JPH0692487B2 - グルテンの成形方法及び該方法によって得られるグルテン成形体 - Google Patents

グルテンの成形方法及び該方法によって得られるグルテン成形体

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JPH0692487B2
JPH0692487B2 JP26484491A JP26484491A JPH0692487B2 JP H0692487 B2 JPH0692487 B2 JP H0692487B2 JP 26484491 A JP26484491 A JP 26484491A JP 26484491 A JP26484491 A JP 26484491A JP H0692487 B2 JPH0692487 B2 JP H0692487B2
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三雄 安井
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長田産業株式会社
三雄 安井
岩男 山下
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小麦グルテンを所望の
形状に成形する方法及び該方法によって得られる成形体
に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】加工が容
易で安価な成形体としては、プラスチックの成形体が広
く知られている。このような、プラスチック成形体は、
使用後に焼却したりあるいは土の中に埋めて廃棄されて
いる。
【0003】しかし、このような処理方法に対しては、
次のような問題がある。
【0004】プラスチック成形体は焼却すると極めて
高い熱を発生して焼却炉を傷めたり有毒ガスを発生する
おそれがある。
【0005】プラスチック成形体は土壌中の微生物に
は分解されないために、土中に埋めてもそのままの形で
残ってしまう。したがって、土地の少ないところでは、
廃棄処分に限界がある。
【0006】上記のようにプラスチック成形体は、その
処理方法をめぐって重大な社会問題を惹き起こしてい
る。
【0007】そこで、本発明者らは、上記の問題を解決
し得る成形体を見出し、先に特許出願を行なっている
(特開平2−67109号公報参照)。この成形体は、
熱により凝固するという小麦グルテンの熱硬化性を利用
したものであり、含水小麦グルテンを金型の中に入れて
加熱下で加圧することにより硬化させて得られるもので
ある。
【0008】このようにして得られた成形体は、物品を
収納する容器などプラスチックの代用品として使用する
ことができる。しかも、小麦グルテンといった天然物を
原料としているので、使用後は土中に埋めるだけで土壌
中の微生物により容易に分解される。
【0009】しかしながら、上記の成形体は剛性を有す
るため保形性には優れているものの、可塑性や弾性(以
下、「柔軟性」という。)が乏しいためにその用途には
自ずと限界があった。例えば、家庭でよく使用されてい
るゴミ袋のような柔軟性を必要とするものには用いるこ
とができなかった。
【0010】本発明は、柔軟性を保有するグルテン成形
体を得る方法および該方法により得られるグルテン成形
体を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段と作用】請求項1の発明の
グルテンの成形方法は、小麦グルテンに、小麦グルテン
を可塑化可能にする物質を混合し、この混合物を加熱し
て所望の形状に成形する方法である。
【0012】請求項2のように、前記混合物に耐水性付
与剤を配合することが好適である。
【0013】請求項3の発明のグルテン成形体は、小麦
グルテンと小麦グルテンを可塑化可能にする物質との混
合物を加熱して所望の形状に成形したものである。
【0014】請求項4のように、前記混合物に耐水性付
与剤が配合されていることが好適である。
【0015】この小麦グルテンというのは、小麦中のタ
ンパクの総称で、小麦の小胞体、細胞膜、プロテインボ
ディ由来のポリペプチドからなるグリアジンとグルテニ
ンが相互にジスルフィド結合あるいは水素結合等により
結合した巨大分子であり、通常炭水化物10〜12%、
脂質8〜12%を含んでいる。小麦グルテンは、粉末
状、顆粒状、ペースト状のいずれのものでも使用するこ
とができる。
【0016】なお、本願において、小麦グルテンを可塑
