JPH069672A - トランスフェリン−プラチナ化合物複合体 - Google Patents
トランスフェリン−プラチナ化合物複合体Info
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- JPH069672A JPH069672A JP5062278A JP6227893A JPH069672A JP H069672 A JPH069672 A JP H069672A JP 5062278 A JP5062278 A JP 5062278A JP 6227893 A JP6227893 A JP 6227893A JP H069672 A JPH069672 A JP H069672A
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- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
癌の治療や癌転移の予防に有用な鉄結合型トランスフェ
リン−プラチナ化合物複合体。
リン−プラチナ化合物複合体。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、癌の治療や癌転移の予
防に有用な鉄結合型トランスフェリン−プラチナ化合物
複合体に関する。
防に有用な鉄結合型トランスフェリン−プラチナ化合物
複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】シスプラチン(シスジクロロアンミン白
金(II))
金(II))
【化2】 は現在広範に用いられている制癌剤であるが、その強い
毒性と著しく短い半減期のために、投与量および投与方
法が限定されている。一方、トランスフェリンは生体内
で鉄の輸送をつかさどる蛋白質であり、鉄を細胞内へ輸
送する際に、鉄と結合した状態で細胞表面上のトランス
フェリン受容体と結合し、細胞はその飲作用によって、
鉄−トランスフェリン−トランスフェリン受容体の形で
鉄を取り込む。その受容体が、正常細胞に比較して癌細
胞表面上に有意に多く発現されており、トランスフェリ
ンは腫瘍マーカーとしての応用が検討されている(癌と
化学療法、第15巻、第4号、PART-II、 第1072−
1076頁、1988年)。
毒性と著しく短い半減期のために、投与量および投与方
法が限定されている。一方、トランスフェリンは生体内
で鉄の輸送をつかさどる蛋白質であり、鉄を細胞内へ輸
送する際に、鉄と結合した状態で細胞表面上のトランス
フェリン受容体と結合し、細胞はその飲作用によって、
鉄−トランスフェリン−トランスフェリン受容体の形で
鉄を取り込む。その受容体が、正常細胞に比較して癌細
胞表面上に有意に多く発現されており、トランスフェリ
ンは腫瘍マーカーとしての応用が検討されている(癌と
化学療法、第15巻、第4号、PART-II、 第1072−
1076頁、1988年)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】シスプラチンの強い毒
性と短い半減期のために限定されている投与量および投
与方法を改善し制癌効果を高めるためには、血中滞留時
間を持続化し、癌への指向性を高めればよい。この目的
のため、下式で示されるようなシスプラチン誘導体が近
年多数合成され、制癌作用が検討されている(化学、第
46巻、第10号、第685〜687頁、1991
年)。
性と短い半減期のために限定されている投与量および投
与方法を改善し制癌効果を高めるためには、血中滞留時
間を持続化し、癌への指向性を高めればよい。この目的
のため、下式で示されるようなシスプラチン誘導体が近
年多数合成され、制癌作用が検討されている(化学、第
46巻、第10号、第685〜687頁、1991
年)。
【化3】 このようなプラチナ化合物の癌への指向性をさらに高め
るために、トランスフェリンを上記の理由から担体とし
て結合させることが考えられる。トランスフェリンをシ
スプラチンの担体として利用した例として、トランスフ
ェリンの鉄の代わりにプラチナを結合させたプラチナ−
トランスフェリン(米国特許第4,590,001号)およびト
ランスフェリンとシスプラチンを生分解性ポリマーを介
して結合させた組成物(特表昭64-500435号)が知られ
ているが、いずれも抗腫瘍作用および副作用の点で充分
満足できるものではない。
るために、トランスフェリンを上記の理由から担体とし
て結合させることが考えられる。トランスフェリンをシ
スプラチンの担体として利用した例として、トランスフ
ェリンの鉄の代わりにプラチナを結合させたプラチナ−
トランスフェリン(米国特許第4,590,001号)およびト
ランスフェリンとシスプラチンを生分解性ポリマーを介
して結合させた組成物(特表昭64-500435号)が知られ
ているが、いずれも抗腫瘍作用および副作用の点で充分
満足できるものではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記のような事情に鑑
み、本発明者らは種々検討した結果、鉄結合型トランス
フェリンとプラチナ化合物の複合体を得、この複合体が
癌細胞の増殖を抑制する作用を有するとともにプラチナ
の毒性を低減することを見いだした。すなわち、本発明
は、(1)鉄結合型トランスフェリン−プラチナ化合物
複合体、(2)鉄結合型トランスフェリンとプラチナ化
合物を反応させることを特徴とする上記(1)記載の複
合体の製造法、(3)鉄未結合型トランスフェリンとプ
ラチナ化合物を反応させ、ついで鉄錯体を加えることを
特徴とする上記(1)記載の複合体の製造法、(4)プ
ラチナ化合物が一般式(I)
み、本発明者らは種々検討した結果、鉄結合型トランス
フェリンとプラチナ化合物の複合体を得、この複合体が
癌細胞の増殖を抑制する作用を有するとともにプラチナ
の毒性を低減することを見いだした。すなわち、本発明
は、(1)鉄結合型トランスフェリン−プラチナ化合物
複合体、(2)鉄結合型トランスフェリンとプラチナ化
