JPH0710540A - 八面体モレキュラーシーブの水熱合成法 - Google Patents

八面体モレキュラーシーブの水熱合成法

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JPH0710540A
JPH0710540A JP6064990A JP6499094A JPH0710540A JP H0710540 A JPH0710540 A JP H0710540A JP 6064990 A JP6064990 A JP 6064990A JP 6499094 A JP6499094 A JP 6499094A JP H0710540 A JPH0710540 A JP H0710540A
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JP6064990A
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Chi-Lin O'young
チン−リン・オユン
Yan-Fei Shen
ヤン−フェイ・シン
Richard Paul Zerger
リチャード・ポール・ゼルガー
Steven Lawrence Suib
スティーブン・ローレンス・スイブ
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 第一マンガン塩と過マンガン酸塩との混合物
を調製し、これを熟成し、実質的に無塩素化し、マグネ
シウム塩によってイオン交換し、ついでろ過、洗浄、高
圧処理によって酸化マンガン水和物を水熱合成する方
法。 【効果】 モレキュラーシーブ様のトンネル構造を有す
るマンガン酸化物系化合物を合成できる。生成物は優れ
た結晶度と熱安定性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然の鉱物であるトド
ロキ石(todorokite)およびホランド石(hollandite)の構
造に等しい、主にマンガン酸化物類からなる八面体モレ
キュラーシーブの合成に関する。
【0002】
【従来の技術】ホランド石(BaMn816)、クリプ
トメレーン(cryptomelane )(KMn816)、マンジ
ロー石(manjiroite)(NaMn816)およびコロナ
ド石(coronadite)(PbMn816)はすべて、三次元
骨組みのトンネル構造をもつ、天然に産出するマンガン
鉱物である。この構造は、辺を共有して二重鎖を形成す
るMnO6 八面体からなり、その二重鎖の八面体が隣接
する二重鎖との間で頂部を共有して、2×2トンネル構
造を形成している。これらのトンネルの大きさは5.4
6Å×5.46Åである。Ba、K、NaおよびPbの
イオンがトンネル中に存在し、二重鎖の酸素に配位され
ている。トンネルカチオンの種が、鉱物の種類を決定す
る。このような鉱物は、ホランド石−ロマンカイト(rom
anechite)の仲間に属している。
【0003】ゼオライト類およびゼオライト様の物質
は、周知のモレキュラーシーブである。これらの物質
は、四面体配位種TO4 (T=Si、Al、P、B、B
e、Gaなど)を基本構造単位として用いている。そし
て、二次構成単位(SBU)を介することにより、異な
る細孔構造をもつ多様な骨組みが構築される。四面体と
同様に、八面体を基本構造単位として用いて、八面体モ
レキュラーシーブ(OMS)を形成することもできる。
【0004】以下、2×2トンネル構造をもつ物質をホ
ランド石といい、それぞれをトンネルイオンの種によっ
て識別する。このような鉱物は、一般式: A2-y Mn816・xH2 O (式中、Aは対イオン(アルカリ金属もしくはアルカリ
土類金属またはPb+2)であり、MnはMn+4およびM
+2を表し、xは6〜10であり、yは0.8〜1.3
である)の構造を特徴とすることができる。
【0005】これらの物質は、そのトンネル構造のた
め、形状選択性触媒およびモレキュラーシーブとして使
用することができる。K−ホランド石およびBa−ホラ
ンド石については、合成が成功したと報告されている
(Paridaらの「Chemical Composition, Microstructure
and other Characteristics of some Synthetic MnO2
ofVarious Crystalline Modifications」Electrochimic
a Acta, Vol. 26, pp. 435-443 (1981)ならびにStrob
el らの「Thermal and Physical Properties of Hollan
