JPH0694486A - 液体インク供給カートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安全に輸送でき、交換が容易で且つカートリ
ッジからの液体インクの漏れを防止できるインクジェト
印字装置用のカートリッジを提供する。 【構成】 感熱インクジェット印字装置に液体インクを
供給するカートリッジは、通気孔と出口を持つチャンバ
を有する。所定の背圧でチャンバ内に液体インクを保持
するために、チャンバの少なくとも一部分を媒体に占有
させる。開口導管は、通気口からチャンバの実質的に液
体インクの無い部分まで伸長する通路を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、感熱インクジェット印
字装置の印字ヘッドに液体インクを供給する装置に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、感熱インクジェット印
字装置のインク供給カートリッジの通気口に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】既存の
感熱インクジェット印字では、印字ヘッドは１つ以上の
インク充填チャネルを含む。チャネルの一端は比較的小
さいインク供給室またはマニホルードに接続され、他端
は開放されており、ノズルと称される。通常は抵抗器で
ある熱エネルギー発生装置が、それぞれのチャネルに、
ノズルから所定の距離位置に配置されている。抵抗器は
電流パルスによって個別にアドレス指定されて起動し、
瞬間的にインクを気化してそして泡を形成し、これがイ
ンクの小滴を放出させる。泡が成長すると、インクはノ
ズルから膨れ出てインクの表面張力によってメニスカス
を形成する。泡が崩壊し始めると、まだノズルと泡の間
のチャネル内にあったインクが、崩壊する泡の方に向か
って移動し始め、ノズル位置でインクの体積収縮を引き
起こし、その結果、膨れ出ていたインクが液滴として分
離される。泡が成長している間にノズルから放出される
インクの加速度は、紙などの記録媒体に向かって実質的
に直線方向の液滴の運動量および速度を与える。インク
の液滴は抵抗器が作動しているときにしか放出されない
ので、この一般的なタイプの感熱インクジェット印字方
式は、「デマンドオン型ドロップ」印字方式として知ら
れている。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１の発明
に従えば、要求によりインクジェット印字ヘッドに液体
インクを供給するカートリッジであって、通気口と出口
とを有するチャンバを画成するハウジングであって、該
出口がインクジェット印字ヘッドと連絡している該ハウ
ジングと、所定の背圧で液体インクをチャンバ内に保持
するための、チャンバの少なくとも一部分を占有する媒
体と、液体インクがカートリッジから漏れ出すのを防止
するために、通気口からチャンバの液体インクが実質的
に無い部分まで伸長する通路を画成する開口導管と、を
含む上記カートリッジが提供される。

【０００４】本発明の一態様に従って、感熱インクジェ
ット印字装置に液体インクを供給するカートリッジは、
通気口と出口を有するチャンバを画成するハウジングを
含む。所定の背圧でチャンバ内に液体インクを保持する
ために、チャンバの少なくとも一部分を媒体が占有す
る。開口導管は、通気口からチャンバの実質的に液体イ
ンクの無い部分まで伸長する通路を画成してカートリッ
ジからの液体インクの漏れを防止することができる。

【０００５】

【実施例】図１は、カートリッジ１０の断面立面図であ
る。カートリッジ１０は、ハウジング１２の形態の主要
部を持つ。ハウジング１２は一般に、軽量でしかも耐久
性の高いプラスチックから形成される。ハウジング１２
は、液体インクを貯蔵するためのチャンバ１３を区画
し、さらにその内部に大気に開放された通気口１４と出
口１６とを区画している。出口１６の端部には（図１の
切欠部に示すように）、インクジェット印字ヘッド１０
０があり、さらに詳しくは、実質的に先に述べたような
印字ヘッドのインク供給マニホルドがある。ここにそれ
ぞれ符号１８を付した３つの分離した部分として示すイ
ンク飽和媒体は、ハウジング１２のチャンバ１３の大半
を占めているが、これについては以下で詳細に説明す
る。また、通気口１４からハウジング１２のチャンバ１
３内に管３０が伸長しているが、その目的および機能は
後で詳しく説明する。

