JPH0711134Y2 - 段付き金型 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、外周に段の付いた部品の外周側を成形或い
はサイジングするのに用いる段付き金型に関する。

なお、この種の金型の代表的なものとしては、粉末焼結
部品の加工に用いる段付きダイがある。そこで、以下の
説明はそのダイを例に挙げて行う。

〔従来の技術〕

粉末成形の成形形態のひとつに、日本粉末冶金工業会
編、JPMA4−1987、P38の付図27.8061に示される「ダイ
段付き成形」がある。

第２図は、上記の付図を若干アレンジしたもので、付図
では一体となっているダイ１を内環２と外環３の２つに
分けてある。また、この図には、前述の付図に示されて
いる上パンチ10、下パンチ11のほかにコアロッド12が加
わっている。

この図から判るように、「ダイ段付き成形」とは、外周
に段の付いた形状の圧粉部品Ａを成形する際に、ダイに
段部（図は４と５）を付けて成形することを云う。

〔考案が解決しようとする問題点〕

成形後の部品Ａは、ダイ１をダイプレート13と共に引き
下げ、固定下パンチ11で相対的に突き上げる状態にして
型抜きする。そのため、ダイ１の下方には下降の障害と
なる支持物を設置することができない。そこで、ダイ１
は外周の被支持部６のみを支持し、下面は不支持のまゝ
で下パンチとダイの段部を受圧面として粉体の圧縮を行
う。

ところが、このような加圧形態では、ダイの段部に加わ
った圧力をその段部の根元で受けることになるので、根
元のコーナ付近に曲げ応力が集中して亀裂、割れ等の金
型破損の可能性があり、かつ、段部の鎖線で示すような
撓みによる製品精度の低下も懸念される。

なお、ダイの外径及び高さを大きくしてダイ自体の強度
を上げれば上の問題は無くなるが、この方法は、ダイは
勿論、コアロッド、下パンチ等も必然的に大きくなり、
金型費が増加するため好ましくない。

この考案の目的は、コスト面等に悪影響を及ぼさずに金
型の破損や撓みによる製品精度の低下の問題を無くすこ
とにある。

〔課題を解決するための手段〕

この考案では、上述の課題解決策として、端面圧により
曲げ応力が加わる金型の下部外周にリングを締り嵌めし
て取付ける。

〔作用〕

リングを締り嵌めすると、金型の下部肉部に外側から中
心に向かう圧縮応力が加わる。考案者は、このようにし
て圧縮応力を加えておくと、加圧時に金型の段部に作用
する曲げ応力が減殺され、段部の撓みや破損が少なくな
ることを見い出した。端面圧を受けたとき、段部の根本
側には引張り応力が作用するが（これがクラック等の原
因）、事前に圧縮応力を加えておくと耐引張り力が高ま
ることも撓み、破損の抑制に有効に作用するのではない
かと考えられる。

〔実施例〕

第１図に示すようなダイを製作した。このダイ１は、第
３図に示す部品のサイジングに用いるものであって、内
環２と外環３を組合せた構造にし、さらに、被支持部６
の下側で外環３の外周に金属リング７を焼き嵌め（ダイ
を冷やして嵌めてもよい）してある。

次に、例示のダイとリング７を使用していない従来構造
のダイ（サイズは同一）についてその強度を有限要素法
にて解析した。結果を下に示す。

この例示のダイは、実作業でも特に問題は無く、精度の
良い製品を得ることができた。

〔効果〕

以上述べたように、この考案によれば、段付きダイを用
いた成形或いはサイジングにおいて発生するダイ段部の
応力による撓み、破損をダイサイズを増加させず簡単に
低減できるので、コアロッド、下パンチ等も必要最小限
の大きさで済み、金型費の削減が可能となる。

また、撓みの抑制効果により製品精度の向上にも寄与で
きる。

なお、この考案は、端面圧により段部に撓みや破損等が
生じるダイ以外の段付き金型や段付きの冶具等にも有効
に利用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の段付き金型の一例であるダイの断面
図、第２図はダイ段付き成形における課題説明図、第３
図は例示のダイでサイジングした部品の一例の断面図で
ある。 １……ダイ、２……内環、３……外環、４、５……段
部、６……被支持部、７……金属リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】外周に設けた被支持部を支えて中心部に設
   けた下側が小径の段付き穴で外周に段の付いた部品の外
   周側を成形或いはサイジングする段付きダイ等の段付き
   金型において、その下部外周にリングを締り嵌めして取
   付けたことを特徴とする段付き金型。