JPH0696410A - 磁気ヘッド用シールド板スペーサ - Google Patents

磁気ヘッド用シールド板スペーサ

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JPH0696410A
JPH0696410A JP24518192A JP24518192A JPH0696410A JP H0696410 A JPH0696410 A JP H0696410A JP 24518192 A JP24518192 A JP 24518192A JP 24518192 A JP24518192 A JP 24518192A JP H0696410 A JPH0696410 A JP H0696410A
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JP
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shield plate
spacer
alloy
wear
shield
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Application number
JP24518192A
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English (en)
Inventor
Toshio Uehara
敏夫 上原
Yoshimi Kaneko
美実 金子
Yoshiaki Kikuchi
美明 菊地
Takashi Haijima
高史 配島
Takashi Sato
隆 佐藤
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、従来のCu系合金に比べてテープ
摺動時の摩耗が少なくスぺーシングロスを生じにくいス
ペーサの提供を目的とする。 【構成】 本発明は、シールドケースの内部に樹脂によ
り固定されて磁気コアとシールド板とシ−ルド板スペー
サとが設けられ、磁気コアの一部とシールド板の一部と
シールド板スペーサの一部とがシールドケースの媒体対
向面に形成された挿通孔を介し露出されてなる磁気ヘッ
ド装置に設けられるシールド板スペーサであって、前記
シールド板スペーサが、Niを50〜80重量%含有す
るCu系合金から形成されてなるものである。 【効果】 本発明によれば、シールド板スペーサの摩耗
量をシールド板の摩耗量とシールドケースの摩耗量と磁
気コアの摩耗量に近い量にすることができ、これにより
磁気ヘッドの磁気テープ摺動面の偏摩耗の問題を解消す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録装置に使用され
る磁気ヘッドに組み込まれるシールド板スペーサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、カセットテープレコーダ等に組み
込まれている磁気ヘッド装置の一例として、図19に示
すものが知られている。図19に示す磁気ヘッド装置A
において、1はパーマロイなどの磁性体からなる箱状の
シールドケースを示し、このシールドケース1の内部に
右チャンネル用のコア2と左チャンネル用のコア3と、
両コア2、3を区分するシールド板5とからなる磁気コ
ア部6が装填されるとともに、シールドケース1の内部
で磁気コア部6の周囲に樹脂7が充填されて磁気コア部
6が固定されている。また、シールドケース1の前面側
は、磁気テープ9と当接する際の摺動抵抗などを考慮し
て前方側に膨出した形状になっていて、その一部がテ−
プ摺動面8となっている。この種の磁気ヘッドの中でシ
ールドケース1は、Fe-Ni系合金のパーマロイから
構成されることが一般的であるが、コア2、3はそれよ
りも耐摩耗性の良好なフェライトやセンダストなど、あ
るいは、耐摩耗性を向上させたパーマロイなどから構成
されることが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで従来、このよ
うな磁気ヘッド装置Aに対して図19に示すように磁気
テープ9を押し付けながら長時間テープ走行を行なう
と、シールドケース1のテープ摺動面8において機械的
な偏摩耗を生じる問題がある。また、磁気テープ9に含