【０００６】図２はカートリッジ１０の分解図であり、
カートリッジ１０の様々な要素がどのようにユーザが自
分で交換可能な小型ユニットに組み立てられているかを
示す。本発明の実施例に有用なカートリッジ１０のその
他の部品として、ヒートシンク２４およびカバー２８が
ある。実際の設計は一般に、印字ヘッド１００の加熱素
子を選択的に起動させるための回路基板用の空間を含
む。

【０００７】本発明の好ましい実施例では、媒体１８
（３つの部分から成る材料として示されている）は、ポ
リエステル繊維の穿刺フェルト（needled felt）の形態
を取る。穿刺フェルトは、例えばニードル織機（needle
loom ）の動作によって物理的に交錯させた繊維から成
るが、さらにその上に、この繊維をソーキングまたは蒸
気加熱によってからみ合わせてもよい。本発明の好適実
施例によれば、穿刺フェルトは０．０６ないし０．１３
グラム／ｃｍ³ の密度とすべきである。媒体１８を形成
するこのポリエステル穿刺フェルトの最適密度は、０．
０９５グラム／ｃｍ³ であることがわかった。この最適
密度は、先に述べたように液体インクを保持するのに最
も都合のよい容積効率を反映する。この目的に適した種
類のフェルトは、米国ニューヨーク州メディナ市のＢＭ
Ｐオブ・アメリカ社によって製造されている。

【０００８】有効な容積効率と可般性を維持しながら、
液体インクの背圧を所望の範囲内に維持するためには、
穿刺フェルトを形成するポリエステル繊維を、比較的細
かい目の第１型ポリエステル繊維とそれより粗い目の第
２型ポリエステル繊維の２種類の混合型とすべきである
ことがわかった。特に有益な穿刺フェルトの組成は、６
デニールと１６デニールのポリエステル繊維をほぼ均等
な割合で含むものである。

【０００９】媒体１８は、フェルトが内壁に対し適正な
接触力および圧縮力を作用するように、ハウジング１２
のチャンバ１３内に詰める。本発明の１つの商業的に実
用的な実施例では、３層の穿刺フェルトをそれぞれ厚さ
０．５インチづつ積み重ね、ハウジング１２のチャンバ
１３内にこれらを詰めることによって、媒体１８を作製
する。

【００１０】また、ハウジング１２のチャンバ１３内に
は、スカベンジャ２０として示す、高い毛管圧を呈する
材料から成る部材も含まれている。スカベンジャ２０
は、印字ヘッド１００のマニホルドにつながる出口１６
と媒体１８との間の多孔性毛管障壁として作用する、比
較的小さい部材である。本発明の好適実施例では、スカ
ベンジャ２０は、意図するインク流の方向に５０％フェ
ルト化（熱および圧力で圧縮）した吸音性メラミン発泡
体でできている。これに適したメラミン発泡体の１種と
して、ミネソタ州ミネアポリス市のイルブルックＵＳＡ
社によって製造され、「ウィルテック（Wiltec）」の商
品名で販売されているものがある。スカベンジャ２０は
さらに、符号２２で示すように、多孔性ホットメルト形
積層接着剤を用いてメラミンに接着したフィルタクロス
（濾布）を含むようにすることが望ましい。一般に、こ
のフィルタクロス２２の好適材料は、モノフィラメント
型ポリエステルのスクリーニング繊維である。このフィ
ルタクロスは多数の実用的利点を提供する。一般に、出
口１６への開口部に対しスカベンジャ２０を保持するた
めの特別な構造（例えばワイヤメッシュ等）は必要な
い。また、フィルタクロス２２と出口１６との間に接着
剤を使用する必要も無い。フィルタクロス２２によって
得られる高い毛管引力は、スカベンジャ２０に対するフ
ィルタクロス２２の平面度（しわや突起が無い）、出口
１６に対するスカベンジャ２０の圧縮力、およびスカベ
ンジャ２０の飽和化によって、フィルタクロス２２と出
口１６の間にインクの膜を形成する。