合物を反応させることを特徴とする上記(1)記載の複
合体の製造法、(3)鉄未結合型トランスフェリンとプ
ラチナ化合物を反応させ、ついで鉄錯体を加えることを
特徴とする上記(1)記載の複合体の製造法、(4)プ
ラチナ化合物が一般式(I)
【化4】 〔式中、R1およびR2は同一または異なって担持配位子
を、R3およびR4は同一または異なって脱離基を、R5
およびR6は同一または異なってハロゲン、水酸基また
はアシルオキシ基を、 nは0または1を示す〕で表され
る化合物である上記(2)または(3)記載の製造法お
よび(5)上記(1)記載の複合体を含有することを特
徴とする非経口用医薬製剤に関する。
を、R3およびR4は同一または異なって脱離基を、R5
およびR6は同一または異なってハロゲン、水酸基また
はアシルオキシ基を、 nは0または1を示す〕で表され
る化合物である上記(2)または(3)記載の製造法お
よび(5)上記(1)記載の複合体を含有することを特
徴とする非経口用医薬製剤に関する。
【0005】本発明の鉄結合型トランスフェリン−プラ
チナ化合物複合体の原料として用いられるプラチナ化合
物は、制癌作用を有するプラチナ化合物であればどのよ
うなものでもよい。例えば、一般式(I)
チナ化合物複合体の原料として用いられるプラチナ化合
物は、制癌作用を有するプラチナ化合物であればどのよ
うなものでもよい。例えば、一般式(I)
【化5】 〔式中、R1およびR2は同一または異なって担持配位子
を、R3およびR4は同一または異なって脱離基を、R5
およびR6は同一または異なってハロゲン、水酸基また
はアシルオキシ基を、 nは0または1を示す〕で表され
る化合物が好ましい。
を、R3およびR4は同一または異なって脱離基を、R5
およびR6は同一または異なってハロゲン、水酸基また
はアシルオキシ基を、 nは0または1を示す〕で表され
る化合物が好ましい。
【0006】上記一般式(I)中、R1およびR2で表さ
れる担持配位子としては、アミン類が挙げられる。特
に、R1はNH2R1'、R2はNH2R2'〔式中、R1'およ
びR2'は同一または異なって水素原子または置換されて
いてもよい炭化水素残基を示すか、または、R1'および
R2'がそれらの結合する炭素原子と一緒になって、
れる担持配位子としては、アミン類が挙げられる。特
に、R1はNH2R1'、R2はNH2R2'〔式中、R1'およ
びR2'は同一または異なって水素原子または置換されて
いてもよい炭化水素残基を示すか、または、R1'および
R2'がそれらの結合する炭素原子と一緒になって、
【化6】 (式中、mは2〜6の整数、m’は1〜5の整数、kお
よびk’は0または1を示す)を示す〕で表される基が
好ましい。R1'およびR2'で表される置換されていても
よい炭化水素残基における炭化水素残基としては、直鎖
状または分枝状のC1-6アルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、se
c-ブチル、ペンチル、 イソペンチル、 ヘキシルなど)、
C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シクロ
ブチル、シクロペンチル、 シクロヘキシルなど)、C
7-13アラルキル基(例、ベンジル、1−フェネチル、2
−フェネチルなど)、C6-10アリール基(例、フェニ
ル、ナフチルなど)が挙げられる。 R1'およびR2'で
表される置換されていてもよい炭化水素残基における置
換基としては、ハロゲンが挙げられる。
よびk’は0または1を示す)を示す〕で表される基が
好ましい。R1'およびR2'で表される置換されていても
よい炭化水素残基における炭化水素残基としては、直鎖
状または分枝状のC1-6アルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、se
c-ブチル、ペンチル、 イソペンチル、 ヘキシルなど)、
C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シクロ
ブチル、シクロペンチル、 シクロヘキシルなど)、C
7-13アラルキル基(例、ベンジル、1−フェネチル、2
−フェネチルなど)、C6-10アリール基(例、フェニ
ル、ナフチルなど)が挙げられる。 R1'およびR2'で
表される置換されていてもよい炭化水素残基における置
換基としては、ハロゲンが挙げられる。
【0007】R3およびR4で表される脱離基は、トラン
スフェリンに吸着または結合する官能基であれば特に限
定はされないが、好ましくは、ハロゲン、水酸基または
アシルオキシ基が挙げられる。上記したハロゲンとして
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。上記し
たアシルオキシ基およびR5およびR6で表されるアシル
オキシ基におけるアシル基としては、炭化水素カルボニ
ル基が挙げられる。該炭化水素カルボニル基における炭
化水素残基としては、上記したR1'およびR2'で表され
る置換されていてもよい炭化水素残基における炭化水素
残基と同様のものが挙げられる。本発明で用いられるト
ランスフェリンは、ヒト、ウシ、マウス、ラット、ウサ
ギ、ウマ、モルモット、イヌなど温血動物由来のトラン
スフェリンであればどのようなものでもよいが、免疫反
応を防ぐためにヒト由来のトランスフェリンが好まし
い。
スフェリンに吸着または結合する官能基であれば特に限
定はされないが、好ましくは、ハロゲン、水酸基または
アシルオキシ基が挙げられる。上記したハロゲンとして
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。上記し
たアシルオキシ基およびR5およびR6で表されるアシル
オキシ基におけるアシル基としては、炭化水素カルボニ
ル基が挙げられる。該炭化水素カルボニル基における炭
化水素残基としては、上記したR1'およびR2'で表され
る置換されていてもよい炭化水素残基における炭化水素
残基と同様のものが挙げられる。本発明で用いられるト
