JPH07105968A - 溶融炭酸塩型燃料電池とその製造方法及びその運転方法 - Google Patents

溶融炭酸塩型燃料電池とその製造方法及びその運転方法

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JPH07105968A
JPH07105968A JP5251657A JP25165793A JPH07105968A JP H07105968 A JPH07105968 A JP H07105968A JP 5251657 A JP5251657 A JP 5251657A JP 25165793 A JP25165793 A JP 25165793A JP H07105968 A JPH07105968 A JP H07105968A
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fuel cell
sodium
molten carbonate
carbonate
gas
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JP5251657A
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Seiji Yoshioka
省二 吉岡
Yoji Fujita
洋司 藤田
Kenro Mitsuta
憲朗 光田
Hiroaki Urushibata
広明 漆畑
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エネルギー変換効率に優れ、長時間電池特性
を高く保つことが可能な溶融炭酸塩型燃料電池を得る。 【構成】 常圧または高圧で動作する溶融炭酸塩型燃料
電池の酸化剤ガス中の酸素濃度を高く設定した。また、
燃料ガス中の水素濃度を低く設定した。また、酸化剤電
極として、ナトリウム、コバルト、ニッケルを含む複合
酸化物を用いた。また、電解質としてリチウム、ナトリ
ウム炭酸塩にストロンチウム、カルシウム、バリウム、
マグネシウムの炭酸塩のうち少なくとも1つを含むもの
を用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶融炭酸塩型燃料電池に
関するものである。さらに詳しくは安定性に優れた溶融
炭酸塩型燃料電池の運転方法、酸化剤電極の材料と製造
方法及び電解質の材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水素と酸素を電気化学反応を利用して、
高効率で電気エネルギーに変換できる燃料電池には用い
る電解質の種類によってリン酸型、溶融炭酸塩型、固体
電解質型、固体高分子型などがある。
【0003】電解質が650℃で液体となるアルカリ金
属の炭酸塩を用いる燃料電池は溶融炭酸塩型燃料電池と
呼ばれ、一般に燃料電極、電解質マトリクス、酸化剤電
極から構成されている。燃料電極にはニッケル等の遷移
金属の多孔性燒結体が用いられており、酸化剤電極には
燃料電極と同様に高い電子伝導性を有するニッケル等の
酸化物多孔体が用いられている。また、電解質マトリク
スにはLiAlO2 粒子の焼結体に電解質を含浸させて
用いられている。電解質にはリチウム、カリウムの炭酸
塩の2元系が主として用いられており、それらの組成比
はイオン導電率を高く、かつ融点を電池の動作温度であ
る650℃より低くする必要から共晶塩組成またはその
組成に近い炭酸塩が用いられている。特に酸化剤電極の
電極反応速度の点からはリチウム、カリウム炭酸塩が有
利であり、広く用いられている。実用に供せられる溶融
炭酸塩型燃料電池は一般に燃料電極、酸化剤電極で電解
質マトリクスを挟み、重ね合わせて単電池とし、セパレ
ーターと呼ばれるステンレス/ニッケル薄板と単電池と
を順次、直列に複数個積み重ねた構造となっている。
【0004】溶融炭酸塩型燃料電池の燃料ガスとしては
メタンガスと水蒸気またはメタンを改質器を用いて水蒸
気改質した水素、二酸化炭素、水蒸気を主成分として供