【００１１】図１及び２で、スカベンジャ２０の外表面
の一部分は媒体１８に接しており、外表面の他の部分
は、媒体１８とハウジング１２のチャンバ１３の内壁と
の間にできた、符号１５で示す空間に露出されているこ
とが分かる。一般に、この構造の目的は、コピーカート
リッジから液体インクをゆっくりと排出しながら、液体
インクの背圧を管理可能な範囲内に維持することであ
る。媒体１８におけるインク透過は、インクが連続的に
印字ヘッド１００に供給されるほど高くなく、また媒体
１８のフェルトでは、空気を含まないインクが出口１６
から連続的に流れるために必要な気密状態が得られない
ので、スカベンジャ２０はインク溜めとして作用するよ
うに意図されており、そこから、以下で説明するよう
に、インク要求流量が高い条件下でもインクを引くこと
ができる。

【００１２】印字ヘッドがシートを何回も往復する一般
的な商業用感熱インクジェット印字装置では、１行８イ
ンチを印字する時間は約０．５秒である。カートリッジ
１０が印字行間で方向を切り替える時間は約０．１秒で
ある。１行の印字中に、インクがシートに噴射されるの
で、スカベンジャ２０は不飽和状態になりやすい。印字
行間の方向切替時間は、スカベンジャ２０を再び飽和化
することのできる「回復」時間として利用され、これに
よって平衡背圧状態に戻る。

【００１３】本発明の１つの商業的に実用化される実施
例では、最初、媒体１８に６８ｃｍ ³ の液体インクを充
満させ、そのうちの少なくとも５３ｃｍ³ を、カートリ
ッジの背圧を利用可能な範囲内に維持しながら印字目的
に使用することが望ましい。スカベンジャ２０の一般的
な容積は、２ｃｍ³ である。文書の印刷中に一般的な１
列８インチを印字する間に、スカベンジャ２０は０．５
秒でその内部のインクの最高２．５％まで不飽和になり
得、この不飽和により印字ヘッド１００における背圧が
高くなる。この原理は、普通のスポンジとの類比によっ
て最もよく理解することができる。つまり、必要な液体
の量がほとんど乾いた状態のスポンジに含まれる程度で
あったとしても、飽和状態のスポンジからある量の液体
を絞り出すことは、より低い飽和状態のスポンジから同
量の液体を絞り出すより容易である。不飽和により吸収
媒体による背圧は高まるので、シートを横切る有意密度
の単独列の印字中に、この背圧はかなり増加する。

【００１４】しかし、スカベンジャ２０が不飽和状態に
なると印字ヘッド１００の背圧が高まるが、スカベンジ
ャ２０によるこの背圧の増加は、反対方向にも同様に作
用する。つまり、スカベンジャ２０が不飽和状態になる
と、媒体１８に対し負圧が生じ、そのためにある量の液
体インクが媒体１８からスカベンジャ２０へ移動し、そ
れによってスカベンジャ２０は再び飽和化し、したがっ
てその背圧は低下する。このように、媒体１８とスカベ
ンジャ２０の組み合わせは、媒体１８のインク供給量が
低下するときに印字ヘッド１００の背圧を安定させるシ
ステムとして働く。

【００１５】次に、通気口１４について説明する。通気
口１４は、特にカバー２８の開口部２９を介して、ハウ
ジング１２のチャンバ１３と外部の大気の間を連絡させ
る開口部であることが分かる。本発明によると、通気口
１４からハウジング１２の内部に向かって管３０が伸長
している。この管３０はその側部に沿って外部を囲わ
れ、通気口１４と開口部３２として示す管３０の端部だ
けに開口部を有することが望ましく、開口部３２はハウ
ジング１２のチャンバ１３の３次元的中心部に近い位置
に配置することが望ましい。媒体１８を形成するフェル
ト片に分割された開口部１９は、管３０を収容したとき
に、開口部３２がハウジング１２のチャンバ１３の中心
に向かって配置されるように、開口部１９の大きさおよ
び位置を決定する。