dite-Type K1.3Mn8O16 and (K, H3O)xMn8O16 」J. Soli
d State Chemistry, Vol. 55, pp. 67-73(1984)に論
述)。しかし、これらの合成法は信頼性がなく、この分
野の専門家たちは、相当な困難を経験してきた。
【0006】Villa らは、「Co-Mn-Ti-K Oxide System
s」Applied Catalysis, Vol. 26, pp. 161-173 (198
6)において、Mnを他の元素と組み合わせて含む酸化
物系の合成について論じている。
【0007】Torardi らは、「Hydrothermal Synthesis
of a New Molybdenum Hollandite」Inorganic Chemist
ry, Vol. 23, pp. 3281-3284 (1984)において、塩基
性K2 MoO4 溶液とMo金属との水熱反応による、ホ
ランド石型モリブデン化合物(K2 Mo816)の合成
について論じている。
【0008】ホランド石は、トンネル構造(「骨組み水
和物」とも記されている)をもつ含水酸化マンガンの仲
間であって、MnがMn+4および他の酸化状態として存
在することができ、トンネルが大きさおよび形状におい
て異なり、種々の一価もしくは二価のカチオンがトンネ
ル中に存在しうる含水酸化マンガンの仲間を代表するも
のである。このようなカチオンは、場合によってはトン
ネルを形成、支持するのに役立つこともできる。Clearf
ieldは、「Role of Ion Exchange in Solid-State Chem
istry 」Chemical Reviews, Vol. 88, pp. 125-131(19
88)において、トンネル構造をもつ種々の含水酸化マン
ガンを記載している。軟マンガン鉱(pyrolusite)または
β−MnO2 は、MnO6 八面体1個分のみの方形(1
×1)の、すなわち約2.73Å平方のトンネルを有
し、一方、ラムスデル鉱(ramsdellite) MnO2 におい
ては、これらの八面体は、約2.73Å×5.46Åの
(2×1)トンネルを形成している。ヌスタイト(横須
賀石、nsutite )、すなわちγ−MnO2 は、軟マンガ
ン鉱とラムスデル鉱との連晶として記され、同様に(2
×1)トンネルを有している。硬マンガン鉱(psilomela
ne) Ba2 Mn510・xH2 Oおよびロマンカイト
(硬マンガン鉱の化学式中のBa+2に代えてK+をも
つ)は、セルのb軸に平行な、約5.46Å×8.19
Åの(3×2)トンネルを有している。トドロキ石(N
a,Ca,Mn)Mn37 ・xH2 Oは、約8.19
Å平方の(3×3)トンネルおよび単斜晶セルを有して
いる。トドロキ石およびその他の種類は、Turnerらによ
り「Todorokites: A New Family of Naturally Occurri
ng Manganese Oxides 」Science, May 29, 1981, pp. 1
024-1026に記載されている。この文献には、トドロキ石
がしばしば高濃度の銅およびニッケルを含有する深海の
マンガン団鉱中に発見されるため、「より小さな遷移元
素が八面体骨組み中のMn+2に置換することがありうる
と考えられる」と記述されている。同文献はまた、その
ような酸化マンガン構造に対する新規な部分名称法T
(m,n)(Tがトンネル構造を示し、(m,n)がト
ンネルの寸法を表す)を提案している。この表記法で
は、連晶を支配する共通の寸法(m)をまず掲げ、次に
可変性の寸法(n)を表す。
【0009】D. C. Goldenらは、Science, 231.717(19
86)にトドロキ石の合成を開示している。
【0010】以下、(3×3)トンネル構造をOMS−
1といい、(2×2)トンネル構造をOMS−2とい
う。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】(2×2)ホランド石
に加えて、これらのトンネルまたは骨組み水和物の多く
は、分離・吸収剤物質または触媒物質に使用されうる可
能性を有している。したがって、それらを製造するため
の、信頼性のある体系的な合成方法が望まれる。本発明
の目的は、そのようなトンネル構造を有するマンガン酸
化物系水和物の有利な合成方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】広い表面積(少なくとも
300m/g )および良好な結晶度(鮮明なX線回折パタ