給し、酸化剤ガスとしては酸素、窒素、二酸化炭素を含
むガスが用いられている。燃料電極で電極反応に関与す
る化学種は水素、二酸化炭素及び水蒸気である。これら
の組成比の違いによってガスの熱力学的な物性が異な
り、燃料ガス中の水素濃度が高いほど電池特性は高くな
る。一方、酸化剤ガスについては酸素、二酸化炭素濃度
が高いほど電池特性は高くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】溶融炭酸塩型燃料電池
は運転圧力が高いほど高い特性を示す。これは水素、酸
素及び二酸化炭素の分圧が運転圧力と共に高くなるから
である。そのため、1気圧を越える高圧での運転は電池
特性を高くするのに有効な手段である。
【0006】しかし、リチウム化ニッケル酸化物を主成
分とする従来の酸化剤電極では、酸化剤ガス中の二酸化
炭素と反応して酸性溶解反応により電解質マトリクス中
にニッケルイオンとなって溶けだし、燃料電極側から拡
散してくる水素によってマトリクス中で還元/析出さ
れ、析出した金属ニッケルが電池の両電極を短絡させ、
電池特性を低下させると共に短絡電流により発電効率が
低下するという問題があった。この酸化剤電極の酸性溶
解反応は二酸化炭素分圧に比例して増大するため、高圧
力運転においてはこの分圧が必然的に高くなるので、特
に高圧運転下での溶融炭酸塩型燃料電池の短絡による寿
命は、常圧と比較して短くなるという問題があった。
【0007】また、リチウム、カリウム炭酸塩を主成分
とする電解質を用いた場合、その酸性度が高いため、酸
化剤電極の酸性溶解反応が促進されるという問題があっ
た。
【0008】本発明は電池寿命に係わる問題点に対して
なされたものであり、高圧下における溶融炭酸塩型燃料
電池を長時間にわたって高い特性に維持することのでき
る安定性に優れた溶融炭酸塩型燃料電池を実現すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る溶
融炭酸塩型燃料電池の運転方法は、常圧または高圧運転
における酸化剤ガス中の酸素濃度を15容積%以上60
容積%以下の組成にしたものである。
【0010】請求項2の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池の運転方法は、常圧または高圧運転における燃料ガス
中の水素濃度を30容積%以上50容積%以下にしたも
のである。
【0011】請求項3の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池は、酸化剤電極材料としてリチウム化ニッケル酸化物
に替えて、電解質マトリクスへの金属イオンの溶解量の
小さいナトリウム、コバルト複合酸化物またはナトリウ
ム、コバルト、ニッケル複合酸化物をリチウム化させた
ものを用いた。
【0012】請求項4の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池の製造方法は、酸化剤電極材料の構成材料としてナト
リウム、コバルトの複合酸化物、またはナトリウム、コ
バルト、ニッケルの複合酸化物を含む酸化剤電極の空孔
内にあらかじめ炭酸リチウムを含む炭酸塩を含浸させた
後、溶融炭酸塩型燃料電池を組み立て、酸素を含むガス
を酸化剤電極に供給して500℃以上に加熱することに
より、ナトリウム、コバルト複合酸化物またはナトリウ
ム、コバルト、ニッケル複合酸化物のリチウム塩を酸化
剤電極内に生じさせるようにしたものである。
【0013】請求項5の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池は、電解質材料として炭酸リチウムと炭酸ナトリウム
の2元系炭酸塩またはストロンチウム、マグネシウム、
バリウム、カルシウムのうち少なくとも1種類の炭酸塩
をリチウム、ナトリウム2元系炭酸塩に加えた3元系炭
酸塩を用いたものである。
【0014】請求項6の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池は、電解質材料としてリチウム、ナトリウム、マグネ
