JPH07100191A - 徐放性坐剤 - Google Patents

徐放性坐剤

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JPH07100191A
JPH07100191A JP27293593A JP27293593A JPH07100191A JP H07100191 A JPH07100191 A JP H07100191A JP 27293593 A JP27293593 A JP 27293593A JP 27293593 A JP27293593 A JP 27293593A JP H07100191 A JPH07100191 A JP H07100191A
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witepsol
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progesterone
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JP27293593A
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Ryoji Machida
良治 町田
Masanori Iwata
政則 岩田
Tsuneji Nagai
恒司 永井
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DAIKYO YAKUHIN KOGYO KK
Original Assignee
DAIKYO YAKUHIN KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薬効成分を徐々に放出することのできる徐放
性を備えた坐剤を得る。 【構成】 ウィテップゾールとエチレン酢酸ビニル共重
合体との融解混合物を基剤としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、肛門又は膣等に適用す
る坐剤に関し、特に、冷所保存する必要がなく、徐放性
を備えた坐剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】坐剤は、通例、医薬品を基剤に均等に混
和し、一定の形状に成型して、肛門又は膣等に適用する
固形の外用剤であり、口腔以外の体腔に適用する半固形
の外用剤である。
【0003】一般に坐剤は、痔疾等に対する局所作用を
目的とするものが多かったが、最近では全身作用を目的
とする坐剤が増加しつつある。一般に肛門坐剤は、円錐
形又は紡錘形をしていて、重さ1〜3g,長さ3〜4c
m,膣坐剤は球形又は卵形で重さ2〜4gであるが、そ
の後、種々の改良型が提案されている。形状の改良は、
挿入が容易で、一旦、挿入したら、飛び出し難く、且つ
挿入後患部によく密着するような形が求められている。
【0004】坐剤には、大きく分けて、基剤中に薬効成
分や添加物等を配合する基剤形坐剤と、ペースト状の薬
液をゼラチンカプセルに包含させたゼラチンカプセル坐
剤とがあり、基剤形坐剤が一般的である。
【0005】基剤形坐剤の坐剤基剤は、油脂性基剤と,
乳剤性基剤と,水溶性基剤とに分けられ、基剤として具
備していなければならない条件としては、体温によって
溶けるか、軟化するか、又は分泌液で徐々に溶けるもの
である。通例、カカオ脂,グリセロゼラチン,マクロゴ
ール,ウィテップゾール等が基剤として用いられてい
る。
【0006】また、基剤形坐剤のうち、乳剤性基剤に
は、界面活性剤が主薬成分の基剤への溶解性、拡散性を
良好ならしめるために基剤に必要に応じて添加されるこ
とがある。しかし場合によっては界面活性剤の配合によ
り薬物の吸収が阻害されることもあるので注意を要す
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、坐剤は、前
述のように、全身作用を目的とするものが増加しつつあ
り、その主な適用部位である直腸又は膣等の粘膜は薬物
の投与経路として見直されつつある。近年、医薬品の有
効性、安全性等の観点から薬物送達システム(DDS)
が注目され、剤形の工夫等により新しい制御放出製剤が
多く開発されてきた。坐剤に関してもその適用目的に合
わせ、放出調整が要求されつつある。
【0008】一方、塩酸ベラパミルは、カルシウム拮抗
剤であり、経口投与してカルシウムイオン(Ca2+)の
筋細胞内への流入を抑制して、末梢血管抵抗を減少させ
て、狭心症,冠硬化症(慢性・無症候性虚血性心疾患、
動脈硬化性心疾患),心筋梗塞の治療に用いられてい
る。
【0009】また、プロゲステロン(PRG)は、妊娠
の成立、維持に障害をきたし、不妊症,不育症,流産,
早産の原因となる黄体機能不全の治療薬として、筋注に
よる連日投与が行われている。
【0010】しかしながら、経口投与薬の副作用とし
て、胃等の消化器官への負担、また、肝臓等での分解に
よる薬効の失効による血中濃度維持等の問題があった。
また、筋注は自己投与が不可能であることから入院、又
は通院の必要性があること、更に、疼痛を伴うこと等、
患者への負担は大きい。
【0011】これら経口投与薬、筋注薬等の製剤の欠点
を補うため、自己投与及び血中濃度維持が可能な製剤の
開発が現在期待されている。
【0012】本発明は、薬効成分を徐々に放出すること
のできる徐放性を備えた坐剤を得ること、また、時間当
たりの放出量を調整可能な徐放性を備えた坐剤を得るこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る徐
