JPH069674A - 立体選択的グリコシル化法 - Google Patents

立体選択的グリコシル化法

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JPH069674A
JPH069674A JP4191369A JP19136992A JPH069674A JP H069674 A JPH069674 A JP H069674A JP 4191369 A JP4191369 A JP 4191369A JP 19136992 A JP19136992 A JP 19136992A JP H069674 A JPH069674 A JP H069674A
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nmr
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benzyl
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JP4191369A
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Ryoji Ishido
良治 石戸
Izumi Takai
泉 高井
Yoshiyuki Shibazaki
嘉之 柴崎
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TOKYO YATSUKA UNIV
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TOKYO YATSUKA UNIV
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸触媒存在下で、アノマー炭素に結合した水
酸基以外の水酸基を隣接基関与のない保護基で保護した
D-ヘキソピラノース炭酸エステル誘導体(例えば、2,
3,5-トリ--ベンジル-1--フェノキシカルボニル-
D-グルコピラノース)を、その溶液状態において、糖誘
導体等のヒドロキシ化合物と反応させることにより、該
ヒドロキシ化合物のグリコシル化を行う。 【効果】 隣接基関与又は重金属塩の使用を必須とせず
に、緩和な反応条件下で立体選択的にヒドロキシ化合物
のグリコシル化が進行し、0℃以下の反応温度でβ-グ
リコシドが選択的に得られ、0℃より高い反応温度でα
-グリコシドが選択的に得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の糖質関連生理活
性物質合成のための中間体として極めて有用な、α-グ
リコシドおよびβ-グリコシドを立体選択的に合成する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】糖質は自然界に広く分布し、デンプンや
グリコーゲンなどのエネルギー貯蔵源として、また、植
物や細菌の細胞壁成分として存在するばかりでなく、血
液型決定物質などの生体成分としても存在する。最近、
生命と糖質の関係が明かになるにつれ、有機合成化学の
分野においても糖質の合成研究が活発に行なわれるよう
になった。
【0003】このような糖質の大部分は、グリコシル化
合物で占められている。ここにグリコシル化合物とは、
糖類が環状構造をとることによって生ずる1位のヘミア
セタール性水酸基(ラクトール性水酸基)が、プロトン
性求核試薬で置換された形に相当する化合物の総称であ
る。
【0004】グリコシル化合物は、構造的には糖部分
(グリコン;glycon)と非糖部分(アグリコン;aglyco
n )とから成り、その非糖部分の糖部分との結合に関与
する原子の種類によって4種に大別される。すなわち、
該原子が酸素原子であれば-グリコシル化合物(グリ
コシド類)、硫黄原子であれば、-グリコシル化合物
(辛味配糖体等)、窒素原子であれば-グリコシル化
合物(ヌクレオシド類、グリコシルアミン類等)、また
炭素原子であれば-グリコシル化合物(アントラキノ
ン配糖体、C-ヌクレオシド類等)と呼ばれている。更
に、各グリコシル化合物は、アノマー炭素の立体配置に
より、α-及びβ-アノマーの2種類に分類される。
【0005】ここに、アノマーとは、糖がピラノースま
たはフラノース環構造をとった場合に、直鎖構造の場合
より不斉炭素原子が1個増えたために生じるジアステレ
オマーの対をいう。このとき、アノマー炭素に結合した
水酸基またはグリコシド結合が糖の環面より下にあれば
α-アノマー(例えばα-D-グルコピラノース)、上にあ
ればβ-アノマーという。
【0006】一般に、グリコシル化合物の化学合成にお
いては、目的とする生成物は、このようなアノマーの混
合物として得られる場合がほとんどである。従って特定
のアノマーを高選択的に高収率で得るためには、温度・
溶媒等の反応条件のみならず、糖供与体の保護基、脱離
基、受容体水酸基の求核性、反応剤等及びこれらの組合
せに関して繊細な検討が不可欠であった。
【0007】従来、一般に、2位の水酸基が糖の環面よ
り下にある糖化合物(D-グルコピラノース、D-リボフラ
ノース等)の該2位水酸基を、隣接基関与を示す保護基
(例えば、アシル基)で置換した誘導体を用い、これを
下記式(化1)に示すように、該隣接基関与を利用して
グリコシル化すると、β-アノマーが優先して得られる
とされていた(L.R.Schroeder and J.W.Greeen, J.Che
m.Soc.,1966,530)。しかし、糖供与体の2位水酸基の
保護基が、アルキル基やアセタールのような隣接基関与
のない保護基である場合は、1,2-シス異性体が圧倒的
に生成するとされていた。
【0008】
【化1】
【0009】同様の傾向(2位に隣接基関与のある保護
基を用いた場合におけるβ-アノマー生成)は、糖供与
体としてハロゲン化グリコシル誘導体を用いた場合(Ko
enigs-Knorr法、W.Koenigs and E.Knorr, Chem.Ber.,3
4,957(1901)等)にも見られた。
【0010】グルコース等のヘキソースにおけるα-グ
リコシドの合成法に関しては、フッ化グリコシルをエー
テル中で塩化スズ(II)−過塩素酸銀と反応させる方法
(T.Mukaiyamaら、Chem.Lett.,1981,431)、β-1-トリ
クロロアセトイミダートにトリメチルシリルトリフラー
ト(TMSOTf)を反応させる方法(R.R.Schmidt
ら、Tetrahedron Lett.,31,1849(1990))、チオグリコ
シド糖供与体に臭化銅(II)−臭化テトラブチルアンモ
ニウム(触媒量)−銀トリフラートを反応させる方法
(S.Satoら,Carbohydr.Res.,155,C6(1986))等が知られ
ている。しかしながら、これらの方法においては、糖供
与体が比較的不安定でその調製が容易とは言えず、また
反応剤として銀等の重金属塩を用いることが不可欠とい
う難点があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】グルコピラノシル化反
応(すなわち、グルコース型ヘキソピラノースを用いる
グリコシル化反応)に関しては、フェノキシカルボニル
誘導体は、大過剰のアルコール中加熱することにより、
下記式(化2)に示すように、脱炭酸を伴ってアルキル
グリコシドを与えることが知られている(野崎真、東京
薬科大学修士論文(1991))。
【0012】
【化2】
【0013】しかしながら、この方法においては、大過
剰のアルコール及び長い反応時間が必要であった。一
方、1,2-cis型のβ-D-マンノピラノシル結合の構築
は、糖タンパク質の合成に必須であるが、その合成は、
アノマー効果及びΔ2効果(T.A.Giudici, J.J.Griffin,
Carbohydr. Res.,33,287(1974))のため、β-D-マンノ
ピラノシドを高選択的に合成することは通常は困難であ
り、下記式(化3)に示すPaulsenらの方法が比較的良
好な結果を示しているのみである。
【化3】 しかしながら、このPaulsenらの方法においては、糖供
与体として不安定で扱いにくい臭化グリコシルを反応系
内で発生させなければならず、また、高価なケイ酸銀-
Al23を多量に用いなければならないという実用上の
難点があった。
【0014】他方、アミノ糖である2-アミノ-2-デオ
キシ-D-グルコピラノース(D-グルコサミン)は、生体
内の生理活性糖鎖(血液型決定糖鎖等)中に数多く含ま
れており、それらのオリゴ糖鎖を合成する上で、効率よ
くグルコサミニル化を行うことは必須である。更に、天
然に広く分布している6-デオキシ糖の一つであるL-フ
コース(6-デオキシ-L-ガラクトース)は、生物学的に
重要な糖であり、生体内において血液型決定因子等を始
めとする数多くのオリゴ糖類の非還元末端に位置してい
る。生体内に含まれる糖鎖に対して、このフコースは、
通常、1,2-cis-α-グリコシド型結合で結ばれている
ため、高収率且つ高立体選択的なα-グリコシド結合の
形 成法を開発することは、極めて重要である。
【0015】しかしながら、実用(実際の合成反応等へ
の応用)に適し、しかも高収率且つ高立体選択的な上記
D-グルコサミニル化ないしはL-フコピラノシル化反応
は、未だ報告されていない。
【0016】本発明の主な目的は、上述した問題点を解
決し、調製が容易で比較的安定な糖供与体を用いて緩和
な反応条件下で、しかも隣接基関与又は銀、水銀等の重
金属塩の使用を必須としない高立体選択的なα-及びβ-
グリコシド合成法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、糖供与体として比較的安定であるがゆえに、従
来においては加熱溶融条件下のみで利用可能とされてい
たヘキソピラノース1-炭酸エステル誘導体が、(その
溶融状態ではなく)溶液状態でヒドロキシ化合物と優れ
た反応性を示すこと、更には、該溶液状態のヘキソピラ
ノース1-炭酸エステル誘導体とヒドロキシ化合物との
新規な組合せが、簡便な制御手段で、緩和な反応条件下
に(従来法におけるような隣接基関与ないし重金属塩の
使用を必須とせずに)α-及びβ-グリコシドを高収率且
つ高立体選択的に与えることを見出した。
【0018】本発明のグリコシル化法は、このような知
見に基くものであり、より詳しくは、ヘキソピラノース
1-炭酸エステル誘導体を、その溶液状態においてヒド
ロキシ化合物と反応させることを特徴とするものであ
る。
【0019】上記ヘキソピラノース1-炭酸エステル
は、前述したハロゲン化糖誘導体等に比べて格段に安定
な糖供与体であったため、従来においては、その加熱溶
融条件下における熱分解反応、及び自己触媒的グリコシ
ル化反応によるフェニルグリコシドや、二糖誘導体など
の合成については詳細な検討が行われて来た(Y.Ishido
ら、J.Chem.Soc.,Perkin Trans.I,521(1977))ものの、
溶液状態のヘキソピラノース1-炭酸エステルの反応に
ついては、未だ検討されたことがなかった。
【0020】以下、本発明を詳細に説明する。 (ヘキソピラノース1-炭酸エステル誘導体)本発明に
用いられるヘキソピラノース1-炭酸エステル誘導体
は、炭酸エステル基を、糖のC-1位に導入した構造を
有する糖炭酸エステル誘導体(グリコシルカーボナー
ト)である。この1-炭酸エステル誘導体は、下記一般
式(A)又は(B)で示される構造を有することが好ま
しい。
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】上記一般式(A)又は(B)中、R1 は1
-炭酸エステル基を構成する有機基を示し、アルキル基
(より好ましくは炭素数1〜4の低級アルキル基)、ア
ラルキル基又はアリール基(例えばフェニル基)である
ことが好ましい。これらのアルキル基、アラルキル基又
はアリール基は、本発明の反応に不活性な置換基(例え
ば塩素原子Cl)を有していてもよい。
【0024】本発明においては、R1 として、フェニル
基、又はトリクロロエチル基(-CH2 CCl3 )が、
1-炭酸エステル誘導体としての反応性と安定性とのバ
ランスの上から特に好ましく用いられる。
【0025】一方、上記一般式(A)又は(B)中、R
2 は同一または相異なる水酸基の保護基を示す。この保
護基としては、本発明における反応条件下で実質的に除
去されないような(不活性な)保護基であれば、特に制
限なく用いることが可能である。より具体的には、例え
ば、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等の
脂肪族又は芳香族アシル基)、アラルキル(aralkyl) 基
(例えば、ベンジル基C65CH2-、p-メトキシベン
ジル基CH3O-C64-CH2-)等が緩和な条件下での
脱保護が可能な点から好ましく用いられる。
【0026】更に、上記一般式(A)中、R3は水素原
子、−OR2基、又は−NR45基を示す。ここに、R4
及びR5は、同一又は相異なるアミノ基の保護基を示す
(R4及びR5が一緒になって上記アミノ基の保護基を形
成していてもよい)。この保護基(R4及びR5)として
は、本発明における反応条件下で実質的に除去されない
ような(不活性な)保護基であれば、特に制限なく用い
ることが可能である。より具体的には、例えば、アシル
基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等の脂肪族又は
芳香族アシル基;上記アミノ基のN原子とともにイミド
基を形成していてもよい)、アラルキル(aralkyl) 基
(例えば、ベンジル基C65CH2-)等が緩和な条件下
での脱保護が可能な点から好ましく用いられる。
【0027】上記一般式(A)又は(B)で表される糖
供与体としては、より具体的には、例えば、以下に示す
ような糖誘導体(C)ないし(G)が好ましく用いられ
る。
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】上記した一般式(C)ないし(G)におい
て、R1ないしR5の意味は、上述した一般式(A)又は
(B)におけると同義である。本発明に用いるヘキソピ
ラノース1-炭酸エステル誘導体(以下「糖供与体」と
もいう)を得る方法は特に制限されないが、例えば、上
記一般式(C)又は(D)に示す炭酸エステル誘導体
(例えば、R1=フェニル基Ph、R2=ベンジル基B
n)は、下記式(化11)に示すような方法により好適
に調製することができる。
【0034】