シウムの3元系炭酸塩を用いたものである。
【0015】
【作用】請求項1の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電池の
運転方法は、高圧下において酸化剤ガス中の酸素濃度を
高くすることにより、短絡による特性の低下を抑えるこ
とができるようにしたものである。酸素ガス濃度はニッ
ケルイオンの電解質へ溶解度に影響しないが、酸化剤ガ
ス中の酸素ガス濃度を高くすると、電解質への酸素の溶
解量が増加すると考えられ、そのためマトリクス中の酸
化雰囲気の領域が広くなり、マトリクス中のニッケルイ
オンが金属ニッケルに還元されにくい条件にすることが
できる。
【0016】請求項2の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池の運転方法は、高圧下において燃料ガス中の水素濃度
を低くすることにより、酸化剤ガスと同様に短絡による
特性の低下を抑えることができるようにしたものであ
る。水素の電解質マトリクス中への溶解度が低下し、還
元雰囲気の領域が狭くなり、電解質マトリクス中に溶出
した金属イオンが金属ニッケルに還元されにくい条件に
することができる。
【0017】請求項3の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池は、ナトリウム、コバルト複合酸化物またはナトリウ
ム、コバルト、ニッケル複合酸化物を酸化剤電極材料に
用いることによって電解質マトリクス中に溶出する金属
イオンの量が減少し、短絡による特性低下を遅延させる
ことができるようにしたものである。これはナトリウ
ム、コバルト複合酸化物の酸性溶解反応の生成物である
金属イオンがニッケルイオンに比べて溶解度が低いため
と考えられる。
【0018】請求項4の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池の製造方法は、ナトリウム、コバルト複合酸化物また
はナトリウム、コバルト、ニッケル複合酸化物に電池組
立後、電子伝導性を持たせ、酸化剤電極として機能させ
るためのリチウム化を簡単に行えるようにしたものであ
る。
【0019】請求項5の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池は電解質材料として、炭酸リチウムと炭酸ナトリウム
の2元系炭酸塩またはストロンチウム、マグネシウム、
バリウム、カルシウムのうち少なくとも1種類の炭酸塩
をリチウム、ナトリウム2元系炭酸塩に加えた3元系炭
酸塩を用いるようにしたもので、塩基度が高くなり、金
属イオンの溶解度が低くなる。そのため酸化剤電極の溶
出を抑えることが可能になる。また、一般にリチウム、
ナトリウム系電解質での酸化剤電極反応は、常圧ではス
ーパーオキサイドパスで進行するのに対し、高圧下では
電池特性に有利なパーオキサイドパスで酸化剤電極反応
が進行するためと考えられるため、圧力を上げることに
よる電池特性の向上が従来のリチウム、カリウム系電解
質よりも大きくなる。
【0020】請求項6の発明に係る溶融炭酸塩型燃料電
池は電解質材料として、リチウム、ナトリウム、マグネ
シウムの3元系炭酸塩を用いるようにしたもので、塩基
度が高くなり、金属イオンの溶解度が低くなる。そのた
め酸化剤電極の溶出を抑えることが可能になる。
【0021】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図に基づいて説
明する。図1は本発明の一実施例の溶融炭酸塩型燃料電
池の構成を示す斜視図である。図において1は酸化剤電
極であり、ニッケル金属の粉体を水素雰囲気下で焼成し
た空孔率80%のニッケル多孔体を酸化剤電極としたも
のである。2は燃料電極で、ニッケルーアルミ合金粉体
を酸化剤電極と同様にして焼成したのち空孔率60%に
調整したものである。3は電解質マトリクスでリチウム
アルミネートを有機物バインダーと共にシート成形した
ものである。電解質マトリクス3を酸化剤電極1、燃料
