JPH0698457A - 高圧配電線の地絡故障原因判定方法 - Google Patents

高圧配電線の地絡故障原因判定方法

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JPH0698457A
JPH0698457A JP3314619A JP31461991A JPH0698457A JP H0698457 A JPH0698457 A JP H0698457A JP 3314619 A JP3314619 A JP 3314619A JP 31461991 A JP31461991 A JP 31461991A JP H0698457 A JPH0698457 A JP H0698457A
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JP3314619A
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English (en)
Inventor
Toru Hamada
亨 濱田
Kazuyuki Zaike
和幸 財家
Motohiko Shimada
元彦 嶋田
Tokuo Tsuji
篤男 辻
Kenta Kamimura
健太 上村
Hitoshi Kuno
仁史 久納
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KANSAI TEC KK
Kansai Electric Power Co Inc
Original Assignee
KANSAI TEC KK
Kansai Electric Power Co Inc
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  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧配電線の地絡故障原因の判定方法を提供
することにより配電線の保守点検業務の簡素化及び確実
化を図る。 【構成】 故障要因毎の零相電流Io の波形の特徴に基
づいて地絡故障の原因を統計的に判定する。このため
に、過去の地絡故障時の零相電流Io の波形に基づいて
高調波含有率の次数毎の分布を故障要因別に求めておく
準備工程S1と、判定対象としての地絡故障の際の零相
電流Io の次数毎の高調波含有率を測定する測定工程S
2と、測定値の各々が先に求めておいた高調波含有率の
分布のうちの同一高調波次数の分布の各々の平均値にど
の程度一致しているかを表わした当てはまり率を算定す
る当てはまり率算定工程S3と、該当てはまり率につい
ての高調波次数間の平均値を故障要因別の判定値として
算出する判定値算出工程S4と、故障要因別の判定値の
大小比較を通して判定対象としての地絡故障の原因を判
定する判定工程S5とを採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高圧配電線の地絡故障
の原因を判定するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高圧配電線の電力供給信頼度は既に相当
高いレベルにあるが、該配電線上のケーブル、高圧ピン
がいし、柱上変圧器、避雷器等の各種用品の不具合が原
因となって地絡故障が発生する場合がある。高圧配電線
の充電部分への鳥獣、蛇等の動物の接触により地絡故障
が発生する場合もある。竹や杉等の樹木の接触も地絡故
障の1つの要因である。
【0003】さて、三相交流式高圧配電線の1線又は2
線に地絡故障が発生すると、非接地系配電線であっても
零相電圧Vo と零相電流Io とが発生するので、従来は
地絡方向継電器(67G)や地絡過電圧継電器(64
G)により、零相電圧Vo と零相電流Io との各々の大
きさ及び両者間の位相差に基づいて地絡故障の発生を検
知していた。この検知に基づいて該当高圧配電線の自動
開閉器が開かれる。一定時限の後に再閉路がなされ、永
久故障の場合には再閉路失敗事故として再び自動開閉器
が開かれる。故障が瞬時的であって再閉路が成功した場
合には、自動開閉器が閉じたまま給電を続ける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】さて、再閉路の成功・
失敗を問わず故障発生時には、その原因物を探査してこ
れを確実に除去する必要がある。ところが、前記のとお
り従来は地絡方向継電器や地絡過電圧継電器により地絡
故障の発生の有無を検知していただけであって、故障原
因の特定まではできなかったのが実情である。したがっ
て、実際は高圧ピンがいしの絶縁不良によって地絡故障
が発生した場合であっても、故障原因を究明するために