【化11】
【0035】上記式(化11)に示す反応において、ヘ
キソピラノース1-炭酸エステル誘導体たる(C)又は
(D)は、通常、α-及びβ-アノマーの混合物として得
られるが、必要に応じ、カラムクロマトグラフィー等に
よって純粋なα-及びβ-アノマーをそれぞれ得て本発明
の反応に用いてもよい。上記と同様にして、上記一般式
(E)ないし(G)に示す炭酸エステル誘導体(例え
ば、R1=フェニル基Ph、R2=ベンジル基Bn;ただ
し(化13)においては、R2=アセチル基Ac、−N
45=フタルイミド基である)は、下記式(化12)
ないし(化14)に示すような方法により好適に調製す
ることができる。
【0036】
【化12】
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】(ヒドロキシ化合物)本発明において、グ
リコシル化されるべきヒドロキシ化合物(アルコール化
合物、フェノール化合物等)としては、第1(ないし第
1級)又は第2(ないし第2級)水酸基を有するヒドロ
キシ化合物が特に制限なく使用可能であるが、通常は環
式ヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。ここに、
「環式ヒドロキシ化合物」とは、構造式中に第1又は第
2(ないし第1級又は第2級)水酸基を少くとも1個有
し、且つ環状の原子配列を少くとも1個有する有機化合
物をいう。
【0040】上記環状構造は、1個以上の不飽和結合を
有していてもよく(例えばベンゼン環等の芳香族環にお
ける不飽和結合)、またはヘテロ原子(例えば、O、
N、S及び/又はSi)を1個以上有していてもよい。
本発明のグリコシル化反応に関与すべき水酸基は、必ず
しも環状構造に直接に結合していなくともよい。環状構
造がこれに直接結合した水酸基(第2水酸基)を有する
場合、該第2水酸基を有する環は3ないし8員環程度
(更には5ないし6員環程度)であることが好ましい。
【0041】本発明において、グリコシル化される水酸
基が結合した炭素原子と、環式アルコールを構成する炭
素原子との立体構造(例えば立体配置)が確定している
という点、及び糖関連天然物合成のための中間体として
の有用性の点からは、糖ないし炭水化物、またはこれら
の誘導体を上記ヒドロキシ化合物として用いることが好
ましい。
【0042】本発明において好ましく用いられる上記糖
化合物ないし炭水化物としては、具体的には、ヘキソー
ス、ペントース(例えば、ピラノース環又はフラノース
環を形成可能なアルド(又はケト)ヘキソースないしア
ルド(又はケト)ペントース)等の単糖類ないしこの誘
導体、これら単糖類のオリゴマーたるオリゴ糖類が例示
される。
【0043】上記したグリコシル化されるべきヒドロキ
シ化合物が、該グリコシル化されるべき水酸基以外に、
この反応によって影響を受ける可能性のある他の官能基
(例えば水酸基)を有する場合には、該官能基は適当な
保護基(好ましくは本発明の反応に不活性な保護基)で
保護されていることが好ましい。
【0044】(溶液状態)本発明において、「溶液状態
にあるヘキソピラノース1-炭酸エステル誘導体」と
は、該ヘキソピラノース1-炭酸エステル誘導体が、少
なくとも1種の他の物質とともに、反応温度において液
体状態にある均一な混合物を構成している状態をいう。
本発明において、上記「他の物質」は、前述した「ヒド
ロキシ化合物」自体であってもよく、また該ヒドロキシ
化合物とは異なる「溶媒」であってもよい。
【0045】上記「溶媒」としては、本発明における反
応温度(通常30℃以下、より好ましくは20℃以下の
温度)で液体である限り、一般に有機反応に用いられて
いるものを特に制限なく使用することができる。具体例
としては、例えばジクロロメタン、1,2-ジクロロエタ
ン、トルエン、アセトニトリル、ならびにエーテル等が
好ましく用いられる。エチルエーテルを溶媒として用い
た場合、本発明においては、後述するようにα-グリコ
シドが優先して得られる。
【0046】本発明のグリコシル化反応においては、該
反応の進行が実質的に阻害されない範囲であれば、前記
した「ヒドロキシ化合物」及び/又は「溶媒」の使用量
は特に制限されないが、反応操作上の容易性及び反応速
度のバランスの点からは、ヘキソピラノース1-炭酸エ
ステル誘導体が200mmol(ミリモル)のスケール
の場合で、(ヒドロキシ化合物+溶媒)の使用量として
2mL(ミリリットル)以上程度、更には2〜15mL
程度(特に2〜6mL程度)を用いることが好ましい。
なお、ここに記載した量比は、あくまで炭酸エステル誘
導体と(ヒドロキシ化合物+溶媒)との好ましい量比の
例を示すものであり、実際の反応のスケールを何ら限定
するものではない。
【0047】(反応温度)本発明においては、上記「反
応温度」とは、いわゆる浴(bath)温度を意味する。本発
明においては、通常、前記ヘキソピラノース1-炭酸エ
ステル誘導体が実質的に加熱溶融しない温度で反応を行
う。より具体的には、浴温度30℃以下(より好ましく
は20℃以下)の温度で反応を行うことが好ましい。
【0048】後述するように、(特にエチルエーテルE
2O以外の物質で糖供与体たるヘキソピラノース1-炭
酸エステル誘導体を溶液化した場合)反応温度を低くす
ると、生成物中のβ-アノマーの生成比が向上する傾向
がある。より具体的には、β-アノマーを優先的に生成
させる場合には、例えば、エーテル以外の溶媒(ジクロ
ロメタン、1,2-ジクロロエタン、トルエン、アセトニ
トリル等)ないしヒドロキシ化合物を用い、反応温度を
低くすることが好ましい。反応温度を低くしてβ-アノ
マーを優先的に得る場合、反応温度は0℃以下であるこ
とが好ましく、更には−20℃〜−40℃程度(更には
−30℃〜−40℃程度)であることが好ましい。
【0049】他方、α-アノマーを優先的に得る場合に
は、溶媒としてエチルエーテルを用いるか、あるいはエ
チルエーテル以外の物質(溶媒又はヒドロキシ化合物)
でヘキソピラノース1-炭酸エステル誘導体を溶液化す
ることが好ましく、また反応温 度は0℃より高い(更
には15℃〜30℃程度の温度である)ことが好まし
い。また後述するように、α-アノマーを優先的に得よ
うとする場合には、反応時間 が長い方が好ましく、よ
り具体的には、反応時間は5分以上、更には10分以上
(特に20分以上)であることが好ましい。
【0050】(酸触媒)本発明において、「酸触媒」と
は、本発明の反応系に(必要に応じて)添加された場合
に、その反応速度を増大させる作用を有し、且つ、それ
自体は上記糖供与体によって実質的にグリコシル化を受
けないブレンステッド酸及び/又はルイス酸をいう。
【0051】本発明においては、酸触媒としてルイス酸
を用いることが好ましい。より具体的には、例えば、ト
リメチルシリルトリフラート(TMSOTf、(C
33SiOSO2CF3)、Cu2Cl2、Cu2Cl2
AgClO4、SnCl2、SnCl2−AgClO4、S
nCl4、三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(BF3
・OEt2 )、四フッ化ケイ素、四フッ化チタン、フッ
化亜鉛、塩化スズ(II)−銀トリフラート(I)、ジメ
チルクロロガリウム、二塩化ジルコノセン(Cp2 Zr
Cl2 )−過塩素酸銀、二塩化ハフノセン(Cp2 Hf
Cl2 )−過塩素酸銀、等を用いることが可能である
が、容易なα/β比コントロールを可能とする点から
は、特にTMSOTf(トリメチルシリルトリフラー
ト)を用いることが好ましい。このTMSOTfを用い
る場合、副反応の抑制および選択性向上の点からは、T
MSOTfの使用量は糖供与体たるヘキソピラノース1
-炭酸エステル誘導体に対して、通常は、1.0当量以
下であることが好ましい。
【0052】(反応生成物)本発明において、α-アノ
マーを優先的に得ようとする場合には、生成物中のα/
β生成比(以下「α/β」という)がα/β≧1.2で
あることが好ましく、更にはα≧1.5(特にα/β≧
2)であることが好ましい。一方、本発明においてβ-
アノマーを優先的に得ようとする場合、α/β≦5/6
であることが好ましく、更にはα/β≦2/3(特にα
/β≦1/2)であることが好ましい。
【0053】生成物たるグリコシドの立体配座は、グリ
コシル化されるべきヒドロキシ化合物や他の保護基によ
っても変化するが、例えば、 1H-NMRに於ける帰属
可能なプロトンシグナル総てを参考にして、妥当な面積
強度比を算出し、α/β生成比を導くことができる。
【0054】
【実施例】以下、合成例(糖供与体たる「ヘキソピラノ
ース1-炭酸エステル誘導体」及び糖受容体の調製)、
及び実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0055】以下の実施例において使用した物性値の測
定法及び装置は、以下の通りである。(1)融点:柳本
製作所製 ミクロ融点測定装置(未補正値を記載) (2)1H-NMRスペクトル:Brucker AM400 NMR スペ
クトロメーター 測定溶媒は、重クロロホルム(CDCl3)、又は重ジ
メチルスルホキシド(DMSO-d6)を用いた。 (3)元素分析:Perkin Elmer 240-002(東京薬科大学
中央分析センター) (4)シリカゲルカラム:Wakogel C-300又はMerck Kie
selgel 60 (5)TLC(薄層クロマトグラフィー):Merck Kies
elgel 60 F254(0.25mm)を用い、上昇法により
展開した。検出方法はUV吸収(253.7nm)、及
び5%硫酸/メタノール溶液を噴霧後100〜150℃
で加熱した。 (6)反応溶媒及び試薬は、必要に応じて常法に従って
精製して使用した。
【0056】合成例1 糖供与体(グリコシルドナー)たる1-O-フェノキシカ
ルボニル糖誘導体の調製 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-D-グルコピラノ
ース(3) メチル2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-D-グルコ
ピラノシド(10.0g,18.0mmol)を80
%酢酸水溶液160mLに溶かし、更に1N塩酸50m
lを加え、95〜100℃で3時間加熱した。反応終了
後、室温に戻し溶媒の大部分を留去し、その濃縮液に対
して水300mlを加え、炭酸水素ナトリウムで中和し
た。その水溶液からクロロホルム300mlで抽出し、
水層をもう一度クロロホルム150mlで抽出して、先
のクロロホルム層と合わせた。無水硫酸マグネシウムで
乾燥後、濃縮しシリカゲル(カラム)を用いて分離を行
なった。トルエン:酢酸エチル=10:1の混合溶液で
溶出するとが7.89g(収率81%)得られた。
【0057】1H−NMR,(CDCl3 );δ2.9
0(d,1H,J2.4Hz,−OHα)3.12
(d,0.3H,J5.5Hz,−OHβ)3.70−
3.73(m)3.90(t,1H)3.98(m,1
H)4.47−5.22(m)5.23(t,1H,H
−1α)7.12−7.35(m).
【0058】なお、δ5.23のトリプレットは重水交
換によりタブレットになり、δ2.90,3.21のシ
グナルは消失した。
【0059】合成例2 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-D-ガラクトピラ
ノース(4) メチル2,3,4,6-テトラ-O-ベンジルガラクトピ
ラノシド(10.0g,18.0mmol)を80%
酢酸160mlに溶かし、更に1N塩酸50mlを加
え、前記合成例1におけるの場合と同様に処理したと
ころ、シロップ状のが8.29g(85%)得られ
た。
【0060】1H−NMR,(CDCl3 );δ3.1
3(d,1H,J2.1Hz,−OHα)3.43
(d,1H,J6.4Hz,−OHβ)3.49−3.
62(m)3.78(dd)3.89−3.98(m)
4.05(dd)4.17(t)4.40−4.96
(m)5.29(t,1H,H−1α)7.15−7.
38(m)
【0061】なお、δ5.29のトリプレットは重水交
換によりタブレットになり、δ3.13,3.43のシ
グナルは消失した。
【0062】合成例3 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-O-フェノキシ
カルボニル-D-グルコピラノース(5) 合成例1で得られた(5.0g,9.26mmol)
とピリジン(2mL,23mmol)とをジクロロメタ
ン50mLに溶かし、氷冷下クロロギ酸フェニル(1.
88g,1.51mL,1.3eq)を滴下した。室温
で一晩攪拌後、クロロホルムで希釈し、1N水酸化ナト
リウム水溶液、1N塩酸、水で順次洗浄した後、無水硫
酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別除去した後、
濃縮し、得られたシロップに対しシリカゲルを用いて分
離を行なった。トルエン:酢酸エチル=60:1の混合
溶媒で溶出したところ、シロップ状の5αβが5.99
g(98%,α:β=78:22)得られた(この生成
物においては、シリカゲルカラムによるアノマーの分離
は困難であった)。
【0063】5α 1H−NMR(CDCl3 );δ
3.69−3.80(m,4H,H−2,H−3,H−
6a,H−6b)3.99−4.06(m,2H,H-
4,H−5)4.49−5.01(m,8H,-CH2
−Ph×4)6.28(d,1H,J1,2 3.5Hz,
H−1)7.16−7.38(m,25H,C65×
5)
【0064】5β 1H−NMR(CDCl3 );δ
3.61(m,1H,H−5)3.68(t,1H,J
2,3 8.8Hz,H−3)3.72- 3.81(m,4
H,H−2,H−4,H−6a,H−6b)4.49−
4.92(m,8H,−CH2 −Ph×4)5.56
(d,1H,J1,2 7.8Hz,H−1)7.15−
7.38(m,25H,C65 ×5) 元素分析 C41408 (5α,5β混合物として) 計算値 C74.53 H6.10 実測値 C74.70 H6.02
【0065】合成例4 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-O-フェノキシ
カルボニル-D-ガラクトピラノース(6) 合成例2で得られた(5.0g,9.26mmol)
とピリジン(2mL,23mmol)とをジクロロメタ
ン50mLに溶かし、氷冷下クロロギ酸フェニル(1.
