JPH0691806A - 結露水の滴下防止機能を有する金属板 - Google Patents

結露水の滴下防止機能を有する金属板

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JPH0691806A
JPH0691806A JP24055292A JP24055292A JPH0691806A JP H0691806 A JPH0691806 A JP H0691806A JP 24055292 A JP24055292 A JP 24055292A JP 24055292 A JP24055292 A JP 24055292A JP H0691806 A JPH0691806 A JP H0691806A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】建築物の金属製屋根材や壁面に結露する結露水
の滴下を防止するための金属板を提供する。 【構成】製紙用パルプから抄造され、耐水強度が0.3
kgf/15mm以上、水滴落下限界能力値が45g/
2 以上、および坪量が40〜5000g/m2 である
用紙を、鉄、銅、アルミニウム等の金属板と貼合する。
これに使用する用紙は、特に難燃性を付与するために、
パルプに無機粉体を混合して抄造することもでき、ある
いは無機粉体とバインダーとからなる塗工液を原紙に塗
工することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物の金属製屋根材
の内面や金属製壁材面等に結露する結露水の滴下を防止
する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄板、アルミニウム板、銅板等の金属板
を、屋根や壁材として使用することは広く行われてい
る。たとえば金属製屋根の場合は、折板式、瓦棒式、波
板式、ハゼ折り式等の形状の金属板がよく使用されてい
る。
【0003】ところで、熱伝導率の大きな金属板製の屋
根や壁材では、外気温度の変動によって屋内の水蒸気が
凝縮し、金属板の表面に結露することがよくある。結露
の弊害は、冬から春にかけての外気の寒暖差が大きな時
期、または梅雨時の湿度の高い時期に顕著に現れる。倉
庫などで製品を保管するような場合、春先に2,3日温
暖な日が続いた後、急激に外気温が下がるようなことが
よくある。このような場合は、屋根材の外気に接する面
の温度は、室内の空気に接する面の温度よりも相当低く
なり、室内側の屋根材の表面で結露が生じる。また、我
が国においては、1年のうち気温が急激に上昇するのは
梅雨あけの時期であり、このように急激に気温が上昇す
るときが、最も室内外の温度差が激しく、結露の弊害が
顕著となる。外気温の上昇に少し遅れて室内の空気温度
の上昇と、それよりさらに遅れて壁面の温度の上昇が始
まり、その後ほぼ平衡温度に達する。この時期は相対湿
度がきわめて高いため、もし壁面の温度が周囲雰囲気の
温度より2〜4℃程度低いと露点に達し、壁面に結露す
ると言われている。
【0004】こうして発生した結露水は金属板を腐食さ
せ、金属板の寿命を低下させる原因となったり、結露水
が滴下し、天井裏、壁面、床面等を汚染しシミ等の原因
となったりする。また、天井を設けない工場、倉庫など
では滴下した結露水が製品や機械器具を汚染したり腐食
したりする。また電気配線部分に滴下すると漏電の原因
となったりする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】結露を防止するため
に、従来は、ロックウールやガラスウール、発泡ウレタ