放性坐剤は、ウィテップゾールとエチレン酢酸ビニル共
重合体との融解混合物を基剤としたものである。
【0014】また、請求項2の発明に係る徐放性坐剤
は、ウィテップゾールとエチレン酢酸ビニル共重合体と
の融解混合物にポリエチレングリコールを放出調整剤と
して添加したものである。
【0015】更に、請求項3の発明に係る徐放性坐剤
は、ウィテップゾールとエチレン酢酸ビニル共重合体と
の融解混合物に塩酸ベラパミルを有効成分として添加し
たものである。
【0016】また、請求項4の発明に係る徐放性坐剤
は、ウィテップゾールとエチレン酢酸ビニル共重合体と
の融解混合物にプロゲステロンを有効成分として添加し
たものである。
【0017】
【作用】従来より坐剤基剤として用いられているウィテ
ップゾール(Witepsol)は、体温において急速に融解して
薬物を放出するが、エチレン酢酸ビニル共重合体(以
下、EVAと記す)を添加して混合基剤としたもので
は、良好な徐放性を示すことが見出された。
【0018】従って、本発明のウィテップゾールとEV
Aとの融解混合物を基剤としたものは、体温によって、
融解することのない強度が得られ、薬物放出の徐放性が
可能である。更に、特別に冷所に保存しなくても保存が
可能である。
【0019】また、本発明のウィテップゾールとEVA
との融解混合物にポリエチレングリコール(以下、PE
Gと記す)を放出調整剤として添加したものは、PEG
の添加量に応じて、放出量が増大するため、PEGの添
加量をコントロールすることにより、有効成分の放出量
をコントロ−ルできる。
【0020】ウィテップゾールとEVAとの融解混合物
に添加される有効成分としては、種々の薬剤・ホルモン
等がある。特に、生体に経時的に投与される薬剤・ホル
モン等であり、しかも直腸又は膣内壁から粘膜吸収され
る薬剤・ホルモン等であればよい。
【0021】特に、本発明のウィテップゾールとEVA
との融解混合物に塩酸ベラパミルを有効成分として添加
したものは、狭心症,冠硬化症(慢性・無症候性虚血性
心疾患、動脈硬化性心疾患),心筋梗塞の治療に用いら
れる塩酸ベラパミルを基剤中に保持しているため、体内
で基剤が軟化し徐々にゲル化するにともない、塩酸ベラ
パミルを徐々に生体内へ投与することができる。
【0022】特に、塩酸ベラパミルを有効成分として含
有するものでは、ウィテップゾール4部にEVA1部の
融解混合基剤にPEGを30%添加した基剤を用いるこ
とにより、1日以上の長時間に亙って放出を維持するこ
とができる。
【0023】更に、本発明のウィテップゾールとEVA
との融解混合物にプロゲステロンを有効成分として添加
したものは、黄体機能不全による不妊症、不育症、流
産、早産の治療を目的とするホルモンの一つであるプロ
ゲステロンを基剤中に保持しているため、基剤が軟化し
徐々にゲル化するにともない、プロゲステロンを徐々に
生体内へ投与することができる。
【0024】
【実施例】実施例1.塩酸ベラパミル徐放性坐剤 1)試料 主薬として塩酸ベラパミル(シグマ社、Lot.70H0897 )
を使用した。坐剤の基剤としてはウィテップゾールW−
35及びエチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと
記す)150,250,420を用いた。
【0025】2)最適EVAの選択 ウィテップゾールW−35とEVA150,250,4
20の各々との混合比を2:1,3:1,4:1,及び
6:1として融解混合した基剤について、粘弾計(商品
名「フドーレオメータ」不動工業株式会社製,model NR
M-2002 D-D)を用いて25℃での強度と37℃での粘弾
性を測定し、最適EVAを選択した。
【0026】2-1)25℃における強度の測定 常温における取扱いを想定して基剤の強度を測定した。
図1は基剤の強度の測定に用いた楔形のアダプターの説
明図である。図に示す通り、厚さ5mm,幅10mmに調製
した基剤の強度を測定した。図2は25℃における基剤
中のEVAの混合比と強度との関係を示す線図である。
図において、縦軸は強度(kg)を、横軸はEVAの混合
濃度(%)を示す。
【0027】図に示す通り、3種類のEVAの混合比率
を変えてウィテップゾールと混合溶解し、25℃におけ
る各基剤の強度を測定した。図中の水平な点線はウィテ
ップゾール単独時の強度を示す。坐剤は常温(15〜2
5℃)で十分な強度を有する必要があることから、図よ
りEVA150と250が最適であることがわかった。
【0028】2-2)37℃における粘弾性の測定 直腸内投与時を想定して、37℃における基剤の粘弾性
を測定した。図3は基剤の粘弾性を測定するためのアダ
プターの説明図である。図に示す通り、円盤形(直径7
mm)のアダプターを用い、37℃の温浴に5分間浸した
1辺10mmの立方体状の基剤の粘弾性を測定した。
【0029】図4は37℃における基剤中のEVAの混
合比と粘弾性との関係を示す線図である。図において、
縦軸は粘弾度(kg)を、横軸はEVAの混合濃度(%)
を示す。図に示される通り、何れのEVAでも、EVA
の添加による弾性の変化はあまりなかった。
【0030】尚、坐剤の挿入後においては異物感を避け
るため柔軟性が求められるため、25%において最も柔
軟であったEVA250を以降の調製では選択した。ま
たこの基剤は、温浴での加熱中に溶融することなく、立
方体の原形を保つことが可能であった。従って、従来の
坐剤に比べ、冷所保存しなくても十分に保存が可能であ
る。
