JPH0690775A - ジベレリン類の製造方法 - Google Patents
ジベレリン類の製造方法Info
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- JPH0690775A JPH0690775A JP23637192A JP23637192A JPH0690775A JP H0690775 A JPH0690775 A JP H0690775A JP 23637192 A JP23637192 A JP 23637192A JP 23637192 A JP23637192 A JP 23637192A JP H0690775 A JPH0690775 A JP H0690775A
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- JP
- Japan
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- gibberellin
- gibberellins
- plant growth
- kaurene
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】ジベレラ属に属し、微生物由来のジベレリン生
産能力を有する微生物を、基質濃度0.001%以上
0.15%未満のent−カウレンおよび微量の植物生
長抑制剤を存在せしめた培地で培養し、該微生物にジベ
レリン類を産生させることを特徴とするジベレリン類の
製造方法に関する。 【効果】本発明の製造方法が提供されることにより、こ
れまで微量にしか生産あるいは入手できなかったジベレ
リン、すなわちジベレリンA3 、ジベレリンA4 以外の
ジベレリン類を、カウレンを出発物質(基質)とした微
生物変換(酵素反応)によって収率良く生産できるよう
になるとともに、著しい植物生長促進活性を示すジベレ
リン類を提供することが可能となった。本発明の製造方
法により得られるジベレリン類は植物生長促進剤として
有用である。
産能力を有する微生物を、基質濃度0.001%以上
0.15%未満のent−カウレンおよび微量の植物生
長抑制剤を存在せしめた培地で培養し、該微生物にジベ
レリン類を産生させることを特徴とするジベレリン類の
製造方法に関する。 【効果】本発明の製造方法が提供されることにより、こ
れまで微量にしか生産あるいは入手できなかったジベレ
リン、すなわちジベレリンA3 、ジベレリンA4 以外の
ジベレリン類を、カウレンを出発物質(基質)とした微
生物変換(酵素反応)によって収率良く生産できるよう
になるとともに、著しい植物生長促進活性を示すジベレ
リン類を提供することが可能となった。本発明の製造方
法により得られるジベレリン類は植物生長促進剤として
有用である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はent−カウレンを出
発材料とした、天然に存在するジベレリンに属する化合
物の1種またはそれ以上の混合物(以下、ジベレリン類
と略する場合がある。)の製造方法に関する。
発材料とした、天然に存在するジベレリンに属する化合
物の1種またはそれ以上の混合物(以下、ジベレリン類
と略する場合がある。)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】ジベレリ
ンはすべての高等植物中に微量ながら自然に含まれる植
物ホルモンとしてよく知られており、植物の生育に対し
て強烈な影響を及ぼし多様化効果を有するので農業及び
園芸分野では極めて重要な化合物である。例えば、ある
種のジベレリンは大麦や小麦の面積あたりの収量を倍加
し、霜害や授粉不足に起因する作物の障害を回復させた
り、休眠状態を破ったり、老化や落果を遅らせたりする
作用があることが知られている。
ンはすべての高等植物中に微量ながら自然に含まれる植
物ホルモンとしてよく知られており、植物の生育に対し
て強烈な影響を及ぼし多様化効果を有するので農業及び
園芸分野では極めて重要な化合物である。例えば、ある
種のジベレリンは大麦や小麦の面積あたりの収量を倍加
し、霜害や授粉不足に起因する作物の障害を回復させた
り、休眠状態を破ったり、老化や落果を遅らせたりする
作用があることが知られている。
【0003】ジベレリンは一般式(1):
【0004】
【化1】
【0005】で示されるテトラサイクリック環構造を基
本とする化合物であって、該式(1)には環のナンバー
が表示されているものの、正確な立体構造は示されてい
ないのが現状である。現在、国内で主に使用されている
のは発酵法によって製造されているジベレリンA3 を主
成分とするジベレリンであり、種なしブドウの生産など
のような特定の商品の生産などに使われているにとどま
り、実際面では他の多くの農産物の生産には未だ使用さ
れていないのが現状である。
本とする化合物であって、該式(1)には環のナンバー
が表示されているものの、正確な立体構造は示されてい
ないのが現状である。現在、国内で主に使用されている
のは発酵法によって製造されているジベレリンA3 を主
成分とするジベレリンであり、種なしブドウの生産など
のような特定の商品の生産などに使われているにとどま
り、実際面では他の多くの農産物の生産には未だ使用さ
れていないのが現状である。
【0006】現在までに知られているジベレリン類の工
業的な製造方法として、ジベレラ属に属し、ジベレリン
生産能力を有する微生物として知られているジベレラ・
フジクロイ菌を、炭素源として砂糖を用いて培養し、ジ
ベレリンA3 を主成分(他の成分としてジベレリン
A4 、ジベレリンA7 を含む)とした混合物としての植
物生長ホルモン(C19−ジベレリン)を製造する方法
が知られている(N. Takahashi, H. Kitamura, A. Kawa
rada, Y. Seta, S. Tamura & Y. Sumiki: Bull. Agric.
Chem. Soc. Japan,19, 267(1955). )。更に、ジベレ
リンA3 の単位容積あたりの収量を上げるために、培地
にポリオキシアルキレングリコール化合物(特開昭49
−14688号公報)や1,3ジオキサン化合物(特開
昭49−14689号公報)を添加(20〜50%収率
上昇)する研究や、ジベレリンA4 を選択的に生産させ
る目的で培地にアルミニウム、銅、亜鉛化合物を添加す
ると効果があることが報告されている(特開昭58−1
52499号公報)。
業的な製造方法として、ジベレラ属に属し、ジベレリン
生産能力を有する微生物として知られているジベレラ・
フジクロイ菌を、炭素源として砂糖を用いて培養し、ジ
ベレリンA3 を主成分(他の成分としてジベレリン
A4 、ジベレリンA7 を含む)とした混合物としての植
物生長ホルモン(C19−ジベレリン)を製造する方法
が知られている(N. Takahashi, H. Kitamura, A. Kawa
rada, Y. Seta, S. Tamura & Y. Sumiki: Bull. Agric.
