆止弁41によって圧油の逆流が防
止され、僅かにアウタピストン21とインナピストン29と
の摺動部位からリークするにすぎない。これも、排気行
程時にアウタピストン21が慣性力で上昇した際、第1油
通路35から上部液室31内に補給されるため、高圧縮比状
態が維持される。尚、上記上部液室31へ圧縮を供給する
際に、油圧によってスプール弁26を作動させる必要がな
いので、オイルポンプの負荷が小さくて済むことは云う
までもない。
一方、高負荷時などには、アウタピストン21の冠面に比
較的大きな圧力が加わると、上部液室31からの圧油が逆
止弁42を開き受圧部45に作用し、この圧油によって第2
図に示すようにスプール弁26が図中左方向に移動して第
2と第4油通路36,38を開き、同時に第1油通路35を閉
塞する。したがってアウタピストン21が圧力を受けた際
に、上部液室31内の圧油は、第4油通路38から外部へ速
やかに排出される一方、第3油通路37を通って逆止弁42
を開きながら下部液室32内に供給される。したがって、
とりわけ第4油通路38からの圧油の排出作用により上部
液室31の容積が速やかに減少しアウタピストン21が下降
して低圧縮比状態が応答性よく確保できる。
しかも、上記スプルー弁26は、作動液室25内の油圧を受
ける第1弁体26bの受圧面積が第2弁体26cのそれよりも
大きく設定されているため、上記受圧部45に伝達される
上部液室31の油圧と第1弁体26bに作用する作動液室25
の油圧の両方の力によって図中左方向へ移動する。この
ため、スプール弁26の移動性が一層良好となり、高圧縮
比状態から低圧縮比への切替え応答性が極めて良好とな
る。
また、この低圧縮比状態において下部液室32内の圧油に
よって、排気行程時のアウタピストン21の上方慣性力に
よってインナピストン29と円環部22との干渉が防止され
る。一方、斯る排気行程時においてアウタピストン21が
僅かに上昇すると圧油が、第2油通路36を通って通路溝
50及び上部液室31に供給され、膨張行程時などに第4油
通路38から排出されて上部液室31内を循環するため、ピ
ストン冠部の冷却作用と圧油の劣化が防止される。尚、
ここで第2油通路36は第4油通路38よりも小径であるた
め、上部液室31に油が残留することがない。
第4図及び第5図はこの発明の第2実施例を示し、第1
実施例と異なるところは、第3油通路37に有する逆止弁
42をボス部30内の下部液室32に近接した位置に設けると
ころにある。したがって、下部液室32のシール機能が向
上し、例えば低圧縮比状態において下部液室32内に供給
された圧油が、逆止弁42により第3油通路37への逆流が
直ちに遮断されるため、第3油通路37途中でのリークが
防止されるのである。
他の構成は、第1実施例と同一であるから同一の作用効
果が得られることは云うまでもない。
発明の効果 以上の説明で明らかなように、この発明に係る内燃機関
の圧縮比可変装置によれば、特に作動液室内の圧油を、
前後の油圧で開閉作動する逆止弁を介して上部液室に供
給する第1油通路と、該第1油通路の閉時に作動液室内
の圧油を上部液室に供給する第2油通路と、上部液室の
圧油を逆止弁を介して下部液室に供給する第3油通路
と、上記上部液室内の圧油を上記作動液室を介して外部
に排出する第4油通路と、上記作動液室内に摺動可能に
収納され、かつ機関の運転状態に応じて上記各油通路を
切替える切替弁とを備え、更に上記切替弁に、上記上部
液室の油圧が上記第3油通路を介して伝達されて上記切
替弁を所定軸方向に移動する受圧部を形成したため、圧
縮比可変制御を極めて応答性よく行なうことが可能とな
り、しかも高圧縮比を得る場合において逆止弁を小さな
油圧のみで開くことができるため、一般の潤滑用オイル
ポンプの使用が可能となる。また、従来のような制御回
路や特異な加圧装置等が不要になるので、大幅なコスト
の低廉化が図れる。
更に、低圧縮比状態において、上部液室内に圧縮が循環
するため、圧油の劣化を防止できると共に、ピストンの
冠部を効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の第1実施例を示す要部断面図、第2
図はこの実施例の低圧縮比状態を示す断面図、第3図は
第2図のA指示部を示す拡大図、第4図はこの発明の第
2実施例を示す断面図、第5図はこの実施例の低圧縮比
状態を示す断面図、第6図は従来の圧縮比可変装置を示
す全体構成図、第7図は従来装置の一部を示す断面図で
ある。 21……アウタピストン、23……ピストンピン、25……作
動液室、26……スプール弁(切替弁)、29……インナピ
ストン、31……上部液室、32……下部液室、35……第1
油通路、36……第2油通路、37……第3油通路、38……
第4油通路、41,42……逆止弁、45……受圧部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピストンピンの両端部に支持されたインナ
    ピストンと、該インナピストンの外周に軸方向へ摺動可
    能に被嵌したアウタピストンと、該アウタピストンと上
    記インナピストンとの間に夫々形成される上部液室及び
    下部液室と、上記ピストンピンあるいはインナピストン
    の内部所定位置に形成され、かつ外部から圧油が導入さ
    れる作動液室と、該作動液室内の圧油を前後の油圧で開
    閉する逆止弁を介して上記上部液室に供給する第1油通
    路と、該第1油通路の閉時に作動液室内の圧油を上部液
    室に供給する第2油通路と、上記上部液室の圧油を逆止
    弁を介して上記下部液室に供給する第3油通路と、上記
    上部液室内の圧油を外部に排出する第4油通路と、上記
    作動液室内に摺動可能に収納され、かつ機関の運転状態
    に応じて上記各油通路を切替える切替弁とを備え、更に
    上記切替弁に、上記上部液室の油圧が上記第3油通路を
    介して伝達されて上記切替弁を所定軸方向に移動する受
    圧部を形成したことを特徴とする内燃機関の圧縮比可変
    装置。
JP17808387A 1987-07-16 1987-07-16 内燃機関の圧縮比可変装置 Expired - Lifetime JPH07113330B2 (ja)

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