他の用品を含む全ての用品について巡視点検を実施する
必要があった。つまり、高圧ピンがいしに限らず、全て
のケ−ブル、全ての柱上変圧器、全ての避雷器等につい
て異常の有無を残らず調査しなければならなかったわけ
である。また、高圧配電線の充電部分に対する動物の接
触を原因とする地絡故障の場合には、故障発生後に原因
物が他の動物によって運び去られることがあり、巡視点
検作業がしばしば徒労に帰すことがあった。
【0005】更に、探査範囲が広過ぎたために再閉路成
功地絡故障の原因となった用品を捜し当てることができ
ず、これを放置しておいたために後になって同じ原因物
が再閉路失敗となる重大な永久故障を引き起こす場合が
あった。
【0006】本発明の目的は、高圧配電線の地絡故障の
原因を判定するための方法を提供することにより、配電
線の保守点検業務の簡素化及び確実化を図ることにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、配電用
変電所での実際の地絡故障時の電圧電流波形の収集及び
模擬高圧配電線での故障再現実験の実施を通して得た零
相電圧Vo 及び零相電流Io の多数の波形データにそれ
ぞれ周波数分析及びクラスター分析を施した結果、両波
形がケーブル、高圧ピンがいし等の地絡故障要因毎の固
有の特徴を有することを見出した。
【0008】例えばケーブル地絡故障の場合には、図3
(a),(b)に示すように、零相電圧Vo の波形が階
段波形状又は矩形波形状になり、零相電流Io の波形に
パルス幅0.1〜1mSのパルスが現れる。周波数分析
の結果からは、零相電圧Voが奇数次の大きな高調波成
分を有すること、零相電流Io については基本波に対す
る次数別高調波含有率のうち5次、7次及び9次の高調
波含有率が高いことが各々判明している。
【0009】また、高圧ピンがいしの地絡故障の場合に
は、図4(b)に示すように零相電流Io の波頭に尖り
が現れる。この零相電流Io の波形は、3次の高調波含
有率が際立って高いことを示している。同図(a)に示
すように、零相電圧Vo の高調波成分は小さい。
【0010】更に、高圧配電線の充電部分に対する鳥
獣、蛇等の動物の接触を原因とする地絡故障の場合に
は、図5(b)に示すように零相電流Io の波頭に凹み
が現れる。この場合は、零相電流Io の3次、5次及び
7次の高調波含有率が高くなっている。同図(a)に示
すように、零相電圧Vo の高調波成分は小さい。
【0011】このほか、柱上変圧器等の絶縁油を用いる
用品内の油中放電に起因した地絡故障の場合には零相電
流Io の波頭に丸みが現れ、避雷噐の地絡故障の場合に
は零相電流Io に間欠的な高周波振動が現れる等、特に
零相電流Io の波形には地絡故障要因毎の特徴が顕著に
現れる。
【0012】本発明に係る高圧配電線の地絡故障原因判
定方法は、以上の故障要因毎の零相電流Io の波形の特
徴に基づいて地絡故障の原因を判定するものである。
【0013】具体的には本発明は、図2に示すように、
原因が判明している高圧配電線の地絡故障時の零相電流
Io の波形に基づいて地絡故障時の零相電流Io の高調
波含有率の分布を故障要因別かつ高調波次数毎にそれぞ
れ求めておく準備工程(ステップS1)と、判定対象と
しての地絡故障の際の零相電流Io の高調波含有率を高
調波次数毎にそれぞれ測定する測定工程(ステップS
2)と、該測定工程を通して得られた高調波含有率の高
調波次数毎の測定値の各々が前記準備工程で求めておい
た高調波含有率の故障要因別かつ高調波次数毎の分布の
うちの同一高調波次数の分布の各々の平均値にどの程度
一致しているかを表わした当てはまり率をそれぞれ算定
する当てはまり率算定工程(ステップS3)と、該当て
はまり率算定工程を通して得られた故障要因別かつ高調
波次数毎の当てはまり率についての高調波次数間の平均
値を故障要因別の判定値としてそれぞれ算出する判定値
算出工程(ステップS4)と、該判定値算出工程で算出
した故障要因別の判定値の大小比較を通して前記判定対
象としての地絡故障の原因を判定する判定工程(ステッ
プS5)とを備えた構成を採用したものである。
【0014】
【作用】本発明によれば、準備工程(ステップS1)に
おいて、地絡故障時の故障要因毎の零相電流Io の波形
の特徴が、各故障要因に対するIo 高調波含有率の次数
別の分布の形で抽出される。
【0015】これに対して測定工程(ステップS2)で
は、判定対象としての地絡故障の際の零相電流Io の波
形が次数別Io 高調波含有率の測定値の形で求められ
る。そして、次の当てはまり率算定工程(ステップS
3)では、測定により得られた零相電流Io の波形と先