ン樹脂、不織布等の断熱材を金属板の内面に固着する方
法等がとられていた。しかしながら、このような断熱材
を金属板に固着する方法は、施工現場において金属板を
施工した後に行うことが多く、作業が煩雑となることは
免れない。また狭い場所での施工が多い、手間が掛かり
危険も伴う、費用が掛かる等の問題点もあった。また、
ガラスウール、ロックウール等の施工の際は作業環境が
悪く、残材の処理に問題があり、さらに発泡ウレタン樹
脂は燃焼すると高い熱量と有毒ガスを発生するので防災
上の問題もあった。
【0006】また、このように断熱材を金属板に固着し
た場合でも、結露の発生を完全に防ぐことはきわめて困
難である。特に前述のように冬から春にかけて、外気の
寒暖差が大きな時期、または梅雨時の湿度の高い時期
は、屋根や壁材の内面に結露水が凝結することが避けら
なかった。これら断熱材は後に述べる“水滴落下限界能
力値”が小さいため、吸収された水分は断熱材中に保持
されずに滴下することが避けられなかった。
【0007】本発明は、これら従来の方法の欠点を解消
し、金属板内面に結露する結露水の滴下を防止すること
ができる簡便かつ効果的な手段を提供することを目的と
してなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、製紙
用パルプから抄造され、耐水強度が0.3kgf/15
mm以上、水滴落下限界能力値が45g/m2 以上、お
よび坪量が40〜5000g/m2 である用紙を金属板
と貼合したことを特徴とする、結露水の滴下防止機能を
有する金属板である。
【0009】本発明者らは結露が起こる状況を詳細に観
察し、全く新たな視点から検討し直すことにより、特殊
な用紙を金属板に単に貼合するだけで結露の弊害を防止
することができることを見いだした。結露による弊害
は、結露水が滴下して天井裏等を汚染すること等により
起こることは前述の通りである。すなわち結露が生じて
も結露水が滴下しなければこれらの弊害は起こらないこ
ととなる。本発明者らは、結露水を何等かの方法で吸収
してしまえば滴下は起こらなくなるとの発想のもとで、
先ず種々の水吸収材を金属板に貼合して実験を行った。
【0010】さらに本発明者らは、水吸収材の素材とし
ては、施工の容易さ、生産性、製造価格等を考慮して、
製紙用パルプから抄造した紙素材が最適であるとの判断
から、各種の紙素材についてその水吸収特性を検討した
結果、“水滴落下限界能力値”という新たな尺度によっ
て、結露水の滴下防止能を効果的に判定できることを見
いだした。この水滴落下限界能力値は、Wa(g/
2 )の絶乾した紙の試験片を水に浸漬し、4時間後に
引き上げてこれを垂直に吊し、試験片表面に付着した過
剰水の滴下が終了した後秤量してこの重量をWb(g/
2 )とし、絶乾紙単位面積当りの飽和吸収水量を計算
する。即ち、水滴落下限界能力値は[Wb−Wa](g
/m2 )により定義される。そしてこの水滴落下限界能
力値が45g/m2 以上の用紙であれば、条件の最も悪
い環境下でも、金属板表面に生じた結露水を用紙の毛管
現象により吸収して、水滴を落下させることなく紙中に
保持しておくことができることが判明した。こうした理
由から、本発明で使用する用紙は45g/m2 以上の水
滴落下限界能力値を有することが必要となる。
【0011】また、結露水を吸収したときに用紙に耐水
強度がないと、形状を保持できなくなり、金属板から剥
がれ落ちる。本発明者らが検討した結果、本発明で使用
する用紙は、JIS P−8130に規定する紙の湿潤
強度測定方法によって得られる湿潤引張り強度で、0.