88g,1.51mL,1.3eq)を滴下した。室温
で一晩攪拌後、クロロホルムで希釈し、1N水酸化ナト
リウム水溶液、1N塩酸、水で順次洗浄した後、無水硫
酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別除去した後、
濃縮し、得られたシロップをスラリーとし、シリカゲル
を用いて分離を行なった。n- ヘキサン:酢酸エチル=
10:1の混合溶媒で溶出したところ、まずシロップ状
6αが3.36g得られ、次に6βが2.08g得ら
れた(全体収量5.44g,収率89%,α:β=6
2:38)。
【0066】6α 1H−NMR(CDCl3 );δ
3.60(d,2H,J5,6 6.5Hz,H−6a,H
−6b)3.98(dd,1H,J2,4 2.7Hz,H
−3)4.06(d,1H,H−4)4.16(t,1
H,H5)4.24(dd,1H,J2,3 10.1H
z,H−2)4.44−4.85(m,8H,−CH2
−Ph×4)6.31(d,1H,J1,2 3.6Hz,
H−1)7.12−7.36(m,25H,C65 ×
5) 元素分析 C41428 計算値 C74.53 H6.10 実測値 C74.34 H6.15
【0067】6β 1H−NMR(CDCl3 );δ
3.61−3.68(m,3H,H−3,H−6a,H
−6b)3.72(t,1H,J5,6 6.2Hz,H−
5)4.00(d,1H,J3,4 2.6Hz,H−4)
4.06(dd,1H,J2,3 9.7Hz,H−2)
4.40- 4.98(m,8H,−CH3 −Ph×4)
5.53(d,1H,J1,2 8.0Hz,H−1)7.
06−7.45(m,25H,C65 ×5) m.p 81〜82℃(エタノールより再結晶) 元素分析 C41408 計算値 C74.53 H6.10 実測値 C74.77 H6.14
【0068】合成例5 糖受容体(グリコシルアクセプター)の調製 1,2,3,4-ジ-Oーイソプロピリデン-α-D-ガラク
トピラノース(8) 無水塩化亜鉛(10.6g)を無水アセトン(120m
L)に溶かし、濃硫酸(0.36mL)を加え室温で1
0分間攪拌した後、D-ガラクトース(9.0g,5.
0mmol)を加え室温で6時間攪拌した。反応終了後
無水炭酸ナトリウム(18g)と水(31mL)とを加
え、生じた不溶物を吸引濾別した。濾液をエーテルで抽
出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別
除去した後、濃縮し得られたシロップに対しシリカゲル
を用いて分離を行なった。クロロホルム:酢酸エチル=
10:1の混合溶媒で溶出したところシロップ状の
9.19g(71%)得られた。
【0069】1H−NMR,(CDCl3 );δ1.1
8(s,6H,−CH3 ×2)1.38,1.46
(s,3H×2,−CH3 ×2)2.60(s,ブロー
ド,1H,−OH)3.62−3.67(m,1H,H
−6a)3.72−3.76(m,1H,H−6b)
3.81(m,1H,H−5)4.21(dd,1H,
4 , 51.9Hz,H−4)4.26(dd,1H,J2
, 3 2.4Hz,H−2)4.54(dd,1H,J3 , 4
7.9Hz,H−3)5.49(d,1H,J1 , 2
5.0,H−1)
【0070】なお、δ3.62−3.67,δ3.72
−3.76のマルチプレットは重水交換により、それぞ
れダブルダブレットになり、δ2.60のブロードのシ
ングレットは消失した。
【0071】合成例6 メチル 2,3,4-トリ-O-ベンゾイルーβ-D-ガラク
トピラノシド(9) メチル β-D-ガラクトピラノシド(10.0g,5
1.5mmol)を無水ピリジン300mLに溶かし、
トリチルクロライド(17.3g,62.0mmol)
と4-N,N-ジメチルアミノピリジン(DMPA)
(0.64g,5.2mmol)を加え、室温で4日間
攪拌した。原料消失(TLC;展開溶媒、クロロホル
ム:メタノール=9:1)後、氷冷下、塩化ベンゾイル
(25.4g,21.0ml,0.18mol)をゆっ
くりと滴下し、さらに室温で一晩攪拌した。反応終了
(TLC;展開溶媒、トルエン:酢酸エチル=5:1)
後、濃縮し、ピリジンを除去して得られた反応混合物を
80%酢酸(500mL)に溶かし、60℃で2時間攪
拌した。反応終了(TLC;展開溶媒、トルエン:酢酸
エチル=5:1)後、室温に戻し溶媒の大部分を留去
し、クロロホルムを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水、
および水の順で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した。乾燥剤を濾別除去した後、濃縮しシリカゲルを
用いて分離を行なった。トルエン:酢酸エチル=10:
1の混合溶媒で溶出すると、グラス状のが20.0g
(77%)得られた。
【0072】1H−NMR,(CDCl3 );δ2.6
0(s,ブロード,1H,−OH)3.59(s,3
H,−OCH3)3.64−3.69(m,ブロード,
1H,H−6a)3.83−3.87(m,ブロード,
1H,H−6b)4.04(t,1H,H−5)4.7
4(d,1H,J1,2 7.9Hz,H−1)5.60
(dd,1H,J2,3 10.4Hz,J3,4 3.4H
z,H−3)5.82−5.86(m,2H,H−2,
H−4)7.13−8.19(m,15H,−C65
×3)
【0073】なお、δ3.64−3.69,δ3.83
−3.87のブロードのマルチプレットは重水交換によ
りダブルプレットになり、δ2.60のブロードのシン
グレットは消失した。 元素分析 C28269 計算値 C66.40 H5.17 測定値 C66.51 H5.22
【0074】合成例7 メチル 3-O-ベンジル-β-D-ガラクトピラノシド(1
0) メチル β-D-ガラクトピラノシド(20.0g,0.
103mol)をベンゼン(900mL)に溶解させ、
ジ-n-ブチルチンオキシド(28.2g,113mo
l)を加え、副生する水を系外に除きながら80〜90
℃で1日加熱還流した。さらにヨウ化テトラ-n-ブチル
アンモニウム(41.9g,0.113mol)を加
え、臭化ベンジル(28.3ml,0.239mol)
を2時間かけてゆっくり滴下し、6時間加熱還流した。
反応終了(TLC,トルエン:アセトン=1:1)後濃
縮し、フッ化カリウム(50g)と水(300mL)と
を加え、酢酸エチル(200mL)で抽出、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、濃縮しシリカゲルを用いて分
離を行なった。トルエン:アセトン=5:1の混合溶媒
で溶出すると白色結晶10が20.8g(71%)得ら
れた。 m.p. 135〜136℃(文献値*1 135〜13
7℃) 元素分析 C14206 計算値 C59.14 H7.09 測定値 C59.21 H7.08 *1:P.Kovac,C.P.J.Glaudemans and R.B.Taylor.,Carb
ohydr Res.,142,158(1985).
【0075】合成例8 メチル 2,4,6-トリ-O-ベンゾイル-3-O-ベンジ
ル-β-D-ガラクトピラノシド(11) 合成例7で得られた10(4.0g,14.1mmo
l)をピリジン(160mL)に溶かし、氷冷下塩化ベ
ンゾイル(6.6mL,56.4mmol)をゆっくり
と滴下し室温で一晩攪拌した。反応終了(TLC,トル
エン:酢酸エチル=10:1)後、氷水に注ぎクロロホ
ルムで抽出を行い、1N塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリ
ウム、水の順で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、濃縮し、エタノールで再結晶すると、白色結晶11
が7.97g(95%)得られた。
【0076】1H- NMR,(CDCl3 );δ3.5
2(s,3H,−OCH3 )3.89(dd,1H,H
−3)4.09(m,1H,H−5)4.45(dd,
1H,J5,6a6.7Hz,J5a,6b 11.6Hz,H−
6a)4.54(d,1H,H−1)4.64(dd,
1H,J5,6b6.7Hz,H−6)5.95(dd,1
H,J3,4 ,J4,5 <0.5Hz,H−4)7.04−
8.21(m,20H,−C65 ×4) m.p. 139〜140℃(文献値*1 142〜14
3℃) 元素分析 C35329 計算値 C70.46 H5.41 測定値 C70.45 H5.50
【0077】合成例9 メチル 2,4,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラク
トピラノシド(12) 合成例8で得られた11(5.0g,8.39mmo
l)をギ酸:メタノール=9:1(v/v)溶液(15
0mL)に溶かし窒素雰囲気下、10%パラジウム炭素
(5.0g)を加え、さらにギ酸:メタノール=9:1
(v/v)溶液(150mL)を加え室温で一晩攪拌し
た。反応終了(TLC,トルエン:酢酸エチル=5:
1)後、フィルターセルでパラジウム炭素を濾別し、濾
液にトルエンを加え共沸し、濃縮物をクロロホルムに溶
かした後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗
浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して得ら
れたシロップに対してシリカゲルを用いて分離を行なっ
た。トルエン:酢酸エチル=10:1の混合溶媒で溶出
するとグラス状の12が3.99g(94%)得られ
た。
【0078】1H−NMR,(CDCl3 );δ2.6
7(d,1H,−OH)3.58(s,3H,−OCH
3 )4.13−4.18(m,2H,H−3,H−5)
4.44(dd,1H,J5,6a6.2Hz,J6a,6b
1.4Hz,H−6a)4.62(dd,1H,J5,6b
6.8Hz,H−6b)4.65(d,1H,J1,2
7.9Hz,H−1)5.37(dd,1H,J2,3
0.0Hz,H−2)5.78(d,1H,J2,4 3.
5Hz,H−4)7.42−8.21(m,15H,−
65 ×3)
【0079】なお、δ2.67のダブレットは重水交換
により消失した。 元素分析 C28269 計算値 C66.40 H5.17 測定値 C66.21 H5.19
【0080】実施例1 (1,2,3,4,6-ペンタ--ベンジル-D-グルコ
ピラノシド(14)の合成)下記式(化15)に示すス
キームに従い、室温でジクロロメタンを溶媒とし、種々
の酸触媒をプロモータとして用いて、ヒドロキシ化合物
(糖受容体)たるベンジルアルコールと反応させた。具
体的には、以下のようにして行った。 1)2頚フラスコに糖供与体たる糖炭酸エステル(10
0.0mg,グルコピラノシル化、ガラクトピラノシル
化の場合は0.15mmol)を入れ、約2倍モルのヒ
ドロキシ化合物(本実施例の場合はベンジルアルコール
0.038mL,0.38mmol)を加えた。 2)フラスコにモレキュラーシーブ4A(200mg)
と攪拌子を入れ、真空ポンプを用いて系内を減圧乾燥し
た後、アルゴン置換を行った。 3)注射筒を用いたセプタムラバーを通して溶媒(6.