ーン)をもつ、ホランド石のような酸化マンガン水和物
を合成することができる新規な水熱合成法が見出され
た。
【0013】本発明によると、酸化マンガン水和物を水
熱合成する方法であって、(a)第一マンガン塩(Mn
+2塩)と過マンガン酸塩との混合物を調製し、(b)該
混合物を熟成させ、(c)該混合物を実質的に無塩素化
し、(d)該混合物をマグネシウム塩でイオン交換し、
(e)該イオン交換した物質をろ過、洗浄、高圧処理し
て該生成物を形成することを含む方法が提供される。
【0014】反応条件、たとえば第一マンガン塩イオン
と過マンガン酸塩イオンとの比率、温度およびpHを変化
させると、軟マンガン鉱、ヌスタイト、ロマンカイト、
トドロキ石およびホランド石として知られるものをはじ
めとする、種々の構造の酸化マンガン水和物を製造する
ことができる。さらに本発明によると、特許請求する方
法によって製造される合成結晶質酸化マンガン水和物が
得られ、この生成物は、その構造において天然に産出す
る種々の鉱物に類似しているが、それらを上回る純度と
結晶度を有するものである。
【0015】上記の方法において述べた反応体に加え、
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のイオン、テト
ラアルキルアンモニウムイオンまたは有機ポリマー鎖の
ような物質から選択される任意の鋳型物質(template)を
用いて、このような生成物を形成することもできる。特
定の好ましい実施態様においては、生成物は、本明細書
にはホランド石構造として記す2×2トンネル構造をも
つものである。
【0016】本発明によると、可溶性の第一マンガン塩
と過マンガン酸塩とを、目的の酸化マンガン水和物を製
造するのに効果的な温度、圧力およびpHの条件下に反応
させる。これらの条件は、異なる構造をもつそのような
鉱物を製造する場合には変化させる。反応混合物をオー
トクレーブのような密閉系または容器に入れて加熱し、
所与の温度により、反応を所望の時間内に完了させるの
に効果的な、予測しうる程度の自然発生圧を生じさせ
る。本願において、用語「オートクレーブ」は、所与の
温度で安定した予測しうる自然発生圧を生じさせる密閉
反応系を示す総称的な意味で用いる。
【0017】反応体としては、一般に、好適な可溶性第
一マンガン塩を、無機物か有機物かにかかわらず、本発
明の方法に用いることができる。好適な塩には、たとえ
ば、硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩および有機酸の塩、た
とえば酢酸塩がある。ここでは、実施例において効果的
に使用することができたため、硫酸塩、硝酸塩および酢
酸塩が好ましい。一般に、過マンガン酸塩は、ナトリウ
ム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウムお
よびバリウムの過マンガン酸塩をはじめとする、アルカ
リ金属もしくはアルカリ土類金属の塩であることができ
る。アンモニウム塩またはテトラアルキルアンモニウム
塩をはじめとする過マンガン酸塩を使用することもでき
る。しかし、対イオンまたは過マンガン酸塩イオンは、
場合によっては、過マンガン酸塩を可溶化するためのビ
ヒクル以上のものになる。カリウムおよびバリウムのよ
うな大きめの対イオンは、結晶化のための鋳型として働
き、特定の酸化マンガン水和物、特にホランド石のトン
ネル構造中に残る。したがって、過マンガン酸塩の対イ
オンは、選択を容易にして、ホランド石のような目的の
生成物を形成、安定化するか、あるいは、効果を小さく
して(ナトリウムおよびマグネシウムのような小さめの
アルカリ土類金属カチオンの場合)他の好ましい構造を
形成させたり、対イオン以外の鋳型物質を反応体溶液に
作用させたりするかのいずれかに応じて選択することが
できる。このようにして用いることができるアルカリ金
属およびアルカリ土類金属のカチオンのイオン半径を、
以下の表に示す。
【0018】
【表1】
【0019】過マンガン酸塩イオンの第一マンガン塩イ
オンに対するモル比〔MnO4 -〕/〔Mn+2〕(簡便に
〔Mn+7〕/〔Mn+2〕と表すこともできる)は、生成
物の性質を決定する要因もしくはパラメータの一つであ
り、広くは0.2〜3.0、好ましくは0.25〜0.
5、最も好ましくは0.3〜0.4の範囲であることが
できる。好ましい実施態様においては、この比率は、ト
ドロキ石を製造する場合には0.3〜0.4、ホランド
石を製造する場合には0.2〜1.4、ホランド石とヌ
スタイトとの混合物を製造する場合には1.75〜2.