【0031】3)塩酸ベラパミル徐放性坐剤の調製法 ウィテップゾールW−35とEVA250とを3:1,
4:1,6:1で混合した基剤を用い、融解法により塩
酸ベラパミル徐放性坐剤を調製した。この時、坐剤1個
あたりに塩酸ベラパミルを60mg含有するようにした。
【0032】具体的な調製法は、先ず、ウィテップゾー
ルW−35とEVA250とをビーカーに入れ、ポリ塩
化ビニリデン製の食品包装用のラップで蓋をし、内部の
空気を窒素置換した後、電子レンジで7分30秒間加熱
した。次に基剤の温度が下がらないように、ホットプレ
ートに載せ、ガラス棒を用いて均一になるまで混合し
た。均一になった基剤に塩酸ベラパミルを加えよく攪拌
した後、金属製坐剤型に流し込んで坐剤(1個当たり約
1.42g)を調製した。
【0033】4)塩酸ベラパミル徐放性坐剤の溶出試験 坐剤からの薬物の溶出性を日局回転バスケット法を改変
した円筒濾紙法及びバスケット・ビーズ法により求
めた。試験器(富山産業株式会社製 model NTR-VS3)を
用い、回転速度150rpm、試験溶液生理食塩水90
0ml、溶液温度37±0.5℃で行った。
【0034】4-1)円筒濾紙法 図5は円筒濾紙法の概要を示す説明図である。図に示す
通り、バスケット(51)は日局回転バスケット法で用いら
れる直径20mm,深さ30mmのものを使用した。バスケ
ット(51)の中に円筒濾紙(52)(東京濾紙会社製,No.84
,直径20mm)を入れ、その中に生理食塩水(54)と坐
剤(50)を入れ、シリコーンゴム製の蓋(53)(厚さ4mm、
直径18mm)をし、これを試験器に取付けて回転させ
た。 0.5,1,3,5,24時間後に試料5mlを採取
し、同量の生理食塩水を補充した。
【0035】4-2)ベラパミルの定量 採取試料中の溶出された塩酸ベラパミル量を分光光度計
(日本分光工業株式会社製,Ubest-30型)を用い、22
9nmにおける吸光度を測定し、予め作成した検量線
(相関係数1.000)より算出した。回帰式は次の通
りである。 濃度(μg/ml)=32.09×吸光度+0.225
【0036】4-3)塩酸ベラパミル徐放性坐剤の放出性
(1) 図6は円筒濾紙法による坐剤からの薬物の放出性の結果
を示した線図である。図において、縦軸は溶出された塩
酸ベラパミル量の含有量に対する割合(放出率)(%)
を、横軸は時間を示す。この図で基剤は全ての比率にお
いて24時間にわたり、著しい徐放性を示すことが判っ
た。
【0037】また、ウィテップゾールの混合比が大きく
なるほど放出性が増すことがわかった。しかしながら、
混合基剤からの24時間後の薬物放出率は最高値でも8
%(比率6:1,24時間後)で、塩酸ベラパミルの製
剤としては極端に低いものだった。
【0038】4-4)塩酸ベラパミル徐放性坐剤の放出性
(2) そこで、溶出性を改善するために、ウィテップゾールW
−35とEVA250とを4:1で融解混合した基剤に
水溶性高分子であるポリエチレングリコ−ル(以下、P
EGと記す)6000を30%添加した。図7はPEG
を添加した場合の薬物の放出性の結果を示した線図であ
る。図において、縦軸は溶出された塩酸ベラパミルの放
出率(%)を、横軸は時間を示す。
【0039】図に示す通り、比率4:1の場合、5.4
%が10.4%へと放出が促進された。尚、図には示さ
れていないが、同様にPEGを30%添加した場合に
は、比率3:1の場合、2.9%が6.6%に、比率
6:1の場合、7.6%が12.0%にと、何れの比率
も約2倍近く放出率が促進された。
【0040】4-5)バスケット・ビーズ法 さらに、体内では坐剤に圧力がかかることを想定し、P
EG添加坐剤につきバスケット・ビ−ズ法を用いて試験
を行い、円筒濾紙法との比較を行った。図8はバスケッ
ト・ビーズ法の概要を示す説明図である。
【0041】バスケット(81)は直径40mm、深さ20mm
のものを使用した。坐剤(80)を横位置に設置し、生理食
塩水(84)中にバスケット中で浮くAタイプのビーズ(82)
を30個(ポリプロピレン製、直径3.95mm)、バス
ケットの中で沈むBタイプのビーズ(83)を30個(ナイ
ロン製、直径3.95mm)との2種類のビーズを併用し
て行った。
【0042】円筒濾紙法と同様に、 0.5,1,3,5,
24時間後に試料5mlを採取し、同量の生理食塩水を補
充した。また、採取試料中の溶出された塩酸ベラパミル
量の定量も前述と同様に行った。
【0043】図9は円筒濾紙法とバスケット・ビーズ法
とのPEG添加坐剤の薬物の放出性の結果を示した線図
である。図において、縦軸は溶出された塩酸ベラパミル
濃度(放出濃度)(%)を、横軸は時間を示す。図に示
す通り、何れの比率の坐剤も、24時間にわたり、安定
した徐放性を保つことが確認された。
【0044】また、円筒濾紙法よりもバスケット・ビー
ズ法での放出性が高く、比率3:1では17.8%、4:1
で26.5%、6:1で22.4%にまで上昇した。以上のよう
に、ウィテップゾール−EVA基剤にPEGを添加すれ
ば、放出量をコントロ−ルできることが確認された。従
って、種々の薬物の治療濃度にあわせて、十分に応用が
効くと思われる。
【0045】5)家兎への塩酸ベラパミル徐放性坐剤投
与実験 溶出試験の結果より、ウィテップゾール−EVA混合系
(4:1)にPEGを30%添加した塩酸ベラパミル添
加坐剤を家兎に投与して家兎での吸収実験を行った。坐
剤中塩酸ベラパミル量は溶出試験と同じく1個あたり6
0mg含有するよう調製した。尚、比較としてウィテップ
ゾール単独基剤に同量の塩酸ベラパミルを添加したもの
を用意した。
【0046】具体的には、24時間絶食させた体重2.
