JPH07106029B2 - 自動電圧調整装置用シミユレ−タ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明はプラントシミュレータ装置に係り、特に水力発
電プラントにおける自動電圧調整装置の故障訓練に適し
た自動電圧調整装置用シミュレータ装置に関する。

（従来の技術） 最近の各種プラントはディジタル制御技術の発展並びに
計算機の適用範囲の拡大に伴って大規模化し且つ高機能
化しており、重電部門においても特に発電プラントは火
力，原子力プラントが大形化している。これに対し水力
発電プラントでは揚水発電プラントがその主流をなして
おり、その規模も大容量化してきている。また、揚水発
電プラントの運転形態は発電運転，揚水運転，調相運
転，試送電運転と多様化しており、それぞれの運転にお
いても始動制御，流量制御，自動周波数（AFC）制御，
自動負荷（ALR）制御，無効電力（AQR）制御，単独運転
制御，プログラム運転制御等と各種の自動制御が適用さ
れて完全自動化の傾向にある。したがって、これらの運
転制御に必要な制御装置は複雑化し、高機能化してきて
いる。

ところで、水力発電所は無人化されており、常時の運転
操作は遠方制御所から一人の運転員による制御で行なわ
れているため、発電機電圧を制御する自動電圧調整装置
が故障したり、また点検時に発電所で手動運転を行なう
場合には、運転員は日頃の訓練により適切な処理ができ
るように自動電圧調整装置の内容を良く理解しておく必
要がある。

従来、かかる運転訓練を目的としたものとしてプラント
シミュレータ装置が使用されているが、このプラントシ
ミュレータ装置はポンプ水車や発電電動機等に関してダ
イナミックモデル化し、例えばポンプ水車の流量や発電
電動機の各種電気量や自動電圧調整装置の定量的なデー
タをCRT等の表示装置に表示したり、監視制御盤上の計
器から読取るようにしたものである。

しかし、このようなプラントシミュレータ装置は表示装
置や計器を通しての単なる制御ブロック図や図面による
学習を行なうだけのものであり、自動電圧調整装置の故
障を模擬して監視制御盤上の計器により故障時の主機状
態を確認したり、その原因を発見することはできなかっ
た。

（発明が解決しょうとする問題点） このように従来のプラントシミュレータ装置は自動電圧
調整装置の定量的なデータに基く単なる制御ブロック図
や図面による学習が実態であり、自動電圧調整装置の故
障時の主機状態の確認やその原因の発見を臨場感をもっ
て訓練できるものではなかった。

そこで本発明は発電機電圧を一定に制御する自動電圧調
整装置の故障を模擬し、その故障状態を模擬盤に表示さ
せて自動電圧制御装置故障時の主機の動きを訓練すると
共に故障原因を発見させる訓練を臨場感をもって行なう
ことができる自動電圧調整装置用シミュレータ装置を提
供することを目的とする。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） 本発明は上記目的を達成するため、プラント状態を監視
制御する模擬盤と、電圧設定器，電圧調整器等各種のア
ナログ基板から構成され発電機の界磁電流を調整して発
電機電圧を一定にする自動電圧調整装置と、この自動電
圧調整装置の模擬故障を設定する故障設定装置と、シー
ケンス制御回路およびプラントの各種電気量等の状態を
模擬してその模擬量を前記模擬盤に送出し且つ前記故障
設定装置により模擬故障が設定されると前記自動電圧調
整装置の故障箇所に応じた主機状態を模擬して前記模擬
盤に表示させるプラントシミュレータ装置と、前記自動
電圧調整装置の各種アナログ基板に電源を与える模擬電
源装置およびこの模擬電源装置より電源が与えられた状
態で前記自動電圧制御装置の各種アナログ基板の電流チ
ェック、電圧チェック等を行って模擬故障箇所を検索す
る手段を備えたハード試験装置とから構成したものであ
る。

したがって、上記のような構成の自動電圧調整装置用シ
ミュレータ装置にあっては、自動電圧調整装置の故障訓
練の時故障設定装置により自動電圧調整装置の模擬故障
を設定すれば、プラントシミュレータ装置により模擬盤
に主機状態を模擬すると共に自動電圧調整装置内の模擬
故障に応じた主機状態を実現できるので、ハード試験装
置で自動電圧調整装置内の各種アナログ基板の電流チェ
ックや電圧チェック等の検索を行なうことで故障箇所を
臨場感をもって発見する訓練ができることになる。