まれる化学成分によってテープ摺動面8に化学的な腐蝕
が起こり、これにより前記偏摩耗が加速される問題があ
る。
【0004】ここで、図20に、この種の磁気ヘッド装
置Aにおいて磁気テープ9を走行させて行なった摩耗試
験後の断面形状を拡大して示す。図20において(イ)
は磁気テープ9の幅を示し、(ロ)は右チャンネル用の
コア2の幅を示し、(ハ)は左チャンネル用のコア3の
幅を示している。図20から明らかなように、テープ摺
動面8において、コア2、3部分の摩耗量よりも、シー
ルドケース1の前面部分の摩耗量の方が多いことが分か
る。これは、コア2、3自体は耐摩耗性の良好な材料か
ら構成するが、シールドケース1自体は前記の如く普通
のパーマロイから構成しているので、シールドケース1
の表面部分とコア2、3の部分とで硬度の差異が生じ、
これが要因となって偏摩耗を生じるものと思われる。こ
のような偏摩耗が生じると、その表面の凹凸状態によっ
て磁気テープ9とテープ摺動面8との間に不規則な隙間
が生じ、これによりスペーシングロスが生じて出力の低
下を来し、磁気ヘッド装置Aの磁気特性の劣化につなが
る問題があり、スペーシングロスの影響は高い周波数域
では特に大きい傾向がある。
【0005】そこでシールドケース前面側の耐摩耗性を
向上させるために、シールドケース1自体の耐摩耗性を
向上させたり、その前面に硬質皮膜を施すなどの種々の
手段が提案され、シールドケース1自体の耐摩耗性の問
題の解消が図られている。ところがここで、図20に示
す摩耗試験後の磁気ヘッド装置の断面形状を見ると、コ
ア2、3の境界部分での摩耗も無視できないほど大きい
ことがわかる。これは、シールド板5の部分の摩耗であ
り、このシールド板5の耐摩耗性も問題が多いことが明
らかである。また、前記摩耗試験を行なった結果、磁気
テープ9から剥離した磁粉がテープ摺動面8に付着し、
その結果、音質劣化を引き起こす問題も生じた。そし
て、特にこの現象は、高温、高湿の環境条件下で顕著で
あり、磁気テープ9の種類によっても大きく影響するこ
とがわかった。
【0006】なお、この磁粉付着現象について、磁気ヘ
ッドの構造および材料面で見ると、テープ摺動面8にお
いて、硬度が低く、摩擦係数の高い材料、即ち、樹脂の
部分とシールド板5の部分が非常に磁粉が付着し易いこ
とが判明した。従来、このシールド板5は一般に、パー
マロイからなる基板に、キュプロニッケル(Ni 5〜
30重量%、残部Cuの合金、硬度Hv:60〜10
0)、洋白(Ni 5〜25重量%、Zn 15〜25重
量%、残部Cuの合金、硬度Hv:180〜230程
度)、リン青銅(Sn 3.8〜11.0重量%、P 0.
03〜0.35重量%、残部Cuの合金、硬度Hv:1
50〜180程度)などからなるシ−ルド板スペ−サを
張り合わせて形成されている。これらの合金は、シール
ド板スペーサの機能として必要な非磁性を有するもので
あるために、磁気ヘッド装置Aのコア2、3間に設ける
ことでこれらの間を磁気的に遮断することができる。ま
た、これらの合金は、加工性も良好で、表面に光沢があ
り、安価であるために、広く一般に使用されている。
【0007】ところが、前記の合金はいずれもCu系の
合金であるので、常温常圧においてはある程度の耐食性
を有するが、高温、多湿の環境条件下では、耐食性が著
しく悪い欠点があり、更に摩擦係数も大きく、磁気テー
プ9を摺動させると、前述のような偏摩耗と磁粉の付着
が起こり易い傾向がある。この結果として前述した如く
スペーシングロスが発生し、音質劣化を引き起こすもの
と思われる。
【0008】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、従来知られているCu系合金に比べてテープ摺動時
の摩耗が少なくスぺーシングロスを生じにくいシールド
板スペーサの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、シールドケースの内部に樹脂
により固定されて磁気コアとシールド板とシ−ルド板ス
ペーサとが設けられ、磁気コアの一部とシールド板の一
部とシールド板スペーサの一部とがシールドケースの媒
体対向面に形成された挿通孔を介し露出されてなる磁気
ヘッド装置に設けられるシールド板スペーサであって、
前記シールド板スペーサが、Niを50〜80重量%含
