JPH07108170A - 油吸収処理材 - Google Patents

油吸収処理材

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JPH07108170A
JPH07108170A JP27480193A JP27480193A JPH07108170A JP H07108170 A JPH07108170 A JP H07108170A JP 27480193 A JP27480193 A JP 27480193A JP 27480193 A JP27480193 A JP 27480193A JP H07108170 A JPH07108170 A JP H07108170A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易にかつ効率よく充分に油を吸収すると共
に、容易にかつ低コストで製造することができる。 【構成】 油吸収処理材10は、2枚の透油性シート状
基材12A、12Bから成っている。一方のシート状基
材12Aには、プレスによりエンボス加工が施され、エ
ンボス部12Aと平面部12bが形成されている。この
一方のシート状基材12Aと、他方のシート状基材12
Bを相互に重着することにより、エンボス部12Aによ
り油保有空間16が形成される。シート状基材12A、
12Bは、親油処理がされている。吸収すべき油12
は、シート状基材12A、12Bに吸い寄せられて、油
保有空間16内に保持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、台所等の家庭内におけ
る調理等や工場等様々な場所で用いられる油の処理材、
特に、油を吸収して処理する油吸収処理材に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に、油は様々な場所で用いられ、例
えば、台所等の家庭内においては料理用の食用油が、ま
た、工場内等における機械等の使用にあたっては潤滑用
や作動用等の油が用いられる。これらの油が用いられる
場所においては、油の使用に際し、同時に、下水道に垂
れ流した場合の環境汚染等を考慮する必要から、その使
用済みの油や廃油、また垂れこぼし等による余剰分の油
の処理が問題となる。
【0003】従来、このような油を処理するためには、
例えば、家庭内等においては、ジョンソン株式会社の商
品名「固めるテンプル」の如き油固形化剤を用いたり、
また、油拭き取り紙や、ティッシュペーパー、さらには
布巾、雑巾等を用い、これらにより油を拭き取って処理
することが行われていた。一方、このような家庭等の比
較的簡易な場所ではなく、例えば、タンカー事故により
流出した多量の重油を回収する場合等、海域等の比較的
広大な場所において油を処理するため、いわゆるオイル
フェンスが用いられる。このいわゆるオイルフェンスに
は、様々な種類があるが、一般的には、ポリエチレン等
の合成ポリマ繊維やカポック等の天然繊維等の親油性の
物質を用い、これらを直接マット状に形成したり、また
は、他の熱可塑性繊維等に熱融着、混合する等すること
によりマット状に形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、商品名「固め
るテンプル」の如き油固形化剤は、高温の油に用いなけ
れば油を固形化することができないため、食用油を揚げ
物等に使用した直後に使用したり、また、常温化した油
に用いるためには再度加熱した上で、油に添加する必要
があるので手間がかかる欠点があった。また、このよう
に高温状態で用いる必要があるため、使用者が火傷をし
たり、また油を加熱する際にその場を離れず火災に注意
する必要がある。また、油拭き取り紙やティッシュペー
パー又は雑巾等によれば、このような問題は少ないもの
の、油の吸収能力に限界があるため、油を充分に吸収す
ることができず、油を数回にわたって拭き取る等、やは
り手間がかかる欠点がある。
【0005】一方、従来のオイルフェンスは、上記のよ
うに、カポック繊維等の親油性の繊維を、専らその表面
が平面であるマット状にして形成されているため、油と
の接触面積に限界があり、吸油効率を上げるためにもカ
ポック繊維等の親油性の物質を、オイルフェンスの内部
