JPH0711038B2 - 非時効・深絞り用合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

非時効・深絞り用合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH0711038B2
JPH0711038B2 JP27548388A JP27548388A JPH0711038B2 JP H0711038 B2 JPH0711038 B2 JP H0711038B2 JP 27548388 A JP27548388 A JP 27548388A JP 27548388 A JP27548388 A JP 27548388A JP H0711038 B2 JPH0711038 B2 JP H0711038B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は製鋼での1F鋼(Interstitial Free Steel)
(製鋼で炭素を極く低いレベルである数+ppmまで低下
させさらに炭素と親和力の強いTiやNbを添加して鋼中の
固溶炭素および窒素を完全になくした鋼)によらずに、
非時効性と加工性を兼ね備えたJIS・G3302絞り用第2種
ないし第3種溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯(合金化)、
記号「SGCD2」,「SGCD3」を製造する方法に係わる。
(従来の技術) 合金化溶融亜鉛めっきラインは通常、無酸化加熱炉−還
元炉−急冷帯−調整冷却帯−亜鉛ポット−再加熱−合金
化炉−急冷からなり還元熱処理中に溶解した鋼中の炭素
は固溶したまま残存し極めて大きな時効性を呈する。ま
た表面の還元処理が再結晶焼鈍を兼ねているが極めて短
時間のため十分な加工性を鋼板に付与させることは難し
い。そのため絞り用のような加工性が必要とされるもの
では素材はもっぱら1F鋼によっていた。例えば特公昭55
-49138号公報記載の発明がある。しかし、1F鋼は製鋼で
の真空脱ガス処理に長時間を要し経済的に問題がある。
また、製鋼設備に大きな制約が必要となる。1F鋼によら
ず通常のAlキルド鋼で絞り用を製造するには例えば特公
昭51-29095号公報に見られるように事前に箱焼鈍にて十
分再結晶焼鈍を施し加工性を付与させてから合金化溶融
亜鉛めっきラインを通す。さらに溶融亜鉛めっき後固溶
炭素の析出処理のため再び箱焼鈍を利用し300〜400℃か
ら徐冷する必要がある。このように製鋼に負荷をかけな
いようにするには多くの工程を必要とする。
以上のように低炭素Alキルド鋼を使い、インラインで該
鋼板を製造することは極めて困難な課題であった。材質
未達成の内容は大きく別けて二つある。一つは加工性、
具体的に値(ランクフォード値とも呼ばれ、[板幅対
数ひずみ]/[板厚対数ひずみ]で定義され、深絞り性
を表し結晶集合組織に依存する)や伸び値(延性、n値
やElで表される)を付与させられないことである。二つ
目は炭素時効問題である。炭素は室温付近での固溶限が
極めて小さく十分時間をかけて冷却すれば事実上残存せ
ず時効の問題はない。しかし通常合金化溶融亜鉛めっき
ラインでは合金化処理後急冷を施すので多量の固溶炭素
が残留し大きな時効性を呈する。
溶融亜鉛めっきのインラインで該鋼を製造するという試
みもなされている。特開昭60-251226号公報記載の発明
がそれで、固溶窒素のないAlキルド鋼を用い急冷−再加
熱後めっきしその後2〜10分の固溶炭素析出処理を行な
うというものである。しかしながらこの技術にもまだ欠
点を有する。それは熱延高温巻取に伴う問題と、耐時効
性の到達レベルである。前者は固溶窒素をなくするため
に高温巻取効果を施すかまたはB添加を行なうが、高温
巻取では熱延コイルの端部ではこの効果がおよばずその
結果コイル端部は材質が伴わない。したがってこの部分
は切り捨てる必要があり数%〜10%の歩留低下となって
いた。さらに熱延コイルが高温でさらされるためスケー
ルの生成量が増し酸洗性が大幅に低下するという欠点も
あった。またB添加は材質のうち特に値を劣化させる
うえコストアップにもつながる。一方、時効性に関して
は炭素時効の問題のない、また鋼板の用途的にも競合す