化可能にする物質(以下、「可塑剤」と呼ぶ。)とは、
熱硬化性である小麦グルテンを加熱成形した場合でも、
得られる成形体が柔軟性を保持するようにならしめる物
質をいう。言い換えれば、高沸点でグルテンとの相溶性
のある化合物が好ましい。
【0017】可塑剤は、親水性可塑剤と疎水性可塑剤と
に分類され、本発明に使用される親水性可塑剤として
は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ペンタノール等のアルコール類;グリセリン、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレン
グリコール、プロピレングリコールなどのポリオール
類;ペンテトール、ヘモシトールなどの糖アルコール類
などが挙げられる。親水性可塑剤は単独で用いてもよ
く、2種以上のものを併用しても構わない。
【0018】疎水性可塑剤としては、シリコンオイル、
動植物性油脂、流動パラフィン、ヘキサン、石油エーテ
ル、鉱油などが挙げられる。疎水性可塑剤を単独で使用
すると、疎水性可塑剤と小麦グルテンとが分離してしま
う。これを回避するため、疎水性可塑剤を使用する際に
は、親水性可塑剤を併用することが好ましい。
【0019】可塑剤の使用量には特に限定はないが、小
麦グルテン100重量部(以下、単に「部」という。)
に対して5〜80部が好ましい。なお、可塑剤の使用量
が少ないときは、水を少量加えることが成形上好まし
い。この際、可塑剤と水との合計量が、小麦グルテン1
00部に対して40〜50部であることが好ましい。ま
た、可塑剤の種類と使用量を調整すれば、得られる成形
体の物性を任意に変えることができる。
【0020】小麦グルテンと可塑剤との混合物に硫黄な
どの加硫剤(架橋剤)を混入しても構わない。加硫剤を
混入すれば、得られるグルテン成形体に弾性を付与する
ことができ、成形体の引張り強度が改善する。これは、
加硫剤が小麦グルテンのSH基あるいはS−S結合と反
応し、分子内で部分架橋を形成するためであると推定さ
れる。また、得られる成形体に耐水性を付与することが
できる。
【0021】なお、小麦グルテンは親水性部分と疎水性
部分とを有し、そのうち疎水性部分はグルテンの分子内
部に埋もれていることが多い。このため小麦グルテン
は、球状タンパクともいわれている。このままでは、上
記のように加硫剤を混入しても、この疎水性部分におけ
るSH基およびS−S結合は加硫剤と接触する機会がな
く架橋は進まない。したがって、分子内に埋もれている
疎水性部分のSH基およびS−S結合を加硫剤と接触で
きるように露出させる必要がある。これは、尿素、塩化
第二水銀、塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤を加えるこ
とによって可能となる。蛋白変性剤を併用すれば架橋が
促進する。また、蛋白変性剤を使用すると、成形体の伸
びが大きくなる傾向がある。
【0022】加硫剤および蛋白変性剤の使用量には特に
限定はないが、小麦グルテン100部に対して、加硫剤
20部以下、蛋白変性剤50部以下が好ましい。
【0023】また、ここでいう耐水性付与剤とは、最終
的に得られる成形体に耐水性を付与するためのものであ
り、成形前における、小麦グルテンと可塑剤との混合物
に配合するものである。
【0024】前記耐水性付与剤は特に限定はなく、従来
公知の市販品を使用することができる。その具体例とし
ては、シリコンオイル、流動パラフィンなどの撥水剤;
オクタデシルエチレンウレア、ラウリル硫酸ナトリウム
等の反応剤(反応性撥水剤)などが挙げられる。そのう
ち、オクタデシルエチレンウレアのように、タンパクと
結合し得る基(以下、「タンパク結合基」という)を有
した化合物を使用することが好ましい。タンパク結合基
を有した耐水性付与剤を使用すれば、該耐水性付与剤
は、得られた成形体においてグルテンと結合した状態で
存在し、このために、耐水性付与剤のある溶媒中への溶
出を防止することができるので好適である。
【0025】タンパク結合基を有した耐水性付与剤は、
前述したように従来公知の市販のものを使用することが
できるが、例えば、炭素数3以上の脂肪族基の末端ある
いは内部に、タンパク結合基を導入したものを使用して
も構わない。
【0026】タンパク結合基としては、タンパクと結合
性を示すものであれば特に限定はなく、アジリジニル基
(下記[化1]参照)、
【0027】
【化1】
【0028】、エポキシ基、イソシアネート基、ハロゲ
ン基などが挙げられる。