9〜3.2kgの雌性日本白色家兎(1群3羽)に塩酸
ベラパミル添加坐剤を直腸内投与し、1,3,5,24
時間後に耳静脈から血液を約50μl採取した。採取し
た血液の血中濃度を高速液体クロマトグラフィを用いて
測定した。
【0047】測定法は、血清100μlに内部標準物質
溶液(パラオキシ安息香酸2エチルヘキシルのメタノー
ル溶液)100μl、及び、メタノール200μlを加
え、遠心分離器にかけ、除タンパクを行い、上清液を試
料溶液とした。高速液体クロマトグラフィの機器及び条
件は以下の通りである。
【0048】ポンプ 島津製作所 LC−3A 検出器 島津製作所 SPD−6A 流速 1.0ml/min カラム YMC−Pack ODS 150×4.6m
mI.D. 移動相 リン酸緩衝液:メタノ−ル=1:4 検出器の励起波長 278nm
【0049】予め作成した検量線(相関係数0.996
1)により、塩酸ベラパミル量を算出した。回帰線は次
の通りである。 ピ−ク面積比=1.5493+9.302×10-3×X
(ng/ml)
【0050】図10はウィテップゾール単独基剤からな
る塩酸ベラパミル坐剤を投与したときの塩酸ベラパミル
の血中濃度の変化を示す線図である。図において、縦軸
は塩酸ベラパミルの血中濃度を、横軸は時間を示す。
尚、家兎A、B、Cへの投与量はそれぞれ21.7、1
9.0、21.0mg/kgである。
【0051】図10に示す通り、従来から坐剤基剤とし
て用いられているウィテップゾール単独では一過性の吸
収プロフィルを示し徐放性は認められなかった。家兎
A、B、CでのCmax は195.9、129.9、19
9.5mg/mlであった。尚、家兎Cでの異常に高い
24時間の血中濃度はなんらかの実験ミスと考えられ
る。
【0052】図11はウィテップゾール−EVA混合基
剤(4:1)にPEGを30%添加した塩酸ベラパミル
添加坐剤を投与した時の塩酸ベラパミルの血中濃度の変
化を示す線図である。図において、縦軸は塩酸ベラパミ
ルの血中濃度を、横軸は時間を示す。
【0053】図11に示す通り、ウィテップゾール坐剤
では30minであった最高血中濃度に達する時間(T
max )が平均3.5hrへと遅れていることや、24時
間後においても、より高い血中濃度を維持する傾向があ
ることがわかる。
【0054】図12は図10、11の各々の平均と標準
偏差を算出した線図である。図において、縦軸は塩酸ベ
ラパミルの血中濃度を、横軸は時間を示し、各プロット
は各家兎A、B、Cの平均値及び標準偏差である。図1
2によって、図11に示した本発明の新規基剤を用いた
坐剤が著明な徐放性を示していることがわかる。この放
出プロフィルが塩酸ベラパミル製剤として適していると
は必ずしもいえないが、本坐剤の強度と体温での柔軟
性、保形性、徐放性は今後他の薬物にも応用できると考
えられる。
【0055】以上のように、従来から坐剤基剤として用
いられているウィテップゾールにEVAを融解混合して
得られた新規基剤による徐放性坐剤への応用を試みた結
果、以下のような知見を得た。
【0056】本実施例で調製したウィテップゾール−E
VA混合基剤は常温ではウィテップゾール単独より硬
く、体温では融解せず、適度な柔軟性を示すので、徐放
性の面もあわせて有用と考えられた。また溶出試験にお
いては基剤にPEGを添加することにより徐放性を保ち
つつ、放出率を上昇させることに成功した。これらのイ
ンビトロ実験の成果を家兎を用いたインビボ実験に適用
したところ、同様に徐放性を示唆する結果が得られた。
【0057】本実施例では、薬物として塩酸ベラパミル
を用いたが、他の薬物に変えても徐放性を得られると推
測された。特に1日以上の長時間にわたって放出を持続
するという特性は、ホルモン等を主薬とする膣坐剤の開
発にも非常に有用である。
【0058】実施例2.プロゲステロン坐剤 1)試料 主薬としてプロゲステロンを使用した。坐剤の基剤とし
てウィテップゾールW−35,5種類のEVA(EVA
−40Y,45X,150,250,420)を用い
た。また、その他のエタノール等の試薬は全て特級品を
用いた。
【0059】2)プロゲステロン徐放性坐剤の調製 ウィテップゾールとEVAとを9:1の割合で混合した
基剤を用い、これを溶融法により、プロゲステロン含有
徐放性坐剤を調製した。尚、コントロールとして、ウィ
テップゾールW−35単独基剤にプロゲステロンを添加
したプロゲステロン含有坐剤を溶融法により調製した。
何れも坐剤中のプロゲステロン量は、100mgとした。
【0060】3)プロゲステロン徐放性坐剤の溶出試験 得られた徐放性坐剤の溶出試験を新たな放出試験法によ
って求めた。放出試験器として、日局溶出試験器(富山
製作所製)を用いた。図13は放出試験器の概要を示す
説明図である。図に示す通り、回動軸(131) にはプロペ
ラ(132) が取付けられ、更に回動軸(131) の先端には網