ランスフェリンは、ヒト、ウシ、マウス、ラット、ウサ
ギ、ウマ、モルモット、イヌなど温血動物由来のトラン
スフェリンであればどのようなものでもよいが、免疫反
応を防ぐためにヒト由来のトランスフェリンが好まし
い。
【0008】本発明の鉄結合型トランスフェリン−プラ
チナ化合物複合体は、トランスフェリン溶液、好ましく
は水溶液を、プラチナ化合物の溶液、好ましくは水溶液
と、モル比1:1〜1:10000、好ましくは1:1
〜1:1000の割合で混合した後、0℃〜96℃、好
ましくは4℃〜56℃で1分〜500時間、好ましくは
5分〜100時間インキュベーションすることによっ
て、容易に製造される。原料となるトランスフェリン
は、鉄結合型、鉄未結合型(アポ型)のいずれであって
もよいが、鉄未結合型を用いた場合、プラチナ化合物と
混合する前または混合した後に、例えばG. Batesらの方
法(J. Biol. Chem., 248, 3228-3232 (1973))にした
がって、 ニトリロ三酢酸−鉄錯体、エチレンジアミン四
酢酸−鉄錯体、クエン酸−鉄錯体、重炭酸−鉄錯体など
の鉄錯体を加えることによって、鉄未結合型を鉄結合型
に変換することができる。それらのうち、ニトリロ三酢
酸−鉄錯体が好ましい。本発明の複合体の製造に用いら
れる溶媒としては、水、ジメチルスルホキシドジメチル
ホルムアミドなどが挙げられるが、好ましくは水が適用
される。また、所望により、溶媒に薬理学的に許容され
る緩衝剤、添加物、安定化剤を加えてもよい。また、ト
ランスフェリンとプラチナ化合物のインキュベーション
後、未結合のプラチナ化合物を、透析、限外ろ過等の方
法により除去してもよい。このようにして得られた鉄結
合型トランスフェリン−プラチナ化合物複合体溶液は、
そのまま、または薬理学的に許容される賦型剤、安定化
剤等を添加し、凍結乾燥して粉末とすることもできる。
チナ化合物複合体は、トランスフェリン溶液、好ましく
は水溶液を、プラチナ化合物の溶液、好ましくは水溶液
と、モル比1:1〜1:10000、好ましくは1:1
〜1:1000の割合で混合した後、0℃〜96℃、好
ましくは4℃〜56℃で1分〜500時間、好ましくは
5分〜100時間インキュベーションすることによっ
て、容易に製造される。原料となるトランスフェリン
は、鉄結合型、鉄未結合型(アポ型)のいずれであって
もよいが、鉄未結合型を用いた場合、プラチナ化合物と
混合する前または混合した後に、例えばG. Batesらの方
法(J. Biol. Chem., 248, 3228-3232 (1973))にした
がって、 ニトリロ三酢酸−鉄錯体、エチレンジアミン四
酢酸−鉄錯体、クエン酸−鉄錯体、重炭酸−鉄錯体など
の鉄錯体を加えることによって、鉄未結合型を鉄結合型
に変換することができる。それらのうち、ニトリロ三酢
酸−鉄錯体が好ましい。本発明の複合体の製造に用いら
れる溶媒としては、水、ジメチルスルホキシドジメチル
ホルムアミドなどが挙げられるが、好ましくは水が適用
される。また、所望により、溶媒に薬理学的に許容され
る緩衝剤、添加物、安定化剤を加えてもよい。また、ト
ランスフェリンとプラチナ化合物のインキュベーション
後、未結合のプラチナ化合物を、透析、限外ろ過等の方
法により除去してもよい。このようにして得られた鉄結
合型トランスフェリン−プラチナ化合物複合体溶液は、
そのまま、または薬理学的に許容される賦型剤、安定化
剤等を添加し、凍結乾燥して粉末とすることもできる。
【0009】本発明の複合体は、トランスフェリン受容
体を有するタイプの細胞を特異的かつ選択的に殺す目的
で一般的に適用することができる。それゆえ、本発明の
複合体は、癌の治療や癌転移の予防に有用である。ま
た、本発明の複合体に抗癌剤を混合して投与してもよ
い。ここでいう抗癌剤とは、例えば塩酸ナイトロジェン
マスタード−N−オキシド,シクロホスファミド,チオ
テパ,カルボコン,クロラムブシル,塩酸ニムスチン,
イホスファミド,メルファラン,ダカルバジン,ウラシ
ルマスタード,マンノムスチン,ドーパン,BCNU,
トリエチレンメラミン,アザテパ,トレニモン,イソプ
ロキュオン,ブスルファン,ジメチルミレラン,ピポス
ルファン,エトグルシド,エポキシプロピジン,エポキ
シピペラジン,ヘキサメチルメラミン,ジブロモマンニ
トール,ピポブロマンなどのアルキル化剤、アミノプテ
リン,メトトレキサート,カルモフール,グアニン,8
−アザガニン,メルカプトプリン,チオイノシン,アザ
チオプリン,ウラシル,フルオロウラシル,テガフー
ル,シタラビン,塩酸アンシタビン,エノシタビン,ア
ゼセリン,ジアゾマイシンなどの代謝拮抗剤、アクチノ
マイシンD,サイクロマイシン,マイトマイシンC,ダ
ウノマイシン,塩酸ダウノルビシン,塩酸ドキソルビシ
ン,塩酸ブレオマイシン,硫酸ブレオマイシン,ネオカ
ルチノスタチン,硫酸ペプロマイシン,塩酸アクラルビ
シン,クロモマイシンA3,塩酸エピルビシン,アンサ
マイシン,カルジノフィリン,ピラルビシンなどの抗生
物質,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリスチン,硫酸
ビンデシン,エトポシドなどの植物アルカロイド,シス
プラチン,カルボプラチンなどの白金錯体、その他Hg
−ヘマトポルフィリン,Co−プロトポルフィリン,塩
酸プロカルバジン,リン酸エストラムスチンナトリウ
ム,ラニムスチン,ミキトサントロン,ドキシフルリジ
ン,L−アスパラギナーゼなどが挙げられる。抗癌剤を
用いる量はその薬理作用に依存し、有効量であればよ
く、1回の投与量として50μg〜2gの中から選ばれ
るが、特に限定されない。例えば、塩酸ドキソルビシ
ン,シスプラチン,マイトマイシンC,塩酸ブレオマイ
シンなどの一般によく使用される抗癌剤の場合、1回の
投与量は0.1〜500mgの中から選ばれる。また、
本発明の複合体に対する抗癌剤の配合量はその薬理効果
活性の強さ、水あるいは有機溶媒中での溶解度などに依
存するが、0.1〜500%(w/w)、好ましくは1