3kgf/15mm以上の耐水強度が必要なことが判明
した。耐水強度は後述するように、用紙の抄造時に湿潤
紙力増強剤等を添加することによって得られる。
【0012】さらにまた、本発明で使用する用紙は、施
工時に破損や変形を起こさない程度の強度を有すること
が必要となる。かような基本的な強度は、用紙の坪量が
40g/m2 以上あればよい。また、坪量が大きいほど
断熱性が向上し、水滴落下限界能力値も向上するが、坪
量が40g/m2 以上の用紙であれば、適度の断熱性を
備えており、さらには水滴落下限界能力値についても4
5g/m2 以上を達成させることが可能となる。一方坪
量があまり大きくなると用紙の製造が困難となりコスト
が高くなるだけでなく、重量が重くなって施工時の作業
性も悪くなる。かような観点から、坪量の上限は500
0g/m2 とする。
【0013】さらに本発明に使用する用紙には、一旦吸
収した結露水を速やかに放散する性質も要求される。本
発明で使用する用紙は、素材が紙であるので吸収した結
露水を用紙外周面から速やかに放散することができる。
【0014】本発明で使用する用紙は、製紙用パルプと
湿潤紙力増強剤を必須材料として抄造される。製紙用パ
ルプとしては、通常、NUKP、NBKP,LBKP,
NBSP、などの木材パルプが使用され、これを主体に
して必要により、麻、木綿、ワラパルプ、靭皮繊維、合
成繊維、PVA系繊維状バインダー、さらにはガラス繊
維,ロックウール,シリカ・アルミナシリケート繊維,
アルミナ繊維,ジルコニア繊維,チタン酸カルシウム繊
維等の無機繊維等を適宜混合することもできる。
【0015】湿潤紙力増強剤としては、メラミン樹脂、
尿素樹脂、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、ポリ
アクリルアミド系樹脂等の公知の湿潤紙力増強剤がいず
れも使用でき、0.3kgf/15mm以上の耐水強度
を出すために必要な量が添加される。通常、パルプ絶乾
重量に対して0.05〜2.0重量%、好ましくは0.
5〜1.0重量%の範囲で湿潤紙力増強剤を添加する。
【0016】抄紙するに際しては、製紙用パルプに湿潤
紙力増強剤、定着剤、さらに必要に応じて乾燥紙力増強
剤、サイズ剤、着色剤等を適宜添加し、通常フリーネス
300〜620ml C.S.F.で円網抄紙機、長網
抄紙機等を使用して常法により抄紙する。
【0017】かくして抄造された用紙は、本発明で使用
する用紙として要求される水滴落下限界能力値、耐水
性、強度、成形性、結露水の放散性、断熱性等を具備し
たものとなる。しかしながら、用紙の断熱性、水滴落下
防止性、結露水の放散性、成形性等をさらに促進、向上
する目的で、無機粉体を製紙用パルプに添加して抄造し
たり、あるいは無機粉体とバインダーを主材とする塗工
液を原紙の片面または両面に塗工することが望ましい。
また、使用する無機粉体の種類により用紙の難燃性、吸
放湿性、カビや細菌の繁殖防止能を高めることもでき
る。
【0018】使用する無機粉体の種類としては、従来か
ら製紙産業で大量に使用されているカオリン,クレー,
炭酸カルシウム,二酸化チタン,タルク等の他に、自己
消火性のある無機粉体、吸放湿性のある無機粉体、抗菌
性のある無機粉体等を単独で、あるいはこれらの混合物
として使用することができる。
【0019】自己消火性のある無機粉体としては、例え
ば水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,カルシウ
ムアルミネート,水酸化カルシウム,アルミン酸カルシ
ウム,ホウ酸亜鉛,ホウ酸カルシウム,メタホウ酸バリ
ウム,ホウ砂,ホウ酸等が挙げられ、これらは加熱され
ることにより吸熱反応で水分を多量に放出し、燃焼を防
止する能力がある。用紙に難燃性を与えるには、これら
の自己消火性の粉体を多量に用いることが必要であり、
例えば水酸化アルミニウムの場合には、単独で難燃性を