Chem. Soc. Japan,19, 267(1955). )。更に、ジベレ
リンA3 の単位容積あたりの収量を上げるために、培地
にポリオキシアルキレングリコール化合物(特開昭49
−14688号公報)や1,3ジオキサン化合物(特開
昭49−14689号公報)を添加(20〜50%収率
上昇)する研究や、ジベレリンA4 を選択的に生産させ
る目的で培地にアルミニウム、銅、亜鉛化合物を添加す
ると効果があることが報告されている(特開昭58−1
52499号公報)。
【0007】また、ジベレラ・フジクロイ菌の休止菌体
を用い炭素源として大豆油、綿実油などの植物油を用い
てジベレリンA3 を生産する報告(特開昭49−133
593号公報)、植物生長抑制剤を用いてジベレリン生
合成経路の中間体であるステビオールをジベレラ・フジ
クロイ菌の培地に添加し、植物由来のジベレリンA1、
A18、A19を生産する報告(特開昭55−120794
号公報)が知られている。しかしながら、これらの方法
で得られるジベレリン類の主なものはジベレリンA1 、
A3 、A4 、A7 、A18、A19などに限られ、現在知ら
れている80種以上のジベレリンのうちのわずか数種類
にすぎない。更に、これらのジベレリン類のうち、実際
に産業上利用されているものはジベレリンA3 のみであ
る。これ以外のジベレリン類は各々特異的な生理活性を
有すると考えられるが、その生成量が微量であるために
広範な生理活性の試験もできず、応用も殆どされていな
いのが現状である。他のジベレリンを相当量で製造する
には菌の種類を変えて、別のジベレリンを主に生産する
菌を用いて発酵法を行うか、何らかの成分を出発材料で
ある基質として微生物を用いて生成物分布の異なるジベ
レリンに変換させる方法が考えられるが、菌の種類を変
えても生産物中のジベレリンの種類の分布は変わりにく
いので、目的にかなったジベレリンを産生するのは困難
である。また、現在入手しやすいジベレリンA3 やジベ
レリンA4 から化学的変換によって別のジベレリンある
いは天然に存在しないジベレリン骨格を持った化合物を
導くことも可能である。しかしながら、化学変換も煩雑
であり、自由に求める構造に変化することは容易でな
い。
を用い炭素源として大豆油、綿実油などの植物油を用い
てジベレリンA3 を生産する報告(特開昭49−133
593号公報)、植物生長抑制剤を用いてジベレリン生
合成経路の中間体であるステビオールをジベレラ・フジ
クロイ菌の培地に添加し、植物由来のジベレリンA1、
A18、A19を生産する報告(特開昭55−120794
号公報)が知られている。しかしながら、これらの方法
で得られるジベレリン類の主なものはジベレリンA1 、
A3 、A4 、A7 、A18、A19などに限られ、現在知ら
れている80種以上のジベレリンのうちのわずか数種類
にすぎない。更に、これらのジベレリン類のうち、実際
に産業上利用されているものはジベレリンA3 のみであ
る。これ以外のジベレリン類は各々特異的な生理活性を
有すると考えられるが、その生成量が微量であるために
広範な生理活性の試験もできず、応用も殆どされていな
いのが現状である。他のジベレリンを相当量で製造する
には菌の種類を変えて、別のジベレリンを主に生産する
菌を用いて発酵法を行うか、何らかの成分を出発材料で
ある基質として微生物を用いて生成物分布の異なるジベ
レリンに変換させる方法が考えられるが、菌の種類を変
えても生産物中のジベレリンの種類の分布は変わりにく
いので、目的にかなったジベレリンを産生するのは困難
である。また、現在入手しやすいジベレリンA3 やジベ
レリンA4 から化学的変換によって別のジベレリンある
いは天然に存在しないジベレリン骨格を持った化合物を
導くことも可能である。しかしながら、化学変換も煩雑
であり、自由に求める構造に変化することは容易でな
い。
【0008】一方、橘らは、スギの葉に含まれる成分で
あり、ジベレリン正合成経路においてステビオールより
前段階に位置するent−カウレン(式(2))を出発
物質として植物生長抑制剤を培地に加え、ジベレラ・フ
ジクロイ菌を10日間培養をすることによりジベレリン
A15及びジベレリンA14−アルデヒドを主成分とするジ
ベレリン類が、1日〜7日培養をすることによりジベレ
リンA1 、A3 、A9、A12−アルデヒド等を主成分と
するジベレリン類が生成するという報告を行っている
(日本木材学会誌、vol.35、No.8、761
(1989))。
あり、ジベレリン正合成経路においてステビオールより
前段階に位置するent−カウレン(式(2))を出発
物質として植物生長抑制剤を培地に加え、ジベレラ・フ
ジクロイ菌を10日間培養をすることによりジベレリン
A15及びジベレリンA14−アルデヒドを主成分とするジ
ベレリン類が、1日〜7日培養をすることによりジベレ
リンA1 、A3 、A9、A12−アルデヒド等を主成分と
するジベレリン類が生成するという報告を行っている
(日本木材学会誌、vol.35、No.8、761
(1989))。
【0009】
【化2】
【0010】この方法ではA15、A14−アルデヒド、A
9 などの従来微量しか得られなかったジベレリン類が主
成分として得られるので、新たな生理活性を持つ植物ホ
ルモンの製法として期待が待たれている。また、前記報
告によれば、この系で得られたジベレリン混合物のバイ
オアッセイを矮性稲(短銀坊主)で行い、生長促進効果
を他の基質から出発した場合と比較したところ、ジベレ
リン無添加の場合の伸長率を(1.0)とした時に、ジ
ベレリンA3 では(2.8)であり、イソステビオール
を出発物質として用いた培養生成物では(1.5)、同
じくカウレン酸では(2.7)に対し、ent−カウレ
ンを用いた時は(4.1)であったとの報告がなされて
いる。従って、ent−カウレンを原料に用いて生成す
るジベレリン類は非常に強い植物生長活性を有するとい
える。
9 などの従来微量しか得られなかったジベレリン類が主
成分として得られるので、新たな生理活性を持つ植物ホ
ルモンの製法として期待が待たれている。また、前記報
告によれば、この系で得られたジベレリン混合物のバイ
オアッセイを矮性稲(短銀坊主)で行い、生長促進効果
を他の基質から出発した場合と比較したところ、ジベレ