〜90%(w/w)である。
体を有するタイプの細胞を特異的かつ選択的に殺す目的
で一般的に適用することができる。それゆえ、本発明の
複合体は、癌の治療や癌転移の予防に有用である。ま
た、本発明の複合体に抗癌剤を混合して投与してもよ
い。ここでいう抗癌剤とは、例えば塩酸ナイトロジェン
マスタード−N−オキシド,シクロホスファミド,チオ
テパ,カルボコン,クロラムブシル,塩酸ニムスチン,
イホスファミド,メルファラン,ダカルバジン,ウラシ
ルマスタード,マンノムスチン,ドーパン,BCNU,
トリエチレンメラミン,アザテパ,トレニモン,イソプ
ロキュオン,ブスルファン,ジメチルミレラン,ピポス
ルファン,エトグルシド,エポキシプロピジン,エポキ
シピペラジン,ヘキサメチルメラミン,ジブロモマンニ
トール,ピポブロマンなどのアルキル化剤、アミノプテ
リン,メトトレキサート,カルモフール,グアニン,8
−アザガニン,メルカプトプリン,チオイノシン,アザ
チオプリン,ウラシル,フルオロウラシル,テガフー
ル,シタラビン,塩酸アンシタビン,エノシタビン,ア
ゼセリン,ジアゾマイシンなどの代謝拮抗剤、アクチノ
マイシンD,サイクロマイシン,マイトマイシンC,ダ
ウノマイシン,塩酸ダウノルビシン,塩酸ドキソルビシ
ン,塩酸ブレオマイシン,硫酸ブレオマイシン,ネオカ
ルチノスタチン,硫酸ペプロマイシン,塩酸アクラルビ
シン,クロモマイシンA3,塩酸エピルビシン,アンサ
マイシン,カルジノフィリン,ピラルビシンなどの抗生
物質,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリスチン,硫酸
ビンデシン,エトポシドなどの植物アルカロイド,シス
プラチン,カルボプラチンなどの白金錯体、その他Hg
−ヘマトポルフィリン,Co−プロトポルフィリン,塩
酸プロカルバジン,リン酸エストラムスチンナトリウ
ム,ラニムスチン,ミキトサントロン,ドキシフルリジ
ン,L−アスパラギナーゼなどが挙げられる。抗癌剤を
用いる量はその薬理作用に依存し、有効量であればよ
く、1回の投与量として50μg〜2gの中から選ばれ
るが、特に限定されない。例えば、塩酸ドキソルビシ
ン,シスプラチン,マイトマイシンC,塩酸ブレオマイ
シンなどの一般によく使用される抗癌剤の場合、1回の
投与量は0.1〜500mgの中から選ばれる。また、
本発明の複合体に対する抗癌剤の配合量はその薬理効果
活性の強さ、水あるいは有機溶媒中での溶解度などに依
存するが、0.1〜500%(w/w)、好ましくは1
〜90%(w/w)である。
【0010】本発明の複合体は、薬理学的に許容される
担体、賦型剤と混合し、注射剤、点鼻液、座剤、軟膏
剤、ローション剤などの形態で、非経口的に投与するこ
とができる。すなわち、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔
内、鼻腔、直腸、経皮等の経路から投与し得る。投与量
は、投与ルート、症状、患者の年齢あるいは体重などに
よっても異なるが、例えば成人に投与する場合、プラチ
ナ量として50μg〜2g/m2/日、好ましくは1mg〜500mg/m2/
日、さらに好ましくは2mg〜80mg/m2/日を1日1〜数回
に分けて投与するのが好ましい。また、公知の手段にし
たがって、本発明の複合体をポリマーマトリックス、リ
ポソームまたは小球体のごとき徐放性システムに適用す
ることもできる(特開昭63−255231、特開昭6
3−39810、特公平1−60007参照)。
担体、賦型剤と混合し、注射剤、点鼻液、座剤、軟膏
剤、ローション剤などの形態で、非経口的に投与するこ
とができる。すなわち、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔
内、鼻腔、直腸、経皮等の経路から投与し得る。投与量
は、投与ルート、症状、患者の年齢あるいは体重などに
よっても異なるが、例えば成人に投与する場合、プラチ
ナ量として50μg〜2g/m2/日、好ましくは1mg〜500mg/m2/
日、さらに好ましくは2mg〜80mg/m2/日を1日1〜数回
に分けて投与するのが好ましい。また、公知の手段にし
たがって、本発明の複合体をポリマーマトリックス、リ
ポソームまたは小球体のごとき徐放性システムに適用す
ることもできる(特開昭63−255231、特開昭6
3−39810、特公平1−60007参照)。
【0011】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、これにより本発明の範囲が限定されるものでは
ない。 実施例1 トランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ
型、10mg/ml)1mlに、2.5mMのニトリロ三酢酸と
塩化第二鉄のキレート溶液120μlを加えて、トランス
フェリンを鉄結合型とした。この溶液にシスプラチン水
溶液(和光純薬、1mg/ml)1.5mlを添加し、37度
または56度の恒温水槽中でインキュベーションした。
一定時間後にこの溶液を Sephadex G−25カラム(フ
ァルマシア社)でゲル濾過を行ない、未反応のシスプラ
チンを除去して3.5mlの蛋白質画分を得た。この蛋白
質画分中のプラチナを原子吸光度で測定した。原子吸光
法の測定条件は以下の通りである。原子吸光法条件 ランプ電流:12.5mA 波長:265.9nm 温度プログラム: ステージ 開始温度 終了温度 時 間 ──────────────────────── 乾 燥 60 度 90 度 20 秒 乾 燥 90 度 100 度 40 秒 乾 燥 100 度 130 度 40 秒 灰 化 130 度 1400 度 20 秒 灰 化 1400 度 1400 度 20 秒 原子化 2800 度 2800 度 6 秒 洗 浄 2900 度 2900 度 5 秒 図1にトランスフェリン−シスプラチン複合体の生成曲
線を示す。
するが、これにより本発明の範囲が限定されるものでは
