JPH069672A - トランスフェリン−プラチナ化合物複合体 - Google Patents

トランスフェリン−プラチナ化合物複合体

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JPH069672A
JPH069672A JP5062278A JP6227893A JPH069672A JP H069672 A JPH069672 A JP H069672A JP 5062278 A JP5062278 A JP 5062278A JP 6227893 A JP6227893 A JP 6227893A JP H069672 A JPH069672 A JP H069672A
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JP
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transferrin
iron
cisplatin
complex
platinum compound
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JP5062278A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Hoshino
哲夫 星野
Masafumi Omae
雅文 御前
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 癌の治療や癌転移の予防に有用な鉄結合型トランスフェ
リン−プラチナ化合物複合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、癌の治療や癌転移の予
防に有用な鉄結合型トランスフェリン−プラチナ化合物
複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】シスプラチン(シスジクロロアンミン白
金(II))
【化2】 は現在広範に用いられている制癌剤であるが、その強い
毒性と著しく短い半減期のために、投与量および投与方
法が限定されている。一方、トランスフェリンは生体内
で鉄の輸送をつかさどる蛋白質であり、鉄を細胞内へ輸
送する際に、鉄と結合した状態で細胞表面上のトランス
フェリン受容体と結合し、細胞はその飲作用によって、
鉄−トランスフェリン−トランスフェリン受容体の形で
鉄を取り込む。その受容体が、正常細胞に比較して癌細
胞表面上に有意に多く発現されており、トランスフェリ
ンは腫瘍マーカーとしての応用が検討されている(癌と
化学療法、第15巻、第4号、PART-II、 第1072−
1076頁、1988年)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】シスプラチンの強い毒
性と短い半減期のために限定されている投与量および投
与方法を改善し制癌効果を高めるためには、血中滞留時
間を持続化し、癌への指向性を高めればよい。この目的
のため、下式で示されるようなシスプラチン誘導体が近
年多数合成され、制癌作用が検討されている(化学、第
46巻、第10号、第685〜687頁、1991
年)。
【化3】 このようなプラチナ化合物の癌への指向性をさらに高め
るために、トランスフェリンを上記の理由から担体とし
て結合させることが考えられる。トランスフェリンをシ
スプラチンの担体として利用した例として、トランスフ
ェリンの鉄の代わりにプラチナを結合させたプラチナ−
トランスフェリン(米国特許第4,590,001号)およびト
ランスフェリンとシスプラチンを生分解性ポリマーを介
して結合させた組成物(特表昭64-500435号)が知られ
ているが、いずれも抗腫瘍作用および副作用の点で充分
満足できるものではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記のような事情に鑑
み、本発明者らは種々検討した結果、鉄結合型トランス
フェリンとプラチナ化合物の複合体を得、この複合体が
癌細胞の増殖を抑制する作用を有するとともにプラチナ
の毒性を低減することを見いだした。すなわち、本発明
は、(1)鉄結合型トランスフェリン−プラチナ化合物
複合体、(2)鉄結合型トランスフェリンとプラチナ化
合物を反応させることを特徴とする上記(1)記載の複