リン無添加の場合の伸長率を(1.0)とした時に、ジ
ベレリンA3 では(2.8)であり、イソステビオール
を出発物質として用いた培養生成物では(1.5)、同
じくカウレン酸では(2.7)に対し、ent−カウレ
ンを用いた時は(4.1)であったとの報告がなされて
いる。従って、ent−カウレンを原料に用いて生成す
るジベレリン類は非常に強い植物生長活性を有するとい
える。
【0011】しかしながら、前記報告では、ジベレリン
の収率が低く、工業的に利用し得る量のジベレリンを生
産するのが困難であるといった欠点を有する(ジベレラ
・フジクロイ菌の菌株としてIFO−31251を使
用、ent−カウレンの培地に対する濃度0.15%、
24℃、7日間の培養条件で、ジベレリンのent−カ
ウレンに対する収率は6.7%と報告されている)。従
って、前記報告の方法は上記の問題点を改良することに
より、従来微量にしか得られなかった各種ジベレリンの
製造において工業的に有用な方法となり得ると考えられ
る。従って本発明の目的は、特定量のent−カウレン
を出発物質として、ジベレラ・フジクロイ菌を植物生長
抑制剤存在下に培養して、従来微量にしか得られなかっ
たジベレリン類を量産することであり、更には前記方法
により量産されたジベレリンを用いて産業的に有用な植
物生長促進剤を開発することである。
の収率が低く、工業的に利用し得る量のジベレリンを生
産するのが困難であるといった欠点を有する(ジベレラ
・フジクロイ菌の菌株としてIFO−31251を使
用、ent−カウレンの培地に対する濃度0.15%、
24℃、7日間の培養条件で、ジベレリンのent−カ
ウレンに対する収率は6.7%と報告されている)。従
って、前記報告の方法は上記の問題点を改良することに
より、従来微量にしか得られなかった各種ジベレリンの
製造において工業的に有用な方法となり得ると考えられ
る。従って本発明の目的は、特定量のent−カウレン
を出発物質として、ジベレラ・フジクロイ菌を植物生長
抑制剤存在下に培養して、従来微量にしか得られなかっ
たジベレリン類を量産することであり、更には前記方法
により量産されたジベレリンを用いて産業的に有用な植
物生長促進剤を開発することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】以上の問題点を考慮し、
解決すべく鋭意検討を行った結果、スギの葉から抽出し
て得られるent−カウレンを出発物質として、ジベレ
ラ属に属し、微生物由来のジベレリン生産能力を有する
微生物、例えばジベレラ・フジクロイ菌を微量の植物生
長抑制剤存在下で培養してジベレリン類を量産する方法
において、所定の濃度の基質カウレンを用いることによ
って大幅な収率向上を達成することにより、この発明を
完成するに至った。
解決すべく鋭意検討を行った結果、スギの葉から抽出し
て得られるent−カウレンを出発物質として、ジベレ
ラ属に属し、微生物由来のジベレリン生産能力を有する
微生物、例えばジベレラ・フジクロイ菌を微量の植物生
長抑制剤存在下で培養してジベレリン類を量産する方法
において、所定の濃度の基質カウレンを用いることによ
って大幅な収率向上を達成することにより、この発明を
完成するに至った。
【0013】すなわち本発明の要旨は、ジベレラ属に属
し、微生物由来のジベレジン生産能力を有する微生物
を、基質濃度0.001%以上0.15%未満のent
−カウレンおよび微量の植物生長抑制剤を存在せしめた
培地で培養し、該微生物にジベレリン類を産生させるこ
とを特徴とするジベレリンの製造方法に関する。さらに
詳しくは、スギの葉から溶剤抽出して得られるent−
カウレンを、あらかじめ培養して増殖し集菌したジベレ
ラ・フジクロイ菌と共にジャーファーメンター中の培地
に入れ、菌糸の生育を促進するため微量の植物生長抑制
剤を添加して培養する方法において、培養では窒素含量
を0%にして菌体の増殖を抑え、酵素反応を促進させる
方法を用いて、基質濃度を低くして培養を行なう。この
方法によって、これまで量的に得ることが困難であった
ジベレリンA15、A14−アルデヒド、A9 などの植物生
長ホルモンを生産することに関する。
し、微生物由来のジベレジン生産能力を有する微生物
を、基質濃度0.001%以上0.15%未満のent
−カウレンおよび微量の植物生長抑制剤を存在せしめた
培地で培養し、該微生物にジベレリン類を産生させるこ
とを特徴とするジベレリンの製造方法に関する。さらに
詳しくは、スギの葉から溶剤抽出して得られるent−
カウレンを、あらかじめ培養して増殖し集菌したジベレ
ラ・フジクロイ菌と共にジャーファーメンター中の培地
に入れ、菌糸の生育を促進するため微量の植物生長抑制
剤を添加して培養する方法において、培養では窒素含量
を0%にして菌体の増殖を抑え、酵素反応を促進させる
方法を用いて、基質濃度を低くして培養を行なう。この
方法によって、これまで量的に得ることが困難であった
ジベレリンA15、A14−アルデヒド、A9 などの植物生
長ホルモンを生産することに関する。
【0014】本発明で用いられるジベレラ属に属し、微
生物由来のジベレジン生産能力を有する微生物として
は、具体的には例えばジベレラ・フジクロイ菌が好適な
ものとして挙げられる。ジベレラ・フジクロイ菌の菌株
としてはIFO−6603〜6607、IFO−997
6〜9977、IFO−6605、IFO−30337
及びIFO−31251等が入手可能な公知の菌株とし
て挙げられるが、同じ属であれば特に限定されるもので
はない。
生物由来のジベレジン生産能力を有する微生物として
は、具体的には例えばジベレラ・フジクロイ菌が好適な
ものとして挙げられる。ジベレラ・フジクロイ菌の菌株
としてはIFO−6603〜6607、IFO−997
6〜9977、IFO−6605、IFO−30337
及びIFO−31251等が入手可能な公知の菌株とし
て挙げられるが、同じ属であれば特に限定されるもので
はない。
【0015】本発明で用いられるent−カウレンは、
スギの生葉をヘキサン抽出後濃縮し、濃縮液を水蒸気蒸
留にかけて低沸点物質を除き、蒸留残査をシリカゲル充
填カラム−ヘキサン溶剤で精製したのち、ジエチルエー
テル/メタノール混合溶剤で再結晶して得られる融点4
9℃の無色結晶である。生のスギ葉から0.05〜0.