得るためには、セルロース繊維に対して、80重量%以
上含ませることが必要となる。
【0020】吸放湿性のある無機粉体としては、例えば
粉体自体が湿気を吸放湿するものや、粉体自体は湿気を
吸放湿しないが構造上比表面積が大きく毛細管現象によ
って水分吸着するものがある。前者として、例えば、シ
リカゲル,シリカアルミナゲル,アルミナゲル,合成ゼ
オライト,天然ゼオライト,合成シリカ,酸性白土,活
性白土,α−セピオライト,β−セピオライト,パリゴ
ルスカイト(アタバルジャイト),アロフェン,イモゴ
ライト等があり、後者として、例えば、ひる石,ケイ酸
カルシウム等がある。
【0021】抗菌性のある無機粉体としては、例えば銀
イオン,銅イオン等の抗菌性のあるイオンをゼオライト
の骨格構造中に取り込んだものや、銀イオンを付加した
活性炭繊維等が挙げられる。
【0022】本発明において無機粉体を製紙用パルプに
混合して抄造する場合には、通常、パルプ15〜90重
量%に対して無機粉体を85〜10重量%添加する。無
機粉体の量が90重量%を越えると、用紙としての物理
的強度が不足するので好ましくない。
【0023】無機粉体の使用方法としては、抄紙時に内
添させる方法の他に、無機粉体とバインダーを主体とす
る塗工液を原紙に塗工する方法がある。塗工液を調製す
るに際しては、前述したごとき無機粉体を単独または2
種類以上混合してこれに分散剤を加えて分散後、バイン
ダーとして、SBR,MBR等の合成ゴムラテックス、
アクリルエマルション、塩化ビニルエマルション、塩化
ビニリデンエマルション、およびこれらの共重合エマル
ション等、カゼイン、澱粉、PVA等を適宜組合わせて
添加する。この際、保水剤、流動性改良剤、防カビ剤、
防腐剤、着色剤等の副資材を必要に応じて添加する。バ
インダーとしては、発熱量が少なく難燃性のある、たと
えば塩化ビニルや塩化ビニリデンエマルション、あるい
はこれらとの共重合体を主体に使用することが好まし
い。
【0024】防カビ剤としては、ベンズイミダゾール系
化合物や含窒素硫黄化合物の配合剤等の公知のものが使
用でき、塗工液に対して通常0.1〜1.2重量%添加
する。無機粉体に前述の抗菌性無機粉体を使用する場合
は、防カビ剤の添加量が少なくて済む。
【0025】無機粉体に対するバインダーの添加割合
は、余り少ないと塗工層の必要強度が出ず、多すぎても
難燃性等に悪影響を与えるので、通常は、粉体に対して
5〜30重量%添加する。こうして調製した塗工液を、
エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコータ
ー等の塗工機で原紙の片面若しくは両面に塗工する。
【0026】前述のように、自己消火性のある無機粉体
だけで用紙を難燃化するには無機粉体を多量に併用しな
ければならず、用紙の強度が低下する等の問題を起こす
おそれがある。この欠点を防ぐため、無機粉体の添加量
を少なくして抄造した原紙に、抄紙機上(即ちオンマシ
ン加工)のサイズプレス装置やビルブレードコーター、
ゲートロールコーター等により必要により難燃剤を含浸
させることができる。含浸させる難燃剤としては、スル
ファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミ
ン酸アンモニウム、縮合リン酸アルキルエステル誘導
体、硫酸グアニジン、リン酸アンモニウム、硫酸アンモ
ニウム、等の水溶液もしくは水に分散が可能なものを使
用することができる。またこれに、澱粉、サイズ剤、染
料等の製紙用副資材やジシアンジアミド,メラミンのメ
チロール化物,ジシアンジアミドのメチロール化物等の
耐熱助剤を併用してもよく、これら処理剤を原紙に対し
て5〜35%含浸させる。さらに必要に応じて、難燃剤
等を含浸させた原紙の表面、裏面あるいは表裏両面に無
機粉体とバインダーを主体とする塗工液を塗工してもよ