有するCu系合金から形成されてなるものである。
【0010】請求項2記載の発明は前記課題を解決する
ために、シールドケースの内部に樹脂により固定されて
磁気コアとシールド板とシ−ルド板スペーサとが設けら
れ、磁気コアの一部とシールド板の一部とシールド板ス
ペーサの一部とがシールドケースの媒体対向面に形成さ
れた挿通孔を介し露出されてなる磁気ヘッド装置に設け
られるシールド板スペーサであって、前記シールド板ス
ペーサが、Crを8〜25重量%含有するNi系合金か
ら形成されてなるものである。
【0011】請求項3記載の発明は前記課題を解決する
ために、シールドケースの内部に樹脂により固定されて
磁気コアとシールド板とシ−ルド板スペーサとが設けら
れ、磁気コアの一部とシールド板の一部とシールド板ス
ペーサの一部とがシールドケースの媒体対向面に形成さ
れた挿通孔を介し露出されてなる磁気ヘッド装置に設け
られるシールド板スペーサであって、前記シールド板ス
ペーサが、Niを8〜15重量%、Crを8〜22重量
%含有するFe系合金から形成されてなるものである。
【0012】
【作用】シールド板スペーサの構成材料としてNiを5
0〜80重量%含有するCu系合金、Crを8〜25重
量%含有するNi系合金、または、Niを8〜15重量
%、Crを8〜22重量%含有するFe系合金のいずれ
かを用いることで、シールド板スペーサの摩耗量をシー
ルド板の摩耗量とシールドケースの摩耗量と磁気コアの
摩耗量に近い量にすることができ、これにより偏摩耗の
問題を解消する。また、前記各合金の組成を前記の範囲
とすることで、摩耗量を適切な範囲とすることができ
る。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1は本発明に係るシ−ルド板スペ−サを
備えたオーディオ用磁気ヘッドの一実施例を示すもの
で、図2はシ−ルド板スペーサを備えたシールド板の断
面構造を示す。図1に示す磁気ヘッドAにおいて、10
は箱状のシ−ルドケースを示し、このシ−ルドケース1
0の内部には、磁気コア11が上下に一対ずつ設けら
れ、上下に隣接する磁気コア11…の間に、上から順に
シ−ルド板12、13、12が設けられ、シールド板1
2、13、12の長さ方向両側部分には、シールドケー
ス10の前面部縦方向に沿う溝部14が形成されてい
る。なお、この実施例の磁気ヘッド10は、ステレオ録
音再生用のオートリバースタイプであるので、上下4つ
の磁気コア11とそれらの間のシ−ルド板12、13、
12が設けられているが、その他の形式、例えば、モノ
ラル録音タイプ、消去用の磁気ヘッド、その他の形式の
磁気ヘッドの場合は、磁気コアの数とシ−ルド板の数が
異なるが、いずれの形式の磁気ヘッドでも磁気コアとシ
−ルド板を有するものには本発明の構造を適用できるの
は勿論である。
【0014】前記シ−ルド板12、13はいずれも図2
に拡大して示すように、シ−ルド板本体15とこのシ−
ルド板本体15の両面に張り合わされたシ−ルド板スペ
−サ16とを具備して構成されている。なお、中央側の
シ−ルド板12とサイド側のシールド板13とは寸法が
異なり、設けられる位置が違うのみで、磁気シールドを
行なう作用は同じであり、それらの構造もほぼ同一であ
る。前記磁気ヘッドAの内部構造は、図3に示すよう
に、シ−ルドケース10の内部に巻線ボビンを備えた磁
気コア11が4つ設けられ、磁気コア11のコア部の先
端をシ−ルドケース10の媒体対向面18に形成された
挿通孔18aを介し媒体対向面18側に露出させて磁気
ギャップGが構成されている。また、シ−ルド板12、
13、12はそれぞれ磁気コア11、11、11、11
の間に配置されてそれらの先端部を媒体対向面18に露
出させている。なお、各磁気コア11の後端部にはそれ
ぞれ端子ピン19が取り付けられてシ−ルドケース10
の背面側に突出され、各磁気コア11とシ−ルド板1
2、13、12と端子ピン19は、シ−ルドケース10
の内部に充填された樹脂20によりシ−ルドケース10
の内部に固定されている。
【0015】前記シ−ルド板15は、パーマロイなどの
一般的な磁性材料から構成されている。次に、シ−ルド
板スペ−サ16は、以下に説明する各合金のいずれかか
ら構成されている。シールド板スペ−サ16を構成する
第1の合金として、Niを50〜80重量%含有するC