1重量%のent−カウレンが上記の操作によって得ら
れる。本発明の製造方法において使用するent−カウ
レンの使用量は、基質濃度0.001%以上0.15%
未満、好ましくは0.01%以上0.15%未満であ
る。基質濃度が0.15%を越えるとカウレンからのジ
ベレリン類の収率が低く、基質濃度が0.001%未満
であると一定量のジベレリンを培養するための装置が大
型化し、ジベレリンを抽出するために大量の溶媒の使用
を必要とするので、経済的に好ましくない。
スギの生葉をヘキサン抽出後濃縮し、濃縮液を水蒸気蒸
留にかけて低沸点物質を除き、蒸留残査をシリカゲル充
填カラム−ヘキサン溶剤で精製したのち、ジエチルエー
テル/メタノール混合溶剤で再結晶して得られる融点4
9℃の無色結晶である。生のスギ葉から0.05〜0.
1重量%のent−カウレンが上記の操作によって得ら
れる。本発明の製造方法において使用するent−カウ
レンの使用量は、基質濃度0.001%以上0.15%
未満、好ましくは0.01%以上0.15%未満であ
る。基質濃度が0.15%を越えるとカウレンからのジ
ベレリン類の収率が低く、基質濃度が0.001%未満
であると一定量のジベレリンを培養するための装置が大
型化し、ジベレリンを抽出するために大量の溶媒の使用
を必要とするので、経済的に好ましくない。
【0016】また本発明で用いられる植物生長抑制剤と
しては、2−イソプロピル−4−ジメチルアミノ−5−
メチルフェニル−1−ピペリジンカルボキシレートメチ
ルクロライド(商品名AMO−1618)、(2−クロ
ロエチル)トリメチルアンモニウムクロライド(商品名
CCC)、塩化コリン(CC)等が挙げられる。植物生
長抑制剤の使用量としては、ent−カウレンに対して
0.0001〜0.003wt%であるが、好ましくは
0.0006〜0.003wt%が使用される。
しては、2−イソプロピル−4−ジメチルアミノ−5−
メチルフェニル−1−ピペリジンカルボキシレートメチ
ルクロライド(商品名AMO−1618)、(2−クロ
ロエチル)トリメチルアンモニウムクロライド(商品名
CCC)、塩化コリン(CC)等が挙げられる。植物生
長抑制剤の使用量としては、ent−カウレンに対して
0.0001〜0.003wt%であるが、好ましくは
0.0006〜0.003wt%が使用される。
【0017】本発明におけるジベレリン生産能力を有す
る微生物の培養に用いる培地としては、菌体の増殖を抑
えるため、窒素分であるNH4 NO3 ,(NH4 )6 M
o7O24・4H2 Oを添加しないことによって、窒素含
量を0%としたICI培地(Cho,K.Y.et a
l.:Plant and Cell Physio
l.,20,75−81(1979)等を用いることが
好ましい。
る微生物の培養に用いる培地としては、菌体の増殖を抑
えるため、窒素分であるNH4 NO3 ,(NH4 )6 M
o7O24・4H2 Oを添加しないことによって、窒素含
量を0%としたICI培地(Cho,K.Y.et a
l.:Plant and Cell Physio
l.,20,75−81(1979)等を用いることが
好ましい。
【0018】本発明におけるジベレリン類とは、天然に
存在するジベレリンに属する化合物の1種またはそれ以
上の混合物をさすものであり、具体的には、ジベレリン
A1、A3 、A4 、A7 、A9 、A12、A12−アルデヒ
ド、A14、A14−アルデヒド、A15、A16、A24等が、
また、これらの前駆体として7−βーヒドロキシカウレ
ン酸等が挙げられる。
存在するジベレリンに属する化合物の1種またはそれ以
上の混合物をさすものであり、具体的には、ジベレリン
A1、A3 、A4 、A7 、A9 、A12、A12−アルデヒ
ド、A14、A14−アルデヒド、A15、A16、A24等が、
また、これらの前駆体として7−βーヒドロキシカウレ
ン酸等が挙げられる。
【0019】以下に本発明の製造方法について詳述す
る。例えば、まずジベレラ・フジクロイ菌の菌体を増殖
させることを目的とする前培養を2回行なうことにより
菌体を集菌する。この時に用いる菌株としては、例えば
IFO−30337及びIFO−31251等が使用で
きる。
る。例えば、まずジベレラ・フジクロイ菌の菌体を増殖
させることを目的とする前培養を2回行なうことにより
菌体を集菌する。この時に用いる菌株としては、例えば
IFO−30337及びIFO−31251等が使用で
きる。
【0020】本発明の前培養に用いられる培地として
は、Imperial Chemical Indus
try社で開発されたICI培地(Cho,K.Y.e
t al.:Plant and cell Phys
iol.,20,75−81(1979)等を用いるこ
とができる。ICI培地の調整は、A培地(グルコース
80.0g、NH4 NO3 1.92g、KH2 PO
4 5.0g、MgSO4 ・7H2 O1.0g、蒸留水1
000ml)にB培地(FeSO4 ・7H2 O0.1
g、CuSO4 ・5H2 O 0.015g、ZnSO4
・7H2 O 0.0161g、MnSO4 ・7H2 O
0.010g、(NH4 )6 Mo7 O24・4H2O
0.010g、蒸留水100ml)の液2mlを加えて
調製する。この培地は窒素含量40%である。
は、Imperial Chemical Indus
try社で開発されたICI培地(Cho,K.Y.e
t al.:Plant and cell Phys
iol.,20,75−81(1979)等を用いるこ
とができる。ICI培地の調整は、A培地(グルコース
80.0g、NH4 NO3 1.92g、KH2 PO
4 5.0g、MgSO4 ・7H2 O1.0g、蒸留水1
000ml)にB培地(FeSO4 ・7H2 O0.1
g、CuSO4 ・5H2 O 0.015g、ZnSO4
・7H2 O 0.0161g、MnSO4 ・7H2 O
0.010g、(NH4 )6 Mo7 O24・4H2O
0.010g、蒸留水100ml)の液2mlを加えて
調製する。この培地は窒素含量40%である。
【0021】次に、ent−カウレン(基質)を酵素反