合体の製造法、(3)鉄未結合型トランスフェリンとプ
ラチナ化合物を反応させ、ついで鉄錯体を加えることを
特徴とする上記(1)記載の複合体の製造法、(4)プ
ラチナ化合物が一般式(I)
【化4】 〔式中、R1およびR2は同一または異なって担持配位子
を、R3およびR4は同一または異なって脱離基を、R5
およびR6は同一または異なってハロゲン、水酸基また
はアシルオキシ基を、 nは0または1を示す〕で表され
る化合物である上記(2)または(3)記載の製造法お
よび(5)上記(1)記載の複合体を含有することを特
徴とする非経口用医薬製剤に関する。
【0005】本発明の鉄結合型トランスフェリン−プラ
チナ化合物複合体の原料として用いられるプラチナ化合
物は、制癌作用を有するプラチナ化合物であればどのよ
うなものでもよい。例えば、一般式(I)
【化5】 〔式中、R1およびR2は同一または異なって担持配位子
を、R3およびR4は同一または異なって脱離基を、R5
およびR6は同一または異なってハロゲン、水酸基また
はアシルオキシ基を、 nは0または1を示す〕で表され
る化合物が好ましい。
【0006】上記一般式(I)中、R1およびR2で表さ
れる担持配位子としては、アミン類が挙げられる。特
に、R1はNH21'、R2はNH22'〔式中、R1'およ
びR2'は同一または異なって水素原子または置換されて
いてもよい炭化水素残基を示すか、または、R1'および
2'がそれらの結合する炭素原子と一緒になって、
【化6】 (式中、mは2〜6の整数、m’は1〜5の整数、kお
よびk’は0または1を示す)を示す〕で表される基が
好ましい。R1'およびR2'で表される置換されていても
よい炭化水素残基における炭化水素残基としては、直鎖
状または分枝状のC1-6アルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、se
c-ブチル、ペンチル、 イソペンチル、 ヘキシルなど)、
3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シクロ
ブチル、シクロペンチル、 シクロヘキシルなど)、C
7-13アラルキル基(例、ベンジル、1−フェネチル、2
−フェネチルなど)、C6-10アリール基(例、フェニ
ル、ナフチルなど)が挙げられる。 R1'およびR2'で
表される置換されていてもよい炭化水素残基における置
換基としては、ハロゲンが挙げられる。
【0007】R3およびR4で表される脱離基は、トラン
スフェリンに吸着または結合する官能基であれば特に限
定はされないが、好ましくは、ハロゲン、水酸基または
アシルオキシ基が挙げられる。上記したハロゲンとして
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。上記し
たアシルオキシ基およびR5およびR6で表されるアシル
オキシ基におけるアシル基としては、炭化水素カルボニ
ル基が挙げられる。該炭化水素カルボニル基における炭
化水素残基としては、上記したR1'およびR2'で表され
る置換されていてもよい炭化水素残基における炭化水素
残基と同様のものが挙げられる。本発明で用いられるト
ランスフェリンは、ヒト、ウシ、マウス、ラット、ウサ
ギ、ウマ、モルモット、イヌなど温血動物由来のトラン
スフェリンであればどのようなものでもよいが、免疫反
応を防ぐためにヒト由来のトランスフェリンが好まし
い。
【0008】本発明の鉄結合型トランスフェリン−プラ
チナ化合物複合体は、トランスフェリン溶液、好ましく
は水溶液を、プラチナ化合物の溶液、好ましくは水溶液
と、モル比1:1〜1:10000、好ましくは1:1
〜1:1000の割合で混合した後、0℃〜96℃、好
ましくは4℃〜56℃で1分〜500時間、好ましくは
5分〜100時間インキュベーションすることによっ
て、容易に製造される。原料となるトランスフェリン
は、鉄結合型、鉄未結合型(アポ型)のいずれであって
もよいが、鉄未結合型を用いた場合、プラチナ化合物と
混合する前または混合した後に、例えばG. Batesらの方
法(J. Biol. Chem., 248, 3228-3232 (1973))にした
がって、 ニトリロ三酢酸−鉄錯体、エチレンジアミン四
酢酸−鉄錯体、クエン酸−鉄錯体、重炭酸−鉄錯体など
の鉄錯体を加えることによって、鉄未結合型を鉄結合型
に変換することができる。それらのうち、ニトリロ三酢