【００１６】チャンバ１３の中心に向かって伸長する管
３０の目的は、媒体１８から遊離した液体インクが通気
口１４からチャンバ１３の外部に漏れるのを防止または
最小限に止めることである。この目的は幾つかの理由に
よって実行される。まず、媒体１８の外部に染み出して
いるがチャンバ１３内にとどまっている自由液体インク
の量が、チャンバ１３内の自由容量の約半分以下であれ
ば、カートリッジ１０を重力に対しどの方向に向けて
も、自由液体インクは一般に開口部３２に「到達」する
こいとができず、管３０からチャンバの外に漏れること
が無い。チャンバ１３内に比較的多量の自由インクが存
在する場合でも、管３０の長さのために、カートリッジ
が動いた結果液体インクが漏れ出るのに必要な換気を防
止しやすい。たとえある量の自由液体インクがチャンバ
１３から管３０内に入るようなことがあっても、システ
ム全体に対する管３０の寸法を考慮して選択することに
よって、管３０を満たす程の量のインクが、チャンバ１
３の内部から除去されても、充分な部分真空をチャンバ
１３内に生じさせてインクを管３０内に維持することが
できる。

【００１７】図に示したカートリッジ１０の好ましい実
施例では、通気口１４の外部に面した開口部をカバー２
８で覆い、カバー２８で包囲されたカートリッジ１０内
の余分の空間（事実上、カートリッジ１０内の第２チャ
ンバ）は、インクが万一通気口から漏れ出た場合の予備
的安全機能として使用することができる。液体インクが
何らかの方法で通気口１４から漏れ出た場合、インクは
カバー２８で包囲される空間内に捕集され、印刷機一般
に漏れ出したり、ユーザの手に付いたりすることは回避
される。カバー２８の開口部２９は、通気口１４の換気
を行うためのものである。

【００１８】本発明に従ってカートリッジを設計する際
に最も重要な問題は、液体インクがかなり長い時間管３
０内に「捕獲」されるのを防止することである。液体イ
ンクは長時間管３０内に滞留すると乾燥し、管３０内の
目詰まりの原因となり、カートリッジ１０全体が使用不
能になるおそれがある。この問題を回避するために取り
得る１つの方法は、管３０の内壁に、例えばアリゾナ州
スコットデール市のユネルコ社から「レインｘ（Rain-
x）」の商品名で販売されているぬれ防止剤（negative
wetting agent）を塗布することである。ぬれ防止剤は
表面に付いた液体を球状にはじき、表面を滑らかにする
効果がある。管３０内に塗布したぬれ防止剤により、管
３０内のインクのメニスカスの非ぬれ角はより大きくな
る（つまり、メニスカスはより平坦になる）。したがっ
て、このぬれ防止は、カートリッジの方向を変えたとき
にインクを管３０から出やすくする効果があり、カート
リッジ１０の物理的方向が変化するときに、管３０内に
入った液体インクが容易にカートリッジ内に戻り、管３
０内の換気用の経路が確保される。

【００１９】管３０の寸法、特に直径を選択する際は、
管３０内にかなりの毛管力が形成されるほど小さくない
直径を選択することが望ましい。

【００２０】本発明のさらに別の変化例として、開口部
３２または通気口１４またはその両方を、例えばＷ．
Ｌ．ゴア＆アソシエーツ社で製造され、「ゴア−テック
ス」として知られている繊維などで形成した、気体は透
過するが液体は実質的に透過しないフィルタで覆うこと
もできる。

【００２１】したがって、本発明に従って作成したイン
ク供給カートリッジは、インクジェット印字システム用
のインク供給の実際の具現化物に必要な利点をもたらす
ものである。管３０の開口部３２がチャンバ１３の中心
に向かって配置されているので、安全に輸送し、ユーザ
が簡単に取り付けたり交換することのできるカートリッ
ジを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を組み込んだカートリッジの断面立面図
である。

【図２】本発明を組み込んだ図１に示すカートリッジの
分解図である。

【符号の説明】

１０ カートリッジ １２ ハウジング １３ チャンバ １４ 通気口 １６ インク出口 １８ インク媒体 ２０ スカベンジャ ２２ フィルタクロス １００ 印字ヘッド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 要求によりインクジェット印字ヘッドに
   液体インクを供給するカートリッジであって、 通気口と出口とを有するチャンバを画成するハウジング
   であって、該出口がインクジェット印字ヘッドと連絡し
   ている該ハウジングと、 所定の背圧で液体インクをチャンバ内に保持するため
   の、チャンバの少なくとも一部分を占有する媒体と、 液体インクがカートリッジから漏れ出すのを防止するた
   めに、通気口からチャンバの液体インクが実質的に無い
   部分まで伸長する通路を画成する開口導管と、を含む上
   記カートリッジ。