JPH0693371A - 現地溶接性及び耐治具跡割れ性に優れた大入熱溶接用調質高張力鋼とその製造方法 - Google Patents

現地溶接性及び耐治具跡割れ性に優れた大入熱溶接用調質高張力鋼とその製造方法

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JPH0693371A
JPH0693371A JP24638892A JP24638892A JPH0693371A JP H0693371 A JPH0693371 A JP H0693371A JP 24638892 A JP24638892 A JP 24638892A JP 24638892 A JP24638892 A JP 24638892A JP H0693371 A JPH0693371 A JP H0693371A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大型構造物の溶接能率向上のための大入熱溶
接性と隅肉溶接部における耐治具跡割れ性やタンクサポ
ート部内側のクラックを皆無とし、併せて現地溶接性を
向上する。 【構成】 C:0.10%以下、Si:0.10%以
下、Mn:0.50〜2.20%,P:0.015%以
下、S:0.0008〜0.0025%、S.Al:
0.010〜0.10%、(Si+S.Al):0.1
3%以下、Cu:0.50〜2.50%、Ni:0.5
0〜2.00%、Nb:0.005〜0.024%、T
i:0.005〜0.018%、不純物としてのB:
0.0002%以下とし、Ceq:0.38%以下、T
ieq:−0.007〜0.005%としてMnSがT
iON又はTiNとの複合析出物を形成することを特徴
とする現地溶接性及び耐治具跡割れ性に優れた大入熱溶
接用調質高張力鋼。MnSの複合析出物形成に際して出
鋼時のSiによる弱脱酸に引き続き真空脱ガス時にAl
により完全脱酸する事を特徴とする前記鋼の製造方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は貯槽タンク、圧力容器、
橋梁、海洋構造物等の低温用又は常温用の鋼材として大
入熱溶接性と共に吊り具等の隅肉溶接やブロックの現地
溶接での溶接性(小入熱溶接特性、予熱省略溶接特性、
高水素雰囲気溶接特性)が要求される調質高張力鋼の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、構造物の大型化とともに溶接能率
の向上が求められ大入熱溶接の適用が一般的になってい
る。一方で、タンク、橋梁等の吊り具の隅肉溶接部にお
ける治具跡割れやタンクサポート部の内側における溶接
熱影響部(HAZ)の硬度上昇に伴うクラックが開放検
査等で発見される場合がしばしばある。又橋梁分野にお
いては、工場での加工には大入熱溶接が適用され現地組
立にはボルト締めが一般的であったが、最近では工期短
縮や景観保全のため溶接の適用が検討され予熱省略及び
プライマーや溶接棒からの高水素雰囲気下での溶接等の
現地溶接性も要求されるようになって来た。
【0003】大入熱溶接性に就いては鉄鋼各社で実用化
され、特開昭61−270354号,62−1842
号,62−56518号の各公報のように基本的にはT
iNをベースに種々の改善が加えられているがいずれも
大入熱溶接専用の鋼材であり、隅肉溶接等の小入熱溶接
性(クラックフリー)や現地溶接性をも同時に具備した
ものはない。一方、小入熱特性に優れた従来技術として
は本発明者らによる特公昭58−2570号公報,特開
平1−96329号公報があるが、その安定性及び大入
熱溶接特性と高強度化に限界があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】大型構造物の工場加工
における溶接能率向上の大入熱溶接性と共に吊り具等の
隅肉溶接部における治具跡割れやタンクサポート部内側
のクラックを皆無とし、現地組立時の溶接性をも大幅に
改善してこれら複合特性を併せて具備する事が本発明の
