JPH0710401U - ガスタービン静翼 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガスタービン静翼の高温腐食による損傷を改
善する。 【構成】 それぞれ分割して製造した単結晶体のNi基合
金からなる翼部と多結晶体又は単結晶体のNi基合金から
なるシュラウド部とを、Ni−Cr系ろう材により接合す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は発電用ガスタービンに適用されるタービン静翼に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、発電用のガスタービンにおいては、その大型の静翼は、多結晶体のCo基 合金、又は希にNi基合金を使用して、翼部とシュラウドとが一体になった構造体 として鋳造されていた。

【０００３】 図３は一部破断してその内部構造を示す従来の一体型静翼の概略図である。な お、図４は、この一体型静翼の翼部の横断面図である。

【０００４】 一体型静翼10は、上部シュラウド部11、翼部12及び下部シュラウド部13を一体 的に成型してなるものであり、翼部内の冷却空気通路14には、多数の孔が形成さ れたインピンジメント筒の如き内部インサート15が挿入されており、しかも翼部 にはフィルム冷却孔16が形成されている。冷却空気（17）は内部インサート15の 孔から放出されて翼部12を内側から冷却すると共に、翼部に鋳造後に形成された フィルム冷却孔16から放出され、翼の外表面を膜状で覆って冷却する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

発電用ガスタービンでは多種類の石油系燃料が使用されるが、燃料中にはＳ、 Ｖなどの腐食性成分が含まれる。この場合、これら成分は燃焼排ガス中に残留し 、このような排ガスと直接接触するタービン静翼の翼部ではＳ、Ｖによる高温腐 食を生じ、著しい減肉に至る。腐食の形態は、全面的な腐食に加え、結晶粒界及 び樹枝状晶境界に析出したTiC等の炭化物を伝った腐食が先行して起こるが、特 に炭化物の析出が見られる結晶粒界及び樹枝状晶境界における腐食の速度が速く 、これが高温腐食による減肉に大きく関与している場合がほとんどである。また 、ガスタービン大型静翼の使用温度が、シュラウド部に比べて翼部の方が高くな るため、高温腐食による損傷は翼部において著しい等の問題があり、これらの改 善が望まれていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

考案者らは、上述の如き腐食の形態及びシュラウド部と翼部との間の腐食の度 合の差異を考慮し、特に翼部の耐食性の向上及び単結晶化のため、翼部とシュラ ウド部とを分割してそれぞれ製造した後、これらをNi−Cr系ろう材により接合し て静翼に組立てることにより、上述の問題を解消できることを見出し、本考案に 至った。

【０００７】 従って、本考案の目的は、ガスタービン静翼において、それぞれ分割して製造 した単結晶体のNi基合金からなる翼部と多結晶体又は単結晶体のNi基合金からな るシュラウド部とを、Ni−Cr系ろう材により接合してなることを特徴とするガス タービン静翼を提供することにある。

【０００８】

【作用】

本考案に従い翼部とシュラウド部とを分割して別個に製造することにより、翼 部の単結晶化が可能となり、それに伴って、結晶粒界及び樹枝状晶が排除される ので翼部の耐食性が向上する。

【０００９】

【実施例】

次に、図１及び図２を参照して本考案をさらに詳述する。

【００１０】 なお図１は本考案によるガスタービン静翼の構成及び組立を示す概略図であり 、図２は本考案によるガスタービン静翼の翼部の長手方向で切断する縦断面図で ある。

【００１１】 本考案によるガスタービン静翼１は、各々別個に製造された翼部２と該翼部の 上部及び下部に嵌合される各々シュラウド主部３及びシュラウド外板部４で構成 されるシュラウド部とでなる。

【００１２】 この例では、翼部２は空冷翼形であり、翼部内に冷却空気通路が形成されてお り、各冷却空気通路に内部インサート５が挿入される。

【００１３】 各シュラウド部を構成するシュラウド主部３にはシュラウド冷却用壁６を、ま たシュラウド外板部４には冷却空気用穴７を予め設けてあり、ろう付けにより一 体とした時には、空気がシュラウド冷却空気用通路８を通り、シュラウド部を冷 却できる構造となっている。

【００１４】 本考案によれば、上記タービン静翼の翼部を単結晶体のγ′相析出硬化型Ni基 合金により鋳造し、一方、シュラウド部については、シュラウド主部及びシュラ ウド外板部を多結晶体（単結晶体でもよい）γ′相析出硬化型Ni基合金により鋳 造する。このようにして鋳造した翼部２、シュラウド主部３及びシュラウド外板 部４、さらに内部インサート５を図１に示すようにNi−Cr系ろう材によって順次 接合して組立てる。

【００１５】

【考案の効果】

ガスタービン静翼の作製に当たり、その翼部を炭素を含まないNi基合金の単結 晶で構成し、これをシュラウド部とろう付けにより接合しているので、翼部の結 晶粒界及び樹枝状晶境界の炭化物をなくすことができ、耐食性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の好適な１実施例に係るガスタービン静
翼の構成及び組立を示す概略図である。

【図２】本考案によるガスタービン静翼の縦断面図であ
る。

【図３】従来の一体型静翼を一部破断して示す概略図で
ある。

【図４】従来の一体型静翼の翼部の横断面図である。

【符号の説明】

１ ガスタービン静翼 ２ 翼部 ３ シュラウド主部 ４ シュラウド外板部 ５ 内部インサート

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ガスタービン静翼において、それぞれ分割
   して製造した単結晶体のNi基合金からなる翼部と多結晶
   体又は単結晶体のNi基合金からなるシュラウド部とを、
   Ni−Cr系ろう材により接合してなることを特徴とする、
   ガスタービン静翼。