で囲まれたバスケット(133) が取付けられている。
【0061】バスケットの中には円筒濾紙(東洋濾紙社
製、No.84 ,20×90mm)(134)を装着し、この中に
直径4mmのプラスチック製ビーズ(135) と、ウィテップ
ゾール坐剤(136) を入れ、シリコン製の蓋をした後、プ
ロペラ(132) とともに回動軸(131) を回転させた。
【0062】試験液(137) として、30%エタノール含
生理食塩水900mlを用い、経時的に試薬5mlを採取
し、同量の30%エタノール含生理食塩水を補充した。
円筒濾紙内に入れるビーズ数を0〜60個、バスケット
の回転数を50〜150rpmと変化させて試験を行っ
た。
【0063】プロゲステロンの定量は、試験液を吸光光
度計(日本分光工業株式会社製,Ubcst-30型)を用い、
波長248nmにおける吸光度を測定し、予め作成した
検量線(y=16.8831x+0.145114 r
=0.999839)を用いて求めた。
【0064】3-1)生理食塩水の温度 図14は温度が相違する場合のプロゲステロンの放出性
の相違を示す線図である。図において、縦軸は溶出した
プロゲステロンの濃度を、横軸は時間を示す。試験液と
して30%エタノール含生理食塩水900mgを用い、円
筒濾紙内にプロゲステロンを100mg含有するウィテッ
プゾール坐剤と、ビーズ30個を入れ、回転数150r
pmで行った。温度は36,37,38℃で行い、プロ
ゲステロンの放出性を比較した。
【0065】図に示す通り、放出試験開始5時間後にお
けるプロゲステロンの放出量は、37℃、38℃におい
てはあまり差が見られなかったが、36℃においては、
極端に放出量が減少した。
【0066】以上の結果より、本坐剤の放出試験におい
ては、温度の影響、即ち基剤の融解が放出量に大きく影
響すると考えられる。従って、後続の試験における試験
液の温度は、直腸温に近い37.5±0.5℃とした。
【0067】3-2)ビーズ数、回転数 図15は円筒濾紙内に添加するビーズ数とバスケットの
回転数とが相違する場合の放出性の相違を示す線図であ
り、図aはバスケットの回転数が50rpm,図bは1
00rpm,図cは150rpmの場合を示す。また、
各図の縦軸は溶出したプロゲステロンの濃度を、横軸は
時間を示す。
【0068】具体的には、円筒濾紙内に添加するビーズ
数を0,10,30,60個、バスケットの回転数を5
0,100,150rpmと変化させて放出試験を行っ
た。図に示す通り、回転数が50及び100rpmの場
合、ビーズ添加数の放出量に対する影響は見られなかっ
た。一方。150rpmでは、ビーズ添加数によって放
出量に差が見られ、ビーズ30個での放出量は78.3
%であった。
【0069】図16は図15の結果から放出曲線下面積
(ADT)及び平均放出速度(MDT)を算出した線図
であり、図aは放出曲線下面積(ADT)、図bは平均
放出速度(MDT)である。図において、縦軸は放出曲
線下面積(ADT)及び平均放出速度(MDT)を、横
軸はビーズ数を示している。
【0070】図に示す通り、ビーズ30個において、A
DTが最高値を示したが、MDTではビーズ無添加にお
いて高い値、すなわちゆっくり放出した。また、ビーズ
の添加により放出は速くなったが、ビーズの個数間によ
る差はあまりみられなかった。これは、回転数をあげる
ことで、ビーズが基剤より速く攪拌、溶解させるため、
プロゲステロンの放出が速くなると考えられる。
【0071】しかし、円筒濾紙内に60個のビーズを入
れた場合、回転数を150rpmに上昇させても放出量
は増加しなかった。これは円筒濾紙中に坐剤と、60個
のビーズを入れてしまうと、ビーズの運動空間が狭くな
り、坐剤の溶解、攪拌にあまり寄与できなくなるためと
考えられる。
【0072】以上の結果より、前述の日局溶出試験器を
利用した新たな放出試験法では、円筒濾紙内のビーズ添
加量30個、バスケットの回転数150rpmで行うこ
とがよいことが判明した。本放出試験法は、回転バスケ
ット法のような基剤の漏れや、村西法での再現性が劣る
等の欠点を補う方法であり、また、日局溶出試験器を利
用することから、回転透析セル法よりも安価であると考
えられる。
【0073】4)吸熱ピーク温度、及び吸熱量の測定 ウィテップゾールと5種類のEVAとを各々9:1に混
合した基剤と、EVA単独のものを、各々約10mg量り
取り、吸熱ピーク温度、吸熱量を測定した。試験機は、
理学電気(株)製、THERMOFLEX DSC82
30を用いた。また、ウィテップゾール、プロゲステロ
ン原末においても同様に測定した。
【0074】ウィテップゾールW−35と5種類のEV
A(40Y,45X,150,250,420)を各々
9:1に混合したものと、EVA単独のものにつきDS
Cを用いて、吸熱ピーク温度と吸熱量を測定した。
【0075】図17は種々のEVAの酢酸ビニール含有
量に対する吸熱ピーク温度及び吸熱量を示す線図であ