改善しようとする課題である。本発明者等による従来技
術として前記せる特公昭58−2570号公報はBフリ
ー化且つ低C−低Si系の非調質強靱高張力鋼の製造方
法であって、縞状組織の分散及び高炭素マルテンサイト
(M* )の生成抑制を前提としてBフリー化によるHA
Z硬さの低減を同時に具備して、高強度で且つ高吸収エ
ネルギー(vEs)、高靱性(vTrs)及び低炭素等
量(Ceq)化による高溶接性と同時に、新しい品質ニ
ーズ(耐HAZ割れ性、耐SR割れ性、耐焼き戻し脆
性)にも応える優れたものであった。
【0005】特開平1−96329号公報はBフリー化
且つ低C系の耐硫化物応力腐食割れ性に優れた調質HT
60キロ鋼の製造方法であって、特公昭58−2570
号公報を更に低C化且つ調質熱処理化して低Siの制約
をなくすとともに、10〜30KJ/cm程度の小入熱
溶接におけるHAZ硬さの低減により硫化水素又はアン
モニア雰囲気における耐応力腐食割れ性に優れたもので
あった。ところが、前記発明(特公昭58−2570号
公報、特開平1−96329号公報)は大入熱溶接性、
高強度化に限界があると共に、新しい品質ニーズに応え
るにはその特性に対し今一つの安定性が欠けるという欠
点を有していた。
【0006】本課題に対して本発明者等が仔細に調査し
たところ、前記発明はBフリー鋼としてBを添加してい
ないにも拘らず不純物としてのB含有量がばらつく結
果、品質特性の安定性が左右されていた事を知見するに
至った。又、大入熱溶接性の向上には、低C−低Si系
の特公昭58−2570号公報の発明をベースにNbと
Ti(Tieq)を微量且つ狭範囲に制御すると共にM
nSとして存在するSを不純物としてではなく、大入熱
溶接性向上のため積極的な活用をする必要のある事がわ
かった。更に、高強度化をはかる上で大入熱特性と小入
熱特性を同時に満足するためにはCuの析出強化を利用
する事が不可欠である事も判明した。
【0007】一方、大入熱溶接性を向上する特開昭61
−270354号公報はC:0.03〜0.20%,S
i:0.01〜0.50%,Mn:0.30〜2.0
%,P:0.02%以下,S:0.015%以下,B:
0.0003〜0.0030%,N:0.0080%以
下を基本成分とし、必要に応じてNi,Cu,Cr,M
o,Nb,Vの一種又は二種以上を含有して、更にまた
0.03%以下のTi,REM,Caの一種又は二種以
上を合計で0.003〜0.03%含有し且つ全Alを
0.003%以下とする高靱性溶接鋼である。ところが
該発明は大入熱特性は改善されたものの、Ceqの規制
がない上にBを積極的に添加しているために小入熱特
性、就中耐治具跡割れ性や現地溶接性には劣り、又Al
を添加していない故に脱酸が不安定なため酸素との親和
力の強いTi,REM,Caの歩留が悪くその添加量が
ばらつく結果大入熱特性が不安定であるという欠点を有
していた。
【0008】又、特開昭62−1842号公報はC:
0.02〜0.18%,Si:0.5%以下,Mn:
0.4〜2.0%,S:0.0007〜0.0050
%,Ti:0.030%以下を含有し、P:0.015
%以下,N:0.004%以下に制約し必要に応じてN
i,Cu,Nb,V,Ta,Cr,Mo,Bの一種又は
二種以上を含有し、一時脱酸生成物を実質的に含まず、
粒子径が0.1〜3.0μmの二次脱酸生成物とTi窒
化物とMnSの複合体をそれぞれ5×104 〜1 ×10
5 個/mm2 含有する事を特徴とする溶接部靱性の優れ
た強靱性高張力鋼である。ところが該発明は大入熱特性
には優れているが、Alを無添加とし弱脱酸元素のT
i,Si,Nb,V,Taのみで二次脱酸するために脱
酸が不安定となって安定したTiN+MnSが生成出来
難くなると共に強脱酸元素のTiの歩留が不安定となっ
てNとTiがバランスせずTieqがばらついて安定し
た大入熱特性が得られず、一方でBを添加したり、Ce
qの規制がないために小入熱特性、就中耐治具跡割れ性
や現地溶接性には劣っていると云う欠点を有していた。
【0009】更に特開昭62−56518号公報はC:
0.03〜0.12%,Si:0.05〜0.40%,
Mn:0.7〜1.6%,P:0.015%以下,S:
0.010%以下、Sol.Al:0.001〜0.0
10%,Ti:0.005〜0.020%,B:0.0
003〜0.0020%,N:0.0040〜0.00
60%,必要に応じてCu,Ni,V,Caの一種又は
二種以上含有し、Ti/N:1.5〜3.4,Ceq:
0.34%以下である鋼を所定の熱間圧延を行い、直ち
に室温まで急冷後200〜450℃の低温焼き戻しを行
うことを特徴とする50キロ鋼の大入熱溶接用高張力鋼
の製造方法である。ところが該発明はSol.Alを
0.010%以下,Nを0.0040〜0.0060%
にして溶鋼でTiNの安定析出をはかると共にHAZに
もBNを析出させて大入熱特性を向上させたが低Al且
つ高N故に脱酸が不安定となって安定したTiNが得ら
れず、一方でBを積極的に添加した結果小入熱特性、就
中耐治具跡割れ性や現地溶接性には劣っていると云う欠
点を有していた。現地溶接性(予熱省略溶接、高水素雰
囲気下溶接)や耐治具跡割れ性(小入熱溶接、水素誘起
割れ)から大入熱溶接性に至る迄の要求を満足するに
は、これら従来技術では対応が不可能であることが判明
した。
【0010】
【発明が解決するための手段】本発明はかかる多様な問
題を解決すべく、低C−低(Si−Al)系調質高張力
鋼の不純物としてのB,S量を特定すると共にNb,T
iの極微量化やCu析出強化の利用及びTieqやCe
qの最適化と相俟って現地溶接性及び耐治具跡割れ性に
優れた大入熱溶接用熱調質高張力鋼とその製造方法を提
供することにより大型構造物の経済的施工を可能ならし
めて工期面且つ経済面での競争力を飛躍的に強化するも
のである。本発明の要旨とするところは (1)重量%でC:0.10%以下、Si:0.10%
以下、Mn:0.50〜2.20%、P:0.015%
以下、S:0.0008〜0.0025%、Sol.A
l:0.010〜0.10%、(Si+Sol.A
l):0.13%以下、Cu:0.50〜2.50%、
Ni:0.50〜2.00%、Nb:0.005〜0.
024%、Ti:0.005〜0.018%、N:0.
0020〜0.0050%を含み残部鉄及び不可避的不
純物からなり、更に不純物としてのBをB:0.000
2%以下とし、且つ次式で定められるCeq,Tieq
をCeq:0.38%以下,Tieq:−0.007〜
0.005%とし、又MnSがTiON又はTiNとの
複合析出物を形成する事を特徴とする現地溶接性及び耐
治具跡割れ性に優れた大入熱溶接用調質高張力鋼。 Ceq:C+1/6Mn+1/24Si+1/40Ni
+1/5Cr+1/4Mo+1/14V Tieq:Ti−3.4×N
【0011】(2)重量%でCr:0.05〜1.00
%、Mo:0.05〜1.00%、V:0.005〜
0.10%の一種又は二種以上を鋼に含有せしめた事を
特徴とする(1)記載の現地溶接性及び耐治具跡割れ性
に優れた大入熱溶接用調質高張力鋼。 (3)MnSの複合析出物形成に際して出鋼時のSiに
よる弱脱酸に引続き真空脱ガス時にAlにより完全脱酸
を行ってTiON又はTiNを形成せしめた鋼を鋳造後
直ちに、又はAc3 点以上1170℃以下に再加熱後一
般の厚板圧延又は必要に応じて累積圧下率60%以下の
未再結晶温度域圧延に引続き焼き入れ焼き戻しを行う事
を特徴とする(1)又は(2)記載の現地溶接性及び耐
治具跡割れ性に優れた大入熱溶接用調質高張力鋼の製造
方法である。
【0012】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。Cは強度を上
昇させるのに最も有効な元素であるが、現地溶接性等を
悪くするCeqを上昇させると同時に比較的低冷速とな
る極厚調質鋼の縞状組織の助長及び焼き入れ時の母材又
は溶接HAZにおけるアッパーベイナイト(Bu)又は
高炭素マルテンサイト(M* )を生成する直接の主要元
素であるため0.10%以下に限定した。そして本発明