る箱焼鈍冷延鋼板と同等の非時効性とするには時効指数
で2kgf/mm2以内とする必要があることが判明した。これ
は残留固溶炭素量で2ppm以内という値であり、上記技術
での到達レベル、時効指数で3kgf/mm2、固溶炭素で5ppm
を、さらに50%以上改善する必要がある。
さらにまた、この技術では亜鉛の合金化には触れておら
ずそれに伴う熱履歴の変化で固溶炭素量が大きく変わる
ことが予想される。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は従来技術のこのような欠点を克服し低炭素Alキ
ルド鋼を用い、熱延高温巻取を施さずに、また重複した
工程を使わずに溶融亜鉛めっきラインのみで(ただしラ
インの改造は必要であるが)、SGCD2ないしSGCD3級合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法を提供するもので
ある。具体的な特性値としては、亜鉛めっきの目付量が
60g/m2(JISの記号でF08の場合)で、加工性として値
=1.65(≧1.4)、降伏点強度YP=18kgf/mm2(≦20kgf/
mm2)、伸びEl=44%(≧42%)(ただしElは板厚依存
性があるので、この値は0.8mm相当である)、また耐時
効性は時効指数で2kgf/mm2以内という各値を満たす合金
化溶融亜鉛めっき鋼板の製造法である。
(課題を解決するための手段) 本発明の骨子はC:0.008〜0.025%、Mn:0.05〜0.15%、
P≦0.012%、S:0.004〜0.015%、酸可溶Al:0.05〜0.15
%、N≦0.0020%を含み、残部Feおよび不可避的不純物
からなる鋼をAr3変態点以上で熱間圧延を行ない、620〜
670℃で巻取り、冷延し続いて連続式合金化溶融亜鉛め
っきラインを通板するにあたり、無酸化加熱炉で均熱後
還元炉で770℃以上の温度域まで加熱し、その後650〜73
0℃まで3〜20℃/sで冷却し、この温度域より1000℃/s
以下の冷却速度(v)で急冷し、続いて温度T0(℃)で
30s以内保定してセメンタイトの核生成を行なわせ、そ
の際、前記温度T0(℃)を200℃以上で−70×{log(v/10
00)}2+340で計算される値(℃)以下とし、引き続き42
0℃ないし470℃の間まで再加熱して溶融亜鉛ポットに浸
漬し溶融亜鉛めっきを施し、さらに550〜600℃の温度T1
(℃)に加熱し10s以内の合金化処理を行ない、次いで2
50〜290℃の間の温度T2(℃)まで時間tOA(s)として
180〜300s間冷却するにあたり、温度T(℃)〜時間t
(s)関係を、 で表したときに指数nが3〜15となるような冷却曲線内
で冷却することを特徴とする非時効・深絞り用合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の製造方法にある。
溶融亜鉛めっきライン通板によって十分な粒成長性を付
与させるには、冷延に先立つ熱延板の炭化物を十分凝集
・粗大化し大部分の結晶粒界には炭化物が存在しない状
態にしておく必要がある。それとともに再結晶焼鈍時、
最も有害な析出物として窒化アルミニウム(AlN)があ
るが、これを無害化するためにやはり熱延板の状態で十
分AlNを析出・粗大化しておく必要がある。この2つの
作用が熱延高温巻取の効果と考えられるが、その状況を
第1図に示す。
図より冷延・連続焼鈍後の値が主としてこの二つの要
因で律せられている様子がわかる。この図より熱延板中
での炭化物凝集はランク「3」以上、固溶窒素量は10pp
m以内好ましくは5ppm以内とする必要があることがわか
る。
なお炭化物凝集のランクは数値の大きいほどその程度が
大きい。各ランクに応じた標準的な炭化物の光学顕微鏡
写真をもとにした模式図を第4図に示す。つぎに巻取温
度が670℃以下という条件で、炭化物凝集、固溶窒素低
減という二つの特性値が一定値以上になる条件を求める
ために以下の実験を行なった。
第2図は巻取温度670〜620℃で炭化物凝集におよぼす炭
素量、Mn量、P量の影響を調べた結果を示す。(図中の
記号は下記表の意味を有する。) 炭素量が少ないほど炭化物は凝集するが低Mnかつ/もし
くは低Pも炭化物の凝集化の必要条件であることがわか