【0029】脂肪族基に前記タンパク結合基を導入する
際においては、タンパク結合基を直接脂肪族基に導入し
てもよいし、あるいはタンパク結合基と結合し、かつ前
記脂肪族基と反応性を示す活性基及び不飽和基を、該脂
肪族基に反応させることにより導入しても構わない。
【0030】耐水性付与剤を配合する場合、その配合量
には特に限定はないが、小麦グルテン100部に対して
2〜60部が好ましい。配合する量が2部未満である
と、充分な耐水性が期待できず、60部を超えると、強
度が低下するという問題が生じる。
【0031】なお、グルテン成形体に耐水性を付与する
方法としては上記のほか、成形後のものに対して、例え
ばフッ素コーティングを施したり、疎水性膜を被覆する
などの種々の方法があるが、上記した耐水性付与剤を混
合する方法によれば、成形前における、小麦グルテンと
可塑剤との混合物に前記耐水性付与剤を配合するだけ
で、簡便で安価に、耐水性が付与されたグルテン成形体
を得ることができるので好ましい。
【0032】次に、グルテン成形体を製造する方法の一
例を述べる。まず、グルテン粉末に可塑剤を加え、両者
が均一となるように素練りする。素練り時の温度は30
〜35℃で、ロール練りによる方法が好ましい。加硫剤
や蛋白変性剤などを加える場合には、一定時間素練りし
た後に添加して、さらに素練りすることが好ましい。ま
た、特に尿素のように水溶液として加える際には、加え
た後、さらに40℃で24時間乾燥させることが好まし
い。
【0033】次いで、この素練り物に熱を加えて溶融
し、所望の形状に成形する。冷却後、得られたグルテン
成形体は柔軟性を有する。成形時における加熱温度は1
20〜160℃であり、この時の圧力は60〜200k
g/cmである。成形方法としては、プレス成形法、
カレンダー加工法、押出し成形法、インジェクション法
などが挙げられる。また、得られる成形体の形状として
は、特に限定はなく、上記した成形方法によって得られ
る形状、例えば、シート状、紐状、袋状、容器状などが
挙げられる。
【0034】
【発明の効果】請求項1の発明のように、小麦グルテン
に可塑剤を混入して加熱成形すれば、特に複雑な装置や
機械を使用する必要がなく、柔軟なグルテン成形体を得
ることができる。
【0035】請求項2のようにすれば、耐水性に優れた
グルテン成形体を簡便に安価に製造することができる。
【0036】請求項3の発明のような、小麦グルテンと
可塑剤との混合物を溶融して得られるグルテン成形体
は、柔軟性を有し、ゴミ袋や物品を収納しておく収納袋
などプラスチックの代用品として広く使用することがで
きる。また、使用後は、土中に埋めるだけで土壌中の微
生物により分解されるので、廃棄処分が容易である。ま
た、焼却しても有毒ガスが発生しないので焼却処分も容
易である。また、小麦グルテンは、天然タンパクとして
自然界に大量に存在し、しかも比較的に低価格であるた
め、本願の成形体は広範囲の用途に用いることができ
る。
【0037】請求項4のようにすれば、耐水性に優れた
成形体を得ることができ、用途が飛躍的に広がり好適で
ある。
【0038】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0039】実施例1〜15 小麦グルテン粉末(商品名:フメリットE、長田産業
(株)製)100部に、グリセリン単独あるいはグリセ
リンと水との混合物を加えた。グリセリンと水との混合
物は、その合計量が40部となるように調整した。これ
らをミキサーにより均一に混合した後、30〜35℃で
5分間ロール練りを行なった。その後、硫黄0〜9部を
加え約1分間混捏した。
【0040】これらを、120〜150℃で60〜20
0kg/cmの圧力のもとで3分間、プレス成形して
膜厚0.5mmの半透明シートの成形体を得た。これら
の成形体から得た試験片を用いて、引張り強度および引
裂き強度についての試験を行なった。
【0041】[表1]に、小麦グルテン粉末、グリセリ
ン、水および硫黄の配合量を示すとともに、上記試験の
結果を併記する。
【0042】なお、引張り強度試験は、作製したダンベ
ル型試験片をインストロン型の万能試験機を用いて引張
り速度200mm/minでこの試験片の両端部を引張
ることにより行なった。
【0043】また、引裂き強度試験は、作製した試験片
の両端をショッパーのつかみ具でつかんで引張ることに
より行なった。
【0044】なお、比較例として、小麦グルテンに水の
みを加えたものを上記の方法に従って成形し、膜厚0.