等に存置せしめることが必須となる。また、その結果、
従来のオイルフェンスは、いずれも、カポック等の天然
繊維等の親油性の繊維自体に油を吸着させることによ
り、油を回収するものであるが、更に、効率よく油を吸
収することが望まれる。
【0006】特に、カポック等の天然繊維を用いたオイ
ルフェンスの場合、これらの天然繊維は、一般に短繊維
であるため、繊維相互が絡み合いにくい等成形加工が容
易ではなく、また、天然繊維自体では充分な強度を有し
ないため、熱可塑性繊維等の他の繊維等に熱融着したり
混合する必要があり、製造に手間がかかる欠点がある。
これは、通常オイルフェンス等が、回収等の際に破損し
ないよう高強度性等の一定の要件を具備することが要求
されるためであるが、その結果、総じて、比較的大掛か
りとならざるを得ず、家庭等の比較的簡易に油を処理す
ることが要求される場所にそのまま適用するには必ずし
も適切ではなかった。
【0007】このように、結局今までは、油を簡易にか
つ充分に吸収できると同時に、低いコストで容易に製造
でき、その結果、家庭等のように簡易に油を処理するこ
とが要求される場所にも適した油処理材はなかったのが
現状といえる。
【0008】本発明の目的は、上記の欠点を回避し、簡
易に使用することができつつ油を効率よく充分に吸収す
ることができると共に、容易に製造することができる油
吸収処理材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するための第1の手段として、相互に重着された複
数枚の透油性シート状基材から成り、このシート状基材
の少なくとも一方の面には油を保有すべき多数の油保有
空間を形成するようにエンボス加工が施され、且つシー
ト状基材は親油処理されていることを特徴とする油の吸
収処理材を提供するものである。このシート状基材とし
て特に不織布を用いることができる。
【0010】また、本発明は、上記の第1の手段におい
て、特に、油保有空間内に、ヤシ繊維又はヤシ繊維の粉
砕体、リンタ、カポック、高吸油性樹脂、パーライト等
の内少なくともいずれか1つの油吸収剤を封入し、ま
た、これらの油吸収剤自体も親油処理されていることを
特徴とする油吸収処理材を提供するものである。
【0011】更に、本発明は、上記の重着されたシート
状基材を複数段重合して形成されていることを特徴とす
る油吸収処理材を提供するものである。
【0012】
【作用】このように、親油処理されたシート状基材の少
なくとも一方の面に油を保有すべき多数の油保有空間を
形成するようにエンボス加工を施すと、実験の結果、油
に被せるという簡易な方法によるだけで、この油保有空
間内に親油性の物質を格別存置せしめなくても、油が透
油性シート状基材に吸い寄せられて油保有空間内に充分
に吸収されると共に、エンボス加工を施した結果透油性
シート基材と油との接触面積が大きくなるため、油を効
率よく吸収することができることが判明した。また、そ
の結果、構造が簡易となり、容易に低コストで製造する
ことができ、家庭等の比較的簡易に油を処理することが
要求される場所にも、充分に適応することができる。
【0013】また、上記第2の手段に示すように、油保
有空間内にヤシ繊維等の油吸収材を封入したり、これら
の油吸収材自体も親油処理すると、更に、油の保持能力
が高まる。この場合、着目すべきは、これらの油吸処理
材が成形加工が困難な性質を有する場合でも、単に封入
するだけであるため、容易に製造することができる。
【0014】更に、上記第3の手段に示すように、重着
されたシート状基材を複数段重合して形成すると、油保
有空間の容積が大きくなるため、更に、油の吸収能力を
向上させることができる。
【0015】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明
すると、図1乃至図3は本発明の油吸収処理材10を示
し、この油吸収処理材10は、相互に重着された複数枚
の、図1乃至図3に示す実施例では、2枚の透油性シー
ト状基材12A、12Bから成っている。
【0016】これらのシート状基材12は、不織布等の
ように透油性を有する部材からなっている。このため、
図3に示すように、吸収すべき油14がこのシート状基