り、図aは吸熱ピーク温度、図bは吸熱量を示す。図に
おいて、縦軸はピーク温度(℃)及び吸熱量(cal/g
)、横軸は酢酸ビニール含有%(VA%)を示す。
【0076】EVA単独(●)では、酢酸ビニール含有
量(VA%)が増すに従い、吸熱ピーク温度は低下し、
吸熱量も減少した。9:1の混合基剤(□)では、吸熱
ピーク温度は変わらず、吸熱量もまた大きな変化は見ら
れなかった。これは、ウィテップゾールの割合がEVA
に比べてはるかに多いため、EVAの影響があまり結果
に出なかったと思われる。
【0077】一方、プロゲステロン原末の吸熱ピーク温
度を測定した結果、130.7℃であった。これより、
溶融法による坐剤の調製に際して、プロゲステロンの分
解はないものと思われた。
【0078】5)EVAの選択 図18は種々のEVAとウィテップゾールとを混合した
基剤を用いた場合のプロゲステロンの放出量を示す線図
である。図において、縦軸は溶出したプロゲステロンの
濃度を、横軸は時間を示す。用いたEVAはEVA−4
0Y,45X,150,250,420であり、ウィテ
ップゾールW−35と各EVAとの混合比を9:1とし
た。尚、比較としてウィテップゾールW−35単独のも
のも合わせて示した。
【0079】72時間後のプロゲステロンの放出量は、
5種類とも35%前後であった。何れもウィテップゾー
ル単独坐剤が72時間後に82.8%のプロゲステロン
を放出したのに比べると、徐放性を示した。しかし、5
種類の混合坐剤からの放出の差は見られなかった。これ
は、坐剤中のEVAの含量が少ないことにより、EVA
の特性の差が現われなかったためと思われる。
【0080】EVAとウィテップゾールの混合比を1:
9に固定して、EVAの種類を変化させた基材の強度を
測定した。詳しくは、ウィテップゾールW−35に、種
々のEVAを添加して、直径47mmの円柱状に調製した
円柱状基剤を、JIS用(折芯)折試験用の台座(N
o.37)に載せ、レオメータを取付けた歯形押棒B
(No.13)で押して強度を測定した。結果を次の表
1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】更に、同様の基剤を用いて、40℃(全て
液状)における針入度(加圧応力)を測定した。詳しく
は、基剤を40℃に加熱して液状とし、直径10mmの円
盤を加圧スピード6mm/minで加圧した場合の応力(強
度)を測定した。結果を次の表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】表Aでは、EVA150とEVA250が
高い値を示したが、表Bでは、EVA250が299.
7gであり、他の基剤に比べて桁違の最高の値を示し
た。
【0085】一方、放出試験での基剤の残存性を比較し
たところ、EVA40Y,45Xは放出試験後、円筒濾
紙内で溶解していたが、EVA150,250,420
は坐剤の形を保ったまま、残存していた。以上の結果よ
り、EVA250が坐剤の混合基剤として有用であるこ
とが示された。
【0086】6)熱力学的パラメータ EVA250を用いて、ウィテップゾールとの混合比を
1:9,1:6,1:4,1:2と変化させた基剤を調
製し、前記4)と同様に吸熱ピーク温度と、吸熱量を測
定した。図19は混合比を変化させた場合の吸熱ピーク
温度の変化を示す線図である。図において、縦軸は吸熱
ピーク温度(℃)を、横軸はEVA含有%を示す。図2
0は混合比を変化させた場合の吸熱量の変化を示す線図
である。図において、縦軸は吸熱量(cal/g )、横軸は
EVA含有%を示す。
【0087】図19に示す通り、吸熱ピーク温度はEV
Aの含量とはあまり相関しなかった。しかし、図20に
示す通り吸熱量はEVAの含量と正の相関性を示した。
以上の結果より、EVAの含有量を変えることにより、
坐剤の放出に関わる因子である融解性を調製することが
可能となり、主薬の放出も調製できると思われる。
【0088】7)家兎への坐剤投与実験 直腸投与と、膣投与におけるプロゲステロンの放出量を
比較した。具体的には、24時間絶食した体重3.0kg
前後の雌性日本白色家兎(1群3羽)の直腸又は膣に、
坐剤を投与した。経時的に血液約1mlを採取し、血漿を
分取し、血漿中のプロゲステロン量を第1ラジオアイソ
トープ研究所製「プロゲステロンキット第I,II」を用
いてラジオイムノアッセイ法により求めた。
【0089】坐剤は、プロゲステロン50mgを含有する
ウィテップゾール−EVA混合坐剤(各々1個約0.7
g)を用いた。更に、3時間後における直腸又は膣の状
態を肉眼で観察した。
【0090】図21はウィテップゾール坐剤(プロゲス
テロン量50mg)の直腸投与と膣投与との比較を示す線
図である。図において、縦軸はプロゲステロンの血中濃
度を、横軸は時間を示す。図に示す通り、直腸投与と膣
投与とでは、殆ど差は見られなかった。
【0091】図22は種々のEVAによるウィテップゾ