に抽出しておいた故障要因毎の零相電流Io の波形の特
徴との合致度が、故障要因別かつ高調波次数毎の当ては
まり率として算出される。この当てはまり率は判定値算
出工程(ステップS4)において故障要因別の判定値と
して統合され、次の判定工程(ステップS5)で該故障
要因別の判定値の大小比較を通して地絡故障の原因が判
定される。
【0016】
【実施例】図1は、本発明の実施例に係る高圧配電線の
地絡故障原因判定方法が適用される非接地三相交流式高
圧配電線の例を示す単線結線図である。
【0017】同図において、66kVの三相送電線2
は、配電用変電所4に導入されて主変圧器6の1次側に
接続される。主変圧器6は、1次側、2次側とも巻線が
デルタ結線であって、変圧比が66kV/6.6kVで
ある。主変圧器6の2次側には変電所内の母線8が接続
されるとともに、零相電圧Vo の検出のためのGPT1
0の1次側が接続される。GPT10の巻線は、1次側
が中性点接地のスター結線であり、2次側がブロークン
デルタ結線である。2次側のブロークンデルタ巻線は、
抵抗器12で閉じられている。母線8からは、複数のフ
ィーダ14がそれぞれ自動開閉器16を介して引き出さ
れている。各フィーダ14には零相電流Io の検出のた
めにZCT18が設けられる。このZCT18の零相電
流Io の出力は、GPT10の2次側巻線に接続された
抵抗器12の零相電圧Vo の出力とともに、波形記録分
析装置20に入力される。各フィーダ14は、高圧配電
線22として変電所4から引き出されている。高圧配電
線22にはケーブル、高圧ピンがいし、柱上変圧器、避
雷器等の不図示の用品が使用されている。
【0018】さて、高圧配電線22の1線又は2線に地
絡故障が発生する(地絡故障点を符号24で示す。)
と、GPT10を通して零相電圧Vo が、該当フィーダ
14のZCT18を通して零相電流Io がそれぞれ検出
される。これらの零相電圧Voと零相電流Io とは、不
図示の前記地絡方向継電器や地絡過電圧継電器に入力さ
れるだけでなく、波形記録分析装置20にも入力されて
波形が記録されるとともに周波数分析にかけられる。
【0019】図2は、本発明の実施例に係る高圧配電線
の地絡故障原因判定方法の手順を示すフローチャート図
である。以下、同図中のステップ毎に詳細に説明する。
【0020】ステップS1では、原因が判明している過
去の地絡故障時の零相電流Io の多数の波形を標本とし
て、地絡故障に関する複数の故障要因の各々に対して、
Io高調波含有率の分布を高調波次数毎にそれぞれ求め
ておく。これにより、地絡故障時の故障要因毎の零相電
流Io の波形の特徴が、Io 高調波含有率の故障要因別
かつ高調波次数毎の分布の形で抽出される。
【0021】表1は、9つの地絡故障要因の各々に対す
る2次〜5次のIo 高調波含有率のそれぞれについて、
平均値μと標準偏差σとの具体例(単位は%である。)
を示したものである。ただし、同表中の「柱体接地」は
高圧配電線を支持するコンクリート柱を通して該配電線
を接地した場合を、「完全接地」はほぼ0の接地抵抗を
通して接地した場合を、「抵抗接地」は一定の大きさの
接地抵抗を通して接地した場合を各々表わす。
【0022】
【表1】
【0023】本実施例では、9つの故障要因の各々に対
する零相電流Io の高調波含有率の次数毎の分布がそれ
ぞれ正規分布であると仮定したうえで、準備段階として
上記平均値μ及び標準偏差σのみを波形記録分析装置2
0に記憶させておく。
【0024】以上の準備工程が完了すると、波形記録分
析装置20は、以下のステップS2〜S5の処理を順次
実行することにより、高圧配電線22に生じた地絡故障
の原因を判別することができる。
【0025】まず、ステップS2では、判定対象として
の地絡故障の際に発生した零相電流Io の波形につい
て、基本波に対する高調波含有率を高調波次数毎にそれ
ぞれ測定する。
【0026】表2に、高圧配電線22の充電部分に対す
る動物の接触を原因とするある地絡故障の場合の2次〜
5次のIo 高調波含有率に関する測定値の具体例を示
す。
【0027】
【表2】
【0028】次のステップS3では、以上の測定工程を
通して得られた高調波含有率の高調波次数毎の測定値χ
の各々について、「当てはまり率」をそれぞれ算定す
る。当てはまり率とは、該高調波含有率の高調波次数毎
の測定値χの各々が先にステップS1で求めておいた高
調波含有率の故障要因別かつ高調波次数毎の分布のうち
の同一高調波次数の分布の各々の平均値μにどの程度一
致しているかを表わすものである。
【0029】具体的には、まず次の数式1により、各分
布(平均値μ、標準偏差σ)上での測定値χの偏りZを
求める。この偏りZは、測定値χが平均値μから標準偏