材12の内部まで浸透することができる。このように油
14がシート状基材12の内部まで浸透することができ
れば、不織布の材料は、特に問わず、例えば、ポリエス
テル樹脂等の極細繊維等、各種の素材を用いることがで
きる。また、このシート状基材12として用いられる不
織布は、これらのポリエステル繊維等の極細繊維をニー
ドルパンチ等により相互に絡み合わせる機械結合法、接
着法またスパンボンド法等の各種の方法により製造され
る。なお、透油性を充分に確保することができれば、複
数の不織布を積層することによりシート状基材12を形
成してもよい。
【0017】2枚のシート状基材12A、12Bの少な
くとも一方の面には、図2及び図3に示すように、油1
4を保有すべき多数の油保有空間16を形成するように
エンボス加工が施され、エンボス部12aと平面部12
bが成形される。従って、このエンボス加工が施された
面を有する一方のシート状基材12Aは、その面が全て
平面である場合に比し、吸収すべき油14との接触面積
が大きくなり、効率よく油14を吸収することができ
る。このエンボス加工は、一方のシート状基材12Aを
プレス等の適宜な手段により波付けして、施すことがで
きる。
【0018】これらの2枚のシート状基材12A、12
Bは、図2及び図3に示すように、エンボス加工を施し
た一方のシート状基材12Aのうちエンボス加工が施さ
れていない平面部12bを、他方のシート状基材12B
に固着することにより、相互に重着され、これにより一
方のシート状基材12Aのエンボス部12aと、他方の
シート状基材12Bとの間で多数の油保有空間16が形
成される。この重着は、具体的には、縫製したり、接着
剤を塗布後乾燥させたり、ホットメルト剤により相互に
熱融着すること等の適当な手段により行うことができ
る。なお、油保有空間16を形成するためのエンボス加
工は、上述したように重着前に予めシート状基材12に
施しておく他、この重着を行う際に、一方のシート状基
材12Aの一部を、他方のシート状基材12Bの一部に
重着することにより同時に行ってもよい。
【0019】シート状基材12A、12Bは、吸収すべ
き油14の捕捉性を高めるため、いずれも親油処理され
ている。この親油処理としては、具体的には、紙製品に
対する撥水加工剤を用いるのが好ましく、具体的には、
東燃株式会社の商品名「SIGMA COAT 25
0」を用いることが望ましい。この「SIGMA CO
AT 250」は、高級脂肪酸を重合乃至縮合し、樹脂
化したワックス類を主成分とし、補助剤として乳化剤を
添加し、水性化した乳剤であり、シート状基材12への
付着は、シート状基材12にスプレー等により塗布する
か、又は「SIGMA COAT 250」にシート状
基材12を浸漬させた後、余剰分を除去し、最後にシー
ト状基材12を構成する不織布等の繊維の溶融温度以下
の比較的高温で乾燥させることにより行う。なお、この
親油処理は、不織布をシート状基材12に形成した後に
行ってもよいし、また、予め親油処理した不織布を用い
てシート状基材12を形成してもよい。
【0020】この場合、「SIGMA COAT 25
0」は、親油処理される対象物の表面に皮膜を形成し対
象物の透油性、通気性を遮断する従来のシリコン系化合
物、フッソ系化合物、ワックス類、ワックス系化合物、
金属石鹸系製剤等の従来の親油処理剤と異なり、親油処
理の対象であるシート状基材12の不織布等を構成する
各繊維の表面に皮膜状に付着するため、シート状基材1
2の有する透油性を阻害することなく親油処理すること
ができる。また、この「SIGMA COAT250」
は、液体であり様々な物質に付着することにより透油性
を害することなく親油処理することができるため、対象
物が特に限定されることなく強度等を考慮して広くシー
ト状基材12を構成する不織布等の材料を選定すること
ができ、またその結果、シート状基材12は必ずしも、
そのもの本来の属性として親油性を有しているカポック
等の天然繊維、またポリエステル等の合成ポリマ繊維の
如き固体的な親油性の物質から作ることが要求されるも
のではない。その結果、製造にも手間がかからず、低コ
ストで製造することができる。
【0021】なお、この「SIGMA COAT 25
0」は、融点の高い樹脂類を主成分としているため、加