電極2で挟み、さらにその上下に燃料極集電板4と酸化
剤電極集電板5とで押さえつけて一体化したものを酸化
剤電極マニホールド6と呼ばれる酸化剤ガスが流れるフ
レームと燃料電極マニホールド7の間に組み込まれる。
6、7のマニホールドは腐食を抑制するため大気と接触
する部分にはアルミコーティング処理をし、耐食性のあ
るアルミの酸化物層を設けている。8は熱電対孔で電池
の温度を650℃一定に保つために熱電対を挿入するた
めのものである。酸化剤電極の酸化及びリチウム化は電
池昇温と同時に行った(in-situ酸化)。電解質マトリ
クスは、電解質の溶融しない300℃前後で有機物を焼
き飛ばしセラミック多孔焼結体とした。電解質の量は両
電極および電解質マトリクスの多孔度から計算される空
孔体積の62%になるようにした。
【0022】上記のように構成した溶融炭酸塩型燃料電
池単セルを650℃で動作させた。燃料ガス組成として
水素/二酸化炭素/水蒸気=72/18/10の割合と
し、燃料利用率40%@150mA/cm2 で連続発電
試験を行った。図2はこの時の電池特性である。図にお
いて9は開回路電圧(無負荷時の電池電圧)、10は電
池の負荷特性で電池の経時変化特性を示している。溶融
炭酸塩型燃料電池が酸化剤電極の溶解が原因で短絡が発
生した時、図2に示されるように電池特性が低下する。
短絡による寿命は電池電圧が10mV低下した時とし
た。電池特性が低下する原因は短絡以外に電池抵抗の経
時的な増加や燃料ガス、酸化剤ガスの漏れによっても引
き起こされるため、これらの要因を抵抗測定、ガス分析
で補正して短絡発生時間を見積もった。
【0023】実施例2.以下、実施例2について説明す
る。試験には図1に示す溶融炭酸塩型燃料電池単電池を
用いて、短絡による寿命の酸化剤ガス中の酸素濃度依存
性を試験した。図3は酸化剤ガス中の酸素濃度と短絡に
よる寿命の関係を示したものである。運転圧力は11で
示される常圧(気圧)、12で示される3気圧、13で
示される9気圧の3通りの条件で行った。また、それぞ
れに対してパラメーターである酸化剤ガス中の酸素濃度
を15%、40%、60%に変えた試験を行った。この
時、酸化剤ガス中の二酸化炭素濃度は30%一定とし、
窒素で100%とした。また、試験を効率よく行うため
に、短絡が早く発生するように電解質マトリクスは0.
5mmの薄いものを用いた。3気圧と9気圧の試験は溶
融炭酸塩型燃料電池全体を窒素で満たした筺体と呼ばれ
る密閉容器に入れて試験を行った。燃料ガスと酸化剤ガ
スは電解質マトリクスで隔離されているが、その間に圧
力差が生じるとガスの電解質マトリクスを通してガスリ
ークが起こる。従って高圧力運転では、燃料ガス、酸化
剤ガスそして筺体中のガスの圧力差を±1mmAq以下
に制御した。
【0024】以下、酸素濃度の効果の詳細について説明
する。常圧、高圧どちらの場合でも酸化剤ガス中の酸素
濃度が高いほど短絡発生時間は遅延することを確認し
た。酸素はヘンリーの法則によって、その分圧に比例し
て電解質マトリクスに溶解する。溶解酸素種は燃料電極
で電解質に溶解し、拡散してきた水素と反応して水にな
ると考えられる。酸素の溶解度は水素の1/10程度で
あるため電解質マトリクス中でのニッケルが析出しない
酸化雰囲気の領域は小さい。酸素濃度を増加させること
によって、この領域を広げることができる。
【0025】実施例3.以下、実施例3について説明す
る。試験には図1に示す溶融炭酸塩型燃料電池単電池を
用いて、短絡による寿命の燃料ガス中の水素濃度依存性
を試験した。図4に燃料ガス中の水素濃度と短絡による
寿命の関係を示した。運転圧力は14で示される常圧
(気圧)、15で示される3気圧、16で示される9気
圧の3通りの条件で行った。また、それぞれに対してパ
ラメーターである燃料ガス中の水素濃度を30%、40
%、50%に変えた試験を行った。この時、燃料ガス中
の二酸化炭素濃度は水素濃度に対し、1/4とし、水蒸
気量は全体の10%とし、窒素で100%とした。
【0026】以下、酸素濃度の効果の詳細について説明
する。常圧、高圧どちらの場合でも燃料ガス中の水素濃