い。これらの加工は、原紙を抄造後(即ちオフマシン加
工)に行ってもよい。
【0027】本発明では、このようにして製造した用紙
の表面に、すなわち金属板に接しない面に、更に耐久性
の向上や表面にキズをつきにくくするために補強用のシ
ートを貼り合わすこともできる。補強用シートは難燃性
を考慮すると、ガラスクロス、カーボン繊維クロス、セ
ラミック繊維クロスのような難燃性のシートが好まし
い。また、貼り合わす場合は吸放湿性を阻害させないよ
うに接着剤の量を加減したり、部分的に接着すること等
の考慮が必要である。また必要に応じて、意匠性の改善
等を目的として用紙の表面にオフセット印刷,グラビア
印刷,スクリーン印刷等の印刷を施したり、樹脂等を印
刷,塗工することもできる。この際、吸放湿性を阻害し
ないように、透湿性のあるインキや樹脂を使用したり、
部分的に印刷や塗工をすることが必要である。
【0028】本発明で使用する金属板は、鉄、ステンレ
ス鋼、銅、アルミニウム等の金属で製造され、通常厚み
が0.2〜3mm、好ましくは0.6〜1.5mmのも
のが使用される。金属板は耐久性や意匠性を向上するた
めに、メッキ、印刷、塗料の塗工、フィルムの貼合等の
加工が施されたものを使用することが出来る。
【0029】金属板と用紙との貼合方法としては、例え
ば下記の1)〜5)の方法が採用できる。 1)ウェットラミネーション法:澱粉糊、酢酸ビニルエ
マルション糊等の水系または溶剤系の糊を塗工したのち
貼合し、糊を乾燥させる。 2)ドライラミネーション法:ポリウレタン系接着剤等
を使用し、塗工後に溶剤を蒸発させ、ヒートロール間に
通して加圧貼合する。 3)エクストルージョン・ラミネート法:ポリエチレ
ン,ポリプロピレン等の溶融樹脂を、金属薄板と用紙と
の間にTダイから押しだして貼合する。 4)ホットメルト・ラミネーション法:エチレン−酢酸
ビニル共重合樹脂等の溶融樹脂を塗工して貼合する。 5)接着フィルムを使用したラミネーション法:金属板
と用紙間にアイオノマー樹脂やエチレン−酢酸ビニル共
重合樹脂フィルム等を挿入、加熱ロール間で加圧して貼
合する。
【0030】上記の貼合方法のうち、3)と5)の方法
を用いると、金属薄板と用紙との間の接着層がフィルム
状のバリアとなって、用紙に吸収された結露水が金属薄
板に接触するのを阻止することができ、金属薄板の腐食
を効果的に防止することができる。特にポリチレンを使
用したエクストルージョン・ラミネーション法は、作業
のしやすさ、樹脂が安価であること、燃焼した場合の熱
量が小さいこと等から好ましく採用できる。この方法に
おいては、ポリエチレンの層厚が通常5〜30μmとな
るように押し出して貼合することが好ましい。また上記
の貼合方法のうち、1)、2)および4)の方法を用い
る場合には、接着剤は全面に塗工せずに、点貼、ライン
貼、井桁貼など部分的に塗工することができる。
【0031】本発明に使用する用紙は、その施工場所を
考えると、JIS A 1321「建築物の内装材料お
よび工法の難燃性試験方法」に規定する難燃1級程度の
難燃性を有することが望ましい。用紙が難燃1級となる
ためには、用紙の絶乾重量当り可燃物が10〜50重量
%であることが必要である。従って、坪量40〜500
0g/m2 の用紙においては(4〜20)〜(500〜
2500)g/m2 の可燃物が含まれることとなる。用
紙中に含まれる可燃物としては、主にセルロース繊維
(パルプ)、紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、ラテック
ス等の有機物がある。可燃物が50重量%を越えると、
JIS A 1321での基材試験で810℃を越える
温度上昇が見られ、更に表面試験でも発煙係数と排気温
度が基準値を越えるため不合格となる。一方、可燃物が
10重量%より少なくなると、用紙の強度が低下し、水
滴落下限界能力の最小値である45g/m2 を達成でき