0mL)を注入し、系を各々の反応条件の温度まで加熱
又は冷却した(反応に用いる溶媒は、水素化リチウムア
ルミニウム又は水素化カルシウム上で煮沸後蒸留したも
のを使用した)。 4)系の温度が一定になったら、触媒(当量数は下記表
中に記載)を注入し、反応を開始した(触媒が固体の場
合は、(1)の段階で加えておき、糖を溶液にし(4)
の段階で注入した)。 5)原料が消失したら、反応系内に速やかに飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液を加え、反応を停止させた。 6)クロロホルムを加え希釈し、水洗後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥した。 7)濃縮し得られたシロップに対してカラムクロマトグ
ラフィーを行い、目的生成物を得た。
【0081】
【化15】
【0082】
【表1】
【0083】(上記式(化15)中、r.t.は、室温(ro
om temperature)の意味である。)まず、上記表1に示
すように、フェノキシカルボニル基の反応性を確認する
ために、ルイス酸としては活性の低い塩化銅(I)、塩
化スズ(II)を糖に対して2当量用いて、それぞれ反応
を行なったが、24時間攪拌しても全く反応は進行して
いなかった(Entry 1,3)。これらルイス酸に同等量
の過塩素酸銀を加え、ルイス酸の活性を高め反応を行な
ったところ、塩化スズ(II)−過塩素酸銀系では、反応
は5〜10分で完結し、目的とするグリコシドが収率8
5%(α:β=50:50)で得られた(Entry 4)。
【0084】次に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯
体(BF3 ・OEt2 )を2.0当量用いた場合では、
約30分で原料は消失するが、分解反応もかなり進行し
ていると考えられた(TLC上、ベンジル基が脱落した
と思われるスポットが現われた)。目的物の収率も47
%と低く、副生成物であるフェニルグリコシドが37%
も生成してしまった(Entry 6)。BF3 ・OEt2
1.0当量に減らしてみると、反応時間は長くなるが、
分解反応は抑えられ、収率の向上がみられた。しかし、
フェニルグリコシドの副生は抑えられなかった(Entry
7)。
【0085】一方、トリメチルシリルトリフラート(T
MSOTf)を糖に対して1.0当量用いて反応を行な
った場合では、反応は瞬時に完結し(TMSOTf注入
直後のTLCで原料のスポットは既に消失してい
る。)、分解もほとんど起こらず、目的とするグリコシ
ドが92%(α:β=68:32)の高収率で得られ、
フェニルグリコシドの副生も5%未満と抑えられた(En
try 8)。
【0086】実施例2 下記表2に従い、且つ、トリメチルシリルトリフラート
(以下、TMSOTfと記載する)1.0eqを酸触媒
として用い、反応温度を徐々に下げた以外は実施例1と
同様に反応を行なった。結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】上記表2から明らかなように、反応温度の
低下に伴ってβ−アノマーの生成比が上昇し、−40℃
で反応を行なうと室温ではα:β=68:32であった
ものがα:β=12:88と明らかにβ選択性が高まっ
た(これ以下の温度においては、反応時間が長時間かか
りすぎる傾向が見られた)。しかし、同時に副生成物で
あるフェニルグリコシドが27%近く生成した。
【0089】実施例3 下記表3に従い、溶媒として1,2-ジクロロエタン、
トルエン、アセトニトリル、及びエーテルを用い各々反
応を行なった。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】上記表3から明らかなように、1,2-ジ
クロロエタン(Entry 1−3)、トルエン(Entry 4−
7)を溶媒とした場合は、ジクロロメタン(Table 2)
を溶媒としたときと比べて目立った変化は現れなかった
が、アセトニトリル(Entry9−11)やエーテル(Ent
ry 12−14)などの極性溶媒を用いた場合は、低温
下においても画期的にフェニルグリコシドの副生が抑え
られた。これは、本発明者らの知見によれば、アセトニ
トリルやエーテル中の反応では系内に生じたフェノール
がアルコールに比べ溶媒和され易く、その求核性が弱め
られるためと推定される。α:β生成比については、エ
ーテル(Entry 12−14)の場合以外では、ジクロロ
メタン溶媒の場合とほとんど変化はなかったが、溶媒が
アセトニトリルの場合のみ、低温下での反応時間が他の
溶媒に比べ大幅に短縮されていた(Entry7,11)。
【0092】また、エーテル(Entry 12−14)の場
合は、反応温度を下げていっても室温の場合とα:β生
成比が殆ど変わらなかった(α:β=4:1程度)。こ
の結果は、本発明者らの知見によれば、エーテルを溶媒
とした場合、室温での反応においても原料消失まで10
分程度を要した(他の溶媒の場合、反応は一瞬で終了す
る)ことから、エーテル分子の酸素原子に酸触媒(TMSOT
f)が配位することにより、その活性が弱められ、溶媒効
果が現われたものと推定される。本発明者らの知見によ
れば、エーテルの溶媒効果については、エーテルが分子
中の酸素の非共有電子対を通して、反応中間体であるカ
ルベニウムイオンに対して配位した際、系の反応性が低
下している為に、より反応性の高いβ- イオンペアを、
優先的にアルコールが背面攻撃することにより、α- ア
ノマーが優位に生成するものと推定される。
【0093】上述した溶媒及び反応温度の検討におい
て、各溶媒について最も高い立体選択性が得られた条件
を下記表4に示す(触媒としてはTMSOTfを1.0
eq用い、反応温度は- 40℃とした)。
【0094】
【表4】
【0095】上記表4から明らかなようにアセトニトリ
ルを溶媒とした場合(Entry 3)が、反応時間、収率、
立体選択性どの点においても優れていた。
【0096】実施例4 溶媒としてアセトニトリルを用い、触媒としてTMSO
Tf(1.0eq)を用い、且つヒドロキシ化合物とし
て、下記式(化16)に示すシクロヘキサノール及び糖
誘導体(8,9,および12)を用い、本記表5に示す
反応条件を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を
行った。結果を表5に示す。
【0097】
【化16】
【0098】
【表5】
【0099】反応は、糖誘導体の水酸基においても、ベ
ンジルアルコールの場合と同様に速やかに進行し、高収
率で目的とするグリコシドを与えた。立体選択性につい
ては、シクロヘキサノール(Entry 1)および6位が遊
離の水酸基の糖誘導体(Entry 2,3)では、
α:β=10:90以上と良好な結果が得られたが、3
位が遊離の水酸基の糖誘導体12(Entry 4)の場合は
α:β=41:59と選択性が低下してしまった。以
下、上述した実施例1〜4で得られた化合物の物性デー
タを示す。1,2,3,4,6-ペンタ-O-ベンジル-α-D-グルコ
ピラノシド(14α)
【0100】1H−NMR,(CDCl3 );δ3.5
5−3.60(dd×2,2H,J2, 3 9.6Hz,J
5,6a2.0Hz,H- 2,H−6a)3.65(dd,
1H,H−3)3.71(dd,1H,J5,6b3.6H
z,J6a,6b 10.6Hz,H−6b)3.82(m,
1H,H−5)4.04(t,1H,J3,4 9.2H
z,H−4)4.46- 4.85,5.00(m,d,
10H,−CH2 ×5)4.87(d,1H,J1,2
3.7Hz,H−1)7.13−7.45(m,25
H,−C65 ×5)1,2,3,4,6-ペンタ-O-ベンジル-β-D-グルコ
ピラノシド(14β)
【0101】1H−NMR,(CDCl3 );δ3.4
8(m,1H,H−5)3.54(dd,1H,J2,3a
8.9Hz,H−2)3.64(t,2H,H−3,H
−4)3.72(dd,1H,J5,6a4.8Hz,J
6a,6b 10.8Hz,H−6a)3.78(dd,1
H,J5,6b2.0Hz,H−6b)4.53(d,1
H,J1,2 7.7Hz,H−1)4.55- 5.02
(m,10H,−CH2 −Ph×5)7.14−7.4
2(m,25H,−C65 ×5) m.p 73−75℃(エタノールより再結晶) 元素分析 C41426 (14α,14β混合物とし
て) 計算値 C78.07 H6.71 測定値 C77.95 H6.73 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
100:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は 1
MRスペクトルにおいて、α- アノマーで1プロトン分
のシグナルとして観測されるδ3.84,4.02の面
積強度の平均値と、β- アノマーで1プロトン分のシグ
ナルとして観測されるδ3.48,3.78の面積強度
の平均値から算出した。
【0102】シクロヘキシル 2,3,4,6-テトラ-
O-ベンジル-α-D-グルコピラノシド(15α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.18−1.91
(m,10H,−CH2−×5)3.56(m,2H,
H−2,H−1’)3.61−3.66(m,2H,H
−4,H−6a)3.74(dd,1H,J5,6b3.8
Hz,J6a,6b 10.6Hz,H−6b)3.89
(m,1H,H- 5)4.01(t,1H,J2,3 9.
3Hz,H- 3)4.46−4.85,5.01(m,
d,8H,−CH3 −Ph×4)4.97(d,1H,
1,23.7Hz,H−1)7.13−7.35(m,
20H,−C65 ×4)
【0103】シクロヘキシル 2,3,4,6-テトラ-
O-ベンジル-β-D-グルコピラノシド(15β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ0.86−1.76
(m,10H,−CH2−×10)3.42−3.47
(m,2H,H−2,H−5)3.55(t,1H,J
3,4 8.8Hz,H−3)3.61−3.67(m,2
H,H−4,H−6a)3.72−3.76(m,2
H,H−6b,H−1’)4.51(d,1H,J1,2
7.8Hz,H−1)4.53- 5.01(m,8H,
−CH2 −Ph×4)7.17−7.35(m,20
H,−C65 ×4) 元素分析 C40456 計算値 C77.14 H7.44 測定値 C77.00 H7.37 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
100:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は 1
MRスペクトルにおいて、α- アノマーで1プロトン分
のシグナルとして観測されるδ3.98,4.01の面
積強度の平均値と、β- アノマーで1プロトン分のシグ
ナルとして観測されるδ4.90の面積強度から算出し
た。
【0104】[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α
-D-グルコピラノシル]-(1→6)-1,2,3,4-
ジ-O-イソプロピリデンガラクトピラノース(16α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ1,31,1,3
3,1,45,1,53(s,3H×4,−CH3 ×
4)3.58(dd,1H,J2',3' 9.6Hz,H−
2’)3.63−3.77(m,5H,H−4’,H−
6'a,H−6'b,H−6a,H−6b)3.83
(m,1H,H−5’)3.98(t,1H,J3, 4
9.36Hz,H−3')4.04(m,1H,H−
5)4.31(dd,1H,J3,4 7.9Hz,J4,5
1.8Hz,H−4)4.45−4.84(m,9H,
H−3,- CH2 −Ph×4)5.00(d,1H,J
1',2' 3.7Hz,H−1')5.52(d,1H,
1,2 5.0Hz,H−1)7.13−7.3 7
(m,20H,−C65 ×4)
【0105】[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β
-D-グルコピラノシル]-(1→6)- 1,2,3,4-
ジ-O-イソプロピリデンガラクトピラノース(16β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.32(s,6
H,−CH3 ×2)1.45,1.50(s,3H×
2,−CH3 ×2)3.43−3.48(m,2H,H
−4',H−5')3.58−3.66(m,2H,H−
2',H−3')3.67−3.76(m,3H,H-
6'a,H−6'b,H−6a)4.00(m,1H,H
−5)4.16(dd,1H,J5,6b3.7Hz,J
6a,6b 10.6Hz,H−6b)4.25(dd,1
H,J3,4 7.9Hz,J4,5 1.8Hz,H−4)
4.32(dd,1H,J2,3 2.4Hz,H−2’)
4.46(d,1H,J1',2' 7.8,H−1')4.
51−5.07(m,9H,H−3,-CH2− Ph×
4)5.57(d,1H,J1,2 5.0Hz,H−1)
7.16−7.41(m,20H,−C65 ×4) 元素分析 C465411(両アノマーの混合物として) 計算値 C70.57 H6.95 測定値 C70.72 H6.83 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
30:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は、1H-
NMRスペクトルにおいて、それぞれのガラクトース部
分のC−1位のプロトンシグナルの面積強度から算出し
た。
【0106】メチル O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-α-D-グルコピラノシル]-(1→6)-2,
3,4-トリ-O-ベンゾイル-β-Dガラクトピラノシド
(17α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.51(s,3
H,−OMe)3.55(dd,1H,J2',3' 9.6
Hz,H−2')3.60- 3.74(m,4H,H−
3',H−6'a,H−6'b,H−6a)3.89(d
d,1H,J5,6b6.7Hz,J6a,6b 10.4Hz,
H−6b)3.93- 3.99(m,2H,J4,5 9.
3Hz,H−4',H−5')4.23(m,1H,H−
5)4.42−5.02(m,8H,-CH2−Ph×
4)4.67(d,1H,J1,2 8.0Hz,H−1)
4.80(d,1H,J1',2' 3.5Hz,H−1)
5.58(dd,1H,J3,4 3.4Hz,H−3)
5.76(dd,1H,J2,3 10.4Hz,H−2)
5.91(d,1H,H−4)7.13−8.26
(m,35H,−C65 ×7)
【0107】メチル-O-[2,3,4,6-テトラ-Oベ
ンジル-β-D-グルコピラノシル]-(1→6)-2,
3,4-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(17 β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.41−3.47
(m,2H,H−3',H−5')3.49(s,3H,
−OMe)3.60−3.64(m,3H,H−3,H
−4,H−6'a)3.69(dd,1H,J
5',6'b1.8Hz,J6a, 6b10.9Hz,H−6'b)
3.90(dd,1H,J5,6a7.5Hz,J6a, 6b
0.9Hz,H−6a)4.08(dd,1H,J5,6b
H−6b)4.17(m,1H,H−5)4.45-
4.99(m,8H,−CH2 −Ph×4)4.47
(d,1H,J1',2' 7.8Hz,H−1')4.62
(d,1H,J1 ,2 7.9Hz,H−1)5.54(d
d,1H,J3',4' 3.4Hz,H−3)5.74(d
d,1H,J2,3 10.4Hz,H−2)5.90
(d,1H,H−4)7.21−8.25(m,35
H,−C65 ×7) 元素分析 C626014(両アノマーの混合物として) 計算値 C72.36 H5.88 測定値 C72.38 H5.89 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
40:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は 1NM
Rスペクトルにおいて、α- アノマーで1プロトン分の
シグナルとして観測されるδ4.23,5.58の面積
強度の平均値と、β- アノマーで1プロトン分のシグナ
ルとして観測されるδ4.17,5.54の面積強度の
平均値から算出した。
【0108】メチル-O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-α-D-グルコピラノシル](1→3)-2,
4,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(18α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.31−3.41
(m,4H,H−2',H−4',H−6'a,H−6'
b)3.54(s,3H,−OMe)3.60(t,1
H,J2',3' 9.3Hz,H−3')3.72(m,1
H,H−5')4.07(m,1H,H−5)4.21
(dd,1H,J3,4 3.3Hz,H−3)4.22-
4.60(m,11H,H−1,H−6a,H−6b,
−CH2−Ph×4)5.19(d,1H,J1',2'
3.4Hz,H- 1')5.70(dd,1H,J1,2
8.0Hz,J2,3 10.2Hz,H- 2)5.93
(d,1H,H−4)6.82−8.10(m,35
H,−C65 ×7)
【0109】メチル-O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-β-D-グルコピラノシル]-(1→3)-2,
5,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(18β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.18(t,1
H,J1',2' 7.6Hz,H−2')3.36(m,1
H,H−5')3.41(m,2H,H−3',H−
4')3.52(s,3H,−OMe)3.64(d
d,1H,J5',6'a5.1Hz,J6'a,6'b 10.8H
z,H−6'a)3.75(dd,1H,H−6'b)
4.10(m,1H,H−5)4.30(dd,1H,
3,4 3.5Hz,H−3)4.22,4.44−4.