差σの何倍だけ偏っているかを示すものである。
【0030】
【数1】
【0031】次に、下記の数式2を数表の形に表わした
周知の標準正規分布表から、偏りZの各々に対応する確
率Pを読み取る。例えばχ=μの場合はP=0.000
0、χ=μ+1σの場合はP=0.3413、χ=μ+
2σの場合はP=0.4773、χ=μ+3σの場合は
P=0.4987となる。
【0032】
【数2】
【0033】そして、読み取った確率Pの各々を次の数
式3により第1の当てはまり率P′に変換する。
【0034】
【数3】
【0035】例えばχ=μの場合はP′=1.000
0、χ=μ+1σの場合はP′=0.3174、χ=μ
+2σの場合はP′=0.0454、χ=μ+3σの場
合はP′=0.0026となる。つまり、第1の当ては
まり率P′は、測定値χが平均値μに近いほど大きくな
るものである。
【0036】この第1の第1の当てはまり率P′を、更
に数式4により第2の当てはまり率P″に変換する。標
準偏差σの大きさに見合った補正をするためである。
【0037】
【数4】
【0038】各々表1の平均値μと標準偏差σとを有す
るIo 高調波含有率の故障要因別かつ高調波次数毎の分
布に対する前出の測定値(表2に示したもの)の第2の
当てはまり率P″の具体例を、表2に併記した(P″2
〜P″5 )。ただし、該第2の当てはまり率P″に関す
る同表中の「−」の表示は、P″の値が無視できるほど
小さいことを表わす。ある高調波次数について見れば、
測定値χが平均値μに近い故障要因ほど第2の当てはま
り率P″の値が大きくなっていることが分かる。つま
り、第2の当てはまり率P″は、ステップS2において
測定により得られた零相電流Io の波形と、先にステッ
プS1で抽出しておいた零相電流Io の波形の故障要因
毎の特徴との合致度を表わすものである。
【0039】次のステップS4では、以上の当てはまり
率算定工程で得られた故障要因別かつ高調波次数毎の当
てはまり率についての高調波次数間の平均値を、各故障
要因に対する判定値として算出する。
【0040】具体的には、まず故障要因毎に次の数式5
にしたがって、2次〜n次のIo 高調波含有率の各々に
関する第2の当てはまり率P″2 〜P″n に基づき、該
P″2 〜P″n の各々の逆数の2乗について和の平方根
(根二乗平均)をとることによって第1の判定値Dを求
める。この故障要因毎の第1の判定値Dは、零相電流I
o の波形の合致度をいわば「多次元空間での原点からの
距離」の形で表わしたものであって、合致度の高い故障
要因ほど小さくなるものである。
【0041】
【数5】
【0042】次に、以上のようにして求めた第1の判定
値Dから確率的表現を用いた第2の判定値Sへの変換の
ために、次の操作を実行する。すなわち、仮にA,B,
Cの3つの故障要因のみを考慮する場合は、故障要因毎
の第1の判定値Dの逆数をそれぞれa,b,cとする
と、故障要因毎の第2の判定値Sは次の数式6で定義さ
れる。
【0043】
【数6】
【0044】前出の表2中の故障要因別かつ高調波次数
毎の第2の当てはまり率P″の具体例に即した第1及び
第2の判定値D,Sの具体例を、同じく表2中に示す。
第1の判定値Dに関する「−」の表示はDの値が無視で
きるほど大きいことを表わし、第2の判定値Sに関する
「−」の表示はSの値が逆に無視できるほど小さいこと
を表わす。同表中の第2の判定値Sは、ステップS2に
おいて測定の対象となった高圧配電線22の充電部分に
対する動物の接触を原因とする地絡故障に対する故障要
因毎の蓋然性を表わすものであって、蓋然性の高い故障
要因ほど100%に近くなるものである。
【0045】最後のステップS5では、故障要因別の第
2の判定値Sの大小比較を通して前記判定対象としての
地絡故障の原因を判定する。表2に示す具体例では、判
定対象としての地絡故障の原因が「動物接触」である確
率が59.4%と最も高くなっており、故障原因として
動物接触を第1の候補要因として採用することとなる。
そして、これは実際の故障原因と一致している。ただ
し、避雷器、開閉器及び柱体接地の各故障要因について
はいずれも10%程度の蓋然性が残っており、これらの
故障要因を含めた柔軟性の高い判定ができる。また、ケ
ーブル、高圧ピンがいし及び油中放電の各故障要因につ
いては、これらを確実に棄却できることが分かる。した
がって、例として挙げた地絡故障については、ケ−ブ
ル、高圧ピンがいし及び柱上変圧器については巡視点検
の必要がないことが判明し、高圧配電線の保守点検業務
の簡素化が図れる。
【0046】なお、上記具体例では2次〜5次のIo 高
調波含有率を利用した場合について説明したが、より高