（実施例） 以下本発明の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図は本発明による自動電圧調整装置用シミュレータ
装置の基本構成を示すもので、１は主機の状態を監視制
御する模擬盤、２はシーケンス制御回路およびプラント
の状態を模擬してその模擬量を模擬盤に送出するプラン
トシミュレータ装置、３は後述する自動電圧調整装置の
模擬故障を設定する故障設定装置、４は発電機の界磁電
流を調整して発電機電圧を一定にする自動電圧調整装
置、５は自動電圧調整装置４の故障箇所を検索するハー
ド試験装置である。

第２図は第１図に示す基本構成に基く実施例を示すもの
である。第２図に示すように模擬盤１はプラントの状態
を監視制御するためのスイッチ６や計器７等を備えたも
のである。プラントシミュレータ装置２はシーケンス制
御回路およびプラントの各種電気量や機械量のデータを
模擬するプラント条件シミュレータ部８と前述した模擬
盤１に対してプラントデータをインターフェースする入
出力部９とから構成されている。故障設定装置３は詳細
を後述する自動電圧調整装置４の故障訓練時に各種アナ
ログ基板の故障箇所を設定するためのスイッチ10から構
成されている。自動電圧調整装置４は各種アナログ基板
からなり、発電機の界磁電流を調整して発電機電圧を一
定にする自動電圧調整部11と前述した故障設定装置３に
より自動電圧調整部11の基板故障を模擬する継電器部12
から構成されている。ハード試験装置５は模擬電源装置
13やテスタ14等を備えて自動電圧装置４の故障箇所を検
出するためのものである。

ここで、第２図で示した故障設定装置3,一般的な自動電
圧調整装置４の内部構成およびハード試験装置５の詳細
を第３図に示す回路図により説明する。第３図に示すよ
うに故障設定装置３に設けられている故障設定スイッチ
A₀,B₀,C₀,D₀,E₀は自動電圧調整装置４内に設けられてい
る故障設定用継電器A,B,C,D,Eにそれぞれ直列にして制
御電源母線P,Nに接続されている。この自動電圧調整装
置４内には電圧調整器基板15,電圧設定器基板16,パルス
発振器基板17および電源装置19が設けられ、またハード
試験装置５内には模擬電源装置20および発電機の界磁電
流を制御するためのサイリスタ装置18が設けられてお
り、電圧調整器基板15に模擬電源装置20の出力電圧（発
電機電圧）が故障設定用継電器Ａの常閉接点Abを介して
入力されると共に電圧調整器基板16の出力信号が故障設
定用継電器Ｂの常閉接点Bbを介して入力される。また、
電圧調整器基板15の出力信号は故障設定用継電器Ｃの常
閉接点Cbを介してパルス発振器基板17に入力され、この
パルス発振器17の出力信号はサイリスタ装置18に入力さ
れる。さらに模擬電源装置20の出力電圧は故障設定用継
電器Dbを介して電源装置19に入力され、この電源装置19
でレベル変換された制御電源電圧は故障設定用継電器Ｅ
の常閉接点Ebを介して自動電圧調整装置４内の各基板に
それぞれ与えられるようになっている。

次に上記のように構成された自動電圧調整装置用プラン
トシミュレータ装置の作用について述べる。まず、模擬
盤１上のスイッチ６をオン操作すると、プラントシミュ
レータ装置２のプラント条件シミュレータ部８ではプラ
ントの制御過程や発電機電圧，主機回転数等各種プラン
トの状態を模擬し、その模擬量は入出力部９を通して模
擬盤１上の計器７に表示される。ここで、インストラク
ターが故障設定装置３の任意の故障設定用スイッチ，例
えば故障設定用スイッチC₀をオン操作して電圧調整器基
板15の故障を設定すると、故障設定用継電器Ｃが動作し
てその常閉接点Cbが開路する。この場合、プラントシミ
ュレータ装置２には自動電圧調整装置４と同等の制御回
路がダイナミックモデル化されているため、故障設定用
スイッチC₀により電圧調整器基板15の故障が設定される
とこの故障設定用スイッチC₀と連動する図示しない接点
から得られる出力信号が故障設定装置３からプラントシ
ミュレータ装置２の入出力部９を介してプラント条件シ
ミュレータ部８に入力される。このプラント条件シミュ
レータ部８では自動電圧調整装置４内の電圧調整器基板
15の故障によるプラント状態を模擬し、前述した模擬盤
１上の計器７に表示させたり、図示しない故障表示器を
動作させる。このような状態の元で訓練者が自動電圧調
整装置４の故障箇所を検索するには、まずハード試験装
置５の模擬電源装置20から出力電圧を電源装置19に入力
して制御電源を活かす。また、訓練者はある発電機電圧
に相当する電圧を模擬電源装置20から自動電圧調整装置
４内の電圧調整器基板15に故障設定用継電器Ａの常閉接
点Abを介して入力する作業を行なう。次に訓練者はテス
タ等を用いて各種基板の出力電圧を計測して故障箇所の
追及を行なう。ここでは故障設定用継電器Ｃの常開接点
Cbが開路しているので、パルス発振器17の入力電圧がな
いことをチェックすることにより電圧調整器基板15の故
障を発見することができる。