71(d,m,12H,H−1',H−1,H− 6a,
H−6b,−CH2 −Ph×4)5.77(dd,1
H,J1,2'8.0Hz,J2,3 10.1Hz,H−2)
5.93(d,1H,H−4)6.90- 8.17
(m,35H,−C65 ×7) 元素分析 C626014 計算値 C72.36 H5.88 測定値 C72.45 H5.77 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
50:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は、それ
ぞれのアノマーの単離収率より算出した。
【0110】実施例5 合成例4で得られた2,3,4,6-テトラ--ベンジ
ル-1--フェノキシカルボニル-D-ガラクトピラノー
ス(6)については、上述したようにα-アノマー、β-
アノマーを分離した後、両アノマーについて各々反応を
行なった。下記式(化17)および表6、表7に従い、
且つ触媒としてTMSOTf(11.0eq)を用いた
以外は、実施例1と同様に反応を行い、各溶媒につい
て、反応温度の変化により糖供与体のアノマーが目的グ
リコシドのα:β生成比に及ぼす影響を検討した。この
結果を表6および表7に示す。
【0111】
【化17】
【0112】
【表6】
【0113】
【表7】
【0114】実施例6 下記式(化18)および表8に従った以外は実施例1と
同様にして、シクロヘキサノール及び糖誘導体をヒドロ
キシ化合物(糖受容体)として用いた反応を行った。結
果を表8に示す。
【0115】
【表8】
【0116】表8から明らかなように、グルコシル化の
場合に比べ、若干α- アノマーの生成比が増えている
が、ほぼ同等の結果が得られた。以上の結果により、活
性化剤として酸触媒を作用させることにより、フェノキ
シカルボニル基は、優れた脱離基として機能し、反応生
成物であるグリコシドの立体選択性を、溶媒や反応温度
によって容易にコントロール可能であることが判明し
た。また、この反応によって副生する可能性があるフェ
ニルグリコシドも、溶媒にアセトニトリルを用いること
により、その副生を抑えられることが判明した。
【0117】以下、実施例5および6で得られた化合物
の物性データを示す。1,2,3,4,6-ペンタ-O-ベンジル-α-D-ガラク
トピラノシド(20α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.49(dd,1
H,J5,6a5.9Hz,J6a,6b 9.3Hz,H−6
a)3.56(dd,1H,J5,6b7.0Hz,H−6
b)3.98−4.03(m,3H,H−3,H−4,
H−5)4.06(dd,1H,J2,39.7Hz,H
−2)4.40−4.88,4.96(m,d,10
H,−CH2 −Ph×5)4.93(d,1H,J1,2
3.3Hz,H−1)7.22−7.43(m,25
H,−C65 ×5) 元素分析 C41426 (14α,14β混合物とし
て) 計算値 C78.07 H6.71 測定値 C77.79 H6.66
【0118】1,2,3,4,6-ペンタ-O-ベンジル-
β-D-ガラクトピラノシド(20β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.52(dd,1
H,J5,6a2.9Hz,J6a,6b 9.7Hz,H−6
a)3.53(m,1H,H−5)3.62(m,2
H,H−3,H−6b)3.89(m,2H,H−2,
H−4)4.42−4.96(m,10H,−CH3
Ph×5)4.46(d,1H,J1,2 7.7Hz,H
−1)7.15−7.39(m,25H,−C65 ×
5) m.p 81〜83℃(エタノールより再結晶) 元素分析 C41426 (14α,14β混合物とし
て) 計算値 C78.07 H6.71 測定値 C78.09 H6.64 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
100:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は 1
MRスペクトルにおいて、α- アノマーで1プロトン分
のシグナルとして観測されるδ4.06,4.96の面
積強度の平均値と、β- アノマーで2プロトン分のシグ
ナルとして観測されるδ3.62,3.89の面積強度
の平均値から算出した。
【0119】シクロヘキシル 2,3,4,6-テトラ-
O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシド(21α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.08−1.86
(m,10H,−CH2−×5)3.52−3.59
(m,3H,H−6a,H−6b,H−1’)3.97
(m,2H,H−3,H−4)4.03(dd,1H,
2,3 9.6Hz,H−2)4.06(t,1H,H−
5)4.40−4.97(m,8H,−CH2 −Ph×
4)5.02(d,1H,J1,2 3.7,H−1)7.
23−7.42(m,20H,−C65 ×4)
【0120】シクロヘキシル 2,3,4,6-テトラ-
O-ベンジル-β-D-ガラクトピラノシド(21β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.14−2.03
(m,10H,−CH2−×5)3.53(m,2H,
H−3,H−5)3.60(d,2H,H−6a,H−
6b)3.69(m,1H,H−1’)3.8a(d
d,1H,J2,3 9.6Hz,H−2)3.88(d,
1H,J3,4 2.7Hz,H−4)4.46(d,1
H,J1,2 7.8Hz,H−1)4.41−4.99
(m,8H,−CH2 −Ph×4)7.22−7.41
(m,20H,−Ph×4) 元素分析 C40465 (両アノマーの混合物として) 計算値 C77.14 H7.44 測定値 C77.20 H7.44 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
100:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は 1
MRスペクトルにおいて、α- アノマーのC−1位のプ
ロトンシグナルの面積強度と、β- アノマーで1プロト
ン分のシグナルとして観測されるδ3.60,3.88
の面積強度の平均値から算出した。
【0121】[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α
-D-ガラクトピラノシル]-(1→6)-1,2,3,4
-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトピラノース
(22α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.31,1.3
3,1.44,1.53(s×4,3H×4,−CH
3 )3.53(dd,1H,J5',6'a6.7Hz,J
6'a,6'b 9.2Hz,H−6'a)3.57(dd,1
H,J5',6'b 7.6Hz,H−6'b)3.75(d
d,1H,J5',6'a7.2Hz,J6a,6b 10.5H
z,H−6’a)3.78(dd.1H,J5,6b6.4
Hz,H−6a)3.97(dd,1H,J2',3'
0.0Hz,J3',4' 2.8Hz,H−3')3. 98
−4.07(m,4H,H−2',H−4',H−5',
H−5)4.30( dd,1H,H−2)4.33
(dd,1H,J4,5 1.9Hz,H−4)4.58
(dd,1H,J2,3 2.4Hz,J3,4 7.9Hz,
H−3)4.42−4.96(m,8H,−CH2 −P
h×4)5.02(d,1H,J1 ',2 ' 3.6Hz,H
−1')5.52(d,1H,J1,2 5.0Hz,H−
1)7.26 −7.39(m,20H,−C65 ×
4)
【0122】[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β
-D-ガラクトピラノシル]-(1→6)-1,2,3,4
-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトピラノース
(22β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.28,1.4
4,1.49,1.58(s×4,3H×4,−CH
3 )3.50−3.59(m,4H,H−5',HG−
6'a,H−6'b,H−6a)3.69(dd,1H,
2',3' 10.5Hz,H−2')3.83(dd,1
H,J5,6a7.7Hz,J6a,6b 9.7Hz,H −6
b)3.86(d,1H,H−4')4.08(m,1
H,H−5)4.1 3(dd,1H,J3,4 3.6H
z,H−3)4.22(dd,1H,J4,51.8H
z,H−4)4.31(dd,1H,J2,3 2.4H
z,H−2)4.42(d,1H,J1',2' 7.6H
z,H−1')4.57(dd,1H,J3,47.9H
z,H−3)4.39−5.06(m,8H,−CH2
−Ph×4)5.56(d,1H,J1,2 5.0Hz,
H−1)7.25−7.45(m,20H,−C65
×4) 元素分析 C455411(両アノマーの混合物として) 計算値 C70.57 H6.95 測定値 C70.79 H6.85 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
30:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は 1NM
Rスペクトルにおいて、α- アノマーのイソプロピリデ
ン−ガラクトピラノース部分のC−1位のプロトンシグ
ナルの面積強度と、β-アノマーのイソプロピリデンガ
ラクトピラノース部分のC−1位のプロトンシグナルの
面積強度から算出した。
【0123】メチル-O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル](1→6)-2,
3,4-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(23 α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.51(s,3
H,−OMe)3.54(m,2H,H−6'a,H−
6'b)3.78(dd,1H,J5,6a6.2Hz,J
6a,6b 10.8Hz,H−6a)3.85(dd,1
H,J5,6b6.2Hz,H−6b)3.94(m,2
H,J3',4' 2.8Hz,H−3',H−4')4.03
(dd,1H,J2',3' 9.9Hz,H−3')4.0
8(t,1H,H−5')4.24(t,1H,H−
5)4.61(d,1H,J1,2 8.0Hz,H−1)
4.81(d,1H,J1',2' 3.6Hz,H−1')
4.44−4. 58,4.65−4.81,4.92
(m,m,d,8H,−CH2 −Ph×4)5.58
(dd,1H,J3,4'3.4Hz,H−3)5.74
(dd,1H,J2,3 10.4Hz,H−2)5.93
(d,1H,H−4’)7.24−8.13(m,35
H,−C65 ×7)
【0124】メチル-O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-β-D-ガラクトピラノシル](1→6)-2,
3,4-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(23 β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.45(s,3
H,−OMe)3.47−3.54(m,4H,HG−
3',H−5',H−6'a,H−6'b)3.82(d
d,1H,J2',3' 9.7Hz,H−2')3.87
(m,2H,H−4',H−6a)4.04(dd,1
H,J5,6b3.9Hz,J6a,6b 11.0Hz,H−6
b)4.15(m,1H,H−5)4.41(d,1
H,J1',2' 7.7Hz,H−1')4.59(d,1
H,J1,2 7.9Hz,H−1)4.33−4.40,
4.60−4.96(m,8H,−CH2 −Ph×4)
5.51(dd,1H,J3,4 3.5Hz,H−3)
5.72(dd,1H,J2,3 10.4Hz,H−2)
5.86(d,1H,H−4)7.18−8.07
(m,35H,−C65 ×7) 元素分析 C625014(両アノマーの混合物として) 計算値 C72.36 H5.88 測定値 C72.52 H5.87 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
40:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は 1NM
Rスペクトルにおいて、α- アノマーで1プロトン分の
シグナルとして観測されるδ5.93の面積強度と、β
- アノマーで1プロトン分のシグナルとして観測される
δ5.72の面積強度から算出した。
【0125】メチル-O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル](1→3)-2,
4,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(24 α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3,23(dd,1
H,J5',6'a5.6Hz,J6a,6b 9.5Hz,H−
6'a)3.27(d,1H,H−4')3.38(d
d,1H,J5',6'b6.8Hz,H−6'b)3.48
(dd,1H,J3',4'2.8Hz,H−3')3.53
(s,3H,−OMe)3.88(dd,1H,J2,3
10.1Hz,H−2')3.91(m,1H,H−
5')4.00(m,1H,H−5)4.12(dd,
1H,H−3)4.19−4.47,4.70−4.9
3(m,d,9H,H−6a,−CH2 −Ph×4)
4.49(d,1H,J1,2 8.0Hz,H−1)4.
58(dd,1H,J5,6b6.9Hz,H−6b)5.
25(d,1H,J1',2' 3.4Hz,H−1')5.
68(dd,1H,J3,3 10.2Hz,H−2)5.
91(d,1H,J3,4 3.1Hz,H−4)7.07
−8.09(m,35H,−C65 ×7)
【0126】メチル-O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-β-D-ガラクトピラノシル](1→3)-2,
4,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(24 β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.21(dd,1
H,J2',3' 9.7Hz,H−3')3.44−3.6
0(m,4H,H−2',H−5',H−6'a,H−6'
b)3.50(s,3H,−OMe)3.55(d,1
H,J3',4' 2.6 Hz,H−4')4.11(t,1
H,H−5)4.13−4.82(m,13 H,H−
1,H−1,H−3,H−6a,H−6b,−CH2
Ph×4)5.77(dd,1H,J1,2 7.9Hz,
2,3 9.9Hz,H−2)5.89(d,1H,J
3,4 3.3Hz,H−4)6.97−8.13(m,3
5H,−C65 ×7) 元素分析 C626014 計算値 C72.36 H5.88 測定値 C72.16 H5.85 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
50:1の混合溶媒で溶出した。α:β生成比は、それ
ぞれのアノマーの単離収率より算出した。
【0127】合成例10(マンノピラノシル化用糖供与
体の調製)2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-D-マンノピラノ
ース(26) メチル 2,3,4,6-テトラ--ベンジル-α-D-マ
ンノピラノシド(25)(10.0g,18.0mmo
l)を90%酢酸水溶液(200mL)に溶かし、更に
1N塩酸(50mL)を加え、95〜100℃で20時
間加熱した。反応終了後、グルコピラノシル化用糖供与
の場合と同様に処理して、シロップ状の26を7.
02g(72%)得た。1 H−NMR,(CDCl3 );δ2.89(d,1
H,−OHα)3.65−4.12(m)4.53−
4.94(m)5.27(dd,1H,H−1α)7.