なくなる。好ましくは可燃物が15〜35重量%の範囲
とするのが望ましく、無機粉体の塗工層を用紙の片面若
くは両面に設けて難燃性を高めた難燃紙が最適である。
【0032】以上説明したようにして本発明の結露水の
滴下防止機能を有する金属板を製造した後、さらにその
使用目的に合った成型を施すことができる。例えば図1
は折板式屋根材に使用する目的で成形した本発明の金属
板の断面図を示したものであって、図示したような形状
に成型機を使用して成型することができる。図中、1は
金属板を、2は用紙をそれぞれ示す。成型された金属板
は通常の工法で屋根等に施工される。
【0033】用紙は、結露してくる水を吸収し、紙層内
部で保持する。やがて温度差が少なくなり、周囲が露点
以上となった時点で、吸収した水は蒸散する。結露水が
適下しないためには、用紙の水吸収可能量は結露してく
る水の量より多くなければならない。この結露水の量
は、建物の容積、外気の温度変化の割合、室内の温度、
湿度の変化の割合、金属板の成型の有無、金属板の温度
変化の割合、外気の室内への流入程度等により大きく異
なる。従って、施工場所の条件によって、用紙の備える
べき“水滴落下限界能力値”も異なる。
【0034】結露の弊害は前述のように、気温が急激に
上昇する梅雨あけの時期に顕著に現れる。この時期を例
にとり結露の起こる機構を詳しく説明する。例えば、当
初25℃、100%RH(相対湿度)の雰囲気の倉庫
が、急激な気温の上昇で外気温が30℃、100%RH
に上昇し、倉庫内の雰囲気も30℃、100%RHにな
り、壁と天井の温度は25℃のままであったと仮定す
る。もちろんこのような条件は実際には殆ど起こらない
過酷な条件である。30℃、100%RHの空気中に含
まれる水の量は35.2g/m3 であり、25℃、10
0%RHの空気中に含まれる水の量は26.0g/m3
であることは換算表で求めることができる。つまり、3
0℃、100%RHの空気を25℃に冷やすと、35.
2−26.0=9.2(g/m3 )の水が凝縮(結露)
することが判る。
【0035】一方、縦5m、横10m、高さ3mの比較
的小さな形状の直方体の倉庫で、屋根のみに本発明の金
属板を施工し、壁面と床面に断熱材を施工した例と、屋
根と壁面に本発明の金属板を施工し、床面に断熱材を施
工した例を想定する。倉庫の容積は150m3 (5×1
0×3)であるので1m3 当たり9.2gの水が結露す
ると全体では1380gの量となる。従って前者の場合
は屋根材に結露する水の量は、屋根面積が50m2 であ
るので、27.6g/m2 となる。同様にして後者の場
合は屋根材と壁面に結露する水の量は9.9g/m2
なる。
【0036】また、縦20m、横50m、高さ5mの比
較的大きな形状の直方体の倉庫では同様に計算して、屋
根のみに本発明の金属板を施工した場合は、結露する水
の量は46g/m2 となり、屋根と壁面に施工した場合
は27.1g/m2 となる。
【0037】本発明の結露水の滴下防止機能を有する金
属板は、これらの結露水を吸収し、紙層内部に保持す
る。やがて周囲が露点以上になるに従い、吸収した水を
放散し用紙は乾燥する。このように周囲の露点の変化に
従い、結露水の吸放湿をくりかえす。
【0038】金属板は成型することで、比表面積を大き
くすることができ、単位面積あたりの水滴落下限界能力
値を大きくすることができると共に、強度を向上できる
という別の利点もある。
【0039】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明を
詳細に説明する。なお、重量部はいずれも乾燥重量部を
示し、歩留りはいずれも100%に換算して示してあ
る。実施例1 NBKP10重量部、LBKP10重量部を叩解し、フ
リーネス400mlC.S.Fに調製した。これに水酸
化アルミニウム(商品名「B−153」、日本軽金属
(株)製)70重量部および、抗菌性粉体(商品名「抗