5mmのシート状の成形体を得た。得られた成形体は硬
くて脆かった。
【0045】
【表1】
【0046】[表1]から明らかなように、硫黄を含む
と、含まないとにかかわらず、グリセリン濃度の上昇と
ともに引張り強度は低下する。その勾配は硫黄を含む系
で4.4kg/deg、含まない系で5.1kg/de
gであり、硫黄を加えることによって引張り強度の低下
の抑制がみられる。
【0047】引裂き強度に関しては、グリセリン10〜
40部で高い数値となり、40部を超えると顕著に引裂
き強度が低下することが分かる。また、グリセリンを同
量加えた系について、硫黄を含む系と含まない系とを比
較した場合、硫黄を含む系の方が高い数値となってい
る。しかも、硫黄を含む系について比較すれば、硫黄を
より多く加えた方がさらに高い数値となっている。これ
により、硫黄を加えることによって引裂き強度の低下の
抑制がみられる。これは、硫黄により小麦グルテンの分
子内において部分架橋が行なわれているからであり、こ
のことはキュラストメーターからも実証された。上記引
張り強度に関しても同じことが言える。
【0048】また、硫黄を含む成形体と含まない成形体
とを23℃の水中に5〜30分浸漬し、それぞれの水浸
漬時の経時的強度変化を比較した。これにより、硫黄を
加えたことによって耐水性が付与されていることが分か
った。
【0049】さらに、実施例1〜15の成形体を土の中
に埋め、経時的崩壊性の観察を行なった結果、ほとんど
のものが1週間で表面にカビの発生が認められ、4週間
で完全にその形状が崩壊した。
【0050】実施例16〜31 小麦グルテン粉末(商品名:フメリットE、長田産業
(株)製)100部にグリセリン30部および水0〜2
0部を加え、ミキサーにより均一に混合した後に30〜
35℃で5分間ロール練りを行なった。その後、尿素0
〜36部および硫黄0〜3部を加え約1分間混捏した。
【0051】これらを120℃で圧力60〜150kg
/cmのもとで3分間、プレス成形して膜厚0.5m
mの半透明シートの成形体を得た。これらの成形体から
得られた試験片を用いて、引張り強度および引裂き強度
についての試験を行なった。試験方法は実施例1〜15
と同様である。
【0052】[表2]に、小麦グルテン粉末、グリセリ
ン、水、尿素および硫黄の配合量を示すとともに、上記
試験の結果を併記する。
【0053】
【表2】
【0054】[表2]から明らかなように、尿素の濃度
が上昇するにつれ、引張り強度および引裂き強度はとも
に低下し、破断時伸びは上昇する傾向が見られる。しか
しながら、同じ重量の尿素を含む系について、硫黄を含
んでいる系と含んでいない系とを比較すれば、硫黄を含
んでいる系の方が含んでいない系に比べて引張り強度お
よび引裂き強度の数値が極めて高くなっている傾向が見
られる。これは、グルテン分子の内部に埋もれているグ
ルテンの疎水性部分のSH基およびS−S結合が、尿素
を加えることによって外部に露出し、硫黄と接触する機
会が増えて架橋が促進されるためであると推測される。
【0055】また、引裂き強度に関し、水を含まない系
(実施例16および17)と含む系(実施例18および
19)とを比べた場合、水を含む系の数値の方が高くな
っている。これは、水が可塑剤であるグリセリンと協奏
するからであると推測される。乾燥により水分が除去さ
れるにもかかわらず、このように引裂き強度の数値が高
いのは、水を加えることによりグルテンの分子内の構造
が変化して、新しい水素結合が形成しているからである
と考えられる。
【0056】実施例32〜43 小麦グルテン粉末(商品名:フメリットE、長田産業
(株)製)100部にエチレングリコールあるいはジエ
チレングリコールのどちらかを加えるとともに、水0〜
5部を加えてミキサーにより均一に混合し、30〜35
℃で5分間ロール練りを行なった。その後、硫黄0〜3
部を加え約1分間混捏した。
【0057】これらを120℃で圧力60〜150kg
/cmのもとで3分間、プレス成形して膜厚0.5m
mの半透明シートの成形体を得た。これらの成形体から
得た試験片を用いて、引張り強度および引裂き強度につ
いての試験を行なった。試験方法は実施例1〜15と同
様である。
【0058】[表3]に、小麦グルテン粉末、エチレン
グリコールあるいはジエチレングリコール、水および硫
黄の配合量を示すとともに、上記試験の結果を併記す
る。
【0059】
【表3】
【0060】[表3]から明らかなように、引張り強度
に関し、エチレングリコールを使用した場合、ジエチレ
ングリコールを使用した場合の双方ともに硫黄を含む系
の方が含まない系よりも数値が高くなっている。この場
合も、硫黄による部分架橋が関係しているものと推測さ
れる。
【0061】引裂き強度は、硫黄の有無に影響されず、
エチレングリコールあるいはジエチレングリコールが3
0〜40部で高い数値となっており、40部を超すと顕
著に引裂き強度が低下していることが分かる。
【0062】実施例44〜47 小麦グルテン粉末(商品名:フメリットE、長田産業
(株)製)に、ジエチレングリコールおよび耐水性付与
剤としてオクタデシルエチレンウレア(商品名:オクテ
ックスEM、保土ケ谷化学(株)製)をそれぞれ加え、
ミキサーにより均一に混合し、30〜35℃で5分間ロ