の技術思想及び高Cu系成分では、Cは強度設計上許さ
れれば低いほど望ましい。母材成分が希釈されて、溶接
金属(WM)のCが0.04%以下になると高温割れを
引き起こす時があり、この場合には母材の低硫化又はN
iの複合添加などの配慮が必要となる。
【0013】Siは脱酸上有用な元素であるが本発明で
は低ければ低いほど好ましく、0.10%以上では鋼中
でCと斥力を有し焼き入れ時の母材又はHAZにおいて
変態時にフェライト(α)から残留オーステナイト
(γ)にCを掃き出すのを促進する結果、Bu又はM*
の生成を助長するために0.10%以下に限定した。M
nは本発明において安価に強度を上昇させる有用な元素
でありその必要下限から0.50%以上とし、2.20
%以上の添加は母材靱性、溶接性を阻害するために0.
50〜2.20%に限定した。Pは溶接性、低温靱性か
ら0.015%以下に限定した。
【0014】Sは低温靱性及びWMの高温割れ防止の観
点から、不純物としては低いほど好ましく上限を0.0
025%以下としたが、本発明では大入熱溶接性の観点
から0.0008%以上のSを不純物としてではなく、
TiON(Ti−OxyNitride)又はTiNと
MnSとの複合析出物を形成せしめ、HAZのγ粒内に
おけるα変態核として活用するために0.0008〜
0.0025%に限定した。Sol.AlはSiと同様
に脱酸上必要な元素であり本発明の技術思想から低Si
系成分が選択されるために0.01%以上とするが、一
方0.10%以上の添加はαから残留γへのC濃化を助
長するため及び溶接性の観点から0.010〜0.10
%に限定した。又、安定したTiON又はTiN鋼を形
成するには出鋼時のSiによる弱脱酸に引続き真空脱ガ
ス時に0.010%以上のAlにより完全脱酸するのが
望ましい。更に、Sol.Alは鋼中においてCに対す
る相互作用(斥力)がSiと全く同様に働き、Sol.
AlとSiの単独制約では不十分なために(Si+So
l.Al)の総和を0.13%以下に限定した。
【0015】Cuは溶接性、低温靱性向上のためCeq
低減を目的としてC,Si,Mnに置換して一般的には
添加されるが、Cuは常温で鉄マトリクスに固溶せず焼
き戻し時に析出し、その析出強化による調質鋼の強度確
保を計るために本発明では0.50%以上とし、2.5
0%以上の添加は熱間脆性防止のため概ね等量、少なく
とも半分のNi添加が必要となりコスト上の観点から好
ましくなく0.50〜2.50%に限定した。Niは低
温靱性向上のためCeq低減を目的としてC,Si,M
nに置換して添加して強度確保し、且つCuの熱間脆性
及びWMの高温割れ防止のために0.50%以上とし、
2.00%以上の添加はコスト上の観点から好ましくな
く0.50〜2.00%に限定した。Nbは調質熱処理
(DQ−T,QT)においてTiとともに最も有用な元
素であり、NbCとして加熱時のγ粒成長の抑制、未再
結晶温度域の拡大、圧延中における変形帯へのNbC析
出強化、大入熱溶接時のHAZ軟化防止のために0.0
05%以上必須であり、一方0.024%以上の過度の
添加はTieqの過剰時同様に大入熱溶接性を損なうた
めに0.005〜0.024%の微量に限定した。
【0016】Tiは前述のNb同様にγ粒制御のために
も必要ではあるが、本質的には大入熱溶接時のHAZに
おいてTiONによるγ粒成長抑制と同時にγ粒内にお
けるα変態核としてTiON又はTiNとMnSとの複
合析出物を形成せしめるために0.005%以上必須で
あり、0.018%以上の過度の添加は溶接性を損なう
ために0.005〜0.018%に限定した。尚、Ti
はこの範囲であってもNとのバランスが崩れると品質上
好ましくない。即ち、Nが過剰になると鋳片割れを誘発
し逆にTiが過剰になると母材の低温靱性や大入熱溶接
性が損なわれるのでNに対して等量添加(N×3.4)
するのが望ましい。Nは前述する如くTiON又はTi
N生成のために0.0020%以上必要であり、0.0
050%以上では大入熱溶接性特にHAZ靱性を損な
い、鋳片の割れをも誘発するために0.0020〜0.