度が低いほど短絡発生時間は遅延することを確認した。
水素の酸素同様はヘンリーの法則によって、その分圧に
比例して電解質マトリクスに溶解する。溶解水素種は酸
化剤電極で電解質に溶解し、拡散してきた水素と反応し
て水になると考えられる。水素濃度を低下させることに
よって、還元領域を減少させ、ニッケルが析出しない酸
化雰囲気の領域を相対的に広げることができる。
【0027】実施例4.以下、実施例4における酸化剤
電極材料としてのナトリウム、コバルト複合酸化物の製
造法を説明する。酸化コバルト(Co34) と炭酸ナ
トリウム(Na2CO3) の粉末を出発原料物質とし
た。これらを2対3のモル比で混合し、両者が均一に分
散するように自動式乳鉢で6時間程度混ぜ合わせた。こ
れを空気中950℃で5時間焼成した後、ボールミルで
平均粒径が5μm程度になるまで粉砕した。こうして合
成した複合酸化物はX線回折分析による定性分析からN
aCoO2、NaCo24、Na3Co48、Na3Co5
10等を含んでいることが確認された。この合成反応は
一般に Co34+3X/2 Na2Co3 → 3NaxCoO2+3X/2 CO2 ・・・・ (1) (1)式のように表される。そして有機系のバインダー
と混ぜ合わせたスラリーからシート状に成形した後、バ
インダーを300℃で焼き飛ばし溶融炭酸塩型燃料電池
の酸化剤電極に供した。
【0028】実施例5.以下、実施例5における酸化剤
電極材料としてのナトリウム、コバルト、ニッケル複合
酸化物の製造法を説明する。まず、実施例4と同じ方法
でナトリウム、コバルト複合酸化物粉末を作製し、これ
にニッケル金属粉末を混合し、ナトリウム、コバルト、
ニッケルのモル比が2対3対2の原料粉末を調整した。
これを有機系のバインダーと混ぜ合わせたスラリーから
シート状に成形した後、バインダーを300℃で焼き飛
ばし溶融炭酸塩型燃料電池の酸化剤電極に供した。
【0029】実施例6.以下、実施例6について説明す
る。図5は実施例4、実施例5で作製した溶融炭酸塩型
燃料電池の酸化剤電極の組立図である。18で示される
電解質マトリクスを19の酸化剤電極と20の燃料電極
で挟んだ構造となっている。一般に酸化剤電極は酸化雰
囲気で用いられるために金属酸化物が用いられるが、電
子伝導率が低いので、リチウム化して抵抗の低いリチウ
ム塩にしてはじめて燃料電池の酸化剤電極として使用す
ることができる。リチウム化のために17の酸化剤電極
の空孔の中に炭酸リチウムを含む炭酸塩を含浸させ、昇
温時に電解質の溶融する約500℃以上でリチウム化さ
せた。
【0030】実施例7.以下、実施例7について説明す
る。溶融炭酸塩型燃料電池の電解質として炭酸リチウム
と炭酸ナトリウムのモル比として53対47、58対4
2の2通りを用いて高圧単電池発電試験を行った。運転
終了後、電解質マトリクス中に析出したニッケルを原子
吸光分析法で分析した。通常用いられる炭酸リチウム、
炭酸カリウム共晶塩の場合、3気圧(二酸化炭素分圧は
0.9気圧)で運転した場合、ニッケルの析出速度は1
2μg/cm2 hrであるが、リチウム、ナトリウム系
の場合、ニッケルの析出量は6.2μg/cm2 hrに
減少した。全圧が5気圧または9気圧で運転した場合に
もニッケルの析出量は炭酸リチウム、炭酸カリウム共晶
塩系と比較して約1/2に減少した。
【0031】実施例8.以下、実施例8について説明す
る。実施例7で用いた炭酸リチウムと炭酸ナトリウムの
モル比53対47の共晶塩に5モル%のアルカリ土類金
属炭酸塩を混合した電解質を用いた。用いたアルカリ土
類金属炭酸塩はストロンチウム、マグネシウム、バリウ
ム、カルシウムの炭酸塩である。この3元系炭酸塩の製
法について説明する。炭酸リチウムと炭酸ナトリウムの
モル比53対47の共晶塩と、アルカリ土類金属炭酸塩
を真空乾燥器で2時間乾燥した後、自動乳鉢で3時間湿
度20%の乾燥質中で混合し、坩堝に入れ、空気/二酸
化炭素雰囲気の電気炉で900℃で溶融させた。自然に
冷却した後、ボールミルで粉砕して電解質に供した。
【0032】上記の3元系電解質を用いて常圧、高圧で