熱下でもその親油性が変化することなく、従って、本発
明の油吸収処理材10を高温の油14の処理にも使用す
ることができる。また、「SIGMA COAT 25
0」は、天然の脂肪酸が主成分であるため、有害性がな
く、油14の吸収処理後、油吸収処理材10を焼却した
場合にも問題は少ない。更に、これは、優れた親油効果
を有するので、使用に際しては10倍〜30倍の高率に
希釈して用いることができるため、コストも抑えること
ができる利点がある。
【0022】以上にように本発明の油吸収処理材10
は、シート状基材12を親油処理すると共に、この親油
性及び透油性を有するシート状基材12により油保有空
間16を形成しているため、吸収すべき油14に被せる
という簡易な方法によるだけで、シート状基材12の親
油性により油14が吸い寄せられて、その透油性により
油14がシート状基材12の内部にまで浸透し、油14
の分子同士が相互に引きつけ合い、シート状基材12に
より形成された油保有空間14内に保持される。この場
合、特に、油保有空間14内に、カポック等の親油性の
固体的物質が格別存置しなくても、油を充分に吸収する
ことができ、また、従来のオイルフェンス等と異なり、
繊維自体が吸着するだけでなく、油保有空間16内に保
持されるため、充分に油14を吸収することができる。
【0023】なお、油保有空間16を形成するシート状
基材12のエンボス部12aは、エンボス加工を施す際
に、自己保型性を保持することができる程度の大きさに
形成することが望ましい。具体的には、図1に示す各エ
ンボス部12aにより形成される油保有空間16の大き
さは、幅t(図1参照)が約5mm、長さl(図1参
照)が約35mmに設定されており、勿論この数値に限
定されるものではないが、この程度の自己保型性を有す
る大きさとすることが望ましい。これは、例えば、図4
(A)に示すように、大きな油保有空間16を確保する
ため、エンボス部12aによってではなくシート状基材
12に中空部15を設け、この中空部15をもって油保
有空間16とすることも考えられるが、この場合、シー
ト状基材12が油14を吸収した場合、図4(B)に示
すようにシート状基材12の自重によってこの中空部1
5により形成された油保有空間16が潰れて油保有空間
16内の油を絞り出すおそれがあるからである。
【0024】また、この油保有空間16を形成するエン
ボス部12aは、図1に示す実施例では、相互に整列し
て配置された略長方形の形状に形成されているが、油1
4との接触面積を更に大きし油14の吸収効率を一層向
上するために、図5(A)及び(B)に示すように、曲
線状に形成してもよい。更に、図1乃至図3に示す実施
例では、一方のシート状基材12Aにのみエンボス加工
を施したが、一層多量の油14を吸収するために、図6
に示すように、シート状基材12の両面にエンボス加工
を施して、多数の油保有空間16を形成してもよい。こ
の場合、図6(A)に示すように、平面状のシート基材
12Cを挟んで両面にそれぞれエンボス加工を施した2
枚のシート状基材12A及び12Bを重着してもよい
し、また、図6(B)に示すように、それぞれエンボス
加工が施された2枚のシート状基材12A及び12Bの
平面部12bを直接相互に重着することにより形成して
もよい。なお、図6(C)に示すように、エンボス加工
が施された2枚のシート状基材12A及び12Bを、そ
の平面部12bを整列させることなく相互にずらして、
平面状のシート状基材12Cの両面に重着してもよい。
【0025】次に、本発明の他の実施例について図7を
参照して説明すると、この実施例では、油保有空間16
内に、油吸収剤18を封入している。この油吸収剤18
は、油保有空間16内における油14の吸収能力を一層
向上し、油保有空間16内に油14をより確実に吸収、
保持する機能を有する。この場合、油吸収剤18は、シ
ート状基材12に熱融着、混合等することなく、単に油
保有空間16内に封入されるだけであるため、例えば、
カポック等の成型が困難な油吸収剤18を用いても、容
易に製造することができる。この油吸収剤18として
は、例えば、ヤシ繊維又はヤシ繊維の粉砕体、リンタ、
カポック、高吸油性樹脂、パーライト等を用いることが