応によりジベレリンへ変換するために前述のようにして
集菌したジベレラ・フジクロイ菌の培養を行う。この培
地としては、菌体の増殖を抑えるため、窒素分のNH4
NO3 ,(NH4 )6 Mo7O24・4H2 Oを添加しな
いICI培地(窒素含量0%)等を用いることが好まし
い。ジャーファーメンターの中に前記培地を載置し、該
培地にジベレラ・フジクロイ菌、ent−カウレンおよ
び植物生長抑制剤を添加して培養が行われる。培養に用
いるジャーファーメンターとしては、例えば、東京理化
器械(株)製MBF型2.5リットル及び10リットル
の培養槽を用いることができ、培養温度24〜25℃、
攪拌速度200〜500rpm、通気量0.1〜5リッ
トル/分、培養日数は目的とするジベレリン類の種類お
よび必要量に応じて任意の日数、例えば1〜10日間程
度の条件で培養を行なうことができる。
応によりジベレリンへ変換するために前述のようにして
集菌したジベレラ・フジクロイ菌の培養を行う。この培
地としては、菌体の増殖を抑えるため、窒素分のNH4
NO3 ,(NH4 )6 Mo7O24・4H2 Oを添加しな
いICI培地(窒素含量0%)等を用いることが好まし
い。ジャーファーメンターの中に前記培地を載置し、該
培地にジベレラ・フジクロイ菌、ent−カウレンおよ
び植物生長抑制剤を添加して培養が行われる。培養に用
いるジャーファーメンターとしては、例えば、東京理化
器械(株)製MBF型2.5リットル及び10リットル
の培養槽を用いることができ、培養温度24〜25℃、
攪拌速度200〜500rpm、通気量0.1〜5リッ
トル/分、培養日数は目的とするジベレリン類の種類お
よび必要量に応じて任意の日数、例えば1〜10日間程
度の条件で培養を行なうことができる。
【0022】培養終了後、培養液から通常のCho,
K.Y.等の方法(Cho,K.Y.et al:Pl
ant and Cell Physiol.,20,
75−81(1979))により菌体を分離した後、酢
酸エチル、メタノール、ブタノール、アセトン−水(7
0:30〜40:60)、クロロホルム−メタノール−
酢酸などの混合溶媒等により1種以上のジベレリンの混
合物、すなわちジベレリン類として抽出することができ
る。
K.Y.等の方法(Cho,K.Y.et al:Pl
ant and Cell Physiol.,20,
75−81(1979))により菌体を分離した後、酢
酸エチル、メタノール、ブタノール、アセトン−水(7
0:30〜40:60)、クロロホルム−メタノール−
酢酸などの混合溶媒等により1種以上のジベレリンの混
合物、すなわちジベレリン類として抽出することができ
る。
【0023】抽出後のジベレリン類は、クロマトグラフ
ィーで分離した後、メチルエステル−トリメチルエーテ
ル化(Cho,K.Y.et al:Plant an
dCell Physiol.,20,75−81(1
979)、Fujisawa,S.et al.:Ag
ric.Biol.Chem.,49,27−33(1
985))を行うことによって、ガスクロマトグラフィ
ー(GC)、ガスクロマトグラフ−質量分析法(GC−
MS)等の方法で分析を行なうことができる。上記のよ
うな分析方法を用いた場合、本発明の製造方法により得
られるジベレリン類は、ジベレリンA1 、A3 、A4 、
A7 、A9 、A12、A12−アルデヒド、A14、A14−ア
ルデヒド、A15、A16、A24、前駆体7−βーヒドロキ
シカウレン酸を含むが、本発明の方法により生成される
ジベレリン類のうち、ジベレリンA3 は1%以下であ
り、ジベレリンA9 、A14−アルデヒド、A15、および
A1 、A4 、A7 などが大部分を占めるものであること
が、後述の実施例により明らかとなっている。この結果
は橘らの報告(日本木材学会誌、vol.35,No
8,761(1989))の生成物分布と類似するもの
であり、ジベレリンA 3 以外のジベレリン類の製造法と
して新しい方法として有効である。
ィーで分離した後、メチルエステル−トリメチルエーテ
ル化(Cho,K.Y.et al:Plant an
dCell Physiol.,20,75−81(1
979)、Fujisawa,S.et al.:Ag
ric.Biol.Chem.,49,27−33(1
985))を行うことによって、ガスクロマトグラフィ
ー(GC)、ガスクロマトグラフ−質量分析法(GC−
MS)等の方法で分析を行なうことができる。上記のよ
うな分析方法を用いた場合、本発明の製造方法により得
られるジベレリン類は、ジベレリンA1 、A3 、A4 、
A7 、A9 、A12、A12−アルデヒド、A14、A14−ア
ルデヒド、A15、A16、A24、前駆体7−βーヒドロキ
シカウレン酸を含むが、本発明の方法により生成される
ジベレリン類のうち、ジベレリンA3 は1%以下であ
り、ジベレリンA9 、A14−アルデヒド、A15、および
A1 、A4 、A7 などが大部分を占めるものであること
が、後述の実施例により明らかとなっている。この結果
は橘らの報告(日本木材学会誌、vol.35,No
8,761(1989))の生成物分布と類似するもの
であり、ジベレリンA 3 以外のジベレリン類の製造法と
して新しい方法として有効である。
【0024】また、本発明の製造方法により得られるジ
ベレリン類のバイオアッセイ法としては、矮性稲(短銀
坊主)を用いた滴下法(文献:山根久和、高橋信孝;
“生理活性物質のバイオアッセイ”、講談社、198
4,p105−116)及びウニコナゾールを用いる方
法(文献:T.Nishijima,N.Katsur
a,Plant Cell.Physiol.30
(5),623(1989))に従ってテストを行なう
ことができる。
ベレリン類のバイオアッセイ法としては、矮性稲(短銀
坊主)を用いた滴下法(文献:山根久和、高橋信孝;
“生理活性物質のバイオアッセイ”、講談社、198
4,p105−116)及びウニコナゾールを用いる方
法(文献:T.Nishijima,N.Katsur
a,Plant Cell.Physiol.30
(5),623(1989))に従ってテストを行なう
ことができる。