2、そしてヌスタイトを製造する場合には2.5〜3で
あることができる。
【0020】反応混合物のpHおよび反応温度は相関した
パラメータであり、これらのパラメータを〔MnO4 -
/〔Mn+2〕比および鋳型物質の性質に関連させて変化
させ、生成物の構造および品質に影響を及ぼすことがで
きる。図5は、種々の条件下で確認された結果、および
そのような条件をわずかに変化させて反応させた場合に
予想される結果に基づいて、特定の構造が形成されると
予想しうるところの領域を表す、温度に対するpHのプロ
ットを示す。本明細書に記載された特定の実施例の場合
の条件をもプロットしている。一般に、pHが5を越える
と結晶質構造よりも非晶質物質が形成しやすくなるた
め、pHは4.5未満であるべきである。pHは、好ましく
は0〜4、より好ましくは0.5〜2の範囲である。ホ
ランド石の製造には、ここでは1〜3のpH範囲が好まし
い。少なくとも13の高いpHでは、トドロキ石が形成さ
れる。
【0021】反応温度は、40〜255℃の広い範囲を
用いることができ、この温度範囲の低い方の限界を越え
て低いときは、反応速度が落ちる傾向がある。図5に見
ることができるように、結晶質生成物を製造するのに効
果的なpH範囲にあるならば、40〜70℃の範囲の温度
でヌスタイト構造を製造することができるであろう。ヌ
スタイト構造は、一般に低い結晶度を有するが、(1x
n)の寸法(基本単位寸法は酸化マンガン八面体であ
り、nは1または2の整数であることができる)のトン
ネルを特徴とする構造を含有する。また、適切なpHが与
えられるならば、本発明の方法を70〜155℃の温度
で実施して、ホランド石構造(2×2)の物質を製造す
ることができる。ホランド石の製造の場合、温度は、好
ましくは80〜120℃、最も好ましくは90〜110
℃の範囲であり、トドロキ石の製造の場合、温度は13
0〜170℃であることができる。適切なpH範囲にある
ならば、約155〜255℃の温度範囲で反応を実施し
て、軟マンガン鉱(1×1)構造を製造することができ
る。
【0022】トドロキ石を合成する方法においては、第
一マンガン塩は、MnCl2 、Mn(NO32 、Mn
SO4 およびMn(CH3 COO)2 からなる群より選
択することができる。過マンガン酸塩は、NaMnO
4 、KMnO4 、CsMnO4、Mg(MnO42
Ca(MnO42 およびBa(MnO42 からなる
群より選択することができる。
【0023】本発明による塩基性物質は、KOH、Na
OHおよびテトラアルキルアンモニウム水酸化物からな
る群より選択することができる。ろ過した物質をイオン
交換するのに使用されるマグネシウム塩は、MgCl
2 、Mg(CH3 COO)2 およびMgSO4 からなる
群より選択することができる。好ましいマグネシウム塩
はMgCl2 である。
【0024】本発明の方法によると、イオン交換した物
質を、100〜200℃で少なくとも10時間、好まし
くは130〜170℃で2〜5日間、高圧処理すること
ができる。
【0025】塩基性物質は一般に少なくとも7日間熟成
させる。本発明の方法によって得られる生成物であるト
ドロキ石は、式 Mm+ a Mn2+ b Mn4+ c12・xH2 O (式中、Mm+は+1または+2の金属イオンであり、a
は0〜2.0であり、bは0〜2.0であり、cは4.