0050%に限定される。Nはこの範囲内で出来るだけ
Tiと等量(Ti/3.4)にバランスさせることが望
ましい。
【0017】Bは本発明の耐治具跡割れ性や隅肉溶接性
及び現地溶接性に影響するCとともに重要な元素であ
り、単にBフリー鋼とするだけでは不十分である。即
ち、Fe−Si系合金やSi−Mn系合金にはBが時と
して高濃度に含有されている場合があるので、製鋼副原
料の精選により不純物としてのBを0.0002%以下
に限定することが極めて重要である。Ceqは予熱省略
溶接やプライマー、溶接棒等からの侵入水素が高い時の
溶接割れが少ない所謂現地溶接性を改善するために0.
38%以下に限定した。TieqはTiが過剰になり
0.005%以上になるとTiとCの相互作用(Sol
ute Drag Effect)によりTiON+M
nS又はTiN+MnSの複合析出物がHAZのγ粒内
においてα変態核として活用できなくなり、更にNが過
剰になって−0.007以下になるとTiON又はTi
Nが粗大化してα変態核としての複合析出物の数が不足
するので−0.007〜0.005%に限定した。従っ
て、TiとNの成分狙いは図1に示す狭い範囲とする必
要がある。
【0018】上記基本成分以外の他の元素(Cr,M
o,V)を一種又は二種以上を強度、靱性向上のために
添加しても本発明の効果は損なわれないが、これ以外の
元素(Ca,REM等)はMnSよりも硫化物形成力が
強く、本発明に必須なMnS生成を阻害するために添加
してはならない。Crは焼き入れ性向上による強度確保
のために0.05%以上添加され、過度の添加は加速冷
却時の母材靱性やHAZ靱性を劣化するために0.05
〜1.00%に限定した。Moは焼き入れ性向上による
強度確保のために0.05%以上添加され、過度の添加
は加速冷却時の母材靱性やHAZ靱性を劣化するために
0.05〜1.00%に限定した。Vは強度向上のため
に0.005%以上添加され、過度の添加は溶接性、低
温靱性が劣化するために0.005〜0.10%に限定
した。
【0019】次に厚板製造条件に就いて述べる。鋼を鋳
造後直ちに厚板圧延するのが望ましいが、一般に鋳造時
の生産性1000T/Hに対して厚板圧延の生産性は3
00T/Hと生産能力がマッチングしておらず、現状の
設備構造では鋳片温度は厚板圧延の前に再加熱が必要な
温度まで低下することが多い。従って、γ化するために
Ac3 点以上に再加熱し、本発明のような微量Nb,T
i系ではγの粗大化防止のために1170℃以下とし
た。本発明は成分系の特定により比較的低冷速となる極
厚調質鋼の縞状組織の分散と焼き入れ時の母材又は溶接
HAZにおけるBu及びM* の生成抑制という調質熱処
理鋼の金属組織の改善によって高吸収エネルギー(vE
s)と高靱性(vTrs)とを同時に達成したものであ
り、基本的には生産性を低下させるような圧延上の制約
は必要ない。尚、セパレーションの発生しない温度範囲
で累積圧下率60%以下の未再結晶温度域圧延を行うと
vEsを損なわずにvTrsを更に改善出来るが、この
場合にも生産性への影響は殆どない。本発明の焼き入れ
(Q,DQ)焼き戻し(T)は通常の調質鋼と同様な一
般的条件で行う。
【0020】
【実施例】本発明の実施例を比較例とともに表1及び表
2に示す。表1は本発明例(鋼A,B,C,D)及び比
較例(鋼E,F)の化学成分である。比較例は不純物と
してのB及びC,Si,S,Nb,Ceq,Tieqが
いずれも本発明の範囲を外れ、更に鋼EはCu,Ni,
Tiが本発明の範囲を外れ、鋼FはTiが添加されてい
ない。但し、Cu,Niは本発明における低C−低Si
系成分の強度補償のために限定されているものであり、
比較例が範囲外であっても冶金的には構わないが、本発
明ではCeqを満足するかどうかが本質的な問題とな