【0025】以上のような、本発明の方法により得られ
るジベレリン類は、植物の生育に対して強烈な影響を及
ぼし多様化効果を有するため、農業及び園芸分野におい
て作物の収量の調節等に有効に利用することができる。
るジベレリン類は、植物の生育に対して強烈な影響を及
ぼし多様化効果を有するため、農業及び園芸分野におい
て作物の収量の調節等に有効に利用することができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。 実施例1 (1)ジベレラ・フジクロイ菌(IFO−30337及
びIFO−31251の菌株)の前培養:2個の300
ml三角フラスコ各々に、窒素含量40%のICI溶液
60mlを入れ、加熱減菌後、IFO−30337及び
31251菌株をそれぞれ1白金耳植菌した。これを2
5℃で3日間150rpmで振盪培養した。
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。 実施例1 (1)ジベレラ・フジクロイ菌(IFO−30337及
びIFO−31251の菌株)の前培養:2個の300
ml三角フラスコ各々に、窒素含量40%のICI溶液
60mlを入れ、加熱減菌後、IFO−30337及び
31251菌株をそれぞれ1白金耳植菌した。これを2
5℃で3日間150rpmで振盪培養した。
【0027】(2)上記(1)で得た培養液24mlを
無菌的にとり、新たに調製した窒素含量40%のICI
溶液1.2リットルを4個の500ml三角フラスコに
分取したものに加え、25℃において(1)と同条件で
培養した。このとき菌糸の生育を促進させるため植物生
長抑制剤AMO−1618を20mg添加した。
無菌的にとり、新たに調製した窒素含量40%のICI
溶液1.2リットルを4個の500ml三角フラスコに
分取したものに加え、25℃において(1)と同条件で
培養した。このとき菌糸の生育を促進させるため植物生
長抑制剤AMO−1618を20mg添加した。
【0028】(3)上記(2)で得た培養液を無菌的に
濾過し、菌体を分離した。 (4)ジベレラ・フジクロイ菌による本培養:(3)で
得た菌体を、減菌済みの2.0リットルのICI溶液
(窒素分0%)、植物生長抑制剤として20mgのAM
O−1618および200mgのカウレン(2mlの酢
酸エチル溶液として)の入った培養槽に移した。培養は
25℃、攪拌速度300rpm、無菌フィルターを通し
た空気0.1リットル/分で1〜10日間行った。経時
的に培養液のサンプリングを行って生成されるジベレリ
ン類を抽出し、分析した。
濾過し、菌体を分離した。 (4)ジベレラ・フジクロイ菌による本培養:(3)で
得た菌体を、減菌済みの2.0リットルのICI溶液
(窒素分0%)、植物生長抑制剤として20mgのAM
O−1618および200mgのカウレン(2mlの酢
酸エチル溶液として)の入った培養槽に移した。培養は
25℃、攪拌速度300rpm、無菌フィルターを通し
た空気0.1リットル/分で1〜10日間行った。経時
的に培養液のサンプリングを行って生成されるジベレリ
ン類を抽出し、分析した。
【0029】(5)代謝物の抽出・分析:サンプルとし
て採取した培養液(100ml)から菌体を分離した
後、濾液に150mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
を加え、酢酸エチル(150ml×3)で抽出した。酢
酸エチル層は芒硝で乾燥後減圧濃縮し、中性部抽出物
(中性部)を得た。水層は更に希塩酸でpH2.5と
し、酢酸エチル(150ml×3)で抽出し、酸性中性
物(酸性部)を得た。ジベレリンはTLC上で80%硫
酸を噴霧後加熱(120℃、10分)する事によりUV
ランプ(365nm)照射下に青色の蛍光を発するの
で、この方法を抽出物について行ったところ、酸性部に
ジベレリンのスポットを検出した。酸性部は前述のCh
oらの方法でメチルエステル−トリメチルシリルエーテ
ル(Me−TMS)化し、GCおよびGC−MSで分析
するとともに、酸性部からTLC分取によりジベレリン
呈色を示すフラクションを分取し、これも上記と同様に
分析した。Me−TMS化酸性抽出部またはTLC分取
したジベレリンフラクションのメタノール溶液(100
μl)にジアゾメタンのエーテル溶液を加えてエステル
化した後、溶媒を留去し、減圧乾燥の後これにN,O−
ビス−トリメチルシリルアセトアミド(10μl)、ト
リメチルシリルクロライド(5μl)、ピリジン(10
μl)を加えてTMS化した。 GC条件:Silicone OV-101,キャピラリーカラム(25m×
0.25mm,IDO.20mm),150→300 ℃(5℃/min) 昇温, Det &
Inj 270 ℃, キャリヤーガス(He)0.7ml/m, FIDH2 1.3kg
/cm2 , Split Ratio 1:30。 GC−MS条件:Shimadzu QP-1000を用い、GCと同条
件にて行った。但し、キャリヤーガスはヘリウムを用い
た。 生成したジベレリン類のサンプルを分析した結果をまと
めて表1に示した。
て採取した培養液(100ml)から菌体を分離した
後、濾液に150mlの飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
を加え、酢酸エチル(150ml×3)で抽出した。酢
酸エチル層は芒硝で乾燥後減圧濃縮し、中性部抽出物
(中性部)を得た。水層は更に希塩酸でpH2.5と
し、酢酸エチル(150ml×3)で抽出し、酸性中性
物(酸性部)を得た。ジベレリンはTLC上で80%硫
酸を噴霧後加熱(120℃、10分)する事によりUV
ランプ(365nm)照射下に青色の蛍光を発するの
で、この方法を抽出物について行ったところ、酸性部に
ジベレリンのスポットを検出した。酸性部は前述のCh
oらの方法でメチルエステル−トリメチルシリルエーテ
ル(Me−TMS)化し、GCおよびGC−MSで分析
するとともに、酸性部からTLC分取によりジベレリン
呈色を示すフラクションを分取し、これも上記と同様に
分析した。Me−TMS化酸性抽出部またはTLC分取
したジベレリンフラクションのメタノール溶液(100