0〜6.0であり、xは4.47〜4.55である)で
示されるものである。
【0026】1×1〜3×3のトンネルをもつ構造を本
発明の方法によって合成する場合には、種々の有機鋳型
物質を用いることができる。好ましい群の有機鋳型物質
は、アルキル基が炭素原子1〜約5個を有することがで
きるテトラアルキルアンモニウム塩より選択する。カチ
オンに関連するアルキル基は、同じものでも異なるもの
でもよく、その構造が直鎖状でも分岐状でもよい。メチ
ル、エチルまたはプロピルを含むカチオンが、ここでは
好ましい。アニオンは、必要な可溶性を可能にする好適
な無機または有機のイオン(たとえば酢酸塩)であるこ
とができ、反応を妨害することなく溶液中に残るか、場
合によっては、過マンガン酸塩に用いられたカチオンと
で沈殿物(たとえばBaSO4 )を形成するかのいずれ
かである。アニオンの例は、ハロゲン化物、水酸化物、
重硫酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩などである。
【0027】これらの物質は、ルイス酸座およびブレン
ステッド酸座を包含する酸座を有している。考えられる
用途には、異性化および重合のような、酸を触媒とする
反応がある。酸化マンガン物質は周知の酸化触媒であ
り、同時係属中の米国特許出願第08/092,103
号に報告されたメタン活性化実験は、(C3 〜C5 )炭
化水素へのカップリングをOMS−1の使用によって向
上しうることを示唆している。また、OMS−1による
6.9Åもの大きさの炭化水素の吸着が実証されてい
る。吸着の分野の他の用途には、分離における用途を包
含する。
【0028】同様に有機鋳型物質として有用なものは、
合成ポリマーを含むポリマー鎖、たとえば、Daniels ら
により「Cationic Polymer as Templates in Zeolite C
rystallization」J. Am. Chem. Soc., Vol. 100, pp. 3
097-3100(1978)においてカチオン性ポリマー、第四ア
ンモニウムポリマーおよびイオネンポリマーとして記載
されているものである。下記の構造を有する好ましいポ
リマーは、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オク
タンとブロモアルカンBr(CH2n Br(nは3、
4、5、6または14であることができる)との反応に
よって合成される。
【0029】
【化1】
【0030】このようなカチオンポリマーおよびゼオラ
イト合成のための鋳型物質としてのそれらの用途は、さ
らに、Davis らにより「Synthesis of Gmelinite and Z
SM-12 Zeolites with a Polymer Template」J. Chem. S
oc., Chem. Commun. 1988, pp. 920-921に記載されてい
る。
【0031】OMS−1およびOMS−2の二つの構造
は類似しているが、その合成はまったく異なる。OMS
−1の合成には、層状のマンガン酸化物類を先駆体とし
て使用する。OMS−2および層状物質は、Mn+2およ
びMnO4 -の酸化還元反応によって製造する。生成物
は、反応条件、すなわち温度、溶液のpH、MnO4 -/M
+2の比率、鋳型物質、反応時間によって異なる。生成
物の純度は、X線回折(XRD)、TEM、熱重量分析
(TGA)、フーリエ変換赤外分光(FTIR)および
吸着性の研究によって分析する。
【0032】本発明による合成物は、D. C. Goldenらに
よりScience 231,717 (1986)に報告されている、30
0℃までしか熱的に安定を保つことができないものより
も高い熱安定性を示す。天然のトドロキ石は500℃ま
で安定であるが、天然物質の純度は疑わしい。この物質
は、トドロキ石の先駆体であるバーネス石(birnessite)
およびブセライト(buserite)のような層状物質を含み、
トドロキ石に類似したXRDパターンを有するかもしれ
ない。本方法に基づく合成物質は、TGAおよびXRD
の結果によると、良好な結晶度および熱安定性を有して
いる。
【0033】トドロキ石はまた、以下の条件のもとで合
成することができる。
【0034】1.Mn+2塩は、Mn(NO32 、Mn
SO4 およびMn(CH3 COO)2 のような好適な可
溶性第一マンガン塩であることができる。
【0035】2.塩基性物質は、KOHおよびテトラア
ルキルアンモニウム水酸化物のような可溶性の無機また
は有機塩基であることができる。
【0036】3.酸化剤は過マンガン酸塩、H22
よびO2 であることができる。好ましい酸化剤は、Na
MnO4 、KMnO4 、CsMnO4 、Mg(MnO
42、Ca(MnO42 およびBa(MnO42
のような過マンガン酸塩である。
【0037】4.過マンガン酸塩を使用するならば、M
nO4 -/Mn+2のモル比は0.25〜0.50、好まし
くは0.3〜0.4である。
【0038】5.懸濁液のpHは少なくとも13である。
