JPH069771Y2 - タイルの湿式成形型 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、可塑性坏土を押し出すことで二つ割り用タイ
ルを成形する湿式成形型の中玉支持構造に関するもので
ある。

〔従来技術とその解決課題〕

従来のタイルの湿式成形型を示せば、第５図及び第６図
の斜視図に示す通りである。すなわち、従来の成形型１
は、押出機２の前端面側に金型３を取り付けると共に、
押出機２の途中に中玉４を支持する直線状の横柱５を備
えた中玉支持枠６を取り付けている。そして、押出機２
で可塑性坏土を押し出し、これを第１図の破線で示すよ
うに所定寸法に切断している。切断後の成形体は、乾
燥，施釉，焼成等の通常のタイル製造工程を経る。これ
により、第７図に示す二つ割り用のタイル７が製造され
る。この二つ割り用タイル７は、中玉４の部分が貫通し
た空間８に成形され、中玉４どうしの間の部分が裏足９
（第８図参照）どうしをくっつけた状態に成形される。
そして、最後に一個の二つ割り用タイル７を上下に分割
することで、第８図に示す製品としてのタイル10を二個
同時に得るようにしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

而して、従来のタイルの湿式成形型には、次のような問
題点があった。

(a)前記中玉４は、第６図に示すように、押出機２の途
中に中玉支持枠６を取り付けることで装着している。そ
のため、ロット換え等に際し、中玉４の大きさや形状の
変更を行う場合に、金型３を含めて大掛りな脱着作業が
必要であり、かなりの手間が必要であった。

(b)中玉４の横柱部５への取り付けは、横柱部５の前面
側に設けた装着孔へ中玉４の根元部を嵌合装着してい
る。そして、横柱部５の上下面からその前後を合計４個
のボルト5aで緊締挟持している。これは、中玉４の先端
部4aの水平方向及び垂直方向の姿勢が僅かでも悪いと、
可塑性坏土の金型３から押し出されたときに反り等の変
形を発生するので、これを調節することができるように
するためである。すなわち、前記横柱部５の上下面の夫
々の前後に配置された各ボルト5aの螺合状態を調節する
ことで、中玉４の先端部4aの上下左右位置を変更し、中
玉４の姿勢を微調節するようにしている。ところで、中
玉４の姿勢の調節は、微妙なものであり、しかも中玉４
と金型３とが異なる位置で別々に押出機２へ取り付けら
れるものであるため、かなりの熟練者でないと補正修理
ができない。この補正修理は、その都度、金型３及び中
玉支持枠６を脱着して行わなければならず、正しい中玉
４の取付姿勢にするための作業が極めて煩雑になるとい
う欠点があった。

(c)中玉４を取り付ける横柱部５は、全体が直線状に延
びている。従って、横柱部５は、中玉４の複数本を取り
付けた領域より両端側の可塑性坏土の流れを悪くする。
そのため、従来は、押し出された成形体の側面の中央部
分の密度が他の部分の密度より粗となり、成形体の反り
の変形を起こすことがあり、歩留りが非常に悪かった。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、従来の湿式成形型の前記問題点に鑑みてこれ
を改良除去したものであって、金型と一体化された中玉
の支持構造とすることにより、金型を押出機へ取り付け
るだけで中玉の取付けが完了し、更に反りの変形のない
成形体を成形できる湿式成形型を提供せんとするもので
ある。

而して、本考案が採用した手段は、押出機の前端面に金
型を取り付けると共に、該金型の成形用空間へ中玉を架
空状に支持し、可塑性坏土を前記金型から押し出すこと
でタイルの裏足どうしをくっつけた状態の二つ割り用タ
イルを成形するタイルの湿式成形型において、金型の成
形用空間の周囲に位置する押出用空間側に上下左右四本
の支柱を立設し、該支柱に横柱部の両端側がＹ字状に分
岐された中玉支持部材を取り付け、該中玉支持部材の横
柱部に凹設された溝に中玉を嵌合装着すると共に中玉の
根元部の後面側を中玉支持部材の後面側からボルトで緊
締し、前記中玉支持部材及び中玉を金型へ一体的に取り
付けたことを特徴とするタイルの湿式成形型である。

〔作用〕

本考案にあっては、金型の押出用空間側に支柱を介して
中玉支持部材を取り付け、該中玉支持部材の横柱部に凹
設された溝に中玉を嵌合装着すると共に、中玉支持部材
の後面側から中玉の根元部の後面側をボルトで緊締して
いる。従って、押出機から金型を取り外した状態で、中
玉を金型へ一体的に取り付けている。そして、中玉支持
部材に対する姿勢は正確な状態となる。そのため、金型
を押出機へ取り付けるだけで、中玉の設置が可能であ
り、従来のように中玉と金型とが別々ではないので中玉
の金型に対する位置調節を行う必要はない。

更に、本考案にあっては、支柱に横柱部の両端側がＹ字
状に分岐された中玉支持部材を取り付けている。そのた
め、中玉支持部材は、横柱部の両端側を可塑性坏土が円
滑に流れ、複数本の中玉からなる中玉群の両外側に充分
な可塑材坏土を供給する。

〔実施例〕

以下に、本考案の構成を図面に示す実施例に基づいて説
明すると次の通りである。

第１図は本考案の１実施例に係る成形型11を示す縦断面
図である。同図に示すように、この実施例にあっては、
押出機12の前端面側に金型13を取り付けている。そし
て、押出機12内の押出空間14へ面し且つ金型13の成形用
空間15の周囲に位置する金型13の押出用空間側Ａの部分
にあって、上下左右の四箇所に、支柱16を螺着して立設
している。支柱16は、第２図に示すように、両端側に螺
子部16a及び16bを有しており、螺子部16aが金型13内へ
螺着されている。