21−7.41(m) なお、δ5.27のダブルダブレットは、重水交換によ
りダブレットになり、δ2.89のシグナルは消失し
た。
【0128】合成例11 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-1-O-フェノキシ
カルボニル-D-マンノピラノース(27) 合成例10で得た26(5.0g,9.26mmol)
とピリジン(2.0mL,23mmol)をジクロロメ
タン(50mL)に溶かし、氷冷下クロロギ酸フェニル
(1.88g,1.51mL)を滴下した。室温で一晩
攪拌後、の場合と同様に処理して、まず白色結晶27
αが3.58g(75%)得られ、次にシロップ状の
7βが0.67g(11%)得られた。(全体収率86
%,α:β=87:13)27α 1H−NMR,(CDCl3 );δ3.76
(dd,1H,J5,6a1.9Hz,J6a,6b 11.3H
z,H−6a)3.82(dd,1H,J5,6b4.5H
z,H−6b)3.91(t,1H,J2,3 2.9H
z,H−2)3.98(m,2H,H−3,H−5)
4.13(t,1H,J3,44,5 9.5Hz,H−
4)4.53−4.91(m,8H,−CH2 −Ph×
4)6.16(d,1H,J1,2 2.1Hz,H−1)
7.16−7.37(m,25H,−C65 ×5) m.p 元素分析 C41408 計算値 C74.53 H6.10 測定値 C74.55 H6.0927β 1H−NMR,(CDCl3 );δ3.62−
3.66(m,2H,H−5,H−6a)3.82
(d,2H,H−3,H−6b)4.05(t,2H,
H−2,H−4)4.54−4.95(m,8H,−C
2 −Ph×4)5.60(s,1H,H−1)7.1
8−7.59(m,25H,−C65 ×5)
【0129】実施例7 下記式(化18)および表9に従い、マンノピラノシル
化の触媒としてTMSOTfを用い、ジクロロメタン、
アセトニトリルを溶媒とした以外は、実施例1と同様に
してベンジルアルコールのグリコシル化(マンノピラノ
シル化)反応を行なった。その結果を表9に示す。
【0130】
【化18】
【0131】
【表9】
【0132】溶媒にジクロロメタンを用いた場合(Entr
y 1−4)は、立体的にあまり嵩高くないベンジルアル
コールを用いた反応ではあるが、−40℃の条件(Entr
y 4)で、α:β=55:45と比較的良好な選択比を
得ることができた。しかし、フェニルグリコシドの多量
の副生(約35%)のため、56%と低収率でしか目的
とするグリコシド29を得ることができなかった。ガラ
クトピラノシル化の場合において、β−選択性の溶媒効
果を示したアセトニトリル(表7)を用いた場合も、こ
のマンノピラノシル化反応においては同様な効果を示さ
なかった。すなわち、ジクロロメタンよりβ- アノマー
の生成比は低く(Entry 4)(α:β=66:34)予
期した結果を得ることができなかった。しかしながら、
29の収率自体は良好であった。
【0133】実施例8 下記式(化19)および表10に従った以外は、実施例
7と同様にしてマンノピラノシル化反応を行った。結果
を表10に示す。糖受容体たるヒドロキシ化合物として
は、前記合成例で調製したものを用いた。
【0134】
【化19】
【0135】
【表10】
【0136】表10から明らかなように糖誘導体(
)の6位水酸基との反応(Entry1,2)では2割程
度のβ-アノマーが生成したが、12の3位の2級水酸
基の場合(Entry 3)はβ-アノマーを確認できなかっ
た。この結果から、1--フェノキシカルボニル-D-マ
ンノピラノ−スを用いた反応では、β-D-マンノピラノ
シドを優位に得ることは困難であることが判明した。し
かしながら、反応自体は速やかに進行し、グリコシドを
高収率に与えるので、α-D-マンノピラノシル結合を含
むオリゴ糖鎖の合成には有用である。
【0137】以下、上記実施例7および8で得られた化
合物について、物性データを示す。1,2,3,4,6-ペンタ-O-ベンジル-α-D-マンノ
ピラノシド(29α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.73(dd,1
H,J5,6a1.7Hz,J6a,6b 10.5Hz,H−6
a)3.77−3.85(m,3H,H−2,H−5,
H−6b)3.95(dd,1H,J2,3 3.0Hz,
H−3)4.01(t,1H,J3,4 9.3Hz,H−
4)4.44−4.89(m,10H,−CH2 −Ph
×5)4.97(d,1H,J1,2 1.6Hz,H−
1)7.17−7.38(m,25H,−C65 ×
5) 元素分析 C41426 計算値 C78.07 H6.71 測定値 C78.10 H6.69
【0138】1,2,3,4,6-ペンタ-O-ベンジル-
β-D-マンノピラノシド(29β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.43−3.50
(m,2H,H−3,H−5)3.77(dd,1H,
5,6a5.8Hz,J6a,6b 10.8Hz,H−6a)
3.83(dd,1H,J5,6b2.0Hz,H−6b)
3.87−3.93(m,2H,J3,4 ,J4,5 9.5
Hz,J2,3 2.9Hz,H−2,H−4)4.44
(s,1H,H−1)4.46−5.02(m,10
H,−CH2 −Ph×5)7.15−7.44(m,2
5H,−C65 ×5) 元素分析 C41428 計算値 C78.07 H6.71 測定値 C77.85 H6.80 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
150:1の混合溶媒を用いて溶出した。α:β生成比
1NMRスペクトルにおいて、α- アノマーで1プロ
トン分のシグナルとして観測されるδ3.73,4.9
7の面積強度の平均値と、β- アノマーで2プロトン分
のシグナルとして観測されるδ3.43−3.50の面
積強度の平均値から算出した。
【0139】[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α
-D-マンノピラノシル]-(1→6)-1,2,3,4-
ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトピラノース
(30α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.34(s,6
H,−CH3 ×2)1.44,1.51(s×2,3H
×2,−CH3 )3.69−3.75(m,2H,H−
5',H−6'a)3.77−3.84(m,4H,H−
2',H−6'b,H−6a,H−6b)3.92(d
d,1H,J2',3' 3.1Hz,J3',4' 9.3Hz,
H−3')3.99(m,1H,H−5)4.03
(t,1H,J4,59.3Hz,H−4')4.17(d
d,1H,J3,4 7.9Hz,J4,5 1.7Hz,H−
4)4.32(dd,1H,J2,3 2.4Hz,H−
2)4.51−4.89(m,9H,H−3,−CH2
−Ph×4)5.02(d,1H,J1',2' 1.6H
z,H−1')5.53(d,1H,J1,2 5.0H
z,H−1)7.15−7.41(m,20H,−C6
5 ×4)
【0140】[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-β
-D-マンノピラノシル]-(1→6)-1,2,3,4-
ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトピラノース
(30β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.30,1.3
4,1.44,1.48(s×4,3H×4,−CH
3 )3.42(m,1H,H−5')3.47(dd,
1H,J3',4' 9.5Hz,H−3')3.63(d
d,1H,J5,6a8.3H z,J6a,6b 10.6H
z,H−6a)3.74−3.81(m,2H,H−6
a,H−6b)3.90(t,1H,J4',5' 9.5H
z,H−4')4.01 (d,1H,J2',3' 3.0H
z,H−2')4.11(m,1H,H−5')4.20
(d,1H,J5',6'b4.2Hz,J6'a,6'b 10.9
Hz,H−6'b) 4.23(dd,1H,J4,5 1.
7Hz,H−4)4.33(dd,1H,J2,32.4
Hz,H−2)4.35−4.57,4.65,4.9
1,5.02 (m,d,d,d,8H,−CH2 −P
h×4)4.47(s,1H,H−1')4.60(d
d,1H,J3,4'8.0Hz,H−3)5.59(d,
1H,J1, 2 5.0Hz,H−1)7.16−7.51
(m,20H,−C65 ×4) カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
40:1の混合溶媒を用いて溶出した。α:β生成比は
α- アノマー、β- アノマーの各々の単離収率より算出
した。
【0141】メチル O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-α-D-マンノピラノシル]-(1→6)-2,
3,4-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(31α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.53(s,3
H,−OMe)3.58(dd,1H,J5',6'a7.7
Hz,J6'a,6'b 10.0Hz,H−6'a)3.71
−3.86(m,5H,H−2',H−3',H−5',
H−6'b,H−6a)3.92(t,1H,J3',4'
4',5' 9.4Hz,H−4')3.93(dd,1H,
5a,6b5.6Hz,J6a,6b 10.0Hz,H−6
b)4.05(t, 1H,H−5)4.48−4.6
3,4.65(d,1H,J1,2 7.9Hz,H−
1’)4.89(m,d,8H,−CH2 −Ph×4)
4.76(d,1H,J1,27.9Hz,H−1)4.
89(m,d,8H,−CH2 −Ph×4)4.76
(d,1H,J1',2' 1.5Hz,H−1')5.58
(dd,1H,J3,4 3.4Hz,H−3)5.76
(dd,1H,J2,3 10.4Hz,H−2)5.91
(d,1H,H−4)7.14−8.08(m,35
H,−C65 ×7) 元素分析 C626014 計算値 C72.40 H5.90 測定値 C72.28 H5.89
【0142】メチル-O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-β-D-マンノピラノシル]-(1→6)-2,
3,4-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(31β) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.42(m,1
H,H−5')3.47(dd,1H,J2',3'3.5H
z,J3',4' 9.4Hz,H−3')3.52(s,1
H,−OMe)3.75(m,2H,H−6'a,H−
6'b)3.84(dd,1H,J5,6a7.6Hz,J
6a,6b 11.1Hz,H−6a)3.91(t,2H,
H−2',H−4')4.08(dd,1H,J5,6b4.
1Hz,H−6b)4.17(m,1H,H−5')
4.44(s,1H,H−1')4.47−4.63,
4.92−5.02(m,m,8H,−CH2 −Ph×
4)4.66(d,1H,J1,2 7.9Hz,H−1)
5.56(dd,1H,J3,4 3.5Hz,H−3)
5.75(dd,1H,J2,3 10.4Hz,H−2)
5.89(d,1H,H−4)7.15−8.12
(m,35H,−C65 ×7) 元素分析 C626014 計算値 C72.40 H5.90 測定値 C72.12 H5.92 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
60:1の混合溶媒を用いて溶出した。α:β生成比は
α-アノマー、β-アノマーの各々の単離収率より算出し
た。
【0143】メチル-O-[2,3,4,6-テトラ-O-
ベンジル-α-D-マンノピラノシル]-(1→3)-2,
4,6-トリ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド
(32α) 1 H−NMR,(CDCl3 );δ3.37−3.45
(m,3H,H−2',H−3',H−6'a)3.51
(dd,1H,J5',6'b1.6Hz,J6'a,6'b10.
6Hz,H−6'b)3.55(s,3H,−OMe)
3.60(m,1H,H−5')3.70(t,1H,
3',4'4',5' 9.5Hz,H−4')4.10
(t,1H,H−5)4.27(dd,1H,J3,4
3.3Hz,H−3)4.39(dd,1H,J
5,6a6.8Hz,J6a,6b 11.3Hz,H−6a)
4.66(dd,1H,J5,6b6.5Hz,H−6b)
4.12,4.23,4.46−4.63,4.74
(m,d,m,d,9H,H−1,−CH2 −Ph×
4)5.37(d,1H,J1',2' Hz,H−1')
5.50(dd,1H,J1 ,2 8.1Hz,J2,3
0.2Hz,H−2)5.86(d,1H,H−4)
6.79−8.22(m,35H,−C65 ×7) 元素分析 C626014 計算値 C72.40 H5.90 測定値 C72.65 H5.95 カラムクロマトグラフィーは、トルエン:酢酸エチル=
80:1の混合溶媒を用いて溶出した。
【0144】合成例12(グルコサミニル化用糖供与体
の調製)2-デオキシ-N-[4-メトキシベンジリデン]-アミノ-
D-グルコース(34) D-(+)- グルコサミン塩酸塩(33)(100g,
0.46mol)を1N水酸化ナトリウム水溶液(47
0mL)に溶かし、p−アニスアルデヒド(72mL,
0.59mol)を加え、室温で1時間攪拌した。白い
沈殿物をろ過し、乾燥したところ、白色結晶34が13
0g(94%)得られた。
【0145】合成例13 1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-N-
[4- メトキシベンジリデン]-アミノ-β-D-グルコピ
ラノース(35) 合成例12で得られた34(130g,0.437mo
l)をピリジン(690mL)に溶かし、無水酢酸(3
90mL,4.13mol)を加え、室温で一晩攪拌し
濃縮して、エタノールで再結晶を行ったところ、白色結
35が187g(92%)得られた。 m.p. 186−187℃(文献値* :188℃)1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.89,2.0
4,2.07,2.12(s×4,3H×4,−OA
c)3.83(s,3H,−OMe)5.95(d,1
H,J1,2 8.6Hz,H−1)6.93,7.67
(ABtype,4H,−C64 −)8.16(s,
1H,−N=CH) *M.Bergman and L.Zervas.,Berichted D.Chem.Gesells
chaft Jahrg.,64,975(1931).