菌性ゼオミック」、品川燃料(株)製)10重量部を混
合し、カチオン澱粉(商品名「ネオタックL−1」、日
本食品化工(株)製)1重量部、湿潤紙力増強剤剤(商
品名「エピノックスP−130」、ディックハーキュレ
ス(株)製)1重量部、サイズ剤(商品名「サイズパイ
ンK−903」、荒川化学(株)製)0.5重量部、定
着剤(商品名「ハイホルダー351」、栗田工業(株)
製)0.05重量部を加え、長網抄紙機を使用して常法
により130g/m2 の原紙を抄造した。
【0040】この用紙に水酸化アルミニウム(同上)9
5重量部、塩化ビニリデンエマルション(商品名「サラ
ンX−106」、旭化成(株)製)3重量部、ポリビニ
ルアルコール(商品名「PVA205」、クラレ(株)
製)2重量部、防カビ剤(商品名「コートサイド5
5」、武田薬品工業(株)製)0.3重量部を混合した
塗工液を、表裏両面に合計50g/m2 塗工し、坪量1
80g/m2 の用紙を得た。
【0041】さらに、ポリウレタン系接着剤を5g/m
2 使用して、この用紙を厚さ1.2mmの亜鉛メッキ鋼
板に貼合し、諸性能を評価した。 評価方法 1)防炎性能 JIS A 1322に基づき評価した。 2)難燃性能 JIS A 1321に基づき評価した。 3)成型性 図1に示すような、折板の成型を行って評価した。成型
はJIS A6514に規定する「鋼板製折板屋根構成
材」の重ね型で、山高さ130mm、山ピッチ300m
m、上底,下底が各80mmで行った。 4)結露テスト 空間試験室(温度,湿度の制御が可能な空調室)内で、
縦2m、横5m、高さ50cmの直方体を上記用紙を貼
合した金属板と木製の補強材で製造した。内面に用紙面
がくるようにし、上面は開閉可能とし、底面は断熱材
(プレスボード)で製造した。上面を開放した状態で、
試験室を30℃、100%RHの条件にして5時間保持
した。ついで直方体上面を閉じ、目地止めしてから、試
験室の雰囲気を25℃、100%RHに変化させた。直
方体内部の結露の状態は予め内部にセットしたCCDカ
メラで撮影しCRTで表示して観察した。 成形性および結露テストともに、極めて良好は◎、良好
は○、不可は×で表示した。これらの評価結果を表1に
示す。
【0042】実施例2 実施例1と同様な原紙成分を用いて、坪量40g/m2
の原紙を抄造した。この原紙に塗工液を塗工することな
く、原紙をそのまま用い、実施例1と同様にして亜鉛メ
ッキ鋼板と貼合し、諸物性を測定し、諸性能を評価し
た。結果を表1に併記する。
【0043】実施例3 水酸化アルミニウムを25重量部とし、シリカゲル(富
士デビソン(株)製)45重量部をさらに加えたほか
は、実施例1と同様な原紙成分を用いて原紙を抄造し、
これにさらに難燃剤のスルファミン酸グアニジン(チッ
ソ(株)製)を10g/m2 含浸させて、坪量130g
/m2 の難燃剤含浸原紙を得た。この難燃剤含浸原紙の
表裏面に実施例1と同様の塗工液を同様の塗工量で塗工
し、坪量180g/m2 の用紙を得た。この用紙を用い
て、実施例1と同様にして亜鉛メッキ鋼板と貼合し、諸
物性を測定し、諸性能を評価した。結果を表1に併記す
る。
【0044】実施例4 NBKPとLBKPの合計量を40重量部、水酸化アル
ミニウムを50重量部とし、抗菌性無機粉体を加えなか
ったほかは、実施例1と同様な原紙成分を用いて原紙を
抄造し、これに実施例3と同様に難燃剤を含浸させて、
坪量245g/m2 の難燃剤含浸紙を得た。この難燃剤
含浸原紙の表裏面に実施例1と同様の塗工液を同様の塗
工量で塗工し、坪量295g/m2 の用紙を得た。この
用紙を用いて、ついで実施例1と同様にして亜鉛メッキ
鋼板と貼合し、諸物性を測定し、諸性能を評価した。結
果を表1に併記する。
【0045】実施例5 実施例1と同様な原紙成分を用いて、坪量5000g/
2 の用紙を抄造し(塗工液は塗工しない)、この用紙