酸−鉄錯体が好ましい。本発明の複合体の製造に用いら
れる溶媒としては、水、ジメチルスルホキシドジメチル
ホルムアミドなどが挙げられるが、好ましくは水が適用
される。また、所望により、溶媒に薬理学的に許容され
る緩衝剤、添加物、安定化剤を加えてもよい。また、ト
ランスフェリンとプラチナ化合物のインキュベーション
後、未結合のプラチナ化合物を、透析、限外ろ過等の方
法により除去してもよい。このようにして得られた鉄結
合型トランスフェリン−プラチナ化合物複合体溶液は、
そのまま、または薬理学的に許容される賦型剤、安定化
剤等を添加し、凍結乾燥して粉末とすることもできる。
【0009】本発明の複合体は、トランスフェリン受容
体を有するタイプの細胞を特異的かつ選択的に殺す目的
で一般的に適用することができる。それゆえ、本発明の
複合体は、癌の治療や癌転移の予防に有用である。ま
た、本発明の複合体に抗癌剤を混合して投与してもよ
い。ここでいう抗癌剤とは、例えば塩酸ナイトロジェン
マスタード−N−オキシド,シクロホスファミド,チオ
テパ,カルボコン,クロラムブシル,塩酸ニムスチン,
イホスファミド,メルファラン,ダカルバジン,ウラシ
ルマスタード,マンノムスチン,ドーパン,BCNU,
トリエチレンメラミン,アザテパ,トレニモン,イソプ
ロキュオン,ブスルファン,ジメチルミレラン,ピポス
ルファン,エトグルシド,エポキシプロピジン,エポキ
シピペラジン,ヘキサメチルメラミン,ジブロモマンニ
トール,ピポブロマンなどのアルキル化剤、アミノプテ
リン,メトトレキサート,カルモフール,グアニン,8
−アザガニン,メルカプトプリン,チオイノシン,アザ
チオプリン,ウラシル,フルオロウラシル,テガフー
ル,シタラビン,塩酸アンシタビン,エノシタビン,ア
ゼセリン,ジアゾマイシンなどの代謝拮抗剤、アクチノ
マイシンD,サイクロマイシン,マイトマイシンC,ダ
ウノマイシン,塩酸ダウノルビシン,塩酸ドキソルビシ
ン,塩酸ブレオマイシン,硫酸ブレオマイシン,ネオカ
ルチノスタチン,硫酸ペプロマイシン,塩酸アクラルビ
シン,クロモマイシンA3,塩酸エピルビシン,アンサ
マイシン,カルジノフィリン,ピラルビシンなどの抗生
物質,硫酸ビンブラスチン,硫酸ビンクリスチン,硫酸
ビンデシン,エトポシドなどの植物アルカロイド,シス
プラチン,カルボプラチンなどの白金錯体、その他Hg
−ヘマトポルフィリン,Co−プロトポルフィリン,塩
酸プロカルバジン,リン酸エストラムスチンナトリウ
ム,ラニムスチン,ミキトサントロン,ドキシフルリジ
ン,L−アスパラギナーゼなどが挙げられる。抗癌剤を
用いる量はその薬理作用に依存し、有効量であればよ
く、1回の投与量として50μg〜2gの中から選ばれ
るが、特に限定されない。例えば、塩酸ドキソルビシ
ン,シスプラチン,マイトマイシンC,塩酸ブレオマイ
シンなどの一般によく使用される抗癌剤の場合、1回の
投与量は0.1〜500mgの中から選ばれる。また、
本発明の複合体に対する抗癌剤の配合量はその薬理効果
活性の強さ、水あるいは有機溶媒中での溶解度などに依
存するが、0.1〜500%(w/w)、好ましくは1
〜90%(w/w)である。
【0010】本発明の複合体は、薬理学的に許容される
担体、賦型剤と混合し、注射剤、点鼻液、座剤、軟膏
剤、ローション剤などの形態で、非経口的に投与するこ
とができる。すなわち、筋肉内、静脈内、皮下、腹腔
内、鼻腔、直腸、経皮等の経路から投与し得る。投与量
は、投与ルート、症状、患者の年齢あるいは体重などに
よっても異なるが、例えば成人に投与する場合、プラチ
ナ量として50μg〜2g/m2/日、好ましくは1mg〜500mg/m2/
日、さらに好ましくは2mg〜80mg/m2/日を1日1〜数回
に分けて投与するのが好ましい。また、公知の手段にし
たがって、本発明の複合体をポリマーマトリックス、リ
ポソームまたは小球体のごとき徐放性システムに適用す
ることもできる(特開昭63−255231、特開昭6
3−39810、特公平1−60007参照)。
【0011】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、これにより本発明の範囲が限定されるものでは
ない。 実施例1 トランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ
型、10mg/ml)1mlに、2.5mMのニトリロ三酢酸と