る。この図より炭化物の凝集度「3」以上を得るにはC
≦0.025%、Mn≦0.15%、P≦0.012%とする必要があ
る。安定して凝集度「3」以上を得るにはC≦0.02%、
Mn≦0.12%、かつ/またはP≦0.008%とすることが好
ましい。
つぎに熱延板処理の状態を表わすもう一つの要件、熱延
板固溶窒素量に対する条件について述べる。第3図は熱
延板固溶窒素量に対するAl量の影響を調べた図である。
全窒素含有量を20ppm以下と20ppm超とに層別し、また、
巻取温度を640〜655℃のグループと730〜750℃のグルー
プに層別して表わした。高温巻取、低窒素含有量ほど熱
延板固溶窒素量は減少する。650℃前後の巻取温度で熱
延板固溶窒素量を10ppm以下にするには全窒素含有量を2
0ppm以下とし、かつAlを0.05%以上とする必要があるこ
とがわかる。
以上C,Mn,P,Nの上限およびAlの下限規定の理由と数値限
定理由について述べた。さて、Alキルド鋼による合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の製造にあたってのもう一つの課
題、耐時効性に対しては本発明においても炭素の過時効
中における時効析出を利用する。その詳細は還元炉にて
再結晶焼鈍後、フェライト結晶粒内に微細にセメンタイ
トを核発生させ析出に必要な拡散距離を短くして合金化
処理後の過時効過程で固溶炭素を極力減少しようとする
ものである。このため成分および還元炉での再結晶焼鈍
後の急冷・過冷、小規模再加熱、合金化処理後の過時効
析出パターンを特定している。特に本発明では箱焼鈍材
並みの完全非時効を目標としており、そのため急冷速度
に見合った低温保定による核生成段階、再加熱後特定の
傾斜過時効パターン等からなっている。当然のことなが
らこの処理を既存のラインで行うには改造が必要であ
る。以下、既述した要件以外の要件の説明とその数値限
定理由について述べる。
Cの下限は時効性の観点から制限される。すなわち過時
効析出にあたっては析出の駆動力を増すためCの過飽和
度を増す必要があるが、C含有量が少ないといくら焼鈍
後急冷を施してもCの過飽和度は増大しない。この意味
でCは0.008%以上とする必要がある。過飽和度を安定
して確保するためには0.012%以上含有させることが好
ましい。
Mnの下限およびSの上限はFeS生成防止の観点から制限
される。すなわちMn/Sの比が小さいとSはFeSとなって
析出しこれが熱間脆性をもたらす。そのためMnは0.05%
以上、Sは0.015%以下とする必要がある。一方、Sの
下限は適当なMnS確保のため制限される。すなわちMnSは
粒内に析出するセメンタイトの析出サイトであり、MnS
を適当に分散させることにより、セメンタイトの核発生
密度を適度に高め炭素の拡散距離を短くし拡散に要する
時間を短くして非時効化を促進する。このためSは0.00
4%以上とする。
Alは上述のように熱延巻取時にAlN析出を促進するため
に0.05%以上とする必要があるがあまり多すぎると鋼を
硬質にし、また値を劣化させるので0.15%以内とする
必要がある。
つぎに工程に関する要件について述べる。
熱延はAr3変態点以上で終了しなければならない。これ
より低い温度で熱延を行なうと表層に粗大粒が発生した
り加工組織が生じこれらは冷延−再結晶焼鈍後の集合組
織形成に悪影響を与える。
巻取温度は620〜670℃とする。巻取温度は本発明にあっ
ては下げることができることに特徴があり、高温巻取に
起因する作業阻害やコストアップが避けられる。670℃
超では低温巻取化の効果がない。しかしながら620℃未
満では上述の炭化物凝集やAlN析出が生じ難いため620℃
以上の温度は確保する必要がある。好ましくは630〜660
℃の範囲である。
熱延後コイル状に巻かれた鋼板はその後酸洗、冷延され
続いて連続式合金化溶融亜鉛めっきラインを通板する。
還元炉での最低温度は770℃とする必要がある。770℃未
満では十分な粒成長が生じず硬質かつ低値となる。こ
の温度の上限は通常採られる850℃以内であればよい。
つぎに急冷・低温核生成保定・再加熱・合金化処理・過
時効の各条件は本発明にあっては耐時効性を確保するう
えで(さらには加工性との両立のうえで)極めて重要な
要件となる。急冷によりCの過飽和度を高め、続く低温