【0146】合成例14 1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-N-
フタルイミド-β-D-グルコピラノース(38) 35 (40g,85.9mmol)をアセトン(160
0mL)に溶かし60℃に加温し、5N塩酸(17.6
mL)を加え攪拌した。原料消失後氷水で冷却し、ろ過
してアセトンで洗浄すると白色結晶36が得られた。得
られた1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グル
コサミン塩酸塩(36)を水(800mL)に溶かし、
酢酸ナトリウム(14.1g,17.2mmol)を加
え室温で2時間攪拌した。クロロホルムで抽出、水で洗
浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過し濃縮し
て白色結晶38を得た。得られた1,3,4,6-テト
ラ-O-アセチル-β-D-グルコサミン(38)をピリジ
ン(200mL)に溶かし、無水フタル酸(13.5
g,91.1mmol)を加え90℃で30分間加熱還
流し、原料消失後、無水酢酸(200mL)を加え45
分間還流した。その後氷水に注ぎ、クロロホルムで抽
出、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和、水で洗浄
し、無水酢酸マグネシウムで乾燥後、濃縮してエタノー
ルで再結晶すると白色結晶38が28g(36からの総
収率65%)得られた。
【0147】1H−NMR,(CDCl3 );δ1.8
7,2.01,2.04,2.12(s×4,3H×
4,−OAc)4.03(m,1H,H−5)4.15
(dd,1H,J6,6b2.2Hz,H−6b)4.38
(dd,1H,J5,6a4.4Hz,J6a,6b 12.7H
z,H−6a)4.48(dd,1H,H−2)5.2
2(dd,1H,J4,5 10.1Hz,H−4)5.8
9(dd,1H,J2,3 10.6Hz,J3,4 9.1H
z,H−3)6.52(d,1H,J1,2 8.8Hz,
H−1)7.74−7.90(m,4H,−C64 ) m.p. 90−91℃(文献値* :90−94℃) *R.U.Lemieux,T.Takeda and B.Y.Chung.ACS Symp.Se
r., 39,90(1976)
【0148】合成例15 3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ-N-フタル
イミド-β-D-グルコピラノース(39) 38 (5.0g,10.5mmol)をTHF(テトラ
ヒドロフラン、100mL)に溶かし、塩化ナトリウム
−氷浴で冷却下ナトリウムメトキシド(1.70g,3
1.5mmol)を加え2時間攪拌した。原料消失(T
LC,トルエン:アセトン=2:1)後、酢酸(1.0
mL)を加え反応を停止し、濃縮してクロロホルムで抽
出、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、水で洗浄
した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮しシリカゲ
ルを用いて分離を行なった。トルエン:アセトン=9:
1の混合溶媒で溶出すると、白色結晶39が3.5g
(77%)得られた。
【0149】1H−NMR,(CDCl3 );δ1.8
6,2.04,2.12(s×3,3H×3,−OA
c),3.16(d,1H,−OH)3.93(m,1
H,H−5)4.20(dd,1H,J5,6a2.2H
z,J6a,6b 12.3Hz,H−6a)4.24−4.
32(m,2H,H−2,H−6b)5.18(t,1
H,J4,5 9.5Hz,H−4)5.83(t,1H,
H−1)5.86(dd,1H,J2,3 10.8Hz,
H−3)7.75,7.86(ABtype,4H,a
romatic−H)
【0150】なお、重水交換によりδ5.83のトリプ
レットはダブレットになり、3.16のダブレットのシ
グナルは消失した。 m.p. 176−178℃ 元素分析 C20219 N 計算値 C55.30 H4.87 N3.22 測定値 C55.28 H4.87 N3.16
【0151】合成例16 3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ-N-フタル
イミド-1-O-フェノキシカルボニル-β-D-グルコピラ
ノース(40) 39 (2.0g,4.6mmol)とピリジン(2m
L)をジクロロメタン(20mL)に溶かし、氷冷下ク
ロロギ酸フェニル(0.7mL,5.6mmol)を滴
下し室温で一晩攪拌した。原料消失(TLC,トルエ
ン:アセトン=3:1)後、クロロホルムを加え1N塩
酸、水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、濃縮し得られた粗結晶をエタノールより再結晶する
と、白色結晶40が2.26g(88%)得られた。1 H−NMR,(CDCl3 );δ1.88,2.0
4,2.12(s×3,3H×3,−OAc)4.06
(m,1H,H−5)4.20(dd,1H,J
5, 6a2.1Hz,J6a,6b 12.5Hz,H−6a)
4.39(dd,1H,J5, 6b4.4Hz,H−6b)
4.57(dd,1H,J2,3 10.6Hz,H−2)
5.27(dd,1H,J4,5 10.0Hz,H−4)
5.88(dd,1H,J3,4 9.2Hz,H−3)
6.50(d,1H,J1,2 8.9Hz,H−1)7.
78,7.89(ABtype,4H,aromati
c−H) m.p. 180−181℃ 元素分析 C272511N 計算値 C58.38 H4.54 N2.52 測定値 C58.46 H4.58 N2.51
【0152】実施例9 下記式(化20)に従い、フェニルグリコシドの副生を
抑えられるアセトニトリルを溶媒に用い、TMSOTf
を触媒として、ベンジルアルコールとのルコサミニル化
反応を行なったところ、反応は速やかに進行し、目的と
するベンジルグリコシドのβ- アノマーのみを収率98
%で与えた。
【0153】
【化20】
【0154】実施例10 下記式(化21)および表11に従い、シクロヘキサノ
ール及び糖誘導体をヒドロキシ化合物(糖受容体)とし
て用いた以外は、実施例9と同様にグルコサミニル化反
応を行った。結果を表11に示す。
【0155】
【化21】
【0156】
【表11】
【0157】表11から明らかなように、いずれの場合
も対応するグリコシドのβ-アノマーのみを高収率で得
ることができた。1--フェノキシカルボニル基を脱離
基として用いることが、グリコサミル化反応においても
有効であることが判明した。本発明者の知見によれば、
各糖受容体による反応時間の差は、12と増し
ていく糖受容体の立体障害による効果を反映しているも
のと推定される。
【0158】以下、実施例9及び10で得られた化合物
の物性データを示す。ベンジル 3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ-
N-フタルイミド-β-D-グルコピラノシド(41) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.85,2.02,
2.13(s×3,3H×3、−OAc)3.86
(m,1H,H−5)4.20(dd,1H,J
6,5a2.4Hz,J6a,6b 12.2Hz,H−6a)
4.37(m,2H,H−2,H−6b)4.50,
4.85(ABtype,2H,J12.2,−CH2
−Ph)5.18(dd,1H,J3,4 9.2Hz,J
4,5 10.0Hz,H−4)5.38(d,1H,J
1,2 8.5Hz,H−1)5.79(dd,1H,J
2,3 10.7Hz,H−3)7.10(m,5H,ar
omatic−H)7.72,7.78(m,s−ブロ
ード,4H,aromatic−H) m.p 106−107℃(エタノールより再結晶) 元素分析 C27279 N 計算値 C61.71 H5.18 N2.66 測定値 C61.50 H5.23 N2.61 カラムクロマトグラフィーはトルエン:アセトン=8
0:1の混合溶媒を用いて溶出した。
【0159】シクロヘキシル 3,4,6-トリ-O-アセ
チル-2-デオキシ-N-フタルイミド-β-D-グルコピラ
ノシド(42) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.02−1.86
(m,10H,−CH2 −×5)1.85,2.02,
2.13(s×3,3H×3,−OAc)3.60
(m,1H,H−1’)3.86(m,1H,H−5)
4.16(dd,1H,J5,6a2.5Hz,J6a,6b
2.2Hz,H−6a)4.32(m,2H,H−2,
H−6b)5.16(dd,1H,J3,4 9.2Hz,
4,5 10.0Hz,H−4)5.45(d,1H,J
1,2 8.5Hz,H−1)5.80(dd,1H,J
2,3 10.8Hz,H−3)7.72,7.80(AB
type,4H,aromatic−H) 元素分析 C26319 N 計算値 C60.34 H6.04 N2.70 測定値 C60.36 H6.03 N2.66 カラムクロマトグラフィーはトルエン:アセトン=8
0:1の混合溶媒を用いて溶出した。
【0160】メチル-O-[3,4,6-トリ-O-アセチ
ル-2-デオキシ-N-フタルイミド-β-D-グルコピラノ
シル]-(1→6)-2,3,4-トリ-O-ベンゾイル-β
-D-ガラクトピラノシド(43) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.86,2.02,
2.07(s×3,3H×3,−OAc)3.25
(s,3H,−OMe)3.79(dd,1H,J6, 6a
7.4Hz,H−6a)3.83(m,1H,H−
5')3.95(dd,1H,J6,6b3.9Hz,J
6a,6b 10.8Hz,H−6b)4.04(m,1H,
H−5)4.10(dd,1H,J5',6'a2.1Hz,
5'a,5'b 12.3Hz,H−6'a)4.26(d
d,1H,J5',6'b4.6Hz,H−6'b)4.32
(dd,1H,J3,8 10.7Hz,H−2')4.5
5(d,1H,J1 ,2 7.9Hz,H−1)5.15
(t,1H,J4,6 10.0Hz,H−4')5.44
(d,1H,J1',2' 8.5Hz,H−1')5.46
(dd,1H,J3,4 3.4Hz,H−3)5.63
(dd,1H,J2,3 10.4Hz,H−2)5.73
(d,1H,H−4)5.76(dd,1H,J3',4'
9.2Hz,H−3')7.19−8.02(m,19
H,aromatic−H) カラムクロマトグラフィーはトルエン:アセトン=5
0:1の混合溶媒を用いて溶出した。 m.p. 123−125℃
【0161】メチル-O-[3,4,6-トリ-O-アセチ
ル-2-デオキシ-N-フタルイミド-β-D-グルコピラノ
シル]-(1→3)-2,4,6-トリ-O-ベンゾイル-β
-D-ガラクトピラノシド(44) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.71,1.95,
1.96(s×3,3H×3,−OAc)3.80
(m,1H,H−5)4.09−4.16(m,4H,
H−2',H−6'a,H−3,H−5)4.24(d
d,1H,J5',6'b2.4Hz,J6'a,6'b 12.2H
z,H−6'b)4.44(dd,1H,J5,6a7.3
Hz,J6a,6b 11.7Hz,H−6a)4.48
(d,1H,J1,2 7.9Hz,H−1)4.55(d
d,1H,J5,6b4.9Hz,H−6b)5.06
(t,1H,J4',5' 9.6Hz,H−4')5.44
(dd,1H,J2,39.7Hz,H−2)5.57
(d,1H,J1',2' 8.3Hz,H−1')5.59
(dd,1H,J2',3' 10.7Hz,J3',4' 9.2
Hz,H−3')5.83(d,1H,J3,4 3.1H
z,H−4)7.25−8.10(m,19H,aro
matic−H) カラムクロマトグラフィーはトルエン:アセトン=5
0:1の混合溶媒を用いて溶出した。
【0162】合成例17(フコピラノシル化用糖供与体
の調製)メチルL-フコピラノシド(46) α-L-フコース(45)(20g,0.12mol)を
メタノール(200mL)に溶かし、酸性イオン交換樹
脂Dowex- X8(20g)を加え、18時間加熱還
流した。冷後、イオン交換樹脂を濾別し、濾液を濃縮し
得られた結晶を、エタノールで再結晶を行なうと白色結
晶(46)が13.7g(63%)得られた。 m.p. 157−158℃ (文献値* 158℃) *U.Zahavi and N. Sharon, J. Org. Chem., 2141(1971)
【0163】合成例18 メチル 2,3,4-トリ-O-ベンジル-L-フコピラノシ
ド(47) 合成例17で得られた46(9.5g,53.4mmo
l)をN,N- ジメチルホルムアミド(DMF)(50
0mL)に溶かし、氷冷下、水素化ナトリウム(55
%)(8.4g,0.192mol)を加え、5分間攪
拌した後、ベンジルプロミド(22.3ml,0.19
2mol)を滴下した。更にヨウ化テトラ- n- ブチル
アンモニウム(0.2g,0.53mmol)を加え、
室温で2時間攪拌した。原料消失(TLC,トルエン:
酢酸エチル=10:1)後、メタノールを加え反応を停
止し、酢酸で中和した。濃縮しクロロホルムで抽出、水
で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し得
られたシロップに対してシリカゲルを用いて分離を行な
った。トルエン:酢酸エチル=100:1の混合溶媒で
溶出すると、シロップ状の47が定量的に得られた。
【0164】合成例19 2,3,4-トリ-O-ベンジル-L-フコピラノース(4
8) 合成例18で得た47(10.0g,22.0mmo
l)を80%酢酸水溶液(160mL)に溶かし、1N
塩酸(50mL)を加え、95〜100℃で90分間加
熱還流した。反応終了(TLC,トルエン:酢酸エチル
=5:1)後、の場合と同様に処理して、白色結晶
を8.12g(84%)得た。 m.p. 97−98℃ 元素分析 C27305 計算値 C74.63 H6.96 測定値 C74.60 H6.97
【0165】合成例20 2,3,4-トリ-O-ベンジル-1-O-フェノキシカルボ
ニル-L-フコピラノース(49) 合成例19で得られた48(8.1g,18.7mmo
l)とピリジン(4mL)をジクロロメタン(80m
L)に溶かし、氷冷下、クロロギ酸フェニル(3.1m
l,24.3mmol)を滴下し室温で一晩攪拌した。
原料消失(TLC,n- ヘキサン:酢酸エチル=4:
1)後、ガラクトピラノシル化用糖供与体の場合と同
様に処理して、まず、シロップ状の49αが7.8g
(75%)得られ、次に白色結晶49βが1.6g(1
6%)得られた。(総収率91%,α:β=82:1
8)
【0166】49α 1H−NMR(CDCl3 );δ
1.19(d,3H,J5,6 6.5Hz,H6)3.7
2(d,1H,H−4)3.95(dd,1H,J3,4
2.7Hz,H−3)4.08(dd,1H,H−5)
4.21(dd,1H,J2,3 10.1Hz,H−2)
4.65−5.02(m,6H,−CH2 −Ph×3)
6.29(d,1H,J1,2 3.7Hz,H−1)7.