い高調波次数(例えば20次)までのIo 高調波含有率
を利用すれば判定結果の信頼度が更に向上する。
【0047】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、地絡故障時に発生する零相電流Io の波形に故障要
因毎の固有の特徴があることを利用し、零相電流Io の
次数別高調波含有率の測定を通して、判定対象としての
地絡故障の際の零相電流Io の波形と予め抽出しておい
た故障要因毎の零相電流Io の波形上の特徴との合致の
程度すなわち「確からしさ」を表わす判定値に基づいて
地絡故障の原因を統計的に判定する構成を採用したの
で、従来の地絡方向継電器や地絡過電圧継電器では実現
できなかった地絡故障原因の特定が可能になる。しか
も、各々故障原因としての蓋然性を表わす故障要因別の
判定値の大小比較を通して、場合によっては複数の故障
要因を採用する柔軟性の高い判定ができる。
【0048】したがって、故障要因別の判定値の大小比
較を通して例えば高圧ピンがいしをある地絡故障の原因
として採用しかつケーブル、柱上変圧器、避雷器等の他
の用品を棄却する判定を得た場合には、どの高圧ピンが
いしに異常が発生したのかを探査するだけで良く、他の
用品を巡視点検する必要はない。また、本発明の方法に
よって地絡故障の原因を高圧配電線の充電部分に対する
動物又は樹木の接触に特定した場合には、高圧配電線上
の用品を点検する必要がない。このように故障原因の探
査範囲の絞り込みができるので、早期かつ容易に地絡故
障の原因究明ができるようになる。
【0049】つまり、本発明によれば、高圧配電線の保
守点検業務の簡素化及び確実化を図ることができ、ひい
ては重大故障の未然防止を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る高圧配電線の地絡故障原
因判定方法が適用される非接地三相交流式高圧配電線の
例を示す単線結線図である。
【図2】本発明の実施例に係る高圧配電線の地絡故障原
因判定方法の手順を示すフローチャート図である。
【図3】ケーブル地絡故障の場合の波形例を示す図であ
って、(a)は零相電圧Vo の波形、(b)は零相電流
Io の波形を各々示すものである。
【図4】高圧ピンがいしの地絡故障の場合の波形例を示
す図であって、(a)は零相電圧Vo の波形、(b)は
零相電流Io の波形を各々示すものである。
【図5】高圧配電線の充電部分に対する動物の接触を原
因とする地絡故障の場合の波形例を示す図であって、
(a)は零相電圧Vo の波形、(b)は零相電流Io の
波形を各々示すものである。
【符号の説明】
2 送電線 4 配電用変電所 6 主変圧器 10 GPT 16 自動開閉器 18 ZCT 20 波形記録分析装置 22 高圧配電線 24 地絡故障点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 嶋田 元彦 尼崎市若王寺3丁目11番20号 関西電力株 式会社総合技術研究所内 (72)発明者 辻 篤男 大阪市北区中之島6丁目2番27号 株式会 社関西テック内 (72)発明者 上村 健太 大阪市北区中之島6丁目2番27号 株式会 社関西テック内 (72)発明者 久納 仁史 大阪市北区中之島6丁目2番27号 株式会 社関西テック内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原因が判明している高圧配電線の地絡故
    障時の零相電流の波形に基づいて地絡故障時の零相電流
    の高調波含有率の分布を故障要因別かつ高調波次数毎に
    それぞれ求めておく準備工程と、 判定対象としての地絡故障の際の零相電流の高調波含有
    率を高調波次数毎にそれぞれ測定する測定工程と、 該測定工程を通して得られた高調波含有率の高調波次数
    毎の測定値の各々が前記準備工程で求めておいた高調波
    含有率の故障要因別かつ高調波次数毎の分布のうちの同
    一高調波次数の分布の各々の平均値にどの程度一致して
    いるかを表わした当てはまり率をそれぞれ算定する当て
    はまり率算定工程と、 該当てはまり率算定工程を通して得られた故障要因別か
    つ高調波次数毎の当てはまり率についての高調波次数間
    の平均値を故障要因別の判定値としてそれぞれ算出する
    判定値算出工程と、 該判定値算出工程で算出した故障要因別の判定値の大小
    比較を通して前記判定対象としての地絡故障の原因を判
    定する判定工程とを備えたことを特徴とする高圧配電線
    の地絡故障原因判定方法。
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