u系合金を用いることができる。ここで、Ni含有量が
50重量%未満では、耐摩耗性が低下するために好まし
くなく、Ni含有量が80重量%を越えると磁性を持つ
ようになってシ−ルド板スペ−サとして好ましくない。
なお、このCu- Ni系の合金は機械加工性も良好であ
り、摩擦係数と摩耗量もシールド板スペ−サ16を構成
するパ−マロイとほぼ同じである。なおまた、この系の
合金において、磁性を持ち始める際のNi含有量は0°
Cにおいて67%以上であり、常温において69%以上
であるので、以上のことを全て総合的に考慮した場合、
Ni含有量を50〜70重量%の範囲とすることが最も
好ましい。
【0016】シールド板スペ−サ16を構成する第2の
合金として、Crを8〜25重量%含有するNi系合金
を用いることができる。ここで、動摩擦係数と摩耗量が
パーマロイとほぼ同じで、スペ−サ用として実用上問題
のない範囲は、Crを8〜25重量%含有するものであ
る。Cr含有量が8重量%未満では、Niの有する磁性
のためにスペ−サ材料として好ましくなく、Cr含有量
が25重量%を越えると脆くなり過ぎて薄く加工できな
いためにシ−ルド板スペ−サとして適用できないからで
ある。なお、このNi- Cr系の合金は機械加工性も比
較的良好であり、摩擦係数と摩耗量もスペ−サ16を構
成するパ−マロイとほぼ同じである。ただし、スペ−サ
用として用いた場合の動摩擦係数と摩耗量の関係から言
うと、Cr含有量を10〜25重量%の範囲に設定する
のがより好ましい。
【0017】シールド板スペ−サ16を構成する第3の
合金として、Niを8〜15重量%、Crを8〜22重
量%含有するFe-Ni-Cu系合金を用いることができ
る。ここで、Ni含有量が8重量%未満では、磁性を持
つようになるために好ましくなく、Ni含有量が15重
量%を越えると脆くて薄く加工できなくなりシ−ルド板
スペ−サ16として好ましくないからである。なお、こ
のFe-Ni-Cr系の合金は前記の組成範囲では機械加
工性も良好であり、摩擦係数と摩耗量もスペ−サ16を
構成するパ−マロイとほぼ同じである。ただし、スペ−
サ用として用いた場合の動摩擦係数と摩耗量の関係から
言うと、Cr含有量を10〜20重量%の範囲に設定す
るのがより好ましい。以上説明した組成範囲の合金から
シールド板スペーサ16を形成することで、シールド板
スペーサ16で磁気コア11との磁気的な遮断を行なう
ことができ、磁気コア11とシール板12、13とスペ
ーサ16の部分でのいずれの摩耗量も少なくすることが
でき、偏摩耗を少なくすることができる。また、当然な
がら、偏摩耗量を少なくすることができるので、磁気テ
ープ9からの磁粉の付着量も少なくすることができる。
【0018】図4は本発明に係るシ−ルド板スペ−サの
他の実施例を示すものであり、図4において、21、2
1はパーマロイからなるシ−ルド板、22はこれらのシ
−ルド板21、21の間に挾まれたシールド板スペ−サ
を示している。この図4に示す構造のようにシ−ルド板
21、21の間にシールド板スペ−サ22を設ける構造
とすることもできる。シールド板スペーサ22の役割
は、磁気コアとシールド板との磁気的な遮断であるの
で、この図の例のような構造を採用しても良い。シール
ド板スペーサ21、21を構成する材料は、先に説明し
た例と同等であり、Niを50〜80重量%含有するC
u系合金、Crを8〜25重量%含有するNi系合金、
または、Niを8〜15重量%、Crを8〜22重量%
含有するFe系合金のいずれかを用いる。図4に示す構
造を採用することで、シールド板スペーサ22で磁気的
な遮断を行なうことができ、摩耗量も少なくすることが
できる。また、磁粉の付着量も少なくすることができ
る。
【0019】図5は図2に示す構造のシ−ルド板15と
シ−ルド板スペ−サ16、16とを製造する方法の一例
を示すものである。シ−ルド板15を構成する合金から
なる薄板25の上下両側にスペ−サ16を構成する前記
組成範囲の合金の薄板26、26を重ね合わせ、それら
の上下に設けられた加圧ロ−ル27、28を用いて熱間
圧延加工を施してクラッド圧着することで、これらを圧
着一体化することができる。前記Cu-Ni系、Ni-C
r系の合金は、前記組成範囲あるいは前記組成範囲外で
もいずれも容易にクラッド圧着可能であるが、Fe-N