塩化第二鉄のキレート溶液120μlを加えて、トランス
フェリンを鉄結合型とした。この溶液にシスプラチン水
溶液(和光純薬、1mg/ml)1.5mlを添加し、37度
または56度の恒温水槽中でインキュベーションした。
一定時間後にこの溶液を Sephadex G−25カラム(フ
ァルマシア社)でゲル濾過を行ない、未反応のシスプラ
チンを除去して3.5mlの蛋白質画分を得た。この蛋白
質画分中のプラチナを原子吸光度で測定した。原子吸光
法の測定条件は以下の通りである。原子吸光法条件 ランプ電流:12.5mA 波長:265.9nm 温度プログラム: ステージ 開始温度 終了温度 時 間 ──────────────────────── 乾 燥 60 度 90 度 20 秒 乾 燥 90 度 100 度 40 秒 乾 燥 100 度 130 度 40 秒 灰 化 130 度 1400 度 20 秒 灰 化 1400 度 1400 度 20 秒 原子化 2800 度 2800 度 6 秒 洗 浄 2900 度 2900 度 5 秒 図1にトランスフェリン−シスプラチン複合体の生成曲
線を示す。
【0012】実施例2 シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/ml)1.5mlに
トランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ
型、10mg/ml)1mlを滴下し、37度の恒温水槽中で
24時間インキュベーションした。この溶液を Sephade
x G−25カラム(ファルマシア社)でゲル濾過を行な
い、未反応のシスプラチンを除去して3.5mlの蛋白質
画分を得た。ゲル濾過の溶離液には5%マニトール水溶
液を用いた。蛋白質の回収率はほぼ100%であった。
この得られた蛋白質画分に2.5mMのニトリロ三酢酸と
塩化第二鉄のキレート溶液を150μl加えて鉄を飽和
させ、0.2μm のフィルターで除菌濾過して最終製剤
を得た。トランスフェリンに対 するシスプラチンの結
合量はモル比で10.6であった。
【0013】実施例3 シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/ml)15mlにト
ランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ型、
10mg/ml)10mlを滴下し、37度の恒温水槽中で2
4時間インキュベーションした。この溶液に2.5mMの
ニトリロ三酢酸と塩化第二鉄キレート溶液を1.0mlを
加えて鉄を飽和させ、限外濾過(アミコン社、YM3
0)により5mlに濃縮した。未結合のシスプラチンおよ
び鉄を、5%マニトール水溶液に対して透析(スペクト
ロポア社)して除去して最終製剤を得た。トランスフェ
リンに対するシスプラチンの結合量はモル比で9.8で
あった。
【0014】実施例4 トランスフェリン水溶液(和光純薬、ヒト由来、アポ
型、10mg/ml)10mlに2.5mMのニトリロ三酢酸と
塩化第二鉄キレート溶液1.5mlを加えて鉄を飽和させ
た後、シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/ml)15
mlを添加し、37度の恒温水槽中で24時間インキュベ
ーションした。この溶液を限外濾過(アミコン社、YM
30)により5mlに濃縮した。未結合のシスプラチンお
よび鉄を、5%マニトール水溶液に対して透析(スペク
トロポア社)して除去して最終製剤を得た。トランスフ
ェリンに対するシスプラチンの結合量はモル比で5.9
であった。
【0015】実施例5 トランスフェリン(和光純薬、ヒト由来、アポ型)3.
0gを255mlの蒸留水で溶解し、2.5mMのニトリロ
三酢酸と塩化第二鉄キレート溶液45mlを加えて鉄を飽
和させた後、シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/m
l)450mlを添加し、37度の恒温水槽中で6時間イ
ンキュベーションした。この溶液を限外濾過(アミコン
社、UF30)により20mlに濃縮した。未結合のシス
プラチンおよび鉄を、5%マンニトール水溶液に対して
透析(スペクトロポア社)して除去して最終製剤を得
た。トランスフェリンに対するシスプラチンの結合量は
モル比で3.1であった。
【0016】実施例6 トランスフェリン(和光純薬、ヒト由来、アポ型)4.