保定域で、成分および熱延条件調整により適度に分散さ
せたMnS上にセメンタイト核を発生させる。その後めっ
き浴温度まで再加熱し、めっき浴に浸漬しさらに550〜6
00℃の合金化処理温度まで昇温し合金化処理を行った後
過時効帯に入り、適当な傾斜過時効処理によりセメンタ
イト核を成長させ、固溶炭素を速やかに低減させる。還
元炉での熱処理後急冷を行うがこの急冷に先だって炭化
物を一旦溶解させておく必要がある。そのため還元炉出
側温度から650〜730℃の温度域まで3〜20℃/sの冷却速
度で徐冷する必要がある。この条件をはずすと急冷開始
時の炭素の溶解量が不足し急冷の意味がなくなる。
つぎにこの温度から1000℃/s以下の冷却速度v(℃/s)
で、200℃以上、 [−70×{log(v/1000)}2+340](℃)以下の温度T
0(℃)まで急冷しこの温度で30s以内保定する。vが10
00℃/s超となると焼入れのため転位密度が高まり、鋼の
延性を損ねる。また、鋼板形状を保つことも難しい。v
が小さくなるほど、核生成のための保定温度は低くしな
ければならない。上式で示される上限値を超えると十分
な粒内セメンタイトの核生成が生じない。また、200℃
未満ではマトリックスと整合度の大きい微細なセメンタ
イトやε炭化物が生成し、やはり鋼の延性を損ねる。核
生成のための保定時間は30s以内とする。この保定時間
は30sの上限値で飽和傾向にあり、むやみに長くするこ
とは経済性を損なう。
核生成終了後めっき浴温度である420〜470℃の温度まで
3℃/s以上の昇温速度で昇温する。3℃/s未満では昇温
に時間がかかりすぎて経済性を損なう。なお上限は現在
の工業レベルから50℃/s程度と考えられる。めっき浴浸
漬後、合金化炉で合金化処理を行う。この内容は550〜6
00℃の温度T1(℃)まで昇温し10s以内保持する。この
条件は合金化の程度に従い適宜採られる。この後、核生
成した炭化物の最短時間成長を行なわせるため特定の温
度〜時間関係を採りながら冷却する。すなわちこれが炭
素の最適過時効析出に当たる。この条件は炭素の拡散の
温度依存性とセメンタイトの固溶限の温度依存性とから
高温からけん垂線状に冷却することが良いと考えられ
る。
この条件を明かにするために本発明に従った成分および
熱延条件のもとで製造された試料を用い、種々の連続溶
融亜鉛めっきの工程条件のもとで焼鈍した。焼鈍は赤外
線加熱方式で、冷却をガスジェットや気水により行な
い、冷却中の温度をフィードバックして冷却速度を制御
できる熱処理設備により検討した。試行錯誤を繰返し、
種々検討した結果、つぎの実験式で冷却パターンを表わ
すことが良いことが判明した。
この式の冷却パターンを一例として、T1=580℃、T2=2
70℃、tOA=200sの場合について、n=0.1〜15に変化さ
せた結果を第5図に示す。nの影響を明かにするため、
T2,tOAを種々変化させてnと時効性との関係を調べ
た。焼鈍条件は、800℃、30s均熱後700℃まで3℃/sで
冷却し、続いて80℃/sの冷却速度で240℃まで冷却しこ
の温度で10s保定し、次いで30℃/sでT1温度(580℃)ま
で昇温するという内容である。熱処理後1%の調質圧延
を行ない材料の時効指数を測定した。結果を第6図に示
す。nが大きいと時効指数は非常に大きくなるが一方、
nが小さすぎてもAl≦2kgf/mm2とはならない。このよう
にnの影響は大きく、またnには最適な範囲が存在す
る。もちろんtOAは長い方が安定して低Alとなる。この
結果より指数nとして、3〜15でAl=2kgf/mm2以内とな
るので、この値を本発明の範囲とする。他の条件の変動
等に対してより安定してAl≦2kgf/mm2を得るためにn=
3〜10の条件とすることがより好ましい。
つぎに過時効冷却開始温度T1は550〜600℃とする必要が
ある。これは合金化処理のために必要な温度である。過
時効開始温度はこの範囲内であればいずれの値であって
も良い。過時効時間tOAは180〜300sとする。180s未満で
は如何に最適冷却パターンを採ってもAl≦2kgf/mm2を安
定して得ることは難しい。tOAは長ければ長いほど容易
に非時効化しやすいが、設備が長大になるばかりであ
る。現状の経済性等を考慮すると300s程度が最長と考え