を亜鉛メッキ鋼板と貼合し、諸物性を測定した。結果を
表1に併記する。
【0046】比較例1 実施例1と同様な原紙成分を用いて、坪量36g/m2
の原紙を抄造した。この原紙に塗工液を塗工することな
く、原紙をそのまま用い、実施例1と同様にして亜鉛メ
ッキ鋼板と貼合し、諸物性を測定し、諸性能を評価し
た。結果を表2に示す。
【0047】比較例2 厚さ1.2mmの亜鉛メッキ鋼板そのままについて、そ
の諸性能を実施例1と同様にして評価した。結果を表2
に併記する。
【0048】
【0049】表1および表2からからわかるように、本
発明の実施例1〜4の用紙はいずれも結露テストおよび
成形性ともに良好であったのに対し、坪量が40g/m
2 よりも小さい比較例1においては水滴落下限界能力値
も45g/m2 に達せず、そのため結露テストの結果も
悪かった。さらに、用紙を取り付けていない比較例2に
おいては、当然のことながら結露水の滴下が起こり結露
テストの結果は悪かった。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、結
露水の滴下を効果的に防止できる金属板を得ることがで
きる。かような本発明の金属板を使用することによっ
て、下記に述べるような利点がある。
【0051】1)用紙は予め金属板に貼合されているの
で、断熱材等を後から固着するような煩雑な施工を全く
行わずに済み、大きな経済的効果、工期短縮効果を期待
できる。 2)用紙は、通常の製紙技術を用いて製造できるので、
品質の揃った製品を効率よく量産することが可能であ
る。 3)本発明に使用する用紙には難燃性を容易に付与する
ことができる。 4)要すれば、用紙表面にオフセット印刷等を利用し
て、容易に多色印刷を施すことができる。 5)要すれば、用紙貼合後の金属板を成型することで、
単位面積あたりの水滴落下限界能力値を大きくすること
ができる。また機械的な強度も向上できる。 6)このような特性を活かして、本発明の金属板は、屋
根材、壁装材、エアコンの冷気吹き出し口、精密部品等
の包装ケース等に使用することで結露の弊害を効果的に
防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 折板式屋根材に使用する本発明の金属板の断
面図である。
【符号の説明】
1 金属板 2 用紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 徹 静岡県駿東郡長泉町本宿501番地 特種製 紙株式会社内 (72)発明者 高木 明信 静岡県沼津市御幸町8−10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製紙用パルプから抄造され、耐水強度が
    0.3kgf/15mm以上、水滴落下限界能力値が4
    5g/m2 以上、および坪量が40〜5000g/m2
    である用紙を金属板と貼合したことを特徴とする、結露
    水の滴下防止機能を有する金属板。
  2. 【請求項2】 前記用紙は製紙用パルプ15〜90重量
    %と無機粉体を85〜10重量%とから抄造されたもの
    である請求項1記載の結露水の滴下防止機能を有する金
    属板。
  3. 【請求項3】 前記用紙はその片面または両面に無機粉
    体とバインダーとを主材とする塗工液を塗工したもので
    ある請求項1記載の結露水の滴下防止機能を有する金属
    板。
  4. 【請求項4】 前記無機粉体が自己消火性を有する無機
    粉体である請求項2または3記載の結露水の滴下防止機
    能を有する金属板。
  5. 【請求項5】 前記無機粉体が吸放湿性を有する無機粉
    体である請求項2または3記載の結露水の滴下防止機能
    を有する金属板。
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