溶融炭酸塩型燃料電池試験を行った。運転終了後、電解
質マトリクス中に析出したニッケルを原子吸光分析法で
分析した結果、3気圧(二酸化炭素分圧は0.9気圧)
で運転した場合、ニッケルの析出速度は3.0μg/c
2 hrに減少した。全圧が5気圧または9気圧で運転
した場合にもニッケルの析出量は炭酸リチウム、炭酸カ
リウム共晶塩系と比較して約1/4に減少した。
【0033】図6は運転圧力と電池電圧の関係を示した
ものである。21は炭酸リチウム、炭酸ナトリウム系の
電解質を用いた場合であり、22は炭酸リチウム、炭酸
カリウム系の電解質を用いた結果である。圧力増加によ
る電圧の上昇(圧力ゲイン)は炭酸リチウム、炭酸ナト
リウム系の電解質を用いた方が大きかった。この電解質
の酸化剤電極反応速度はリチウム/カリウム系に比べて
遅いのは常圧での現象であり、高圧では同等かもしくは
早いと考えられる。
【0034】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、高圧下において酸化剤ガス中の酸素濃度を高くする
ようにしたので、短絡による特性の低下を抑える効果が
ある。
【0035】また、請求項2の発明によれば、高圧下に
おいて燃料ガス中の水素濃度を低くするようにしたの
で、酸化剤ガスと同様に短絡による特性の低下を抑える
効果がある。
【0036】また、請求項3の発明によれば、ナトリウ
ム、コバルト複合酸化物またはナトリウム、コバルト、
ニッケル複合酸化物を酸化剤電極材料に用いるようにし
たので電解質マトリクス中に溶出する金属イオンの量が
減少し、短絡による特性低下を遅延させる効果がある。
【0037】また、請求項4の発明によれば、ナトリウ
ム、コバルト複合酸化物またはナトリウム、コバルト、
ニッケル複合酸化物を含む酸化剤電極の空孔内にあらか
じめ炭酸リチウムを含む炭酸塩を含浸させた後、溶融炭
酸塩型燃料電池を組み立て、酸素を含むガスを500℃
以上に加熱することにより、ナトリウム、コバルト複合
酸化物またはナトリウム、コバルト、ニッケル複合酸化
物のリチウム塩を酸化剤電極内に生じさせるようにした
ので、酸化剤電極として機能させるためのリチウム化を
簡単に行える効果がる。
【0038】請求項5の発明によれば、炭酸リチウムと
炭酸ナトリウムの2元系炭酸塩またはストロンチウム、
マグネシウム、バリウム、カルシウムのうち少なくとも
1種類の炭酸塩をリチウム、ナトリウム2元系炭酸塩に
加えた3元系炭酸塩を電解質として用いるようにしたの
で、酸化剤電極の溶出を抑える効果がある。また、圧力
を上げることによる電池特性の上昇が従来のリチウム、
カリウム系電解質よりも大きくできる効果がある。
【0039】請求項6の発明によれば、リチウム、ナト
リウム、マグネシウムの3元系炭酸塩を電解質として用
いるようにしたので酸化剤電極の溶出を従来よりも大幅
に低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による溶融炭酸塩型燃料電
池の構成を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施例1の溶融炭酸塩型燃料電池の
経時変化特性である。
【図3】この発明の実施例2によるNi短絡の影響を示
す寿命曲線である。
【図4】この発明の実施例3によるNi短絡の影響を示
す寿命曲線である。
【図5】この発明の実施例6による溶融炭酸塩型燃料電
池の断面図である。
【図6】この発明の実施例8による溶融炭酸塩型燃料電
池の電圧ー圧力特性図である。
【符号の説明】
