JPH0692685A - ムライトセラミックス強化シリカガラス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、透明性に優れたムライトセラミッ
クス強化シリカガラスを提供する。 【構成】 シリカガラスマトリックス中にムライト鉱
物を主成分とするセラミックスを存在させたシリカガラ
ス複合体。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性に優れたシリカ
ガラス複合体、特に半導体熱処理治具用として優れた合
成シリカガラス複合体および放電管用透明合成シリカガ
ラス複合体に関する。 【０００２】 【従来の技術】従来、石英ガラスは、高い純度を有し、
熱膨張率が極めて小さく耐急熱急冷性に優れるところか
ら、半導体工業用、あるいは照明工業用ガラスとして用
いられてきた。前者の用途としては、シリコンウエハー
ボート、電気炉内ガラスチャンバー等の熱処理治具とし
て、また後者の用途としては、水銀ランプ用バルブ、メ
タルハライドランプ用バルブ等の放電管用チューブとし
て用いられてきた。 これらの用途に使用される石英ガ
ラスはその原料を天然の水晶等に求めていた。ところ
が、この天然の水晶等を溶融した溶融石英ガラス（以下
溶融石英ガラスという）には微量な不純物が含まれてお
り、これがウエハーの汚染をもたらしたり、あるいは高
温においてシリカガラスの再結晶あるいは結晶成長を起
こす原因となり、放電管用チューブを失透させる等の欠
点を有していた。 【０００３】上記汚染や失透を防止するため、四塩化ケ
イ素等のケイ素化合物を原料として合成された高純度の
シリカガラス（以下合成シリカガラスという）の使用が
図られたが、この合成シリカガラスは、前記溶融石英ガ
ラスに比べ、高温における粘度が低いため、大型化し、
重量も大きくなった半導体シリコンウエハーの熱処理治
具用素材としても、また高温、高圧で使用される発光ラ
ンプバルブ用素材としても不適当であると考えられてき
た。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】上記事情に鑑み、本発
明者等は、最近の半導体工業や照明工業の要望に応じた
シリカガラスを提供すべく鋭意研究を重ねたところ、合
成シリカガラス内にムライト鉱物を主成分とするセラミ
ックスを存在させることにより合成シリカガラスの純度
を保つと共に、溶融石英ガラス以上の耐熱性を有し、熱
処理時やランプ発光時の変形もなく、しかも可視域にお
いて透明な新規なシリカガラス複合体を発見し、本発明
を完成するに到ったものである。 【０００５】すなわち、本発明は、耐熱性に優れると共
に、透明性にも優れた新規なシリカガラス複合体を提供
することをその目的とする。 【０００６】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、シリカガラスマトリックス中にムライト鉱物を主
成分とするセラミックスを存在させることを特徴とす
る、高温度下における粘度を向上させたムライトセラミ
ックス強化シリカガラスに係る。 【０００７】上記ムライト鉱物を主成分とするセラミッ
クスは、シリカガラスマトリックス中に分散溶融時に反
応ガスを発生し不透明化する成分を含有してはならな
い。ち であるため、シリカガラスマトリックス中でのなじみが
良い。かかるムライト鉱物を主成分とするセラミックス
はシリカガラスマトリックス中に０．０１〜４０ｗｔ．
％の範囲で存在させるのがよい。前記範囲以上では、ム
ライトとシリカガラスの熱膨張率の差により、サーマル
ッショック性が悪くなり、クラックが発生し易くなる。
また前記範囲以下では耐熱性の向上が認められない。 【０００８】【０００９》ここで「存在させる」とは、ムライト鉱物
を主成分とするセラミックスが短繊維状、粒子状でシリ
カガラスマトリックス中に均一に分散した状態をいう。 【００１０】 【００１１】上記ムライト鉱物を主成分とするセラミッ
クス強化シリカガラスの用途として高純度を必要としな
い場合には、シリカガラスマトリックスとして溶融石英
ガラスを使用しても良い。この溶融石英ガラスの使用に
より一層の耐熱性の向上が図られる。 【００１２】本発明のムライトセラミックス強化シリカ
ガラスは、例えば原料のシリカガラスを粉砕し、その粒
度を調整し、これに予め長さ等を調整したムライト鉱物
を主成分とするセラミックスを均一に混合し、加熱溶融
しガラス化する等の製造法で得られる。 【００１３】以下に実施例を示しさらに本発明を詳細に
説明する。 【実施例】純度９９．９９９９ｗｔ％以上の合成シリカ
ガラスを微粉砕し、粒度＃６０〜１５０（タイラーメッ
シュ、０．２５〜０．１０５ｍｍ）のシリカガラス粉を
得た。このシリカガラス粉のＯＨ基含有量は１０ｗｔ．
ｐｐｍ以下であった。 【００１４】 【００１５】得られたムライトセラミックス強化シリカ
ガラスの物性値を表１に示す。表中各物性値は、次の測
定法で求めた数値である。 外観検査 ： 目視による。 透過率測定 ： ＨＩＴＡＣＨＩ Ｍｏｄｅｌ Ｕー３
２１０分光光度計を用い、厚さ２ｍｍの両面鏡面研磨仕
上げした試料に波長５８８ｎｍの光を透過し、その直線
透過率を測定した。 粘度測定 ： ＡＳＴＭのＮｏ．Ｃ５９８に準じ、ビ
ームベンデイング法により１１００℃における粘度を測
定した。 【００１６】 【表１】 【００１７】 【発明の効果】上記表１に示すように本発明のムライト
セラミックス強化シリカガラは、溶融石英ガラスである
Ｈｅｒａｌｕｘと同程度以上の耐熱性を有し、かつ透明
性にも優れている。このように高温における耐熱性が高
く、かつ透明性も優れているところから、半導体用熱処
理治具用ガラスとして、またメタルハライドランプのよ
うな放電管用透明シリカガラスとして有用である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 正則 福島県郡山市田村町金屋字川久保88 信越 石英株式会社郡山工場内

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 シリカガラスマトリックス中にムライト
   鉱物を主成分とするセラミックスを存在させることを特
   徴とする、高温度下における粘度を向上させたムライト
   セラミックス強化シリカガラス。 【請求項２】 ムライト鉱物を主成分とするセラミック
   スがシリカガラスマトリックスに対して０．０１〜４０
   ｗｔ．％含有することを特徴とする請求項１記載のムラ
   イトセラミックス強化シリカガラス。 【請求項４】 厚さ２ｍｍ，波長５８８ｎｍにおける光
   透過率が６０％以上であるムライトセラミックス強化シ
   リカガラスからなる放電管用透明シリカガラスチュー
   ブ。