る。尚、本発明鋼はPCMも0.19〜0.22%である
のに対して比較例は0.22〜0.28%となってい
る。本発明例と実施例の製造実績を表2に圧延実績と共
に示す。本発明例の加熱温度はいずれも特許請求の範囲
内であるのに対して、比較例はいずれも高C−高Nb−
高Tiの為に加熱温度が1190℃と本発明の範囲を外
れている。一方、本発明例Aは未再結晶域温度における
CR累積圧下率が40%とセパレーション発生の伴わな
い本発明の範囲内で実施されているのに対し、比較例F
はCR累積圧下率が80%と本発明の範囲外で実施され
ている。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】強度特性に関しては発明例も比較例もいず
れもHT590,HT690及びHT780クラスの規
格を満足している。一方、本発明例の母材靱性はいずれ
も高靱性(vTrs)、高吸収エネルギー(vTsここ
ではvT-20 )であり、本発明例AはvE-20 を犠牲に
せずvTrsが高位であるのに対して、比較例EはvT
rs,vT-20 とも低く、比較例Gは吸収エネルギーを
犠牲にしてセパレーションを発生させる80%のCR累
積圧下率を実施しているにも拘らずvTrsは本発明例
と同レベルにとどまっている。耐治具跡割れ性(小入熱
溶接の特性、間接的に耐水素誘起割れ特性も)を示すJ
IS最高硬さ(Hv10)試験は本発明例がいずれも2
50以下であるのに対して、不純物としてのBが高くB
uやM* が出易い成分系の比較例はいずれも300以上
と極めて高い。
【0024】最高硬さと共に現地溶接性を示す高水素雰
囲気下(28cc/100g)での水平一層隅肉溶接に
よる拘束割れ試験(0℃)において本発明例ではいずれ
も割れが観察されなかったのに対して、不純物としての
BやCeqが高い比較例ではいずれも割れ(低温割れ)
が観察され、大部分の割れはルート部に発生してHAZ
側に伝播していた。大入熱SEG−ARC溶接によるH
AZ靱性(FL,Hl,H3におけるvE-20 平均値の
MIN値)において本発明例がいずれも高位であるのに
対して、BuやM* が出易い成分系(C,Si,Nb,
Ti)でHAZのγ粒内におけるα変態が不十分な成分
(S,Tieq)の比較例は靱性が極めて悪い。
【0025】
【発明の効果】以上の如く本発明鋼は成分系を特定する
ことにより、調質高張力鋼の変態組織を安定して靱性の
良い組織に改善可能ならしめた。その結果、大入熱溶接
性、耐治具跡割れ性(小入熱溶接性,耐水素誘起割れ
性)、現地溶接性(予熱省略、高水素雰囲気溶接)をも
同時に改善した。一方、本発明は金属組織的改善により
高張力鋼の高靱性化を達成した結果、従来技術の如き未
再結晶温度域におけるCRをも不要ならしめて圧延時の
生産性の低下を解消可能とするものである。これによ
り、厚板の生産性を高めるだけでなく大型構造物製造の
工期短縮を可能とし且つ景観の保全等にも資するもので
ある。従って、本発明により産業界が受ける経済的利益
はもとより環境保全的な利益は多大なものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るTiとNの成分狙い範囲を示す図
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】(2)重量%でCr:0.05〜1.00
%、Mo:0.05〜1.00%、V:0.005〜
0.10%の一種又は二種以上を鋼に含有せしめた事を
特徴とする(1)記載の現地溶接性及び耐治具跡割れ性
に優れた大入熱溶接用調質高張力鋼。 (3)MnSの複合析出物形成に際して出鋼時のSiに
よる弱脱酸に引続き真空脱ガス時にTi添加後Alによ
り完全脱酸を行ってTiON又はTiNを形成せしめた