i-Cr系の合金は加工硬化が顕著であるために、組成
が限定され、前記した組成範囲とすることが必要にな
る。また、この場合に製造するシ−ルド板スペ−サ16
の板厚は、薄いほど好ましく、0.1mm程度あるいは
それよりも薄くしても良い。更にまた、これらを圧着す
る方法は、クラッド圧着に限らずに樹脂ラミネートでも
良い。
【0020】図6は、シ−ルド板の他の実施例を示すも
のであり、この実施例のシ−ルド板30は、パーマロイ
からなるシ−ルド板本体31の両側面に酸化被膜32が
形成され、シ−ルド板本体31の両側面に前記酸化被膜
32を介してシ−ルド板スペ−サ16が張り付けられて
構成されている。前記酸化皮膜32は、パーマロイから
なるシ−ルド板本体31を450〜750°Cで加熱酸
化処理して得られるが、この酸化被膜32は、パーマロ
イよりも耐摩耗性が良好になる。この構成のシ−ルド板
30を磁気ヘッドに適用して磁気テ−プを長時間走行さ
せる耐摩耗試験を行うと、図7に示すように摩耗するこ
とになる。即ち、耐摩耗性の優れた酸化被膜31の摩耗
量が少なく、その他の部分がそれよりも多く摩耗する結
果、この酸化被膜31が摩耗の際のストッパとなって、
シ−ルド板本体31の摩耗とシ−ルド板スペ−サ16の
摩耗を少なくする結果、全体での偏摩耗を少なくするこ
とができる。これに対して酸化被膜を設けていない構造
のシ−ルド板31に摩耗試験を施した結果を図8に示
す。酸化被膜31を設けていない場合は、シ−ルド板ス
ペ−サが選択的に初めに摩耗し、次に残ったシ−ルド板
本体31が摩耗を開始するので、シ−ルド板30が図8
に示すように大きく偏摩耗することになる。前記図6に
示す構造を採用することで、このような偏摩耗の問題を
少なくすることができる。なお、シールド板31に形成
する酸化皮膜31はシールド板31の少なくとも側面に
形成すれば良いが、勿論、シールド板31の全面に形成
しても良い。
【0021】(試験例)樹脂ラミネ−トにより、下記の
ようなシ−ルド板を製造した。 磁気ヘッド中央側のシ−ルド板、スペ−サ(厚さ0.2
1mm):シ−ルド板(厚さ0.2mm):シールド板
スペ−サ(厚さ0.2mm) 磁気ヘッドのサイド側のシ−ルド板、スペ−サ(厚さ
0.075mm):シ−ルド板(厚さ0.12mm):ス
ペ−サ(厚さ0.075mm) 次に、Fe-Ni-Mo-Cu系合金のパーマロイからな
る図1に示す形状の溝付きのシ−ルドケ−スと、Fe-
Ni-Mo系合金のパーマロイからなるシ−ルド板と、
Fe-Ni-Nb系合金のパーマロイからなる磁気コアを
用い、種々の組成の合金からなるシールド板スペ−サを
用いて前記構成のシ−ルド板を組み込み、樹脂充填を行
なって磁気ヘッドを製造した場合に、各磁気ヘッドに対
して磁気テ−プを走行させて摩耗試験を行ない、それぞ
れ部分の摩耗量を測定した。また、各部分の材料の単独
の動摩擦係数も測定した。摩耗量の測定は、触針式の粗
さ計(タリステップ)を用いて計測した。それらの結果
を図9と図10に示す。
【0022】摩耗試験に使用した磁気テープは、磁性体
としてγ-Fe23を塗布したもので、65°Cで湿度
50%の環境下にて磁気テープを4.75cm/sの速
度で)200時間走行させて行なった。図9に示すFe
-Ni-Cr系の合金は、Ni15重量%、Cr 15重
量%、残部Feの組成を有し、Ni-Cr系の合金は、
Cr 20重量%、残部Niの組成を有し、Ni-Cu系
の合金は、Ni 60重量%、残部Cuの組成を有する
ものである。
【0023】図9と図10に示す結果から明らかなよう
に、本発明で用いる合金は、いずれも動摩擦係数と摩耗
量においてシ−ルドケースとシ−ルド板と磁気コアの動
摩擦係数と摩耗量に近い値となっている。これに対し
て、従来合金のキュプロニッケルと洋白とリン青銅を用
いてシールド板スペ−サを形成したものは、いずれもシ
−ルドケースとシ−ルド板と磁気コアの動摩擦係数と摩
耗量との間に大きな差異を生じた。以上のことから、本
発明に係る組成の合金を用いてシールド板スペーサを製
造することで、磁気ヘッドの偏摩耗を従来合金を用いた
場合よりも軽減できることが明らかになった。なお、図
10においては、シ−ルドケースとシ−ルド板と磁気コ
アの摩耗量がそれぞれ異なり、Fe-Ni-Cr系の合金
とNi-Cr系の合金とNi-Cu系の合金とにおいて厳