以上は故障設定装置３により自動電圧調整装置４内の電
圧調整器基板の模擬故障を設定した場合の説明である
が、他の模擬設定用スイッチにより電圧設定器基板16や
電源装置19の模擬故障を設定した場合においても前述同
様の訓練を行なうことができる。

なお、上記実施例では故障設定装置３の操作を故障設定
用スイッチを操作することにより説明したが、このスイ
ッチの代わりにCRT操作卓のキーボードを使用し、この
キーボードから得られるデータをプラントシミュレータ
装置２に入力し、さらにプラントシミュレータ装置２か
ら出力変換器を介して自動電圧調整装置４内の故障設定
用継電器を動作させても前述同様に実施できるものであ
る。

［発明の効果］ 上述べたように本発明によれば、プラント状態を監視制
御する模擬盤と、電圧設定器，電圧調整器等各種のアナ
ログ基板から構成され発電機の界磁電流を調整して発電
機電圧を一定にする自動電圧調整装置と、この自動電圧
調整装置の模擬故障を設定する故障設定装置と、シーケ
ンス制御回路およびプラントの各種電気量等の状態を模
擬してその模擬量を前記模擬盤に送出し且つ前記故障設
定装置により模擬故障が設定されると前記自動電圧調整
装置の故障箇所に応じた主機状態を模擬して前記模擬盤
に表示させるプラントシミュレータ装置と、前記自動電
圧調整装置の各種アナログ基板に電源を与える模擬電源
装置およびこの模擬電源装置より電源が与えられた状態
で前記自動電圧制御装置の各種アナログ基板の電流チェ
ック、電圧チェック等を行って模擬故障箇所を検索する
手段を備えたハード試験装置とから構成したものであ
る。従って、プラントシミュレータ装置によりプラント
状態を模擬し、その模擬量が模擬盤上に表示されるの
で、訓練者はプラント全体の動きを見ることができると
共に故障設定装置により適宜設定された自動電圧調整装
置の故障箇所の検索時試験用の電線の配線を行なって現
場での実際の作業と同様にテスタ等で各種アナログ基板
電圧を測定しながら故障箇所の追及ができるので、自動
電圧調整装置故障時の主機の動きを訓練すると共に故障
原因を発見させる訓練を臨場感をもって効果的に行なう
ことができる自動電圧調整装置用シミュレータ装置を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による自動電圧調整装置用シミュレータ
装置の基本構成を示すブロック図、第２図は本発明の一
実施例を示す構成図、第３図は同実施例における故障設
定装置，自動電圧設定装置およびハード試験装置の内部
構成とその接続構成を詳細に示す回路図である。 １……模擬盤、２……プラントシミュレータ装置、３…
…故障設定装置、４……自動電圧調整装置、５……ハー
ド試験装置、６……スイッチ、７……計器、８……プラ
ント条件シミュレータ部、９……入出力部、10……故障
設定スイッチ部、11……自動電圧調整部、12……継電器
部、13……模擬電源装置、14……テスタ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 二三男 東京都港区芝浦一丁目１番１号 株式会社 東芝本社事務所内 (56)参考文献 特開 昭58−224527（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プラント状態を監視制御する模擬盤と、電
   圧設定器、電圧調整器等各種のアナログ基板から構成さ
   れ発電機の界磁電流を調整して発電機電圧を一定にする
   自動電圧調整装置と、この自動電圧調整装置の模擬故障
   を設定する故障設定装置と、シーケンス制御回路および
   プラントの各種電気量等の状態を模擬してその模擬量を
   前記模擬盤に送出し且つ前記故障設定装置により模擬故
   障が設定されると前記自動電圧調整装置の故障箇所に応
   じた主機状態を模擬して前記模擬盤に表示させるプラン
   トシミュレータ装置と、前記自動電圧調整装置の各種ア
   ナログ基板に電源を与える模擬電源装置およびこの模擬
   電源装置より電源が与えられた状態で前記自動電圧制御
   装置の各種アナログ基板の電流チェック、電圧チェック
   等を行って模擬故障箇所を検索する手段を備えたハード
   試験装置とからなる自動電圧調整装置用シミュレータ装
   置。