できる。これらの油吸収剤18は、いずれも充分な油吸
収作用を有し、また軽量であるため、油保有空間16内
に封入するのに適している。なお、これらの油吸収剤1
8は、それぞれ単独で用いるほか、例えば、ヤシ繊維と
リンタを混入する等2種以上を複合して用いてもよい。
【0026】ここに、ヤシ繊維は、ヤシの果実の果皮を
切削する等して機械的に採取され、また、ヤシ繊維の粉
砕体は、このヤシ繊維を粉砕することにより生成する
か、また、ヤシ繊維を採取する際に生じる残渣を利用す
ることができる。リンタは、陸地メン、インドメン等の
綿の種子繰綿機で長繊維を採取した後に、なお種子の表
面に残る長さ3mm〜5mmの短繊維である。このリン
タは、繰綿機に似た脱リンタ機で、種子から採取され
る。カポックは、パンヤ科に属するカポック樹の果実の
果皮の内壁に生じた長さ15mm〜30mmの毛を採取
した短繊維である。これらの天然繊維は、短繊維で賦形
等の加工が困難であるが、本発明の場合、これらを、格
別加工することなく単に油保有空間16内に封入するだ
けで、これらの親油作用を発揮させることができる。
【0027】また、高吸油性樹脂としては、例えば、日
本触媒化学工業株式会社製のものがあり、同社が提供す
る粒状固体タイプの高吸油性樹脂等を用いることができ
る。更に、パーライトは、真珠岩、松脂岩、黒曜石等を
粉砕した後、約900〜1100℃で焼成し該岩石中に
含まれる発砲成分(構造水)によって膨張させることに
より得られる中空体である。
【0028】なお、これらヤシ繊維等の油吸収剤18自
体も、上述した「SIGMA COAT 250」等に
より親油処理することにより、更に油14を効率よく充
分に吸収して、油14を油保有空間16内に、一層確実
に保持することができる。これらの油吸収剤18の親油
処理は、シート状基材12の場合と同様、「SIGMA
COAT 250」を塗布又は浸漬することにより行
うことができる。
【0029】本発明の更に他の幾つかの実施例を図8乃
至図10を参照して説明すると、これらの実施例では、
油吸収処理材10は重着されたシート状基材12を複数
段重合して形成されている。これにより、一層多数の油
保有空間16を確保して油保有空間16の容積を大きく
することができるため、油14の吸収能力を向上させる
ことができる。この場合、図8に示すように、下方のシ
ート状基材12のエンボス部12aを有するシート状基
材12Aの上に、上方のシート状基材12´の平面状シ
ート基材12´Bを重合してもよいし、また、図9に示
すように、上下のシート状基材12、12´のエンボス
部12aと平面部12bを相互に互い違いに噛み合わせ
るようにして重合してもよい。また、使用場所等に応じ
て、図10に示すように、シート状基材12を渦巻き状
に巻いて多段にして用いることもできる。
【0030】最後に、本発明の油吸収処理材10の用
途、使用状態等について説明すると、例えば、適宜な大
きさに裁断して、台所等の家庭等において布巾、雑巾の
ように用いたり、鍋の中の油の上に被せたり等の簡易な
方法で油を処理することができる。また、家庭や工場等
の排水口等に配置して、排水から油分のみを分離して、
回収することに用いることもできる。また、工場等にお
ける機械の潤滑用又は作動用等の油の処理にも用いるこ
とができる。更に、オイルセパレータ等のフィルタ類と
して用いることもできる。本発明の油吸収処理材10
は、このような比較的簡易に油を処理することが要求さ
れる場所に用いるのに適する一方、将来的には、次に述
べるように、比較的多量の油を大掛かりに回収、処理す
ることにも対応することが期待できる。
【0031】すなわち、強度や焼却した場合の有害性等
を考慮してシート状基材12を構成する不織布の材料等
を選定することにより、海域等の広大な場所における油
の回収にも対応することが期待される。具体的には、タ
ンカー等の船舶事故に伴い流出した油の回収や、養殖場
や海水浴場等への油の流入の防止等に用いることが考え
られる。
【0032】なお、本発明の油吸収処理材10により油
14を吸収して回収した後は、そのまま油吸収処理材1
0を捨ててもよいし、また、加圧することにより油14
を油吸収処理材10から分離して、油14を再利用して