密に言えば多少の違いを生じているが、摩耗量は少なけ
れば良い訳ではなく、シ−ルドケースとシ−ルド板と磁
気コアのそれぞれの摩耗量と大きく異ならないようにす
ることが重要である。スペ−サの摩耗量が多すぎると、
スペ−サ自身が摩耗して偏摩耗の原因となり、逆に少な
すぎても他の部分が摩耗して偏摩耗することになる。
【0024】図11と図12はシールド板スペーサの構
成材料としてCu-Ni系合金を用いた場合に、Ni濃
度の変化による動摩擦係数と摩耗量の変化を測定した結
果を示すものである。その他の試験条件は図9と図10
に示す先の試験例の場合と同等である。図11と図12
から明らかなように、Cu-Ni系合金の場合、Ni含
有量を50〜80重量%とすることで低い摩耗量となる
ことが明らかである。
【0025】図13と図14はシールド板スペーサの構
成材料としてNi-Cr系合金を用いた場合に、Cr濃
度の変化による動摩擦係数と摩耗量の変化を測定した結
果を示すものである。その他の試験条件は図9と図10
に示す先の試験例の場合と同等である。図13と図14
から明らかなように、Ni-Cr系合金の場合、Cr含
有量を8〜25重量%とすることで低い摩耗量となるこ
とが明らかである。
【0026】図15と図16はシールド板スペーサの構
成材料としてFe-Ni-Cr系合金を用いた場合に、C
r濃度の変化による動摩擦係数と摩耗量の変化を測定し
た結果を示すものである。その他の試験条件は図9と図
10に示す先の試験例の場合と同等である。図15と図
16から明らかなように、Fe-Ni-Cr系合金(Ni
量15%)の場合、Cr含有量を8〜22重量%とする
ことで低い摩耗量となることが明らかである。ただし、
Cr含有量を25%前後とすると摩耗量はより少なくな
るが、磁気コアやシールドケースの摩耗量と差異が大き
くなって逆に偏摩耗する原因となるので、摩耗量が少な
くてもCr含有量を22重量%より少なくすることが好
ましい。
【0027】図17と図18はシールド板スペーサの構
成材料としてFe-Ni-Cr系合金を用いた場合に、C
r濃度の変化による動摩擦係数と摩耗量の変化を測定し
た結果を示すものである。その他の試験条件は図9と図
10に示す先の試験例の場合と同等である。図15と図
16から明らかなように、Fe-Ni-Cr系合金(Ni
量8%)の場合、Cr含有量を8〜22重量%とするこ
とで低い摩耗量となることが明らかである。ただし、N
i含有量を8%としてCr含有量を変化させたものは、
図15と図16に示す合金の測定結果よりも低い摩耗量
を示し、磁気コアやシールドケースの摩耗量と差異が大
きくなって逆に偏摩耗する原因となることも考えられ
る。これらの点から鑑みて、シールド板スペーサの構成
材料としてFe-Ni-Cr系合金を用いる場合は、Ni
を8〜15重量%、Crを8〜22重量%の範囲で含有
させることが好ましい。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、シールド板スペー
サの構成材料としてNiを50〜80重量%含有するC
u系合金、Crを8〜25重量%含有するNi系合金、
または、Niを8〜15重量%、Crを8〜22重量%
含有するFe系合金を用いることで、シールド板スペー
サの摩耗量をシールド板の摩耗量とシールドケースの摩
耗量と磁気コアの摩耗量に近い量にすることができ、こ
れにより磁気ヘッドの磁気テープ摺動面の偏摩耗の問題
を解消することができる。また、前記各合金の組成を前
記の範囲とすることで、摩耗量を適切な範囲とすること
ができるとともに、機械加工も容易に施すことができ、
偏摩耗を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るシ−ルド板スペ−サを備え
た磁気ヘッドの一実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は図1の磁気ヘッドに備えた本発明に係る
シ−ルド板スペーサの断面図である。
【図3】図3は図1に示す磁気ヘッドの内部構造を示す
断面図である。
【図4】図4は本発明に係るシ−ルド板スペ−サの他の
実施例を示す断面図である。
【図5】図5は本発明に係るシ−ルド板スペ−サの製造
方法の一例を説明するための断面図である。
【図6】図6は磁気ヘッドに設けられるシ−ルド板の一
実施例の断面図である。