1 酸化剤電極 2 燃料電極 3 電解質マトリクス 4 燃料電極集電板 5 酸化剤電極集電板 6 酸化剤電極マニホールド 7 燃料電極マニホールド 8 熱電対挿入孔 9 開回路電位(無負荷時の電池電圧) 10 電池特性(負荷時の電池電圧) 11 常圧運転における短絡寿命依存性 12 3気圧運転における短絡寿命依存性 13 9気圧運転における短絡寿命依存性 14 常圧運転における短絡寿命依存性 15 3気圧運転における短絡寿命依存性 16 9気圧運転における短絡寿命依存性 17 酸化剤電極中の空孔 18 電解質マトリクス 19 酸化剤電極 20 燃料電極 21 リチウム/ナトリウム炭酸塩電解質の圧力ゲイン 22 リチウム/カリウム炭酸塩電解質の圧力ゲイン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 漆畑 広明 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料ガスと酸化剤ガスとを供給して常圧
    または高圧で運転され、酸化剤ガスに少なくとも酸素及
    び二酸化炭素を含む溶融炭酸塩型燃料電池において、上
    記燃料電池に供給する酸化剤ガス中の酸素ガス濃度を1
    5容積%以上60容積%以下としたことを特徴とする溶
    融炭酸塩型燃料電池の運転方法。
  2. 【請求項2】 燃料ガスと酸化剤ガスとを供給して常圧
    または高圧で運転され、燃料ガスに少なくとも水素、二
    酸化炭素及び水蒸気を含む溶融炭酸塩型燃料電池におい
    て、上記燃料電池に供給する燃料ガス中の水素ガス濃度
    を30容積%以上50容積%以下としたことを特徴とす
    る溶融炭酸塩型燃料電池の運転方法。
  3. 【請求項3】 燃料電極、電解質マトリクス、酸化剤電
    極を有する溶融炭酸塩型燃料電池において、酸化剤電極
    の構成材料としてナトリウム、コバルトの複合酸化物、
    またはナトリウム、コバルト、ニッケルの複合酸化物を
    用いることを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池。
  4. 【請求項4】 構成材料としてナトリウム、コバルトの
    複合酸化物、またはナトリウム、コバルト、ニッケルの
    複合酸化物を含む酸化剤電極の空孔内にあらかじめ炭酸
    リチウム含む炭酸塩を含浸させた後、溶融炭酸塩型燃料
    電池を組み立て、酸素を含むガスを酸化剤電極に供給し
    て500℃以上に加熱することにより、ナトリウム、コ
    バルト複合酸化物またはナトリウム、コバルト、ニッケ
    ル複合酸化物のリチウム塩を酸化剤電極内に生じさせる
    ことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池の製造方法。
  5. 【請求項5】 1気圧を越える高圧で運転される溶融炭
    酸塩型燃料電池において、電解質としてリチウム、ナト
    リウムの2元系炭酸塩またはストロンチウム、マグネシ
    ウム、バリウム、カルシウムのうち少なくとも1種類の
    炭酸塩をリチウム、ナトリウム2元系炭酸塩に加えた3
    元系炭酸塩を用いたことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料
    電池。
  6. 【請求項6】 常圧で運転される溶融炭酸塩型燃料電池
    において、イオン導電体である電解質としてリチウム、
    ナトリウム、マグネシウムの3元系炭酸塩を用いたこと
    を特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池。
JP5251657A 1993-10-07 1993-10-07 溶融炭酸塩型燃料電池とその製造方法及びその運転方法 Pending JPH07105968A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009272185A (ja) * 2008-05-08 2009-11-19 Central Res Inst Of Electric Power Ind 溶融炭酸塩形燃料電池の電極及びこれを有する溶融炭酸塩形燃料電池
KR101041237B1 (ko) * 2008-12-31 2011-06-14 두산중공업 주식회사 용융탄산염 연료전지의 제조방법

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