もよい。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、上記のように、親油処
理されたシート状基材の少なくとも一方の面に油を保有
すべき多数の油保有空間を形成するようにエンボス加工
を施しているため、油に被せるという簡易な方法による
だけで、この油保有空間内に親油性の物質を格別存置せ
しめなくても、油が透油性シート状基材に吸い寄せられ
て油保有空間内に充分に吸収されると共に、エンボス加
工を施した結果透油性シート基材と油との接触面積が大
きくなるので、油を効率よく吸収することができる実益
がある。また、その結果、構造が簡易となり、容易に低
コストで製造することができ、家庭等の比較的簡易に油
を処理することが要求される場所にも、充分に適応する
ことができる。
【0034】また、本発明によれば、上記のように、油
保有空間内にヤシ繊維等の油吸収材を封入したり、これ
らの油吸収材自体も親油処理しているため、更に、油の
保持能力が高まる実益がある。この場合、着目すべき
は、これらの油吸処理材が成形加工が困難な性質を有す
る場合でも、他の繊維等の担持体に熱融着等したりマッ
ト状に賦形することなく、単に封入するだけであるた
め、容易に製造することができる利点がある。
【0035】更に、本発明によれば、上記のように、重
着されたシート状基材を複数段重合して形成しているた
め、油保有空間の容積が大きくなり、更に油の吸収能力
を向上させることができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油吸収処理材の上面図である。
【図2】本発明の油吸収処理材の横断面図である。
【図3】本発明の油吸収処理材が油を吸収した状態を示
す横断面図である。
【図4】図4(A)はシート状基材に設けられた中空部
により油保有空間を形成した場合のシート状基材の横断
面図、図4(B)は図4(A)に示すシート状基材によ
り油を吸収した場合の状態を示す横断面図である。
【図5】エンボス加工が曲線状に形成された実施例の上
面図である。
【図6】シート状基材の両面にエンボス加工が施された
実施例の横断面図である。
【図7】油保有空間に油吸収処理材が封入された実施例
の横断面図である。
【図8】シート状基材を複数段重合して形成された実施
例の横断面図である。
【図9】シート状基材を複数段重合して形成された他の
実施例の横断面図である。
【図10】シート状基材を巻き回してロール状に形成し
た実施例の斜視図である。
【符号の説明】
10 油吸収処理材 12 シート状基材 12a エンボス部 12b 平面部 14 油 16 油保有空間 18 油吸収剤

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に重着された複数枚の透油性シート
    状基材から成り、前記シート状基材の少なくとも一方の
    面には油を保有すべき多数の油保有空間を形成するよう
    にエンボス加工が施され、且つ前記シート状基材は親油
    処理されていることを特徴とする油吸収処理材。
  2. 【請求項2】前記シート状基材は不織布であることを特
    徴とする請求項1に記載の油吸収処理材。
  3. 【請求項3】 前記油保有空間内に油吸収剤が封入され
    ていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    油吸収処理材。
  4. 【請求項4】 前記油吸収剤は親油処理されていること
    を特徴とする請求項3に記載の油吸収処理材。
  5. 【請求項5】 前記油吸収剤がヤシ繊維又はヤシ繊維の
    粉砕体、リンタ、カボック、高吸油性樹脂、パーライト
    の少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求
    項3又は請求項4に記載の油吸収処理材。
  6. 【請求項6】 前記重着されたシート状基材を複数段重
    合して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請
    求項5のいずれかに記載の油吸収処理材。
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