【図7】図7は図6に示す構造のシ−ルド板に対して長
時間磁気テ−プを摺動させた場合の摩耗状態を示す断面
図である。
【図8】図8は従来の磁気ヘッドに設けられているシ−
ルド板の摺動試験後の状態を示す断面図である。
【図9】図9はシ−ルド板スペ−サを種々の合金で製造
した場合の材料別の動摩擦係数を示す図である。
【図10】図10はシ−ルド板スペ−サを種々の合金で
製造した場合の材料別の摩耗量を示す図である。
【図11】図11はCu-Ni合金でスペ−サを製造し
た場合のNi含有量と動摩擦係数の関係を示す図であ
る。
【図12】図12はCu-Ni合金でスペ−サを製造し
た場合のNi含有量と摩耗量の関係を示す図である。
【図13】図13はNi-Cr合金でスペ−サを製造し
た場合のCr含有量と動摩擦係数の関係を示す図であ
る。
【図14】図14はCu-Cr合金でスペ−サを製造し
た場合のCr含有量と摩耗量の関係を示す図である。
【図15】図15はFe-15Ni-Cr合金でスペ−サ
を製造した場合のCr含有量と動摩擦係数の関係を示す
図である。
【図16】図16はFe-15Ni-Cr合金でスペ−サ
を製造した場合のCr含有量と摩耗量の関係を示す図で
ある。
【図17】図17はFe-8Ni-Cr合金でスペ−サを
製造した場合のCr含有量と動摩擦係数の関係を示す図
である。
【図18】図18はFe-8Ni-Cr合金でスペ−サを
製造した場合のCr含有量と摩耗量の関係を示す図であ
る。
【図19】図19は従来のシ−ルド板を備えた磁気ヘッ
ドの一例を示す斜視図である。
【図20】図20は図19に示す磁気ヘッドにおいて摩
耗試験を行なった後の摩耗状態を示す断面図である。
【符号の説明】
A 磁気ヘッド、 G
磁気ギャップ、10 シールドケース、 1
1 磁気コア、12、13 シールド
板、 15、21 シールド板本体、16、2
2 シールド板スペーサ、20 樹脂、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 配島 高史 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 佐藤 隆 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シールドケースの内部に樹脂により固定
    されて磁気コアとシールド板とシ−ルド板スペーサとが
    設けられ、磁気コアの一部とシールド板の一部とシール
    ド板スペーサの一部とがシールドケースの媒体対向面に
    形成された挿通孔を介し露出されてなる磁気ヘッド装置
    に設けられるシールド板スペーサであって、 前記シールド板スペーサが、Niを50〜80重量%含
    有するCu系合金から形成されてなることを特徴とする
    磁気ヘッド用シールド板スペーサ。
  2. 【請求項2】 シールドケースの内部に樹脂により固定
    されて磁気コアとシールド板とシ−ルド板スペーサとが
    設けられ、磁気コアの一部とシールド板の一部とシール
    ド板スペーサの一部とがシールドケースの媒体対向面に
    形成された挿通孔を介し露出されてなる磁気ヘッド装置
    に設けられるシールド板スペーサであって、 前記シールド板スペーサが、Crを8〜25重量%含有
    するNi系合金から形成されてなることを特徴とする磁
    気ヘッド用シールド板スペーサ。
  3. 【請求項3】 シールドケースの内部に樹脂により固定
    されて磁気コアとシールド板とシ−ルド板スペーサとが
    設けられ、磁気コアの一部とシールド板の一部とシール
    ド板スペーサの一部とがシールドケースの媒体対向面に
    形成された挿通孔を介し露出されてなる磁気ヘッド装置
    に設けられるシールド板スペーサであって、 前記シールド板スペーサが、Niを8〜15重量%、C
    rを8〜22重量%含有するFe系合金から形成されて
    なることを特徴とする磁気ヘッド用シールド板スペー
    サ。
JP24518192A 1992-09-14 1992-09-14 磁気ヘッド用シールド板スペーサ Pending JPH0696410A (ja)

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