られる。過時効終了温度T2は250〜290℃とする。250℃
未満では炭素の拡散は事実上生じない程度に遅く、この
温度域に保持することは無駄である。また上限は290℃
とする。これはAl=2kgf/mm2に対応する炭素の平衡固溶
限温度が290℃強であり、この温度以上にいくら保持し
てもAl≦2kgf/mm2とは原理上なりえない。
本発明の鋼は通常転炉にて出鋼され、場合によっては取
鍋精練され、その後場合によっては真空脱ガスにより成
分調整されスラブとされる。スラブは冷却されて続いて
加熱炉を経て熱延されるが、スラブの温間挿入や、加熱
炉を経ない直送圧延でも差し支えない。加熱する場合加
熱温度は1000〜1300℃が通常である。1070℃以下の低温
に加熱し熱延することが材料の軟質化という面からは好
ましい条件である。熱延仕上終了温度および巻取温度に
ついては前記のとおりであるが仕上終了から巻取までの
ROT(Run-out Table)での冷却は平均冷却速度で20℃/s
未満の徐冷の方が炭化物凝集の点で好ましい。熱延コイ
ルは冷却された後酸洗され冷延されるが冷延率は通常と
同じ60〜85%で良い。ただ本発明の鋼は値の冷延率依
存性が高冷延率側にシフトしておりこの意味からは77%
以上の高冷延率圧下とすることが好ましい。
つぎに本発明を実施例にて説明する 〔実施例−1〕 第1表に示す化学成分を有する鋼を転炉にて出鋼し、連
続鋳造にてスラブとした後1030〜1050℃に加熱し仕上終
了温度が860〜880℃、板厚4.0mmとなるように熱延を行
ない、続いてROTで平均冷却速度が15℃/sとなる冷却を
行ない、その後640〜660℃でコイルに巻き取った。酸洗
後0.8mmまで冷延を行ない続いて連続式合金化溶融亜鉛
めっきラインを通板した。溶融亜鉛めっきラインは改造
を加え、還元炉を出た後ノズルとストリップの間隔を縮
めた強力ガスジェット冷却を設置し、ガスジェット冷却
後誘導加熱装置で昇温できるようにした。合金化炉の後
面には過時効炉を設け、炉内適所にガスジェット冷却あ
るいは保定のためのヒーターを設置し種々の冷却曲線が
採れるようにした。連続溶融亜鉛めっきでの条件は、還
元炉での板温度:820℃、最初の徐冷:690℃まで5.5℃/s
で冷却、急冷:250℃まで80℃/sで冷却、過冷条件:240℃
で2s保定、再加熱速度:30℃/s、再加熱到達温度:450
℃、合金化条件:580℃,3s、傾斜過時効条件(T2,tOA,
n):変化(第2表)、T2温度からは水冷、とした。そ
の後1%の伸び率でスキンパス圧延を行なって試験に供
した。過時効条件の組み合せを第2表に示す。亜鉛の目
付は両面で60g/m2とした。
引張試験はJISZ2201,5号試験片を用い同Z2241記載の方
法に従って行ない、降伏点強度(YP)、引張強度(TS)
および伸び(El)を求めた。n値は10〜20%の荷重を読
み取りn乗硬化則 が成り立つとして計算し求めた。値は15%ひずみの値
で計算し面内平均を取った。つぎに時効性に関してはま
ず100℃、60min人工促進時効後の降伏点伸び(YP-El)
を測定した。また時効指数(Al)および固溶炭素量も求
めた。Alは10%予ひずみ後100℃、60minの時効を行ない
この時効前後での降伏点強度の上昇分で示す。また固溶
炭素量は内部摩擦測定によりSnoekピーク高さを求めこ
れに1.3を乗じて固溶炭素量(単位はppm)とした。
試験結果を第3表に示す。この表から明らかなように本
発明にしたがった鋼B,D,GおよびHは熱延が650℃前後の
低温巻取にもかかわらず、加工性、時効性ともに目標通
りの良好な特性を示すのに対し、鋼A,C,EおよびIでは
硬質で低値となっている。また、鋼E,FおよびIでは
時効性が大きい。ただし過時効条件のはずれた鋼Bの内
条件dについては時効性が不良である。
なお、鋼のめっきの状態も合わせて調べたがめっき密着
性、合金化状態いずれも1F鋼に比して良好であった。
〔実施例−2〕 第1表に示す鋼の一部を用いて第4表に示す熱延条件お
よび合金化連続溶融亜鉛めっき条件にて試験した。な
お、第4表以外の条件については実施例−1と同じ条件
を採った。第5表に加工性および時効性の試験結果を示
す。試験方法については実施例−1と同じである。本発