而して、前記四本の各支柱16の他端側の螺子部16b側に
は、第３図に示す、中玉支持部材17がナット18を介して
取り付けられている。中玉支持部材17の取り付けは、横
柱部19の両端側がＹ字状に分岐されており、該分岐部分
に設けた装着孔20へ前記支柱16の螺子部16bを挿通し、
ナット18で締結して行っている。このように横柱部19の
両端側をＹ字状に分岐させ、四本の支柱16で中玉支持部
材17を設置するようにした理由は、成形性を考慮したた
めである。すなわち、横柱部19の両端を分岐させずに二
本の支柱で設置すると、横柱部19の両端側の可塑性坏土
の流れが悪くなり、押し出された成形体の側面の中央部
分が金型13から解放されて広がり、反りの変形を起こす
原因となるからである。これに対し、前記横柱部19は、
両端側のＹ字状に分岐した箇所を可塑性坏土が円滑に流
れ、複数本の中玉21が並ぶ中玉群の両外側に充分な可塑
材坏土を供給する。その結果、得られる成形体は、全体
の密度が均一となり、反りの変形のないものとなる。

前記中玉支持部材17は、横柱部29の前面側に、第４図に
示す中玉21の根元部22を嵌着するための溝23が穿設され
ている。そして、この溝23の中玉21を設置する位置に
は、後面側へ貫通するボルト孔24が穿設されている。中
玉21の根元部22は、前記溝23の断面形状と同形状に成形
されており、根元部22と溝23とはNC工作盤等により高精
度に製造されている。従って、中玉21の根元部22を前記
中玉支持部材17の溝23へ嵌合装着した状態で、両者の間
に遊びは全くなく、中玉21の中玉支持部材17に対する姿
勢は正確な垂直状態である。

然る後は、中玉支持部材17の横柱部19の後面側からボル
ト孔24へボルト25を挿通し、中玉21の根元部22の後面側
を螺合緊締すればよい。これにより、中玉21を金型12へ
一体的に取り付けることが可能である。そして、この取
付後の状態にあって、中玉21の先端部26は、金型13の成
形用空間15へ位置し、しかもその姿勢は成形用空間15の
水平方向及び垂直方向において極めて正確なものとな
る。

それ故、本実施例にあっては、金型13へ中玉21を取り付
け、然る後に金型13を押出機12へ取り付けるだけで成形
型11を構成することができ、中玉21の形状や大きさ並び
に設置数の変更等のロット換えが極めて容易である。し
かも、素人であっても中玉の取付作業やロット換えの作
業が可能であり、従来のように熟練を要することはな
い。

ところで、本考案は上述した実施例に限定されるもので
はなく、中玉21の大きさや形状並びに設置数等は適宜の
変更が可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案にあっては、次の如き実用的
効果を有する。

支柱及び中玉支持部材を介して中玉を金型へ一体に取
り付けている。そのため、金型を押出機へ取り付けるだ
けで、中玉の設置が可能であり、従来のように中玉と金
型とが別々ではないので中玉の金型に対する位置調節を
行う必要はない。その結果、本考案は、ロット換え等に
際し、従来に比べてかなりの手間を省略できる。

金型の押出用空間側に支柱を介して中玉支持部材を取
り付け、該中玉支持部材の横柱部に凹設された溝に中玉
を嵌合装着すると共に、中玉支持部材の後面側から中玉
の根元部の後面側をボルトで緊締している。従って、中
玉の中玉支持部材に対する姿勢は正確な状態となる。そ
の結果、本考案は、中玉を金型へ取り付けた後に中玉の
位置調節を行う必要がなく、素人でも中玉の脱着作業が
可能となる。

中玉支持部材は、横柱部の両端側のＹ字状に分岐され
た箇所を可塑性坏土が円滑に流れ、複数本の中玉からな
る中玉群の両外側に充分な可塑材坏土を供給する。その
結果、本考案は、全体の密度か均一で反りの変形のない
成形体が得られ、歩留りを飛躍的に向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本考案の一実施例に係るものであ
り、第１図は成形型の全体を示す縦断面図、第２図は支
柱の側面図、第３図は中玉支持部材の斜視図、第４図は
中玉の斜視図、第５図乃至第８図は従来技術に係るもの
であり、第５図は成形型の全体を示す斜視図、第６図は
成形型の部分断面斜視図、第７図は二つ割り用タイルの
斜視図、第８図は製品タイルの斜視図である。 ７…二つ割り用タイル 10…製品タイル、11…形成型 12…押出機、13…金型 15…成形用空間、16…支柱 17…中玉支持部材、19…横柱部 21…中玉、22…根元部 Ａ…押出用空間側

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】押出機の前端面に金型を取り付けると共
   に、該金型の成形用空間へ中玉を架空状に支持し、可塑
   性坏土を前記金型から押し出すことでタイルの裏足どう
   しをくっつけた状態の二つ割り用タイルを成形するタイ
   ルの湿式成形型において、金型の成形用空間の周囲に位
   置する押出用空間側に上下左右四本の支柱を立設し、該
   支柱に横柱部の両端側がＹ字状に分岐された中玉支持部
   材を取り付け、該中玉支持部材の横柱部に凹設された溝
   に中玉を嵌合装着すると共に中玉の根元部の後面側を中
   玉支持部材の後面側からボルトで緊締し、前記中玉支持
   部材及び中玉を金型へ一体的に取り付けたことを特徴と
   するタイルの湿式成形型。