ない。 実施例1 トランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ
型、10mg/ml)1mlに、2.5mMのニトリロ三酢酸と
塩化第二鉄のキレート溶液120μlを加えて、トランス
フェリンを鉄結合型とした。この溶液にシスプラチン水
溶液(和光純薬、1mg/ml)1.5mlを添加し、37度
または56度の恒温水槽中でインキュベーションした。
一定時間後にこの溶液を Sephadex G−25カラム(フ
ァルマシア社)でゲル濾過を行ない、未反応のシスプラ
チンを除去して3.5mlの蛋白質画分を得た。この蛋白
質画分中のプラチナを原子吸光度で測定した。原子吸光
法の測定条件は以下の通りである。原子吸光法条件 ランプ電流:12.5mA 波長:265.9nm 温度プログラム: ステージ 開始温度 終了温度 時 間 ──────────────────────── 乾 燥 60 度 90 度 20 秒 乾 燥 90 度 100 度 40 秒 乾 燥 100 度 130 度 40 秒 灰 化 130 度 1400 度 20 秒 灰 化 1400 度 1400 度 20 秒 原子化 2800 度 2800 度 6 秒 洗 浄 2900 度 2900 度 5 秒 図1にトランスフェリン−シスプラチン複合体の生成曲
線を示す。
【0012】実施例2 シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/ml)1.5mlに
トランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ
型、10mg/ml)1mlを滴下し、37度の恒温水槽中で
24時間インキュベーションした。この溶液を Sephade
x G−25カラム(ファルマシア社)でゲル濾過を行な
い、未反応のシスプラチンを除去して3.5mlの蛋白質
画分を得た。ゲル濾過の溶離液には5%マニトール水溶
液を用いた。蛋白質の回収率はほぼ100%であった。
この得られた蛋白質画分に2.5mMのニトリロ三酢酸と
塩化第二鉄のキレート溶液を150μl加えて鉄を飽和
させ、0.2μm のフィルターで除菌濾過して最終製剤
を得た。トランスフェリンに対 するシスプラチンの結
合量はモル比で10.6であった。
トランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ
型、10mg/ml)1mlを滴下し、37度の恒温水槽中で
24時間インキュベーションした。この溶液を Sephade
x G−25カラム(ファルマシア社)でゲル濾過を行な
い、未反応のシスプラチンを除去して3.5mlの蛋白質
画分を得た。ゲル濾過の溶離液には5%マニトール水溶
液を用いた。蛋白質の回収率はほぼ100%であった。
この得られた蛋白質画分に2.5mMのニトリロ三酢酸と
塩化第二鉄のキレート溶液を150μl加えて鉄を飽和
させ、0.2μm のフィルターで除菌濾過して最終製剤
を得た。トランスフェリンに対 するシスプラチンの結
合量はモル比で10.6であった。
【0013】実施例3 シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/ml)15mlにト
ランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ型、
10mg/ml)10mlを滴下し、37度の恒温水槽中で2
4時間インキュベーションした。この溶液に2.5mMの
ニトリロ三酢酸と塩化第二鉄キレート溶液を1.0mlを
加えて鉄を飽和させ、限外濾過(アミコン社、YM3
0)により5mlに濃縮した。未結合のシスプラチンおよ
び鉄を、5%マニトール水溶液に対して透析(スペクト
ロポア社)して除去して最終製剤を得た。トランスフェ
リンに対するシスプラチンの結合量はモル比で9.8で
あった。
ランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ型、
10mg/ml)10mlを滴下し、37度の恒温水槽中で2
4時間インキュベーションした。この溶液に2.5mMの
ニトリロ三酢酸と塩化第二鉄キレート溶液を1.0mlを
加えて鉄を飽和させ、限外濾過(アミコン社、YM3
0)により5mlに濃縮した。未結合のシスプラチンおよ
び鉄を、5%マニトール水溶液に対して透析(スペクト
ロポア社)して除去して最終製剤を得た。トランスフェ
リンに対するシスプラチンの結合量はモル比で9.8で
あった。
【0014】実施例4 トランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ
型、10mg/ml)10mlに2.5mMのニトリロ三酢酸と
塩化第二鉄キレート溶液1.5mlを加えて鉄を飽和させ
た後、シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/ml)15
mlを添加し、37度の恒温水槽中で24時間インキュベ
ーションした。この溶液を限外濾過(アミコン社、YM
30)により5mlに濃縮した。未結合のシスプラチンお
よび鉄を、5%マニトール水溶液に対して透析(スペク
トロポア社)して除去して最終製剤を得た。トランスフ
ェリンに対するシスプラチンの結合量はモル比で5.9
であった。
型、10mg/ml)10mlに2.5mMのニトリロ三酢酸と
塩化第二鉄キレート溶液1.5mlを加えて鉄を飽和させ
た後、シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/ml)15
mlを添加し、37度の恒温水槽中で24時間インキュベ
ーションした。この溶液を限外濾過(アミコン社、YM
30)により5mlに濃縮した。未結合のシスプラチンお
よび鉄を、5%マニトール水溶液に対して透析(スペク
トロポア社)して除去して最終製剤を得た。トランスフ
ェリンに対するシスプラチンの結合量はモル比で5.9
であった。
【0015】実施例5 トランスフェリン(和光純薬、ヒト由来、アポ型)3.