明に従った試験No.103,107,112,115,116および118の鋼
は、試験No.101の高温巻取をした鋼と同様、低YP、高E
l、高n値および高値を示しつつ、時効性の指標であ
るYP-El、Alおよび固溶炭素量はいずれも低い値であ
る。これに対し、成分あるいは工程条件の異なる他の鋼
では硬質・低延性あるいは/また低い耐時効性を呈して
いる。
本発明に従った鋼では熱延コイル端部まで材質は確保さ
れていたが、試験No.101の高温巻取をした鋼では端部材
質は極度に劣化しており、SGCD2並みの材質を確保する
にはトップ部1.5%、ボトム部2%、SGCD3並みの材質を
確保するにはトップ部4%、ボトム部5%切り込む必要
があった。また、めっき密着性および合金化状態はいず
れも1F鋼に比し良好であった。
(発明の効果) 自動車、家庭電気や建材に対する防錆の要請は近年ます
ます大きくなってきており、絞り用の合金化溶融亜鉛め
っき鋼板が大量に使用されつつある。このような合金化
溶融亜鉛めっき鋼板が1F鋼を使わずに低炭素Alキルド鋼
で製造できるようになった意義は極めて大きいと言え
る。すなわち1F鋼は、経済性において欠点があるうえ
に、スリバー等の製鋼原因表面欠陥の発生率も高く、さ
らにめっき密着性にも問題があった。しかし加工性およ
び時効性という材質面から1F鋼に頼らざるを得なかっ
た。本発明によりAl-k鋼が使えるようになったわけで1F
鋼の上記の欠点が一挙に解決された。
【図面の簡単な説明】
第1図は冷延・連続焼鈍後の値におよぼす熱延板の炭
化物凝集度および固溶窒素量の影響を示す。第2図は熱
延後低温巻取した材料の熱延板の炭化物凝集度に対する
全炭素含有量の影響を示す図で、Mn量およびP量で層別
して示す。第3図は熱延板中の固溶炭素量に対する酸可
溶Al量の影響を示す図で、巻取温度および含有窒素量で
層別して示す。第4図は炭化物凝集度を示す標準図で、
(イ)は凝集度1でセメンタイトの形態が点列状、
(ロ)は凝集度2でセメンタイトの形態が短く細い状
態、(ハ)は凝集度が3でセメンタイトの形態が長く細
い状態、(ニ)は凝集度が4でセメンタイトの形態が長
く太い状態を表わす。第5図は過時効開始から終了まで
の冷却曲線の例で指数nが変化している。第6図は指数
nと時効指数Alとの関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.008〜0.025%、Mn:0.05〜0.15%、P
    ≦0.012%、S:0.004〜0.015%、酸可溶Al:0.05〜0.15
    %、N≦0.0020%を含み、残部Feおよび不可避的不純物
    からなる鋼をAr3変態点以上で熱間圧延を行ない、620〜
    670℃で巻取り、冷延し続いて連続式合金化溶融亜鉛め
    っきラインを通板するにあたり、無酸化加熱炉で均熱後
    還元炉で770℃以上の温度域まで加熱し、その後650〜73
    0℃まで3〜20℃/sで冷却し、この温度域より1000℃/s
    以下の冷却速度(v)で急冷し、続いて温度T0(℃)で
    30s以内保定してセメンタイトの核生成を行なわせ、そ
    の際、前記温度T0(℃)を200℃以上で−70×{log(v/10
    00)}2+340で計算される値(℃)以下とし、引き続き42
    0ないし470℃の間まで再加熱して溶融亜鉛ポットに浸漬
    し溶融亜鉛めっきを施し、さらに550〜600℃の温度T
    1(℃)に加熱し10s以内の合金化処理を行ない、次いで
    250〜290℃の間の温度T2(℃)まで時間tOA(s)とし
    て180〜300s間冷却するにあたり、温度T(℃)〜時間
    t(s)関係を、 で表したときに指数nが3〜15となるような冷却曲線内
    で冷却することを特徴とする非時効・深絞り用合金化溶
    融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101637923B1 (ko) * 2015-09-24 2016-07-11 쓰리알웨이브 (주) 방향성 결합기의 기능을 내재한 서큘레이터 모듈

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