μl)にジアゾメタンのエーテル溶液を加えてエステル
化した後、溶媒を留去し、減圧乾燥の後これにN,O−
ビス−トリメチルシリルアセトアミド(10μl)、ト
リメチルシリルクロライド(5μl)、ピリジン(10
μl)を加えてTMS化した。 GC条件:Silicone OV-101,キャピラリーカラム(25m×
0.25mm,IDO.20mm),150→300 ℃(5℃/min) 昇温, Det &
Inj 270 ℃, キャリヤーガス(He)0.7ml/m, FIDH2 1.3kg
/cm2 , Split Ratio 1:30。 GC−MS条件:Shimadzu QP-1000を用い、GCと同条
件にて行った。但し、キャリヤーガスはヘリウムを用い
た。 生成したジベレリン類のサンプルを分析した結果をまと
めて表1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】表1から、基質濃度を低下させると明らか
に収率が向上することが判る。即ち、カウレンの基質濃
度を橘らの以前の報告の基質濃度である0.15%から
0.01%に変え、また菌株も新しくIFO−3033
7に変えて微生物変換を行なった場合、10日間の培養
でカウレンに対する収率は53%と上昇し、高い収率で
ジベレリン類を生産することができた。また上と同条件
でIFO−31251を用いて培養した場合も、3日間
の培養でジベレリンのカウレンに対する収率は39%と
上昇した。また、IFO−30337菌株とIFO−3
1251菌株より得られる、ジベレリン類の各成分の組
成を表2と表3に示す。
に収率が向上することが判る。即ち、カウレンの基質濃
度を橘らの以前の報告の基質濃度である0.15%から
0.01%に変え、また菌株も新しくIFO−3033
7に変えて微生物変換を行なった場合、10日間の培養
でカウレンに対する収率は53%と上昇し、高い収率で
ジベレリン類を生産することができた。また上と同条件
でIFO−31251を用いて培養した場合も、3日間
の培養でジベレリンのカウレンに対する収率は39%と
上昇した。また、IFO−30337菌株とIFO−3
1251菌株より得られる、ジベレリン類の各成分の組
成を表2と表3に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】表2から、この実施例により生じたジベレ
リン類は、ジベレリンA1 、A3 、A4 、A7 、A9 、
A12、A12−アルデヒド、A14、A14−アルデヒド、A
15、A16、A24、前駆体7−βーヒドロキシカウレン酸
を含んでいるが、生成ジベレリン類のうちA3 は1%以
下であり、ジベレリンA9 、A14−アルデヒド、A15、
およびA1 、A4 、A7 などが大部分を占めている。こ
の結果は橘らの報告(日本木材学会誌、vol135,
No8,761(1989))の生成物分布と類似する
ものであり、ジベレリンA3 以外のジベレリン類の製造
法として新しい方法であることが判明した。 実施例2 (植物生長抑制剤の添加量) 菌株としてIFO−30337を使用し、植物生長抑制
剤(AMO−1618)の添加量を変えて抑制剤無添
加、20mg添加、60mg添加とする以外は実施例1
と同条件でジベレリン類の収率を測定した。表4にその
結果を示す。
リン類は、ジベレリンA1 、A3 、A4 、A7 、A9 、
A12、A12−アルデヒド、A14、A14−アルデヒド、A
15、A16、A24、前駆体7−βーヒドロキシカウレン酸
を含んでいるが、生成ジベレリン類のうちA3 は1%以
下であり、ジベレリンA9 、A14−アルデヒド、A15、
およびA1 、A4 、A7 などが大部分を占めている。こ
の結果は橘らの報告(日本木材学会誌、vol135,
No8,761(1989))の生成物分布と類似する
ものであり、ジベレリンA3 以外のジベレリン類の製造
法として新しい方法であることが判明した。 実施例2 (植物生長抑制剤の添加量) 菌株としてIFO−30337を使用し、植物生長抑制
剤(AMO−1618)の添加量を変えて抑制剤無添
加、20mg添加、60mg添加とする以外は実施例1
と同条件でジベレリン類の収率を測定した。表4にその
結果を示す。
【0035】
【表4】
【0036】この結果から、AMO−1618は2リッ
トルICI培地に対して20mg程度添加すれば良いこ
とが判った。
トルICI培地に対して20mg程度添加すれば良いこ
とが判った。
【0037】実施例3 (植物生長抑制剤の種類) 植物生長抑制剤の種類を変えた場合のジベレリン類の収
率を実施例2と同条件で測定した。表5にその結果を示
す。
率を実施例2と同条件で測定した。表5にその結果を示
す。
【0038】
【表5】
【0039】この結果から、植物生長抑制剤としてはA
MO−1618が好ましいことが判った。
MO−1618が好ましいことが判った。
【0040】実施例4 (攪拌速度の影響) 培養槽の攪拌速度のジベレリン生成に対する影響をみ
た。菌株としてIFO−30337を使用し、攪拌羽根
を200〜80rpmと変化させる以外は実施例1と同
条件でジベレリン類の収率を測定した。表6にその結果
を示す。
た。菌株としてIFO−30337を使用し、攪拌羽根
を200〜80rpmと変化させる以外は実施例1と同
条件でジベレリン類の収率を測定した。表6にその結果
を示す。
【0041】
【表6】
【0042】この結果から、攪拌速度は300rpm以
上は必要ないと考えられた。
上は必要ないと考えられた。
【0043】実施例5 (空気量の影響) 培養槽へ吹き込む空気量のジベレリン収率に対するの影
響を、使用カウレンに対する重量%で示した。菌株とし
てIFO−31251を使用し、培養槽へ吹き込む空気
量を変化させる以外は実施例1と同条件でジベレリン類
の収率を測定した。表7にその結果を示す。
響を、使用カウレンに対する重量%で示した。菌株とし
てIFO−31251を使用し、培養槽へ吹き込む空気
量を変化させる以外は実施例1と同条件でジベレリン類
の収率を測定した。表7にその結果を示す。
【0044】
【表7】
【0045】この結果から、培養槽へ吹き込む空気量