0gを255mlの蒸留水で溶解し、2.5mMのニトリロ
三酢酸と塩化第二鉄キレート溶液45mlを加えて鉄を飽
和させた後、シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/m
l)450mlを添加し、37度の恒温水槽中で6時間イ
ンキュベーションした。この溶液を限外濾過(アミコン
社、UF30)により20mlに濃縮した。未結合のシス
プラチンおよび鉄を、5%マンニトール水溶液に対して
透析(スペクトロポア社)して除去して最終製剤を得
た。トランスフェリンに対するシスプラチンの結合量は
モル比で3.1であった。
0gを255mlの蒸留水で溶解し、2.5mMのニトリロ
三酢酸と塩化第二鉄キレート溶液45mlを加えて鉄を飽
和させた後、シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/m
l)450mlを添加し、37度の恒温水槽中で6時間イ
ンキュベーションした。この溶液を限外濾過(アミコン
社、UF30)により20mlに濃縮した。未結合のシス
プラチンおよび鉄を、5%マンニトール水溶液に対して
透析(スペクトロポア社)して除去して最終製剤を得
た。トランスフェリンに対するシスプラチンの結合量は
モル比で3.1であった。
【0016】実施例6 トランスフェリン(和光純薬、ヒト由来、アポ型)4.
0gを340mlの蒸留水で溶解し、2.5mMのニトリ
ロ三酢酸と塩化第二鉄キレート溶液60mlを加えて鉄を
飽和させた後、シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/
ml)600mlを添加し、37度の恒温水槽中で6時間イ
ンキュベーションした。この溶液を限外濾過(アミコン
社、UF30)により20mlに濃縮した。未結合のシス
プラチンおよび鉄を、5%マンニトール水溶液に対して
透析(スペクトロポア社)して除去して最終製剤を得
た。トランスフェリンに対するシスプラチンの結合量は
モル比で3.5であった。
0gを340mlの蒸留水で溶解し、2.5mMのニトリ
ロ三酢酸と塩化第二鉄キレート溶液60mlを加えて鉄を
飽和させた後、シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/
ml)600mlを添加し、37度の恒温水槽中で6時間イ
ンキュベーションした。この溶液を限外濾過(アミコン
社、UF30)により20mlに濃縮した。未結合のシス
プラチンおよび鉄を、5%マンニトール水溶液に対して
透析(スペクトロポア社)して除去して最終製剤を得
た。トランスフェリンに対するシスプラチンの結合量は
モル比で3.5であった。
【0017】試験例1 細胞傷害性試験 細胞傷害性試験に用いたマウスの細胞は次の継代細胞二
種である。すなわち、マウスメラノーマ細胞株B16、
およびマウス直腸癌細胞株 Colon26をRPMI 16
40(10%ウシ胎児血清含有)で継代培養して試験に
用いた。継代細胞を計数したのち細胞を5×103個/
穴となるように96穴マイクロプレートに50μlずつ
接種した。これに種々の濃度のトランスフェリン−シス
プラチン複合体50μlずつを添加し37度の温度で5
%炭酸ガス恒温槽中3日間インキュベーションした。3
日後に臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イ
ル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム溶液(5mg/m
l燐酸緩衝液)25μlを加えて5%炭酸ガス恒温槽中3
7度で4時間インキュベーションした。その後、10%
ラウリル硫酸ナトリウム水溶液100μlを加えて一昼
夜インキュベーション した。マイクロプレートリーダ
ーで595nmの吸光度を測定し薬物未処理群の吸光度を
100%、細胞を入れてない対照群を0%として薬物処
理群の相対値を求め増殖率(%)とした。図2に示すよう
にマウスメラノーマ細胞株B16、およびマウス直腸癌
細胞株Colon26に対してトランスフェリン−シスプラ
チン複合体は細胞傷害作用を示した。
種である。すなわち、マウスメラノーマ細胞株B16、
およびマウス直腸癌細胞株 Colon26をRPMI 16
40(10%ウシ胎児血清含有)で継代培養して試験に