ール練りを行なった。その後、硫黄を加え約1分間混捏
した。(下記[表4]に、小麦グルテン粉末、ジエチレ
ングリコール、硫黄およびオクタデシルエチレンウレア
のそれぞれの配合量を示す。)。
【0063】
【表4】
【0064】その後、120℃で圧力60〜150kg
/cmのもとで3分間、プレス成形して膜厚0.5m
mの半透明シートの成形体を得た。この成形体から得た
試験片を用いて、下記に示す耐水性試験を行なった。
【0065】耐水性試験 各々の試験片を水中に浸漬し、その後、各試験片につい
て引張り試験(試験方法は実施例1〜15と同様であ
る。)を行なった。
【0066】前記引張り試験により得られた引張り強度
と水中浸漬時間との関係を図1に示す。
【0067】図1のグラフから明らかなように、オクタ
デシルエチレンウレアを含む系と含まない系とを比較し
た場合、オクタデシルエチレンウレアを含む系の方が、
高い引張り強度を有している。すなわち、オクタデシル
エチレンウレアを含む方が、優れた耐水性を有してい
る。
【0068】また、オクタデシルエチレンウレアを含む
系同志で比較した場合、小麦グルテン100部に対して
8部配合したもの(実施例46)より、15部配合した
方(実施例47)が優れた耐水性を示している。
【0069】さらに、オクタデシルエチレンウレアを含
む成形体(実施例46、47)を土の中に埋め、経時的
崩壊性の観察を行なった。その結果、ほとんどのものが
1週間で表面にカビの発生が認められ、4週間で完全に
その形状が崩壊した。このように、生分解性に関して
は、オクタデシルエチレンウレアを含まない成形体と大
差なかった。
【0070】また、他の実施例として、小麦グルテン1
00部とジエチレングリコール30部との混合物に、シ
リコンオイル10〜20部を加えてシート状の成形体を
得た。この成形体について水浸漬時の経時的強度変化を
測定した。その結果、耐水性が大幅に改善されているこ
とが分かった。
【0071】実施例48 小麦グルテン粉末(商品名:フメリットE、長田産業
(株)製)100部にジエチレングリコール30部を加
えるとともに、耐水性付与剤としてオクタデシルエチレ
ンウレア(商品名:オクテックスEM、保土ケ谷化学
(株)製)を配合量を変えて加え、ミキサーにより均一
に混合し、30〜35℃で5分間ロール練りを行なっ
た。
【0072】その後、120℃で圧力60〜150kg
/cmのもとで3分間、プレス成形して膜厚0.5m
mの半透明シートの成形体を得た。この成形体から得た
試験片を用いて、オクタデシルエチレンウレアの溶出試
験を行なった。溶媒はトルエンを用いた。
【0073】オクタデシルエチレンウレアの配合量と、
トルエンによって溶出したオクタデシルエチレンウレア
の量との関係を図2に示す。
【0074】図2により明らかなように、いずれの場合
にあっても、配合量と溶出量との間に、一定の誤差(約
2重量%の誤差)が生じている。つまり、約2重量%の
オクタデシルエチレンウレアがトルエン中に溶出してい
ない。これは、約2重量%のオクタデシルエチレンウレ
アがグルテンと結合したために溶出しなかったものと推
察できる。
【0075】すなわち、耐水性付与剤の配合量を調節す
ることにより、溶媒中への溶出が起こり得ないようなグ
ルテン成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例44〜47の耐水性試験における、水中
浸漬時間と引張り強度との関係を示したグラフ。
【図2】実施例48の溶出試験における、オクタデシル
エチレンウレアの配合量とトルエンによって溶出したオ
クタデシルエチレンウレアの量との関係を示したグラ
フ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 同前 孝志 兵庫県宍粟郡山崎町千本屋215番地 長田 産業株式会社内 (72)発明者 杉元 正和 兵庫県宍粟郡山崎町千本屋215番地 長田 産業株式会社内 (72)発明者 安井 三雄 京都府向日市寺戸町渋川15−16 (72)発明者 山下 岩男 兵庫県川西市湯山台1−22−14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】小麦グルテンに、小麦グルテンを可塑化可
    能にする物質を混合し、この混合物を加熱して所望の形
    状に成形することを特徴とするグルテンの成形方法。
  2. 【請求項2】前記混合物に耐水性付与剤を配合すること
    を特徴とする請求項1に記載のグルテンの成形方法。
  3. 【請求項3】小麦グルテンと小麦グルテンを可塑化可能
    にする物質との混合物を加熱して所望の形状に成形した
    ことを特徴とするグルテン成形体。
  4. 【請求項4】前記混合物に耐水性付与剤が配合されてな
    ることを特徴とする請求項3に記載のグルテン成形体。
JP26484491A 1990-10-16 1991-10-14 グルテンの成形方法及び該方法によって得られるグルテン成形体 Expired - Lifetime JPH0692487B2 (ja)

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