は、2リットルの系では0.5リットル/分で充分と考
えられる。
は、2リットルの系では0.5リットル/分で充分と考
えられる。
【0046】実施例6 (温度の影響) 培養温度のジベレリン収率に対する影響を調べた。菌株
としてIFO−30337を使用し、培養温度を変化さ
せる以外は実施例1と同条件でジベレリン類の収率を測
定した。表8にその結果を示す。
としてIFO−30337を使用し、培養温度を変化さ
せる以外は実施例1と同条件でジベレリン類の収率を測
定した。表8にその結果を示す。
【0047】
【表8】
【0048】この結果から、培養温度は25℃付近が適
温であると考えられる。
温であると考えられる。
【0049】 実施例7 (スケールアップ条件下での培養) 10リットル培養槽を用いて試験を行った。薬剤、培
地、空気量などはすべて実施例1(2リットルスケー
ル)の5倍の量を用いた。その他の培養条件はすべて実
施例1と同条件とし、菌株はIFO−30337および
IFO−31251を使用して試験を行い、ジベレリン
類の収率を測定した。その結果を表9に示した。
地、空気量などはすべて実施例1(2リットルスケー
ル)の5倍の量を用いた。その他の培養条件はすべて実
施例1と同条件とし、菌株はIFO−30337および
IFO−31251を使用して試験を行い、ジベレリン
類の収率を測定した。その結果を表9に示した。
【0050】
【表9】
【0051】この結果から、スケールアップ条件下での
培養においても実施例1と同様の結果がえられることが
判る。
培養においても実施例1と同様の結果がえられることが
判る。
【0052】実施例8 (植物生長促進効果の検定) 実施例1の試験において得られたジベレリンを用いて矮
性稲(短銀坊主)で生長促進効果を測定した。結果を表
10〜12に示す。
性稲(短銀坊主)で生長促進効果を測定した。結果を表
10〜12に示す。
【0053】
【表10】
【0054】この結果から、本発明の製造方法により得
られるジベレリン類は、矮性稲の第2子葉の伸長に対し
て著しい生長促進効果を有するものであることが判る。
られるジベレリン類は、矮性稲の第2子葉の伸長に対し
て著しい生長促進効果を有するものであることが判る。
【0055】
【表11】
【0056】
【表12】
【0057】
【発明の効果】本発明の製造方法が提供されることによ
り、第1に、これまで微量にしか生産あるいは入手でき
なかったジベレリン、すなわちジベレリンA3 、ジベレ
リンA4 以外のジベレリン類を、カウレンを出発物質
(基質)とした微生物変換(酵素反応)によって収率良
く生産できるようになった。第2に、ジベレリンA3 単
独の場合と比較して1.5倍の植物生長促進活性を示す
ジベレリン類を提供することが可能となった。本発明の
製造方法により得られるジベレリン類は植物生長促進剤
として有用である。
り、第1に、これまで微量にしか生産あるいは入手でき
なかったジベレリン、すなわちジベレリンA3 、ジベレ
リンA4 以外のジベレリン類を、カウレンを出発物質
(基質)とした微生物変換(酵素反応)によって収率良
く生産できるようになった。第2に、ジベレリンA3 単
独の場合と比較して1.5倍の植物生長促進活性を示す
ジベレリン類を提供することが可能となった。本発明の
製造方法により得られるジベレリン類は植物生長促進剤
として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:645)
Claims (2)
- 【請求項1】 ジベレラ属に属し、微生物由来のジベレ
リン生産能力を有する微生物を、基質濃度0.001%
以上0.15%未満のent−カウレンおよび微量の植
物生長抑制剤を存在せしめた培地で培養し、該微生物に
ジベレリン類を産生させることを特徴とするジベレリン
類の製造方法。 - 【請求項2】 産生されるジベレリン類がジベレリンA
1、ジベレリンA3 、ジベレリンA4 、ジベレリンA7 、
ジベレリンA9 、ジベレリンA12、ジベレリンA12−ア
ルデヒド、ジベレリンA14、ジベレリンA14−アルデヒ
ド、ジベレリンA15、ジベレリンA16、 ジベレリンA24
及びこれらの前駆体である7−β−ヒドロキシカウレン
酸からなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23637192A JP3183722B2 (ja) | 1992-08-11 | 1992-08-11 | ジベレリン類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23637192A JP3183722B2 (ja) | 1992-08-11 | 1992-08-11 | ジベレリン類の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0690775A true JPH0690775A (ja) | 1994-04-05 |
JP3183722B2 JP3183722B2 (ja) | 2001-07-09 |
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ID=16999807
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---|---|---|---|
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---|---|---|---|---|
CN102260274B (zh) * | 2011-06-14 | 2013-10-30 | 华南理工大学 | 一种抗癌化合物的制备方法与应用 |
-
1992
- 1992-08-11 JP JP23637192A patent/JP3183722B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3183722B2 (ja) | 2001-07-09 |
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