0gを340mlの蒸留水で溶解し、2.5mMのニトリ
ロ三酢酸と塩化第二鉄キレート溶液60mlを加えて鉄を
飽和させた後、シスプラチン水溶液(和光純薬、1mg/
ml)600mlを添加し、37度の恒温水槽中で6時間イ
ンキュベーションした。この溶液を限外濾過(アミコン
社、UF30)により20mlに濃縮した。未結合のシス
プラチンおよび鉄を、5%マンニトール水溶液に対して
透析(スペクトロポア社)して除去して最終製剤を得
た。トランスフェリンに対するシスプラチンの結合量は
モル比で3.5であった。
【0017】試験例1 細胞傷害性試験 細胞傷害性試験に用いたマウスの細胞は次の継代細胞二
種である。すなわち、マウスメラノーマ細胞株B16、
およびマウス直腸癌細胞株 Colon26をRPMI 16
40(10%ウシ胎児血清含有)で継代培養して試験に
用いた。継代細胞を計数したのち細胞を5×103個/
穴となるように96穴マイクロプレートに50μlずつ
接種した。これに種々の濃度のトランスフェリン−シス
プラチン複合体50μlずつを添加し37度の温度で5
%炭酸ガス恒温槽中3日間インキュベーションした。3
日後に臭化3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イ
ル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム溶液(5mg/m
l燐酸緩衝液)25μlを加えて5%炭酸ガス恒温槽中3
7度で4時間インキュベーションした。その後、10%
ラウリル硫酸ナトリウム水溶液100μlを加えて一昼
夜インキュベーション した。マイクロプレートリーダ
ーで595nmの吸光度を測定し薬物未処理群の吸光度を
100%、細胞を入れてない対照群を0%として薬物処
理群の相対値を求め増殖率(%)とした。図2に示すよう
にマウスメラノーマ細胞株B16、およびマウス直腸癌
細胞株Colon26に対してトランスフェリン−シスプラ
チン複合体は細胞傷害作用を示した。
【0018】試験例2 トランスフェリン−シスプラチ
ン複合体の血中および腫瘍組織中濃度の測定 担癌マウスモデルはマウスメラノーマ細胞株B16をブ
ラックマウス(日本チャールズリバー社、Crj:C57
BL/6、雌性、8週令)肩甲骨下方皮下に接種して作
成した。細胞移植後12日後に被験薬物(実施例5で得
られたトランスフェリン−シスプラチン複合体)をシス
プラチンとして5mg/kgとなるように静脈内投与した。
投与後、一定時間ごとにマウスを屠殺し、血液および腫
瘍組織を摘出した。血液および腫瘍組織中濃度は原子吸
光度により測定した。〔図3〕に示すようにシスプラチ
ンが速やかに血中から消失し、腫瘍組織にほとんど分布
しないのに対してトランスフェリン−シスプラチン複合
体は48時間にわたり高い血中濃度を維持し、腫瘍組織
への分布が増大した。
【0019】試験例3 トランスフェリン−シスプラチ
ン複合体の抗腫瘍効果 担癌マウスモデルはヒト類上皮癌細胞A431をハイブ
リッドヌードマウス(日本クレア社、Jcl:AF(nu
/nu)、雌性、7週令)肩胛骨下方皮下に接種して作
成した。A431細胞は10%牛胎児血清含有RPMI
1640培地で培養し confluent になった段階で0.