12−7.39(m,20H,−C65 ×4)49β 1H−NMR(CDCl3 );δ1.24(d,
3H,J5,6 6.3Hz,H−6)3.62−3.68
(m,3H,H−3,H−4,H−5)4.06(d
d,1H,H−2)4.65−5.02(m,6H,−
CH2 −Ph×3)5.49(d,1H,J1,2 8.0
Hz,H−1)7.13−7.38(m,20H,−C
65 ×4)
【0167】実施例11 下記式(化22)および表12に従い触媒としてTMS
OTfを糖(49)に対して1.0当量用い、室温及び
60℃でベンジルアルコールのL- フコピラノシル化反
応を行なった結果を表12に示す。
【0168】
【化22】
【0169】
【表12】
【0170】表12から明らかなように、室温で反応を
行なった場合、エーテル以外の溶媒を用いると反応はT
MSOTf注入後、一瞬のうちに完結し、目的とするベ
ンジルグリコシドが高収率で得られた。α:β生成比は
いずれの溶媒においてもほぼ3:1であった。しかしな
がら、60℃に加温した場合では、TMSOTfの活性
が強すぎて、分解反応が優先してしまい、わずかな目的
物しか得られなかった。
【0171】実施例12 下記表13に従い、且つTMSOTfを触媒量(0.1
当量)用いた以外は実施例11と同様にしてフコピラノ
シル化反応を行ったところ、表13に示す結果が得られ
た。
【0172】
【表13】
【0173】反応は速やかに進行し、ベンジルグリコシ
ドを高収率で与えたが、エーテルの場合のみ反応は完結
せず、約30%の原料が回収された。α:β生成比につ
いては、やはりほぼ3:1という値であった。
【0174】実施例13 下記式(化23)および表14に従った以外は実施例1
2と同様にして糖誘導体のフコピラノシル化反応を行っ
たところ、表14に示す結果が得られた。
【0175】
【化23】
【0176】
【表14】
【0177】糖受容体の反応部位以外の水酸基をベンゾ
イル基で保護した場合(12)(Entry 2,3)に
おいては、イソプロピリデン基で保護した場合(
(Entry 1)に比べα- アノマーの生成比が増してい
る。すなわち、糖受容体である糖誘導体の保護基の違い
により、生成するグリコシドのα:β生成比に顕著な差
が現われることが判明した。
【0178】以下、実施例11ないし13で得られた化
合物の物性データを示す。1,2,3,4-テトラ-O-ベンジル-α-L-フコピラノ
シド(51α) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.09(d,3H,
5,6 6.5Hz,H−6)3.67(d,1H,H−
4)3.91(m,1H,H−5)4.00(dd,1
H,J3,4 2.7Hz,H−3)4.05(dd,1
H,J2,3 10.1Hz,H−2)4.56−5.00
(m,8H,−CH2 −Ph×4)4.90(d,1
H,J1,8 3.7Hz,H−1)7.25−7.41
(m,20H,−C65 ×4) 元素分析 C34385 計算値 C77.84 H6.92 測定値 C77.66 H6.93
【0179】1,2,3,4-テトラ-O-ベンジル-β-
L-フコピラノシド(51β) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.22(d,3H,
5,6 6.4Hz,H−6)3.46(m,1H,H−
5)3.52(dd,1H,J3,4 3.0Hz,H−
3)3.57(d,1H,H−4)3.89(dd,1
H,J2,3 9.7Hz,H−2)4.44(d,1H,
1,2 7.7Hz,H−1)4.62−5.01(m,
8H,−CH2 −Ph×4)7.25−7.38(m,
20H,−C65 ×4) 元素分析 C34365 計算値 C77.84 H6.92 測定値 C77.84 H6.94 カラムクロマトグラフィーはトルエン:酢酸エチル=2
00:1の混合溶媒を用いて溶出した。α:β生成比は
1H−NMRスペクトルにおいて、α- アノマーで3プ
ロトン分のシグナルとして観測されるδ1.09の面積
強度と、β- アノマーで3プロトン分のシグナルとして
観測されるδ1.22の面積強度から算出した。
【0180】[2,3,4-トリ-O-ベンジル-α-L-フ
コピラノシル]-(1→6)-1,2,3,4-ジ-O-イ
ソプロピリデン-α-D-ガラクトピラノシド(52α) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.12(d,3H,
5',6' 6.5Hz,H−6')1.30,1.33,
1.52,1.59(s×4,3H×4,−CH3
3.65(m,2H,H−4',H−6a)3.81
(dd,1H,J5,6 ,7.4Hz,H−6b)3.9
2(dd,1H,J3',4' 2.8Hz,H−3')3.
97(dd,1H,H−5')4.04(dd,1H,
2',3' 10.1H z,H−2')4.07(m,1
H,H−5)4.27(dd,1H,J4,51.9H
z,H−4)4.29(dd,1H,J2,3 2.3H
z,H−2)4.56(dd,1H,J3,4 7.9H
z,H−3)4.64−4.89,4.98(m,d,
6H,−Ch2 −Ph×3)4.95(d,1H,J
1',2' 3.7Hz,H−1')5.52(d,1H,J
1,2 5.0Hz,H−1)7.26−7.40 (m,
15H,−C65 ×3)
【0181】[2,3,4-トリ-O-ベンジル-β-L-フ
コピラノシル]-(1→6)-1,2,3,4-ジ-O-イ
ソプロピリデン-α-D-ガラクトピラノシド(52β) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.17(d,3H,
5',6' 6.4Hz,H−6')1.28,1.32,
1.43,1.52(s×4,3H×4、−CH3
3.44(dd,1H,H−5')3.50(dd,1
H,J2',4' 3.0Hz,H−3')3.55(d,1
H,H−4')3.81(m,2H,H−2',H− 6
a)3.99(dd,1H,J5,6b5.4Hz,J
6a,6b 9.0Hz,H−6b)4.02(m,1H,H
−5)4.29(dd,1H,J2,3 2.3Hz,H−
2)4.35(m,2H,J1',2' 7.7Hz,H−
1',H−4)4.5 6(dd,1H,J3,4 8.0H
z,H−3)4.69−4.99(m,6H,−CH3
−Ph×3)5.50(d,1H,J1,2 5.0Hz,
H−1)7.26−7.39(m,15H,−C65
×3) カラムクロマトグラフィーはトルエン:酢酸エチル=4
0:1の混合溶媒を用いて溶出した。α:β生成比は 1
H−NMRスペクトルにおいて、α- アノマーで3プロ
トン分のシグナルとして観測されるδ1.12の面積強
度と、β- アノマーで3プロトン分のシグナルとして観
測されるδ1.17の面積強度から算出した。
【0182】メチル-O-[2,3,4-トリ-O-ベンジ
ル-α-L-フコピラノシル]-(1→ 6)-2,3,4-ト
リ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド(53
α) 1 H−NMR(CDCl3 );δ0.73(d,3H,
5',6' 6.5Hz,H−6')3.53(d,1H,
H−4')3.56(s,3H,−OMe)3.60
(m,2H,H−5',H−6a)3.86(dd,1
H,J5,6b8.1Hz,J6a,6b 9.6Hz,H−6
b)3.94(dd,1H,J3',4' 2.7Hz,H−
3')4.02(dd,1H,J2',3' 10.2Hz,
H−2')4.24(m,1H,H−5)4.54−
4.92(m,6H,−CH2 −Ph×3)4.67
(d,1H,J1,2 7.9Hz,H−1)4.80
(d,1H,J1',2'3.5Hz,H−1')5.58
(dd,1H,J3,4 3.4Hz,H−3)5.7 3
(dd,1H,J2,3 10.4Hz.H−2)5.97
(d,1H,H−4)7.24−8.05(m,30
H,−C65 ×6)
【0183】メチル-O-[2,3,4-トリ-O-ベンジ
ル-β-L-フコピラノシル]-(1→ 6)-2,3,4-ト
リ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド(53
β) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.16(d,3H,
5',6' 6.4Hz,H−6')3.42(m,1H,
H−5')3.47(dd,1H,J2',3' 9.7H
z,J3,4 3.0Hz,H−3')3.53(s,4
H,−OMe,H−4)3.80(m,2H,H−
2',H−6a)4.06(dd,1H,J5,6b5.6
Hz,J6'a,6'b 10.2Hz,H−6b)4.13
(m,1H,H−5)4.30(d,1H,J1',2'
7.6Hz,H−1')4.64(d,1H,J1,27.
9Hz,H−1)4.66−4.99(m,6H,−C
2 −Ph×3)5.56(dd,1H,J3,4 3.4
Hz,H−3)5.72(dd,1H,J2, 3 10.4
Hz,H−2)5.98(d,1H,H−4)7.18
−8.20(m,30H,−C65 ×6) 元素分析 C555413(両アノマーの混合物として) 計算値 C71.57 H5.90 測定値 C71.27 H5.87 カラムクロマトグラフィーはトルエン:酢酸エチル=5
0:1の混合溶媒を用いて溶出した。α:β生成比は 1
H−NMRスペクトルにおいて、α- アノマーで3プロ
トン分のシグナルとして観測されるδ0.73の面積強
度と、β- アノマーで3プロトン分のシグナルとして観
測されるδ1.16の面積強度から算出した。
【0184】メチル-O-[2,3,4-トリ-O-ベンジ
ル-α-L-フコピラノシル]-(1→3)-2,4,6-ト
リ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド(54
α) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.03(d,3H,
5',6' 6.5Hz,H−6')3.55(s,4H,
H−4,−OMe)3.66(dd,1H,J3,42.
4Hz,H−3')3.81(dd,1H,J2',3'
0.2Hz,H−2')4.06(dd,1H,H−
5')4.18(t,1H,H−5)4.27(dd,
1H,J2,3 10.0Hz,J3,4 3.5Hz,H−
3)4.47(dd,1H,J5,6a5.8Hz,J
5a,6b 11.3Hz,H−6a)4.59(dd,1
H,J6,6b7.0Hz,H−6b)4.61(d,1
H,J1,2 7.9Hz,H−1)4.09,4.21,
4.31,4.38,4.52,4.84(d×6,6
H,−CH2 −Ph×3)5.09(d,1H,J
1',2' 3.5Hz,H−1')5.74(m,2H,H
−2,H−4)6.88−8.19(m,30 H,−
66 ×6)
【0185】メチル-O-[2,3,4-トリ-O-ベンジ
ル-β-L-フコピラノシル]-(1→ 3)-2,4,6-ト
リ-O-ベンゾイル-β-D-ガラクトピラノシド(54
β) 1 H−NMR(CDCl3 );δ1.03(d,3H,
5',6' 6.3Hz,H−6')3.36(dd,1
H,H−5')3.45(m,2H,H−3',H−
4')3.53(dd,1H,H−2')3.55(s,
3H,−OMe)4.11(t,1H,H−5)4.4
0−4.80(m,11H,H−1',H−1,H−
3,H−6a,H−6b)5.62(dd,1H,J
1,2 8.0Hz,J2, 310.2Hz,H−2)5.9
0(d,1H,J3,4 2.9Hz,H−4)6.92−
8.11(m,30H,−C65 ×6) 元素分析 C555413 計算値 C71.57 H5.90 測定値 C71.57 H5.80 カラムクロマトグラフィーはトルエン:酢酸エチル=5
0:1の混合溶媒を用いて溶出した。α:β生成比は 1
H−NMRスペクトルにおいて、α- アノマーで3プロ
トン分のシグナルとして観測されるδ0.73の面積強
度と、β- アノマーで3プロトン分のシグナルとして観
測されるδ1.16の面積強度から算出した。
【0186】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、ヘキソ
ピラノース1-炭酸エステル誘導体を、その溶液状態に
おいてヒドロキシ化合物と反応させることにより、緩和
な反応条件下で高立体選択的にα-又はβ-グリコシドを
得ることが可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07B 53/00 E 7419−4H C07H 15/18 15/20 15/207 // C07B 61/00 300

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘキソピラノース1-炭酸エステル誘導
    体を、その溶液状態においてヒドロキシ化合物と反応さ
    せることを特徴とするヒドロキシ化合物のグリコシル化
    法。
  2. 【請求項2】 酸触媒存在下で、前記ヘキソピラノース
    1-炭酸エステル誘導体とヒドロキシ化合物とを反応さ
    せる請求項1記載のグリコシル化法。
  3. 【請求項3】 エチルエーテルに溶解した前記ヘキソピ
    ラノース1-炭酸エステル誘導体と、ヒドロキシ化合物
    とを反応させてα-グリコシドを得る請求項1記載のグ
    リコシル化法。
  4. 【請求項4】 0℃以下の温度において、エチルエーテ
    ル以外の物質に溶解した前記ヘキソピラノース1-炭酸
    エステル誘導体と、ヒドロキシ化合物とを反応させて、
    対応するβ-グリコシドを得る請求項1記載のグリコシ
    ル化法。
  5. 【請求項5】 0℃より高い温度において、エチルエー
    テル以外の物質に溶解した前記ヘキソピラノース1-炭
    酸エステル誘導体と、ヒドロキシ化合物とを反応させて
    α-グリコシドを得る請求項1記載のグリコシル化法。
  6. 【請求項6】 前記ヒドロキシ化合物が糖誘導体である
    請求項1記載のグリコシル化法。
  7. 【請求項7】 酸触媒存在下で、前記ヘキソピラノース
    1-炭酸エステル誘導体と糖誘導体とを反応させる請求
    項6記載のグリコシル化法。
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