ール−EVA混合坐剤の膣投与の結果を示す線図であ
る。図において、縦軸はプロゲステロンの血中濃度を、
横軸は時間を示す。具体的には、プロゲステロンを50
mg含有するウィテップゾール−EVA混合坐剤を、各々
家兎へ膣投与し、血中プロゲステロン量を測定した。図
22に示す通り、ウィテップゾール−EVA混合坐剤
は、何れも徐放化されていた。
【0092】更に、プロゲステロン50mgを含有するウ
ィテップゾールW−35のみを基剤とする坐剤(ウィテ
ップゾール坐剤)と、ウィテップゾール−EVA混合坐
剤(EVA250とウィテップゾールとの混合坐剤)を
家兎へ膣投与した。ウィテップゾール坐剤は、投与後1
時間後において、膣内に坐剤を確認することができなか
った。しかし、ウィテップゾールとEVA250の混合
坐剤では、投与後3時間後の膣内を観察すると、わずか
に坐剤が観察された。
【0093】これにより、混合坐剤には、局所滞留性が
あることが示された。
【0094】8)黄体機能不全篤志志願患者への坐剤投
プロゲステロン50mgを含有するウィテップゾール単独
坐剤を、黄体機能不全と診断された篤志志願患者に黄体
期に投与し、血中プロゲステロン値を求めた。得られた
値より、黄体ホルモン指標(Luteal Index値)を算出
し、筋注25mg投与の場合と比較した。
【0095】また、妊娠初期における血中プロゲステロ
ン量を正常妊娠群、坐剤治療群、非投与流産群の3群に
おいて比較検討した。
【0096】図23はプロゲステロンを含有するウィテ
ップゾール坐剤及び筋注で各々黄体期に投与した時の黄
体ホルモン指標を示す説明図である。即ち、黄体機能不
全の篤志志願患者へ、プロゲステロン50mgを含有する
ウィテップゾール坐剤投与とプロゲステロン25mgの筋
注投与とで各々黄体期における黄体ホルモン指標を求め
た。黄体ホルモン指標は黄体期におけるプロゲステロン
血中濃度と、黄体期日数から表わされる。
【0097】図に示す通り、黄体機能不全の治療前の患
者に比べて、筋注、坐剤投与例では共に、黄体ホルモン
指標は大きくなった。坐剤と筋注はほぼ同じ値を示し
た。以上の結果より、プロゲステロンの投与量は異なる
が、坐剤が筋注と同等の効果を有することが示された。
【0098】図24は妊娠初期における正常妊娠群、プ
ロゲステロン含有ウィテップゾール坐剤の投与群、非投
与流産群の3群の血中プロゲステロン量の推移を示した
線図である。図において、縦軸はプロゲステロンの血中
濃度を、横軸は週を示す。即ち、妊娠初期における正常
妊娠群と、プロゲステロン含有ウィテップゾール坐剤を
投与した坐剤治療群と、非投与流産群との3群の血中プ
ロゲステロン量を9週に亙り測定した。
【0099】図に示す通り、坐剤投与により、血中プロ
ゲステロン量は、正常妊娠群とほぼ同等となり、非投与
流産群と明らかに差が見られるのが観察された。以上の
ことより、臨床での坐剤によるプロゲステロンの補充療
法の有用性が確認された。
【0100】以上のように、黄体機能不全による不妊
症、不育症、流産、早産の治療を目的として、坐剤によ
る黄体補充の有用性と、徐放性混合坐剤の開発を試み
た。また、坐剤の新しい放出試験の開発も行った。
【0101】本実施例で行ったビーズと円筒濾紙を用い
た新たな放出試験法は、従来の溶出試験器を用いること
が可能であり、安価でもあることに加えて、容易に行う
ことができる等の長所を持っている。
【0102】本実施例で調製された、ウィテップゾール
とEVAの混合基剤を用いたプロゲステロン含有坐剤
は、ウィテップゾール坐剤に比べて徐放性となってい
る。また、ウィテップゾールを基剤としたプロゲステロ
ン含有坐剤が、臨床において有用であることが示された
ことにより、徐放性を有する混合坐剤もまた、処方の改
良を行うことによって、黄体機能不全におけるプロゲス
テロン補充療法に特に有用な坐剤になるものと考えられ
る。
【0103】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、ウィテッ
プゾールとEVAとの融解混合物を基剤としたものは、
体温によって、融解することのない強度が得られ、薬物
放出の徐放化が可能である。更に、特別に冷所に保存し
なくても製剤学的安定性の確保が可能である。
【0104】また、本発明のウィテップゾールとEVA
との融解混合物にポリエチレングリコール(以下、PE
Gと記す)を放出調製剤として添加したものは、PEG
の添加量に応じて、放出量が増大するため、PEGの添
加量をコントロールすることにより、有効成分の放出量
をコントロ−ルできる。
【0105】ウィテップゾールとEVAとの融解混合物
に添加される有効成分としては、種々の薬剤・ホルモン
等がある。特に、生体に経時的に投与される薬剤・ホル
モン等であり、しかも直腸又は膣内壁から粘膜吸収され
る薬剤・ホルモン等であればよい。
【0106】特に、本発明のウィテップゾールとEVA