用いた。継代細胞を計数したのち細胞を5×103個/
穴となるように96穴マイクロプレートに50μlずつ
接種した。これに種々の濃度のトランスフェリン−シス
プラチン複合体50μlずつを添加し37度の温度で5
%炭酸ガス恒温槽中3日間インキュベーションした。3
日後に臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イ
ル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム溶液(5mg/m
l燐酸緩衝液)25μlを加えて5%炭酸ガス恒温槽中3
7度で4時間インキュベーションした。その後、10%
ラウリル硫酸ナトリウム水溶液100μlを加えて一昼
夜インキュベーション した。マイクロプレートリーダ
ーで595nmの吸光度を測定し薬物未処理群の吸光度を
100%、細胞を入れてない対照群を0%として薬物処
理群の相対値を求め増殖率(%)とした。図2に示すよう
にマウスメラノーマ細胞株B16、およびマウス直腸癌
細胞株Colon26に対してトランスフェリン−シスプラ
チン複合体は細胞傷害作用を示した。
【0018】試験例2 トランスフェリン−シスプラチ
ン複合体の血中および腫瘍組織中濃度の測定 担癌マウスモデルはマウスメラノーマ細胞株B16をブ
ラックマウス(日本チャールズリバー社、Crj:C57
BL/6、雌性、8週令)肩甲骨下方皮下に接種して作
成した。細胞移植後12日後に被験薬物(実施例5で得
られたトランスフェリン−シスプラチン複合体)をシス
プラチンとして5mg/kgとなるように静脈内投与した。
投与後、一定時間ごとにマウスを屠殺し、血液および腫
瘍組織を摘出した。血液および腫瘍組織中濃度は原子吸
光度により測定した。〔図3〕に示すようにシスプラチ
ンが速やかに血中から消失し、腫瘍組織にほとんど分布
しないのに対してトランスフェリン−シスプラチン複合
体は48時間にわたり高い血中濃度を維持し、腫瘍組織
への分布が増大した。
ン複合体の血中および腫瘍組織中濃度の測定 担癌マウスモデルはマウスメラノーマ細胞株B16をブ
ラックマウス(日本チャールズリバー社、Crj:C57
BL/6、雌性、8週令)肩甲骨下方皮下に接種して作
成した。細胞移植後12日後に被験薬物(実施例5で得
られたトランスフェリン−シスプラチン複合体)をシス
プラチンとして5mg/kgとなるように静脈内投与した。
投与後、一定時間ごとにマウスを屠殺し、血液および腫
瘍組織を摘出した。血液および腫瘍組織中濃度は原子吸
光度により測定した。〔図3〕に示すようにシスプラチ
ンが速やかに血中から消失し、腫瘍組織にほとんど分布
しないのに対してトランスフェリン−シスプラチン複合
体は48時間にわたり高い血中濃度を維持し、腫瘍組織
への分布が増大した。
【0019】試験例3 トランスフェリン−シスプラチ
ン複合体の抗腫瘍効果 担癌マウスモデルはヒト類上皮癌細胞A431をハイブ
リッドヌードマウス(日本クレア社、Jcl:AF(nu
/nu)、雌性、7週令)肩胛骨下方皮下に接種して作
成した。A431細胞は10%牛胎児血清含有RPMI
1640培地で培養し confluent になった段階で0.
02%エチレンジアミン四酢酸および0.25%トリプ
シン含有燐酸緩衝液でフラスコからはがし、牛胎児血清
無添加のRPMI 1640培地で二回洗浄後、同じ培
地で107個/mlの懸濁液としてマウス0.1mlを接種し
た。細胞移植後2、5および7日後に三回連続して被験
薬物(実施例4で得られたトランスフェリン−シスプラ
チン複合体)をシスプラチンとして1mg/kgとなるよう
に静脈内投与した。腫瘍サイズはノギスで腫瘍塊の2方
向(長径および短径)を測定し、次式により腫瘍体積を
算定した。 腫瘍体積(mm3)=長径×(短径)2×0.5 図4に示すように腫瘍は未処置群、およびシスプラチン
生理食塩溶液で成長したが、トランスフェリン−シスプ
ラチン複合体では腫瘍増殖が有意に抑制された。
ン複合体の抗腫瘍効果 担癌マウスモデルはヒト類上皮癌細胞A431をハイブ
リッドヌードマウス(日本クレア社、Jcl:AF(nu
/nu)、雌性、7週令)肩胛骨下方皮下に接種して作
成した。A431細胞は10%牛胎児血清含有RPMI
1640培地で培養し confluent になった段階で0.