02%エチレンジアミン四酢酸および0.25%トリプ
シン含有燐酸緩衝液でフラスコからはがし、牛胎児血清
無添加のRPMI 1640培地で二回洗浄後、同じ培
地で107個/mlの懸濁液としてマウス0.1mlを接種し
た。細胞移植後2、5および7日後に三回連続して被験
薬物(実施例4で得られたトランスフェリン−シスプラ
チン複合体)をシスプラチンとして1mg/kgとなるよう
に静脈内投与した。腫瘍サイズはノギスで腫瘍塊の2方
向(長径および短径)を測定し、次式により腫瘍体積を
算定した。 腫瘍体積(mm3)=長径×(短径)2×0.5 図4に示すように腫瘍は未処置群、およびシスプラチン
生理食塩溶液で成長したが、トランスフェリン−シスプ
ラチン複合体では腫瘍増殖が有意に抑制された。
【0020】試験例4 トランスフェリン−シスプラチ
ン複合体の急性毒性急性毒性試験はICR系雄性マウス
(5週令、日本チャールズリバー)を用いて被験薬物
(実施例6で得られたトランスフェリン−シスプラチン
複合体)を静脈内注射してもとめた。対照としてシスプ
ラチン溶液を投与した。薬物投与後、15日間観察し、
死亡数をもとめ、LD50値を算出した。 ────────────────────────────── 薬 物 投与量1) 15日間 死亡率 (mg/kg) n の死亡数 (%) ────────────────────────────── トランスフェリン− 50.00 10 0 0 シスプラチン複合体 35.71 10 0 0 25.51 10 0 0 18.22 8 0 0 13.02 5 0 0 ────────────────────────────── シスプラチン溶液 20.00 10 10 100 17.39 10 5 50 15.12 10 3 30 13.15 10 2 20 11.44 6 10 0 ──────────────────────────────1) シスプラチンに換算 シスプラチン溶液のLD50は16.2mg/kgで、トラン
スフェリン−シスプラチン複合体は50mg/kgでも全数
生存し、複合体化することによりシスプラチンの毒性も
大幅に軽減した。
【図面の簡単な説明】
【図1】はトランスフェリン−シスプラチン複合体生成
の経時変化を示す。
【図2】はマウス直腸癌細胞株 Colon26およびマウス
メラノーマ細胞株B16に対するトランスフェリン−シ
スプラチン複合体の癌細胞増殖率を示す。
【図3】はトランスフェリン−シスプラチン複合体およ
びシスプラチンのマウス静注後の血中および腫瘍中プラ
チナ濃度推移を示す。
【図4】はトランスフェリン−シスプラチン複合体およ
びシスプラチン投与による担癌ヌードマウスの腫瘍体積
の変化を示す。
【符号の説明】
〔図1〕における○は37度における生成曲線を、●は
56度における生成曲線を示す。〔図2〕における○は
Colon26細胞株を、●はB16細胞株を示す。〔図
3〕における○はシスプラチン投与群を、●はトランス
フェリン−シスプラチン複合体投与群を示す。
【化7】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄結合型トランスフェリン−プラチナ化合
    物複合体。
  2. 【請求項2】鉄結合型トランスフェリンとプラチナ化合
    物を反応させることを特徴とする請求項1記載の複合体
    の製造法。
  3. 【請求項3】鉄未結合型トランスフェリンとプラチナ化
    合物を反応させ、ついで鉄錯体を加えることを特徴とす
    る請求項1記載の複合体の製造法。
  4. 【請求項4】プラチナ化合物が一般式 【化1】 〔式中、R1およびR2は同一または異なって担持配位子
    を、R3およびR4は同一または異なって脱離基を、R5
    およびR6は同一または異なってハロゲン、水酸基また
    はアシルオキシ基を、 nは0または1を示す〕で表され
    る化合物である請求項2または3記載の製造法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の複合体を含有することを特
    徴とする非経口用医薬製剤。
JP5062278A 1992-03-24 1993-03-23 トランスフェリン−プラチナ化合物複合体 Withdrawn JPH069672A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007308437A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Nippon Chem Ind Co Ltd フェロセン骨格を有するホスフィン遷移金属錯体、その製造方法及び抗癌剤

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JP2007308437A (ja) * 2006-05-19 2007-11-29 Nippon Chem Ind Co Ltd フェロセン骨格を有するホスフィン遷移金属錯体、その製造方法及び抗癌剤

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