との融解混合物に塩酸ベラパミルを有効成分として添加
したものは、狭心症,冠硬化症(慢性・無症候性虚血性
心疾患、動脈硬化性心疾患),心筋梗塞の治療に用いら
れる塩酸ベラパミルを基剤中に保持しているため、基剤
が徐々に軟化,崩壊するにともない、塩酸ベラパミルを
徐々に生体内へ投与することができる。
【0107】特に、塩酸ベラパミルを有効成分として含
有するものでは、ウィテップゾール4部にEVA1部の
融解混合基剤にPEGを30%添加した基剤を用いるこ
とにより、1日以上の長時間に亙って放出を維持するこ
とができる。
【0108】更に、本発明のウィテップゾールとEVA
との融解混合物にプロゲステロンを有効成分として添加
したものは、黄体機能不全による不妊症、不育症、流
産、早産の治療を目的とするホルモンの一つであるプロ
ゲステロンを基剤中に保持しているため、基剤が徐々に
軟化,崩壊するにともない、プロゲステロンを徐々に生
体内へ投与することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】基剤の強度の測定に用いた楔形のアダプターの
説明図である。
【図2】25℃における基剤中のエチレン酢酸ビニル共
重合体の混合比と強度との関係を示す線図である。
【図3】基剤の粘弾性を測定するためのアダプターの説
明図である。
【図4】37℃における基剤中のエチレン−エチレン酢
酸ビニル共重合体の混合比と粘弾性との関係を示す線図
である。
【図5】円筒濾紙法の概要を示す説明図である。
【図6】円筒濾紙法による坐剤からの薬物の放出性の結
果を示した線図である。
【図7】PEGを添加した場合の薬物の放出性の結果を
示した線図である。
【図8】バスケット・ビーズ法の概要を示す説明図であ
る。
【図9】円筒濾紙法とバスケット・ビーズ法とのPEG
添加坐剤の薬物の放出性の結果を示した線図である。
【図10】ウィテップゾール単独基剤の塩酸ベラパミル
配合坐剤を投与したときの塩酸ベラパミルの血中濃度の
変化を示す線図である。
【図11】ウィテップゾール−エチレン酢酸ビニル共重
合体混合系(4:1)にPEGを30%添加した塩酸ベ
ラパミル配合坐剤を投与した時の塩酸ベラパミルの血中
濃度の変化を示す線図である。
【図12】図10、11の各々の平均と標準偏差を算出
した線図である。
【図13】放出試験器の概要を示す説明図である。
【図14】温度が相違する場合のプロゲステロンの放出
性の相違を示す線図である。
【図15】円筒濾紙内に添加するビーズ数とバスケット
の回転数とが相違する場合の放出性の相違を示す線図で
ある。
【図16】図15の結果から放出曲線下面積(ADT)
及び平均放出速度(MDT)を算出した線図である。
【図17】種々のエチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビ
ニール含有量に対する吸熱ピーク温度及び吸熱量を示す
線図である。
【図18】種々のエチレン酢酸ビニル共重合体とウィテ
ップゾールとを混合した基剤を用いた場合のプロゲステ
ロンの放出量を示す線図である。
【図19】混合比が相違する場合の吸熱ピーク温度の変
化を示す線図である。
【図20】混合比が相違する場合の吸熱量の変化を示す
線図である。
【図21】ウィテップゾール−エチレン酢酸ビニル共重
合体混合坐剤の直腸投与と膣投与との相違を示す線図で
ある。
【図22】種々のEVAによるウィテップゾール−エチ
レン酢酸ビニル共重合体混合坐剤の膣投与の結果を示す
線図である。
【図23】プロゲステロンをウィテップゾール坐剤及び
筋注で各々黄体期に投与した時の黄体ホルモン指標を示
す説明図である。
【図24】妊娠初期における正常妊娠群、プロゲステロ
ン含有ウィテップゾール坐剤の投与群、非投与流産群の
3群の血中プロゲステロン量の推移を示した線図であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウィテップゾールとエチレン酢酸ビニル
    共重合体との融解混合物を基剤としたことを特徴とする
    徐放性坐剤。
  2. 【請求項2】 前記ウィテップゾールとエチレン酢酸ビ
    ニル共重合体との融解混合物にポリエチレングリコール
    を放出調整剤として添加したことを特徴とする請求項1
    に記載の徐放性坐剤。
  3. 【請求項3】 前記ウィテップゾールとエチレン酢酸ビ
    ニル共重合体との融解混合物に塩酸ベラパミルを有効成
    分として添加したことを特徴とする請求項1に記載の徐
    放性坐剤。
  4. 【請求項4】 前記ウィテップゾールとエチレン酢酸ビ
    ニル共重合体との融解混合物にプロゲステロンを有効成
    分として添加したことを特徴とする請求項1に記載の徐
    放性坐剤。
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