鋼を鋳造後直ちに、又はAc点以上1170℃以下に
再加熱後一般の厚板圧延又は必要に応じて累積圧下率6
0%以下の未再結晶温度域圧延に引続き焼き入れ焼き戻
しを行う事を特徴とする(1)又は(2)記載の現地溶
接性及び耐治具跡割れ性に優れた大入熱溶接用調質高張
力鋼の製造方法である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.10%以下、 Si:0.10%以下、 Mn:0.50〜2.20%、 P :0.015%以下、 S :0.0008〜0.0025%、 Sol.Al:0.010〜0.10%、 (Si+Sol.Al):0.13%以下、 Cu:0.50〜2.50%、 Ni:0.50〜2.00%、 Nb:0.005〜0.024%、 Ti:0.005〜0.018%、 N :0.0020〜0.0050% を含み残部鉄及び不可避的不純物からなり、更に不純物
    としてのBをB:0.0002%以下とし、且つ次式で
    定められるCeq,TieqをCeq:0.38%以
    下、Tieq:−0.007〜0.005%とし、又M
    nSがTiON又はTiNとの複合析出物を形成する事
    を特徴とする現地溶接性及び耐治具跡割れ性に優れた大
    入熱溶接用調質高張力鋼。 Ceq:C+1/6Mn+1/24Si+1/40Ni
    +1/5Cr+1/4Mo+1/14V Tieq:Ti−3.4×N
  2. 【請求項2】 重量%でCr:0.05〜1.00%、
    Mo:0.05〜1.00%、V:0.005〜0.1
    0%の一種又は二種以上を鋼に含有せしめた事を特徴と
    する請求項1記載の現地溶接性及び耐治具跡割れ性に優
    れた大入熱溶接用調質高張力鋼。
  3. 【請求項3】 MnSの複合析出物形成に際して出鋼時
    のSiによる弱脱酸に引続き真空脱ガス時にAlにより
    完全脱酸を行ってTiON又はTiNを形成せしめた鋼
    を鋳造後直ちに、又はAc3 点以上1170℃以下に再
    加熱後一般の厚板圧延又は必要に応じて累積圧下率60
    %以下の未再結晶温度域圧延に引続き焼き入れ焼き戻し
    を行う事を特徴とする請求項1又は請求項2記載の現地
    溶接性及び耐治具跡割れ性に優れた大入熱溶接用調質高
    張力鋼の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100470052B1 (ko) * 2000-11-17 2005-02-04 주식회사 포스코 고강도 용접구조용 강재 및 그 제조방법
KR100481363B1 (ko) * 2000-12-15 2005-04-07 주식회사 포스코 미세한TiO산화물과 TiN의 석출물을 갖는 고강도용접구조용 강의 제조방법
KR100482208B1 (ko) * 2000-11-17 2005-04-21 주식회사 포스코 침질처리에 의한 용접구조용 강재의 제조방법

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KR100470052B1 (ko) * 2000-11-17 2005-02-04 주식회사 포스코 고강도 용접구조용 강재 및 그 제조방법
KR100482208B1 (ko) * 2000-11-17 2005-04-21 주식회사 포스코 침질처리에 의한 용접구조용 강재의 제조방법
KR100481363B1 (ko) * 2000-12-15 2005-04-07 주식회사 포스코 미세한TiO산화물과 TiN의 석출물을 갖는 고강도용접구조용 강의 제조방법

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