【0039】6.懸濁液の熟成は、室温で少なくとも8
時間であることができる。好ましい熟成期間は少なくと
も7日間である。
【0040】7.マグネシウム塩(Mg+2塩)は、Mg
Cl2 、Mg(CH3 COO)2 またはMgSO4 のよ
うな好適な可溶性塩であることができる。
【0041】8.オートクレーブ温度は100〜200
℃、好ましくは130〜170℃である。
【0042】9.高圧処理の時間は少なくとも10時
間、好ましくは2〜5日間である。
【0043】
【発明の効果】本発明の水熱合成法により、各種の原料
比と反応条件を用いることによって、各種のトンネル構
造を有するマンガン酸化物系水和物を合成することがで
きる。本発明によって合成された物質は、高い純度、優
れた結晶度および熱安定性を有し、各種物質の吸着およ
び分離、ならびに反応触媒として有用である。
【0044】
【実施例】以下の実施例によって、本発明をさらに説明
する。
【0045】実施例1 トドロキ石の合成 5.0MのNaOH溶液50mlを、激しく攪拌しながら
0.50M のMnCl2 溶液40mlに加えて、室温でM
n(OH)2 のゾルを形成した。別に、0.1MのMg
(MnO42 溶液40mlを、攪拌しながらゾルに滴下
した。懸濁液の最終pHは約13.8であった。この懸濁
液を室温で8日間熟成させたのち、固形物質をろ過し、
塩素が検出されなくなるまで水洗した。この物質を、
1.0MのMgCl2 1リットルにより、室温で10時
間イオン交換した。イオン交換した生成物をろ過し、水
洗したのち、155℃で10時間、高圧処理した。高圧
処理した生成物をろ過し、水洗したのち、室温で乾燥さ
せた。
【0046】XRDおよびTGAを使用して、合成した
物質の結晶度および熱安定性を研究した。図3は、種々
の焼成温度で合成したトドロキ石のXRDを示す。9.
5Åおよび4.7Åのピークは、(100)および(2
00)面に特徴的な反射である。9.5Åのピーク強度
は焼成温度とともに低下している。500℃の焼成温度
では、ピークの強度は小さい。この結果は、天然のトド
ロキ石の場合と合致している。図4は、合成されたトド
ロキ石のTGAを示す。水が、まず400℃に達する前
に除かれる。この物質は500℃まで熱的に安定を保
つ。それ以上の温度では、天然のトドロキ石と同様に、
酸素の共存による変化および構造的変形により、Mn4+
が減少する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホランド石の三次元骨組みトンネル構造(2×
2)を示す図である。
【図2】トドロキ石の三次元骨組みトンネル構造(3×
3)を示す図である。
【図3】100℃(A)、200℃(B)、300℃
(C)、400℃(D)および500℃(E)で焼成し
た合成トドロキ石のXRDパターンを示すグラフであ
る。
【図4】合成したトドロキ石のTGAを示すグラフであ
る。
【図5】温度およびpHがマンガン酸化物モレキュラーシ
ーブの合成に及ぼす影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヤン−フェイ・シン アメリカ合衆国、コネチカット 06268、 ストーズ、ノースウッド・アパートメンツ 22 (72)発明者 リチャード・ポール・ゼルガー アメリカ合衆国、カンサス 67460、マク ファーソン、ルート 1、ボックス 33 (72)発明者 スティーブン・ローレンス・スイブ アメリカ合衆国、コネチカット 06268、 ストーズ、ハンクス・ヒル・ロード 88

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化マンガン水和物を水熱合成する方法
    であって、 (a)第一マンガン塩(Mn+2塩)と過マンガン酸塩と
    の混合物を調製し、 (b)該混合物を熟成させ、 (c)該混合物を実質的に無塩素化し、 (d)該混合物をマグネシウム塩によってイオン交換
    し、 (e)該イオン交換した混合物をろ過、洗浄、高圧処理
    して、該生成物を形成すること特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 トドロキ石を水熱合成する方法であっ
    て、 (a)第一マンガン塩と、過マンガン酸塩と、少なくと
    も13のpHを有する可溶性塩基物質との塩基性混合物を
    調製し、 (b)該混合物を室温で少なくとも8時間熟成させ、 (c)該熟成させた混合物をろ過、洗浄して該物質を実
    質的に無塩素化し、 (d)該ろ過した混合物をマグネシウム塩によってイオ
    ン交換し、 (e)該イオン交換した混合物をろ過、洗浄、高圧処理
    して、該生成物トドロキ石を形成すること特徴とする方
    法。
JP6064990A 1993-04-02 1994-04-01 八面体モレキュラーシーブの水熱合成法 Pending JPH0710540A (ja)

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