02%エチレンジアミン四酢酸および0.25%トリプ
シン含有燐酸緩衝液でフラスコからはがし、牛胎児血清
無添加のRPMI 1640培地で二回洗浄後、同じ培
地で107個/mlの懸濁液としてマウス0.1mlを接種し
た。細胞移植後2、5および7日後に三回連続して被験
薬物(実施例4で得られたトランスフェリン−シスプラ
チン複合体)をシスプラチンとして1mg/kgとなるよう
に静脈内投与した。腫瘍サイズはノギスで腫瘍塊の2方
向(長径および短径)を測定し、次式により腫瘍体積を
算定した。 腫瘍体積(mm3)=長径×(短径)2×0.5 図4に示すように腫瘍は未処置群、およびシスプラチン
生理食塩溶液で成長したが、トランスフェリン−シスプ
ラチン複合体では腫瘍増殖が有意に抑制された。
【0020】試験例4 トランスフェリン−シスプラチ
ン複合体の急性毒性急性毒性試験はICR系雄性マウス
(5週令、日本チャールズリバー)を用いて被験薬物
(実施例6で得られたトランスフェリン−シスプラチン
複合体)を静脈内注射してもとめた。対照としてシスプ
ラチン溶液を投与した。薬物投与後、15日間観察し、
死亡数をもとめ、LD50値を算出した。 ────────────────────────────── 薬 物 投与量1) 15日間 死亡率 (mg/kg) n の死亡数 (%) ────────────────────────────── トランスフェリン− 50.00 10 0 0 シスプラチン複合体 35.71 10 0 0 25.51 10 0 0 18.22 8 0 0 13.02 5 0 0 ────────────────────────────── シスプラチン溶液 20.00 10 10 100 17.39 10 5 50 15.12 10 3 30 13.15 10 2 20 11.44 6 10 0 ──────────────────────────────1) シスプラチンに換算 シスプラチン溶液のLD50は16.2mg/kgで、トラン
スフェリン−シスプラチン複合体は50mg/kgでも全数
生存し、複合体化することによりシスプラチンの毒性も
大幅に軽減した。
ン複合体の急性毒性急性毒性試験はICR系雄性マウス
(5週令、日本チャールズリバー)を用いて被験薬物
(実施例6で得られたトランスフェリン−シスプラチン
複合体)を静脈内注射してもとめた。対照としてシスプ
ラチン溶液を投与した。薬物投与後、15日間観察し、
死亡数をもとめ、LD50値を算出した。 ────────────────────────────── 薬 物 投与量1) 15日間 死亡率 (mg/kg) n の死亡数 (%) ────────────────────────────── トランスフェリン− 50.00 10 0 0 シスプラチン複合体 35.71 10 0 0 25.51 10 0 0 18.22 8 0 0 13.02 5 0 0 ────────────────────────────── シスプラチン溶液 20.00 10 10 100 17.39 10 5 50 15.12 10 3 30 13.15 10 2 20 11.44 6 10 0 ──────────────────────────────1) シスプラチンに換算 シスプラチン溶液のLD50は16.2mg/kgで、トラン
スフェリン−シスプラチン複合体は50mg/kgでも全数
生存し、複合体化することによりシスプラチンの毒性も
大幅に軽減した。
【図1】はトランスフェリン−シスプラチン複合体生成
の経時変化を示す。
の経時変化を示す。
【図2】はマウス直腸癌細胞株 Colon26およびマウス
メラノーマ細胞株B16に対するトランスフェリン−シ
スプラチン複合体の癌細胞増殖率を示す。
メラノーマ細胞株B16に対するトランスフェリン−シ
スプラチン複合体の癌細胞増殖率を示す。
【図3】はトランスフェリン−シスプラチン複合体およ
びシスプラチンのマウス静注後の血中および腫瘍中プラ
チナ濃度推移を示す。
びシスプラチンのマウス静注後の血中および腫瘍中プラ
チナ濃度推移を示す。
【図4】はトランスフェリン−シスプラチン複合体およ
びシスプラチン投与による担癌ヌードマウスの腫瘍体積
の変化を示す。
びシスプラチン投与による担癌ヌードマウスの腫瘍体積
の変化を示す。
〔図1〕における○は37度における生成曲線を、●は
56度における生成曲線を示す。〔図2〕における○は
Colon26細胞株を、●はB16細胞株を示す。〔図
3〕における○はシスプラチン投与群を、●はトランス
フェリン−シスプラチン複合体投与群を示す。
56度における生成曲線を示す。〔図2〕における○は
Colon26細胞株を、●はB16細胞株を示す。〔図
3〕における○はシスプラチン投与群を、●はトランス
フェリン−シスプラチン複合体投与群を示す。
【化7】
Claims (5)
- 【請求項1】鉄結合型トランスフェリン−プラチナ化合
物複合体。 - 【請求項2】鉄結合型トランスフェリンとプラチナ化合
物を反応させることを特徴とする請求項1記載の複合体
の製造法。 - 【請求項3】鉄未結合型トランスフェリンとプラチナ化
合物を反応させ、ついで鉄錯体を加えることを特徴とす
る請求項1記載の複合体の製造法。 - 【請求項4】プラチナ化合物が一般式 【化1】 〔式中、R1およびR2は同一または異なって担持配位子
を、R3およびR4は同一または異なって脱離基を、R5
およびR6は同一または異なってハロゲン、水酸基また
はアシルオキシ基を、 nは0または1を示す〕で表され
る化合物である請求項2または3記載の製造法。 - 【請求項5】請求項1記載の複合体を含有することを特
徴とする非経口用医薬製剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5062278A JPH069672A (ja) | 1992-03-24 | 1993-03-23 | トランスフェリン−プラチナ化合物複合体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6638792 | 1992-03-24 | ||
JP4-66387 | 1992-03-24 | ||
JP5062278A JPH069672A (ja) | 1992-03-24 | 1993-03-23 | トランスフェリン−プラチナ化合物複合体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH069672A true JPH069672A (ja) | 1994-01-18 |
Family
ID=26403344
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5062278A Withdrawn JPH069672A (ja) | 1992-03-24 | 1993-03-23 | トランスフェリン−プラチナ化合物複合体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH069672A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007308437A (ja) * | 2006-05-19 | 2007-11-29 | Nippon Chem Ind Co Ltd | フェロセン骨格を有するホスフィン遷移金属錯体、その製造方法及び抗癌剤 |
-
1993
- 1993-03-23 JP JP5062278A patent/JPH069672A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007308437A (ja) * | 2006-05-19 | 2007-11-29 | Nippon Chem Ind Co Ltd | フェロセン骨格を有するホスフィン遷移金属錯体、その製造方法及び抗癌剤 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000530 |